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山本正喜氏(以下、山本):みなさま、こんにちは。Chatwork株式会社代表取締役CEOの山本でございます。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。先ほど、2022年12月期第3四半期の決算説明の開示を行いましたので、そちらの資料をベースに、私からご説明させていただければと思います。
それでは、さっそく始めさせていただきます。資料の概要はスライドに記載のとおりで、会社概要から始まり、この四半期の主要トピックのご紹介、そして昨年に開示した中期経営計画の進捗をご説明します。開示した2022年12月期第3四半期の業績については、CFOよりお話しします。その後、2022年12月期業績予想を今回修正していますので、こちらについて私からお話しします。
資料の内容は事業概要・中期経営計画、Appendixと続きますが、お時間の都合がありますので、本説明会では会社概要から業績予想のところまでをお話しして、事業概要・中期経営計画以降に関しては割愛したいと思っています。あらかじめご了承ください。
会社概要
会社概要からご説明します。Chatwork株式会社は、2022年9月末時点で従業員数304名となっています。オフィスの所在地としては、東京、大阪、ベトナム、台湾と4拠点あります。メインのオフィスは東京で、約8割の240名ほどの社員が在籍しており、本日の説明会も東京オフィスより配信しています。
コーポレートミッション
当社のコーポレートミッションとしては「働くをもっと楽しく、創造的に」を掲げています。20代から60代、もしくは70代、80代になるかもしれませんが、その週5日、人生の大半を過ごす「働く」という時間において、もちろんお金のためというのも大事なことですが、ただ生活の糧を得るためだけではなく、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる社会を実現していきたいと思っています。
我々はビジネスチャット「Chatwork」という事業を展開していますが、そのミッションとして、1人でも多くの人にとって「働くをもっと楽しく、創造的に」するために、事業を展開している会社です。
事業概要
事業概要のご紹介です。国内最大級のビジネスチャットで、社名にもなっている「Chatwork」を中心に、複数の周辺サービスを展開しています。我々はビジネスチャットの業界のパイオニアで、もう11年ほど前になりますが、2011年3月にリリースした時は「ビジネスチャット」という言葉もなかったかと思っています。
そこから市場を切り開いてきたということで、現在でも国内の利用者数、アクティブユーザー数においてはNo.1と、国内最大級のビジネスチャットのプレイヤーとなっています。
導入社数は直近で37.6万社を突破しています。電話やメールから効率的なチャットへと、ビジネスコミュニケーションの変化を加速させ、それをプラットフォームに変えていくというところを事業として行っています。
Chatworkが実現したい世界
我々Chatworkがビジネスチャットのプラットフォーム化を進め、その先に目指したい世界について、ブランドメッセージとして発表しています。「シゴトがはずむ」というブランドメッセージとなっており、コミュニケーションが活性化すると会話がはずむように、ビジネスの現場を活性化させていくことで、仕事をもっとワクワク、心がはずむものに変えていきたいということです。
ユーザーの働き方を誰よりも深く理解し、いつでも、どんな場所でも、やりたいことに集中できる働き方の提供を通して、ビジネスを活性化させる存在へなっていきたいと考えています。
こちらの世界観を表現したブランドムービー「かわる、はじまる Chatwork」を「YouTube」で公開しており、スライドにQRコードとURLを記載していますので、ぜひご覧いただければと思っています。
ビジネスチャットの市場環境
ビジネスチャットの市場環境について、ご紹介できればと思います。ビジネスチャットのマーケットはいまだ普及率が低く、潜在市場規模が大きいマーケットになっており、裏を返すと、成長余地が極めて大きなマーケットだと考えています。
直近の我々の調査で、国内普及率は18.1パーセントとなっています。1点補足すると、前回の開示では普及率が24パーセントほどと高かったものが、今回は18パーセントと減っています。前回の普及率の調査で集計の部分が誤っており、正しくは17.9パーセントでした。そこから普及が少し進み、現在の数字は18.1パーセントとなっています。
こちらは判明した時点で修正開示を出していますが、大変申し訳ありません。正しくは、普及率18.1パーセントと、まだ80パーセント強がビジネスチャットになっていないということです。
まだ普及が進んでいないということですが、一方で、個人の携帯メールを使っている方は、もうかなり少なくなっており、メッセージングのいろいろなツールを使っているのではないかと思います。
メールからチャットへと個人のコミュニケーションが大きく変わった一方、ビジネスでは、まだまだ電話・FAX・メールが主役になっています。しかし、個人の携帯メールがチャットになったように、ビジネスメールがビジネスチャットへと不可逆に変化が進んでいくと、我々は確信しています。
その流れにおいて、近年の社会情勢、つまり働き方改革、DX、そしてコロナ禍を受けてテレワークが急増しており、普及が加速しています。我々が主戦場とする中小企業市場においては、まさに今、普及が本格的なフェーズに入ってきていると考えています。
ビジネスチャット「Chatwork」の強み
我々のビジネスチャット「Chatwork」の強みのご紹介ができればと思います。「Chatwork」の最大の強みは、社外との接続しやすさです。社内・社外と、シームレスに同じアカウントで接続できるというのが「Chatwork」の大きな特徴となっています。
我々はそれを「オープンプラットフォーム型」と呼んでいますが、その特徴により、非常に紹介しやすいというのが最大の強みとなっています。これにより、紹介されて使っているユーザーが、さらに紹介するという複利の構造で、ユーザー数が増加しています。
スライド左側のグラフをご覧いただければと思いますが、2012年7月からの直近までの登録ID数、これは無料IDと有料IDを合算した総ユーザーの推移ですが、きれいに二次曲線で成長していると思います。こちらが複利で伸びているということのファクトとなっています。
また、我々は継続的にエンジニアリングで機能追加を行っていますので、プロダクト価値が毎年向上していきます。それにより提供価値が上がっていきますので、適切なタイミングでプライシングの適正化、プラン改定を行っており、長期にわたりARPU、すなわち1ユーザーあたりの単価が上昇し続けています。
こちらは引き続き開発を続けていきますので、継続的に実現可能な戦略だと考えています。このような複利で伸びる登録ID数、そして継続的なARPUの上昇によって、高い成長率を実現できています。
また、ビジネスチャットでは過去の履歴、会話の履歴や相手とのやりとりといったビジネス上の関係性が構築されますので、他のツールへ乗り換える、いわゆるスイッチングコストが非常に高いツールになっています。
一度しっかりと定着してしまえば、ほとんどやめることはないというものになっており、解約率が非常に低いのが特徴です。月次の解約率は現在0.4パーセントと、非常に低い水準で推移しています。
ビジネスチャットに留まらない高いプラットフォーム価値
ビジネスチャットには非常に大きなポテンシャルがあるのですが、我々は、ビジネスチャットに留まらない、高いプラットフォーム価値が「Chatwork」にはあると考えています。
「Chatwork」は全業種、例えば介護や建設、製造業などすべての業種の方、そして全職種、営業やエンジニア、経理、マネジメント層などすべての職種の方が、業務時間中ずっと使い続ける唯一のSaaSだと考えています。
他のSaaSと比較しても、圧倒的なユーザー接点を持っているのがビジネスチャットの特徴です。この高いプラットフォーム性を活かして、周辺サービスの販売を2017年より展開しており、継続的に成長を実現しています。2021年度はこの戦略への確信を深めてきましたので、さらに投資して、前年比プラス39.9パーセントと大幅な成長を実現できています。
ユーザーとの接点が非常にあるというところに加え、チャットツールですので、我々とユーザーとのコミュニケーションツールとして「Chatwork」を使えます。強力なタッチポイントとなりますので、顧客課題に対する効果的なアプローチやサービス提供が、通常のサービスプロバイダーよりも、はるかに容易にできると考えています。
Chatworkスーパーアプリファンドの投資戦略
プラットフォーム戦略を加速するために「Chatworkスーパーアプリファンド」というCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を展開しています。こちらは、我々のターゲットの中心である中小企業において、非常に良い、すばらしい事業やプロダクトをお持ちの方々に対して、業務提携だけではなく、一歩踏み込んだ資本業務提携をすることで、より関係性を深めていこうという戦略になっています。
出資して、その事業を応援するというだけではなく、我々のプラットフォームからお客さまを送客することができます。当然、我々はマーケティング費用として送客フィーをいただきますので、投資資金に関して一定の早期回収ができます。
また、出資先の事業グロースによって、そこからのイグジットとして、将来的にキャピタルゲインとしても取り込むことができるという、非常に効率がよいCVCを展開しています。
現在のところ、すでに5社への投資を実行しており、実現したシナジー効果をさらなる投資機会の拡大へとつなげていきたいと思っています。こちらはまたトピックでも直近の活動をご報告できればと思います。
中小企業No.1からビジネス版スーパーアプリへ
我々の中長期の方針としては「中小企業No.1からビジネス版スーパーアプリへ」という展開を考えています。2024年までにシェアを拡大し、中小企業No.1ビジネスチャットというポジションを確立したいと思っています。
そして、そこから先の2025年以降で、中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとして、プラットフォーム化を目指していければと思っています。
そのビジネス版スーパーアプリを目指すためにも、この2021年から2024年の中期をシェア獲得における最重要フェーズと捉えています。シェアが獲得できなければプラットフォームにもなり得ませんので、ここを我々の最重要フェーズと考え、投資スピードを最大限に加速しています。
中期経営計画にも反映させていますが、主要なChatworkセグメントにおけるCAGR40パーセントの成長で、高い売上成長を加速させていくというところにコミットしています。
目標値を大幅に上回る売上成長を実現
中期経営計画1年目の2021年度が終わりましたが、目標とする「CAGR40パーセント」というところを、実績値前年比プラス47.9パーセント成長という、40パーセントを大幅に上回るペースで進捗しており、非常に良いスタートを切ることができたと思っています。
KPIハイライト
KPIハイライトということで、主要なKPIを1枚のページにまとめています。それぞれご紹介できればと思います。スライド左上に記載の登録ID数というのが、先ほども少し述べましたが、無料IDと有料IDの双方を合算した総登録IDです。第3四半期末時点で556.6万IDとなっています。
その右隣に記載の課金ID数は現在60.6万IDと、60万IDを超えています。導入社数は37.6万社、ARR(Annual Recurring Revenue)、これは月額課金の収入を12倍した年間の経常収益で、SaaSのメジャーな指標ですが、第3四半期末時点で43.2億円と40億円を突破しています。
スライド左下のNRR(Net Revenue Retention Rate)は、1年前に獲得したお客さまからの売上が次年度でどれくらいの比率になっているかを表した指標になっています。我々はサブスクリプションの月額課金のビジネスのため、一定程度、解約が進みます。そのため100パーセントを下回るのが通常なのですが、我々はそれを超えた122パーセントを実現しています。
より上位のプランにアップグレードいただくというのと、同じ会社の中で利用ユーザー数、つまり使っていただく社員の数が増えることで拡張して、100パーセントを超える成長が実現できています。過去に獲得したお客さまが、次年度以降にさらに成長していくということで、非常に効率の良いビジネスモデルを実現できています。こちらは1年に1回更新しており、2021年末時点の数字です。
解約率は、先ほども少し触れましたが、0.4パーセントと非常に低い水準になっています。ARPUは539.3円、DAU(Daily Active User)という1日あたりの利用ユーザー数、すなわち実際に「Chatwork」にログインするユーザーの数は現在101.7万ユーザーで、毎日100万人以上に使われるサービスになってきました。
ARRの推移
ARRの推移について、グラフも記載していますが、前年同期比で33.4パーセントと順調に増加しています。2つにグラフを分けていますが、右側が「Chatwork」のビジネスチャット、左側が昨年度に買収したクラウドストレージ事業を合算したもので、全社の数字となっています。
我々がアカウント事業と呼んでいるビジネスチャットの部分は右側のグラフですが、非常にきれいに右肩上がりで積み上がっていることがご確認いただけるかと思います。
トピック①パーソナルプランをビジネスプランへ統合
それでは、主要トピックに移ります。1つ目は、パーソナルプランのビジネスプランへの統合です。「Chatwork」において、パーソナルプランという個人向けプランと、ビジネスプランという法人向けプランが今までありました。こちらの個人と法人のプランを本年8月に統合しています。
スライドの表を見るとわかりやすいのですが、左側の表が8月以前の料金体系です。パーソナルプランはユーザー管理機能なしで1名から利用でき、月額400円です。ビジネスプランには管理者という概念があり、社員のIDを発行できる機能があります。最低申し込み人数が5名であるため、例えば3名で利用する場合でも5名分の料金が必要で、1ユーザーあたり月額500円です。
こちらが統合されて右側の表のようになりました。ユーザー管理機能はそのままありますが、最低申込人数が5名から1名になっており、1人でもご利用になれます。
こちらはフリープランとパーソナルプランを組み合わせて利用する法人が多かったこともあり、個人向けのプランを法人が使いやすいように変え、法人ユーザーの活用を促すことを目的に実施しています。法人の利用を加速することの利点とともに、個人向けプランの月額が1ユーザー400円から500円に上がり、単価向上の効果もあります。
こちらの統合に合わせ、ビジネスプランへの移行に関しプランの見直しを行っていましたが、一部、課金失敗およびアカウント停止によるアクティブでないユーザーがいました。こちらに対しては、移行のプロセスを走らせるのがなかなか大変なことと、今後の運営コストを削減することを考え、約6,000ユーザーいたのですが、このタイミングでフリープランへの変更を実施しています。
そのため、この後KPIが出ますが、8月の時点で課金IDの増加率が少し下がっているのはこちらの約6,000IDの整理を行ったためで、過去の売上数値や新規獲得数のトレンドには変化がないことをご承知おきください。
トピック②フリープランの利用制限を変更
トピックの2つ目は、フリープランの利用制限の変更です。こちらは非常に大きなインパクトのある施策であり、しっかりご説明できればと思います。
「Chatwork」にはリリース当初よりフリープランと有料プランがありましたが、その機能制限の部分、これ以上使う場合は有料プランをご利用くださいというラインは、グループチャット数の制限が主でした。このグループチャットというのは1つの部屋のようなもので、チャットで会話するユーザーがたくさんいる部屋です。こちらの数が累計7個までという制限がありましたが、今回、こちらを無制限に変えています。
無制限にする代わりに、今までは制限がなかったメッセージの閲覧が、直近40日以内のチャットの会話を見ることができ、41日目以前のものは見えなくなりました。また、最新5,000件という制限もあり、40日以内であっても累計で5,000件を超えると過去のメッセージが見えなくなるという制限に変更しています。
また、これは制限の拡張ですが、メッセージの検索においても検索結果の表示件数が最大100件から最大200件へ変更し、一方で検索オプションという発言者や期間の絞り込みは有料プランのみに変更しています。ユーザー管理機能は先ほどの統合のとおりですが、フリープランでもユーザー管理機能を提供することで、無料でも法人利用できるよう変更しています。
一番大きいのは先ほどの制限のところです。グループチャット数の制限が、メッセージの閲覧の制限に変更されています。冒頭にお伝えしたとおり、社外との接続のしやすさ、ネットワーク効果で紹介がどんどん進んでいくことが、「Chatwork」の最大の強みですが、このグループチャット数の制限により、社外の人を含めたグループを作ると無料枠が減ってしまうために、一定の抑制がかかっていました。
そこを超えるために有料プランに移行してもらうことで制限が機能していた面はあったのですが、よりプラットフォームを目指していくということで、もっと紹介しやすくすることが最大の目的となっています。こちらの変更により、社外の方を巻き込んだグループをどんどん作っても大丈夫な状態になっています。
しかし、まったく制限がないとなると困るため、メッセージの閲覧を制限し、直近のやり取りは問題なく閲覧できますが、長期間使っており、過去に重要なやりとりをしているようなお客さまには有料化いただけるように変更しています。
(参考)プラン変更に伴いフリープランからの有料化数が急増
参考に、直近の初速をお持ちしています。こちらのプラン変更において、10月にフリープランからの有料化数が急増していることが見えます。
今までグループチャット数の制限は7つまででしたが、もちろん6個や5個のユーザーも多数おり、そのユーザーは制限がないような状況でした。しかし、メッセージの閲覧の制限で41日以前のメッセージが見られなくなるため、有料化が急増しています。
こちらは短期的な伸びだと思っており、今まで累積されていた、制限にかかっていなかったユーザーの有料化によってぐっと増えているところはありますが、そちらが少し、11月、12月とマイルドにはなりますが、中期的には、41日以上使えば制限に引っかかることになるため、有料化率自体は上がっていくと思っています。
そちらは第4四半期の開示でまたご説明できればと思います。10月時点での初速であり、今回の開示には含まれていないため、第4四半期の1月目のところを先出しで見ているとご認識いただければと思います。
トピック③コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)活動報告
3つ目のトピックとして、先ほど紹介したコーポレートベンチャーキャピタル「Chatworkスーパーアプリファンド」の直近の投資案件について紹介します。
直近は2社に投資しており、1社目が株式会社GIGという会社で、5月に出資しています。こちらはマイノリティ出資となっており、GIGはWeb制作などの業務も行っている会社ですが、スキルシェア・DXコンサルティングという、フリーランスのマッチングのようなビジネスを行っている、ワークシップというサービスを展開している会社です。
我々はDXソリューション戦略という、中小企業のDXを促進する戦略を取っているため、そちらにおいてパートナーシップを組む展開も考えており、現在いろいろな取り組みの方法を協議しています。
もう1社がGVA TECH株式会社で、こちらはリーガルテックの会社です。こちらは9月にマイノリティ出資を行いました。こちらは契約書のAIによるチェックといったサービスを展開している会社です。中小企業の法務体制というのは課題感の大きい分野であり、我々としては法務系のサービスとのアライアンスを強化したいということで、資本業務提携を行っています。こちらは10月からすでに送客を進めており、初速は好調と聞いています。
このようなかたちで定期的に報告できればと思いますが、我々のプラットフォーム戦略に対して非常に重要なシナジーがあるような企業に対し、出資を含めたアライアンスを行っています。
中期経営計画
中期経営計画の進捗をお伝えします。冒頭にお伝えしたことと少し重複するところはありますが、中期経営計画では主力のChatworkセグメントにおいて、2021年から2024年で、CAGR40パーセント以上の売上成長を実現するというコミットメントを出しています。
また、2024年度に全社売上100億円、そして中小企業向けビジネスチャット市場で40パーセントのシェアを獲得しNo.1となることを目指しています。No.1のシェアの程度として、我々はそれを暫定的に40パーセントと見据えています。
目標値を大幅に上回る売上成長を実現
CAGR40パーセントのところを、初年度はプラス47.9パーセントと大幅に上回るペースで進捗しています。
中期経営計画における3つの戦略の進捗
中期経営計画における3つの戦略のそれぞれの進捗をお伝えします。ロードマップはそれぞれスライドのとおりです。戦略の詳細については決算説明資料の後半に中期経営計画の概要と詳細があるため、そちらをご参照ください。ここでは省略します。
1つ目の、赤色で示したProduct-Led-Growth戦略は、プロダクトが成長を加速するという、プロダクトによってユーザーや売上高の拡大を展開していく戦略です。先ほどのトピックにあった、フリープランの大幅な利用制限もこちらの戦略の一部となっており、有料ユーザーの急増で非常に良いスタートになっていると思います。
2つ目の、水色で示したHorizontal×Vertical戦略は、顧客理解を深め、業界特化のコミュニケーションを行っていく戦略です。そのためにも、お客さまの業界、会社の規模、役職といった顧客のセグメントデータがコミュニケーションにおいて非常に大事になっていきますが、こちらの拡充が順調に進捗しています。
このようなデータの拡充をされたお客さまに対しては、プラットフォームサービスの提案の効率が上がっていることが足元ですでに見えてきており、引き続き拡充を進めていきたいと思っています。
3つ目の、緑色で示したDXソリューション戦略は、プラットフォームのほうでビジネスチャットを通したDXを行っていくという戦略です。先ほど紹介したCVC、新規出資および出資を伴わない業務提携もたくさん行っており、このような展開から提案サービスのラインナップがさらに拡張し、順調に進捗しています。
業績ハイライト
井上直樹氏:私のほうから第3四半期の業績をご報告します。まず、連結売上高およびChatworkセグメント売上高です。特に最重要指標であるChatworkセグメント売上高については前年同期比プラス32.1パーセントと、順調に進捗している状況です。TV CMの展開や組織拡大による人件費の増加により、営業損失については前四半期比で拡大しています。
業績サマリー
こちらのスライドは業績のサマリーです。先ほどお伝えした数字が並んでおり、赤字幅は今回拡大している状況です。
売上高推移
売上高の推移です。全社の売上高については前年同期比プラス30.3パーセント、最重要の経営目標であるChatworkセグメントについては前年同期比プラス32.1パーセントと順調に成長しています。セキュリティセグメントが少し減少した影響はありますが、本業であるChatworkセグメントは順調であり、前四半期比で増加幅が加速しています。
登録ID数・DAU数推移
登録ID数およびDAU数の推移です。登録ID数は556.6万IDで、四半期での新規獲得数が継続的かつ順調に伸長しています。
DAU数についてはこれまで四半期内の最大値を報告していたのですが、今回から中央値の数字へ遡及的に変更しています。四半期のDAU数は101.7万IDで、前年同期比で9パーセント増加している状況です。
課金ID数・ARPU推移
課金ID数およびARPUの推移です。課金ID数は60.6万IDで、順調に上昇を続けています。先ほど山本からご説明したように、パーソナルプランからビジネスプランへの移行に伴い、課金失敗しているアカウント6,000ユーザーほどをフリープランへ変更しているため、この影響を除くとこれまでの増加トレンドに変化はないという状況です。ARPUについては前年同期比プラス12.9パーセントと、順調に向上しています。
売上総利益・売上総利益率推移
こちらは売上総利益および売上総利益率の推移です。売上総利益は前年同期比31.6パーセント増と伸びており、売上総利益率は前年同期比0.6ポイント増の67.5パーセントとなっています。開発の人件費上昇と円安によるサーバー・システム費の上昇によって、売上総利益率は前四半期比では若干減少しています。
営業利益推移
営業利益の推移です。今回、TV CMの展開による広告宣伝費の増加、順調な採用による人件費の増加、加えて円安によるサーバー・システム費の増加により、前四半期比で赤字幅が拡大している状況です。
ただし、認知率向上や体制構築に一定の成果が見られたため、今後は売上増と利益の改善が同時に進むフェーズへ大きく移行します。来期以降については今期と比較して赤字幅が改善する想定です。
費用構成推移
費用構成の推移です。組織拡大による人件費増、広告宣伝費の増加、円安によるサーバー・システム費の増加により、費用は前四半期比で増加しています。
従業員数推移
従業員数の推移です。引き続き採用は順調に進んでおり、当四半期はプラス20名の純増となっています。フェーズの変化に伴い、一時的に離職率が高くなったものの、その後多少改善しました。特に組織崩壊が起きているといったことはなく、安定した組織運営ができています。
2022年12月期 業績予想(修正)
山本:前回の開示から業績予想を修正しています。2022年12月期の売上高は、前回は44億5,100万円から45億5,200万円のレンジ開示でしたが、今回は45億5,200万円と、レンジの上限で業績予想を出しています。
主力のChatworkセグメントに関しては、売上高42億5,600万円から44億1,400万円だったところを上限近くの43億3,300万円としています。売上総利益はレンジを上回る31億1,700万円です。営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれマイナスの予想ですが、以前お出ししたレンジよりも1億円強改善した数字となっています。
この修正は、施策の選別を行った結果人件費と業務委託費を抑えられ、営業赤字が前回開示したレンジよりも縮小し、しっかり利益を出す体質に変わってきているということです。
利益及び投資に関する考え方
中期経営計画をお出ししている中、赤字が大きくなってきているため、利益及び投資に関する考え方について中長期のイメージをご説明します。赤い矢印が中期経営計画で掲げているChatworkセグメントにおけるCAGR40パーセント以上という目標、青い曲線が営業利益のイメージです。青い曲線からおわかりのとおり、事業はいったん赤字となりますが、売上成長とともに利益は改善し、Jカーブを描いて黒字化していくイメージを持っています。
SaaSにおいて新規顧客獲得コストやセールスマーケティング費用などの広告宣伝費が単年度にかかってきますが、月額課金のビジネスであるため、次年度以降も月額課金の売上が発生します。このようにライフタイムバリューというかたちで次年度以降の売上になるため、我々はこれを将来への投資だと考えています。
中期経営計画で示したとおり、今が投資の最重要フェーズと考えており、認知広告及び広告宣伝費を大きく増やして中長期の成長を確かなものにしていきます。
ただし、認知広告を含めたマーケティング費用は、各種KPIやライフタイムバリューを下回る顧客獲得コストになっているかという視点で投資対効果を見定め、確実に投資をしていきます。
質疑応答:フリープランのサービス内容変更について
司会者:「フリープランのサービス内容変更について、ユーザーの反応や初動について再度詳しく教えてください」というご質問です。
山本:フリープランの利用制限を、グループチャットの制限からメッセージ閲覧に変えるという非常に大きな変更を行いました。この変更によりユーザーの解約が増えるのではないかというご心配があるかと思いますが、有料化数としては非常にポジティブな数字が出ています。
当然、ポジティブとネガティブ両方の反応が出ていますが、「この変更により紹介しやすくなった」というポジティブなお声をたくさんいただいています。反対に、ネガティブな面では「過去のメッセージが見られなくなって困る」というお声もあります。
これらが今後どのように動くかは注視していかなければいけませんが、足元の有料化数は非常にポジティブに出ており、解約数やアクティブ数には大きな変化はありません。引き続きしっかりモニタリングしなければいけませんが、今ネガティブな反応が多く出ているという状況ではないため、うまく進んでいるのではないかと思っています。
質疑応答:黒字化のタイミングについて
司会者:「今期赤字とのことですが、黒字化の目処を教えてください。赤字幅が改善するとの記載がありますが、来期に黒字化するという理解でよいのでしょうか?」というご質問です。
山本:我々は投資フェーズということで、赤字に踏み込みつつ、投資を一段と加速してきました。その結果、人数が増えて体制が拡大し、非常に強力な組織体制ができてきており、またTV CMなどを行ったことで認知度が一気に上がったため、これからしっかり利益改善できるようなフェーズに移ってきたかと思っています。
いつ黒字化するかについては今計画を策定中ですので、まだ明確にお話しできないのですが、黒字化に向けてしっかりと進んでいくフェーズになってきています。
質疑応答:中期経営計画の達成に向けた施策について
司会者:「第3四半期の売上高が前年同期比30パーセント強の成長とのことですが、中期経営計画の達成に向けてどのような施策を考えているのでしょうか?」というご質問です。
山本:売上高の成長率が前年同期比30パーセント強で、中期経営計画の「CAGR40パーセント以上」に対して成長が足りないのではないかというご心配があるかと思います。昨年度は40パーセントを超える成長があったのですが、今回の業績予想では全社の売上高は前期比35パーセント増と少し成長率が落ちる見込みです。
ただし、Chatworkセグメントのアカウント事業ARRはきれいな右肩上がりになっているように、ビジネスチャットについては堅調に伸びていくと考えています。それに加え、我々の成長のキーとなるのはプラットフォームの部分です。「Chatwork」自体が成長していくとともに、そのプラットフォーム上に多くの事業が乗ることで成長率が一層引き上がります。
こちらは今、一生懸命種を蒔いているところです。種が芽吹き、「Chatwork」の成長とプラットフォーム周辺のサービスを掛け算して広がっていくことを実現できると、成長率も一段と上がってくるという想定で、CAGR40パーセント以上の成長を達成するために努力しているところです。
質疑応答:ビジネスチャットの競合状況について
司会者:「ビジネスチャットの競合状況について、直近で変化はありましたか?」というご質問です。
山本:テック・エンジニアに強いA社と、エンタープライズに強いB社が主要な競合で、「Chatwork」を加えた主要なビジネスチャットのプレイヤーの立ち位置に直近で変化があったようには思えません。
コロナ禍が当たり前になり、根本的な変化は起こったものの、その変化が少しずつ根付いていっています。我々は中小企業に強いものの、依然として市場普及率は20パーセント弱です。競合同士で奪い合っているのではなく、それぞれ得意とする領域で、メールや電話・FAXと対峙している状況ではないかと思います。
ビジネスチャットの普及率がもう一段加速してくると競り合うような状況になると思いますが、現在はそれほど競合を意識しなくても成長できているというのが所感です。
山本氏からのご挨拶
本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。ご説明したとおり、売上成長率は堅調な成長を実現でき、利益に関してもしっかり改善するということをお示しできる決算になったのではないかと思っています。
これから、利益の改善もしっかりと進めてまいりますが、コミットメントである売上成長についても実現できるよう、高い成長率を実現しつつ、着実に利益も出せる会社に成長していくことを目指してまいります。引き続き、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。