2016年3月期よりIFRSに移行しています

瀬戸欣哉氏:みなさん、こんにちは。ただいまより2021年3月期、第3四半期の決算をご説明しようと思います。まずちょっとみなさまにお話ししたかったのは、今回は私、よい決算だったなと思っています。

第3四半期の3ヶ月間の事業利益が298億円。これは昨年と比較しましても、114億円改善しております。また昨年の事業利益率、同じ3ヶ月間で4.7パーセントだったのが今回は8パーセント。

それから、EBITDAの比率につきましても10.1パーセントが13.3パーセントになっています。大きく変わったところが販管費でして、1,113億円だった販管費が1,024億円になったことです。

結果的に、今期の業績の修正を上方修正することができました。400億円の事業利益を発表しておりましたけれど、今回575億円に上方修正させていただきます。

純利益、最終利益のほうも125億円から330億円と改善します。これによってROEも2.4パーセントから6.4パーセントまで改善するということになります。

ようやくまともな会社になってこれたかなと思っております。なんで私がこれを非常によい決算だと思って、喜ばしいなと思っていたかというとで、ようやく自分たちのやってきたことが数字の上で現れるようになってきた。

もう1つ言うと、これが一過性のある特定の商品が売れたとか、追い風があったとかということではなく、本質的に力がついてきたと言えると。この数字に関して、自信を持てるというところに喜ばしい部分を感じています。

それは一体何かと言うと、我々ずっと、私が帰ってから一生懸命やっていた組織改革、働き方改革、それからデジタルツールの活用、こういった部分を全部やった結果、生産性が明らかに改善したと。この生産性の改善の部分が一番大きく販管費の改善というかたちで効いています。

それから、売上総利益率も上がりました。この部分は要素として見た時には、コロナでみなさんが家にいるようになったと。

コロナで家にいるようになると、どうしても、ちょっとだけ、暮らし方を少しよくしようとか、自分の中で、ふだん生活している中で住宅設備とか建材をよくしようとか、そういった部分で中高級品が売れたという部分もあると思います。

ただ、それに合わせて今回非常によい商品をいろんなかたちで開発できてきたということ、それからもう1つはデジタルツールとしてオンラインショールームとか、中高級品売ることに関してうまく仕組みを作ることができた。この部分が大きく効いているかと思います。

結果的に、我々は今回の販管費の改善はかなり上手にできたかなと思っています。これ自身は、やったことに関してある程度手は打てたと思います。この結果の刈り取りというのはまだ終わっていません。これからまだ少なくとも2年間から3年間くらいは刈り取りを続けることができると思っています。

来年度の刈り取りとして、前回の3ヶ月前にお話しした時、「ほぼ230億円くらいを昨年度の計に比べて販管費で改善するような生産性の改善をしました」という話をしました。

その1つが、今回発表した希望退職、ニューライフです。ニューライフに関しましては全体で1200人の人員削減と考えていたのが、今回コロナというのもあって、おそらく多少環境としては希望退職に必ずしも完ぺきではなかったということもありまして、965人の応募、ほぼ80パーセントの応募に終わりました。

ただ、効果として考えていった時、この80パーセントというのは当初人員削減での効果として103億円と考えていたのが、82億円くらいの効果になりました。

人件費の削減としては21億円。それから、それにともなう活動費として9億円程度、つまり30億円程度。来年の削減の部分に関して見たらば改善ができなくなることになりますが、実はそれ以外のことがかなりうまくできました。

今回、営業拠点を半分以下にするということ関して目処が立っています。現在、LHTで149営業拠点。LWTで120営業拠点。これを半分以下にすることができます。

それから、東京にある22拠点を1拠点にするということは、すでに開始できております。また、残業代が今だいたい30パーセントくらい削減できましたけど、これがかなりもっと削減できて、それが年間を通してみることができると。

そういったことをいろいろ重ねて考えてみると、支店、支社の削減も今度フルに効いてくると考えますと、230億円は充分に可能だと考えております。

もう1つの要素として、今回、そもそも1200人に対して205億円で考えてきた費用が最終的に135億5,000万円に終わりました。80パーセントの人が応募したのに対して、実際の費用は効果費用として見た時に、66パーセントの卑小で終わりました。

これは比較的年齢が高い人が応募することが多かったので、その分だけ、効率と言うと言葉が悪いですけれど、少なくなる人数が実際の予定の80パーセントに対して、使った費用としては66パーセントでした。ある程度この費用に関しては、さらに生産性の改善に来期以降使っていくことができます。

また、これ以外にいくつかの生産性の改善の手段に関しまして、今期から来期にズレた分が一部あります。これは、費用的にIFRSを使うことによって変わった部分もありますし、それから工場の部分で多少予定が2ヶ月ほどズレたものもあります。

ただ、全体で見ていくと順調以上に進んでいると。我々としては、しかもそれが定着していて、加速しているという自信を持っています。ですから、今回298億円の3ヶ月間の利益というのは非常によい結果だと思っていますけど、これに満足することなく、さらに改善することができると思っています。

第4四半期に関しては、我々、一番最後のクオーターはどうしても利益率が低い、日本としては商売が少ない。公共工事とかがそこにきたりとか、商品のミックスが悪くなるということもあって、必ずしもよいクオーターではありません。

しかし、そこでもそこなりの結果が出るし、来年度以降はさらに生産性の改善が刈り取れるということで、かなり自信を深めております。

我々は今まで、計画として4つの段階をやっています。コアな事業に集中して組織の効率を上げる、組織を改善する。この部分に関して言ったらほぼ終わっています。

それから、2番目に日本の事業をキャッシュイーターからキャッシュジェネレーターにする。この部分に関しては、今回はっきりと効果が表れてきて、これは来期にプラットフォーム冊子も完成しますので、ほぼそういった意味で来期以降表れます。

それから、海外の事業をポートフォリオ事業を中心に成長させていくといった部分。これに関しては、今期コロナとかあって必ずしも順調ではなかったですけれど、逆に十分な準備ができましたし、環境もよくなってまいりました。来期以降ここは実現できる自信があります。

そして最後に、リープフロッグできるような、例えばデジタルであったり、水の浄水技術であったり、そういった新しいフェーズの技術です。充分手は着けられていませんが、スタートは打つことができました。

そういった意味で、今期はいろんな意味でやってきたことがだんだんと成果が見えるようになった、数字で表れるようになったという意味で、よいクオーターだったと思っています。

これはIFRSと日本の会計基準でいつもご説明している内容ですけれど、我々、IFRSでは事業利益を重視しています。これが我々がふだんの稼ぐ力の基礎だと思っています。いわゆる日本基準で言う営業利益と同じように事業利益を見ているというふうに考えております。

2021年3月期第3四半期 決算ハイライト

次のページお願いします。ここは、単純な決算のハイライトです。ちょっと話してしまいましたけれど、9ヶ月で見た時にはまだ事業利益としては前年同期比72億円少ない状態です。ただ、第4四半期までの全体で考えていくと、昨年の523億円が575億円になるということで、増益になる上方修正を考えております。

それから、最終利益の段階では、現時点ですでに前年同期比80億円増の387億円で着地しました。ここの重要なところというのは、売上収益はまだ前年同期比より少ない10パーセント減だということです。

第3四半期は今までで一番よかったのですけれど、今年の中で言ったらまだ4パーセント減です。売上収益が下がっていく中で事業利益を高く取れた、特に日本を中心に高く取れたというところは、今までと一番違うところです。

これは私が就任してからずっとお話ししてきたところですけれど、LIXILの一番の問題は、ブレークイーブンポイントが高すぎるがゆえに売上が下がると一気に赤字になってしまうような体質があったと。

その部分に関して体質改善をして、販管費を下げて、粗利の取れるビジネスにシフトしていって、結果的に今回、売上収益は第3四半期に減ったけど、もしくは4月から12月までの9ヶ月間で減ったけれど、事業利益を増やすことができたというところは大きな効果だと思っております。

それから、さっきちょっと話した部分ですけれど、それはなんでか。減収局面においてなんで利益が改善でき、それから通期業績予想が修正できたかというと、販管費の削減を組織改革、働き方改革、デジタルツールの活用、ここで生産性を上げたからです。

粗利率を上げるという部分では、我々、商品を中高級品のところのニーズが高まったところにうまく捕まえることができました。

これは、今ちょうど「おうち時間を幸せに」というコマーシャルを開始していますけれど、例えば、うちに帰ってきたらすぐ手が洗えるような「どこでも手洗」とか、触らなくても水が出せる自動水栓に浄水機能を付けた「ナビッシュ」。

例えば、コロナの時期どうしても通風がしたいということで、網戸であったり、通風のできるドアであったり、こういった時期に家で仕事しなきゃならないからということで、音を遮断できる内窓である「インプラス」、それからリフォーム用のシャッター。

これはコロナとは直接関係はありませんけれど、非常に自然災害が多かったということで売れています。それから、外で仕事をしたいということでデッキが売れたり、「押し入れを改造しましょう」ということで売れたインテリア建材である「ヴィータス」。

こういった時に塗り替えではなくて、「暖房もしくは冷房効率をよくできるようにしよう」ということで売れ出した樹脂製の「サイディング」とか。

こういった商品が我々の中で言った時、お客さんがもうちょっとよい商品を買いたいというところにうまくはまることができて、今回利益率を上げることができたように思います。

そして、これは一次的なものではなくて、お客さんが生活を本当によくしたいと、今の日本人だけでなく、海外の人たちも含めて生活をしたいという需要に応える商品ができてきたからだと思っています。

2021年3月期 第3四半期(3ヵ月)コア事業:業績概況

これは3ヶ月ごとですけれど、特に事業利益を見てもらいますとわかるとおり、第3四半期ですべての事業において、事業利益、昨年を超えることができました。

なお、この傾向が今後続けていくことができるというのが、さっき言った販管費を下げる部分と粗利が出るという部分が国内。海外に関して言うと、コロナの後のペントアップデマンドだけではなくて、実際にヨーロッパ、アメリカに関してはしばらく長く強い需要が続きそうな状況であります。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響について

次のページお願いします。これが今回、月ごとに表した需要です。生産・販売・調達を見ていただいたところで月次の販売のグラフを見ていただきたいのですが、一番伸びているのがヨーロッパ。

ヨーロッパに関して言えば、最初、ロックダウンで非常に大きな被害を受けました。実は10月から12月、ドイツとかスイスとかスペインとかでロックダウンがあちこちで始まった時、我々も非常に心配しました。

ところが学ぶところがあって、我々が今回の中で、例えばロックダウンになると店舗では売れなくてもインターネットでは売れるとか。

例えばロックダウンである工場が生産できなくなると他の工場でも出せると言ったような、そういった仕組みを4月、5月の間に学習した結果として、今回10月、12月はむしろ数字としては大きく伸びることができたと。

それは、ヨーロッパもそうです。それからアメリカもそうです。中国はみなさんご存じのとおり、最初の武漢で、ウーハンで大きなコロナの被害があったあとは順調に回復していって、ビジネスそのものも回復していっています。

ただ、私はちょっとだけ注意しておいたほうがよいなと思うのが、中国は不動産バブルになっている部分があると思っています。その部分に関して我々は慎重に、お客さんに対してリスクを分散する方法を考えたりとか、商品として我々しか買えないような商品にシフトするとか、そういった工夫はしています。

それからアメリカに関しては、これもビジネスモデルの転換というのを2年ぐらい前からしています。これは、もっと今までのような伝統的な店舗とか卸に頼るだけではなくて、例えばeコマースであったり、それからリフォームで直接お客さまに対して売るといった、そういった部分を増やすということがある意味、底堅い需要につながっているという部分があります。

それから東南アジアに関しては、これからまだぎりぎりゼロパーセントくらいになっていますが、1月にはこれも増加に転じています。

アジアに関しては一番被害を受けました。これは当然、観光とか、交通が止まるとプロジェクトに頼る部分が大きいアジアのビジネスは非常に弱いと。それからアジアの中でいくと、我々として大きなビジネスであるタイとか、インドネシアとか、かなり観光に頼る部分はやっぱりやられました。

インドに関してはロックダウンがきつく、今でも非常に生産を立ち上げようとするのが難しいという状況ではありますが、なんとかここは回復してきました。

ただ、ここは逆に言うと、ペントアップした部分が2年後、3年後には大きく跳ねて成長を担ってくるだろうというふうに考えています。

日本は、実際の全体としての需要としては必ずしも前年度に比べてよいわけではないですけれど、中身をよくしたことと、我々としては販管費をよくするということで、実際のビジネスの貢献ができたというふうに考えています。

生産全体は、今のところ生産も調達も、国内外すべてにおいて大きなところで問題は起きていません。我々の強みというのは、世界中にプラントがあります。ですから、ある程度の問題が起きても他で補うということはできているのではないかと思っています。

ただ、今回ロックダウンが個々からまた広がったり、コンテナが不足するということで、今あちこちに持っていくということにおいて、多少のリスクは抱えながらやっていることは事実です。

それに対して対応するために、どこも在庫をちょっと積んでいってるんですけど、販売は好調ということもあって、今、十分に在庫が積み上がっていないところが多少心配が残っています。

あと、「これは続くの?」という疑問があるのかもしれませんが、実はヨーロッパ、アメリカについては続くだろうというふうに思っています。

アメリカに関しては、過去、私たまたまコロナが始まる直前の昨年の1月にアメリカのキッチン&バスショーにいたんですけれど、その時点で5年もしくは10年くらい、しばらく続くというふうに強い不動産需要を見ていました。

その後、新築に関して言うと実は作れなかったというところもあって、どんどん在庫が減っていっています。ですから、今は過去最低というところまで在庫が減っていっていますから、住宅需要に関してはしばらくはかなり強いものがあると思います。

ただ、作れないということで供給が間に合わないがゆえに、需要が活かされないという部分はあるかもしれません。

ヨーロッパとアメリカでもう1つ共通しているのは、さっき話した、「こうなってくると外に使うよりは中に使おう」という部分の需要が増えてきています。

これは当然のことながら、今後ワクチンが普及して世の中がわりと明るくなってきたら、やっぱり外に使おうというふうに向かう部分があるかと思います。

ただ、今いろんなところから調査とかで需要を見ている限りでいくと、一度戻った住宅を改善しようという需要そのものは大きく変わらないだろうということで、特に先進国は根強い需要が続くと見ています。

従って、海外のビジネスの成長に関して言うと、来期以降は明るいんではないかと考えております。

2021年3月期 第3四半期連結業績結果

これが今回の業績の結果で、先ほどちょっとお話ししたところです。特にこの直近3ヶ月を見ていただきたいのですけれど、売上収益に関しては4パーセント減っています。

でも、売上総利益は2パーセント増えて、事業利益は3.2パーセント増えています。4.7パーセントだった事業利益が、8パーセントになっています。ここがやっぱり一番、我々としては強調したいところで、今回は体質を変えることができたと。

我々の事業はこれまで、売上が減ると必ず大きく事業利益を下げていたところ、ようやく事業利益として、このような状況であっても8パーセントまで増やすことができたというところは、我々としては非常によかったというふうに考えております。

最後のところに、販管費は9ヶ月で前年同期比275億円の削減、第1四半期95億円、第2四半期95億円、第3四半期89億円ということになっています。ここに関して言うと、当然第1四半期は悪かった。要するに、コロナでみんな動けなかったわけですね。

ここで下がるのは当たり前だった。ですから、今回第2四半期、第3四半期でここまでプラスになっているということは、活動が始まっても充分販管費を下げることができてるということが、非常にサステナブルなところだと見ていただきたい。

特に我々の場合、デジタル化は早く強く進めたというところで、この販管費の削減がサステナブルになっているところだと思います。

2021年3月期 第3四半期(3ヵ月・累計)セグメント別業績概況

これはセグメント別ですけれど、やはり、コアのLWTとLHTに力を入れてきたという成果が出ています。残念ながら、LBTに関してはオリンピックの需要が終わってしまったということもあって需要の面では大きく苦戦していて、ここはもともと利益率が低いところなんで、需要が下がると苦戦していることは事実です。

ただここも、LHT同様に改善できると思っています。LBTとLHTが一番違うところは、LBTの場合は平均して3年くらいのビジネスなので、利益率を上げるという努力をしても1年目には3分の1しか効果は表れないということになります。

LHTは1年目から効果が表れるということになります。ということで、LBTはあと2年ぐらい成果を待ってほしいというふうに思っています。住宅・サービス事業に関しては、LIXIL住宅研究所とかLIXILリアルティのビジネスですけれど、ここはまだそういった意味では大きく改善はできていないというのがちょっとあります。

ここも改善していきますけど、コアであるLWTとLHTが改善したというのは大きな自信を持てるところだと思います。

2021年3月期 業績予想の修正(全社)

次のページお願いします。この結果として、今期は575億円の事業利益ということで、事業利益に関しては400億円から大きく上方修正だけではなく、昨年の実績に比べても52億円の増益になります。営業利益も増益になります。

それから、当期利益に関しては125億円が335億円と大きく増益ができていると。ようやく、まあまあな会社になってきたと思っています。

もちろんこれをどんどんよくしていかなくてはいけないと思っているのですが、まあまあな会社になってきたなと思っております。

2021年3月期 業績予想の修正 ‐ 市況見通し・前提条件

次のページお願いします。市況に関して心配なことは、アルミ、銅、鉄という材料がすべて上がっていること。それからコンテナの値段が上がっているのと、コンテナ不足になってきているということです。

一番この中ですぐに採算に響くのは通常アルミなんですけれど、アルミに関しては今期分まではすでにヘッジしていて、全量調達していますので、今期への影響ありません。

来期は4月から新しい商品を順次入れていくことになりますので、そこでコストアップがあったとしても、そこにヘッジできる部分が大きいと思います。

銅に関しては、いわゆる我々のフォーセット、フィッティングですね、この部分の商品に関して当然影響が出てきますけれど、これも商品の導入のところに入れること。それと、我々タイで亜鉛の工場に変えてきているので、ここの部分での対応はある程度あると思います。

コンテナ不足、それからコンテナのコストが上がっていくということに関しては今のところ対応できています。

ただ、これ以上状況が悪くなってくると、今の在庫とかでいくと、我々が見て需要が増えているのに対して十分に追いつけないというリスクはまだ持っていると思っています。ここはがんばって、いろいろな手段でヘッジしていこうと思っています。

2021年3月期 業績予想の修正 ‐ セグメント別

そういった意味で全体の予想にしていますけれど、LWTとLHT、今期に関しては修正はよい方向にみんな変えようと考えています。

持続的な成長に向けて:組織改革と生産性向上への取り組み

次のページお願いします。「じゃあなんでここまでできたか」というとですが、さっき言った3つの組織改革、組織を改革したこと、働き方を変えたこと、デジタルを活用したことは、もともと2年前に始めた「変わらないと、LIXIL」というとこが基礎になっています。

「顧客志向に変える」こと。顧客志向に変えることで、今までBtoBの前線に立っていた人をBtoCの前線にもってきたりとか、それからショールームをオンラインに活用していったりとか、お客さんがショールームにわざわざ来なくてもちゃんと我々の商品を選ぶことができるような状況を作ってきたこと。

それから、「キャリアを変える」ということ。今回「ニューライフ」というプログラムをやって、今までキャリアオプションをやってきました。来期以降もキャリアオプションを続けていきます。

それから今回、全従業員が自分のキャリアについてのこれからのメリット、「暮らしが変わっていくんだったらどうするんだ」ということを考えてもらうため、「キャリアジャーニープログラム」を開発しています。

それから、私が卒業したビジネススクールですけれど、TuckのMBAのコースと一緒に、イノベーションをどうLIXILで作っていくかということを、クラスを作って、これを全社的に今取り組んでいます。

そして、働き方の改革としては、当然、我々在宅型の勤務の変更ということは一番先進的な会社の1つだと思います。今現在でも本社で働いている人というのは、5パーセントくらいしか会社に来ていません。

それから、スーパーフレックス制度。例えば、今まで「女性だったら育児休暇」といった制度も、男性も女性も関係なく全体としてみんなの人生をサポートできる、なおかつダイバーシティ&インクルージョンにふさわしい制度に変えてきています。

結果として、残業は大きく減ってきています。ここで30パーセント前年同期で減ったと言っていますけれど、もっと来期は減らしていって、これを刈り取っていこうと思っています。

先ほどちょっとお話ししましたけれど、今回ニューライフに関して言うと、予定していた金額で人件費と活動費と合わせて来期30億円ぐらい削減できると思った分が、ニューライフでできなかった部分があります。

この部分はそのほかのことで、今言った残業費の削減であったり、拠点の変更であったり、組織の変更とかいったことで30億円以上のコストセーブができるので、昨年比較230億円の販管費削減のコミットはあります。

ですから、今の販管費よりさらに下がります。ただ、それだけではだめで、削れるものはどんどん削ろうと。ビジネスとしてもっともっと利になれると思っています。そのカギがこの「変わらないと、LIXIL」です。

連結財政状態

今度はバランスシートの話をさせていただくと、バランスシートはあまりよくないです。自己資本比率29.4パーセントです。去年よりは5.4パーセント改善しましたけれど、ただこれは、コロナで一時的に現金を借りて増やしたという部分があります。

従って、この部分に関しては3月までに1,000億円の返済をしようと思っていますので、この3月末にはさらに自己資本比率は改善できると思っております。

キャッシュフローの状況及び現金残高

これを見ていただくと、投資キャッシュフローを、「お前、なんかキャッシュ増やすって言っているけれど、キャッシュ増えてるじゃないか」という話になるかもしれません。

しかし投資に関していくと、今回増えた部分のほとんどが本社移転に関わる設備投資の一時的なものです。それを除けば、投資金額に関しては減らしていっております。以上、駆け足ですけれど、今期の概要、骨子はご説明いたしました。