目次

材木正己氏:みなさま、おはようございます。本日は日東精工の第117期にあたる2022年12月期決算報告会にご参加いただき、誠にありがとうございます。さっそくではございますが、ご説明させていただきます。

1番目に第117期である2022年12月期の決算報告、2番目に2023年12月期の業績予想、3番目に新しい中期経営計画についてご紹介します。

4番目に非常に重要だと考えているエンゲージメントの向上への取り組み、5番目に拡販に向けた取り組みと施策の中身、6番目にセグメントごとの取り組み、7番目に日東精工の経営の考え方についてご説明します。

2022年12月期第117期(連結)業績ハイライト

2022年12月期の決算ハイライトです。結論から言いますと増収減益ですが、売上は過去最高となりました。しかしコロナ禍や地政学的リスクにより、材料費や電気代などいろいろなコストが上昇しており、お客さまには価格転嫁をお願いしている最中ですが、2022年12月期決算はその影響により、減益となりました。

セグメント別売上高・営業利益(連結)

各セグメントの売上高・営業利益の状況です。日東精工グループは、会社と従業員、そしてステークホルダーのために、さまざまな成長戦略をとっています。特にファスナー事業は、新しくM&Aを行った2社によって売上が伸びています。

材料費の高騰等のマイナスの要因がありましたが、海外での売上が約30パーセントを占めるため、円安の効果を受けることができました。

セグメント別業績概要~ファスナー事業

各事業の成長戦略について説明します。ファスナー事業、産機事業、制御事業、メディカル事業の4部門があります。

ファスナー事業は、ケーエム精工とピニングという会社を買収し売上が加算されました。さらに海外工場のインドネシアやマレーシアでも、過去最高の売上となっています。少ないながらも成長戦略を続けており、全体の売上ならびに利益が増えた中で、ファスナー事業の割合が一番多く、売上、利益ともに寄与した状態です。

セグメント別業績概要~産機事業

産機事業は、4つの事業部の中で一番利益率が高い業種です。しかし、半導体による部品不足の影響を受け、受注してもなかなか納品できない状況が続いています。その影響で実質は売上の伸びがなかったこと、一昨年は大型のエネルギー関係の売上および利益が非常に大きかった反動もあり、結果的には減収減益となりました。

セグメント別業績概要~制御事業

制御事業は、非常に独特なニッチトップの製品を保有しており、国内での事業拡大を行っています。海外展開も進めていますが、今期は伸びきることができず減収増益となりました。

分析機器においても、ヨーロッパ等からの受注が多数あるものの、半導体関係の部品不足や地政学的リスクもあり、残念ながら売上および利益につながらず、伸び悩んだという状況です。

セグメント別業績概要~メディカル事業

メディカル事業は、次の世代の柱にするための種まきの状態です。まだ収益云々というところまでは至っていませんが、着々とモノづくりが進んでいます。人体に入るものであるため、治験などの必要な裏付けを大学関係と進めています。

海外業績概要(22年実績)

海外の業績についてご説明します。当社の連結売上比率は海外が29.4パーセントとなっています。海外市場はまだ伸びしろがあり、東アジアでは中国と韓国、さらに北米も伸びています。東南アジアではマレーシアとインドネシアが過去最高の売上でした。

昨年の実績は部品不足の関係などの影響で地域によって多少偏りがあるという結果となりました。

2022年12月期第117期(連結)貸借対照表

貸借対照表です。単純に「資産を増やし負債を減らす」ということを問題なく行えていると思っています。

2022年12月期(連結)キャッシュフロー計算書

キャッシュフローについてです。経営では安定的な財務体質が重要と考えています。M&Aでキャッシュを減らしていますが、我々の事業内容からするとキャッシュは十分あると思っています。

中期経営計画との比較(連結)

中期経営計画との比較です。できるだけ高い目標を、しっかり達成するという方針で進めています。「NITTOSEIKO Mission “G”」の最終年度の結果をスライドに記載していますが、売上高は440億2,100万円で過去最高となっています。

本当はもう少し中期経営計画に近づかないといけませんが、新型コロナウイルス感染症の影響によりなかなか対面営業ができなかったことや、部品が揃わなかったことなどが要因で少し落としています。しかし、原因がわかっていますので、今後は十分対応できると考えています。

2023年12月期(連結)業績予想

2023年12月期の業績予想です。昨年の結果を分析して取り込み、今年から新しい中期経営計画を策定しています。

これまでずっと種をまいてきたことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響もゼロにはならずとも少なくなってくると予想しているため、売上、営業利益、最終利益のすべてが伸びると見込んでいます。半導体不足の問題は、業種によっては足を引っ張るところもありますが、回復傾向にあると思っています。

このような中で、いかに次の種まきをしていくかが大切だと考えています。我々は、種をまかないと成長しないという考えのもと、年間で得た利益を投資に使っています。お客さまから喜んでもらえるような、世の中の変化に対応した新しい技術を生み出し、成長戦略を行っていきたいという思いで目標を掲げています。

セグメント別売上高・営業利益予想(連結)

各事業部別でも増収増益の予想です。ただし、制御事業についてはマイナスの予想としています。1月にヨーロッパで設立した新会社について、非常に伸びる可能性はあるものの、すぐに収益を上げるのは難しいと考えているためです。ただし、ヨーロッパ関係の受注残は制御事業の中では最大となっています。

しっかりと売上高および営業利益を伸ばしていきたいと考えています。

投資実績

成長するためにどのような種をまいているかご紹介します。マーケットに合った、世の中の変化に対応する技術を確立し、お客さまに喜んでもらおうとしています。

昨年も成長戦略を続けましたが、「NITTOSEIKO Mission “G”」の4年間では年平均30億円を投資しました。減価償却が13億円ほどあるため、利益プラス減価償却費がキャッシュで残るというかたちで計画を立てています。

今までとは違う稼ぎ方をしていきたいという考えのもと、一例では、加工や熱処理設備の更新、作業効率向上のため新規設備の導入などをしています。

株主還元

株主還元についてです。我々は使った資金に対して、リターンをどのように確保するかを最重要と考えています。業績に見合った還元をしなければ継続できない中、本当は昨年12月にもう少し上げたかったのですが、結果が出ない状況で上げることは困難でした。

今期は十分な売上および利益が上がったため、今までの年間配当16円から18円への増配を予定しています。お客さまやステークホルダーに喜んでいただける経営をしていきたいと思っています。

新中期経営計画【概要】

新中期経営計画についてご説明します。これまでも成長戦略を続けていますが、新しい中期経営計画では、投資したことに対してリターンをしっかりと得ることを特徴としています。

現在、子会社は36社ありますが、使った資金をしっかりリターンさせることを中心に、効率のよい経営をやっていきたいと考えています。成長とともに利益もしっかり上げることが、すべてを幸せにする経営だと考え、今回の新中期経営計画を策定しました。

新中期経営計画では、売上目標と中期経営計画で4つの新しい戦略を実践していきます。1つ目は事業拡大戦略です。まずは売上を上げなければ利益は上がらないということで、こちらを一番に考えています。

4つの事業の数値目標に対して、しっかりプロセスコントロールを行います。

2025年度売上高600億円の達成のためには単に「一生懸命やります」「売上を拡大します」というだけではなく、変化する世の中で各事業がどこを狙うかという重点思考が必要です。

例えば、ファスナー事業では新しい事業スタイルの確立を行います。また、非日系企業を含めたCASE関係は非常に伸びる要素です。我々の特徴は各事業の連携であり、年平均の成長率はファスナー事業で11.0パーセント、産機事業で25.6パーセント、制御事業で11.3パーセントとしています。

ファスナー事業が最も売上の伸び率が高く、産機事業は非常に利益を出すセグメントです。東南アジアへの展開はまだ伸びしろがありますので、重視していきます。

新中期経営計画【概要】

2つ目は環境戦略です。企業はもちろん利益を出さなくてはなりませんが、世の中のためになってこそ価値が上がると思っていますので、環境戦略もしっかりと立てていきます。我々はメーカーですので、CO2の削減のためのさまざまな技術を開発しているところです。

2025年度のCO2の削減率を、2019年度比で12パーセントとすることを目標にしました。異常気象などの課題に対して、我々の技術を用い、スライドに記載したような対応を行っていきたいと思っています。昔の技術に注力することも必要ですが、電動化やEV化などの新たなニーズに対応することにこそ、我々の価値があると考えて進めています。

新中期経営計画【概要】

3つ目は人財戦略です。すべては「人」からですので、人材育成や多様性への対応などの人財戦略をしっかり行っていきます。指標としては労働生産性を掲げています。利益にこだわり、稼ぎ力の向上が、しいては社員一人ひとりのスキルアップにもつながっていくものと考えています。

私はよく「新たな世の中のニーズに、イノベーションや新技術をもって、マネージメントではできない対応をする」ということを言っています。我々は毎月の役員会で行われる戦略会議の中で、人材資本の投資と効果をデータとしてKPI管理し、プロセスコントロールをしています。

人財戦略を企業成長のための重点のひとつとして、2025年度には、2022年度比で労働生産性の24パーセント向上、また、エンゲージメントスコア3.8ポイントを目標として進めていきます。

新中期経営計画【概要】

種まきをはじめ、いろいろなことを可能にするためには、しっかりとした財務戦略が必要です。我々は毎年約30億円の投資を続けていますが、それを続けても、びくともしないだけの利益を出す対応をしてきています。

さらに、2025年度にはROICを2022年度実績の5.4パーセントから8パーセント以上を達成するという目標を掲げています。逆算して必要な動きを見定めていくことが、利益の向上、さらには無駄のない経営につながります。

1つの例としては、CMS(キャッシュマネジメントシステム)で業績の厳しい会社とよい会社の全体の資金を融合します。グループの資金を全体として考えて使うことで、利益を総合的に生み出す方法も取っています。

エンゲージメント向上【ES向上】

企業のトップは正しい目標を立てる役割が、従業員は目標に向かって進めていく役割があり、我々の成長は両者のベクトルを揃えることで実現します。目標達成のエンジンとなるエンゲージメント向上を重視し、人を大切にする企業として従業員とともに進んでいきたいと考えています。

私は自社を評価する際には、第三者による客観的な評価が大切だと考えています。これまでに認定された健康経営優良法人2022やスポーツエールカンパニー2023がそれにあたります。自己満足のエンゲージメント向上策にならないために、細かな選定基準の数値を着実にクリアしていくことが働きやすさの向上に繋がっていくものと考えています。

また、地域の工業レベルの向上および雇用の確保といった地方創生や社会貢献、さらなるエンゲージメントの向上を目指します。

欧州拡販戦略1【ドイツ開催国際展示会に初出展】

欧州拡販戦略についてご説明します。受注が上がるからこそ売上が上がり、利益が出ます。受注がなければ利益の出しようがありませんので、先ほどもお伝えしたように、拡販に向けて1月にドイツに新しい会社を作りました。

また昨年、ドイツのハノーバで開催された国際展示会に初出展し、日本と違うニーズが多いことがわかりました。そのようなニーズに対応するため急きょ内容を変えて、日本では以前から出していたコンタミ対策ユニット搭載のねじ締めロボットや、コンタミ飛散防止ねじ「CPグリップ」を提案しました。

その結果、多くの引き合いがあり手ごたえを感じています。いわゆるメカから電子化への流れの中で、このようなニーズが増えているのではないかと思っています。

欧州拡販戦略2【第2弾 ドイツ出展】

今の話と少し重複しますが、今年は第2弾としてねじ部品に特化した欧州の展示会に出展します。現状は日東精工の素晴らしい技術をPRできているとはいえませんので、これを良い機会として、ヨーロッパ向けの新製品を順番に出しています。

国内拡販戦略【東京出展】

国内では、コロナ禍で見送っていましたが、3年ぶりに「オートモーティブワールド2023」に出展して非常に好感触を得ました。実行してこそ結果が出ますので、このようなお客さまの反応を見る機会を増やし、真のニーズを掴んでいきます。

漁業理論に基づく拡販戦略

スライドに示しているのは、私たち独自の「漁業理論」という考え方で、非常にわかりやすいものになっていると思います。

魚がいない場所で一生懸命に釣りをしていることがよくあります。本当に魚がいる場所で釣りをしているのか、どのような魚を獲りたいのか、しっかり見定めていかなければ釣れるわけがありません。

また、魚がいたとしても、魚に合った餌を使わなければ釣れません。さらに、魚がいて、餌も合っており、釣り道具が良くても釣れないことがあります。その原因はテクニック、つまり人材が不足しているためです。

わかりやすくしなければ社員一丸となって動けませんので、このような観点をわかりやすく社員に提示し、事業拡大戦略を一人ひとりの行動や考え方に落とし込んでいます。またそれらのチェックも怠ることなく、今までにない方法で確実に結果を出すという進め方をしています。

ファスナー事業【売上構成と戦略製品】

セグメント別の取組内容について、もう少し詳しくご説明します。ファスナー事業は一番売上高がある事業です。新たなニーズとしては、EV化を背景とした軽量化、内質材料、燃費の向上、新しい機構、燃料による改革などがあります。

スライド右上に掲載している新しいクリンチングスタッドは、我々が独自で開発したもので、薄い鉄板でもきちんと締結したいというニーズに応えた製品です。

また、自動車を含めていろいろな製品は、燃費を上げるために軽量化してアルミを使用すると普通のネジでは焼き付いてしまいますが、我々独自のパテント製品である「アルミタイト」を使用すると、非常にスムーズに締結できます。 さらに、AKROSEで最も多い用途先はリチウムイオンバッテリーですが、新たに違う分野でのニーズが多く出てきており、大きな製造計画があるため、専用の工場を作っているところです。

ファスナー事業【顧客動向、見通し】

時代の変化についていくかたちで「軽量化」「環境負荷の低減」「新生活様式」といった、伸び盛りのところにしっかりと対応していきます。日東精工の製品は少し値段が高いのですが、自社で一貫生産しているため、QCDに厳しい自動車業界ではもっともシェアが高いです。

全体の流れとしてはEV化に伴って、電池、ECU、センサー関連が活況です。そのため、センサー技術、リモート技術、IoT、AIを使ったものづくりをしています。

産機事業【売上構成と戦略製品】

産機事業は非常に伸び盛りです。実はこれまでは、東南アジアに持って行くと「こんなに高いねじ締め機よりも、人海戦術で臨むほうが絶対によい」と言われてきたのですが、去年の中ごろから様子が変わってきました。工場に行くとずらりと人がいるインドネシアのような人口の多いところですら機械化したいというニーズがあり、ロボットメーカーとの協業にも力を入れています。

協働ロボット分野で有名な企業は、デンマークのユニバーサルロボットです。ねじ締め機のノウハウが最も多い我々とユニバーサルロボットが組んで、製品を出しました。同様にFANUC、YASKAWAほか数社とコラボしてラインナップを拡充しています。

産機事業【戦略製品】

ねじ締めツールについては我々が最も強いという状況下での伸びしろとして、軽量化ユニットを開発し、またコンタミ対策ねじ締め機等の新製品を出して新しいニーズに対応しています。

産機事業【顧客動向、見通し】

「エネルギー転換」「労働力不足」「ICT化」の中で協働ロボットのニーズは高く、昨年は部品不足で苦戦しましたが、実は3事業とも受注残はすべて増加しています。昨年は部品不足等で売上に結び付かなかった分も、結果的には伸びしろを残して昨年を終えたため、今年は良い状況にあると思っています。

制御事業【売上構成と戦略製品】

制御事業はまだ規模が小さいものの、リチウムイオンなどが変化する途中で分析できる、おそらく世界で初めての自動粉体抵抗測定システムを持っており、ニッチトップをいただいています。

また、環境負荷が大変厳しい中で、海外の分析メーカーからの引き合いも多いため、このような新しい製品で制御システムを伸ばしていきたいと思っています。

制御事業【戦略製品】

マイクロバブルについてご紹介します。テレビCMなどで他社製品が宣伝されていますが、実は、国内で初めてマイクロバブルの認定を受けたのは日東精工です。今回の新製品は理美容業界をターゲットにしており、家庭用とは性能が違います。

我々は「運良く物ができた」ではなく、論理的に証明できなければ良い製品ではないと考えていますので、このたび販売を開始した製品も、大学においてすべてバックデータを精査し、確認を取りながらモノづくりを行っています。

制御事業【顧客動向、見通し】

ほかには、スライドに記載の取り組みも行っています。環境の関係や高精度の計測、安全性などがやはり非常に大事です。特に世の中において、エネルギー関連ではカーボンニュートラルに向けた新技術に基づく転換が確実に起きてくるため、従来のものではお客さまの反応がなかなか得られません。

そのため、さまざまな新しい技術を駆使し、お客さまのためになる事業を行っていきたいと考えて進めています。

メディカル事業戦略【事業成長戦略】

メディカル事業は、実はまだ発展途上です。骨折した際に医療用生体内溶解性高純度マグネシウムの骨折治療用インプラントを使用すれば、一定期間が経過すると体の中で溶けるために、通常2回の手術が必要になるインプラント手術が1回で済むことになります。

「治ったと思ったらまた手術をしなければいけない子どもたちのために何とかしてほしい」という小児科医の先生からのニーズが非常に強くありました。製品自体はできており、今は治験を進めているところです。

弊社がほかのメーカーと違うところは、材料の溶解から全部自社技術であることです。記者発表を行った時には、この市場販売規模は200億円だとお話ししましたが、その根拠は日本の市場にはヨーロッパから商品が入ってきており、その規模が2,000億円と言われていることです。最低でもその10パーセント程度は取れるという試算で200億円です。

そもそも欧米から輸入されているインプラント製品と弊社が開発しているものは異なり、体内で一定期間を経過すると溶けるという独特の特許権を取得しています。時間はかかるものの、日東精工の次世代事業になると見据えて着実に進めており、すでにデータはかなりそろっています。

経営の考え方

最後に経営の考え方についてです。1つ目に、基本的にお客さまに喜んでいただいてこそ我々の価値があると考えています。お客さまのためにならなければ継続できません。そのため、弊社はお客さまに依頼されたことを100パーセント行うことは当然とし、その満足度を120パーセントにしたいと考えています。

2つ目は、私が以前よりお話ししてきたウェルビーイング、つまり幸せ経営です。経営で利益を出すことが一番よいものの、誰かを踏み台にしているようでは絶対にいけません。幸せになるために行うことを経営の目的としています。

3つ目は、創業の精神に基づき地域のために事業を行うということです。その結果、従業員も非常にモチベーションが上がります。加えて、持続可能な社会にするためにきちんと貢献を実現するということが大切です。社会貢献を行ってこそ、自分たちのモチベーションも、企業価値も上がります。

4つ目は、強固な財務体質です。日東精工は多額の設備投資を行い、持続可能な経営を行っています。私は社長を9年経験する中で、どのように動けば利益が出て、社会に役立つのかがわかってきました。

私が勝手に経営の方程式と言っていることが2つあります。1つ目はお客さまの満足度を上げること、2つ目は従業員が喜ぶように従業員満足度を上げることで、これらが結果を出すことにつながります。

お客さまの満足度を上げる主役は従業員です。社長が行ってもせいぜい5倍から10倍です。しかし、従業員が少しでも上げてくれれば大きな力になります。旗を立ててベクトルをそろえることが大事です。私は36社ある子会社の中で、そのようなことを学んできました。それらをこの新しい中期経営計画の中でやり切りたいと考えています。

また「絆経営」を掲げ、すべての人とお互いにウィンウィンになる経営を目指しています。一方勝ちでは継続できません。つまりステークホルダーのみなさまと私ども、また私どもと従業員、そして協力企業との間もすべて、努力すれば両方に良いことが起こるビジネスモデルを作っていきます。

また、成長のためには種まきをしっかり行うことが大切です。種まきなくして芽は出ず、花も咲きません。種まきを行い、水やりをして成長させます。すべてがうまくいっているわけではないものの、それ以上の種まきをしているため、日東精工はかなり伸びるのではないかと思っています。

さらに、先ほどお話ししたように、世の中のためになっている会社かどうかが大事です。実は財務体質がしっかりしていないとそのようなことはできないものの、おかげさまでみなさまに稼いでいただき、社会貢献できる状況にあるため、実行しています。

我々は高い目標を掲げ、目標と現状のギャップをどのように埋めるかという視点で次の施策を議論します。その施策が実行できなければ何の進行もありません。このような経営をきちんと行うことにより、成長戦略に乗せたいと考えています。

今後は専務が社長に就任し、私とともに経営を行います。今の利益水準が持続可能であるため、2人でやり切って今度の中期経営計画でさらなる発展を遂げることが一番大事だと考え、組織変更も行いました。

このような利益の出る経営ができる、すべてのステークホルダーのみなさまが幸せになる方程式は着実に進んでいます。引き続き日東精工のご支援をお願いし、私からのご説明を終わります。ありがとうございました。