Agenda
志水雄一郎氏:2022年3月期決算説明会を開催します。それではアジェンダに従って進めていきます。
【全社】 2022年3月期 通期業績ハイライト
2022年3月期の全社の通期業績ハイライトです。売上高は23億4,800万円で、前年対比プラス84.5パーセントとなっています。根幹の事業「タレントエージェンシー」が業績を牽引し、さらに第2の事業であるオープンイノベーションが、スタートアップ政策支援「Public Affairs」の受注により堅調に推移し、過去最高の売上高を実現しました。
営業利益についても6億200万円で、前年対比でプラス281パーセントの高い成長を示しています。人件費の未消化も一部ありますが、トップラインの高い成長によりこちらも過去最高益となっています。
【全社】 業績推移
業績の推移についてです。売上高は、直近5期のCAGRは33パーセントを実現し、営業利益も過去最高益を実現させました。
【全社】報告セグメントの変更について
報告セグメントの変更についてです。2021年3月期以前は、単一セグメントの成長産業支援事業として進めてきましたが、2022年3月期以降のセグメント名は、1つ目がタレントエージェンシー&オープンイノベーションで、2つ目はベンチャーキャピタルです。この2つのセグメントでご報告します。
【全社】連結BSサマリー
連結BSサマリーに関してです。フォースタートアップスキャピタル、フォースタートアップス1号ファンドの連結に伴い、非支配株主持分、営業投資有価証券が発生します。
財務健全性は高い水準を維持しており、総資産現預金比率67パーセント、自己資本比率59.7パーセントとなっています。
【全社】 2022年3月期 通期業績
2022年3月期の通期業績について、2月に上方修正した業績予想を達成しました。売上高23億4,800万円、営業利益6億200万円、経常利益6億600万円です。親会社株主に帰属する当期純利益は4億6,100万円となり、全指標で業績予想を達成しています。
【全社】サービス別売上高の推移
サービス別売上高の推移です。「タレントエージェンシー」が高い成長力を示しており、結果として全社の売上高は第4四半期で過去最高の実績となっています。
【全社】正社員数の推移
正社員数の推移に関しては、期初の増員目標は純増50名でしたが、結果は28名増の着地となっています。課題を解決しながら、今期に繋げたいと考えています。対応策については後述します。
【全社】営業利益分析
営業利益の分析です。好調な事業環境を背景に、粗利益は9億2,800万円と大幅に増加しました。採用スケジュールの遅延による人件費、マネジメントコストの未消化が、結果として想定よりも利益を創出しました。
【タレントエージェンシー】受注高の推移
各サービスについてお話しします。まずは「タレントエージェンシー」ですが、受注高の推移として、2022年3月期は、右肩上がりに四半期ごとに成長してきました。第4四半期に関しては、過去最高の受注額を示しています。
【タレントエージェンシー】売上高の推移
売上高の推移についてです。特に第4四半期は前年同四半期比プラス66.8パーセントと高い成長率を示しています。これについては、マーケットの高い採用ニーズを背景に、成功報酬型の人材紹介サービスと、月額課金モデルである採用支援サービスがともに大幅に増加した結果です。
【タレントエージェンシー】人材紹介取引数と単価の推移
人材紹介の取引数と単価の推移についてです。スタートアップ業界において、日経新聞などでもオファー額の増大が示されています。スタートアップ企業は、今や上場会社と肩を並べる給与水準になっていますが、それに合わせてオファー金額も高水準となっています。
また「War for Talent」の時代の中、各企業は高い水準での人材紹介フィーを支払っている状況で、当社にとっては高い紹介料率、そして高い単価を維持できる市場状況と考えています。
【オープンイノベーション】売上高の推移
第2の事業であるオープンイノベーションに関する売上高の推移です。昨対で順調に推移しており、当社のイベントであるグローバル・スタートアップ・カンファレンス「FUSE」のスポンサー収入、ならびにスタートアップの政策支援を行う「Public Affairs」における売上高の集中により、第4四半期は過去最大の売上高を示しています。
【ベンチャーキャピタル】
2021年8月に設立したベンチャーキャピタルについてですが、三井住友銀行をアンカーインベスターとして、フォースタートアップス1号ファンドを設立しました。昨期の出資件数は2件で、1件目はリテイルテック事業を手掛けるフェズ社、2件目はサービスECプラットフォーム事業を手掛けるユアマイスター社です。
ユアマイスター社は、当社が起業支援した企業で、すでにミドルステージに差し掛かっている、非常に高い成長率を示している企業です。
足元のマクロ環境の変化について
2023年3月期の業績予想に関してですが、まずは足元のマクロ環境の変化について、みなさまと共通認識を持ちたいと考えています。その中で、当社はどのような見解から業績予想を作ってきたのかを説明したいと思います。
米国の利上げやウクライナ情勢などにより、金融情勢は刻々と変化しています。そのような中で、ナスダックを中心とするグロース市場の変化により、スタートアップ市場は足元では非常に厳しいのではないかという意見をいただくこともあります。
実際に、アメリカのレイター市場においては、企業価値の調整が図られ、資金調達もなかなか難しいといった情報も入っています。
しかしながら、ベンチャーキャピタルサイドにおけるファンドレイズは過去最大で、ドライパウダーも過去最大です。案件の選別が行われていたとしても、上位2割については、大型の資金調達が国内外から集まる状況で、特に日本で顕著な状況となっています。
2022年に入っても、上位2割と目される競争力のあるスタートアップ群には、国内外より多くの資金が流入してきています。
このような中、当社は「日本を代表するベンチャーキャピタル、キャピタリストのみなさまとともに、国家として最も支援すべき会社に対して、集中的に人的資源・オープンイノベーションなどの支援を行うこと」によって、業績を伸ばしてきました。
この戦略は、この市場においても同様に推移します。勝てる会社に経営資源を集中させ、もしもポートフォリオが変更されるのであれば、私たちも同様に一次情報に触れられる立場をもって、勝てる会社のご支援をしていくことが、当社の戦略となります。
一般的に、リスク要因はあると捉えられています。しかし、4月から5月の私どもの受注実績に関しても堅調に推移しており、現時点では、当社の事業へ与える影響は軽微と判断したため、業績予想の前提には織り込んでいません。
ただし、今後のマクロ環境の動向は注視しつつ、必要に応じて柔軟な対応を講じる方針でおりますので、まずはマイナスとなる可能性をこちらで示した次第です。
足元のマクロ環境の変化について
こちらのスライドは、現・事業計画には織り込んでいないプラス要因についてです。現・岸田政権は4つの骨太方針と成長戦略を発表していますが、その1つにスタートアップの支援があります。6月に発表される予定のスタートアップ5ヶ年計画により、日本のスタートアップ群は力強く底上げされる可能性を秘めています。
その1つの材料となるものが、経団連から発表された「スタートアップ躍進ビジョン」であり、その内容は、まずは5ヶ年でスタートアップの裾野を広げること、スタートアップの成功レベルを高めることです。
現在日本では1兆円規模のスタートアップ投資を2027年には10兆円規模まで、またユニコーン企業数を現在の10社から100社まで拡大しようという、おおよそ規模感が10倍になる提言が経団連から発表されています。
これらを織り込んだかたちで、政府は支援策を発表すると聞いています。しかし、現時点では未発表の段階ですので、今回は私たちの業績予想には織り込まずに、事業計画を発表しています。
ただし、この政府発表が具体的な政策として実行された際には、その内容によって業績予想にプラスの影響を与える可能性を秘めていますので、また実際に発表された後に、精査しながらみなさまと対話できればと考えています。
2023年3月期 通期業績予想
今期の通期業績予想です。積極的な人材投資を行うことで、今回は増収微減益になる見込みです。売上高は28億円、営業利益は5億7,000万円、経常利益も5億7,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4億円の計画です。
2023年3月期 営業利益分析
営業利益の分析です。過去最大規模の採用である、年間50名の純増計画により、人件費は増加し、立ち上げ期間およびマネジメントコストも増大するため、営業利益は前年比で微減益となる予定です。
人材確保・人材育成の推進に向けた施策
今期における人材確保・人材育成の推進に向けた施策についてご説明します。2022年3月期での達成を目指していた50名の純増を、今期にあらためて行い、必ず達成します。
そのための施策として、1つ目は流入の増加、2つ目は採用力の強化、3つ目は人材育成という、この3つの点に絞り、しっかりと施策を実行することで年間50名の純増を達成していきたいと考えています。
すでに4月時点において21名の純増になっていますので、今年度は29名増やしていきたいと考えています。
中⻑期 財務目標
このような人材投資が何に繋がっていくのかといいますと、中長期の財務目標に繋がっていきます。
3ヶ年での事業計画として、2025年3月期で売上高50億円を達成したいと考えています。その3ヶ年計画の初年度である本年は、基盤整備の年として、しっかりと人材投資を行い、新たな事業への探索の人的資源も投入することで、3ヶ年の事業計画の達成のためにコミットしていきたいと考えています。
当社の成長は日本の未来に繋がります。そのため、私たちが目指すものは、「高い成長力で日本の未来をアップデートすること」であり、そしてそれが年平均成長率30パーセントで表現できればと考えています。
中⻑期の考え方
中長期の考え方についてです。当社は2016年の9月に創業しました。IPO監査が2年になってからは、国内最短上場を目指して準備をしてきましたが、結果として、当時としては過去2番目のスピードである、創業から3.5年後で上場を果たしました。
またその後、新型コロナウイルス感染拡大の影響により市場が非常に厳しい中、当社は生き残り、結果として2022年4月には国内において最大人数で成長産業支援事業を行う事業者にまで成長しました。
ここからは、セクターごとに国内No.1の事業を目指し、その結果として私たち自身が成長産業支援のインフラとなること、そして社長である私個人としては、当社を世界最大規模の成長産業支援事業者まで成長させていく所存です。なぜならそれは、日本の成長に繋がるからです。
梅澤氏を社外取締役候補者に選任 経営体制強化を図る
最後に、Appendixより1項目だけ紹介させてください。昨年10月より当社顧問としてご活躍いただいていた、A.T.カーニー日本法人会長であり、世界最大のアクセラレーターの1つであるケンブリッジイノベーションセンター日本法人会長も務めておられる梅澤高明さまに、今年6月の株主総会で社外取締役に就任いただこうと準備をしています。
梅澤高明さまは、現在まで当社の取締役会へのオブザーバー参加だけでなく、それ以外の未来戦略のサポートなども行っていただき、お互いの意思が合致したため、今回、社外取締役候補として選任させていただいています。
私どもとともに、国家戦略にも精通される梅澤高明さまが、刻々と変わる日本の成長戦略と、その中におけるスタートアップ戦略およびスタートアップ政策に関わってくださることは、当社のさらなる成長に繋がると判断したため、この決断に至っており、私も大変楽しみにしています。説明は以上となります。