最高の企業の見つけ方
馬渕磨理子氏(以下、馬渕):みなさま、こんにちは。「馬ちゃん」こと経済アナリストの馬渕磨理子です。このチャンネルでは金融に関わる情報や株式投資のトレンド、みなさまからのご質問にお答えしていきます。
今日は「最高の企業の見つけ方」についてお話ししていきたいと思います。ウォーレン・バフェットさんをご存知ですよね?
ナビゲーター:世界一の投資家と言われていますよね。
馬渕:そのとおりです。バフェットさんは優良企業を株価が安いところで見つけ出すことがとても得意なのですが、どのように判断して最良・最強の企業を見つけているのかを知りたいと思いませんか?
ナビゲーター:知りたいです。バフェットさんと言いますと、コカ・コーラですよね。
馬渕:そうです。コカ・コーラは配当金が継続して出ているため、持っているだけで毎年お金が入ってくる高配当株です。私もコカ・コーラの株を持っています。
ナビゲーター:最高の企業を見つける人と言いますか、すごい投資家ということは僕も知っています。
馬渕:バフェットさんがなにを見て判断しているのかが書かれている『史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール』という本があります。こちらがとてもわかりやすいため、簡単にご紹介します。
バフェットさんがどのような企業に注目しているかと言いますと、まずはユニークな商品・サービスがあり、さらにはそれがみんなから受け入れられているようなサービスで、安いコストで仕入れて安いコストで売っている企業です。
これに当てはまれば長期保有するという考え方なのですが、この条件に当てはまる企業をどのように見つけたらよいかはあまり知られていないと思います。
ナビゲーター:そうですね。そのような条件は軽く聞いたり勉強したりしたことがあるのですが、どのように見つけるかはあまりわかっていません。
馬渕:コカ・コーラなど優良企業はいろいろありますが、それをなにから紐解いているかと言いますと、やはり「企業が出している情報を読みましょう」と言っているのですよね。バフェットさんと同じように、株価が低迷しており注目されていない企業を単純に買っていく人もいますが、これは安いままの可能性のほうが高いと思います。
その銘柄が果たしてAppleやコカ・コーラのようになるのかがわからないため、「チャートだけでなく財務諸表などの企業が出している情報を読みましょう」と教えてくれています。
売上利益や現金が載っている表などを見ると苦手意識を感じる人もいると思います。読み方を会計の本で勉強するのは難しいですが、この本にはバフェットさんが投資家としてどこを見ているのかが非常に簡単に書かれています。投資する上で決算資料を見ていく時に簡単に読む方法だと思っていただければと思います。
ナビゲーター:その本で最高の企業の見つけ方と言いますか、見極め方がわかるのですね。
馬渕:そのとおりです。決算資料は非常に大量の資料がありますが、その中で「このページのここを見てください」と書かれています。例えば、売上や利益が載っている資料ではなにに一番注目したらよいかが書かれていたりします。
一番よいなと思ったのは、「まず利益の源泉がなにかを見極めましょう」というところです。コカ・コーラは「あの商品を売ってこの利益が出ている」ということがわかりやすいですが、「この会社はなにで儲けているのかがわからない」という少し複雑な企業もあります。
ナビゲーター:たくさんありますね。
馬渕:そのようなことはあまりよくないと思うのです。つまり、「なにで儲けているのかが理解できる企業を選びましょう」ということです。
それを理解した上で、その企業がどのくらいのコストを使っているのかも見て、費用を使いすぎている会社はよくないと判断します。さらに、最終利益がどのくらい残っているのかを確認し、この利益が右肩上がりに成長していれば一応、問題ないという判断になります。
例えば、メルカリはかなり赤字を出しています。メルカリのCMはよく見ますよね。一時的に黒字に転換しましたが、広告宣伝費を使いすぎているため基本的には赤字です。一方で、上場することもでき、高く評価されています。
しかし、バフェットさんは「できれば経費はあまり使っておらず、きちんと利益が残っている企業を選びましょう」という考え方です。
ナビゲーター:バフェットさんのように優良企業を長期的に持っておくために、シンプルな企業を見極める方法や条件がいろいろ載っているのですか?
馬渕:そうです。その究極は純利益が右肩上がりであることというのは誰でもわかりますよね。
本から学んだこと
ナビゲーター:馬渕さんは実際にこの本を読んでいろいろ勉強して、見極め方がわかりましたか?
馬渕:そうですね。私はもともとテクニカル派で、投資デビューした直後は為替と日経平均株価の連動を見るトレーダーでした。
株式トレーダーの中にはニュースなどで判断せずにチャートだけを見て売買するチャート派と、財務などを見て売買するファンダメンタルと言われる人と、どちらも組み合わせて売買する人がいますが、私は完全にチャート派でした。
為替や日経平均株価の指数を見るだけならよかったのですが、その後私はアナリストに転職し、企業分析を行わないといけない職種になりました。そうなると、財務は絶対に分析できないと困ります。ちょうどその時、2015年くらいにこの本に出会い、「財務諸表はこのように読むんだ」と理解してP/L、B/Sなどの決算資料を読むようになりました。
ナビゲーター:では、馬渕さんはどちらもプロということですね。
馬渕:そこまでではありませんが、今はミックスです。
初心者におすすめの投資法
馬渕:性格にもよりますが、基本はよい銘柄を見つけてしばらく放っておくことが初心者には一番安全だとは思います。
ナビゲーター:経験が必要ですか?
馬渕:例えば、私は1分足や5分足でトレードしていた時もありましたが、それは瞬発力が必要なトレードです。同じ投資でも、短期トレードとバフェットさんの手法はまったく別物だと思います。
ナビゲーター:長期投資で、それこそバフェットさんのようによい銘柄をずっと保有したいという人は、この本を読むとよいということですね。
馬渕:この本を読んで、財務諸表を簡単に読める程度になるとよいと思います。
ナビゲーター:最高の銘柄を見つけるには、財務諸表を読む力が必要ですね。
馬渕:そうですね。財務諸表を読む力が必要というのが結論になります。
投資のリスクを回避できるか
馬渕:この本に「エクイティボンド」という言葉が出てきます。株は基本的に元本が保証されないという考え方で、投じたお金がゼロになる可能性もあります。しかし、バフェットさんは「優良・最強の企業の場合は、元本が保証されている株式を買うようなものだ」と言っており、ゼロにはならない考え方を提案しています。
つまり、優良企業をきちんと選定すると、元本を保証されながら利益や配当をもらえるということです。これは株式投資家の中では常識ではない話で、多くの人は元本は保証されないと思っています。
本当によい企業を見つけ出して株価が安いところで買っておけば、元本は当然保証されて、値動きとともに上がっていくということで、「そのような企業をしっかり見極めたらよい」というところが印象に残りました。
ナビゲーター:長期投資で財務諸表をきちんと読む投資法は、投資の一番のリスクである「元本が保証されない」という部分をクリアするということですか?
馬渕:バフェットさんは「クリアする」という考え方なのですよね。
ナビゲーター:つまり、安心して投資したい人には非常におすすめできますね。
馬渕:そうですね。きちんと学びながら投資すると、自分の身を守ることができるということですね。よい学びでした。
ナビゲーター:まさに投資初心者の方にぜひ読んでいただきたいですね。
馬渕:そうですね。決算資料が簡単に読めるようになると、とてもよいと思います。