中期経営計画説明会
則武栗夫氏:信和株式会社代表取締役社長の則武でございます。本日は、弊社の中期経営計画説明動画をご覧いただきありがとうございます。
弊社は、2021年12月14日に中期経営計画を公表しました。持続的に成長し、企業価値の向上を図りながら、5年後の2026年3月期には売上収益250億円、営業利益35億円を実現したいと考えています。
既存事業のさらなる強化と成長を図り、新たな分野を国内、海外へと展開していきます。それらを実現するための投資として、設備およびレンタル事業に50億円、M&Aに50億円、計100億円の成長投資を行います。また、株主還元については、引き続き配当性向40パーセント以上を目指します。
当社の理念
2022年3月期から2026年3月期までの中期経営計画の内容についてご説明します。
初めに、当社の概要です。「PURPOSE」は「命を守り、未来を支える」です。当社は、仮設資材である足場製造を通じて、社会に貢献する企業です。
日本は地震、台風、大雨等の自然災害が発生しやすい国土です。この国の未来を持続可能で強靭なまちづくりで守る必要があり、そのまちづくりの重要なリソースの一つが仮設資材です。足場製造を通じて、大切な生命、そして美しい街並みや生活をこれからも守り続けるために、愚直にモノ作りに取り組み、社会の発展を支えていきたいと考えています。
当社の沿革
当社の沿革です。1977年に創業し、創業当時は仮設資材の部品であるジャッキベースの製造から開始し、1988年にシステム足場「シンワキャッチャー」を開発しました。シンワキャッチャーは、その後、システム足場のデファクトスタンダードとなり、当社が成⻑する大きな足掛かりとなりました。
2003年には物流機器部門を設立しました。その後、次世代足場SPSの開発、海外進出などの取り組みを経て、2018年に東京証券取引所、名古屋証券取引所へ上場しています。
現在、当社の売上構成比は、システム足場を中心とする仮設資材部門の売上が約80パーセント、物流機器部門の売上が約20パーセントになっています。
足場の系譜
当社の売上の中心となっている、建設現場で使用される足場の系譜についてご説明します。足場の主流はシステム足場になりつつあり、これには「くさび緊結式足場」と「次世代足場」と呼ばれるものがあります。
まず、くさび緊結式足場につながる足場の系譜についてです。足場は、古くは木や竹を素材とした足場が中心でした。その後1950年代に単管足場と呼ばれる、鉄製パイプを素材とした足場が使われるようになり、1980年代にはヨーロッパ由来のくさび緊結式足場が使用されるようになりました。
次に、次世代足場につながる足場の系譜です。枠組足場は1950年代にアメリカから輸入された足場になります。主な特徴としては中高層建物で使用されるため、くさび緊結式足場と比較すると強度が高い点が挙げられます。しかしながら、部品同士が溶接されているため分解できず、輸送や保管にコストがかかることや、組み立てに熟練の技術が必要になることから、それらを改善した次世代足場の普及が進んでいます。
建築物に用いられる主な足場の種類①
建築物に用いられる主な足場の種類としては、主に戸建て住宅等の低層建築物ではくさび緊結式足場・枠組足場、主にビル・大型マンション・物流倉庫等の中高層建築物ではくさび緊結式足場・枠組足場・次世代足場が使用されます。
建築物に用いられる主な足場の種類②
タワーマンションなどの超高層建築物では、次世代足場・連層足場が使用されます。連層足場とは、作業する階層分だけ足場を設け、工事の進捗に合わせて上下に移動させながら使用する足場です。また、足場は建築分野だけではありません。高速道路の新設などの土木・橋梁でも使われています。
当社の独自ポジショニング
当社には、同業他社にない特徴があります。それは、当社の独自のポジショニング、「低層から超高層まで幅広いマーケットへ製品を供給できる唯一の企業」であることです。
当社の強み①
続いて、当社の強みについてご説明します。その1つとして、営業利益率の高さがあります。これは、「高品質な製品を適正価格で供給できる生産体制」と、「優良顧客との安定的な取引関係による高い市場シェア」により実現しています。2021年3月期は減収減益となったものの、高い営業利益率を確保しています。
当社の強み②
そのほか、1つ目に製造面では、溶接ロボットにより安定した品質の製品を効率的に生産可能、また多品種の生産にも対応可能です。2つ目に品質管理面では、厳しい自社基準を設け、それをクリアした製品を供給し、3つ目に開発面では、お客様との対話を通じ、ニーズに応えられる開発力を備えます。4つ目に営業面では、製品供給のみならず、それに付帯するユーザーサポートなどによる付加価値を実現するといった強みがあります。
中期経営計画におけるKPI
続いて、中期経営計画の概要です。中期経営計画におけるKPIになります。中期経営計画最終年度の2026年3月期は、売上収益250億円、ROE12.0パーセント、配当性向は計画期間を通じて40パーセント以上を目標に実施していきます。
そのほか、営業利益、EBITDA、EPSの目標についてはご覧のとおりです。また株主還元としての自己株買いは、資本の状況に応じて検討していきます。
中期経営計画における各部門取り組み施策
中期経営計画期間中の各部門の取り組み施策については次の事業戦略でご説明しますが、ご覧の取り組みにより、2024年3月期には売上収益185億円、2026年3月期には売上収益250億円を目標としています。
仮設資材部門①-概要
事業戦略についてです。仮設資材部門では2026年3月期に、売上収益141億円を目標とします。
仮設資材部門②-足場における戦略の全体像
続いて、仮設部門の施策をご説明します。ご覧いただいているスライドは、当社の足場における戦略の全体像です。
現状の当社の顧客は、スライド左下の赤枠内の、くさび緊結式足場市場における「シンワキャッチャー」の顧客が中心です。次世代足場を投入したことにより、枠組足場のマーケットからも新たな顧客を獲得しています。
さらに、販売のみならずレンタル事業も強化することにより、販売とレンタルの両輪でシナジーを最大限に発揮していきます。また、国内でのシェアアップのみならず、海外市場への取り組みも強化していきます。
仮設資材部門③-当社が狙うマーケット
足場市場における当社のシェアは、くさび緊結式足場においては出荷ベースで約40パーセント、次世代足場市場では約15パーセントです。特に次世代足場は、今後も継続して市場シェア拡大の余地が大きいものと考えています。また、くさび緊結式足場は、販売シェアNo.1ではありますが、まだまだ拡大の余地はありますので、引き続きシェア拡大を目指していきます。
仮設資材部門④-枠組足場から次世代足場への切り替えの促進
次世代足場市場のシェア獲得を狙う背景として、現在、枠組足場から次世代足場への切り替えが進んでいる状況です。枠組足場は、労働安全衛生規則への対応が困難であること、梱包性が低いため保管面積が大きいが故に輸送コストもかかるということ、組み立てに際して熟練の技術を必要とするなどの問題点があり、次世代足場はそれらの問題点の解決が可能な足場です。この切り替えニーズはさらに高まると考えています。
仮設資材部門⑤-レンタル事業の強化
次は、レンタル事業の強化です。レンタルニーズが高まる背景として、法改正対応や施工物件の大型化に伴い仮設資材の使用量や種類が増加したこと、また、工事の繁忙期と閑散期の変動幅が大きいことにより、顧客の在庫負担が増大しています。また昨今では、新商品購入前のトライアルニーズ、新材購入価格の上昇などにより、レンタルニーズがさらに高まっています。
このような状況の中で、当社がレンタル事業を強化する意義として、1つ目として当社は「レンタル資材を自社製造できる」という製造メーカーとしての強みを、価格競争力と供給力に活かすことができます。
2つ目として、レンタル資材は償却期間を超えて⻑期にわたり使用できることから、高い収益性を実現できます。3つ目として、販売とレンタルを組み合わせることで、顧客のニーズに応え、双方で収益を伸ばすことが可能となります。レンタル資材への投資は今後5年間で30億円以上を計画しています。
物流機器部門①-概要
物流機器部門では2026年3月期に、売上収益50億5,000万円を目標とします。
物流機器部門②-物流機器の製品群
ご覧いただいているスライドは、物流機器部門の主な製品となります。「当社の独自技術を駆使したオーダーメイド製品」としては、自動車用のエンジンやトランスミッションの搬送パレット、液体搬送用のバルクコンテナ、Eコマース企業向け倉庫用のラックがあります。また、その他汎用製品のパレットを取りそろえ、あらゆる産業の運搬、収納のニーズに応えています。
物流機器部門③-物流機器部門における成⻑戦略
物流機器部門における成⻑戦略は大きく3つあります。1つ目として「レンタル事業の強化」では、国内の物流拠点7ヶ所の他、新規物流拠点の開設を計画し、関東・関⻄・九州を重点展開先として、運送・倉庫関係企業との提携を深めていきます。
2つ目として、「EC機能の強化」では専用ECサイトを立ち上げ、製品紹介・見積依頼・受注までの全プロセスの処理をインターネット上で可能とします。
3つ目として「顧客の拡大」では、倉庫関連で提供できる製品・サービスを拡大させ、さらなる顧客の獲得、また、アライアンス先との共創関係を深め販路拡大を図っていきます。
躍進分野①-概要
最後は躍進分野になります。今後の大きな成長が期待できる分野です。前期2021年3月期の売上収益は2億円、2026年3月期には58億5,000万円を目標としています。
躍進分野②-当社が狙うマーケット
当社は超高層などの新しいマーケットへ進出します。すでに超高層建物で使用する連層足場を、2022年3月期に供給開始しています。当社の連層足場は、当社システム足場を利用するため組み立てが容易で、施工困難な建築物にも対応可能な場合もあります。これらの市場は200億円程度の規模と推定しており、今後の拡大を狙っています。
躍進分野③-海外事業の強化
続いて、海外事業の強化です。当社は2019年に中国、華南地区に合弁会社を設立しました。現在中国で使用されている足場は、単管足場が多く、竹、木製の足場が使用されていることもあり、建設での安全面、施工性に懸念があります。
しかしながら、昨今中国では、建設現場での安全基準が高まっており、安全性とともに施工性に優れたシステム足場に対する需要が高まっています。華南地区の足場市場は500億円とも推定しており、拡販余地が大いに期待できます。中国華南地区を皮切りに、東南アジアを中心としたその他海外への展開を狙います。
躍進分野④-M&Aの考え方
次は当社のM&Aの考え方です。中期経営計画期間中において、M&Aを積極的に行い、新たな柱にしていきたいと考えております。
ターゲット先は当社の事業分野である仮設資材分野・建設資材分野・土木分野の他、ニッチトップ企業やその他の事業分野についても、幅広く検討していきます。中期経営期間最終年度にはそれらを新たな柱として、仮設資材、物流機器とのシナジーを発揮させたいと考えています。
中期経営計画期間の投資計画
続いて設備投資計画です。中期経営計画期間中に、100億円の成長投資を計画しています。投資内容としては、レンタル事業の強化、海外事業設備投資、ESG関連投資で50億円、M&Aで50億円を計画しています。
資本政策の基本方針
続いて、資本政策についてです。中期経営計画期間最終年度にROE12.0パーセントを目標としています。株主の利益還元につきましては、経営上の重要な課題の一つと位置付けており、配当性向は40パーセント以上を目標に実施しています。
また1株あたり配当金は、毎期前年以上の水準を維持することを目指しています。
キャッシュの調達と配分について
キャッシュの調達と配分については、成長投資と株主還元のキャッシュアウトを営業キャッシュフローおよび当面、手元資金で賄うことを想定していますが、積極的に有利子負債の活用をしていく予定です。
ESGの取り組みについて①
ESGの取り組みについてです。当社が長期的かつ持続的に成長するために、経営においてESGの観点が重要と考え、環境、社会、企業統治、それぞれの課題に取り組んでいきます。
環境については、1つ目に「カーボンニュートラルを目指した取り組み」として、CO2の排出量削減を推進していきます。具体的には、再生可能エネルギーの利用や、社有車などの電動化を行います。
2つ目は「森林資源の保護・非森林資源の原料活用」として、従来は森林資源を原料としていた各種資材について、廃プラスチックをはじめとした原料を使用する製品への置き換えを行うとともに、使用する紙においても、森林認証を取得した製品への切り替えを推進していきます。
3つ目の「廃棄物の削減推進」については、その排出量を把握しつつ削減に向けた取り組みを行っていきます。具体的には生産工程の工夫を行い、歩留まりの改善を図るほか、ペーパーレス化の推進を行います。
ESGの取り組みについて②
次に、社会に関する5項目の取り組みをご説明します。
1つ目に「社会課題解決を事業として推進」することは、当社のパーパスに直結するものです。製品・サービスを通じた、建設現場の効率化を図りつつ、街やインフラの維持・発展に寄与するとともに、各種産業の運搬・保管効率を高め、環境負荷軽減を念頭にした商品開発などを実施していきます。また、人材の育成強化や働きやすい環境整備は、持続的な成⻑に欠かせない重要な取り組みと考えています。
2つ目に「人材の育成強化」に関しては、「社員のやる気を応援し、夢と未来の実現を支える」OUR MISSONの下、人事評価制度、社内研修制度の改善強化のほか、管理職研修を通じたリーダーシップ強化、シニア人材の活用などを図っていきます。
3つ目の「職場環境の整備」に関しては、労働環境の安全対策活動はもちろんのこと、働きやすさと働きがいの両立や、魅力ある企業風土を実現する施策にも注力していきます。
また、適正な組織づくりとして、4つ目に「ダイバーシティとインクルージョンの向上」を推進します。人権を尊重しつつ、グローバルな人材の受入、活躍の場の提供を進め、新しい価値の創出をはかります。
5つに、地域スポーツ競技、メディアへの協賛を通じた地域社会の発展、および子供たちの育成支援などにより、「地域活性化を支援」していきます。
ESGの取り組みについて③
最後に、ガバナンスに関する取り組みについてご説明します。
1つ目に、「実効性の高いガバナンスの実践」として、引き続き、多様な経歴・スキルを持つ社外役員の登用、取締役会の適切な運営による取締役会の活性化、迅速かつ適切な意思決定に加え、法令遵守を意識した経営の徹底を図っていきます。
2つ目に、「投資家との建設的な対話」を促進させ、IRの充実を図ります。アナリスト・機関投資家・個人投資家向けの説明会を充実させ、対話などを通じて得られた資本市場の声を経営層にフィードバックすることで、適切な事業運営に活かします。
3つ目に、「株式報酬制度の導入を検討」します。当社は指名報酬委員会にて取締役の報酬を決定していますが、譲渡制限付株式等の利用により、経営者に対して、株主目線による中長期パフォーマンスへのさらなる強い動機付けとすることを検討します。
以上をもちまして、信和株式会社中期経営計画のご説明を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。