第62回 個人投資家向けIRセミナー
三浦康英氏(以下、三浦):代表取締役社長の三浦です。75周年を迎えた当社は、今後さらに100年継続する長寿企業を目指しています。また、経営品質の向上を事業活動の中核に据え、高い経営品質である美しい会社づくりを実践しながら、ステークホルダーのみなさまから愛される、魅力ある会社を目指しています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
1-1.会社概要
三浦:会社概要です。本社は東京都港区港南にあり、資本金は25億2,300万円、従業員数は428名です。契約社員、派遣社員を入れると従業員数は1,000名を超えます。売上高は後ほどお伝えします。
主要拠点は関東を中心に14拠点です。連結子会社は、ガラス専門の梱包を主体とする会社が国内に1社、海外に2社あります。1社は中国の上海、もう1社は米国です。米国の拠点は西海岸・カリフォルニア州ロサンゼルスと東海岸・ノースカロライナ州にそれぞれあります。
決算期は3月で、上場区分は昨年、東証一部からスタンダード市場を選択しました。
1-2-1.事業概要 セグメント別
三浦:セグメント別の事業概要です。売上構成は、梱包事業で70パーセントを超えています。創業当時の梱包は、運輸事業のおまけのような位置づけで、「荷造り」のようなイメージで捉えられていました。しかし、精密機器を輸送するために梱包は欠かせません。
包装には商業包装と工業包装があり、商業包装は一般消費者向けの包装で、現在はEC取引が盛んです。もう一方は工業包装で、これが製品を保護する包装になります。
創業者がこの梱包に着目し、当時の防衛庁(現在の防衛省)から依頼を受け、最初は米軍規格に沿って梱包事業をスタートさせました。その後、梱包の規格がJIS規格として平準化され、現在の当社の梱包事業はJIS規格に基づいたものとなっていますが、さらに、固定技法や緩衝設計などに強みを加えて展開しています。
運輸事業についてです。物流には欠かせない運輸事業ですが、当社は社有車を23台保有しています。売上の8割方を外注委託が占めており、協力会社と全国にネットワークを築いている事業です。
現在、ドライバーの働き方改革である「2024年問題」が話題となっていますが、当社もすでにその問題に取り組んでいます。その1つをご紹介します。厚労省のアンケート結果によると、運送業界における問題の70パーセントを占めているのが、発着荷主で発生する荷待ち時間です。
トラックが着いてから荷物が降ろせない時間が大きいことが問題視されているのです。当社はそこに着目し、トラック予約受付システムを導入しました。搬入トラックを予約して可視化することにより、スムーズな荷降ろしを実現させています。
倉庫事業についてです。一般倉庫と異なり、当社の自社倉庫は空調完備で、庫内のオペレーションがスムーズにできるように、事務所並みの照度を保っているのが特徴です。一般倉庫では取り扱いできない製品群も取り扱っています。
賃貸ビル事業については本社ビルに関連するもので、こちらは安定的に収益をあげている事業となっています。
1-2-2.事業概要 取扱製品群別
三浦:取扱製品群別についてです。当社は、付加価値の高い製品に特化しているため、衣料や食品は取り扱っていません。小型・大型精密機器、医療機器に関してはCT、MRI、カテーテルといったものを取り扱っています。
また、工作機械については、マシニングセンタをはじめとする金属加工機器等の重量物を取り扱っています。現在、売上の構成比は、数字が伸びている工作機械と小型精密機器が30パーセントずつです。小型精密機器については、航空貨物で取り扱っているものだとご認識いただければと思います。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):棒グラフからは、工作機械や大型精密機器が近年伸びていることがわかりますが、この理由を教えていただけますか?
三浦:工作機械はトレンドの波が激しい業界で、前期までの2年間は活況でした。もちろん、設備投資意欲が増している中での工作機械の取扱増です。
もう1つの大型精密機器ですが、こちらは半導体の製造装置になります。主要2社の取り扱いから1社増え、大手製造装置メーカーとの取引が始まったことで売上が伸びました。
1-2-3.事業概要 当社の強み
三浦:当社の強みです。当社は、もともとサンリツ梱包運輸株式会社という社名で、当時の事業領域は梱包と輸送だけでした。現在のサンリツという商号に変更したのは1985年ですが、その際に、梱包・輸送だけでは成長性に乏しいということで、総合物流会社を目指すようになりました。
国際物流における海上貨物の拠点は横浜港で、航空貨物は成田空港です。拠点を構え、それぞれ輸出貨物を取り扱い、工場での引き取りから海外における現地輸送まで、自社で一貫してサポートできるのが当社の強みです。
倉庫内オペレーションですが、最初はサードパーティロジスティクス(3PL)、つまりアウトソーシング型の総合物流として受注していました。取り扱い製品群で主立ったものは、医療機器ビジネスがこの3PLで獲得できています。現在は、コンサルも含めた4PLで展開しています。
また、包装設計力があるのも当社の強みです。お客さまの製品の形状は一品一様のものもあり、当社はその仕様に合わせ、オリジナルの設計が可能です。
以上のように、梱包事業を中核に据え、総合物流会社として事業領域を作っています。
1-3.事業戦略
三浦:事業戦略ですが、当社は各分野で高品質をテーマに掲げています。冒頭にお話しした「高経営品質」だけでなく、サービスについても「高物流品質」を目指しています。これは安全に、高い品質で、最終ユーザーさまにお届けするというものです。
また、当社が対応しているのはBtoBの企業間物流で、BtoCは対応していません。そこで、工作機械などの重量物の取り扱いに関して、日本だけでなく米国でも大型設備を保有しています。
精密機器の取り扱いについては、一品一様の取り扱いを含め、扱いがデリケートな部分を取り扱うスペシャリストです。医療機器に関しては、取り扱うための各種ライセンスを所有しています。医療機器ビジネスには、クオリティマネジメントシステム(QMS)という言葉がありますが、このQMSが高いもので現在オペレーションを行っています。また、梱包分野についても差別化を図っているところです。
坂本:御社は梱包のスペシャリストとして、さまざまな梱包をされることが多いと思いますが、この大型設備というのはどれくらいのサイズなのでしょうか?
三浦:長さ10メートル、幅3メートル、高さ3メートルです。コンテナだと40フィートコンテナのハイキューブの大きさをイメージいただければと思います。
坂本:ありがとうございます。御社にしか梱包ができないものはありますか? 例えば特殊な機械を使ったり、御社ならではの方法で梱包したりするといった優位性をお持ちなのか、お聞きしたいです。
三浦:工作機械に関しては、当社の横浜の拠点に40トンクレーンを保有しています。これは横浜港に拠点を持つ同業者でも他に2社しか保有しておらず、優位性を保っていると考えられます。また、先ほどお話しした各種ライセンスの保有も優位性だと考えています。
坂本:おそらく後ほどお話もあると思いますが、賞も多く受賞されているということですね。
三浦:そのとおりです。
2-1.業績推移/収益体質改善、利益水準向上へ
三浦:業績推移と振り返りです。スライドの棒グラフは、過去17年間の売上高の推移、折れ線グラフは当期純利益の推移です。
ご覧のとおり、リーマンショックや東日本大震災の頃に、売上高が大幅に下がりました。土地の評価が下がったことから減損損失を計上したため当期純利益も下がり、会社としては改革期に入りました。リーマンショックにより売上高と当期純利益が最も下がった時期ではありましたが、グローバルという視点から米国へ進出しました。
スライドに「八王子倉庫開設」「京浜倉庫開設」と記載していますが、こちらは医療機器ビジネスの3PLの獲得を示しています。子会社についても、当社の得意とする梱包を事業とする会社をこの時期に立ち上げました。
「中国事業一部撤退」に関しては、この時期に子会社4社が中国から撤退しました。包装資材の販売を主軸に年間20億円以上の売上高をあげていたビジネスですが、中国製の品質が上がったため、コストのたたき合いの末に不採算事業と認識し、早期に撤退しました。
そこから再度、売上を伸ばし、米国東海岸へ進出しました。コロナ禍もありましたが、前期に初めて売上高200億円を達成し、過去最高益となりました。
2-2-1.前中計の振返り(実績推移)【2022年3月期~2023年3月期】
三浦:前中計の振り返りです。前期で終了した2年間の中計です。スライドの棒グラフをご覧のとおり、当初の目標売上高166億円を1年目で超えています。営業利益率は6.6パーセントを目標値として掲げており、10億円以上の営業利益を出しましたが、営業利益率の最終着地は5パーセントとなりました。
増井麻里子氏(以下、増井):中計で営業利益が未達となってしまった主な理由は何でしょうか?
三浦:原材料価格の高騰や人件費の増加により、物流業界全体で営業利益率が下がっています。この目標値を掲げた当初、物流業界全体の営業利益率は5パーセントを超えていましたが、現在は4パーセントから4.5パーセントの水準まで落ち込んできました。また、人材を多数採用したことも未達要因となっています。
増井:その状態はしばらく続きそうですか?
三浦:人材はこれからも積極的に採用していきたいと考えています。コロナ禍は全体で計画より50人ほど少ない採用数で推移してきたため、かなり今少ない数字です。中途採用も含め、これからも人材に関しては積極的な投資を行うため、原価増と考えています。
2-2-2.前中計の振返り(新中期経営計画に向けて)
三浦:新中期経営計画に向けて、今後の取組みについてお話しします。ご説明したように人件費が増加したり、外部環境により取扱量が減少したりしても耐えうるよう、利益を確保できるビジネスを構築していきます。
詳細は次ページでご説明しますが、中長期的に掲げているソリューションを確実に実現していきたいと考えています。2028年3月期、つまり当社が80周年を迎える5年後には営業利益率6パーセントを目標としたいと考えています。
3-1-1.新中期経営計画の概要(中長期的に目指す姿)
三浦:今期から始まった3年間の新中期経営計画についてです。ビジョンは「オペレーションからソリューションへ」です。
当社はこれまでオペレーション、悪く言えば受け身の作業を手掛けてきました。一方で、当社のオペレーション力は高品質で安全という点で、お客さまから高い信頼を得ています。
これからはお客さまの問題・課題解決を手掛けていこうと考えており、顕在化した問題ではなく潜在的な問題・課題を抽出して提案し、解決していこうという思いが「ソリューションへ」という部分に込められています。高いオペレーション力を持った上で「ソリューション」の力を身に着け、成長していこうというものです。
3-1-2.新中期経営計画の概要(経営目標)
三浦:新中期経営計画の概要についてです。経営目標として、売上高は220億円、当社のKPIである営業利益率は5パーセントを掲げています。先ほどお話しした人材確保による原価増により、1年目の計画では利益率は下がりますが、最終年度は5パーセントに引き上げていこうという考えです。
3-1-3.新中期経営計画の概要(国内海外比較)
三浦:国内と海外の比較です。スライドをご覧のとおり、海外の売上高は2023年度3月期実績18億円に対し、3年後の2026年3月期には25億円まで伸ばす計画です。売上高に占める海外比率を8パーセントから11パーセントまで引き上げ、将来的には20パーセントまで持っていきたいと考えています。海外事業は営業利益率が大変高いため、売上をしっかり上げていこうということです。
坂本:新中計において、海外事業の営業利益率は伸びているようですが、国内事業の営業率を伸ばすのは難しいのでしょうか?
三浦:原材料価格の高騰により、当社で取り扱っている木材、合板、段ボール、副資材が軒並み値上がりしています。お客さまへの価格転嫁は前期から行っているものの、全部が全部認めていただけるわけではありません。社内でこちらを吸収する努力も行っていますが、新中計においては、基盤を再度築くための人材投資からと考えています。利益率はこの3年と次のステップで、もう一度しっかりと伸ばしていきたいと考えています。
3-2-1.事業戦略1
三浦:事業戦略です。成長戦略の1つ目として、海外事業は「国際一貫物流サービス」を実施し、輸出入案件の拡大を図っていきます。米国で現在展開しているビジネスモデルがありますが、グローバルサプライチェーンマネジメントによる調達物流を行っています。今度はこちらのノウハウを欧州で展開していきたいと考えています。
2つ目は、先ほどからお話ししている「ソリューション」です。今年7月にソリューション統括部を組織しました。営業戦力もそこに増強してソリューション提案を行い、「選ばれるパートナー」を目指していきたいと考えています。
3つ目は、成田地区の事業拡大です。2028年の成田空港第3滑走路の延伸計画に伴い、当社は2026年に新しい倉庫の稼働を目指します。
設備投資はスライドのとおりです。一番大きい投資は成田地区新倉庫の50億円です。
3-2-2.事業戦略2
三浦:収益性の向上についてです。スライドに「事業環境等を勘案し」と記載していますが、サービスの適正価格を追求し、それに伴い不採算事業が出てくれば撤退することで、人材への資本投資をしっかりと考えていきたいと思っています。また、米国西海岸の新倉庫についても安定稼働の早期構築を目指していきます。
DX戦略は3つのステップを考えており、それにより5パーセント相当の労働力の創出を目指します。1つ目はデジタル化です。アナログからデジタルに変えていくことで、標準化・見える化を推進します。2つ目は自動化による簡素化・効率化の推進、3つ目がAI活用による最適化・全社共通化の推進です。このようにして新しいビジネスモデルを作っていこうと考えています。
サステナビリティについては、環境に優しい梱包を推進し、輸送に関してもモーダルシフトの提案などを推進していきたいと考えています。
3-3.事業運営の基盤強化
三浦:人材育成戦略についてです。これから人材の確保を進める中で、教育・育成が必要ですので、新中計でしっかりと手掛けていきます。また、当社のコア事業である梱包事業に関し、梱包スペシャリスト人材が次第に高齢化していることもあるため、増強を図ります。
サステナビリティについては「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を掲げ、女性活躍の環境整備を行います。従業員にとって、安全・安心で働きがいのある職場環境の実現を手掛けていきたいと考えています。
【参考】2024年3月期業績予想
三浦:ここからは参考資料ですので、後ほどご一読ください。こちらのスライドは今期の業績予想です。
【参考】2024年3月期第1四半期 決算概要
三浦:足元の第1四半期決算概要がここから数ページ続きます。概要としては、航空貨物の取り扱いが大きく減少したことによる小型精密機器の減収や、人材確保による販管費の増加が挙げられます。
4-1-1.サステナビリティへの主な取組み
三浦:サステナビリティへの主な取組みについてご説明します。基本方針はこのように、5つの大項目を掲げています。次のスライドから詳細をご説明します。
4-1-2.サステナビリティへの主な取組み
三浦:当社の包装設計力についてお話しします。2009年から毎年のように各賞をいただいています。また、世界包装機構主催の「ワールドスター」というパッケージングコンテストでは、2023年を含めてワールドスター賞を計4回受賞しています。現在は、やはり環境負荷の低減を目的とした包装設計改善の受賞が多くなっています。
4-1-3.サステナビリティへの主な取組み
三浦:ダイバーシティプロジェクトチームを立ち上げました。コンサルのアドバイザーの方にも入っていただき、女性従業員へのヒアリングを行いました。また、今度開催しますが、女性交流イベントも企画しています。このようなところで、女性活躍の場をしっかりと作っていこうと考えています。
また、職場環境アンケートを実施しています。外部倉庫では暑い環境、寒い環境がありますので、スライド左下の写真のような休憩室の設置など、環境整備を継続していきたいと考えています。
4-1-4.サステナビリティへの主な取組み
三浦:当社には女子卓球部があります。創設してもう44年経ちますが、大変成績も良く、社会人リーグでは常にトップクラスを誇っています。昨年は内閣総理大臣杯に輝き、日本一となりました。
こちらの卓球部が、卓球を通じた地域交流を図っています。昨年は葛飾区、先週は長野県の長野市立東北中学校で「スマイル卓球教室」を開催し、学生や地域との交流を図っています。こちらはスポーツ振興として今後も継続していきたいと考えています。
5-1.株価チャート
三浦:株主還元についてです。株価は現在、ご覧のとおり700円強で推移しています。配当利回りは9月13日時点で、上場会社3,064社中396位の3.9パーセントと高い水準にあるものの、これに対して株価は低迷していると考えています。
今後は事業活動の収益をしっかりと向上させ、サンリツのブランドのイメージをさらに上げることで、株価を上げていきたいと考えています。
5-2.配当について
三浦:配当についてです。当社は従来、連結配当性向30パーセント程度を基本とし検討しています。前期は過去最高となる1株当たり50円を配当しました。今期は、公表した当期純利益の30パーセント程度ということで、29円の配当を予想しています。
質疑応答:中国に対する地政学的リスクについて
坂本:「中国に対する地政学的リスクはどのように認識しておられますか?」というご質問です。21ページの決算概要を見ますと工作機械が落ち込んでいるようですが、このあたりの現状を教えていただければと思います。
三浦:中国の事業はまだ大変な不透明感があります。中国の政策環境の不透明感に加え、米中貿易摩擦があり、昨今は中国の生産プロセスが外へ出ていっていると認識しています。
中国に子会社が1社ありますが、当社の売上に対する比率は小さいですが、国際物流を手掛けていく中で、拠点としては必要であるという位置づけです。一方で不採算と認識すれば、早期に撤退できる状態です。
質疑応答:株の割安感について
坂本:御社の株の割安感についてのご質問です。この質問を送ってくださった時点ではPBRが0.39倍、賃貸用不動産の含み益を6割参入させると修正1株純資産が上がり、PBRが0.24倍になるためかなり割安だと考えていらっしゃるようです。このあたりの改善や資本の効率性向上についてどのようにお考えでしょうか?
三浦:東証から要請されているPBR1倍割れの改善に関してですが、自社株買いは東証からはあまり勧められておらず、当社は発行済み株式数が少ないため、自社株買いをこれ以上続けていくと流動性が低くなると考えています。
ですので、先ほどの配当のところでもお話ししましたが、収益性やブランドイメージをしっかりと上げることで、株価を上げていくことをしっかりと行っていきたいと考えています。
坂本:株主還元のご説明から、今期は減配予想になっていると思いますが、例えば今後継続して増配するといった打ち出し方や配当性向を引き上げる考えはあるのでしょうか?
三浦:配当性向30パーセントという基本方針は今後も継続する考えです。賞与も含めた従業員への還元が3割程度を考えており、残りの4割は投資に充てたいと考えています。成長性には掲げずとも、当社の物流施設への投資は今後も見据えていきたいと考えていますので、株主のみなさまにはご理解いただきたいと考えています。
質疑応答:米国・欧州・国内の将来予測について
坂本:米国に続いて欧州にも進出するとのことですが、5年後、10年後の米国・欧州・国内の状況はこのようになっているだろうという予測があれば、大まかでかまいませんので教えてください。
三浦:先ほど、3年後に海外比率11パーセントとお話ししました。5年後には、米国・欧州含めて15パーセントまで引き上げたいと考えています。将来的には、海外比率を20パーセントに引き上げることを目指しています。
欧州に関してはまだスタートしていないということもあるため、海外全体で今の比率を目指すということでご理解いただければと思います。
質疑応答:米国西海岸の倉庫について
増井:米国に関する質問が来ています。「西海岸の倉庫について、前回お話を聞いた時は新型コロナウイルスの影響で少し遅れているということでしたが、そちらは問題なく竣工できたのでしょうか?」というご質問です。
三浦:大変遅れており、建築会社からは当初6月末竣工と聞いていましたが、そこからさらに遅れて、ようやく10月13日に稼働の予定です。現在はまだ倉庫の中は通電していないのですが、貨物はどんどん入ってきている状況ですので、部分的に稼働しています。
増井:大型クレーンなどは入れられるというお話でしたよね。
三浦:はい、入れました。32トンクレーンです。
質疑応答:物流DXにおける最新情報について
坂本:「冒頭でも『荷待ち』について少しお話しいただきましたが、物流DXにおける最新情報がありましたら、話せる範囲でお聞かせください」というご質問です。
三浦:まず、現場はまだアナログな部分が多く、紙ベースで進む部分が大変多いため、デジタルに変えていきなさいと伝えています。データの蓄積がないとDXが進んでいかないという考えからです。まずは、その紙ベースからデータ化することでの情報の蓄積をかけていきます。
今度は次のステップに入っていくわけですが、そのデータを分析したりAIに渡したりすることで、効率性の高いものをフィードバックしていく考え方もあります。
省人化、省力化といったところでは、倉庫内において自動ロボットピッキング装置や自動搬送機の使用が考えられます。今はテスト段階ですが、自動フォークリフトを購入して検証しています。
質疑応答:梱包資材について
坂本:前回ご登壇いただいた時にもお話しいただいた、梱包資材についてです。前回は「木材が多くエコで、最近のサステナブルに適しています」とお話しいただいたのですが、御社独自の資材をお持ちなのかということと、リサイクルできるのかということを教えていただければと思います。
三浦:当社独自の資材はありません。ただし、購入する木材がこれほどまでに高騰した上、海上運賃の高騰による木材の値上がりもあったため、日本のスギ材に切り替えています。
坂本:例えば御社が納品した後、先方の倉庫や委託先に届けられる時には包装を取ると思うのですが、そちらは再利用できるのでしょうか?
三浦:はい、おっしゃるとおりです。先ほどお話ししたグッドパッケージング賞を受賞したものもそうですが、リターナブル容器を使用しています。何回でも使用でき、その他にもリユースできるようなかたちで廃材をゼロにしていくというものを手掛けています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:中計の14ページにて、1ユーロ144円となっています。2025年3月期までは欧州へ事業展開されないということでしょうか?
回答:為替レートに関しては新中期経営計画作成時の想定レートであり、具体的な時期を明示するものではありません。新中期経営計画期間中に事業展開を進める予定です。
<質問2>
質問:中国からの一部撤退とのことでしたが、米国・欧州のほかに巨大なインド市場での展開予定はないでしょうか?
回答:現段階では予定していません。
<質問3>
質問:採用を積極的に進めるとのことですが、順調でしょうか? 各社、苦戦していると聞きます。
回答:当社も苦戦しているのが現状です。アプローチ等を検討し、引き続き採用を進めてまいります。
<質問4>
質問:卓球部は選手、コーチの採用もしているのでしょうか?
回答:必要に応じて適宜実施しています。