目次

菅原充氏(以下、菅原):どうもありがとうございます。ただいまご紹介いただいたQDレーザの菅原です。

事業に関して簡単にご紹介します。半導体レーザというものは、1ミリぐらいのチップで、ピンセットでつまむこともなかなか大変なくらい小さなものです。

しかし、巨大なレーザと同じくらい、あるいはそれ以上の機能を持ち、低消費電力、小型、高速変調が可能であり、さらにはさまざまな色を出すことができます。また、あらゆる環境下で動かすことができるという特徴もあります。この半導体レーザを活用して新しい事業を作ろうとしているのがQDレーザです。

本日重点的にお話ししたいことは、光配線についてです。シリコンに導入することによって光の配線に使えるようになり、その量産が始まりました。また、網膜に映像を投影することで、映像が見えづらい方が見えるようにサポートしたり、あるいは眼疾患を1分程度で発見したりといったことがサービスとして可能になっています。そのような部分を中心にお話ししていきます。

2023年3月期事業ハイライト

菅原:はじめに業績ハイライトです。レーザがどのようなものかをお話しする前に、こちらのスライドを見ていただいたほうが良いと思い、ご用意しました。まだ多くの赤字を抱えており、全社レベルでは黒字化できていませんが、今後できるだけ早期に解決していく予定です。

スライドの図は、黒字化に向けて現在どのように事業が進んでいるかを示しています。上段がレーザデバイス事業で、下段がレーザアイウェア事業、網膜投影の事業です。

レーザデバイス事業は2015年から8期連続で黒字を続けており、昨年度は6,400万円の営業黒字を達成することができました。また、BtoBのお客さまのうちで量産認定のお客さまもすでに68社あり、こちらに記載のレーザがそれぞれ寄与しています。

さらに、4月17日にリリースしたシリコンフォトニクス向け光配線用の量子ドットレーザの量産受注が、昨年は1万4,000個、さらに先日は6万個以上の受注がありました。この製品がどのようなものに使われるかについては、後ほどご説明します。

下段の記載のレーザアイウェア事業は、かなり苦しんできました。しかし、売上高は一昨年にようやく9,000万円、昨年度には2億6,800万円と前期比183パーセントアップを達成することができました。ソニーとの連携も含めた網膜投影機器の新しい製品の3機種が発売されたことが大きく貢献しています。

同時に、先ほど少しお伝えした目の健康チェックや眼疾患が発見できるサービスも、日本交通や現在サミットが行われている広島のつばめ交通などと連携し、着手しています。従業員の方々の眼の健康をチェックし、安全に役立てるといった事業を始めたところです。

そもそも半導体レーザとは?

菅原:あらためて半導体レーザデバイスについてご説明します。LEDというノーベル賞を受賞した照明の技術がありますが、半導体レーザはより機能的なデバイスです。1ミリほどのレーザデバイスに電流を流すと光が出てきます。これによって物を加工したり、画像投影したり、光や情報の伝達、さらにはセンシングもできる機能デバイスになります。

QDレーザへの期待

菅原:もともとは光通信のデバイスとして1980年代に実装され、世の中に使われ始めたことが大きなイノベーションの始まりでした。これが光通信として世界中の光のインフラになり、インターネットを1995年に生み出し、2006年にクラウドコンピューティングが始まりました。現在ではスマホが発明されて人間と情報がつながる世界になりましたが、起点は半導体レーザなのです。

更なるTAM拡大の可能性

菅原:すでに7,700億円の市場があるのですが、スライドに「QDレーザ展開領域」と記載しているとおり、LiDAR、顔認証、ドローン、眼底検査、シリコンフォトニクス、スマートグラスと、将来的なレーザの領域は非常に大きく広がっていきます。このすべてを狙っているのが当社QDレーザです。

当社コアテクノロジーと競合優位性

菅原:それを可能にするのが、非常にコアな技術、光の材料、またレーザの設計、さらには光の制御です。つまり光を操ることができるという意味であり、それに関しては世界最先端のテクノロジーを多数有しています。

具体的には、量子ドット、半導体の結晶成長、高速のレーザ設計です。10ピコ秒、つまり10のマイナス11乗秒という非常に短い時間で瞬間的に光を当てて、スマホの基盤加工などを行っています。

また、小型モジュールや、VISIRIUM テクノロジー、網膜への映像投影技術、さらには回折格子という波長を固定し変換することで、さまざまな色の光を作ることができる技術も有しています。

スライド右下にオレンジや黄緑色のきれいなレーザの写真がありますが、これは我々が最初に作った、USと日本で特許を取得している目に見えるバイオ系のレーザになります。

QDレーザが開発・販売する半導体レーザの特徴

菅原:先ほどお伝えしたように、「アレンジの自在性」とは、どのような波長をも生み出すことができます。また、「高速パルスの安定性」に関しては、瞬間的に光を出すことで通信の容量を上げたり、物を綺麗に加工したりできるのですが、必要とされる時に非常に安定したかたちで瞬間的な光を出せるという部分が我々の誇る技術です。

QDレーザ独自の製造プロセス

菅原:当社のビジネスの特徴は、セミファブレス体制であることです。今お伝えしたような、多様なレーザをさまざまなコア技術を基に作っていくのですが、その時の作り方はファブレスです。

最もコアとなるテクノロジーである結晶の技術は、ウエハの技術です。原子を重ねていくことにより、いろいろなレーザ用の結晶を生み出していくのですが、そこだけは自分たちで行い、他はすべて国内と国外のファウンドリで製造を進めています。

QDレーザが開発・販売する半導体レーザのバリエーション

菅原:そのような中で、数年来、ご覧の4つの製品を世の中に提供してきました。ここでわかるのは、製品によって色の波長が異なるということです。黄色であったり、赤色であったり、見えなかったりします。

それぞれアプリケーションが異なり、量子ドットレーザは光配線に、DFBレーザは光の加工とセンシングに、高出力FPレーザは半導体工場の中のセンシングに使われています。また、小型可視レーザは血液検査などに用いられています。詳細については資料にいろいろと記載しています。

小型可視レーザ・小型マルチカラーレーザ光源

菅原:こちらの小型可視レーザは世界唯一の電流注入型です。ワイヤーを付けて電流を流すとこのように光が出るデバイスは当社だけのものであり、世界の競合よりもずっと小さなサイズで、かつ10分の1という低電力で安定した光を出すことができます。

特に、黄緑色のレーザの世界シェアは30パーセントを超えているところまできています。その作戦についても、ご質問があれば後ほどお話しします。

量子ドットレーザ

菅原:量子ドットレーザについてです。左の図にある1個1個の丸い粒が量子ドットです。COVID-19の10分の1ぐらいの大きさの中に電子が1個閉じ込められており、そこに光が当たると光が増幅して出てきてレーザになるというものです。

1995年に私が所属していた富士通研究所のグループでこれを発見して以来、世界中をリードしてきており、いよいよ光配線に結びついたというところです。

右側から2枚目の黄色の写真には4本の縦線がありますが、この1本1本が量子ドットレーザです。この針のようなものの先から光が出てきます。4チャンネルレーザと言って、4チャンネルの光がそのままシリコンに入り、それが光の配線をするというかたちになります。

量子ドット量産技術の紹介

菅原:量産型MBE装置という、量子ドットを作る技術についてです。今回のワラントでは、先ほどの量子ドットレーザを量産するために必要な装置として、資金を調達しました。

顕在化し始めたシリコンフォトニクス(電子・光集積回路技術基盤、コンピュータチップの光通信)需要と当社の取り組み

菅原:スライド右側に量産についてのロードマップを記載しています。光配線用の量子ドットレーザに関しては、2025年から2026年頃に年間100万台の出荷を目指して進めており、フォーキャストもすでにアイオーコアさんからいただいています。

顕在化し始めたシリコンフォトニクス(電子・光集積回路技術基盤、コンピュータチップの光通信)

菅原:スライド左上は、アイオーコアさんからいただいた、おそらく一番わかりやすいチップの写真です。5ミリ角のチップの上に我々のレーザをペタッと貼り付けると、100Gbitのトランシーバーになります。

それが中央下部の「FPGA」と書かれているLSIの周りに置かれます。すると、FPGA同士、あるいはFPGAと外部のカメラなどが光で直接つながるようになります。つまり光通信とLSIがつながるということです。これが我々の仕上げたものになります。今後このようなものを量産していくということで、6万個の受注をいただいたわけです。

左下の写真には「温度に依存しない伝達波形」と記載していますが、こちらのすごい点は、25度でも105度であっても、何も調整しなくても普通に動くことです。壊れないし、調整も必要ありません。

どのような環境下でも使用できますので、車、サーバ、データセンター、スーパーコンピュータ、あるいは5G6Gという太陽光にさらされる基地局の中でも普通に使うことができ、かつ壊れないものです。

さらに面白いものとして、右下の写真はアイオーコアさんとNTTさんが共同で行ったデモです。「液浸冷却」といって、コンピュータは液体窒素に漬けると非常に早く動きます。電力が下がるのですが、この中に入れても使えます。マイナス200度からプラス110度まで、本当に何のストレスもなく使えるスーパーチップということになります。

当社の主要レーザデバイス製品と波⻑・特性・使途 一覧

菅原:これが我々のレーザであり、それぞれに強みがあって、それぞれの市場を作りながら、現在売上を伸ばしているところです。

VISIRIUM TECHNOLOGY

菅原:もう1つの事業である、レーザ網膜投影についてお話しします。テクノロジーとして一番大事だと思っているのは、コア技術の特許をしっかり取得することです。オープンクローズ戦略ともいえますが、我々だけの領域の特許をしっかりと取得し、その後世界中のあらゆるメディカルメーカーやスマホメーカーと連携し、それぞれの製品を作っていくということを最初に掲げて取り組んできました。

現在、特許の出願件は40件あり、かなりの部分がすでに登録されています。特許庁ではまとめ審査にも協力してくださり、そのようなことができるようになりました。

特徴としては、0.5ミリぐらいの細いビームを、瞳孔を通して網膜に投影し、網膜をスクリーンにして映像を投影することです。例えば、指を丸めた隙間から月を覗けばきれいに見えますが、0.5ミリという細いビームのため、それと同じように人間のピント調整能力に頼らずに見ることができます。そのため、水晶体がなくても見ることが可能です。

水晶体のピント調節作用によらないため、どこを見ていても同じ映像が見えるということで、オーグメンテッドリアリティ、つまりリアルな映像とバーチャルの映像を重ねて見ることができます。

そのため、人形が踊っている映像を投影した状態で手を見ると、手のひらの上で人形が踊っているように見えるのです。そのようなオーグメンテッドリアリティも当たり前にできてしまいます。

また、人間の目は中心窩と呼ばれる真ん中でしかピントが合わないのですが、網膜の周辺でもピントが合います。映像を投影すると視界の端にもピントが合うため、全面をいっぺんに見ることができます。

結果として、メディカル的な効果としては、網膜症で端のほうしか見ることができない方が、物を見ることができるようになりました。事実としてそのようなことが起こっています。

レーザアイウェア事業

菅原:メディカルデバイスとしてスタートし、現在は民生デバイスとしてさまざまな用途に使えるものを量産し始めています。これまでに6つの製品を世の中に出してきました。

目標は「見えづらいを『見える』に変える Low Vision Aid」、「『見える』の健康寿命を延ばす Vision Health Care」、さらに「『見える』の世界を拡張する Augmented Vision」として、現在TDKさんなどさまざまな方とともにエコシステムを作っている、スマートグラスです。こちらは2027年で、大きなアウトプットが出てくると思います。

Low vision aid領域TAM(※前眼部適用のみ:屈折異常、角膜混濁)

菅原:Low Vision Aidに限っても、屈折異常や角膜混濁の方に10万円から20万円で買っていただいている場合には、年間9,000億円程度の市場があることになりますが、おそらくこれよりも数倍大きいと思っています。

世界初の網膜投影アイウェア

菅原:ロービジョンにはWHOの定義があり、メガネをかけても視力が0.3出ない方々を指します。私はメガネかければなんとか見えるためロービジョンではありませんが、メガネを使ってもどうしてもピントが合わせられない方は、世界に2.5億人ぐらいいます。

そのような方々で、かつ、なんとか見えているため目を使って仕事をしたいという方がロービジョンという定義になります。光しか見えないような方は、社会的失明という枠組に入っています。

RETISSAシリーズ展開状況:アイウェア製品

菅原:先ほどお話ししたメディカルも合わせて、これまで3つのアイウェア製品をリリースしてきました。メディカルを始めた理由は、安全性への懸念への払拭、指を丸めた隙間から見れば月がきれいに見えることと同じ原理を実現できて視力が上がるというエビデンス取得のためです。

視力が上がったり、小さい文字が見えたり、また遠くが見えたりすることについてエビデンスを取るという意味です。見事にエビデンスが取れ、安全性も立証されましたので、国内では「RETISSAメディカル」が医療機器製造販売承認を取得することができました。

RETISSAシリーズ展開状況:新製品ローンチ

菅原:先ほどの「RETISSAシリーズ」は900台販売していたのですが、ここがやはり起点になっており、その時のみなさまの声を踏まえて、現在は見える角度を大きく広げています。

今まで26度くらいだったのですが、網膜の非常に広い部分にかけるような、60度に広がったものを3製品として出しました。スライドに載せている写真の左から「RETISSA ON HAND」、中央が「RETISSA NEOVIEWER」で、ソニーとのバンドルです。右側は「RETISSA MEOCHECK」で、目の健康チェックをする装置です。

RETISSA ON HAND

菅原:「RETISSA ON HAND」は、拡⼤読書器として使っていただきたいと考えています。拡⼤読書器は、網膜疾患の方が日常的にテーブルトップで本を読むための装置です。1台40万円で世界市場が7万台と、280億円の市場がありますが、そこをリプレースしていくというのが目標としてあります。

図書館流通センターと連携しながら、読書バリアフリー法に対応する機器として図書館、美術館、公共施設で使っていただくべく、いろいろなアクションを起こしているところです。

おそらく6月末には、日常生活用具という拡大読書器のカテゴリがあり、20万円のものを9割補助で買うことができます。つまり、この装置を2万円で買うことができるような仕組みを今作り始めており、6月末にはそのようなアナウンスをできる可能性があり、プロジェクトを進めているところです。

RETISSA NEOVIEWER(RNV)

菅原:ソニー製のコンパクトデジカメは、実は日本ではすでに「ソニーストア」で、10万9,800円で販売しています。銀座、札幌、名古屋、大阪、博多と展開しています。

認知が足りなかったのですが、2月に「CP+」というデジタルカメラの展示会が数年ぶりにあり、そこで非常に反響があったため、4月に「ソニーストア」で発売しました。すると沢山のご来店があり、よく見えるということで、体験された方の3人に1人がご購入いただきました。

10万9,800円ということもあり、みなさまその場でお求めいただきました。やはりプライスが非常に大事だとよくわかった例です。

5月に入ると少し来店数が鈍ったのですが、実はTBSでのテレビ放映が5月16日にあり、そこからまた体験者数が伸びてきました。「ソニーストア」でカメラを買っていただいた方が、実際に自分で使って小田原まで出かけていき、昔の自分が子どものころに見ていた景色を見て写真を撮るといったことを放映していただきました。より多くの方に知っていただき、かつこの価格であれば、非常に大きなチャンスが広がっていく可能性があると実感しているところです。

ソニーとの連携は今後も続きます。アメリカでもうすぐ発売を開始しますし、またその次に大型の本格的なミラーレス一眼の発売に向けたプロジェクトも、もうすぐアナウンスできるかと思います。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ソニーとの業務提携について、視聴者から「人的交流はあるのでしょうか? 『RETISSA Display Ⅲ』への関与はあるのでしょうか?」というご質問がきています。

菅原:微妙なところです。ソニーのグローバルセールス&マーケティングという大きなプラットフォームの中の、マーケティングやセールス、イメージングなど10名以上のいろいろな方が参加されていると思います。ただし、基礎技術からともに開発するというようなことは行っていません。

そのような意味では、アクセシビリティへの我々の取り組みにとても共鳴していただいており、ソニーさんが掲げる共創のポリシーのもとで一緒に取り組んでいるかたちです。

Low Vision Aid分野製品の拡販戦略

菅原:先日のTBSのテレビ放映でも実感しましたが、認知の向上においては、やはりあらためて動画で出していく、Webマーケティングがとても大事です。オウンドメディアも使いながら、動画の配信なども含めてソニーさまと一緒に取り組んでいこうとしているところです。

価格負担の低減については、いよいよ今年度から「RETISSA ON HAND」や「RETISSA NEOVIEWER(RNV)」の海外展開に向けた開発を、低コスト生産も含めて行います。10万円以下で売れるものを作るという1つの目標を、3年で実現していくというのが次のステップだと思っています。

Low Vision Aid分野製品の拡販活動

菅原:スライドにあるような動画がいろいろと出ているのですが、特にアルビノの方は効果が非常に高いです。遺伝子のご病気で乱視、つまり眼の表面が歪んでしまって見えないといった方が「これで人の顔が見える」と言われて大変歓迎してくださっていることは、非常にありがたいと思います。

RETISSA MEOCHECK

菅原:「RETISSA MEOCHECK」は、覗くと網膜のいろいろな場所に点を投影し、我々のアルゴリズムによって、緑内障なのか白内障なのか、高齢による見え方の低下なのか、脳腫瘍かということが1分くらいでわかります。

Vision Health Care分野の立ち上げ

菅原:眼の健康チェックサービスは、日本交通さまとつばめ交通さまで、すでに健診として開始しています。我々が健診グループを送り込んで健診を行い、データ結果をお渡しして病院に行っていただくというシステムができあがっています。

日本にはドライバーの方が128万人ほどいらっしゃいます。参加いただいているのはまだ1万人くらいですので、これをどのように横展開したり、スケールしたりするかというところに力を入れ始めています。レーザ企業がメディカル、サービス、データにも取り組むというのは、なかなかエキサイティングだと思っています。

拡がるVision Health Care分野の取り組み

菅原:スライドの「運輸業の眼の健康チェックサービス」は128万人のドライバーの方々と取り組んでいます。「ヘルスチェックコーナーの実現」については、トモズさまなどドラッグチェーンの方々と連携を始めています。

トモズさまは、全国で19ヶ所くらいの店舗に健康チェックコーナーというものがあります。来店された方に使っていただいて、データを蓄積したり、薬を買っていただいたりするようなビジネスモデルを想定しています。

次世代レーザアイウェアに向けた要素技術開発

菅原:アイウェア、スマートグラスについては、「RETISSA Display Ⅱ」を骨格にしたアイトラッキングシステムの特許が出て、今月後半には公開される予定です。試作が進んでおり、いろいろなメーカーと連携しながら、アイトラッキングに加えて高画質、小型で低電力なモジュールを作って、最終的には普通の眼鏡に入る標準化モジュールを作ることを目標にプロジェクトが進んでいます。

「RETISSA DisplayⅡ」までの光の取り回しがベースになってどこまでできるかがわかってきましたので、いよいよ今年度中にはスマートグラスのプロトタイプを作れれば良いと思っているところです。

2023年3月期事業ハイライト

菅原:先ほどお話ししたとおり、スライドのようなKPIを持ちながら取り組んでいます。

業績ハイライト

菅原:LD事業の部品売上高については、1パーセント減の8億9,100万円と少し残念な結果だったのですが、全体としてアイウェア事業が伸び、全社売上高が増加して11億円を超えてきました。

やはり新型コロナウイルスによるロックダウンの影響があり、特に高出力レーザは伸びなかったのですが、現在は回復しているところですので、特に事業として心配しているところはありません。

業績ハイライト

菅原:LD事業営業利益は、前期比47パーセント増の6,400万円で、売上は下がったのですが、いろいろなかたちの販管費のセーブや効率化を進めることで、ここまでの営業利益を出すことができました。全社営業損失は3億7,400万円の改善となっています。

業績ハイライト

菅原:業績としては、特にスライド右側の小型可視レーザが順調に伸びています。昨年の1億7,600万円から、2023年3月期は2億5,700万円に伸びています。最終的には60億円から70億円以上の市場が見込めますので、それに向かってシェアを取っていきます。加えて、アイウェア事業が2億6,800万円まで伸びたこともあり、今年は11億5,900万円の売上を上げることができました。

キャッシュフロー

菅原:MSワラントの調達があり、財務活動によるキャッシュフローは12億9,800万円です。4月に無事MSワラントの調達を終了することができましたので、現在のキャッシュは55億円になっています。

坂本:「M&Aの想定はありますか? もしあれば、どのような領域なのかイメージを教えてください」というご質問です。

菅原:基本的には、M&Aで一緒になることによって、我々の持っていない技術を取り込み製品の付加価値を高めてバリューチェーンを下るためにM&Aをしたいと考えています。

特に、電子回路の方々と一緒に、より安定した高速パルスを出したり、より小型でプラグアンドプレイで使えるようなものを作ったりして、価値を高めていこうとしています。また、新しい光技術を持っている方々とともに、より光の技術を蓄積していくことがとても大事だと思って活動を始めているところです。

受注状況

菅原:2023年3月期の3億2,600万円は、すべてレーザの受注残高です。昨年は2億円弱でしたので、1億円積み増しになっています。

安定的な量産を始めた大手企業がたくさんいますので、昨年末にPOいただいたということが大きいと思います。フローサイトメータ向けや、ウエハのセンシング向けの受注を安定していただいています。

ウエハのセンシングは、30センチのシリコンウエハに我々のレーザを当てると、表面の欠陥によって上に散乱光がきて、それをAIで解析すると、どれくらいの欠陥があるかわかるというものです。

坂本:製品によって変わるとは思うのですが、受注から納品までのリードタイムはどのくらいあるのでしょう?

菅原:まったく何もないところから始める場合は、ウエハを作って、それをファウンドリに出して、さらにチップにしてもらうために、出荷前だとやはり4ヶ月から6ヶ月くらいかかります。

ただし、レーザチップが手持ちですでにある時には、組み立てでよければ2ヶ月、そのままでよければすぐに出荷できます。そのような意味でも、在庫をどれだけ持っているかは非常に大事な戦略だと思います。

調達金額と支出予定時期

菅原:MSワラントについては、先ほどお話ししたように28億7,500万円を無事調達することができました。現在のキャッシュは55億円です。

今回の資金調達における最大のポイント

菅原:新しい方式として、事業マイルストンに連動したファイナンスをするということを、最初に宣言して始めました。

1つは、アメリカで網膜投影製品を売る契約のための、ビジネス上の提携ができるということで、ソニーさまと連携を始めたことを皮切りに、トリガーをかけてファイナンスを行いました。

もう1つは、レーザデバイス事業で2万個以上の受注が取れた場合ということで、アイオーコアさまからいただくかたちで量産受注を開始し、それぞれにトリガーをかけて資金調達することができました。

坂本:「今後の資金は大丈夫でしょうか?」というご質問と、「もうワラントはしないと言い切っていただけませんか? 既存株主に悪影響があります」というご意見をいただいています。

菅原:確定したことは言えませんが、今の状況では当面資金調達の必要性はないと思います。

坂本:他の方からは「資本政策としてMSワラントを行うのもよいのですが、大企業に出資いただいて、大手安定株主になってもらうという検討はしているのでしょうか?」というご質問をいただいています。

菅原:はい、検討しています。

精密加工用・計測用DFBレーザ :売上高

菅原:スライドは、それぞれの製品がどこに使われているかをスライドの図で簡単にご紹介しています。DFBレーザについては、半導体ウエハの検査がこの分野の一番のブームです。30インチのウエハ、単に最初のウエハだけではなく、パターニングしたものの不具合もわかる、すごいものです。

バリューチェーン的には、当社がレーザを作ってファイバーレーザのような装置にして、ウエハ上のスキャンをできるような紫外線のレーザにします。つまり、波長が短いほど細かい欠陥が発見できます。

坂本:今まではかなり大がかりな機械で行っていましたよね。

菅原:今はレーザでスキャンできていますし、実際にAIと組み合わせた装置としてはすでに確立されており、この装置が出始めているところが大きいです。

精密加工については少し止まっており、スライドに在庫調整と記載しています。やはり実際にスマートフォンやパソコンの加工にやや減速があったという流れは、末端の部品メーカーから見るとわかります。

一方で、中国が伸びていますので、中国にもどんどん出荷しながら、中国の加工機メーカーに新しいレーザを紹介していき、世界的に広げていきたいと思っています。

バイオ検査装置用小型可視レーザ:売上高

菅原:バイオ検査装置用小型可視レーザについては、フローサイトメータ、セルソータという細い装置の中に使われています。細い管の中に血液を通して横からレーザを当てると、白血球、赤血球、血小板のどれが通ったかがすべてわかります。さらに、出口でソーティングして、白血球だけ集めることなどもできる装置です。

特に使われている光は青色、緑色、黄緑色、赤色です。黄緑色の561ナノメーターというスライド中央の光はQDレーザの発明品で、コンペティターのアメリカのCoherent社から3分の1のシェアを取っています。

彼らの装置よりもずっと小さく、かつ消費電力は10分の1と安定していますので、装置を小型化して安定的に使うにはとてもよいデバイスとして、トップメーカーから使っていただいています。

この波長をオレンジ色などに広げていったり、電子回路を付けてより使いやすいものにしたり、いろいろな波長を1つにまとめてパッケージングしたりすることで、売上を伸ばしていこうとしています。

世界最大のレーザメーカーのコンペティターとして、一応名乗りを上げたいと思っているところです。まだ3億円くらいで、世界市場の20分の1くらいなのですが、なんとか伸ばしていきたいとい考えています。また、顕微鏡にも使われています。

センサ用高出力レーザ:売上高

菅原:センサ用高出力レーザについては、今回のマクロ経済の影響があり、工場の生産が止まったことによってへこみがあったのですが、来年は回復していくと思います。

通信用量子ドットレーザ :売上高

菅原:通信用量子ドットレーザについては、先ほどお話しした内容です。

坂本:「量産化の話がありますが、順調ですか? 量子ドットレーザの単価が知りたいです」というご質問がきています。製品によって量などが違うのでしょうか?

菅原:光配線のポイントは、電気配線に比べて安くなった段階で一気に普及することです。アイオーコアさまの、光配線用の100ギガビットのチップは、コンペティターになっているものは3,000円くらいですので、それを越えることが大事です。

つまり、我々のレーザを貼り付けて、シリコンチップにしたものが3,000円ですので、量子ドットレーザはその一部だと思っていただければ良いと思います。まだ数もあまり出ていませんので、コストについて言及する段階ではなく、そこまで安くなっていないという状況です。

坂本:「以前より、量子ドットレーザの量産は世界で2社のみ可能とおっしゃっています。しかし、中国メーカーなどもそれぞれ開発しているレーザをもとにシリコンフォトニクスに取り組んでいるようです。ドイツのInnolume社を含めて、それらに対する御社の優位性について教えてください」というご質問です。

菅原:先日、「OFC2023」という世界最大の光ファイバカンファレンスに呼ばれてトークをしました。他のメンバーで目立ったのは、Quintessentというアメリカのベンチャー企業です。彼らはたぶんUniversity California Santa Barbaraとともに量子ソフトウエハーをシリコンに貼り付けて、全体をプロセスして作っていますが、少しやりすぎではないかと考えています。

ファウンダリーを使って、巨大な投資をしてシリコンの新しいプロセスを作ります。ガリヒ素という異なる材料を貼り付け、プロセスして、30センチのウエハから取ると「じゃあ、何に使うんだ?」となります。

坂本:そのような意味で、やりすぎなのですね。

菅原:結局のところ、勝負はどちらのほうが安いかなのです。アイオーコアのシリコンプロセスは既存のラインを使ってできていますし、QDレーザもシャープさんのものになりますが、既存のラインを使って量子ドットレーザでできています。フリップチップボンディングという方法で、チップを貼り付けるだけのため非常に安いです。ポイントがコストだとすれば、巨大な投資をしてシリコンの新しいプロセスを立ち上げて商売しても、「いったい何に使うんだろう?」となります。

坂本:それほど簡単には売れないだろうということですね。

「2022年2月のネット記事で、電気通信大学が世界最高密度の量子ドットレーザの開発に成功したという記事を読みました。この研究が貴社の技術・事業に影響を与える可能性はあるのでしょうか?」、また「共同研究は電気通信大学としているのでしょうか?」といったご質問をいただいています。

菅原:電気通信大学の山口先生とは昔、共同研究をしていました。非常にすばらしい結晶成長の研究者です。ただ、高密度量子ドットは波長が1.06ミクロンぐらいで、エネルギーが大きすぎるためにシリコンの中は通らないため、シリコンフォトニクスとは別の観点の材料だと思っています。

レーザアイウェア(LEW):売上⾼

菅原:昨年度のレーザアイウェアの売上は2億6,800万円でした。「MEOCHECK(メオチェック)」「NEOVIEWER(ネオビューワー)」「ON HAND」といった3機種の発売を開始しました。

売上は2億6,800万円ですが、10億円を超えたあたりで損益分岐点を迎えるという構造になります。こちらもファブレスのため、固定費はほぼ一定で4億円ぐらいとなっています。売上が10億円を超えた際にカバーできるようになり、損益分岐点を迎えるという流れです。

「開発受託」に関して、特にスマートグラスは、TDKさんや電機メーカーといったさまざまな方々と連携していました。彼らが「スマートグラスを作りたい」という中で、最終的に「網膜投影ができるのはQDレーザだけだ」と結論づけて、一緒に取り組んでいます。テクノロジーを持ち寄って取り組みつつ、一部の開発費用もいただいたことで、開発受託そのものが売上になっていますし、次世代の開発進歩にもつながっています。

坂本:「以前のお話ではレーザアイウェアの開発はほとんど終了したため、今からは回収フェーズになるとおっしゃっていたと思うのですが、2024年3月期の予想では赤字幅が拡大しています。また、赤字を黒字にするには相当の売上アップでしか達成できないと思います。このままでは資金が尽きるのが先に思えるぐらい、投資家が逃げ出しそうです。そのため、2025年3月期以降のロードマップを教えてください」というご質問をいただいています。

菅原:しばらくは発売を開始した3製品を主体とした10億円超の売上を目標にしています。また、その途中で現在のコストが一気に下がるように、海外製造ラインの構築を始めようと考えています。

先週の金曜日にリリースしたのですが、中国の医療グループと提携を始めようとしています。まだLOIの段階ですが、病院グループを通して数万円もするメーカーデバイスを何十体も作っているアイロボという会社があります。

アイロボ社と提携することで、低コストかつ医療機器として各国の規制を通せるようなものを作っていき、レーザアイウェア技術そのものをワールドワイドで販売できるようにしようとしています。そのようなことも経て、10億円以上の売上にして損益分岐点を迎えたいです。

基本的な当社の製品は眼鏡、据え置き型の投影機、カメラのビューファインダー、目のチェック機です。アイテムとしてはひと通り揃ったと思っているため、必要技術の開発は終わったと認識しています。

残すはアイトラッキングのみですが、そちらの特許も取りながら、いろいろなメーカーと標準化モジュール、つまりより小型なモジュールにして、さらに安い製造ラインを構築します。それにより、あと2年から3年後の業界には相当な変化が来ると思っています。

スマートグラスの技術開発の流れが来るとすれば2027年です。スマートグラスは、おそらく各社どこでも成功しておらず、死屍累々です。Facebookの「Oculus(オキュラス)」もなかなか厳しいです。

坂本:あれは大きすぎますよね。

菅原:それを乗り越える技術開発が、今後数年間で起こると思います。

坂本:そこはもう見えているかたちでしょうか?

菅原:青写真はひかれつつあると思います。

2024/3期事業目標

菅原:2024年3月期の事業目標として、来年は9期連続で営業黒字になる予定です。レーザデバイス事業の営業黒字が6,700万円は少なすぎると思われるかもしれませんが、来年、その次のジャンプのため、あるいは装置のメンテナンスのために、1億円ほど販管費を積み増したためです。今年並みの業績ですと1億6,700万円程度になりますが、その先のジャンプのために少し開発費を使いながら、販管費を積み上げたというのが実情です。

また、今後に向けて7製品の開発と量産を開始しています。6万台の受注があったとお伝えしましたが、これらの量産はさらに積み上がっていくと思います。年間100万個を生産できるような量産体制作りに向けて、ウエハの4インチ化やグローバルな製造システムの確立といった準備を始めているところです。

アイウェアについては、先ほど10億円超の売上を目標にしているとお伝えしました。その最初のステップとして4億3,200万円を想定しています。

さらに、来年の目標としてアメリカのソニーでの販売、アメリカや中国での販売や量産準備があります。低コストで、よりグローバルで受け入れられるような製品にブラッシュアップしていきます。

最後に、私的にブームなお話として「目の健康チェック」サービスです。日本交通だけではなく横展開も進めながら、ドラッグチェーンで扱っていただくところまで持っていこうというのが今年度のステップです。

2024/3期業績予想

菅原:数字としては売上高14億4,600万円です。営業損失は少し足踏みしているように見えますが、5億5,900万円です。先ほどお伝えしたレーザの販管費として1億円を積み増したことと、監査報酬、加えて信託手数料の増加の約6,000万円が積み重なっています。

製品自体の粗利が減ったということではなく、今後の本当の爆発的な成長のために準備をしているため、販管費が1億6,000万円ほど積み上がり、昨年度と同じ営業損失の数字になっています。

質疑応答:大型契約の見通し、将来のビジョンについて

坂本:12ページに記載のアイオーコア社からの量子ドットレーザ6万個の受注に続いて、ソニーとの業務提携として、大型契約の見通しといったものが見えてくるかと思います。当然お話しするのは難しいかと思いますが、取り組みを含めてご説明いただけることがあれば教えてください。また、レーザの市場が60億円から70億円まで埋まるというお話がありましたが、将来のビジョンも含めて、お話しできる範囲内で教えていただければと思います。

菅原:アクセシビリティという観点では、ソニーとの連携は非常に大切にしています。まず、協業契約はしましたが、アメリカで販売するといったアナウンスはしていませんので、今後アナウンスできると思います。

また、その次のプロジェクトにおいて、ソニーのミラーレスに我々の製品を使うということはあり得ると思います。

中国の病院グループについては、中国も眼科に力を入れていますので、グループとの提携がLOIだけではなく本格的に進めば、大きなアナウンスができると思います。

質疑応答:自動運転のレーザレーダービューについて

坂本:御社のことにお詳しい視聴者の方もいらっしゃって、少しマニアックなご質問もいただいています。「自動運転のレーザレーダー技術というのは、御社と関係があるのでしょうか?」という質問です。

菅原:シリコンフォトニクスの1つのアプリケーションで、レーザレーダーで光を出して戻ってくる時間を測るだけなく、周波数を変えることで戻ってくる光の周波数の変化を見て、相手の速度を測るものがあります。こちらは2社のメーカーとともに取り組んでいるところです。

質疑応答:通信用量子ドットレーザについて

坂本:「通信用量子ドットレーザはこれから伸びるようですが、単にウエハを量産するだけなのか、付加価値をつけて共同開発しているのかを知りたいです、教えてください」というご質問です。

菅原:最終的にはウエハを量産し、輪転機で回してどんどん収益にするのが目標で、それがファブレスのよいところです。

現在は9社のメーカーとともに取り組んでいますが、それぞれに対してカスタマイズしたものを作っています。カスタマイズした試作品が量産になれば、作れるのはQDレーザだけになります。

そのような意味では、技術開発をいろいろなメーカーと行い、その人たちが一番ほしいレーザチップを提供できる企業になれれば、それをファブレスに乗せて輪転機で回すといったビジネスへ展開することを期待しています。

坂本:もし、今後さらにすごい製品が開発されて輪転機で量産されるようになった場合、御社の技術は使われなくなるのでしょうか? それとも基礎的な物として、ずっと使われるのでしょうか?

菅原:先ほどお伝えしたようにガリヒ素ウエハ、いわゆるショートのウエハを、一気に貼ってすべてプロセスすることに成功し、本当に低コストにできるのであれば負けるかもしれません。しかし、できあがったシリコンラインを量子ドットレーザで合わせて一番安いチップを貼り合わせる方法ができるのであれば、こちらに勝ち目があると思います。

坂本:御社が長く携わっているものですし、将来よりローテクな物にもチップが使われる可能性がありますね。

菅原:おっしゃるとおりです。安くてよい物を量産できることがイノベーションだと思います。

坂本:そうですね。そこが将来イニシアチブを取れる部分だと思います。

質疑応答:中国との提携について

坂本:製造も含めて、中国との提携に関しては技術流出について心配されている方がいらっしゃいます。

菅原:一番大事なところだと思います。どこまで実施許諾を押さえて、新しい技術をどのくらい確保しておくかという点は、非常に大事です。ノウハウの秘匿を含めた契約を行い、できるだけお互いに協力する必要があります。その切り分けが、今後半年の大事な部分だと思います。

質疑応答:網膜投影技術の一般化について

坂本:「網膜投影技術をゲーム機に搭載すれば、ロービジョンの方以外に一般の方でも楽しめる技術になるかもしれないと思うのですが、いかがでしょうか?」というご質問です。

菅原:ピントによらずに見えることもありますので、もしアイトラッキングシステムが完成すれば、最終的に網膜投影が搭載されると思います。

ただし、VRは広範囲を見渡さないといけません。現状の網膜投影では、こちらを見るとあちらが見えないといったことが起こりますので、手前を見てもレーザが追いかけてくるようなシステム「アイトラック」ができあがればよいと思います。

坂本:ロービジョンの方だけでなく、一般の方も同じように使って問題ないのでしょうか?

菅原:一番よいのは、疲れない、酔わない、痛くないことです。私は「Oculus」をつけると数十秒で目が痛くなります。

質疑応答:人材確保について

坂本:「技術が高度過ぎて人材確保が難しそうですが、そのあたりはいかがでしょうか?」というご質問です。

菅原:当社にはトップエンジニアが5名います。みなさんすごい方ですが、現在はその部下を育てたり雇用したりしています。人材確保と育成は、社長が掲げる3つのプライオリティのうちの1つでもあります。

質疑応答:将来のビジョンについて

坂本:「技術的には難しいものの将来挑戦したいといった物はありますか?」「5年先ぐらいまでに、実用できそうな技術はありますか?」というご質問です。最後に技術的な展望をまとめてお話しいただければ、イメージが湧くかと思います。

菅原:尖った技術としては、眼鏡の中にすべての機能を入れてしまうということです。スマホの中にほとんどすべてのガジェットが入っているのと同様に、アイグラスの中に目の検査、ロービジョンエイド、オーグメンテッドリアリティ(AR)といった、インフォメーションにつながる機能がすべて入った製品を作ることが大きな目標です。

我々が作るのはコアのエンジンだけですが、いろいろなメーカーがそれを商品にしていくことは大事だと思います。

また、イギリスのメーカーで脳のセンシングを行うといった話が進んでいます。レーザを使ったスキャニング、シリコンフォトニクスを使った網膜と脳の伝送システムのような技術開発が、今後あると思います。

当日寄せられたその他の質問と回答

当日寄せられた質問について、後日回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:量子ドットレーザで、現時点のライバル競合企業はございますか?

回答:ドイツのInnolume社も量子ドットレーザの製造はできますが、当社レーザのほうが性能的に優れていると顧客からは評価されています。

<質問2>

質問:現在の人員では、営業拡大は厳しいのでは?

回答:現在、国内外の専門代理店を活用しており、今後も大幅な人員増を伴わずに業績拡大を目指します。

<質問3>

質問:レーザーと言えば、超優良企業の浜松ホトニクスさんがございますが、規模の違い以外で御社とハマホトさんの日較分析(SWOT)、御社の優位性など教えていただければ幸いです。

回答:最大の違いは、当社は高性能な量子ドットレーザを世界で唯一量産できる点です。

<質問4>

質問:TDK、NTTと開発しているメガネの利益率は大体何パーセントくらいですか?

回答:開示しておりません。

<質問5>

質問:エアコンなど電化製品に使える省電力技術はありますか?

回答:シリコンフォトニクスの適用分野の1つとしてあり得るかもしれません。

<質問6>

質問:IRをタイムリーに打って欲しい。

回答:貴重なご意見ありがとうございます。

※「当日寄せられたその他の質問と回答」は、企業ご提供の内容となります。

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