事業内容・ 会社概要

石井丈晴氏(以下、石井):あらためまして、フューチャーリンクネットワークの石井と申します。本日はよろしくお願いします。さっそくですが、中身としては、まず事業内容をあらためて聞いてください。その後に先日公表した2022年8月期の通期業績見通し、そして今後の成長戦略の順番でお話しさせていただければと思っています。

まず、事業内容です。当社は2000年3月に創業しました。本社は千葉県船橋市にあり、私がリクルートに3年ほど勤めた後に独立して今に至ります。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):リクルートは基本的に営業の会社であるため、人事部に配属されるのはけっこう珍しいかと思いますが、「他の部署経験があった」など、起業のきっかけがあれば教えてください。

石井:私は営業に関わりたくてリクルートに入りました。

坂本:そうなのですか。

石井:残念ながらと言ったら失礼ですが、人事部に配属されて結局そのまま卒業に至りました。今、考えるとよい勉強をさせてもらったのですが、営業へ行きたくてモヤモヤしながら人事部でがんばっていました。

ちょうど在職している時にインターネット黎明期を迎え、そのような中で「街がどんどんつまらなくなっちゃうな」「インターネットって画一化するよりも、何か多様性が花開くメディアなのではないかな」という問題意識と可能性を感じて、勢い余って飛び出したことが創業の経緯です。

坂本:不動産などを含めて、リクルートもけっこう地域密着でいろいろな事業に取り組んでいますが、なにか「こうしたいな」というのがあったのですか?

石井:僕らの事業の多様性の対極は画一性です。インターネットが普及していくにつれてクーポンといったような値引き競争が行われるようになり、それ自体はクーポンマーケティングとしてとても有効ですが、どうしても画一性を促進してしまうと思っています。画一性は確かに便利ですが、それと同じくらい多様性が花開く社会であったほうが我々の生活も豊かになります。特に少子高齢化の中でも、縮小均衡になるのではなく、価値が増大したほうが日本経済にとってもよく、何よりもおもしろいのではないかと思い、創業したのがきっかけです。

事業内容・ 企業理念

石井:お話しさせてもらったように、創業以来、「地域活性化を継続的かつ発展的事業の形で実現することで、社会に貢献する」が企業理念であり、我々の事業の目的そのものです。

事業内容・ 社会背景

石井:どのような社会背景なのかは、社会課題と市場環境の両面でお話しさせていただければと思います。

やはり社会課題は少子高齢化が進み、人口が減少していく中で都市にどんどん一極集中が進んでいくことです。これは効率性の意味ではよいかもしれませんが、人口が減っていくのであれば、効率性よりも付加価値を増大させたほうがマクロ経済学的にもよく、選択肢が広いほうがサステナブルです。

次に市場環境についてですが、インターネットは多様性が花開くメディアだと思います。価格で比較するというのは確かに便利ですが、ここにしかない価値、たとえばビールが500円安く飲めるお店を探すのもよいですが、ビールが500円高いかもしれないけれど、そこでしか飲めない価値、つまり「味わい」という付加価値に花を開かせたほうが、よりサステナブルな街になります。なによりも、そのようなコンテンツはこれからいろいろなデバイスや検索エンジン、チャネルに配信できていく意味でも、とてもビジネスチャンスとして大きいと考えます。

この社会課題と市場環境の両方を考えて、付加価値情報を流通させて地域の多様性を創出していきたいと思っています。さらに、これから人口が減っていく国や自治体も、官民共同という課題解決のほうがビジネスになると考えたのが我々の創業のベースです。

事業内容・ 事業内容のサマリー

石井:事業内容のサマリーです。私どもは、地域情報サイト「まいぷれ」を運営しています。この「まいぷれ」はサイトといいながらも、実質のところ地域情報プラットフォームを運営しているつもりです。

我々の事業の特徴の1つ目は、パートナーモデルとして全国の地域に密着した会社のみなさまと一緒に運営していることです。2つ目は、このプラットフォームを使って、国や自治体の課題を解決する官民協業事業です。今回のご説明はこれを中心にさせていただければと思っています。

事業内容・ 「地域情報サイト まいぷれ」とは

石井:我々が運営している、地域情報サイト「まいぷれ」とは、地域に密着した情報サイトです。今は全国で297サイト、北は北海道から南は石垣島まで、地域の魅力ある情報をお届けするポータルサイトです。

このサイトでお届けしたい情報は、安さ、価格、評点ではなく、ここにしかない価値、地域にしかないコミュニティの存在、イベントの情報といったような、地域を楽しめる付加価値のある情報です。それらをお届けすることを主軸に運営しています。

ただ、わかりやすく「地域情報サイト『まいぷれ』を運営しています」と言っていますが、僕らはポータルサイト「まいぷれ」を運営しているだけの事業者という認識はまったく持っておらず、「地域情報プラットフォームを運営している」と言っています。

事業内容・地域情報プラットフォームとしての価値

石井:プラットフォームとはいったい何かスライド中央のように、地域のお店やイベントの情報を我々が足で収集し、編集し、配信します。数ある情報の出口の1つが、地域情報サイト「まいぷれ」であり、我々は必ずしもこのポータルサイト「まいぷれ」のみを経由して見てもらうことにこだわっていません。

実際のところ、昨今では「Google マップ」などをお使いの方がいらっしゃると思います。あるいはデジタルサイネージ、テレビのデータ放送など、これからはありとあらゆる媒体に収集した地域の多様なコンテンツを配信していきます。

これは我々の今後のビジョンですが、スライドにあるロボットや車の絵のように、例えば、AIが進化した時に必要になるローカルコンテンツを我々が配信します。あるいは、なかなかおもしろいメディアになりきれないカーナビに、僕らがフレッシュな情報をお届けしていきます。今のカーナビはつまらないではないですか?

飯村美樹氏(以下、飯村):これは言われてハッとしました。

坂本:結局、僕らは何を基準にお店を選ぶかというと、飲食店だったら某サイトの星などです。店名だけでは本当につまらないです。ポチッと押すと「このようなお店ですよ」と出るだけでもまったく違いますし、そこに口コミがあればもっと違います。

カーナビもかなりハードが進化してきましたので、そのようなことができる状況になると思います。また、通信が使い放題になっているため、新しい情報をそのままおろすことができます。そのため、これからとてもおもしろくなると思いますが、そのような取り組みはもう始められていますか?

石井:実は、もう自動車メーカーにはアプローチしており、非常に評価をいただいているのですが、何より僕らのカバレッジがまだ足りません。

僕らが目指すのは、カーナビが車にあれば「蕎麦が打ちたての店が、この先10分にあるよ。寄っていけば?」となり、子どもを連れて車に乗っていたら「この先に子どもが喜ぶイベントがやっているよ。寄っていけば?」と提案できる世界です。

僕らはそのようなコンテンツを集めているのですが、残念ながらまだ日本全国を網羅していません。たとえば我々が持っている船橋の情報だけが集まっても、「ちょっとそれでは足りないよね」というフィードバックを受けており、「おっしゃるとおりだな」と思います。

坂本:しかし、リアルタイムで、例えば観光に行って時間がある程度空いたときに、リアルタイムの情報として「これ、ありますよ」とナビに出ていたらぜんぜん違います。探しに行くのはけっこう大変ですが、向こうから入ってくると「これおもしろいね」となります。そこは今後すごく楽しみです。

石井:検索はもう何でもできているため、やはり地域の魅力を「気づかせてあげる価値」が出てくると思います。そのコンテンツの入り口の部分を我々が担いたいというのが基本的な考え方です。

そのため、僕らはこのポータルサイト「まいぷれ」にこだわっていません。このプラットフォームで地域の魅力を発信し、魅力を引き出す対価として、スライドの右側にあるように、地域に密着するお店の方などの事業者からプラットフォームの利用料としてフィーをいただいて運営しているのが事業の原型です。今、全国1万7,500店舗ほどの地域の事業者にご利用いただいています。

事業内容・ 地域の事業者に対する「まいぷれ」の強み

石井:ある種、「まいぷれ」というプラットフォームはWebマーケティングツールであり、地域に根ざした運営体制を持っているからこそ、ラストワンマイルに寄り添い、ITが苦手な方にも直接寄り添える強みがあります。

昨今よくあるWebマーケティングツールには高機能のものがたくさんあります。しかし、オンラインで利用申し込みをして、オンラインで使い方を学び、オンラインで行くことはITが苦手な人たちにはなかなか踏み込めない世界です。

我々が寄り添いたい地域の付加価値を発信する店舗・中小事業者の方々は、得てしてITリテラシーが高くない方も多いです。そのような中で、我々は直営の地域、そして後ほど説明するようなパートナーが全国にいることによって直接寄り添うことができます。だからこそ、我々の強みとして、彼らの経営にもWebマーケティングツールの使い方にも寄り添い、地域の付加価値やお店の魅力を引き出すこともできます。

事業内容・ 「まいぷれ」基本商品

石井:基本商品のご説明です。基本的に月額で、今でいうサブスクリプションモデルとして運営しています。最も安いプランが月額2,000円からですが、いろいろな機能がある中で、最近お申し込みいただく店舗はだいたい月額7,000円から8,000円のプランが多いです。

これらのプランを利用いただければ、例えばリアルタイムで「今日の蕎麦は打ちたてだよ」といった情報を、プラットフォーム「まいぷれ」を通してポータルサイトや「Google マップ」にすぐに反映することができます。

また、「まいぷれ」にはリテラシーが高くない方でも使えるように、「LINE」を使って情報を更新できる機能もあります。「LINE」ならば使える方も多く、蕎麦屋の店主が「LINE」で「今日はこんな天ぷら蕎麦を作ったよ」と送ると、「まいぷれ」のプラットフォームを通じて「Google マップ」も更新できます。我々は、リテラシーの高くない方にも寄り添えるプラットフォームを提供しています。

坂本:とてもおもしろいですね。このプラットフォームは、定額で2,000円から始められるということですか?

石井:おっしゃるとおりです。ただ、このリアルタイムで情報発信できる機能は「ニュースシステム」というオプション商品で、プラス5,000円となっています。

坂本:なるほど。そのオプションを付けると、先ほどの「蕎麦打ちました」といった更新ができるのですね。

石井:そのとおりです。

坂本:「Googleマップ」に連携したりと、おもしろいですね。

石井:管理画面で今日はどのような人がどれくらい見にきてくれたのかを、リアルタイムで管理する機能もあります。

今期リリースした新商品の「まいぷれアナライザー」では、よりリッチに「MEO」といわれるマップ上で、どのような動きをして、どのような人たちが見にきてくれたのかを詳細に見られる機能もオプションの商品として提供しています。

坂本:すると、リテラシーの高い人は逆にそれを活かして、どんどん広告戦略を進めていけるということですね?

石井:おっしゃるとおりです。さらに、最近使われる方が減ってしまったのですが、テレビのデータ放送連携があります。TOKYO MX、千葉テレビ、また、一部地域で「データ放送でもこの情報が出せますよ」というオプションです。

坂本:地域密着型のため、地域の局を見ている人はやはりその情報に行くのですよね? 

石井:そのとおりです。

坂本:これはおそらくサブスクリプションモデルになっていると思うのですが、定着率はどのくらいでしょうか? けっこう長く使われるイメージがあります。

石井:解約率はだいたい1.3パーセントで推移しています。

坂本:それはかなり低いですね。

石井:ここ20年くらい運営していますが、解約率にはあまり大きな変動はなく、1.3パーセント前後であることを見ると、なにかしらの法則かと思っています。

坂本:やはり満足しているからやめないというのがありますよね。コロナ禍では飲食店などは厳しかったと思うのですが、ここ数年もあまり変わらなかったですか?

石井:新規獲得が少し二の足を踏みましたが変わらなかったです。「まいぷれ」のメディア特性だと思うのですが、コロナ禍で多くの飲食店は、「デリバリー系始めますよ」「テイクアウト始めますよ」「このような感染対策をやっていますから、安心して来てくださいね!」と普通のグルメサイトでは出せない情報を「まいぷれ」で出しました。そのような意味では、お客さまが価値を認めてくれており、年間を通すと純増になっています。

坂本:「まいぷれ」を使っている業種はどのようなイメージですか? 店舗が多いため、飲食店が多そうなイメージです。

石井:全体でいうと、飲食店が3割弱です。

坂本:その程度なんですね。

石井:音楽教室などのお稽古ごとや美容系、その他に水道修理のサポートなど、多種多様です。確かに飲食店が一番多く、多そうに見えますが、それでも30パーセント弱です。

坂本:地域に密着していると、やはりそこに広告を出したりPRしたいという会社がよく使われるのですね。

石井:おっしゃるとおりです。

事業内容・運営パートナーとの協業モデルによる全国への展開

石井:先ほどご紹介したとおり、我々は運営パートナーと一緒に運営しています。フランチャイズに近い概念ですが、どちらかというと事業に参画してもらいながら一緒に育んでいます。今、全国に155社あり、763の市区町村を網羅するかたちで運営しています。

我々が事業の立ち上げからお手伝いし、システム提供はもちろんのこと、直営地域で培った営業ノウハウを彼らに伝えていきます。そして、彼らがそれぞれの地域でそこの事業者の方々からプラットフォーム利用料をいただいて、その分のロイヤリティを我々がいただく仕組みです。

坂本:直営比率はどのくらいですか?

石井:全国で我々が注力して運営しているサイトが10エリアくらいのため、直営比率は3パーセントくらいです。

坂本:現状、ほとんどがパートナーが運営しているビジネスモデルになっているのですね。

石井:そのとおりです。

坂本:それでは非常にパートナーとのお付き合いが重要になってきますね。また、このパートナーは、どのような仕事をされている企業が多いのですか? 「街コミ誌を昔やっていたが、最近儲からないからこっちにするわ」というかたちや、もともとリレーションを使っているなど、いろいろあると思います。

石井:本当に多種多様で、珍しいところでいうと、北海道の帯広地区のパートナーは北海道コカ・コーラボトリングさまが運営をしております。あるいは、地元の事務機の販売会社、ケーブルテレビのプロバイダー会社、本業と「まいぷれ」事業がまったく関係のなかった建築系会社などもあります。地域に密着してサブスクリプション事業を行いたい方が多く、また最近は新規創業の方も非常に多くなっています。

坂本:新規創業の方も多いということで、このようなプラットフォームはもともとある程度の付き合いがある方が始めるのが基本ですが、それ以外にもこれを始めようという方がいるのですね。

石井:新規創業が多いことは我々も想定外で、当初はここまでいろいろな新しい起業家が出てくるとは思っていませんでした。とはいえ、地域で脱サラして法人登記して「まいぷれ」事業を始め、地元で新しく雇用を始めることは、これはこれでやはり地域活性の1つだと思い、我々も少し自慢しています。

坂本:これはエリアフランチャイズ制なのでしょうか? 例えば同じ地域で事業を行いたいという会社が何社かあることもあるのか、それとも、その市区町村の大きさにもよると思うのですが、そこだけをお願いするかたちなのかを教えてください。

石井:基本的にはエリアフランチャイズ制です。そこの地域に関してはそのパートナーに任せるかたちです。

坂本:当然、この事業は地域によって店の数などが違うため変わると思うのですが、例えば売上ベースでどのくらいになるのでしょうか? あるいは、これで成功したことで違う地域も取り組みたいというところが出てきたりはしますか?

石井:やはりサブスクリプション型ということで、事業参入していきなり当月からその地域で莫大な利益を出すことはなかなか難しいです。例えば、パートナーの1号目が島根県の出雲市で誕生しました。彼らとは2006年からの縁で、「まいぷれ」を始めるために地元で資本を集めて作られた会社なのですが、彼らは出雲市で始めて、軌道に乗って近隣の松江市でも展開し、そしてその後に隣の県の米子市でも始めるという流れで3地域を運営しています。

具体的な数字は差し控えますが、彼らは非常に安定的に経常利益を出していますし、その基盤を元にいろいろな事業を展開しており、十分運営できている規模感だと思ってよいと思います。

事業内容・パートナーへの支援体制

石井:支援体制に関しては、本当にもう一蓮托生で我々もがっつりと一緒に経営しています。昔は運命共同体と言っていましたし今も思っているのですが、事業を活性化していくために、そして何よりもきちんと利益を上げて安定的な基盤に乗せるために、我々はスーパーバイジングチームが一緒になって立ち上げていく体制をとっています。

事業内容・地域情報プラットフォームを活かした公共ソリューション事業

石井:もう1つの特徴が公共ソリューション事業です。公共というのは国や自治体が中心ですが、いわゆるパブリックが掲げる課題に対して我々が持っている「まいぷれ」の体制を使って官民協働事業として解決するのがこのセグメントです。

ことの発端は2005年に川崎市宮前区と縁があったことです。当時はマスコミに日本で初めての官民協働事業と言われていました。単に受託や入札をして納品するだけでなく、持続的に収益が出るために税収の活用のほか、民間企業のノウハウを使って民間の収益もあてにしながら課題を解決し続けるという考え方です。

直営地域はもちろんパートナーエリアも含めて、各地域に人がいることが我々の最大の強みです。最近ではふるさと納税や地域共通ポイントなどが多いですが、これを使っていろいろな課題をお手伝いしています。

事業内容・ふるさと納税BPO事業

石井:公共ソリューション事業で今一番多いのがふるさと納税BPO事業です。ふるさと納税に取り組んでいると言うと、よくふるさと納税の寄付サイトを運営していると思われてしまうのですが、そうではありません。

坂本:いろいろな会社がすごい利益を上げているそうで、そちら側だと思ってしまう人がいるのですね。

石井:そのとおりです。「その割に『まいぷれ』って聞かないね」とよく言われるのですが、我々は寄付サイトではなく、それ以外の部分をすべて行っています。

今、ふるさと納税は40の自治体とご縁をいただいています。具体的に説明すると、例えばふるさと納税を始めたい自治体があり、そこに美味しいメロンを生産する農家がいるとします。おそらく、メロン生産農家はそれまでふるさと納税でご縁がなければJAに全量出荷していますが、我々はメロンが美味しいという情報をキャッチしたら、「このメロン美味しいですね。ぜひこの地域のふるさと納税の返礼品にして地域の魅力を伝えませんか」と、生産農家を口説きに行きます。

我々はその農家の方を口説いて商品化のサポートをし、取材をしてメロンの魅力を文字に起こし、それがなぜこの地域で美味しいのかというのを付加価値としてアプローチしていきます。それを寄付サイトに我々が掲載します。その後、寄付を受けた後の着金確認、寄付者との関係も我々がコーディネートして、お礼の品の発送指示を出して送るなど、裏側の部分も全部行っています。

坂本:寄付サイトはサイトであって、そこに入れるまでの自治体の強化やサイトへの掲載は自分で行わなければいけないものだと思うのですが、ITリテラシーの高くない人でも返礼品をうまくPRできるようサポートしているということですね。

石井:多くの場合、自治体の職員の方が担当すると思うのですが、自治体の担当者が生産農家と取り組むのはなかなか難しいです。我々は「まいぷれ」を運営している体制があり、その地域の情報をキャッチしたり魅力を引き出すことができます。このようにして寄付を換金することで、地場産業の振興や地域プロモーションを担っています。

坂本:この40の自治体は御社の「まいぷれ」を行っている自治体になるのですか?

石井:「まいぷれ」がある地域でないといけません。

坂本:逆に、もっとまいぷれのエリアが増えてくればこういった取り組みを行える自治体も増えるかもしれないのですね?

石井:おっしゃるとおりです。

事業内容・ふるさと納税BPO事業(競合他社との比較)

石井:本当によく聞かれるのですが、我々は納税サイトを運営しているのではありません。むしろ納税サイトは我々のパートナーです。寄付サイトと連携し、我々が取材した記事や地域のプロモーションをアップロードし、寄付を少しでも多く募っていく役割を担っています。

事業内容・地域情報プラットフォームを活かしたマーケティング支援事業

石井:もう1つのセグメントが地域情報プラットフォームを活かしたマーケティング支援事業です。これは我々が運営している「まいぷれ」プラットフォームの体制を使って、マンションデベロッパーや小売店などの大手ナショナルクライアントのエリアマーケティングをお手伝いするものです。

従来は新聞の折込チラシやポスティング、あるいは看板などの屋外広告を使ってエリアマーケティングをしていたケースが多いのですが、今は残念ながら新聞を取る方も減っており、エリアマーケティングに特化した方法がなかなかありません。

我々はそこに向き合ってきました。「まいぷれ」の媒体自体もそうですが、そのプラットフォームや運営体制、そしてそこで培ってきた販促ノウハウを使い、イベントを企画するなど、いろいろな方法でマーケティングするセグメントです。

坂本:もちろん、パートナーがそのままお仕事を取ってくることもあると思うのですが、大手では、御社経由で「ここと、ここと、ここ」と整理してお願いするのと、どちらが多いのですか?

石井:我々が取るケースがすごく多いです。

坂本:では、パートナーのメリットというかたちで仕事が落ちてくるということですね。

石井:おっしゃるとおりです。やはり自治体とのやりとりも我々が一番慣れている部分になりますので、基本的には我々が契約の面に立って進めていくのが基本ケースです。

坂本:やはりそれは御社の価値ですね。

事業内容・3つの事業セグメント

石井:このようなかたちで、我々の事業は今、地域情報流通事業セグメント、公共ソリューション事業セグメント、マーケティング支援事業セグメントという3つのセグメントに分かれています。事業の中心地点は地域情報プラットフォーム「まいぷれ」であり、これを基軸に事業を展開しています。

事業内容・事業の収益構造

石井:収益構造はセグメントごとに分かれています。スライド右下が地域情報流通事業セグメントで、直営地域に関しては地域の中小事業者から我々が利用料をもらいます。運営パートナーがいる地域に関しては、パートナー経由で利用料をもらい、我々はレベニューを受け取ります。

スライド上の公共ソリューション事業セグメントは主に地方自治体や国から委託料や手数料をもらい、その対価として我々がノウハウや体制を提供します。

スライド左下はマーケティング支援事業セグメントで、主にナショナルクライアントに対して我々がマーケティングの支援を行います。販促のノウハウを行ったり、あるいは実際に広告を運営したりと、すべて行うケースも多いのですが、その販促費をもらうかたちです。いろいろな事業を行っているように見えますが、実際はいずれも「まいぷれ」プラットフォームを起点とする事業です。

事業内容・事業成長モデルの基本方針

石井:我々は今後どう成長していくかという方針ですが、基本的にはまずプラットフォームの価値を高めていきます。これは「店舗数×単価」というシンプルなものです。この「店舗数×単価」が、パートナー数が増えていくとそのエリアごとに増えていきます。そして、先ほど紹介したように我々の公共ソリューションは、地域に「まいぷれ」運営体制があり、パートナーがあるからこそできる課題解決手段を展開しているため、パートナー数が増えると公共ソリューションを展開できる分母も増えていきます。

地域情報プラットフォームの価値を上げることでMRRを上げ、かつエリアとパートナーを増やすことでリーチ可能な地域を増やすという循環を、成長モデルの基本方針に据えています。

2022年8月期業績見通し・全体業績推移

石井:2022年8月期の業績見通しをお話しします。グラフは最近7年の業績の推移です。おかげさまで去年上場し、ここまで成長してきました。2017年、2018年は赤字が進んでいますが、これは上場に向けた投資期間があり、このような業績推移になっています。

2022年8月期業績見通し・事業セグメントの業績推移

石井:セグメント別の業績推移です。地域情報流通事業セグメント、公共ソリューション事業セグメントともに順調に伸びています。マーケティング支援事業セグメントだけは、我々が対象にしているクライアントのうち、特に小売業の大手が新型コロナウイルス感染症の影響を受けて販促費を絞られてしまったことで、昨今は若干成長が伸び悩んでいます。

今なお業績の見通しは比較的保守的に見ていますが、地域情報流通事業セグメントは売上高と利益の両方が、公共ソリューション事業は売上高がそれぞれ伸びています。やはり原価がない分、地域情報流通事業セグメントのほうが利益率が高い構図になっています。

2022年8月期業績見通し・業績推移と利益計画

石井:こちらが細かくP/Lで見たものです。先期の売上高が13億4,900万円で、今期は15億3,100万円を計画しています。

2022年8月期業績見通し・各指標の進捗状況(サマリー)

石井:各指標の進捗状況です。プラットフォームの価値について、現在ご利用いただいている店舗数が1万7,580店舗、平均単価は5,020円というのが我々の状況です。運営パートナーが155社、また、契約エリア数は市区町村とエリア数で別のものなのですが、我々が網羅している市区町村数は763市区町村です。日本全国に1,700以上の市区町村があるうちの、まだ半分に至っていません。

我々がお手伝いしているふるさと納税の寄付額は、この第1四半期の2021年9月から11月で15.8億円です。これを40市区町村で行ってきました。

坂本:公共ソリューションはやはり季節偏重がありますか?

石井:そうですね。特にふるさと納税は第2四半期の進行期に季節偏重があります。

坂本:駆け込みもありますからね。

成長戦略・事業成長モデルの基本方針(再掲)

石井:今後の成長戦略の話に移ります。繰り返しになりますが、プラットフォームの価値を上げてMRRを上げることによってパートナー数が増えやすくなります。また、MRRが上がった状態でパートナー数が増えると、指数関数的に収益が上がっていきます。そして、エリアが増えると公共ソリューション展開地域が広がっていきます。

坂本:この部分ですが、それら以外にもし追加したいことがあれば教えてください。

石井:公共ソリューションのお品書きを増やすというのはあると思っています。エリアが広がっていけば今ある公共ソリューションを展開できますが、公共ソリューションのお品書き自体を増やしていくという手段もあり、特に災害や福祉など、我々が力になれる分野もたくさん増えてきているため、そのように考えています。

成長戦略・地域情報流通事業・マーケティング支援事業の広大なマーケット

石井:地域情報流通事業セグメントですが、まず我々が対象にしている地域の事業数は416万社あり、非常に幅が広いと思っています。グルメや美容はいろいろなプレーヤーがいて激戦市場のように見えますが、実際いろいろなグルメサイトにたくさん情報を載せられるのはある程度規模が大きい飲食店のみで、規模が小さい飲食店は費用の問題でなかなか従来型の専門サイトには載せられません。

さらに言うと、グルメ以外の業界ではこのようなWebのマーケティングツール自体がまだまだ浸透していなかったりもします。そのような意味で、これから我々がお手伝いして伸ばしていける領域が非常に大きいと思っています。

成長戦略・経営支援機能に広がるサブスクリプションモデル

石井:今までは、プラットフォーム利用料というよりは広告掲載料という色合いのみでした。もちろんこれはこれで機能を進化させていこうとは思っていますが、単純にプラットフォームに載せ、ポータルサイト「まいぷれ」を中心とした媒体を出していくだけでなく、例えばMEO対策をプラットフォームを使ってできる、あるいはいろいろなチャネルに情報を出せるなどの機能を提供していきます。

その延長で、去年11月に「まいぷれアナライザー」というツールをリリースしたのですが、さらに詳しく分析してみたい方には、このMEOの分析ツールをオプションとして提供したりしています。

また青色の部分ですが、このWebマーケティングツールとしての取り組み以外にも、もっと経営資源を割いていきたいと考えています。これは実際に地域の事業者から非常にニーズがあるのですが、融資や助成金などのいろいろな措置があっても、残念ながら地域の中小事業者にはなかなか届いていません。そこで、我々がそのための場所を提供していきます。

先日、株式会社ライトアップさまと提携することを発表しましたが、そのようなニーズが実際にありますし、ビジネスとしても価値が高いと思い、これに取り組み始めました。そのほか、中小事業者が新規事業をもっともっと出店する支援をしていきます。

あるいは「そろそろ閉店しなければいけないが、ここまで地域に密着してきた事業の承継をしていきたい」という方も支援していきます。人材採用や育成についても同様です。このWebマーケティングツールとしての進化と合わせて、さらに経営支援にも力を入れていきたいと思っています。

成長戦略・ライトアップ社との提携について

石井:経営支援を成長戦略に掲げましたが、先日、株式会社ライトアップさまと提携しました。ライトアップさまは補助金や助成金のノウハウを持っていますし、実績もたくさんあり、我々と非常に親和性が高いと感じています。

しかも彼らのノウハウを利用することにより、お客さまへお力添えができますし、このような機能を我々が内包すれば、地域事業者へプラットフォーム利用の勧誘・営業がよりスムーズに進められるのではないかということが今回のメインになります。

逆にライトアップさまのクライアントへ「まいぷれ」のプラットフォームをご案内するかたちの提携もイメージしており、相互の送客につながる非常によいご縁だと思っています。

成長戦略・単価の向上

石井:我々の成長戦略の中心は単価の向上になります。2020年8月期の単価は4,142円でした。一昨年「Google マイビジネス」との連携を強化し、いろいろな機能を追加していくことにより、2021年8月期に4,915円まで単価を上げることができました。1店舗あたりの単価を上げることは収益向上として非常に大きく、パートナー開拓にもつながっていく部分です。

我々は単価を2022年8月期に5,760円まで引き上げることを今期の目標に据えています。単価アップ達成に向け、プラットフォームの開発・レベルアップの向上・機能の追加を図っていくことが成長戦略の1つの肝になっています。

成長戦略・パートナーの成長とエリア拡大

石井:パートナーの成長とエリア拡大についてですが、コロナ禍の影響により多少の数が留まったり増えたりがありましたが、好調なパートナーが増えるごとにお問い合わせも増え、ここ数年はパートナー数が順調に増えています。こちらも拡大戦略として、2022年8月期までに857エリア187社のパートナーと一緒に運営していこうと計画しています。

坂本:人口比でいうと、どのくらいの市町村が限界点なのでしょうか? 市町村合併が進みましたが、村として粘っている地域もあります。 

今後サービスが増えていけば話は変わるものの、どのくらいの人口がいればパートナーがプラスになるかについて、今のところは全市町村が限界点ではない気がしています。こちらはどのようにイメージしていますか? まだまだ右肩上がりに増やせる余地はあると思いますが、限界点の部分について教えていただけたらと思います。

石井:この「まいぷれ」に関する事業はおもしろいところがあり、むしろ大都市のほうが比較的ノウハウを確立しきれていない部分があります。一方、直営地域の茨城県行方市やパートナー運営地域の富山県黒部市などの人口の小さい都市でも、十分に採算が成り立ちます。それどころか、人口パイが少ないほうがいわゆるキャズムの到達が早く、地域に認知してもらえるのが早いです。

「この地域の情報は『まいぷれ』をみればよい」と、圧倒的独占状態になるのが早いため、今のところは、少なくとも人口3万人前後以上であれば収益として十分成り立つと考えています。

坂本:それならば、開拓の余地はまだまだありそうです。逆に、すでにフランチャイズに加盟しているため、提携したいができないケースはありますか? 

石井:おっしゃるとおり、希望しても「すでにパートナーがいらっしゃるので。残念ですが」というケースはあります。

坂本:そのような方へ向けて「これをやったらいいんじゃないですか?」というサービスはないのでしょうか? 

石井:もちろん、従来のパートナーに「ご一緒したいという話があるから」と紹介することもたくさんありますし、実際それで提携するケースもあります。また、「まいぷれ」の地域で、本当は生まれ故郷で「まいぷれ」事業を利用したかったものの、この事業で創業したいため、同じ県の違う地域で創業した方もいらっしゃいます。

坂本:そのように提携することも可能なのですね。

成長戦略・公共ソリューション事業/ふるさと納税のマーケット

石井:もう1つの成長戦略は、ふるさと納税です。ふるさと納税は順調にマーケットが増えています。一昨年に受入額が減り話題になりましたが、一部の好ましくないかたちでふるさと納税を行っていた自治体が排除されたことによるもので、市場は未だに順調に伸びています。感覚的にはこれからまだまだ伸びていく領域だと考えています。

坂本:確かに統計をみていると、都市部の人はかなり利用しています。

石井:単なるインターネット通販のようにいわれた時期もありますが、実際に地域では非常に役立つかたちで使われていますし、もともと地方交付税として、都心で集まった税額を地域に還元していますので、そのような点でいいますと、これは一定以上定着した制度になっていくだろうと思っています。

成長戦略・ふるさと納税の取り組み拡充

石井:我々がふるさと納税に取り組むことにより、堅調に寄付額を伸ばすことができています。我々が返礼品の開拓・商品化支援において実績を出し、その結果として金額が増えています。

今後も返礼品の開拓能力・商品化支援能力をますます高め、寄付額をさらに増やしていきます。実績を挙げることで我々をさらに多くの自治体に知ってもらい、受託する自治体の増加ペースを上げていきたいと考えています。

成長戦略・地域ポイントのシステム開発

石井:今回、公共ソリューション事業の内容としてふるさと納税関連ばかりを多くお話ししていますが、地域ポイント事業にも取り組んでいます。地域でしか使えないポイントは、一見すると不便そうにみえます。しかし、地域でしか使えないからこそ、税金が投入されても地域振興策として地域経済が発展し、税金として返ってきます。

ですので、循環しながら地域の課題解決ができるモデルといえます。従来はポイントの決済端末、いわゆるハードを配って取り組んでいましたが、現在はリテラシーが高くない方でも使いやすい自社システムへ置き換えを進めています。それに伴いサービスが向上し、さらに多様かつ広範な課題解決に使われます。同時に原価が大きく圧縮され、効果も期待できます。

坂本:これは、よくあるスマホで撮ってポイントを使うかたちのものでしょうか? ハード要らずで相手もスマホがあれば大丈夫というかたちは非常におもしろいです。

石井:みなさまが比較的慣れてきている「QRコード決済」により、便利で地域にしか使えないポイントを付与し、楽しみながら地域活動と連動していきます。インターネットショッピングで使えるポイントではありませんが、だからこその気づきや出会いがあり、地域の課題解決につながっていくのです。

坂本:これはどのような時に使うのですか? 例えば、ボランティアしたらポイントをもらえますというようなことでしょうか?

石井:おっしゃるとおり、ボランティア活動に取り組んだ際や、あるいは健康診断、人間ドックを受けたらポイントがもらえます。一見すると循環しないようですが、医療費削減は今の自治体にとって非常に急務とされている問題です。定期的に健康診断へ行けば、疫学的に医療費が下がるとすでに証明されています。

そうであれば、ここでもらったポイントは地域財源で使うため、地域でしか使えないこととなり、地域の活性化につながっていきます。非常にサステナブルな課題解決のかたちだと思います。

坂本:確かに公共との絡みはそうですが、地域だけでいうと、いわゆる商店街のポイントもハードを置いてあり、非常にコストがかかると思います。それも置き換えできそうです。

石井:お察しのとおり、商店街単位だけで思いを大事にしながら運営するのはなかなか厳しいです。これを我々が引き受けていく、もしくは引き継いでいくお話も出始めています。

質疑応答:「Google ビジネス プロフィール」連動機能についてと今後期待するサービスについて

飯村:地域活性にむけてどのような取り組みをしているかについて詳しくお聞きしましたが、ITリテラシーの高くないみなさまにも活用いただけるよう、LINEを活用し簡単に投稿できるサービスは非常におもしろいと思いました。サービスの中で、他に人気のものや伸びているものはありますか?

石井:一見地味にみえますが、今は「Google ビジネス プロフィール」との連動機能を非常に喜んでくれる方が多いです。

今はリテラシーの高い方が「Google」を使いこなせば、自身でたくさんの情報を出すことができます。一方、「餅は餅屋」という言い方は語弊がありますが、個人店でおいしいパスタを作ることに注力している方、あるいは生徒に勉強を教えることに注力している方が、こまめにMEO対策に時間とスキルを注げるかといいますと、なかなか難しい部分があると思います。

そこで、「まいぷれ」に載せていただいた方へ連動してもらうと自動的に「Google ビジネス プロフィール」も更新されるサービスを付加したところ、非常に喜ばれ、価値を見出していただいています。

飯村:今までネットの宣伝に縁がなかったところが、簡単に宣伝できる点が非常によいと思います。

また、リアルタイムで質問をいただいている中に「カーナビとの連携が実現したらすごくおもしろそうですね」といった感想もありました。

石井:そちらについては創業の時から取り組みたいと考えています。ドライブしていても、まったく知らなかったカフェに出会えるなど、「出会い」がたくさんあると思います。そうなると街がすごく元気になりますし、楽しくもなります。

タイヤのミシュランが作った『ミシュランガイド』と一緒にしたら怒られそうですが、「少しでもドライブしてくれる人がいれば」という思いを聞き、非常に共感しました。

坂本:だからタイヤメーカーが『ミシュランガイド』を作ったということでした。

飯村:『ドラえもん』の世界のようでわくわくします。

坂本:ピッと押したら「この店、こんな店なんだ」ということもできそうです。

石井:すでに技術的な問題は解決していると思いますので、そこに生きた情報を拾うところを我々が担えれば、と思っています。

飯村:やはりそこは地域の足が大切です。

質疑応答:ライトアップとの資本業務提携について

坂本:もともといただいていた質問より、ライトアップとの資本業務提携についてお話しいただきましたが、今後どのようなことができるのかについてスライドとあわせてもう少し詳しくお答えいただけたらと思います。

石井:ライトアップさまとの具体的な取り組みの一環として、補助金・助成金の申請、情報が取れるSaaS型サービスである、ライトアップの「JSaaS」を我々のサービスに組み込みます。

「まいぷれ」プラットフォームの利用者にサービス利用料金に含まれるかたちで「JSaaS」を提供します。そして「JSaaS」だけで完結できない方は、補助金・助成金のコンサルサービスに申し込むこともできるようになっています。

プラットフォーム利用店の方々は情報がたくさん取れるようになるため「JSaaS」に基づいてご自身で申請することもできますし、「自分には荷が重いな」という方もライトアップさまのコンサルサービスが使えるようになります。

我々の収益は、コンサルに進んだ場合はそのフィーをライトアップさまの一部からいただくかたちです。「まいぷれ」プラットフォームを使うと「JSaaS」も使えることにより、今も十分低く抑えられている解約率が、1.3パーセントからさらに抑えることができるのではないかと感じると同時に、より多くの方に使ってもらえることも期待しています。

坂本:確かに補助金の申請などは面倒です。役所によってプラットフォームが異なり、入力についても1つ間違えるとはねられてしまうなどいろいろあります。

石井:せっかく利用できる補助金があるので、地域の中小事業者に使ってもらえることを知ってほしいと思っています。

飯村:地域で何か気になれば、そこにアクセスすると全部が一発でわかるということですね。

石井:はい。そのようなサービスであるように努めてまいります。

質疑応答:Sol Levante Sports出資に関わる収益貢献と副次効果について

坂本:会場から「Sol Levante Sports出資の件ですが、収益貢献のイメージがあまりできません。副次効果とともに解説をお願いします」という質問がきています。

石井:先日公表したSol Levante Sportsの出資は、主にスポーツスタジアムを所在地の地域活性化にどのようにつなげるかという試みになっています。上場の時にお話ししましたが、同様に千葉県富津市にあった金谷小学校の廃校舎利活用事業にも取り組んでいます。

おっしゃるとおり、今期業績に影響することはなかなか難しいと思っていますが、我々は付加価値を流通・循環し、地域活性化するというミッションがあります。これからの日本において場所をどのようにプロデュースし、活性化していくかという課題において、情報の発信拠点として活かしていくことは非常に重要なテーマの1つだと思っています。

廃校も地域のスタジアムやアリーナも街の中心地点ではありますが、地域と割裂していたら意味がありません。今は郊外にばかり新しいショッピングモールが作られ開発されていますが、このままでは街がどんどんスポンジ化してしまいます。

これまでのように荒野に道路を敷き、水道管を引き、信号を立ててと新しい街を作っていく一方、従来の街が空虚になっていく状況では誰もハッピーになれません。そうであれば、我々が場所をプロデュースし、持続的に地域が盛り上がっていく術を作っていくことがビジネス的にも非常に価値があるのではないかと考え、中長期を見通しながら、本当に新しい実証へ取り組んでいます。

ですので、ごく一部の出資額ですが、Sol Levante Sportsの出資に関しては地域のスポーツと、そしてスポーツ施設であるアリーナと地域を密着させていき、いずれどのように持続的な付加価値情報の流通につなげるかという意味において、新しい次の事業のための宣伝と考えているところです。

質疑応答:付加価値情報に関心があるユーザー層の考え方について

飯村:「付加価値情報に関心があるのはどのようなユーザー層でしょうか?」という質問もいただいています。

石井:多くの人たちは、必ずしも値段で意思決定していないと思っています。例えば、居酒屋やレストランもチェーン店がいろいろあり便利ですが、どこへ行っても朝から晩までチェーン店で本当に満足するのでしょうか? 自分だけが楽しめる馴染みの店に行くことや、この街ならではの価値に触れてみたいということもあります。だからこそ、多様性のあるものを人は探していくのかと思っています。

この事業を始めて20年以上が経ちますが、人は想像以上に付加価値、つまり多様性ある情報を求める傾向が強く、人は値段だけでは動かないものです。

坂本:地域住民と同じく観光客もすごく求めます。観光して普通にチェーン店へ行ったら安定以外に何もないため、そのあたりの関心もあると思います。

石井:もちろん画一性が悪いところばかりではないのです。画一性と同じかそれ以上に、多様性もバランスするべきです。

坂本:おそらく観光の場合はその許容度が下がるかと思います。また、今後外国人も戻ってくると思いますが、その対応に関して現状はないですか?

石井:今までもたとえば「WeChat」と提携し、我々の付加価値情報、地域の情報をお伝えするなど何回もチャレンジしてきました。ただ、いろいろな問題があり、現状はなかなかうまく進んでいない状況です。翻訳機能が進化してきていますので、日本語であっても付加価値情報をどんどん配信していくと見てくれる時代がきたと思っています。

そもそも今はインバウンドの方が入国されていませんが、またインバウンドが再開された時は、我々が地域の店へ「外国の方にもこう接していったほうがいいよ。安心していいよ。心配しなくていいよ」とレクチャーすることにより、みなさまがウエルカムになれば、外国の方々が日本において地域の人に本当に愛されているお店を楽しめる部分が実現できるのではないかと考えています。

飯村:観光地に行った時に、どうしても見つけられずチェーン店に入った時の気持ちを思うと需要が非常にあると思います。それにSNS、「Instagram」やクリエーションサイトもそうですが、今は小さいお店を見つける喜びがすごく広まっているため、若年層から支持されそうです。

石井:そうなっていくとよいな、と思います。またそのように知っていただける場所があれば、「新しく開店したい」という若者も現れると思っています。