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五十嵐幹氏(以下、五十嵐):みなさま、こんにちは。ただ今ご紹介いただきました、株式会社クロス・マーケティンググループ代表取締役社長の五十嵐幹でございます。本日はお暑い中お集まりいただき、誠にありがとうございます。それでは株式会社クロス・マーケティンググループ2022年6月期通期決算についてご説明したいと思います。

本日の流れです。はじめに、グループ概要・事業内容をご説明し、次に通期の決算概要、トピックス、そして来期の2023年6月期の業績予想についてお話しします。5番目は、株主還元・配当金額についてです。その他、参考データと中期経営計画の概要について、資料を添付しています。

会社概要(2022年6月末現在)

最初に、グループ概要・事業内容についてご説明します。株式会社クロス・マーケティンググループは、創業は2003年4月1日で、本年をもって20周年を迎える会社です。

事業規模に関しては、売上高が249億円、営業利益は25.2億円です。その他、指標については、スライドのとおりです。

事業内容は、主な事業が3つあります。今一番主力なのが、デジタルマーケティング事業です。こちらが前期の段階で売上高100億円を突破し、一番大きな事業セグメントになっています。

次にデータマーケティング事業、インサイト事業という区分になっています。詳細な事業内容は、後ほどあらためてご説明します。

関連会社については、連結子会社は、海外を含め30社あります。持分法適用関連会社は2社です。従業員は1,441名です。海外の従業員は約400名弱いるという構成です。

代表取締役紹介

この会社の創業者である私自身が、どのような経歴を経て今の会社を運営しているのかについて、簡単に紹介します。

東京生まれの東京育ちです。1973年生まれで、今年で49歳です。大学時代から起業家志望で、いつか独立したいという夢を抱えていました。大学を卒業したのが1996年で、まだインターネットビジネスは始まっていない時期でした。ちょうど前年には「Windows95」が発売され、やっとIT化社会を迎える入口の頃でした。

私自身はファーストキャリアとしては、ベンチャーキャピタル、つまりベンチャー企業に対して投資する金融機関である日本アジア投資に入社し、まずはベンチャー企業のことを、IPO支援を通じてIPO関係の実務と合わせて深く学んでいこうという志で、こちらに約3年弱お世話になりました。

その後、2000年には時代が大きく動き、インターネットの黎明期として、数々のインターネット企業が生まれる時期を迎えました。

私がさまざまな投資先を集め、みんなでインターネットのメディアを作っていく合弁会社を作っていこうと声を上げ、企画が通りました。私自身が企画しましたので、会社を辞めてこちらに1からジョインし直しました。

その時に、インターネットメディアを立ち上げる会社を運営していましたが、私は事業開発の担当や営業関係の責任者に従事していました。その後、ネットバブルの崩壊とともに、なかなか資金調達がうまくいかない状態になってしまいました。

数々の新規事業を進める中で、今後伸びていくと思える事業もあり、潰すには惜しかったことから、2003年にクロス・マーケティングを創業し、最初のプロダクトとしてインターネットリサーチから手掛けました。

その後、創業から5年目の2008年に、インターネットリサーチの専業業態の企業として、東証マザーズに上場しました。それから10年をかけ、多角化やM&Aを通じて業態規模を拡大しながら、2018年に東証一部へ市場変更しました。そして本年、東証プライム市場へ移行しました。

外部の要職に関しては、東証一部の株式会社レアジョブというオンライン英会話の社外取締役も務めています。こちらの会社については、上場前から社外役員を務めています。その他、一般社団法人日本マーケティングリサーチ協会、いわゆる業界団体の副会長も務めているという経歴です。

事業セグメントと主なグループ企業

事業セグメントと主なグループ企業です。3つの主力事業があり、それぞれの機能ごとに30社振り分けた構成で、グループ会社があります。

左のデジタルマーケティング事業では、システム開発からデジタルプロモーションまで一貫して、グループ全体としてサポートできる業態を構築しています。

すなわち、新しいインターネットビジネスを始めたいお客さまが、アプリを企画する段階から、実際のシステム開発、そしてそれを普及させるためのプロモーションのお手伝い、その後はシステム改修も含めた保守・運用業務まで、一貫した体制が組まれています。

昨年には売上高100億円を突破し、売上構成比は40.5パーセントを占める、大きな事業に育ってきています。

次に、データマーケティング事業についてです。こちらは、売上高83.7億円を占める事業です。私どものインターネットリサーチという仕事では、インターネット上に会員組織を置き、日々消費者からアンケートを集める仕事をしています。

このデータマーケティング事業では、そのようにインターネットからデータを収集する、データ回収作業を主に行っています。こちらが、売上構成比で33.6パーセントを占めている事業です。

右側のインサイト事業では、データ収集したものから、商品企画から実際の広告戦略、もしくはローンチ後のマーケティング活動の支援を行います。消費者データに基づき課題を解決していくという、マーケティングリサーチ上のサービスを、総合的に提供しています。こちらの売上高が64.5億円で、売上構成比は25.9パーセントです。

以上の各事業について、グループ会社32社を通じサービスを提供しています。  

企業理念

企業理念についてご説明します。私たちの業態をひと言で言いますと「新しい商品が生まれていくプロセスを総合的に支援していく」ということで、世の中に新しい事業やサービス、新しいものが生まれていくところを、BtoBという立場で支援していくビジネスを行っています。

ひいては、生活者および消費者であるお客さまの未来を作っていくことも含め、企業理念として「未来をつくろう。」と掲げています。

主要な事業展開 及び 実績推移

主要な事業展開および実績推移です。業態を開発していく中で、自社で新しい事業を作っていくことも含め、M&Aを数多く活用しています。今まで18社が、M&Aを通じてグループ入りし、そのプロセスの中でさまざまな業態開発を行ってきた歴史があります。

スライドでは2009年以降からの沿革について記載していますが、上場した2008年は、リーマンショックの時でしたが、1つの事業モデルだけでした。

リーマンショックが起きていく時代背景の中、BtoB一本足打法だと非常に経済基盤も弱いと判断し、さらに成長力の強い会社を作り、より大きな市場に出ていくために、数々のM&Aを実行してきました。

東証マザーズに上場した時は、売上高約30億円くらいの規模の会社でした。そこから、「インターネットリサーチの会社から総合的にマーケティングリサーチできる会社になっていこう」という方針を掲げ、数々の会社に対しM&Aを行いながら、機能強化も図ってきました。

2012年6月に、ITソリューションの分野に進み、クロス・コミュニケーション事業を取得しました。2000年代にモバイルコンテンツで非常に有名になったインデックスという上場会社があるのですが、そちらのSI事業部を買収し、アプリ開発やホームページ制作を含めた受託開発の部隊を取得しました。

この背景には、モバイルファーストといわれる、スマホがかなり販売されてアプリがどんどん作られていく時代の到来があり、この流れに沿ったかたちで、IT機能強化に向けて、M&Aに踏み切っています。

一方で、2012年後半からは海外進出を始めました。当時は日中関係が非常に良好で、尖閣諸島の問題も出ていなかったため、中国に対して、日本の新興企業も出ていこうという機運の時代でした。

私どもも広い市場に出ていこうという方針を持ち、この段階で上海に進出しました。さらに、アジア大陸に対してBtoBのサポート、支援をしていこうと、シンガポールにも拠点を開設しています。これらの結果、2015年に初めて売上高100億円を突破しました。

その後、M&Aも含めて数々の業態確立を図り、2016年くらいからは、さらにマーケティングリサーチ・システム開発のみならず、デジタルマーケティング全体に対して支援していける業態構築の開発が始まりました。D&Mというデジタルプロモーションの支援会社を自社で設立したりしながら事業領域を拡大してきています。

2020年の12月には、ドゥ・ハウスというサンプリングサイトの最大手の会社も買収し、より総合的にDXに対して支援できる業態構築を図ってきています。

私どもは、コロナ禍が始まった2021年の半年間は、非常に大きな影響を受けました。しかしその頃から仕掛けていた業態開発のおかげで、V字回復の過程に入り、今はその追い風をかなり受けて、2022年6月期の段階で売上高が249億円まで到達しています。

事業の変遷

今お話ししたのが、こちらの事業の変遷です。もともとネットリサーチに始まり、次に総合的なマーケティングリサーチに踏み出しました。その後、ITソリューション部隊の立ち上げを行い、「マーケティングDXソリューション」へ展開しました。

近年はメディア・プロモーションを含めた開発やM&Aまで進めており、全体的にマーケティング分野におけるDXソリューションパートナーになっていこうという方針を掲げながら、次の成長戦略を組んでいる状態です。

グループ全体の強み

グループ全体の強みです。1つ目は、約30社くらいのインターネットメディアと事業提携関係にあることです。1つの仮想データベース、シングルソースとして約752万人のパネルネットワークを組み、当社自身のサーバーで最大2,500項目の詳細プロフィール、消費者のデータを持っているという強みがあります。

このデータベースをプロモーションに活用したり、インターネットリサーチに活用したり、もしくは新しいデジタル的なサービスを作っていく中でもこのパネルを活用できる、そうしたパネルネットワークを保有しています。

2つ目はデータアナリティクス技術で、300名超のアナリスト組織を有しています。もともとマーケティングリサーチという仕事自体、消費者データを分析しているということで、非常に分析に長けている集団を保有しています。

最近では、サーバー内のビッグデータをどう扱っていくのかということが主要な論点になってきていますが、もともとそのような素養を備え、確かな技術を持つプロフェッショナルが約300名いるため、そこにデジタルデータも付加しながら、総合的に分析できる土台があります。

3つ目は、グループ32社を通じた法人営業窓口です。約5,000社のアカウントがあり、かつ、マーケティングを行う窓口が7万2,000窓口あります。今後はグループ全体の活用を念頭に、この7万2,000窓口に対して、グループ内の新しいサービスを創造したり、クロスセルをかけていく土台づくりを進めています。

4つ目の強みは、ネットリサーチシステムも含めた、自社の開発体制を保有していることです。近年はDXの流れの中で、エンジニア集団の確保が困難になってきていますが、私どもはグループ単体だけでも100名超のエンジニア組織を保有しています。すなわち、事業規模に見合った売上規模と、人員体制を保有しているグループであるということです。

グループ全体の強み【パネル活用】

先ほどご紹介した、1つ目の強みのパネルについてお話ししたいと思います。私どものビジネスでは、パネルがインフラとして非常にキーになっています。

理由は、利益率を大きく上げていく1つの手法であるためです。パネルに対してどれだけのサービス群を提供していくか、このデータベースを何回転させていくかによって、収益率が大幅に上がっていくビジネスモデルになっているためです。

スライドに示しているとおり、データマーケティング事業からの活用も行います。すなわちインターネットリサーチを通じて、このパネルネットワークに対してアンケートの配信を行います。それでマネタイズをしていくかたちです。

デジタルマーケティング事業においては、パネルネットワークに対して、広告配信や、さまざまなネットの広告サービスを提供しています。

インサイト事業においても、調査で活用しています。オンラインのモニターをオフラインの会場や、いろいろな場所に実際に送客しながら、データを集めているということです。

私どものM&Aの方針においても、サービス開発の方針においても、このパネルを軸にしながらどれだけサービスを増やしていくかによって、このパネルを何回転させるかによって、大きく成長と収益率が変わってくると捉えています。

グループ全体の強み【パネルネットワーク数】

このパネル基盤の成長と、ネットワークの広がりについてです。この5年間で294万人のネットワークから、現時点で752万人までシングルソース化されています。延べ登録数は約3,000万人弱を抱えている、大規模なネットワークになっています。

こちらには単純に、みなさまがさまざまなWebサービスを利用するにあたって、会員登録の際に、例えば性別や住所、職業などの簡単な10項目くらいのデータを提供いただいています。ただしそれだけではなくて、消費者調査に基づく2,500項目の詳細なプロファイルデータを持っている752万人分のデータベースがあります。

すなわち、住居形態や年収、どんなクレジットカード会社と契約があるのか、どのようなネットオンライン証券会社を使っているのか等のさまざまな詳細データが752万人分あるということです。

さまざまな2,500項目にわたる詳細データを、私どもの側で保有しており、そのデータベースに基づいて、メディア側に配信の依頼をかけています。したがって、非常に強固なネットワークになっています。

当社グループのビジネスモデル

ビジネスモデル全体についてです。私どもは、総合的なマーケティング支援会社として、左側に示した顧客のマーケティングプロセス、つまり新商品開発の手前の基礎調査から始まって、新商品を作っていくプロセスなどに関わります。

その後、実際に世の中に出していく際に、さまざまな消費者にサービスを提供している会社がスライド左側のようなマーケティングプロセスのサイクルでビジネスを進めていて、当社はスライド中央に示したような関わり方をしています。

初めは生活者のデータをちゃんと集め、それをインサイド事業において分析して、商品開発の方向性や、マーケティングプランの構築支援を行っていきます。

その後さらに、デジタル領域において、実際にネットサービス、もしくはネットを活用したマーケティングを進めていく場合は、「アプリを作りましょう」「ホームページを作りましょう」などのニーズが生まれます。

実際にそれらを保守・運用しながら、かつ会員数の獲得まで、総合的なグループのアセットを活用しサービスを提供しているという構造になっています。

当社グループのビジネスモデル

私どもの強みについてご説明します。当社グループは、リサーチ機能を内在化したマーケティング実行支援会社でもあります。リサーチ機能とは、インターネットリサーチの登場前は、ハイコストなもので、1つ調査するだけでも数百万円かかってくる時代がかつてはありました。

それがインターネットリサーチの提供によって、100万円くらいまでコストは落ちました。私どもはそのようなリサーチ機能を内在化しているということで、モニターに対する謝礼コストさえ負担してしまえば、いくらでもマーケティングデータは取得できるという機能を持っています。

かつ、私どもは、まず事実を押さえてからマーケティング提案することができ、競合他社に比べて、先に事実をぶつけられるという強みがあります。ファクトベースでコンサルティングしていける、マーケティング実行支援の会社であるということです。

これが非常に強みで、どんな小さな企画からも、自分たちのリサーチ機能を内在化して提供でき、事実に基づいて提案できることが強みになっています。

デジタルマーケティング事業(事業内容)

詳細な事業紹介です。どのようなサービスを提供しているのか、順にご紹介します。

まず、デジタルマーケティング事業におけるメディア事業についてご紹介します。こちらは、ドゥ・ハウスという中核子会社が担っています。会員数200万人の「モラタメ」という試供品や新製品を試せるサイトを運営しています。

新しい商品が出ると、お菓子だったらサンプリングがありますし、化粧品だったら試供品が店頭に並びます。そのようなものをインターネット上で提供するサービスです。

お客さまに配送料だけ負担していただければ、例えば新しく出たビールを24缶まとめて送ってお試しいただけるような、非常にユーザーメリットがあるサービスを提供しています。やはり現代は、プロモーションの入口として、大量に口コミを集める必要があります。検索より口コミから発信させていくため、新商品をまず伝えなければなりません。

「モラタメ」というサービスは、大量に口コミを集める機能があります。実際にサンプリングした商品を使っていただいて、ユーザーのコメントを大量に集め、さらに次のメディア展開に活用していくことで、マーケティングの入口になっています。

現在、年間約210万個のサンプル品を提供しており、このジャンルではナンバーワンになっています。

デジタルマーケティング事業(事業内容)

次に、ディーアンドエムという、プロモーションを提供しているエージェンシーについてご説明します。

ただのエージェンシーではなく、自社のグループ商品を売っています。私どものグループで保有している750万人のパネルネットワークに対して、2,500項目の詳細データを持っているため、よりターゲティングが明確にでき、非常に反響性が高いプロモーションを行っています。

今後、Cookie規制などが入っていく中で、しっかりとした会員組織でなければ、ユーザーの行動履歴も取れなくなってくると考えられます。私どものパネルネットワークはそのあたりもすべてクリアしているため、よりリアルなデータとして、このようなプロモーションサービスの提供が可能になります。

デジタルマーケティング事業(事業内容)

デジタルマーケティング事業で最後に紹介するのは、スライドに掲載しているようなアプリを作るものです。実際に使っている方が非常に多いのではないかと思います。SBI証券系のアプリや、JAFデジタル会員証、セゾンの「永久不滅.com」のポータルサイト、ソニー銀行、スターフライヤーなどを手掛けています。

特に金融機関の採用実績が非常に多いです。オンライン証券会社では約70パーセントのユーザーさまに使っていただくなど、数々の大手オンライン証券会社にサービス提供しています。旅行分野では、HISの国内版アプリはすべて私どもが手掛けています。

システム的な対応は、ネット上における大量の取引データを、ミスなく回しきれ、品質がよいと好評を得ています。私どもは、プロモーション的なアプリというよりは、取引系のアプリに非常に強い会社です。これらも含めて、豊富な採用実績とシステム開発力に定評があります。

データマーケティング事業(事業内容)

次にデータマーケティング事業です。こちらはシンプルに、私どものパネルネットワークに対して、オンライン上でアンケートを流す事業です。年間約3万件のリサーチ案件を取り扱っており、日々何百件のオンラインアンケートが750万人に対して配信されています。

データマーケティング事業は、「とりあえずデータだけ欲しい」というお客さまの市場調査部やマーケティング部門に対応している事業になります。

インサイト事業(事業内容)

インサイト事業は、単純にデータだけではなく、詳細な分析までした上で、お客さまのマーケティング課題に沿って、十分な分析とレポーティング、または提言を行うコンサルティングサービスになります。

私どもは現在、アジアを中心に世界10ヶ国20拠点以上でサービス提供しています。新商品の開発から、プロダクトを出したあとのマーケティング施策まで分析してコンサルを行うサービスになります。

インサイト事業(事業内容)

このようなオンラインだけではわからないデータの分析・理解のために、インドのコールセンターを含め、グループインタビューや調理可能なテストルームのような設備を国内外に保有しています。デジタル領域に偏らず、総合的にマーケティング支援ができるような情報を集めている会社でもあります。

Executive Summary

2022年6月期の通期決算概要のポイントは3つです。

まず、売上高は249億円、前年同期比31パーセント増です。グループ全体のDX化戦略に基づき、市場の成長以上に大きく伸びました。新型コロナウイルスの影響で、1回ダウンしたものがV字回復しました。さらにグループ基盤を通じて各事業が成長し、それらの複合効果の結果、31パーセント増という大きな成果につながっています。

営業利益も25.2億円、前年同期比38パーセント増となりました。コロナ禍中ではありますが、過去最高業績を更新しました。

一番大きく伸びた事業は、デジタルマーケティング事業です。売上高が55パーセント増で、全体を牽引しました。そのほか既存事業も、2桁増収と、すべての事業で順調に成長できた年度でした。

2023年6月期は、営業利益19パーセント成長で、増配継続を見込んでいます。本年度が3ヶ年計画の2年目になる中期経営計画の営業利益に関しては、非常に順調に進捗しているため、利益目標を1年前倒しさせていただきます。

決算概要

決算概要です。売上高249億円、営業利益25.2億円です。基本的に、前期は上方修正を2回しており、スライドに直近予想を開示していますが、期初予想を大きく上回るかたちで順調に着地した年度でした。

営業利益の増減要因(前年同期間比)

営業利益の増減要因です。すべての事業が順調に伸ばせました。一番大きく利益に貢献したのは、データマーケティング事業で、コロナ禍におけるデジタル利用の増加により、インターネットリサーチが非常に増えました。前年同期比で11.4億円の増加です。

デジタルマーケティング事業では、既存事業のオーガニックな成長、そしてドゥ・ハウスの連結効果にもとづき、前年同期比で約8.2億円の増益になっています。

マイナス要素としては、第4四半期で約3.3億円の成長投資を実施しています。また、創業20周年の株主優待費用を1億円としています。合計4.3億円の一時費用を使った上で営業利益25.2億円に到達しています。

デジタルマーケティング事業

それぞれの事業の内訳です。デジタルマーケティング事業は、グループ全体でDX化の流れを受けていく中で、現在非常に注力している事業分野になります。売上高41.8億円だったものが、100億円まで到達しました。すべての事業が順調に成長し、M&A効果のみならず、既存のプロモーション事業、SI事業も着実に成長し、グループ全体としてデジタルマーケティング事業で年間売上高100億円を突破しています。

データマーケティング事業

データマーケティング事業です。国内の収益性改善で、インターネットリサーチの領域も、コロナ禍前から各種業務プロセスでは自動化を進めており、かなり効率化が進んでいます。

したがって、生産性が上がっている中で、V字回復のみならず、一昨年よりも売上が増加している増収効果も含めて、セグメント利益は24.7億円を達成しています。セグメント利益率も29.6パーセントで、非常に高水準に改善されています。

インサイト事業

インサイト事業です。同様に、コロナ禍のマイナス影響から回復し、一方でコスト構造適正化によりセグメント利益が向上しています。

海外も、インドネシア・シンガポールをはじめ、コロナ禍から回復過程にあり、順調に成長しました。

セグメント利益率は19.7パーセントで、こちらも高収益な事業に育っています。

(参考)海外子会社売上高推移

私どもは、海外10ヶ国で事業を展開しています。スライドは、海外子会社の売上高の推移です。売上回復が継続しており、コロナ禍前を超える売上規模へ成長しています。前期段階で45.3億円まで到達しています。

主に、米国のグローバルなテック企業から順調に消費者データの需要があり、引き続き北米が非常に強い状態になっています。新興国では、人口が多いインドネシアも回復傾向にあり、エネルギー企業や金融業のお客さまから消費者調査案件を数多くいただいています。

前期段階で、海外の売上高構成比は18パーセントになりました。

M&A戦略の推進

前期のトピックスです。基本的には、デジタルマーケティング事業をより強化していくことで、すべての事業部門でDX化の推進がコアになっています。

デジタルマーケティング関連では、合計4社のM&Aを実施しました。いわゆるメディアビジネスです。400万人を抱える美容メディアを買収しました。

また、近年は、検索よりインフルエンサーということで、口コミマーケティングが非常に伸びてきています。インフルエンサーマーケティングの支援事業への本格進出へ、インフルエンサーのマッチングサービスを提供するREECHという会社を買収しています。

食品業界ではノフレを買収し、DX化分野で機能強化を図っています。

事業トピックス(主な新サービス等)

そのほか、各事業体で、DX領域における商品開発を急いでおり、デジタルマーケティング事業からはスライドのようなCMSの提供を開始したり、インフルエンサービジネス「REECH DATABASE」の拡充を図ったりしています。データマーケティング事業では、カスタマーサクセスBIツール「CrossData」の提供を開始し、インサイト事業でも、いわゆる広告効果のシミュレーターを開発し提供しています。

デジタルマーケティング事業領域以外も、DXの商品開発を進めながら、グループ全体としてマーケティングDXソリューションの強化を図っています。

サステナビリティ

グループ全体で数々のサステナビリティの取り組みを推進しています。

まず、メディリードという製薬会社向けマーケティングリサーチサービスの会社からは、新型コロナウイルスの影響に不安を抱えるがん患者に対しての消費者調査を行い、世の中に対して発表しています。

次に、ドゥ・ハウスを通じて、配達限界地域へのドローン配送の実証実験を行っています。また、クロス・マーケティングでは、「国境なき医師団」や「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」に対し、アンケートモニターの謝礼の一部を還元して支援する取り組みも強化しています。

業績予想概要

2023年6月期の業績予想についてご説明します。今期も同様に過去最高業績の更新を計画しています。

ポイントとしては、売上高280億円、前年比プラス12.5パーセントを計画しています。デジタルマーケティング事業が121億円でプラス20パーセント、データマーケティング事業が90億円でプラス7.6パーセント、インサイト事業が69億円でプラス7パーセントです。営業利益は、25.2億円から30億円、プラス19パーセントという計画を組んでいます。

以前に、中期経営計画を発表していますが、概ねその成長率に沿ったかたちで、計画を組んでいます。一方で、営業利益は1年前倒し、2年目の年度末に営業利益30億円を到達させようとしています。

業績予想(中期経営計画)

スライドは、営業利益部分に関しては1年前倒しするということを示した表です。

配当予想

株主還元および配当金額についてご説明します。安定的な株主還元を継続していくため、配当性向15パーセント前後を目安として継続的に増配していく方針を掲げています。

2023年6月期は上期と下期で6円ずつを計画しており、通期では12円です。2022年6月期は9.6円で、2.4円の増配で計画を組んでいます。

以上、クロス・マーケティンググループ2022年6月期の決算概要のご説明をさせていただきました。

質疑応答(要旨)

<質疑応答1>

質問者:ご説明ありがとうございました。3点に分けておうかがいしたいと思います。まず、御社の業績の伸び方ですとか外部環境の影響について、整理をさせていただければと思います。広告に関連しているということなので、いわゆる一般的な広告主さんの動きが業績に直結するようなものなのか、あと、パネルネットワークがどのように、それぞれ3つの事業ありますので、どのような影響度を持っているのかというところを確認させていただければと思います。これが1点目です。

2点目が、海外案件に関するものです。パネルネットワークが国内の登録者の方々かなと認識しているんですけれども、海外が日本に対してマーケティングを行う際に、海外の広告主さんからお金をいただいていると、こういう理解でよいのかということを確認させてください。

3点目が、どういうところに御社の成長のボトルネックがあるのかというようなところをご解説いただければと思います。よろしくお願いいたします。

五十嵐:はい。まず、1つ目の、事業が何に対して影響を受けるのかということですけれども、基本的に予算の出元といいますのは、いわゆるお客様のマーケティングコストですね。その内訳としましては、広告といわゆるそういう市場調査費的な予算になってきます。したがいまして、広告市場の影響を受けます。

ただし、マーケティングリサーチ、市場調査に関しましては、(景況が)悪い時も調べなきゃいけない。また、一方、新商品の開発は、何年間もずっと継続してやっていかなきゃいけない。かつ、何十年間もトラッキングしている消費者データが必要ということです。例えば参考なんですけども、リーマンショックの時は、広告費が、広告業界で20パーセントダウンしたと思います。一方でリサーチ業界は10パーセントしかダウンしなかった。これは何が言いたいのかというと、非常に悪い時期でも、やっぱり悪い時なりの調査需要があるということなんですね。

やはり、広告費に関しましては、取り扱っているお客さま次第ということもございまして、直近でいきますとやはりFMCG(Fast Moving Consumable Goods)系のお客様は、インフレの中、消費動向、販売動向を確認しながら慎重に進めているんじゃないかなというふうに直近では考えております。一方、デジタルサービス系に関しましては、比較的まだ好調ということで、やはりインダストリごと、私共に与える影響が異なっているというような状況になります。

2つ目、海外案件ですけども、先ほどご紹介した売上高45億円というのは、基本的には日本から海外に出しているお仕事ではなくて、海外の10拠点で稼ぎ上げる売上になります。海外の場合は日本と異なっておりまして、当然海外もそれぞれインターネットリサーチを提供しているパネルを提供する会社がございます。案件によっては、そういうようなグローバルパネルを使いながらデータを収集していくということがある一方、やはり日本人ほどインターネットに関しては信頼が高くないので、やはりリアルな調査が非常に多いんですね。まだまだ電話調査も多いですし、実際会場を使ったリアルな調査も非常に繁茂に行われております。

これはなぜかというと、国民性に応じて非常にデータの信憑性は違うということで、私も案件としてやっぱり半々くらいかなと。要するに、デジタル領域と従来のオフライン系の調査というのは半々のような意識で対応しております。

成長のボトルネックは、やはり一番はDX分野を伸長させていく中で、人材獲得というのが一番のボトルネックになっていくんではないかなというふうに捉えております。やはり、すべての産業がDX、いわゆる情報システム部門の強化でありますとか、エンジニア獲得というのは今やっておりますので、しいて言うならばこの人材関係のとこがボトルネックになっていく可能性があると。

ですので、私共もなるべく人材不足が成長制約にならないように、パネルネットワークなど、いわゆる人的リソースに依存しないようなビジネス構造を強化しにいっているということになります。ですから、パネル強化というのはある面、人的側面というよりは、やはり提携関係の中でパネル拡充を図っていく、かつそのサービスを作っていくことによって、なるべく人的資本を活用しないかたちで、構造的に販売できるようなかたちを作っていこうというようなかたちで高度化戦略を組んでいく。

既存事業に関しましては、いわゆる各種業務プロセスの自動化というものをかなり取り組んでおりまして、そういうことも含めて、今たぶん一番の、いろんな業態のボトルネックといいますのは人材獲得ということになりますので、人材獲得に依存しないようなモデル構築、サービス開発というものを主体的にやっているということになります。

質問者:ありがとうございます。理解が深まりました。

<質疑応答2>

質問者:上場してから非常にうまいかたちで業容を変えられながら大きくなっていると思います。

この10年、ビッグデータブームとか、そういう流行りものが1、2回は出てきたけれども、このリサーチとか分析とか、御社のコアとなる価値の部分で、顧客が求めるものが何か質的に変わったなと感じられるところがあったら教えていただけないでしょうか?

五十嵐:リサーチ業界の動きということですけども、今、世界的な潮流も含めて、リサーチ業界という区分は実はなくなりつつあります。近年、インサイト産業というかたちで欧米のリサーチ業界は、もうすでに市場の定義付けを変更しております。どんな産業になっているのかというと、リサーチ会社、あとコンサルティング会社、あといわゆるソフトウェア会社ということで、マイクロソフトのマーケティングツールのようなものを提供している会社、あとAdobeとかオラクルですね。そういうようなデジタルマーケティング部門が統合されていて、新しいインサイト市場という定義に、もうシフトをしております。

これはもう2年前に行われておりまして、この肝は何かというと、結局、私共の仕事の根幹といいますのは、いわゆるデータを、世の中のデータを間違いなく集めて、次のビジネスに活かされるようなインサイトですね。

消費者の動向でありますとか、マーケティングの焦点を探していくという仕事になります。今まではデジタル領域と、いわゆる一般的な消費者のデータを集めるという世界が分断されておりました。今はそれをより統合的に分析しないと、より正しく消費者が見えないということがございまして、インサイト産業というふうに衣替えをしております。

やはりみなさんご存知のとおり、非常に今サーバー内に大規模なデータが存在している状態になってきています。この時に必要な要素スキル、分析官が足りないということで、数々のIT企業はデジタルツールの販売に踏み切っているわけなんですけども、やはり使いこなすのが非常に困難になっている。いわゆる従来型のリサーチャーというものが、さらにそういうデータベースのハンドリングをしていくようなスキルを身につけることによって、やはりより重宝されていくんではないかなというふうに捉えております。

一方、リサーチ会社もデジタルツール、もしくはデジタルの仕組みを入れていかないと対応していけないということで、やはりデジタル分野をやっていないリサーチ業態というのは非常に弱くなっていくんじゃないか。先ほど言ったとおり、インサイト産業というかたちで非常に大きな市場、グローバル全体で8兆円市場に拡大解釈されたということで、やはりリサーチ機能とDX機能を持っていない会社っていうのは間違いなく駄目になっていきますし、両方を兼ね備えた会社というのは、より大きな市場に出ていくチャンスを掴んでいるのではないか、というような業界の動きになってきております。

<質疑応答3>

質問者:まず1つ目、パネルの集めかたなんですけれども、どうやってこれからパネルをアクイジションしていくかっていうところで、1つはどこかと提携していく、1つは御社でまた募集していくっていうことがあると思うんですけども、それがここから速度的には今までと同じペースが保てるのか、保つとしたらどういうやり方をされるのかっていうところをまず1点目教えてください。

五十嵐:まず、パネルを集める方法としましては2つ存在しておりまして、すでにパネルを保有している会社と提携するというやり方、これが30社存在しています。そのほかとしましては、自社パネルの構築ということで、私共グループ会社にリサーチパネルという会社と、あとドゥ・ハウスという会社で、120万人で、200万人いる。要するに320万人は自社のパネルになっています。ですので、バランスよく育成していくということも含めて、先期パネル拡充ということで約2、3億円くらい投資をしております。

成長ペースとしましては、逆に言うと今以上に一気に増やす方法論はございます。一方、パネルを維持、パネルネットワークを維持するための仕事量が足りていないということがございますので、だいたい今の成長率から考えますと、年間100万人くらいの純増が、お互い事業的関係にある会社様等も含めて適切であるというような判断をしておりまして、安定的に100万人くらいずつ増やしていこうということでやっております。

ですので、当面、ネットワーク先っていうのは、まだまだ豊富にございまして、基本的にヤフーとかGoogleみたいに、どちらかと言うと自分たちの中での寡占化させていくような会社がある一方、やはり中継メディアのほうは収益機会も含めてオープン化を図っていく戦略を取っていきますので、そういう面でまだまだ数多く存在しているというふうに捉えております。

<質疑応答4>

質問者:ありがとうございます。2つ目、リサーチの意義がこの今の環境においてどういうふうに変わるかです。いわゆるファーストパーティCookieしか使えないとか、そうなってくると、リサーチの、いわゆる重要性っていうのがより高まってきて、御社へのニーズが増えるっていうふうに考えていいのか、企業自体もファーストパーティCookieしか使えないからちょっと諦めている部分があるのか、どういうふうに今後変わっていく可能性があるでしょうか?

五十嵐:リサーチの中のたぶんデジタルマーケティングリサーチという領域の観点だと思うんですけども、今までやっぱりデジタルマーケティングの根幹というのは、ABテストしかり、要するに検証してみてからパラメータを変えてやってみようということがスタイル、行動、方法論の1つだったんですね。

しかし、マーケター側も含めて、今問題になっていますのは、なぜその行動が起きたか誰もわかっていないと。例えば「会員の獲得効率は上がりました」とかいろんなものがありますけども、そもそも振り返るとなぜその消費者行動が起きたのかという起因はつかめないということで、デジタルリサーチの領域におきましても完全自動化が危ないんじゃないかと。なぜかというと、結局競合企業も含めて同じ結果に収れんしていくので、結果(差別化)が出なくなってくるんですね。

そういう意味では、いわゆるリサーチャーが本来デジタルマーケティングリサーチ領域においてもより分析を高めていく必要性があるということで、最終的にはやはり分析官のスキルを強化していく。それに対しては、やっぱりリサーチャーというスキルが非常に求められてきているのが実態でございます。

質問者:個人情報保護に関することは、御社の事業自体はそれほど関わってこないのでしょうか?

五十嵐:私共はパネルのそもそも会員規約でうたわれていますので、要するにリサーチをしていいという会員さんということで、いわゆるデータを集めていいという契約になっております。そういうようなパネルの構築になっているということ。

2つ目は、私共は個人情報は持っていません。あくまでメディア側が個人データを持っていて、それをデジタル暗号化されたもので1つのシングルソースのデータベースに組まれているということになっていますので、そこのリスクに関してはリスクオフされているというような状態になってきています。

<質疑応答5>

質問者:最後、現状の競合状況なんですけども、マクロミルとかインテージとか、いろいろなリサーチ会社があると思うんですけれども、そういった会社と比べて御社の優位なポイント、それからここがちょっと劣後しているかなみたいなポイントとかいうのがあれば教えてください。

五十嵐:上場会社は約3社ありますけども、差別化ってほぼなくなってきているんですね。なぜかというと、もともとこの業界は、50年前からある業界になっておりまして、提供しているサービスもほとんど変化がないです。基本的には、GDPの成長率くらいのマーケットの成長率ということで、前期で約2,000億円を突破したくらいだと思うんですけども、低成長になっています。

基本的には、モニター数の競争もすでに終わっておりまして、実際モニター数に関しましても99.9パーセントの調査は今のモニターで十分であるという結果に陥っているんですね。そういう面では、私共が何をやっているのかというと、やはりリサーチ業界に留まっちゃいけないということでこの10年間、施策を打ってきたということで、より大きな市場に出ていく切符を強化していっているというような実態になります。

私共はどちらかというと、デジタル領域における複合業態の構築に着手して、実際、売上高も100億円までプールしているということで、デジタル領域に関しましては私共の方が先行していると思います。

よりどちらの市場規模が大きいのかと言いますと、やはりデジタル領域における実行支援を握っていかないと、リサーチではやっぱり限定的になってきますので、私共の企業戦略としても、リサーチ会社ではないというような言い方をすでに出していますので、そこの概念をぜひ変えていきたいなというふうに捉えております。

質問者:ありがとうございます。

<質疑応答6>

IR担当者:オンラインでお一方から質問いただいているものをピックして最後にしたいと思います。「今期の予想、2023年6月期の営業利益率が前期の10.1パーセントから今期の10.7パーセントへ、若干ですが改善するということですが、その内容を教えてください」とご質問をいただいています。お願いします。

五十嵐:基本的にはグループ全体として業務生産性上がっているということと、あとは先ほど申し上げましたとおりパネルネットワークを活用したかたちでのサービス群がより強化されているということで、その複合効果によってさらに利益率が向上するということでございます。

<質疑応答7>

IR担当者:「デジタルマーケティング事業の利益なんですけれども、先行費用があって利益率が下がったのが前期だったと思います。この利益率が上がってくるのはいつ頃になりますでしょうか? 見通しをお願いします」ということです。

五十嵐:基本的にデジタルマーケティング領域におきましても、これスケーラビリティが非常に大事になってきますので、当然増収効果が高ければ営業利率はより高まっていくというふうに捉えております。

<質疑応答8>

質問者:人材確保に関して、今説明会資料の中ですと、アナリストの方とかネットリサーチの方とかって数字出てきているんですけれども、現在の採用の状況ですとか、あとスキルセットがかなりハードルが高いものになっているっておっしゃっているので、それを確保するだけの採用の基準ですとか、あと社内の教育制度とか、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか?

五十嵐:まずリサーチ関係のお仕事といいますと、営業と業務とリサーチャーというような専門職の仕事がありますけども、もともとリサーチャーという仕事自体、就労人口は4,000人くらいしかないんですね。日本全体で。ですので、私共でも新人、もしくは中途の新人から内部育成してできるようなカリキュラムをすでに持っています。

これは大手もみなさん持っていると思うんですけども。あるいは自社育成していかないと人材教育が間に合わないということで、自社教育体制ですね。そのほか、営業関係に関しましては、今のところ採用不足というのは発生しておりません。

あと業務ラインにつきましても、私共、地方でも拠点展開が上手くいっておりまして、福岡、高松、函館に、アルバイト中心の業務部隊でありますとか、東京の代替としての準正社員的な要素での福岡みたいなものも、サプライチェーンを組んでおりまして、基本的に東京で足りない代替人材に関しましては地方で採用ができる体制。近年は、今年トライするのはフルリモートワーク完全社員ということで、日本全国から集められるような業務体制構築っていうのを図っていくことによって、人の拡充に関しては担保していこうということ。

残っているところは、いわゆるデジタル系のエンジニアのところになってきます。こちらに関しましては、基本的には引き続き過熱感が収まらないという前提で動いていますので、当然自社で新人から育成していては間に合わないということもございますので、いわゆる一般的な中途採用、あとは外部との提携関係をより強化していきながら、下流工程も含めて人材の確保については努めていく。一方、グループ全体としては、なるべくそういうところに依存しないようなサービス開発を主体に進めていくということで、バランスよく成長させていくということをやっております。

<質疑応答9>

質問者:ありがとうございます。追加で1点だけお願いします。人材の難しい部分を確保する、補うためのシステム開発等々なんですけども、この効果の出方ですね。日進月歩でじわりじわりと出てくるようなものなのか、それとも一方でハードルが上がってきているので、それになんとか減少を食い止めるようなイメージになるのか、それとも何か新しいサービスとかソフトウェアができた時点でドンと上がり、階段上に上がっていくようなイメージなのか。

五十嵐:私共の会社は、基幹システムを自社開発していますので、日々上がっていくかたちになります。ですので、いわゆるみなさんインターネットリサーチをやる仕組みというと、オンライン上でパネルを管理するパネル管理のツール、あとはオンラインでアンケートを配信する、メール配信みたいな。あとはポイント管理システムみたいなものだと思いますけども、私共自社開発していますので、順次機能を提供しているということと、私共の自動化の肝はそこの業務プロセスだけではなくて、いわゆるリサーチャーが調査票を作っていくためのデータベースであるとか自動作成ツール、あとはレポーティングを自動的に吐き出すようなものというかたちで、すべて考えるところ以外の自動化を推進しているということになります。ですので、より強力なシステムが出来上がっていくというふうに捉えております。

かつそれは一方、ナレッジのデータベース化ということも含めて、ジュニアのクラスでも、要するにプロフェッショナルな人の80パーセントの動きを出せるような自動化っていうことを狙っておりまして、それが上手くいくと、かなり今の人員体制でも1.5倍の処理量くらいを見込めるような体制作りっていうのを今中計の中でやっているかたちになります。

質問者:とてもよく理解できました。ありがとうございました。

※質疑応答部分は、企業提供の文章になります。