上期実績 概況

新野隆氏:社長の新野です。本日は音声配信というかたちでの決算説明会となりますが、多数の方々にご参加いただきありがとうございます。

それでは、本日発表させていただきました2020年度第2四半期の決算概要についてご説明を申し上げます。

はじめに、決算の概要です。4ページ目をご覧ください。2020年度上期実績の全体像をご説明いたします。売上収益は前年にあった大型案件の反動と、ビジネスPCの更新需要の一巡に加え、新型コロナウィルス感染症の拡大に起因するマクロ経済悪化の影響により減収となりました。

調整後営業利益は、費用コントロールや子会社株式の売却益を計上したものの、売上収益の減少により減益となりました。また、調整後当期利益は、調整後営業利益の減少に伴い減益となっています。

上期実績サマリー

5ページをご覧ください。上期の売上収益は1兆3,150億円、調整後営業利益は290億円となりました。また、調整後当期利益は166億円となりました。フリー・キャッシュ・フローは297億円の収入となり、これについては後ほど詳しくご説明いたします。中間配当は、期初からお約束していた1株40円の配当を、本日の取締役会で決定いたしました。

なお、本日発表の上期実績ですが、社内の想定に対して売上収益が700億円、調整後営業利益で160億円、それぞれ下振れとなりました。

セグメント別 上期実績サマリー

6ページには、セグメント別の実績をお示ししています。各セグメントについては、後ほど個別にご説明申し上げます。

調整後営業利益の増減要因(前年度比)

7ページをご覧ください。調整後の営業利益について、前年からの増減要因をご説明いたします。

前年度の上期と比べて、ビジネスPCの売上減による40億円、2019年度の大型案件の反動による100億円に加えて、5Gやデジタルトランスフォーメーションの共通プラットフォームへの投資増による90億円といった減益要因がある一方で、不採算案件で31億円の改善がありました。これが当初から想定していた変動要因です。

上期は、これらに加えマクロ経済悪化の影響を、グローバル、エンタープライズ、連結子会社の日本航空電子工業で受け、330億円の減益要因となっています。この市況悪化の影響を費用コントロール、New Normal需要の獲得、子会社株式の売却で改善させるも、前年度比では263億円の減益となりました。

社会公共

8ページ目以降はセグメント別の業績になります。最初は社会公共です。売上収益は、医療向けや地域産業向けの減少に加え、ビジネスPCの売上減により減収となりました。調整後営業損益は、売上減により減益となっています。

社会基盤

9ページは社会基盤です。売上収益は、航空宇宙・防衛向けが減少したことに加え、連結子会社の日本航空電子工業の減により減収となりました。前年にあったビジネスPCの更新需要の反動減につきましては、GIGAスクールの需要を取り込むことによりカバーしています。

調整後営業利益は、日本航空電子工業が悪化したことにより減益となっています。なお、日本航空電子工業を除いた単独ベースでは、売上減と稼働損によるマイナスの影響を不採算案件の改善により挽回し、前年並みの利益を確保しています。

エンタープライズ

10ページをご覧ください。エンタープライズです。売上収益は、前年の流通向け・金融向けの大型案件とビジネスPCの減少に加え、製造業や流通・サービス業におけるIT投資抑制により減収となりました。一方で、New Normalにおける新たな需要も出てきており、今後の業績に寄与するものと期待しています。

調整後営業利益は、売上減により減益となっています。

ネットワークサービス

11ページは、ネットワークサービスです。売上収益は、連結子会社のNECネッツエスアイでNew Normal商材を中心に増加し、増収となりました。

調整後営業利益は、NECネッツエスアイが増益となったものの、下期以降の5G基地局出荷に向けた開発の加速に加え、スタンドアローン向けの機器開発のための開発費用の増加により減益となりました。

グローバル

12ページは、グローバルです。売上収益は、需要が拡大している海洋システムが増加しましたが、ディスプレイ・ワイヤレスが減少したことに加え、KMD社の買収時に見込んでいた同社の一部事業の終息もあり、減収となりました。

調整後営業損益は、売上減により減益となっていますが、費用コントロールを行うことでこの影響を一定程度吸収しています。

グローバル事業の状況

13ページは、グローバル事業の上期の売上を、売却・縮小事業、それ以外の継続していく事業に分けてお示ししています。

売却・縮小事業は、エネルギー、ディスプレイ、KMD社の買収時に終息を見込んでいた事業となりますが、売上収益・営業損益ともにディスプレイ事業の悪化が大きく影響しています。従って、2020年度上期のグローバル全体の売上は減収となっていますが、継続していく事業についてはこの状況下でも改善しています。

また、営業損益についても、継続していく事業のベースでは前年比で大きく改善し、増益となっています。なお、すでに決定しているディスプレイ事業のシャープとの合弁会社化は、11月中に実施される見通しとなっています。

受注動向 (ハードウェア含む)

14ページをご覧ください。受注動向についてご説明いたします。全社の上期受注は、前年同期比でプラス2パーセントとなりました。特に第2四半期は、前年対比10パーセントの増加に転じ、第1四半期と比較してモメンタムが改善しています。

セグメント別に少し補足いたしますと、マクロ経済悪化の影響が大きい「社会公共」と「エンタープライズ」は第1四半期と比べてマイナス幅が縮小し、「社会基盤」と「ネットワークサービス」は前年から第2四半期に大きく増加。「グローバル」は、海洋システム事業が第1四半期・第2四半期とも好調を維持しています。

フリー・キャッシュ・フローの状況

15ページはフリー・キャッシュ・フローの状況です。

営業キャッシュ・フローは、売上の減少や一部案件の前受金などにより、運転収支が約220億円改善しましたが、調整後営業利益が263億円悪化したことに加え、税金・賞与などの支払い増による約370億円の悪化により、前年比414億円の悪化となりました。

一方、投資キャッシュ・フローにつきましては、データセンター投資の一巡や、関係会社再編の影響などにより155億円の改善となりました。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは297億円の収入となりました。

業績予想サマリー

続いて、2020年度通期の業績予想についてご説明いたします。17ページ目をご覧ください。年間の業績予想は、5月12日に公表した計画から変更していません。

今後の新型コロナウイルス感染症拡大を起因とする変化への対応

18ページをご覧ください。新型コロナウィルス感染症の拡大を起因とするマクロ経済悪化の影響についてご説明いたします。

期初の時点では、営業利益で年間500億円のマイナス影響を想定していましたが、上期の実績および今後の見通しを踏まえ今回精査し、本日時点では650億円のマイナス影響を想定しています。感染症の拡大の収束にしばらくの時間を要することに伴い、影響も当初より拡大する見込みです。

このマイナス影響を費用コントロール、New Normal需要の獲得、そして特別対策により相殺していく考え方に変更はございません。

まず、費用コントロールについては予定どおり進捗しており、今後も不要不急の費用を抑制することで、年間で220億円の改善を見込んでいます。次に、New Normalにおける新たな需要の獲得に関しては、補正予算や当注当売の案件をさらに積み上げていきます。現時点で、年間160億円のうち60億円は見えていますので、残り100億円の足付けを今後進めてまいります。

また、コーポレートとしての追加の特別対策として、昭和オプトロニクス社の株式売却や、本日発表した相模原事業場の土地譲渡により、合計で270億円の利益寄与を見込んでいます。

キャッシュ・マネジメント:手元流動性の状況

19ページ、キャッシュ・マネジメントについてコメントをいたします。9月末のコミットメントラインを含めた手元流動性は、月商の2.8ヶ月分となり、継続的なフリー・キャッシュ・フローの創出や、7月の第三者割当増資により、前年同期比0.4ヶ月の改善となっています。

マクロ経済悪化への備えとして、引き続き万全の手元流動性を確保してまいります。

経営トピック:相模原事業場の土地譲渡

20ページをご覧ください。ここからは、2つほど経営トピックをご紹介いたします。

1点目は、相模原事業場の土地をヒューリック株式会社に譲渡することを決定いたしました。相模原事業場はNECグループ外の企業による利用比率が拡大しており、以前と比較して利用形態が変化しています。

本譲渡により、160億円の営業利益を今年度下期に計上する見込みです。資産圧縮によるキャッシュの創出を加速し、成長投資へと振り向けてまいります。

経営トピック:Avaloq社の買収

21ページ目。経営トピックの2点目は、10月5日に発表しましたスイスの大手金融ソフトウェア会社であるAvaloq社の買収についてです。

Avaloq社は、金融資産管理向けソフトウェア市場において、欧州でシェア1位、APACでも2位のシェアを持つ会社です。

Avaloq社の保有する強固な顧客基盤、デジタルファイナンスのプラットフォーム、データ分析ソリューションと、NECが保有する生体認証やAI、ブロックチェーン、グローバルでの展開力を掛け合わせることで、グローバルにおけるデジタルファイナンス領域に本格進出をしてまいります。

買収金額は約2,360億円となり、手元資金を充当いたします。なお、本買収は2021年4月までの買収完了を予定しています。

私からのプレゼンテーションは以上となります。新型コロナウィルス感染症の影響が当初の見込みよりも長期化する中で、当社業績へのマイナス影響も、当初の見込みより大きくなる想定です。しかし、本日ご説明させていただいた各種施策を着実に実行することで、調整後営業利益の1,650億円はぜひとも達成し、来年度からスタートする次の中期経営計画につなげていきたいと考えています。

ご清聴、ありがとうございました。