主要トピックス
上田桂司氏(以下、上田):株式会社ASNOVA代表取締役の上田と申します。本日は、2023年3月期の決算についてご報告いたします。
まず、2023年3年3月期の主なトピックスについてご説明します。前期は足場需要が引き続き旺盛なこともあり、例年の倍の24億円の足場投資を行いました。また、機材センターを2拠点開設し、それらの投資の効果もあり売上高も大きく伸長しました。
新規事業である「ASNOVA STATION」や、海外子会社のASNOVA VIETNAMもスタートし、今期からこれらの事業を大きく成長させたいと考えています。
業績ハイライト
業績のハイライトです。売上高は前期比17.2パーセント増の31億4,100万円、営業利益は前期比12.8パーセント増の1億8,700万円となりました。
前期は足場の高稼働率が続いたこともあり、中古機材の販売を大きく抑制しました。その結果、当期利益は1億4,400万円で着地しました。業績については、後ほど詳しくご説明します。
会社概要
業績のご説明に入る前に、当社について簡単にご説明します。当社は2013年に設立し、愛知県名古屋市に本社を置いています。2019年に現社名のASNOVAに名称を変更し、昨年4月に名古屋証券取引所ネクスト市場へ上場しました。
主要事業は、足場レンタル事業です。現在、全国に5つの営業所と、パートナー拠点を含む27拠点の機材センターを展開しています。
ASNOVAの主要事業:足場レンタル
当社は、「くさび式足場」を足場施工業者などへレンタルしています。くさび式足場は、主に住宅や低中層の建物で使用されており、ハンマー1本で簡単に設置や解体が可能です。施工効率・運搬効率・保管効率の高さが特徴で、低中層マンション、住宅、商業施設、高さ45メートルまでのビルなど、大多数の現場で使用されています。
当社はくさび式足場に特化することにより、幅広いニーズに応えることができています。お客さまは、事業規模が比較的小さな足場施工業者が大半を占めています。また、足場施工業者以外にも、リフォーム会社や工務店、塗装会社、イベント会社など、多くの業種からレンタルの依頼があり、新規顧客は毎年150社から250社ほど増えています。
足場には、くさび式足場以外にも、高層ビルや高層マンションに適した「枠組足場」や「次世代足場」といったさまざまな種類があります。当社はそのような足場をレンタルする会社とは異なり、主な取引先も違うため、大手レンタル会社との棲み分けができています。
現在、約2,500社のお客さまと取引していますが、大手ゼネコンや大手建設会社に依存していない点が特徴です。
足場レンタルを“広げる”2つの事業
足場の需要は年々増加しています。その需要に応えるために足場の保有量を増やすと同時に、日本全国だけでなく、海外にも足場レンタル事業を広げたいと考えています。
「ASNOVA STATION」、ASNOVA VIETNAMの2つの事業を行っていますので、それぞれ詳しくご説明します。
ASNOVA STATION
まず、「ASNOVA STATION」についてです。当社は現在、自社の機材センターを19拠点展開していますが、「近くで借りたい」というお客さまの声にお応えするためには、全国でのさらなる拠点展開が必要です。そのため、パートナー企業と連携したレンタル事業を展開していきたいと考えています。
ASNOVA VIETNAM
海外での足場レンタル事業についてです。昨年10月に現地法人を設立し、今期より本格的にレンタル事業を開始します。経済成長が著しいベトナムで、足場レンタル事業を成長させたいと考えています。
3つの優位性
あらためて、ASNOVAの優位性についてご説明します。お客さまが足場レンタル会社を選定する際に最も重要視される点は、「いつでも」「近くで」「安心して」借りたいということです。お客さまへのアンケートの結果、「この3つを重要視してほしい」という声を毎年いただいています。
そのため、豊富な在庫を保有し、全国各地に拠点をかまえ、「いつでも」「近くで」借りることができる体制を実現しています。また、品質と対応力を高めることにより、2,500社を超えるお客さまに「安心して」ご利用いただいています。この3つが、同業他社と比較した際の優位性です。
収益構造のイメージ
投資フェーズと回収フェーズにおける収益構造です。投資フェーズでは、売上高の伸長分のみが営業利益の増加となりますが、回収フェーズに移り減価償却費が減少すると、大幅に営業利益率が高まります。
足場の減価償却期間は5年ですが、実際は20年、30年と長く使用できますので、減価償却が終われば、利益が大きく向上していく収益構造となっています。現在、すでに償却済みの足場は100億円ほどあります。
業績概要
ここからは、2023年3月期の業績についてご説明します。前期は24億円の足場投資を実施したこともあり、売上高は前期比17.2パーセント増の31億4,100万円で着地しました。大幅な投資により売上原価が大きく増加しましたが、営業利益は前期比12.8パーセント増の1億8,700万円で着地しています。
前期は中古器材の販売を大きく抑制したため、経常利益・当期利益ともに減益とはなりましたが、レンタル機材確保を優先し、レンタル売上の向上を推進しました。また、足場機材の高騰が続いているため、以前よりもレンタルへの移行が増えています。
今後も足場機材保有量を高め、お客さまがいつでも借りることができる環境を整えていきます。
前年同期および目標値との比較
昨年策定した中期経営計画の目標値との比較です。売上高は、目標値に対して4.7パーセント増の31億4,100万円で着地しました。
営業利益は前年同期比12.8パーセント増の1億8,700万円と、目標数値である1億5,300万円を上回りました。積極的な投資によりEBITDAが前年同期比3.5億円ほど上回りながらも、機材の高稼働率が続いた結果です。
営業損益増減要因分析
前期は24億円の足場投資、機材高騰、機材センターの出店もあり、売上原価が大きく増加しました。しかし、お客さまが足場購入を控える傾向にあり、レンタルへの移行も進んだことで、機材の高稼働率が続いた年となりました。
貸借対照表概要
B/Sの概要です。足場投資を積極的に行ったことにより賃貸資産が増え、固定資産が大きく増えましたが、金融機関からの借り入れにより固定負債も増加しています。
顧客数と現場数の推移
ここからは、2023年3月期の重要指標についてご説明します。前期は227社の新規顧客を獲得できました。今後も毎年200社から250社ほどの新規顧客を獲得していきます。また、現場数も徐々に増加しており、3月末時点で3,962の現場に足場を貸出しています。
足場機材への投資額の推移
前期の足場投資額です。前期は過去最高額の24億円を投資し、3月末時点での足場保有額は約126億円となりました。お客さまがいつでも借りることができるように、今後も投資を継続していきます。
足場保有額と稼働率の推移
機材の保有量にこだわりながらも、適正な稼働率が維持できるように足場投資を毎年行っています。前期は24億円投資しつつ、年間平均で78パーセントの稼働を維持しています。
2021年は新型コロナウイルスの影響により稼働率が落ちましたが、それでも年間平均稼働率を59パーセントで維持しました。今後も大きな要因がない限り、高い稼働率を維持しながら足場投資を継続したいと考えています。
拠点数の推移
前期に直営機材センターを2拠点開設し、パートナー拠点として新たに8拠点を展開しました。合計で27拠点の機材センターで足場を借りることができる体制を作っています。
お客様からの評価
顧客数は前期で累計2,510社となりました。引き続きお客さまの声を大切にし、選ばれる企業となれるようにサービスを提供していきたいと考えています。
2024年3月期の業績予想
2024年3月期の業績見通しについてご説明します。まず、今期の業績予想です。売上高は前期比22.8パーセント増、過去最高の38億5,700万円を見込んでいます。
今期はベトナムへの投資を積極的に行いますが、それらを加味しても、営業利益は過去最高益の3億3,000万円を予想しています。国内事業のみの営業利益率は、前年同期比約2倍となる11.8パーセントを予想しています。
2024年3月期の営業利益予想
営業利益について詳しくご説明します。国内の事業のみに限ると、営業利益は4億5,200万円と、前年同期比で約2.4倍に大幅伸長する見込みです。
中期経営計画の基本方針
2024年3月期から2026年3月期までの第11期中期経営計画についてご説明します。中期経営計画の基本方針として「足場レンタルの普及で循環型社会の実現に貢献し、明日の場を創りだす」を掲げ、この方針を判断基準としながら事業に取り組みたいと考えています。
ASNOVAが目指す「循環型社会」とは
ASNOVAが目指す循環型社会についてご説明します。足場レンタルビジネスは、「足場をシェアする」という循環型ビジネスであり、今後さらに注目されるビジネスになると考えています。
世の中の多くのビジネスモデルは、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提として資材を調達し、モノが生産・消費・廃棄される「直線型ビジネス」です。これにより、気候変動や資源不足が世界レベルで深刻化しています。
それらの社会課題に対処するために、モノをみんなでシェアする「循環型ビジネス」への転換がますます必要とされています。
このようなことから、当社が足場レンタルを普及させることにより、これらの社会課題を解決し、循環型社会の実現に貢献したいと考えています。
中期経営計画の位置づけ
当社は「『カセツ』の力で、社会に明日の場を創りだす。」というパーパスをすべての判断軸とし、循環型社会の実現に貢献するために中期経営計画を策定しています。計画を毎年アップデートさせる「ローリング方式」を採用することで、変化の激しい現代においても柔軟に対応していきながら、目的を実現していきたいと考えています。
3カ年の業績目標
3カ年の売上計画についてです。前期の業績が非常に好調だったこともあり、予想数値を上方修正しています。2026年3月期には少なくとも売上高47億円を達成したいと考えています。営業利益については、2026年3月期には5億5,000万円の達成を計画しています。
当社の場合、足場の償却費が費用の大きな割合を占めているため、営業利益に加えてEBITDAも重要指標として認識しており、2026年3月期には前期と比べ約10億円の増加を見込んでいます。
成長戦略の全体像
ここから、成長のための戦略についてご説明します。大きく5つの戦略がありますので、一つひとつ詳しくご説明します。
戦略1:足場保有量のさらなる増加に向けた投資の継続
1つ目の戦略として、足場保有量のさらなる増加により、「いつでも借りることができる」を実現します。毎年20億円ほどの投資を継続し、お客さまの満足度を向上させることで、新規のお客さまも積極的に獲得していきます。
戦略2:ASNOVA STATIONの拠点網拡大
2つ目に、機材センターの拠点網の拡大です。直営機材センターの開設に加え、パートナー拠点を通じたレンタル事業「ASNOVA STATION」を積極的に拡大していきます。今期の目標は直営機材センターとパートナー拠点を合わせて36拠点、2026年3月期には50拠点の展開を目指していきます。
戦略3:ベトナムにおける足場レンタルの認知拡大
3つ目の戦略は、昨年10月に現地法人を設立したASNOVA VIETNAMでの本格的なレンタル事業の開始です。
まずは3年間で足場保有を3,000トンまで増やし、くさび式足場の普及とASNOVAの認知拡大により、将来的にはベトナムにおける足場レンタルシェアNo.1を目指していきたいと考えています。
戦略4:新規事業「仮設機材の総合サイト」の立ち上げ
4つ目の戦略は、今月5月にリリースした「ASNOVA市場」です。「ASNOVA市場」は仮設機材の総合サイトで、ネット上で誰でも足場の購入ができます。
また、足場を買い取ってその足場を販売することで、必要な場所や人に足場を提供し、足場を循環させることも目的としています。中期経営計画の方針でもある循環型社会の実現に貢献したいと考え、今回リリースしました。
戦略5:成長を支える3つの取り組みの推進
5つ目の戦略として、既存事業や新規事業を支える人事制度の3つの取り組みについてご説明します。これらは成長戦略と中期経営計画を実現し、パーパスを体現するためにもっとも重要な取り組みであると考えています。
個々人の成長の総和が会社の成長につながると考え、今後も人への投資を積極的に行っていきたいと思っています。当社のオウンドメディアで発信していますので、これらの取り組みについてもぜひご覧いただきたいと思います。
株主還元の考え方
株主還元策についてご説明します。当社は投資フェーズではありますが、株主還元も重要な施策であると認識しています。企業価値向上のため、あらゆる施策を実施していますが、株式分割・増配・株主優待の拡充についてご説明します。
株式分割
2023年5月31日を基準日として、1株を2株に株式分割します。投資家層の拡大と株式の流動性を高めることが目的です。また、1日も早く次の市場へステップアップするため、企業価値向上のスピードを高めていきたいと考えています。
増配
2024年3月期の中間配当より、1株あたり3.5円から4円へ増配します。これにより、年間配当は7.5円から8円に増配となります。今後も少しづつ増配できるように業績を向上させていきます。
株主優待の拡充
株主優待制度について、株式分割後も進呈ポイントは変更しないため、実質的に株主優待の拡充となります。当社株式への投資魅力を一層高め、投資家層の拡大や次の市場へのステップアップ、中長期的に保有いただける株主の増加を目指します。
毎年3月末日と9月末日の株主名簿に記載される500株以上を保有する株主にポイントを進呈し、ポイントに応じて約5,000種類の商品と交換できる株主優待となっています。
「足場といえば、ASNOVA」を目指して。
最後に、当社は多くの方が足場と聞けばASNOVAが頭に浮かぶような企業を目指しています。足場レンタルという事業は、社会インフラを支えるためにも非常に重要なビジネスでありながら、まだ世の中で認知が進んでいません。
当社が足場レンタルを普及させることで、多くの社会課題を解決し、多くの方に認知していただき、業界の活性化に貢献したいと考えています。
以上が2023年3月期決算についてのご報告となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:ASNOVA VIETNAMの見通しについて
司会者:「中期経営計画の業績目標数値と足場保有額にASNOVA VIETNAMの計画がどのように入っているかを教えてください」というご質問です。
上田:ASNOVA VIETNAMは今期から本格的なレンタル事業を開始します。そのため、今期の売上高はそれほど見込んでいません。
まだ大きく投資を行うフェーズであり、今期は利益の約27パーセントをASNOVA VIETNAMへ投資する予定です。向こう3年くらいはまだ利益を生む状況ではないとは思いますが、しっかり地固めをしていきたいと考えています。
質疑応答:中期経営計画の上方修正の背景について
司会者:「今後の売上高の成長スピードや年間の投資額が上場時の想定より増額されましたが、上場後のどのような事象が当時の想定を変える引き金となったのでしょうか? コロナ後の回復という短期的な活況は感じますが、建設・リフォーム市場の中期的な見通しがここ1年でそれほど変わったようには見えません」というご質問です。
上田:認知度が拡大したこともありますが、前期は例年の2倍の足場投資を行いました。投資の大半が金融機関からの調達となるため、当初はここまでの投資ができるとは正直思っていませんでしたが、上場したことで信用度が上がり、調達額が増えて足場投資を例年の倍できたことが、売上高に一番寄与すると考えています。
質疑応答:中期経営計画のEBITDAの上方修正額が大きい理由について
司会者:「中期経営計画について、売上高の上方修正額よりEBITDAの上方修正額が大きい理由を教えてください。例えば2025年3月期は売上高が40億円から42億円に2億円増額されていますが、EBITDAは15億2,400万円から20億300万円に4億7,900万円増額されています」というご質問です。
上田:今期の足場投資は18億円、来期にかけては26億円、その翌年の2026年は22億円を行う計画であり、それに伴って売上高も増えていきます。
EBITDAの伸びが売上高の伸びに対して大きいのは、過去の足場の減価償却費が積み重なっていくため、純粋にその年に投資した足場投資額がそのままEBITDAに反映されるわけではなく、過去の売上高が積み重なっていくかたちでEBITDAが増えていくためです。
質疑応答:稼働率について
司会者:「2023年3月期に足場の稼働率が高かったのは、鋼材価格の上昇で顧客が購入よりもレンタルのほうがよいと判断したこともありますか? 2024年3月期も高稼働が見込めますか?」というご質問です。
上田:おっしゃるとおり、お客さまも購入からレンタルへの移行がより顕著になったと思います。また、足場投資額を増やしたことでよりお客さまのニーズに応えることができたことも、高稼働率が続いた大きな理由となっています。
昨年4月の時点で70パーセントを超えていたため、期初の閑散期から高稼働率が続いたことも、年間平均の高稼働につながったと考えています。今期4月も75パーセント前後の高稼働率が続いていますので、同じように足場機材の高稼働率が続くと予想しています。
質疑応答:回収フェーズに入る時期について
司会者:「回収フェーズはいつ頃のイメージでしょうか?」というご質問です。
上田:投資フェーズ、回収フェーズのシミュレーションはあくまでも国内の事業に限ってのイメージです。国内のみで言いますと、回収フェーズまであと5年程度といったところです。しかし、今期からベトナムでの本格的なレンタル事業を開始したため、日本の保有量を超える足場投資をどんどん行っていきたいと考えています。
国内では5年ほど投資フェーズが続き、その後回収フェーズに移行する見込みですが、回収フェーズに移ったとしてもまったく投資をしないわけではありません。今までのような20億円前後の投資が続くのは、国内ではあと5年程度という見込みです。
質疑応答:新規開設の機材センターの稼働率について
司会者:「新規開設の機材センターの稼働率を教えてください。機材センターによってばらつきがあるのでしょうか?」というご質問です。
上田:前期に開設した栃木上三川センターと佐賀鳥栖センターは、新センターとして開設したこともあり、もともと保有量が少なく常に材料がない状態です。当初から非常に高稼働率が続いています。地域差もそれほどなく、関東、中部、関西、九州でそれぞれ約70パーセントを超えており、稼働についてはどの地域も非常に好調であると思っています。
質疑応答:ベトナムでの投資内容について
司会者:「ベトナムに多く投資されるとのことですが、どのようなものへの投資がメインとなるのでしょうか?」というご質問です。
上田:足場投資はもちろんですが、ベトナムは日本と違い管理ノウハウもまだないため、そこで働く人への投資も行っていきます。また、機材センターは賃貸で運営していますので、近い将来に土地を購入し、機材センターを大きくするための投資も行っていきたいと考えています。
質疑応答:ベトナムでの今後の収益率について
司会者:「ベトナム市場の今後の収益率はどのような水準になるのでしょうか? 現地でのレンタル料や日本からの輸送費、今後の現地調達、償却期間、時間軸を教えてください」というご質問です。
上田:機材は現地で購入するわけではなく、日本で償却が終わった足場の材料を輸送する予定です。これから本格的に投資フェーズが続くとお伝えしていますが、目標としては3年から5年の間で少なくとも損益分岐点まで持っていきたいと考えています。
しかし、現時点ではまだベトナムで利益を出そうという気持ちはなく、まずは投資を優先して認知度を高め、くさび式足場の普及に注力していきたいと思います。
質疑応答:「ASNOVA STATION」のパートナーとなるメリットについて
司会者:「『ASNOVA STATION』のパートナーとなる最大のメリットは何でしょうか?」というご質問です。
上田:一番のメリットは、足場に投資する必要がないことです。「ASNOVA STATION」は、当社がパートナーに対し、遊休不動産といえる足場と管理ノウハウを提供するものです。パートナー企業にとっては、大きな投資をせずに足場レンタル事業を開始できることが一番の魅力であると考えています。
質疑応答:「ASNOVA市場」の引き合いについて
司会者:「『ASNOVA市場』をリリースしてからの顧客の引き合いなどを教えてください」というご質問です。
上田:仮設機材の総合サイト「ASNOVA市場」はまだリリースしたばかりで、ユーザーが「足場販売」と検索した時にトップページに表示されるまでにはどうしても時間がかかります。そのため、引き合いに関してはまだあまりなく、これからになります。将来的には仮設機材の総合サイトとして一番のものに育てていきたいと考えています。
質疑応答:中期経営計画における減価償却費以外のコストについて
質問者:先ほどの質疑応答で「中期経営計画のEBITDAの増加幅が売上高の増加幅よりも大きい」というお話がありました。EBITDAは営業利益に減価償却費を足して計算しますが、逆の見方をすると、売上高から減価償却以外の運用コストを引いたものがEBITDAです。
すなわち、売上高の鈍化よりもEBITDAの増加幅が大きいのは、以前の計画に比べて減価償却費以外のコストを低く見積もったためだと思います。以前よりも格段に圧縮することができたコストは何でしょうか?
上田:減価償却費以外のコストとしては製造経費や販管費がありますが、売上高が伸びていってもこれらは増えていきません。例えば、機材センターを毎年2拠点ずつ増やしていった場合、そこにかかる費用の多くは労務費です。しかし、センター1拠点あたりの人員はせいぜい3人から5人程度ですので、売上高の伸びに対して労務費はそれほど増えません。
また、当社は機材センターを購入しているため、経費の多くを占める労務費や賃貸料は増えていかないという収益構造になっています。
質疑応答:中期経営計画におけるASNOVA VIETNAMの売上について
質問者:ASNOVA VIETNAMについて、最初の数年は利益が見込めないと思います。一方で、売上に関しては毎年一定金額が見込まれていると思いますが、売上計画のうちいくらになりますか?
上田:正直にいいますと、ほとんど見込んでいません。向こう3年間で約10億円ほどの足場の保有を見込んでいますが、この規模でのレンタル売上は数千万円程度とそれほど大きくないため、ベトナムでの売上は含めずに計画を出しています。
質疑応答:資金調達と投資計画について
質問者:年間の投資額はEBITDAの金額と同じくらいで設定されていると思います。法人税の支払いや運転資金の増加が見込まれる中で、若干資金が不足するかと思いますが、どのように資金を調達していく予定でしょうか?
上田:すべて金融機関からの調達を考えています。
質問者:先ほど「信用力が上がった」というお話がありましたが、金融機関からの資金調達がより多くできる状況であれば、年間の投資額や売上成長率を計画よりも上げていくことは可能でしょうか?
上田:足場を受け入れる機材センターの問題もあり、2拠点程度の新規開設で20億円前後の投資が精一杯です。仮に資金調達を多くできたとしても、今後の投資はその程度かと考えています。
質疑応答:「ASNOVA STATION」の拠点数について
質問者:以前から「『ASNOVA STATION』を50拠点くらいまで増やしたい」とお話ししていましたが、今回の計画で50拠点という数字が出てきました。今後の戦略としては、拠点数は増やさずに各拠点での販売額を増やし、売上高を年間3億円に成長させるということでしょうか?
上田:そのとおりです。ただし、どこまでいってもレンタルにはこだわっていきたいと思っています。拠点数についてはどこかで壁にぶつかるため、投資が終わればベトナムの事業に投資を集中していくフェーズになるのではないかと考えています。
質問者:拠点の最大数はどのように計算しているのでしょうか? 「市場全体の保有額に対して何割がレンタルになる」「1拠点あたりのレンタルは商圏から考えるとこれくらいになる」「進出する地域としない地域から考える」などのロジックがあれば教えてください。
上田:直営機材センターは少なくとも26拠点ほど出したいと思っています。こちらに関しては今までの経験により、どれくらいの人口やマンション戸数で足場レンタルの需要があるかを想定しています。
パートナー拠点の数は、足場保有額が1億円から1億5,000万円ほどで年間稼働率60パーセントを達成できるだろうという地域が、現状で20数拠点あるということです。
質問者:以前の説明会の書き起こしで「3年後には30拠点、将来的には50拠点くらいは増やしていきたいと思っています。自拠点でも20数ヶ所、全国で70数ヶ所、80ヶ所くらいの足場がレンタルできる環境を整えたい」と記載があります。これはどのような考え方でしょうか?
上田:直営機材センターとしては少なくとも25拠点ないしは26拠点を考えており、それ以上の数字はすべてパートナー拠点です。
質問者:パートナー拠点を80拠点くらいというイメージですか?
上田:そのとおりです。そこまで達成できればよいと思います。
質問者:80拠点が最大数になるのでしょうか?
上田:80拠点に関しては、私の思いも込めています。ただし、向こう3年間での合計50拠点については少なくとも達成したいと考えています。残りの30拠点に関しては、根拠よりも私の思いのほうが強いです。
質問者:50拠点プラス30拠点で80拠点なのですね。
上田:そのとおりです。
質疑応答:東京証券取引所への市場変更について
司会者:「東京証券取引所への市場変更を検討しているとのことですが、現状どのようなことが課題となるのでしょうか?」というご質問です。
上田:今の段階で基準を満たしてないのは、株式流動比率のみと認識しています。今後はその比率を高めていくことが課題になると考えています。
質疑応答:業界でのポジショニングと優位性について
司会者:「業界でのポジショニングと同業他社に対する優位性について教えてください」というご質問です。
上田:一番は、同業他社と比べて足場を圧倒的に多く保有していることだと考えています。もう1つは拠点網です。やはり近くで借りたいというニーズが非常に多いため、そのような面で同業他社と比べて優位だと考えています。