2024年3月期第2四半期決算説明

荒川隆治氏(以下、荒川):みなさま、こんにちは。アルフレッサ ホールディングス株式会社の荒川隆治です。平素は格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

弊社は、11月7日に2024年3月期第2四半期の決算発表を行いました。本日は、より多くの方にご視聴いただくため、Webライブ配信の形式で決算説明会を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。

では、まずはじめに、副社長の岸田から2024年3月期の第2四半期の業績について、次に、私から主な取り組みと業績予想についてご説明いたします。

連結損益計算書

岸田誠一氏:こんにちは。アルフレッサ ホールディングスの岸田です。まず、2024年3月期第2四半期の連結損益からご説明いたします。

売上高は、前年比7.2パーセント増収の1兆4,278億円、売上総利益は、9パーセント増加し992億円、売上比は、6.95パーセントで前年より0.12ポイント改善しました。

販管費は832億円、金額では3パーセント増加しましたが、売上比は5.83パーセントで前年より0.24ポイント低下しました。

その結果、営業利益は、56.4パーセント増益の159億円、売上比は0.35ポイント改善の1.12パーセントとなりました。

経常利益は、50.4パーセント増加の172億円、当期純利益は、69.3パーセント増加の118億円となりました。

医療用医薬品等卸売事業が大幅に増収となったことで粗利が増加し、一方で販管費率の抑制に努めた結果、大幅な増益となりました。

当初予想に対する達成率は、一番右の列に記載のとおり、売上高は104.1パーセント、営業利益131.1パーセント、当期純利益136.2パーセントの達成となり、先日上方修正のリリースを行いました。営業利益で、4つの全セグメントにおいて当初予想を上回っています。

配当につきましては、配当方針としている純資産配当率(DOE)2.4パーセントに基づく、普通配当29円と、設立20周年記念配当の5円を上乗せし中間配当34円といたしました。

連結貸借対照表

次に、貸借対照表について、ご説明いたします。

2023年3月末と比較して、中ほどの資産合計は、863億円増加し、1兆4,262億円となりました。

主な増加要因は、資産の部では、流動資産が735億円、固定資産が127億円増加しています。流動資産では、売上増加に伴い、売上債権が、449億円増加しました。

一方、負債の部では、仕入債務も売上増加などの影響で、919億円の増加となりました。

また純資産は、自己株式の取得などにより227億円減少し4,655億円、自己資本比率は32.6パーセント、3.8ポイントダウンとなりました。

連結キャッシュ・フロー

続いて、キャッシュ・フローです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、利益の増加、運転資本差の増加により631億円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資やヘルスケア領域のベンチャー企業への投資などで86億円の減少、差し引きフリーキャッシュフローは、544億円の増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が120億円の増加、自己株式の取得347億円、配当金の支払58億円などで、294億円の減少となり、この結果、キャッシュは260億円の増加、期末残高は、1,848億円となりました。

医療用医薬品等卸売事業

ここからはセグメント別の営業損益をご説明いたします。

まず、医療用医薬品等卸売事業の業績です。売上高は、前年比7.2パーセント増収の1兆2,671億円、売上総利益は、10.2パーセント増加の720億円、売上比は5.68パーセント、前年から0.15ポイント改善しました。

一方、販管費は、1.5パーセント増加し582億円でしたが、売上比は4.59パーセント、前年から0.26ポイント低下し、その結果、営業利益は、72.6パーセント増益の137億円、売上比は1.09パーセント、前年から0.41ポイントアップしました。

市場の大幅な伸び、一部製薬企業の流通体制変更の影響を受けたことなどによる増収と、売上総利益率の改善、また販管費率の低減に努めた結果、増益となりました。

売上構成比・妥結率

カテゴリー別の売上構成比は、ご覧のとおりで、新薬創出加算品と特許品その他を合わせると構成比が76.6パーセントとなり、前年に引き続き取扱いが増加し、当社グループ内での構成比は約3ポイント上がっています。

長期収載品は11.6パーセント、後発医薬品は11.8パーセントの売上構成比で前年より低下しています。

また、期末時点での価格妥結率は金額ベースで95.4パーセントとなっています。

セルフメディケーション卸売事業

次に、セルフメディケーション卸売事業です。

売上高は、前年比7.5パーセント増収の1,333億円、売上総利益は、9パーセント増加の135億円、売上比は、10.15パーセント、前年より0.14ポイント改善しています。

販管費は、7.2パーセント増加の120億円、営業利益は、26.6パーセント増益の14億円、売上比は、1.1パーセント、前年より0.17ポイントアップしました。

新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後の人流回復に加えて、インバウンド需要増に伴う市場回復の影響などから増収増益となりました。

医薬品等製造事業

次に、医薬品等製造事業です。

売上高は、前年比10.2パーセント増収の260億円、売上総利益は、2.5パーセント増加の67億円、一方、販管費は、14.3パーセント増加の65億円で、営業利益は、1億8,600万円となりました。

製造販売権を承継した長期収載品や診断薬の売上伸長、また、受託製造や原薬製造が堅調であった一方で、ALS治療薬開発に係る契約一時金の支払いなどの経費増加により、増収減益となりました。

医療関連事業

最後は、医療関連事業、調剤薬局事業です。

売上高は、前年比1.7パーセント増収の181億円、売上総利益は、1.3パーセント増加の68億円、販管費は、3.1パーセント減の65億円、結果、営業利益は2億7,900万円の大幅な増益となりました。

薬価改定に伴う減収の一方で、新型コロナウイルス感染症治療薬などの影響による増収、および経費の抑制により利益改善をはかりました。

以上が2024年3月期第2四半期決算の概要です。私からの説明は以上でございます。

TSCS(トータルサプライチェーンサービス)の強化・拡大:再生医療等製品の製造機能強化

荒川:引き続きまして、荒川より、22-24中期経営計画、そしてその先、アルフレッサグループ中長期ビジョンの取り組み状況をご説明いたします。

まずは再生医療関連事業についてです。

再生医療等製品の中間製品、マスターセルの提供事業と自家・他家の細胞加工物の製造事業を担うセルリソーシズは、2023年7月に遺伝子細胞治療市場における全自動細胞製造システムの世界的トップランナーであるミルテニーバイオテク社とバイオインダストリー・サポート契約を締結しました。

高度に自動化された受託細胞製造サービスを遺伝子細胞治療市場に提供する事業基盤の整備を進め、細胞自動製造システムを中心とする細胞加工「工場」を設置して、高効率で高品質な再生医療等製品の受託製造サービスを提供する体制を構築していきます。

TSCS(トータルサプライチェーンサービス)の強化・拡大:開発パイプラインと製造技術を強化

抗体医薬の分野においては2023年5月、アルフレッサ ホールディングスがバイオベンチャー企業である株式会社凜研究所に、第三者割当増資による出資を行いました。

将来的に、株式会社凜研究所が開発を進める抗体医薬品の国内共同開発に関する独占交渉権、共同開発権を取得する予定です。同時に、アルフレッサ ファーマにおいて、株式会社凜研究所が保有する抗体医薬品の開発および製造を検討しています。

今後も株式会社凜研究所が進める抗体医薬・体外診断薬の開発をご支援するとともに、当社グループが目指すトータルサプライチェーンサービスの実現に向けて医薬品等製造事業における開発パイプラインと製造技術を強化してまいります。

TSCS(トータルサプライチェーンサービス)の強化・拡大:再生医療等製品の保管・輸送体制の強化

また、再生医療等製品の保管・輸送における取り組みとしては、2023年2月にアルフレッサが、細胞治療、バイオシミラー、バイオ新薬事業を行うキッズウェル・バイオ株式会社と三菱倉庫株式会社との3社間で業務委託基本契約を締結しました。

キッズウェル・バイオ株式会社が開発中のヒト乳歯歯髄幹細胞であるSHEDを用いた再生医療等製品の実用化に向け、アルフレッサと三菱倉庫株式会社が持つ再生医療等製品の保管・輸送における豊富な実績と高度な技術・ノウハウを活用し、再生医療等製品を高品質かつ安定的に保管・輸送できる体制を確立いたします。

ヘルステックへの取り組み:(株)MICIN との資本業務提携締結

次に、ヘルステックへの取り組みについてです。

アルフレッサはオンライン診療サービスやデジタルセラピューティクス等の開発・提供に取り組んでいる株式会社MICINと資本業務提携契約を締結いたしました。

予約から問診、診察、決済、医薬品の配送手続きまでをオンラインで完結させることができるオンライン診療サービス「curon(クロン)」や、通院時の診察の受付、会計、薬の受け取りまでをスマートフォンで完了することができる通院専用キャッシュレス決済サービス「クロンスマートパス」等の普及拡大を推進します。

スペシャリティ医薬品を必要とする患者様の医薬品アクセスの向上に貢献

オンライン診療サービス等を行う上で、患者さまの個人宅へ必要な医薬品を安心安全、かつ確実に届ける仕組みも必要です。

2021年からアルフレッサがパイロット運用を続けていたスペシャリティ医薬品における患者宅特殊配送サービス「Home Care Delivery」が、本年8月に関東、中部、一部地域を除く近畿地方で本格運用を開始しました。

このサービスでは、CSLベーリング株式会社製の血友病治療薬を必要とする患者さまが、その医薬品を持ち帰る際の負担を軽減できるだけではなく、受診後の患者さまのご希望に応じてアルフレッサが配送を開始するため、医療機関における医薬品の在庫管理の負担や廃棄リスクの低減にも貢献できます。

デジタルツールを活用した「つなぐ活動」でサステナブルな社会へ

このように当社グループは、ヘルステックなどのデジタルツールの活用で、ヘルスケアに携わる方々をつなぐ活動を新たなステージへ進め、医療従事者の働き方改革に貢献しています。

また、患者さまの医薬品アクセスを向上させるとともに、医療機関の経営効率化など、医療における課題解決を図っています。

地域医療への貢献:地域の人々の健康寿命延伸に貢献

地域への貢献としましては、東京都小平市における令和5年度の保健事業である糖尿病性腎症重症化予防事業をアルフレッサが受託しました。

自治体向けの糖尿病性腎症重症化予防プログラムは、小平市民の健康寿命延伸に向けて地域の医療インフラを有効に活用したモデルであり、これにより糖尿病の治療と並行して、薬局で糖尿病性腎症病期の進行を抑制するための療養指導が行えることが大きな特長です。

個々の患者さまに合った治療プランの立案および主治医の指示の実践へとつなげる支援が可能となっています。

中長期的な最適資本構成に向けたソーシャルボンド・フレームワークの策定

財務戦略として、当社は茨城県つくば市に建設予定のつくば物流センターと群馬県太田市における医薬品製造棟の建設等をソーシャルプロジェクトと位置づけ、その資金調達に向けた対応として、ソーシャルボンド・フレームワークを策定しました。

安心できる商品・サービスの提供を通じて社会課題の解決に貢献する「製造・サービスの品質向上」、および健康・医療に関する新たな事業領域へ挑戦する「価値創造/イノベーション」といった当社グループの2つのサステナビリティ重要課題に関して、PIC/S GDPに対応した最適なロジスティクスネットワークの構築を実現する物流センターを稼働させることに加えて、医薬品製造棟の建設等により受託製造の強化を図ります。

連結業績予想

続きまして、2024年3月期業績予想です。

最初に、2024年3月期の連結業績予想です。連結業績予想と各事業セグメント通期業績予想につきましては、この第2四半期の業績を踏まえて、10月31日に修正を公表しています。

医療用医薬品等卸売事業

続きまして、セグメント別のご説明をいたします。医療用医薬品等卸売事業です。

当初予想を超える市場の伸長に加え、一部製薬企業の流通体制変更の影響等により医療用医薬品等は6.3パーセントの増収の計画です。

物流センター投資による減価償却費等の販管費の増加はありますが、適正価格での販売を継続し、増益を見込みます。

セルフメディケーション卸売事業

次に、セルフメディケーション卸売事業です。

セルフプリベンション商品と専売メーカーの販売に注力し、引き続き利益とコストの管理を徹底すること等により、増収増益を見込んでいます。

医薬品等製造事業

次に、医薬品等製造事業です。

製造販売権を承継した長期収載品の売上伸長や、診断薬の底堅い需要、ならびに原薬製造および受託製造の増加等により増収を見込んでいます。

医療関連事業

最後のセグメントは、医療関連事業です。調剤薬局事業になります。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関の受診抑制からの回復や、技術料獲得に伴う増収効果はあるものの、薬価改定の影響等により減収増益を計画しています。

以上をもちまして、当社からの決算説明を終わります。