第一生命ホールディングスによる当社に対するTOB実施

安田敦子氏(以下、安田):安田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まずは、先日公表した第一生命ホールディングスによる当社へのTOBについて、お話ししたいと思います。

2022年11月7日開催の取締役会において、当社は第一生命ホールディングスによる当社の株式に対する公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、この公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。

この取締役会の決議は、第一生命ホールディングスが公開買付けとその後の一連の手続きを経て、当社を完全子会社とすることを目的として行っていること、また、当社の株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。詳細については、当社ホームページにニュースリリースを掲載していますので、そちらをご覧ください。

本件のTOBの概要と意義

本件のTOBの概要と意義について、お話しします。まずはTOBの概要です。先ほどお伝えしたとおり、今回のTOBは、第一生命ホールディングスによる当社の完全子会社化を目的として行われるものです。

買付期間は、2022年11月8日から12月20日までの30営業日となっています。買付予定株数については、全普通株式および新株予約権を対象としており、基準となる株式数の3分の2を下限とし、上限をなしとして設定しています。

現在、第一生命ホールディングスは当社の株式を保有していませんが、買付後には100パーセント子会社となることを目的としています。買付価格は普通株式で1株3,550円となっています。プレミアムは、前営業日の11月4日の終値に対し、47.92パーセントとなっています。決済の開始日は2022年12月27日を予定しています。買付総額は390億円程度となる想定です。

当社におけるTOBの戦略的な意義について、お話しします。当社は第一生命ホールディングスの完全子会社となり、安定的で強固な関係を構築することで、さらなる事業の拡大を図り、事業基盤を強化し、中長期的な企業価値の向上につなげていきたいと考えています。具体的には、当社が第一生命グループの一員となることにより、事業上のシナジーも期待できると考えています。

アイペット損保の事業計画の中では、重点的に取り組む方針として「質を伴うトップラインの向上」「生産性の向上」「経営基盤の強化」を挙げています。第一生命ホールディングスのチャネルをさらに強化していくことにより、販売面でのシナジーもより一層期待できるため、今後、協議を重ねていきたいと考えています。

また、これまでも人材交流を行ってきましたが、さらに踏み込んだ人材面での支援を受けることにより、生産性の向上や経営基盤の強化に貢献し、私たちの成長の後押しにつながるとも考えています。

当社の目指す方向性と第一生命ホールディングスの考え方には、非常に近いところがあります。当社は「ペットと人とが共に健やかに暮らせる社会をつくる」を経営理念とし、「ペットと人の幸せを考え続ける会社」をビジョンとしています。

一方、第一生命ホールディングスのグループビジョンは「すべての人々の幸せを守り、高める」であり、中期経営計画ではこれから追求していく4つの体験価値の1つに、「つながり・絆」を掲げています。

当社グループの事業を通じて、ペットを起点とし、人々の幸せに貢献し、ペットを基軸とした家族や地域・大切な人々とのつながりや絆を、より一層強くすることができると考えています。

当社グループの事業が、第一生命ホールディングスグループにおいて、違和感なく位置づけられることは、今後グループの一員として事業展開を行い、さらに成長し、シナジーの実現を目指していくにあたり、非常に重要なことだと考えています。

当社の成長企業としてのポテンシャルを最大限に引き出すため、第一生命ホールディングスには、私たちへの機動的な資本支援についてもご検討いただけるようお願いしています。このようなことを踏まえ、本件のTOBは当社にとって非常に意義あるものだと考えています。

今後の想定スケジュール

今後のスケジュールについてご説明します。12月20日までTOBを行い、応募が基準株式数の3分の2に達した場合、今回のTOBは成立となります。12月末に第一生命ホールディングスが当社を子会社化の上、少数株主の持分をスクイーズアウトし、完全子会社化する予定です。

私たちにとっては非常に大きな決断となりますが、前向きな今後の成長に向けた一歩でもあります。投資家のみなさま方におかれましても、ぜひご理解いただけますようお願いいたします。

主要なビジネストピックス

2022年度第2四半期の決算についてご報告します。まずは、直近の主要なビジネストピックスとして、アイペット損保の保険契約の状況からお話しします。

契約件数は堅調なペット需要を背景とし、新規契約が順調に推移しました。また、業界トップクラスの高い継続率も維持しています。これらにより、保有契約件数は順調に増加し、2022年7月3日には75万件を突破しました。9月末時点で77万件に迫るところまで伸びています。

損害率は、今期についても想定より低い状況で推移しています。新型コロナウイルス感染症が拡大した初期においては、契約者の在宅時間が増えたことにより、通院頻度が高まりましたが、2021年度の下半期以降、この傾向にも落ち着きが見られています。今期においてもその状況が続いていると認識しています。

グループの事業についてです。オンラインでのペットの健康相談サービスを提供しているペッツオーライが、8月1日に経営陣に向けた第三者割当増資を行いました。ペッツオーライの経営陣が長期的、かつ安定的に経営にコミットすることを目的として行ったものです。

これにより、アイペットホールディングスの持株比率は100パーセントから63パーセントに低下しています。今後もグループとしてさらなる成長を目指していきたいと考えています。

アイペット損害保険の100パーセント子会社であったペッツファースト少額短期保険は、10月1日にアイペット損害保険に吸収合併されました。グループ経営の効率化や経営基盤の強化を図ることを目的とし、アイペット損害保険に経営資源を集中させるための取り組みです。

ペッツファースト少額短期保険で以前ご契約いただいたお客さまについては、今後ご請求いただいた場合に、アイペット損害保険で引き続き責任を持って対応していきたいと考えています。

先ほどお話ししたようなアイペット損害保険の状況も踏まえて、先日、通期の連結の業績予想を修正しました。11月7日の取締役会において、利益の予想を引き上げて開示しています。調整後の経常利益は7億7,000万円、純利益は5億5,000万円の増加を見込んでいます。こちらについては、後ほど詳しくご説明します。

アイペットグループ関係図

当社の持株比率の変更などにより、現在のグループの体制はスライドのようになっています。アイペットホールディングスの100パーセント子会社として、アイペット損害保険が存在することは変わりません。

アイペット損害保険の100パーセント子会社であったペッツファースト少額短期保険を吸収合併したこと、ペッツオーライの経営陣に第三者割当増資を行い、アイペットホールディングスの持株比率が63パーセントになったことが変更点です。これからもグループとしてのシナジーの実現や成長に邁進していきたいと考えています。

FY22通期 業績予想修正(Non-GAAP) ハイライト

通期の業績予想の修正についてお話しします。スライドには、連結のNon-GAAPベースを示しています。トップラインは、当初の計画どおりに順調に推移しています。そのため、経常収益の見通しについては据え置きとしています。

損害率が当初の計画の前提を下回って推移していること、資産運用の利益が当初の計画を上回る見込みであることを総合的に考慮して、2022年度の通期の利益の予想を上方修正しています。こちらの達成に向けて、役職員一同で取り組んでいきます。

グループ業績評価指標 ポイント

グループの業績評価指標のポイントについてです。こちらの指標は、2021年5月以降に開示しているものです。1契約あたりその生涯にわたってどれほどの利益をもたらしているのかというLTV、1契約をいただくために必要なイニシャルコストの総額であるPet Acquisition Cost、これらを総合的に考慮したグループIRR、ペット保険の保有契約件数という4つの指標で評価しています。

グループ業績評価指標の推移

グループ業績評価指標については、通期の計画に対して、引き続き良好に推移しています。先ほどもお話ししたように、LTVは損害率が前年同期の数字を下回り、当初の予想よりも低く推移していることが1つの要因として挙げられます。業務効率の向上に取り組んでいますが、事業費率も前年同期の水準を下回って推移しています。このようなことにより、LTVも良好に推移している状況です。

PACについては、事業計画でも開示していますが、DXプロジェクトとして基幹システムの切り替えに取り組んでいます。今期は、システム開発が進捗していることに伴い、その開発費用が前年同期の水準を上回っており、前年同期に比べると支出が増加している状況ですが、通期の計画に対しては良好に推移しています。

今後の経営基盤の強化や、生産性の向上に向けても必要な取り組みだと思っていますので、投資フェーズの一環として受けとめています。これらを考慮した上でのIRRについても、良好に推移しています。ペット保険の保有契約件数については、順調に伸びてきている状況です。

保有契約件数(契約開始年度ごと)と継続率の推移

ペット保険事業について補足します。保有契約件数と継続率の推移です。スライドでは、保有契約件数を契約の開始年度ごとに色分けした棒グラフと、継続率の折れ線グラフで示しています。

過去にいただいた契約をしっかりと継続していただき、そこに新しい契約が積み重なっていることをご覧いただけるのではないかと思います。また、業界トップクラスの90パーセントに近い継続率も維持しているため、2022年7月には保有契約件数は75万件を超え、9月末には77万件に迫るところまで伸びています。

ペッツオーライ事業の概要

ペッツオーライでは、ペットの健康状態やしつけ、フードアドバイスなどについてオンラインで専門家にご相談いただける定額制のサービスを提供しています。9月末のユーザー登録者数は前年同月比で約1.7倍に増加し、事業規模は順調に拡大しています。

〈四半期毎〉損害率・事業費率の推移(アイペット損保)

財務指標に関するご説明に移ります。スライドのグラフは損害率・事業費率 の推移です。先ほどお話ししたとおり、損害率については当初の想定よりも低く推移しています。事業費率は抑制の流れが続いているため、このような状況を踏まえて、コンバインド・レシオは既経過ベースで89.5パーセントの着地となっています。

連結総資産およびアイペット損保の単体ソルベンシーマージン比率

連結総資産およびアイペット損害保険の単体ソルベンシーマージン比率です。第2四半期においては、連結総資産は249億円、単体ソルベンシーマージン比率は259.3パーセントとなっています。

FY2022 2Q Non-GAAP指標サマリー

2022年度第2四半期のNon-GAAPにおける指標のサマリーです。第2四半期の経常収益は80億8,400万円、調整後の経常利益は8億700万円、調整後の当期純利益は5億7,900万円となっています。前年同期比で増収増益となりました。

上期においては、経常収益は160億500万円、調整後の経常利益は15億6,700万円、調整後の当期純利益は11億3,700万円となり、こちらも前年同期比で増収増益を達成しました。以上、簡単ではありますが、2022年度第2四半期の決算についてご報告しました。

質疑応答:注視している指標について

司会者:「業績が好調ですが、今後注意して見ている点はありますか?」というご質問です。

安田:当社ではいろいろな指標を注意してモニタリングしていますが、その中でも特に重視している点は損害率です。この期においては、期初の見込みと比べて損害率が低く、前年同期よりも低く推移しています。

その要因としては、昨年行った商品改定の効果が出てきているのではないかと受け止めています。損害率の状況については、今後も注視していきたいと思います。

質疑応答:システム開発について

司会者:「システム開発についてはいかがでしょうか?」というご質問です。

安田:システム開発は着実に進捗しています。現在は設計のフェーズにあり、これまでの検討に漏れや曖昧な点がないか、このまま開発に進んで問題がないかなど、慎重に評価を行っています。今後、開発が進み、テストを行うプロセスを踏みますが、手戻りが生じることのないよう、このフェーズでしっかりと確認を行いながら丁寧に進めたいと考えています。

質疑応答:保険契約の継続率について

司会者:「継続率の現状と今後について、いかがでしょうか?」というご質問です

安田:保険契約の継続率については、昨年実施した保険料率の改定の後に一部低下が見られましたが、こちらは想定の範囲で推移しました。現在、商品改定の影響は一巡し、全体の継続率は商品改定以前の水準に近づいていますが、まだ向上の余地があるのではないかとも考えています。

ペット保険というストックビジネスにおいて、継続率は非常に重要な指標です。詳細に分析しながら、今後も対応を行っていきたいと思います。

質疑応答:PACの増加について

司会者:「4つのグループ業績評価指標のうち、PACの増加についてお聞かせください」というご質問です。

安田:PACについては、繰り返しになりますが増加しています。その要因として、システム開発の進捗に伴い、開発費用が前年同期よりも多く発生していますが、開発自体についても計画に対して順調に進捗しています。

PACの増加は今後の事業基盤を固めていくため、また、生産性の向上を目指していくために必要な投資の一環と受け止めています。

質疑応答:株価の妥当性について

司会者:「今回公表のあったTOBの株価3,550円の妥当性について、考えをお聞かせください」というご質問です。

安田:今回のTOBの価格については、第三者算定機関の評価も踏まえ、妥当であると判断しています。また、本件の買付価格については、当社の株主のみなさま方に対して、合理的な株式の売却の機会を提供させていただくものであると判断しています。