Agenda
陣隆浩氏(以下、陣):マーキュリーリアルテックイノベーターの陣でございます。本日は当社の2023年2月期決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。さっそくご説明を始めます。
本日のアジェンダはスライドに記載のとおりです。
VISION
事業概要についてご説明します。当社は「Big Data×Technologyで不動産の未来は私たちが動かす」というビジョンのもと、不動産マーケティングプラットフォーマーとして不動産業界を支援しています。
事業概要
当社は不動産マーケティングソリューションの単一セグメントです。プラットフォーム事業・デジタルマーケティング事業と、その他サービスを運営しています。
売上構成比65パーセントのプラットフォーム事業では、主力商品の「サマリシリーズ」や仲介事業者向け営業支援サービスの「クラウドシリーズ」といったSaaS型の不動産マーケティングシステムを提供し、大手企業を中心とした顧客基盤と高い継続率を保持しています。
売上構成比25パーセントのデジタルマーケティング事業では、マンション販売における集客をインターネット広告で支援しています。売上構成比10パーセントのその他サービスでは、ビッグデータやテクノロジーを活用した新規サービスの創出を行っています。
当社の不動産ビッグデータ
当社が所有するビッグデータの特徴をご説明します。当社のデータの強みは質と量です。当社では、データの元となるパンフレットや価格表を顧客との直接的な関係構築により取得しています。
これらのデータ素材は、サービス開始当初より実際にモデルルームへ足を運び、顧客と対面の上、収集しています。また、このデータ素材はマンションの新築販売時にのみ収集可能であるため、これを30年続けてきた当社は高い参入障壁を築いています。
データに関する当社の特徴は3つあります。1つ目は網羅性です。当社は公的な届出情報からデータを取得しているため、計画の変更を除けば、ほぼ100パーセントのデータをカバーできています。
2つ目は即時性です。情報取得からお客さまに反映されるまでのスピードにこだわっており、情報取得後、約2営業日での運用を継続しています。
3つ目は正確性です。データ開発部という専門の部署でデータ入力・校正などの制作ラインを自社内で組織化し、クロスチェックの徹底など正確性を担保した運用オペレーション体制を構築しています。
ハイライト
通期実績のハイライトです。売上高は前期比103パーセントの14億1,000万円で、過去最高を更新しました。しかし、業績の進捗を踏まえて、2023年1月16日に業績予想の下方修正を行っています。要因としては、中古マンション領域での売上が伸び悩んだことと、開発費などのコストが膨らんだことが挙げられます。
プラットフォーム事業は新築マンション領域が好調で、ARRが伸びたことにより売上増となりました。一方、中古マンション領域は新サービス開発の遅延などの影響で低調な結果となりました。
デジタルマーケティング事業は前期と同水準で推移しています。その他サービスではリフォーム案件の受注取り止めがあったため、売上・営業利益ともに前期比で減少しました。
業績の概況
業績の概況です。売上高は前期比103パーセントで微増となりました。営業利益は前期比で大きく減少していますが、こちらは「サマリシリーズ」のSaaS化の開発に伴う減価償却費と研究開発費の増加が大きく影響しています。
業績動向
業績動向です。売上高は2021年2月期に一度下がったものの、その後は順調に増加し、今期は過去最高を更新する14億1,000万円となりました。経常利益は2022年2月期に大きく増加したものの、今期は前期比で27パーセントの減少となりました。
営業利益の増減分析
営業利益の増減分析です。基幹事業の「Realnet」とデジタルマーケティング事業が好調で、売上高は前期より高くなっています。
ただし、新サービスの「マクロサマリ」や「RealnetAPI」の開発により、研究開発費が増加しました。また、2022年2月期に主力商品の「マンションサマリ」のSaaS化の開発に伴いソフトウェア償却が増加したことや、開発エンジニアを中心とした採用費用が増加したことにより、営業利益は前期より減少しました。
なお、「マンションサマリ」のソフトウェア償却については3年間での償却を見込んでいます。今期からSaaS開発は縮小する計画のため、2年後からは費用が減少する見込みです。
BSの状況
バランスシートです。借入金の返済と自己株式の取得により総資産が減少しました。それに伴い、自己資本比率は73.2パーセントへと向上しました。
事業ごとの売上高
事業ごとの売上高です。プラットフォーム事業、デジタルマーケティング事業ともに前期比で増収となりました。その他サービスについては、リフォーム案件の受注停止などにより前期比94パーセントとなりました。
プラットフォーム事業の売上構成
プラットフォーム事業の売上構成です。新築マンション領域はSaaSが好調なことから、ARRが伸び、前期比10パーセント増の成長となりました。
一方、中古マンション領域は前期比で35.6パーセントの減収となりました。ただし、2022年2月期は第1四半期に大型案件の受注があったため、それによる一時的な売上増を除くとほぼ横ばいとなっています。
プラットフォーム事業(新築マンション領域)の業績
新築マンション領域の業績です。平均顧客単価はSaaSのライセンス追加が好調で、前期比14.2パーセント増となりました。顧客数はすでに高いシェアを占めていることから、安定傾向にあります。
新築マンション領域のARRと解約率
ARRは前期比12.7パーセント増と、安定成長を継続しています。解約率を示すレベニューチャーンレートも、前期に引き続き低水準を維持しています。
プラットフォーム事業(中古マンション領域)の業績
中古マンション領域の業績です。顧客数は計画どおり増加しましたが、新規サービスの開発遅延が主な要因となって、平均顧客単価は前期比で減少する結果となりました。
デジタルマーケティング事業の売上高
デジタルマーケティング事業は前期比でほぼ同水準の結果となりました。
2023年2月期ビジネスアップデート
今期のビジネスアップデートは3つあります。1つ目は「Realnet」などの各サービスに関連するサーバーのAWS移行が完了したことです。これにより、当社の運営するサービスはクラウドのみで稼働することになり、クラウドネイティブ化を実現しました。今後のSaaS開発の効率化や品質向上を見込んでいます。
2つ目に、ビッグデータなどの高速処理を実現するために、AWSのデータウェアハウスサービス「Amazon Redshift(アマゾン レッドシフト)」の導入を進めています。今後リリースする新サービスでは、こちらを利用することで、データ集計における高速処理が可能となり、エクスペリエンスの向上を実現します。
先日リリースした新サービスの「マクロサマリ」では、「Amazon Redshift」を導入したことで高度なデータ分析が可能になりました。広域かつ長期間の不動産ビッグデータを短時間で検索・集計することを実現しています。
3つ目に、プラットフォーム事業のサービス強化に向けて「RealnetAPI」を活用した業務提携プロジェクトの開発を推進しています。このAPIを利用することで、容易でスピーディなデータ提供が可能となりました。今後はデータ利用量・ダウンロード料金を売上として計上できる見込みです。
活用事例としては、業務提携しているタス社とのデータの受け渡しにこのAPIを使用しています。今後、増加する提携先とのデータ連携で活用していく予定です。
ビジネスアップデート 新サービス紹介
新サービスをご紹介します。「マクロサマリ」は「サマリシリーズ」の新サービスです。データの大量集計・解析に優れ、広域かつ長期にわたる不動産マーケットのトレンドを瞬時に把握できるサービスとなっています。こちらは今後、新築マンション業界と仲介業界に向けて展開していきます。
さらに、賃貸履歴・中古履歴・物件写真といった従量課金でご利用いただけるコンテンツを追加しました。これによって新築マンション領域のアップセルを進めていきます。
2024年2月期 業績予想
2024年2月期の業績見通しをご説明します。売上高は前期と同水準の計画で、営業利益は前期比で62.6パーセント減少する見込みです。
2024年2月期業績予想 営業利益増減分析
営業利益の増減分析です。今後リリースを控える新サービスの開発力を強化するため、インハウスのエンジニアを積極的に採用していきます。また、これまで外部委託していた部分を内製化し、開発体制を強化していきます。それにより、人件費および採用費用が増加する予定です。
また、前期に引き続き「サマリシリーズ」のSaaS化の開発に伴う減価償却費の増加が利益を大きく圧迫しています。ただし、「マンションサマリ」については3年間での償却を見込んでおり、今期からSaaS開発は縮小する計画のため、2年後からは費用が減少する見込みです。
売上高の推移
売上高の推移です。引き続きプラットフォーム事業の拡大に注力していきます。好調な新築マンション領域を中心に事業を伸ばしていく計画です。
事業戦略 安定的な収益基盤の強化
事業戦略です。繰り返しになりますが、引き続きプラットフォーム事業の拡大に注力していきます。
新築マンション領域は売上と利益の最大化を図るため、まず営業組織を変更します。これまでは販売する商品ごとに営業担当を置いていたため、1つのクライアントに複数の営業担当がアプローチしていました。
しかし、今後はアカウント営業に方針転換し、クライアントごとに1人の営業担当が深く関わり、すべての商品を提案する手法に変更します。これにより営業機会損失を減らし、これまで顕在化していなかった課題やニーズの掘り出しを進めていきます。
また、既存サービスのライセンス追加も継続して提案していきます。それにあわせて、新サービス「マクロサマリ」の販売推進に注力することでARRの向上に努め、売上と利益アップに貢献します。
中古マンション領域は引き続き顧客数の増加を進めていきます。仲介市場で培ったビジネスモデルを、新たに金融市場に展開していくことで売上を伸ばそうと考えています。同時に、不動産仲介業界からニーズの高い営業支援サービスを新たに追加することで、これまで以上に顧客の幅広いニーズに応えられるよう進めていきます。
事業戦略 優秀な人材の確保によるシステム開発力の強化
前期に引き続き、システム開発力の強化を継続して行っていきます。採用を推進し、開発者に魅力がある技術的環境や成長できる環境、働きやすい環境などのより良い開発者体験の提供・改善を目指し、環境整備に積極的な投資を行います。
また、すべての社員に対して福利厚生やインセンティブの制度を充実させることで、優秀な人材の確保を進めていきます。
成⻑戦略概観
今後の成長戦略についてご説明します。まずは成長戦略の概観です。
ビッグデータとテクノロジーを活用したプラットフォーマーとして、不動産マーケティング領域で強固なポジションを確立することを目指し、プラットフォーム事業の「Realnet」を拡張させていきます。
新築マンション領域では、売上・利益の最大化を進めます。ARRを伸ばし、売上・利益を最大化するため、営業部門の組織変更を実施し、アカウント営業にシフトしていきます。
中古マンション領域では、仲介領域で展開してきたビジネスモデルを金融市場に向けて展開することで、新しい市場を開拓します。
新築マンション領域の成⻑戦略
アカウント営業について詳しくご説明します。スライド左側の旧体制では、1つのクライアントに対して商品ごとの営業担当がアプローチする手法でした。
スライド右側の新体制では、商品ごとに営業担当を置くのではなく、すべての営業担当がすべての商材を取り扱い、一元化してクライアントにアプローチしていきます。これにより効率化を進めながら、これまで顕在化してこなかった課題やニーズを抽出し、多様な提案を実施して顧客単価の向上を進めていきます。
新築マンション領域の成⻑イメージ
新築マンション領域の成長イメージです。すでに高いシェアを占めているため、今後顧客数は微増すると予想しています。顧客ごとの利用アカウント数の拡大と顧客単価の上昇を進めていきます。
中古マンション領域の成⻑戦略
中古マンション領域の成長戦略です。これまでは顧客数と顧客単価の増加を指標としてきましたが、大手企業の契約が進んだ現時点では、顧客数の伸びと顧客単価の伸びが比例しないと考えています。
まずはシェア拡大を第一優先とし、売上高を伸ばしていきます。あわせて、中古マンション領域のビジネスモデルを新たに獲得できる可能性のある金融市場に展開することで、市場の拡大を進めていきます。
トヨタ自動車グループのタス社と業務提携を行い、タス社の提供する「TAS-MAP」に当社所有のデータを連携することで、金融市場向けの不動産評価業務をサポートします。これを足がかりとし、金融市場へ進出していく計画です。
さらに、引き続きニーズの高い営業支援サービスを追加し、これまで利用いただいていなかった仲介業者に対してアプローチしていきます。
中古マンション領域の成⻑イメージ
中古マンション領域の成長イメージです。顧客数を積み上げつつ、売上高を伸ばしていきます。
プラットフォーム事業 売上の成⻑イメージ
プラットフォーム事業を領域別で見た時の売上成長イメージです。新築マンション領域は、安定収益基盤のサブスクをベースに、アップセルによる顧客単価の上昇を図り、中古マンション領域は顧客数の増加に注力していきます。
会社概要
これ以降のスライドは参考資料です。会社概要の変更点としては、Zホールディングスが株主ではなくなりました。これによる業績への影響はありません。
サービス一覧
サービス一覧です。参考にご覧ください。
その他の業績
その他の業績です。システム開発が前期比152パーセントと大きく伸長しました。リフォーム案件は期中に受注を停止したため、当初計画より減少しました。
免責事項
免責事項です。ご了承いただきますよう、お願いいたします。
質疑応答:データベースの活用とユーザーの内訳について
司会者:「御社のデータベースはどのようなかたちで売上が立つのでしょうか? 不動産管理会社と不動産仲介会社の割合を教えてください」というご質問です。
陣:新築業界向けのSaaS型のマーケティングシステムは、システムを通じて不動産情報をデータベースより配信しており、物件の概要や販売価格、売れ行きなどを閲覧可能で、グラフ出力や集計機能などが活用できるサービスです。料金は、同時アクセス数に応じて月額固定料金をいただいています。
仲介業界向けのクラウドサービスは、主に新築販売時に取得したマンションのパンフレット情報を画像化したデータを保有しています。ダウンロードする度に課金するモデルです。こちらは中古マンションの販売時に活用されるため、ユーザー層はほぼ不動産仲介業者が占めており、賃貸事業を主とする不動産管理会社はほとんどいません。
質疑応答:サービスの魅力について
司会者:「サービスがどのように顧客に刺さっているのか教えてください」というご質問です。
陣:主力である「マンションサマリ」は、主に新築マンション事業にかかわる市場調査、競合分析、販売価格分析などで活用されています。マーケティングシステム導入により、これらの業務負担やコストの軽減につながるなどと好評です。
仲介向けのクラウドサービスは、中古マンションが売りに出る際の物件査定や、購入検討者への営業資料として活用されています。特に、新築時のパンフレットは物件の特徴や詳細な間取り図などが入手できるため、大変評価いただいています。
質疑応答:競合他社と比較した強みについて
司会者:「御社のように不動産データベースを提供する競合他社はありますか? また、御社の強みについて教えてください」というご質問です。
陣:当社と類似する不動産情報サービスを行っている競合会社は、当社以外に3社と認識しています。
当社サービスの導入企業からは、当社のデータの網羅性・更新頻度・正確性などで評価いただいています。そのほか、システムの使いやすさや多彩な集計機能などが、当社を選んでいただいている要因だと捉えています。
質疑応答:目標の水準について
司会者:「目標としている指標・水準などはありますか?」というご質問です。
陣:目標の指標は営業利益で、営業利益率20パーセントを目指しています。
質疑応答:利益成長に向けた具体的な取り組みについて
司会者:「売上と利益の成長に向けての具体的な取り組みを教えてください」というご質問です。
陣:売上は先ほどご説明したとおりです。利益については、今後の成長に向けた開発の効率化が課題と考えています。
前期・当期と利益を圧迫しているのはソフトウェア償却費用ですが、「マンションサマリ」のSaaS化など、大きな要件のリリースは一段落するため、今後は減少が見込まれます。それに伴い、利益は回復傾向に向かうと想定しています。
質疑応答:来期以降の見込みについて
司会者:「今期も減益見込みのようですが、来期以降の見込みとその理由を教えてください」というご質問です。
陣:今期の想定として、売上高が前期比で横ばいで推移する中、人材採用費と減価償却費の増加が利益を抑える要因となっています。
売上高については、今後の新サービスの提供により、来期以降増加していくと考えています。また、減価償却費はSaaS型システムへの移行開発が一段落することで、減少していく想定です。
システム開発の人材の人件費の伸びと売上高の伸び次第で、実現できる利益水準は変わってくることになりますが、来期以降の利益成長が可能であると考えています。
質疑応答:成長戦略や業績見通しについて
司会者:「金利が上昇し、不動産業界にも影響がありそうですが、今後3年程度の成長戦略や業績見通しについて教えてください」というご質問です。
陣:今後3年間については、引き続き不動産ビックデータを活用したプラットフォーム事業の拡大を行います。
新築マンション領域では、今期よりアカウント営業を行うことで、ソリューションの幅を広げていきます。また、中古マンション領域においても、金融機関という新たな市場の開拓や、新サービスの提供によるアップセルを積極的に行い、事業を成長させます。
質疑応答:外部環境の変化による影響について
司会者:「月例新築マンション動向を見ると、マンション価格が高騰しています。それが御社にとってどのように影響するのか教えてください」というご質問です。
陣:当社事業は、不動産価格や物件の売れ行きなどの外部環境による影響を受けにくいと認識しています。土地情報がある限りマーケティングの機会は存在します。実際にコロナ禍では、不動産価格の上昇という逆風の3年間でも、契約数などに変動はありませんでした。
質疑応答:従業員構成について
司会者:「従業員が69名と少人数ですが、メンバーの職種はどのような構成ですか? ビックデータを扱っているようですが、データサイエンティストは何名くらいいるのでしょうか?」というご質問です。
陣:当社の大まかなメンバー構成は、営業が42パーセント、エンジニアが32パーセント、管理・その他が26パーセントです。エンジニアの採用を進めているため、今後はエンジニアの比率が高くなっていく見込みです。
また、現在データサイエンティストという職種の従業員はいません。当社の膨大な新築マンションのデータを今後さらに有効活用していくため、データを専門に扱う人材の育成を進めていきたいと考えています。
質疑応答:採用計画の進捗について
司会者:「前回の資料では開発人材を8名採用予定とのことでしたが、こちらの進捗を教えてください」というご質問です。
陣:積極的に採用活動を実施していますが、計画どおりには採用が進んでいない状況です。2023年2月期においては、採用予定8名のところ採用実績は2名に留まっています。チームの要となるリーダー職を2名採用できたことで、今後のシステム人材の確保が進めやすくなっています。
2024年2月期においても、引き続き積極的にシステム人材の採用を進めていく方針で、現時点ではリーダー職1名、ミドル職1名、スタッフ職2名の採用が決定しています。今期中さらに5名の採用を計画しています。
質疑応答:GA technologies社との棲み分けについて
司会者:「大株主のGA technologies社とは、どのように棲み分けを行っていますか?」というご質問です。
陣:GA technologies社とは業務提携の延長で資本提携に至った経緯があります。当初よりGA technologies社が運営する物件情報サイト「RENOSY」に対し、当社データを一部連携しています。
GA technologies社は、主に賃貸業界向けに展開しています。また、その内容も業務オペレーションのソリューションがメインとなっていますので、当社のようにデータを活用したマーケティングソリューションとは、ほとんどの点において棲み分けができていると考えています。
質疑応答:現在・将来のリスクや問題について
司会者:「御社が現在持っているリスクや問題は何ですか? 将来的に予想されるリスクや問題はありますか?」というご質問です。
陣:当社は新サービスの拡充への取り組みを継続的に進めていく方針です。将来的に、事業環境の変化や開発の遅れなどにより、新規事業が当初の計画どおりに推移しなかった場合には当社の経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
新規サービスの拡充にあたっては、当社の不動産業界における顧客基盤や、当社の保有データ・技術などを踏まえて、確度の高いサービスに取り組んでいきます。また、システム開発要員の採用の遅れによりプロジェクトに遅れが生じることがないよう、適宜外注などの活用を行っていきます。
質疑応答:株価について
司会者:「御社の株価は2023年4月27日の終値で626円でした。こちらをどのように思っていますか?」というご質問です。
陣:株価については、当社の経営状況・財務状況のみの評価ではなく、国内外のさまざまな経済状況、社会情勢、市場動向によって大きく左右されます。したがって、その妥当性について述べることは非常に難しいですが、私個人としては決して満足している状況ではありません。
当社としては、今後も企業価値の向上に全力で取り組むと同時に、当社をより理解していただくため、機関投資家や個人投資家に向けた説明会などIR活動の強化を進めていこうと考えています。
質疑応答:今後の配当見通しについて
司会者:「今後の配当見通しについて教えてください」というご質問です。
陣:当社は依然として成長過程にあると考えており、事業成長への投資を優先的に行っているため、現時点では配当の実施は考えていません。
今後事業が成長し安定的に利益を出せるようになったのちには、利益還元として株主のみなさまへの配当を実施したいと考えています。実施の可能性や時期・内容などは未定です。
質疑応答:株主優待について
司会者:「株主優待について教えてください」というご質問です。
陣:当社では現在、株主さまへの優待として当社が提供しているサービス「マンションサーチ」を半年間無料でご利用いただけるクーポンをお渡ししています。当社はBtoBを生業としていることから、サービスに触れていただく機会が少ないため、ぜひともこの機会に株主のみなさまにご利用いただき、より深く知っていただきたいという思いからご用意したものです。
「マンションサーチ」は、当社が所有するマンションの価格情報や履歴データをスマホ1つで確認いただけるサービスで、マンションデベロッパーを中心に大変好評です。
株主優待のご利用方法などは、2023年6月末に郵送する「株主通信」に記載しています。ぜひこの機会にご利用いただければと思います。
質疑応答:決算説明会時の質疑応答の文字起こしの予定について
司会者:「今後、決算説明会時の質疑応答の文字起こしのご予定はありますでしょうか? 個人投資家と機関投資家との情報格差是正を目的に実施してくださる会社が増えてきています。ぜひともご検討のほど、よろしくお願いします」というご質問です。
陣:決算説明会にご参加いただけなかった方にも当社の取り組みをご理解いただく方法として、質疑応答の文字起こしについては前向きに対応していきたいと考えています。
質疑応答:5年後に目指したい企業像について
陣:「5年後に目指したい企業像について教えてください」というご質問です。
現在私たちは、SaaS型のプラットフォーム事業として、新築業界向けの「サマリシリーズ」と仲介業界向けの「クラウドシリーズ」を展開しています。新築業界においては今後さらにアップセルを行っていきます。
仲介業界に向けては、ターゲット企業として3万6,000社を想定しています。現在の会員数はまだ少なく、目標の10パーセントに届かない状況です。こちらを20パーセント、30パーセントと上げていき、早く1万社という大台に乗せていきたいと考えています。
また、コンシューマー向けのサービスとして「マンションバリュー」も行っています。こちらも会員数を大きく増やして、将来的には新築・中古いずれもこのマーケットプレイスで行えるような壮大な計画を立てています。
日本一の不動産マーケティングプラットフォーマーになることが5年後の大きな目標です。
質疑応答:サービスの導入事例について
陣:「なかなか事業内容の理解が難しいです。サービスの導入事例などがあれば教えてください」というご質問です。
大寺利幸氏(以下、大寺):当社は、不動産・マンション事業者に対する業務の効率化を図る業務ソリューションに軸足を置いて事業を展開しています。その中でも、特に土地を仕入れる、いわゆる用地の取得部や開発部といわれる部署に向けたソリューションを展開しています。
そのような部署の多くは、土地情報が入ったタイミングで、その土地を買うべきかどうか、事業としての採算がとれるかどうかを検討します。その際にかなりの時間とコストをかけて、周辺で販売されているマンションの価格情報をひと通り集め、どのようなプランが売れ筋なのかなどの市場調査を行っていました。
こちらに対して、我々が情報を取得して調査し、調査結果をグラフなどで出力することで、デベロッパーなど土地を買う業務をしている方にとって時間の短縮になり、業務効率が上がったという事例がほとんどです。
そして、担当者が土地を買ったあとも、販売の前段階として価格を設定したり競合を分析したりするタイミングで、過去に売れていた間取りや周辺の価格帯から、どこを軸にすれば一番フィットするのかといった検討にご活用いただいています。
質疑応答:プラットフォーム事業のビジネスモデルについて
陣:「プラットフォーム事業が拡大すると利益率もおのずと上がるイメージでしょうか?」というご質問です。
大寺:プラットフォーム事業は、毎月定額をいただくビジネスモデルです。原価以上の売上がとれれば利益が残る性質ですので、ARRがしっかり積み上がっていくと利益率も高くなっていきます。したがって、ご指摘のとおりプラットフォーム事業の成長が当社の利益に貢献するということです。
質疑応答:この1年の業界の変化について
陣:「この1年の業界の変化は大きかったですか?」というご質問です。
新築業界においては、供給戸数は横ばいで変わっていませんが、平均販売価格が非常に上がってきました。特に2023年3月の集計では、東京都内では1億4,000万円から1億5,000万円が平均価格になってきています。
こちらは三田ガーデンヒルズなどの高額物件の販売数がかなり多かったという背景もありますが、それに加えて、高付加価値の物件を販売するために、マーケティングや販売費用・インターネット広告を拡充したり、お客さまに対する提案資料などを充実させたりする傾向が見られます。
仲介業界では取扱物件・販売物件数が増えており、こちらも平均販売価格が上がってきています。販売においては、仲介業者がおよそ3パーセントの手数料を得るため、これにより利益が上がってきています。これに伴って、やはりインターネット広告やお客さまへの提案資料にコストをかける傾向になってきています。
大寺:相場の変化としては、確かに価格の上昇が続きました。ただし、業界や当社のビジネスにおいて、マーケット機会や利用頻度が減ったというようなマイナスの変化はなかったと認識しています。この1年やコロナ禍でも同様です。
質疑応答:新たな収益の構想について
陣:「新たな収益の構想はありますか?」というご質問です。
新築分野においては、引き続き新たなサービスを展開することでアップセルを狙っていきます。仲介業界に向けては、今の会員数・3,000社を2倍、3倍にしていきます。今期も新たなサービス・コンテンツの追加を計画しており、顧客単価のアップを狙っていく予定です。
それと同時に、顧客数が増えることによって掛け算でどんどん売上が伸びていくと捉えています。また、今仲介業界に向けて提案してるコンテンツやサービスを、今後金融業界にも展開していきますので、そこでまた新たな収益構造が発生する予定です。
さらに、先ほどお伝えした「マンションバリュー」についても、今期にマネタイズにつながるサービスをリリースする予定です。このように、顧客向けサービスの中でも新たな収益源が生まれる構想を進めています。
大寺:ビジネスアップデートとしてご紹介したように、今期・前期にデータ提供の仕組みにかかるAPIの開発を進めてきました。こちらが完成したことでいろいろなサービスとのデータ連携がしやすくなります。
今後はその連携の強化を行い、アライアンス案件を積極的に進めていく動きがとれると思いますので、そのような分野でも新たな収益源が得られる想定です。
質疑応答:必要な人員の確保について
陣:「現時点において必要な人員を確保できていますか?」というご質問です。
管理部門や営業部門は人数が足りている状況です。ただし、今後売上が伸びてくるに伴って、販売の人員を増やす計画はもちろんあります。
新たなサービス・コンテンツのリリースをたくさん控えているため、まずはエンジニアの採用を進めます。今は一部で外注していますが、内製化したほうがよりスムーズかつ確実に進められるため、そのためのエンジニアの採用を進めていく予定です。
質疑応答:「日経IR・個人投資家フェア」への参加予定について
陣:「『日経IR・個人投資家フェア』などへの参加予定はありますか?」というご質問です。
河村隆博氏:「日経IR・個人投資家フェア」については、出展費用がそれなりにかかるため、現時点では出る予定はありません。それに代わる手段として、このようなログミーやさまざまなオンライン系のIRの仕組みを活用しながら、投資家に理解を深めていただけるよう活動していきたいと考えています。