創業に至る思い

平良真人氏(以下、平良):本日はお忙しい中、決算説明ライブ配信にご参加いただき誠にありがとうございます。最初に私より2022年12月期第1四半期の決算説明をさせていただきます。

我々が創業に至ったのは、「『個人』がもっと自由に、自らを表現し、活躍できる社会を目指す」という思いからです。

私は新卒で入った会社からいくつかの大企業を転々としたのですが、その時の経験から、個々人が最大限能力を活かせる会社を作りたいという思いでTHECOO(ザクー)株式会社を創業しました。

OUR VISION

その思いを実現する我々のビジョンは「『できっこない』に挑み続ける」です。私だけでなく社員全員が大事にしている大切なビジョンで、これをもとに今までさまざまな事業を起こしてきました。

会社概要

簡単な会社概要です。2014年1月に創業し、現在原宿を所在地としています。社員数は109名です。

経営陣

創業メンバーは平良、COOの下川、もう1人の取締役の野澤の3名で、前職のGoogleでロングテール広告事業の責任者を担当していました。CFOの森は前職で付き合いがあり、旧知の仲である4人のメンバーで経営しています。特にKPIを重視した経営で、「個」の充実と顧客の満足を追求しています。

沿革

沿革です。先ほど少しお伝えしましたが、我々は2014年の創業から2021年12月に至るまで、ビジョンに則ってさまざまな事業を起こしてきました。

それは私が考えたものというよりも、メンバーそれぞれが自分の思いややりたいことを実現するために入社し、それを具現化した結果です。このあとお話しする事業内容も、それぞれ社員が発案して始めたものです。

事業内容

事業内容です。大きく分けて2つの事業を行っています。1つは成長事業であるFanicon事業、もう1つは法人セールス事業です。

「Fanicon」は、ファンコミュニティのプラットフォームです。インフルエンサー、アーティスト、スポーツチーム、俳優といった「アイコン」と呼ばれるファンを持つ方々が、無料で自分のコミュニティを開設することができます。

コミュニティに入るために、ファンの方々は月額料金を支払って入会します。入会すると、さまざまな機能を使って熱量高くコミュニティを運営することが可能になります。またポイントを購入することで、いろいろな機能を使うことができます。その2つの収入をアイコンの方々とレベニューシェアをするビジネスモデルです。

法人セールス事業は、SNSのインフルエンサーマーケティングとオンライン広告のコンサルティングの2つのチームがあります。ビジネスモデルとしては広告代理業で、広告主からマージンやフィーをいただいています。

将来的にこの2つの事業でシナジーを生むべく、いろいろとトライアルを行っています。

Faniconローンチの背景

弊社の特長と強みをご説明します。まずは、成長事業である「Fanicon」について、ローンチの背景からお話しします。

我々が「Fanicon」の前に行っていたインフルエンサーマーケティング事業の中で、YouTuberイベントを主催しました。そのイベント終了後、YouTuberの前に列を作ってコミュニケーションを取るファンの方々の姿を目にしました。

その時に、「熱烈なファンの方々とアイコンが双方向に思いを伝える手段があればよいのではないか」「ファン同士がその思いや高い熱量をコミュニケーションできる場があればよいのではないか」と思いました。

これがきっかけとなり、アイコンとファン限定(クローズド)のSNSにファンクラブの機能を付けた「Fanicon」を始めようと考えたのです。

Faniconとは

今お伝えしたとおり「Fanicon」を始める上で一番大事にしているのはクローズドのファンコミュニティです。つまり、アイコンと熱量の高いコアなファンの方々だけが集うクローズドのSNSになります。

アイコンの一例

我々がアイコンと呼んでいる、ファンがいる方々の一例です。本当に多くの方々に使っていただいており、ジャンルやファンベースの大きさもさまざまです。

Faniconの特長①:双方向性

「Fanicon」の1つ目の特長は、双方向性です。「Fanicon」はコミュニティであり、コミュニティの中心となるのはコミュニケーションです。現在2,300以上のコミュニティがあり、会員数は約18万1,000人です。

「Fanicon」では、アイコンとファン、あるいはファン同士がコミュニケーション機能を使ってつながっています。その双方向的な情報発信により、非常に高いエンゲージメントを作り上げることができます。

Faniconの特長②:多機能性

2つ目の特長は、多機能性です。「Fanicon」にはさまざまなコミュニケーション機能が付いています。「ライブ配信」「限定投稿」「グループチャット」はコミュニケーションを軸とした機能です。

「ライブ配信」は動画またはラジオの配信が可能です。「限定投稿」はFacebookやTwitterにあるタイムラインのようなもので、テキストやイメージ、動画のコンテンツを投稿することができます。

「グループチャット」はアイコンとファン、もしくはファン同士がテキストでコミュニケーションをとれるものです。これらを軸に、非常に高いエンゲージメントを創出しています。

「Fanicon」はコミュニティから始まっていますが、「ファンクラブとしても利用したい」という声を多くいただいたため、従来のファンクラブにあった「グッズ&チケット」の機能も備えています。

また、「スクラッチ」は非常に特徴的な機能で、オンラインくじのようなものです。ファンはポイントを購入し、そのポイントを消費することによってクジを引くことができます。例えばアーティストのコミュニティでは、アーティストがライブ時に着た衣装にサインをして1等の景品にするという具合に、くじ引きとして展開することが可能です。

このようにさまざまな機能があることで、アイコンとファンの双方にとって付加価値が高いプラットフォームをワンストップで提供しています。

Faniconの特長③:プロダクト開発力

3つ目の特長は、プロダクト開発力です。2017年12月に「Fanicon」をスタートした当時は、「限定投稿」「グループチャット」という非常にミニマムな機能しかなく、さらにiOSのアプリしかありませんでした。

その後、アイコンやファンの方々のニーズを汲み上げる中で、必要な機能をスピーディに追加していきました。自社のエンジニアによる速やかな開発で、2021年までにさまざまな機能を追加しています。その結果、アイコンの数およびファン数が拡大しました。

Faniconの特長④:無料で使える配信スタジオ

4つ目の特長は、無料で使える配信スタジオ「BLACKBOX³」です。2020年に新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、多くの方がイベントやライブを開催できなくなりました。ほとんどのイベントがオンラインに移っていく中で、オンライン配信する場所や機材、スタッフなどに多大なコストがかかってしまう状況を目にしました。

「Fanicon」はオンラインのサービスを中心に行っていますが、オフラインでもファンやアイコンの方々を満足させられないかと考えたのが、「BLACKBOX³」という配信専用のスタジオです。

「Fanicon」を使っているアイコンの方々は、「BLACKBOX³」を無料で使うことができます。スライドの写真で、左上の光っている部屋は、高さ4メートル、横幅9メートルと非常に広く、4面にLEDを備えたスタジオです。

非常にスペックの高いクリエイティブを配信することができるスタジオを無料で利用できるようにすることで、オンライン・オフラインの両面でファンおよびアイコンの方々の熱量を高めるサポートを行っています。

Faniconの特長⑤:プラットフォーム戦略で成長中

5つ目の特長は、プラットフォーム戦略で成長していることです。非常に大事な点ですので、少し時間をかけてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、2017年のサービスローンチ時は非常にミニマムな機能だけで、ファン数があまり多くない方々をターゲットとしていました。

その後、ファンやアイコンの方々に少しずつ満足いただき、支持いただく中で、プラットフォームとして少しずつ機能を追加していきました。また、アイコンやファンの方々のジャンル、ファンベースの大きさも広げていき、約3年後には多くの方々に使っていただけるようになりました。

現在は、スライド右側の図のとおり、従来であればファンクラブを利用するようなファン数2,000人以上の方々も我々のプラットフォームを利用し、ファンクラブのようにファンコミュニティを使う例が増えています。

このように、プラットフォームの成長に伴いジャンルおよびファンベースの大きさも拡大しているのが我々のプラットフォーム戦略です。

このプラットフォーム戦略が実現できている要因は大きく2つあります。1つは、画一化された多機能のプラットフォームであることです。もう1つは、効率化されたカスタマーサクセスです。

機能があってもそれをどのように使えばよいかわからない方がほとんどです。そのようなファンやアイコンの方々が満足できるように、カスタマーサクセスチームが機能を提案しています。その結果、サービスが成長し、プラットフォームの成長につながっています。

類似サービスとの比較

類似サービスとの比較です。スライドのグラフの横軸に「インディーズ」「メジャー」、縦軸に「プラットフォーム(多機能)」「プラットフォーム(個別機能)」を示しています。「Fanicon」は多機能で、ファンベースの大きさに関わらず多くの方に使っていただくかたちで成長しています。

SNS全盛期におけるファンコミュニティの在り方

「Fanicon」の強みについて、3つお話しします。1つ目は「時流をとらえた独自のポジショニング」です。

スライドの表は、ファンの方々がどのようなかたちでスターを認知してきたかを示しています。2000年まではテレビやインターネットの中でもPCが中心で、情報発信が一方通行でした。その中で選ばれしスターの方がファンを獲得していた時代だったと思います。

2020年になって大きな変化があったのは、スマートフォンの普及に伴うSNSの普及です。ファン同士の情報交換やアイコンの情報発信、情報の交流が盛んになり、さまざまな方がアイコンになる可能性が出てきました。1億2,000万人総アイコン、総クリエイターの時代に突入したと言ってもよいかと思います。

拡大する個の市場

「個」の活躍の場が拡大していることを証明するデータです。スライド左側にSNS使用者数、中央にインフルエンサーマーケティングの市場規模、右側に国内YouTuberの市場規模を示しています。いずれも右肩上がりに伸びていることがわかります。

THECOOはエンタメ領域で「個」にフォーカス

我々は、エンタメ領域において「個」にフォーカスしています。スライドのとおり、個人向けECプラットフォームの開発運営、購入型クラウドファンディングのサービス開発運営、スキルを売買するプラットフォーム開発運営など、さまざまな会社がそれぞれの領域で「個」にフォーカスしていると思います。

「Fanicon」は、ファン同士がつながるファンコミュニティのプラットフォームとしてエンタメ領域にフォーカスし、「個」が主となることによって新しい価値を提供する世界の創出を目指しています。

アイコン・ファンによる“コミュニティ”の共創

2つ目の特長と強みは、「従来のファンクラブとは一線を画すファンコミュニティのプラットフォーム」であることです。従来型のファンクラブにおけるファンとアイコンの関係性は、アイコンからの一方的な情報発信によりファンとアイコンとの距離が非常に遠いものでした。

現在はスマホおよびSNSの普及に伴い、ファンとアイコンとの距離が非常に近くなっており、ファン同士も交流できる機会が増えてきています。このように、ファンとの距離感が近いのが大きな特徴です。

新たなサービスが求められるエンタメ領域

その中でもいくつかの課題があると思っています。スライドの中央に3つの課題を示しています。

1つ目は、「収支の点で、限られたアイコンのみがファンクラブ開設が可能」であることです。アイコン側は、従来型のファンクラブでは開設・運営に大きなコストがかかります。ファンは応援したいのにアイコンのファンクラブが存在しないという課題があります。

2つ目は、「コミュニケーションの課題」です。アイコン側はファンの声をタイムリーに聞くことができず、ファンは応援したい気持ちを伝えることができないという課題です。

3つ目は、「サービスラインナップの課題」です。アイコンはさまざまなSNSを駆使してファンサービスを行っていますが、直接的に収益に結びついていません。

また、ファンの方々が従来型のファンクラブに加入する目的は、ライブチケットの優先購入です。応援方法がそのようなものしかないため、ほかのポイントで応援したくてもそれが直接的にアイコンの収益に結びつかないという課題があります。

我々はこれら3つの課題を解決すべく、「Fanicon」を提供しています。

Fanicon事業の売上構成要素

3つ目の特長と強みは、「高い売上高成長とストック型のビジネスモデル」です。「Fanicon」の売上構成要素は、スライドの図のように非常にシンプルです。売上高は、有料ファン会員数にARPUを掛けたものになります。

有料ファン会員数はアイコン数とアイコンの解約率、ARPUは月額の利用料金とポイントの購入料金にブレイクダウンできます。これら4つの項目をそれぞれ伸ばしていくことにより、ストック型収益の高い成長を目指しています。

ストック性の高い積み上げ型ビジネスモデル

スライドのグラフは四半期ごとに、入会したファンの数がどのように売上高につながっているかを示しています。ご覧のとおり、きれいなミルフィーユになっており、ストック性の高い収益モデルができ上がっていると言えます。

本資料からの変更点

ここからは、2022年第1四半期の業績に関してご説明します。まず、本資料からの変更点として重要なことが3つあります。

1つ目は新収益認識基準適用について、従来ではチケットの売上高をグロス計上していましたが、今回からはネット計上に変更しています。

2つ目はFanicon事業の個別アプリについて、運営主体が当社ではなくアイコン側にあるアプリに関しては、ネットでの売上計上をしています。直近では個別アプリの売上高が成長しており、「Fanicon」の売上高全体に対する比率が大きくなることが予想されるため、数値に関しては併記して開示しています。ネット計上のため、粗利率は改善しています。

最後にARPUについて、過去の成長トレンドを把握しやすくするため、本資料においてはグロス計上で比較しています。

FY2022-1Q 業績ハイライト

2022年12月期第1四半期の売上高は9億5,900万円、売上総利益は3億8,400万円です。営業利益はマイナス1億1,700万円で、経常利益と当期純利益も同じです。Fanicon事業は売上総利益がYoYでプラス79.9パーセントと大きく伸びています。

法人セールス事業の売上高は前期比プラス27.2パーセントと、マーケットの伸び以上となりました。

利益ベースでは大型ファンクラブ案件の獲得に要した販促費用を第1四半期で計上しており、損失が大きく見えていますが、第2四半期以降で回収予定となっています。

四半期売上高推移

四半期売上高の推移です。先ほどお伝えしたとおり、Fanicon事業の売上高はYoYでプラス63.6パーセントと高い成長率を維持しています。法人セールス事業の売上高もYoYでプラス27.2パーセントときちんと成長しており、個別の事業だけでなく会社全体としてもきちんとトップラインを伸ばしています。

販売管理費

販売管理費です。広告宣伝費・販促費が増加しています。先ほど少しお伝えしましたが、大型ファンクラブ案件の獲得費用を一時的に計上しています。人件費に関してはFanicon事業の拡大とともに採用もタイムリーに進めており、増加傾向にあります。

対売上高人件費率は2022年12月期第1四半期、2021年12月期第1四半期ともに20パーセント前後と、きちんとコントロールできています。

役職員数

役職員数です。中途採用がメインで、第1四半期でトータル109名となりました。2022年に新卒含め約40名の採用を予定しています。2020年4月から新卒採用も開始し、今年で3期目ですが、会社のカルチャーをきちんと作っていくためにも継続していく予定です。

四半期営業利益推移

四半期の営業利益の推移です。業績予想に対して予定どおりに進捗しています。一時的な販管費約1億円を計上している影響でマイナス1億1,700万円になっていますが、第2四半期以降で回収予定となっています。

FY2022-1Q KPIハイライト

KPIのハイライトです。一番大事なアイコン数の増加についてはYoYでプラス24パーセントと、高い成長率を維持しています。また、ファン数もYoYでプラス64パーセントと高い成長を示しています。

アイコン数よりもファン数が伸びているのは、ファンベースの大きい方々に使っていただいている証拠です。「Fanicon」のARPUもYoYでプラス9パーセントと順調に伸びています。

法人セールス事業のインフルエンサー取扱案件数も、YoYで14パーセントと伸びを示しています。先ほどお伝えしたとおり、売上高はYoYでプラス27.2パーセントで、案件単価も同時に伸びています。

FY2022-1Q Fanicon KPI アイコン、ファン数推移

セグメント別の業績です。まず「Fanicon」のKPIのアイコン・ファン数の推移です。折れ線グラフがアイコン数の推移、棒グラフがファン数の推移を示しています。棒グラフの濃いオレンジが「Fanicon」のプラットフォーム上でのファン数、薄いオレンジが個別アプリのファン数です。

ファン数は合計18万1,125人で第1四半期を終え、YoYでプラス63.9パーセントの伸びになっています。アイコン数もYoYでプラス23.9パーセントと順調に伸びています。

FY2022-1Q Fanicon KPI ARPU

ARPUはYoYでプラス9.5パーセントと、こちらも順調に推移しています。ポイント購入もきちんと伸びており、非常にヘルシーなトレンドになっています。

Fanicon事業 業績推移

業績の推移です。売上高はYoYでプラス63.6パーセント成長し、5億8,400万円を達成しています。スライド右側のグラフのとおり、個別アプリが成長しており、その売上高は第1四半期で約3,000万円、全体に占める割合も、5.6パーセントとなっています。

引き続き、プラットフォームに支払う手数料率の低下とネット計上の個別アプリの売上高が成長していることから、売上総利益率は改善しています。

法人セールス事業

法人セールス事業の業績です。先ほどもお伝えしたとおり、YoYでプラス14.4パーセントと計画に対して順調に推移しています。

法人セールス事業

結果として、売上高は4億2,500万円、YoYでプラス27.2パーセントを達成しており、売上総利益率も30パーセント以上をきちんと維持しています。こちらも計画に対して順調に推移しています。

年度業績推移

2022年度の業績予想です。スライドのグラフは年度業績の推移です。全社売上高のCAGRはプラス55.1パーセントと高い成長を維持しています。当初の予定どおり、今年は黒字化を目指しています。

FY2022 通期業績予想

通期の業績予想です。売上高は46億円、売上総利益は18億1,600万円、営業利益は4,200万円、経常利益は4,100万円、当期純利益は4,900万円を予定しています。

繰り返しになりますが、Fanicon事業が大きな成長を維持しており、こちらが全体を牽引して高い成長率を維持していくと見込んでいます。

業績予想に対する進捗率

業績予想に対する進捗率です。グラフは2020年、2021年の第1四半期の売上高の進捗率を表しています。2022年は過去2年間と比較しても高い進捗率で、順調に推移しています。従来どおり第4四半期にかけて進捗率が徐々に加速していくため、業績予想どおりに進捗していると言えます。

FY2022 方針

我々が注力しているKPIです。Fanicon事業のKPIは先ほどお伝えしたアイコン獲得とARPUの向上、ならびにきちんと需要を捉えたプロダクトに進化していくことです。法人セールス事業のKPIは案件数の増加とFanicon事業とのシナジーを生んでいくことで、今トライアルを重ねているところです。

投資に関しては優秀な人材の採用を継続して強化します。特に「Fanicon」でエンジニアの獲得をきちんと進めていくことで、競争力を高めていこうと考えています。販促費用もきちんとコントロールしながらアイコンの獲得を進めています。

急成長中のファンコミュニティビジネス市場

ここからは成長戦略についてです。スライドのグラフは矢野経済研究所の「ファンコミュニティビジネス2022」のデータです。こちらによると、2021年の市場規模は前期比67.3パーセント増の415億円と、マーケット自体が非常に大きく成長しています。また、2022年は39.8パーセントの伸びが予想されています。

先ほどお伝えしたとおり、Fanicon事業の第1四半期の成長率はこの39.8パーセントを大幅に超えており、我々がマーケットを牽引していると言ってもよいのではと考えています。

広大なマーケットポテンシャル(当社のSAMとTAM)

我々が見ている広大なマーケットポテンシャルとして、SAM(Service Available Market)とTAM(Total Addressable Market)を定義しています。SAMは従来型のファンクラブを含めたファンクラブの市場規模です。TAMはそれを拡大し、ファンビジネスにかかわるエンタメビジネスの市場規模としています。

SAMは1.6兆円ですが、従来型のファンクラブはこの3分の1くらいの市場規模だと我々は認識しています。残りの3分の2の1兆円強が、ファンベースの大きさにかかわらないアイコンの方々がファンコミュニティを始めた場合の市場規模で、我々が作り出している部分です。そのような意味で、まだまだ大きな市場が広がっていると考えます。

エンタメビジネス全体では、さらにその3倍以上の市場規模になります。国内だけでもこれほどのマーケットがあるため、我々が行わなければいけないことはまだ多数あると思っています。

中期経営方針

中期経営方針です。Fanicon事業は「アイコンを中心として、ファンがコミュニティ化する世界の構築を目指す」です。まずはファンコミュニティ、EC、チケットを3種の神器として、「Fanicon」を通じ、オンラインのファンビジネスをワンストップで提供できるようにしていきます。

また、アイコンのデジタル商品に、より価値が生まれるようNFT・メタバースなどのWeb3の概念を取り込み、オンラインのファンビジネス市場をリードしていきたいと思っています。

「Fanicon」はWeb3の概念と非常に親和性が高いと考えています。まだ具体的にはお伝えできませんが、きちんと準備して今年中には何らかの対応をしていきたいと考えています。

法人セールス事業は「“個のエンパワーメント”を掲げ、三方よしの世界を構築する」方針です。こちらは創業以来変わらず、三方よしを貫いていくことにより、テクノロジーを使ってデータに基づいた高い価値を提供していきます。

また、Fanicon事業とのシナジーによってさらに高い価値を提供していくことを法人セールス事業の中期経営方針として掲げています。

計画数値

計画数値です。全社売上高のCAGRでプラス50パーセント以上の成長を維持しようと考えており、営業利益率8パーセントを目指しています。

ARPU向上の施策

ARPU向上の具体的な施策です。先ほどお伝えしたオフラインの「BLACKBOX」サービスのように、「Fanicon」だからこそできるアイコンとファンが求めるサービスを、オンライン・オフラインともに拡充していくことにより、ARPUを向上させていきます。

アイコン増加施策①:エンタメから領域拡大による更なる成長ポテンシャル

アイコン増加施策です。現在、アイドル、アーティスト、俳優・女優、インフルエンサーといった方々がメインで使っています。しかし、右側に示すとおり、ファンがいて、ファンビジネスを行っている方々はさまざまなジャンルに広がっています。

特にスポーツの領域においては、メジャー、マイナーなスポーツにおいて、多くの熱狂的なファンがいます。スポーツの領域に展開していくことによってさらにアイコンの幅を広げていき、獲得を加速させていきたいと思っています。

現在、スポーツの領域では、全日本プロレス、熊本のB.LEAGUEのチームで使われており、まだまだ大きな可能性があると思っています。

アイコン増加施策②:海外展開の本格化

アイコン増加施策の2つ目として、海外展開を本格化させます。すでに「Fanicon」は多言語対応が終わっています。中国語の繫体字と簡体字、英語、韓国語、日本語と、スマートフォンの言語設定に応じてそれぞれ対応しています。

テキストのコミュニケーションはリアルタイム翻訳機能がついているため、それぞれの母国語でファン同士やアイコンとコミュニケーションできるようになっています。

このように、海外展開に必要な機能を拡充していきます。まずは韓国を中心に展開を加速していこうと考えており、すでに十数組の韓国のアイコンの方々に使っていただいています。「Fanicon」を通じて、東欧や南米、東南アジアのファンの方々にK-POPのアーティストや俳優とコミュニティを楽しんでいただいています。

韓国のアイコンを獲得していくことにより、世界中のファンに「Fanicon」を知ってもらい、使っていただくことを本格化しようと考えています。

プラットフォームとしての可能性

プラットフォームとしての可能性です。ご説明の中で「法人セールス事業とFanicon事業のシナジーを生む」とお伝えしてきましたが、法人セールス事業では現在さまざまな広告主とのネットワークがあり、Fanicon事業では多くのアイコンに使っていただいています。

ただし、アイコンのビジネスを考えると、ファンから生まれたリレーションだけでなく、スポンサー収益も非常に大きな柱の1つになっています。そちらを法人セールス事業が支援していくことにより、独自の広告商品のようなものを開発できるのではと考えています。

いくつかトライアルを行い、Fanicon事業と法人セールス事業のシナジーを生んでいくことに挑戦しています。

先ほどお伝えしたとおり、「Fanicon」はWeb3の概念と非常に親和性が高いと思っていますので、Web3の概念を取り込み、オンラインでファンのビジネスをリードしていきたいと思います。

当社の描く、Web3の概念における「ファンコミュニティ」の未来

Web3の概念における「ファンコミュニティ」の未来像を示しています。現在、アイコンのNFT販売のサポートとファンによる「Fan Art生成システム」の構築に取り組んでいるところです。

その次のタイミングでは、ファンがアイコンの成長を支えるコミュニティ「DAO」に変化を加えていこうと考えています。「DAO」は「Decentralized Autonomous Organization(分散型自立組織)」の頭文字をとっています。最終的にはコミュニティ型のトークンを発行し、ICO(Initial Coin Offering)をできるところまで進めたいということで準備しています。

以上、私から2022年12月期第1四半期の業績についてご説明しました。

ご清聴ありがとうございました。