業績サマリー

守安功氏:今回はコロナ影響があるということで、オンラインでの開催とさせていただきます。それでは、2021年3月期第2四半期の決算についてご説明させていただきます。

まず、連結業績のサマリーです。第2四半期の売上収益は388億円、IFRSでの営業利益は83億円、Non-GAAPでの営業利益は81億円でした。売上とNon-GAAPでの営業利益については、前年同期、前四半期と比較してかなり成長しました。業績自体は非常に順調な四半期だったと考えております。

2021年3月期の進捗

全体業績について、2年半、10四半期分に引き伸ばし、かつ季節性の影響が非常に大きい、またコロナ影響がマイナス要因に触れたスポーツを除いたベースの業績推移を載せております。

まず、左側が売上です。2年間ほど長期的に微減が続いていたわけですが、昨年度の第3四半期を底に、ゲーム事業やライブストリーミング事業が成長したことでトップラインが伸びております。

トップラインの成長と同時に、いろいろなコスト施策を打ちました。コスト削減を同時に実現したことで、右側の損益ベースで見た場合にかなり顕著にV字回復を実現しました。

業績回復にあたって、いわゆるコスト削減をして損益を回復させることは、よくある手法だと思いますが、今回我々はトップラインをきっちり成長させて、その上でコスト削減も実現して、業績を回復させることができたということで、非常に質的にも高いレベルでの業績回復につながったのではと考えております。

セグメント別業績(IFRS)

セグメント別の業績になります。ゲーム事業、ライブストリーミング事業が好調に推移していることに加えて、スポーツ事業も第2四半期に関しては黒転したということで、全事業順調に推移したと考えております。

費用構成(IFRS)

費用構成になります。売上、原価、販管費はこのような推移になっておりますので、ご確認いただきたいと思います。

ゲーム事業:四半期業績

ここから各事業の説明に入ります。まずゲーム事業です。第2四半期は、第1四半期に引き続いて、主力の運用タイトル……任天堂さんとの協業タイトルや、Cygamesさんの『グランブルーファンタジー』、そして一周年を迎えた『ポケモンマスターズ』と、いわゆる主力のタイトルが総じて堅調に推移しました。

それに加えて、『スラムダンク』の海外展開が進んで業績的に寄与してきており、非常に好調な第2四半期になりました。

ご覧いただきたいのは左側のグラフです。『スラムダンク』の貢献によって海外アプリの売上がグンと拡大しております。アプリに絞って見ると、国内の売上と海外の売上が、だいたい匹敵するぐらいまで海外の売上貢献が増えてきております。

我々は、このゲーム事業の方針として、日本の有力なIPを活用して、日本の拠点、中国の拠点でゲームを配信し、それをグローバルのユーザーに届けて配信していく方針をとっているのですが、それがうまくいき始めているのではないか、この方針に沿った事業展開ができてきているのではないかと考えております。

ゲーム事業①

好調な『スラムダンク』ですが、7月下旬に韓国においてリリースしまして、韓国版も期待どおりのヒットになっております。そういう意味で、中国大陸版・韓国版に関しては期待した通りのヒットにつながっております。第1四半期の5月に配信開始した繁体字版は期待を上回る大ヒットで、地域が広がるにつれて貢献が大きくなってきております。

今後、順次展開エリアを拡大し、今月下旬に東南アジア・欧州・南米での配信を予定しております。言語的にも、これまでの対応言語に加えて、英語、タイ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語と対応言語を増やしていきます。

加えてマーケティング面においても、ローカライズされたかたちで現地に即したプロモーションを実行して、しっかり地域単位で立ち上げていきたいと考えております。

ゲーム事業②

ゲーム事業については、まだ仕込み中で公表できない今後の新規タイトルがいくつもありますが、公表できるタイトルを記載しております。

左上にあります『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』は大人気の漫画で、アニメのリメイク版です。最近配信が始まりましたので、スマホゲーム化で期待しているタイトルです。

右下は『HUNTER×HUNTER』のIPを活用したゲームです。中国の拠点で新規に開発しておりまして、ジャンルとしてはMMORPGで、中華圏において非常にニーズが高く、根強く人気のあるジャンルになりますので、こちらも楽しみにしております。

スポーツ事業

続いて、スポーツ事業です。スポーツ事業は第1四半期、非常に苦しく、コロナの影響を大きく受けて始まりましたが、無観客での試合が6月19日から始まりました。

その後、7月17日から観客が5,000名上限で観戦いただけるようになっております。9月19日からは50パーセント上限で、横浜スタジアムでは上限1万6,000名と、徐々に観客の動員数を増やしながら興行しております。

コロナ影響が今後どうなっていくかは、まだ不透明ではありますが、観戦対策をしながら観客動員も徐々に増やしていくことができておりますので、来シーズンに向けてよいかたちでつなげていけるのではと思っております。

新規事業領域

続いて、新規事業領域です。いろいろな新しいことに取り組んでおり、各サービスの性質に応じたかたちで区分しています。我々が成長に応じてきっちりオーガニックな投資をして立ち上げていこうというのが、「Pococha」やヘルスケアの「kencom」です。

「kencom」に関しては、先般リリースさせていただきましたが、データホライゾンさんと資本業務提携を締結しまして、今後は共同で活用したデータを利活用していくことで、事業を展開していきたいと思っております。

「Pococha」は、ライブストリーミング事業が非常に順調に成長しておりますので、本日はそのあたりのジャンル特性や今後の方針について、時間を割いて説明していきたいと思います。

ライブストリーミング事業:四半期実績

ライブストリーミング事業のセグメント売上および損益です。第2四半期からいわゆる「SHOWROOM」が連結除外されましたので、こちらに関しては過去に遡って「SHOWROOM」の貢献分を除いたかたちで表示しております。そういう意味では、セグメントと言いながら、だいたい「Pococha」の売上・損益と見ていただければよいのではないかと思います。

2019年度も非常に順調にサービスが成長してきたところがありますが、第1四半期、第2四半期に関してはコロナの影響を強くプラス面で受けたということで、これまでのトレンドからすると一気に売上が成長しました。

トップラインの成長にともなって、損益ベースで見ても、ボリュームをともなったかたちで利益貢献を始めてきたところが上期になります。

ライブストリーミング事業①

サービスのKPIになります。ダウンロード数およびリスナー、ライバーの双方のMAUを出しています。月次の推移になります。

見ていただけるとお分かりのように、第1四半期、緊急事態宣言があった4月のタイミングで、一気にダウンロード数が増加し、ダウンロード増加にともなって、MAUも4月、5月、6月とグングン増えました。

その後、第2四半期の7月、8月、9月に関しては、ダウンロードが落ち着いてきましたが、MAU利用に関して一過性で終わるのではなく、しっかりと高いアクティビティ率を誇って、順調に推移しているところが読み取れると思います。

ライブストリーミング事業②

ライブストリーミング事業については、投資家さん、アナリストのみなさんも、まだあまりジャンル特性を理解されてない方もいらっしゃるのではないかと思います。我々から見た事業ジャンルの特徴を説明させていただきます。

SNS領域とありますが、SNSやコミュニティというサービスの、これまでのインターネットの歴史にともなうかたちでサービスが変遷してきております。

まず、データのフォーマットに関しては、テキストから始まって、画像、そして非同期のアーカイブ系の動画、リアルタイムでの動画配信、コミュニケーションができるようにとリッチ化してきております。

このベースになるのは、当然デバイスの進化もありますが、より大きいのがやはり通信環境・通信インフラの進化で、高速化・大容量化、そして通信量が低コスト化するかたちで、これらをインフラの進化にともなって、フォーマットがかなり変わってきております。

そのビジネスモデルに関しても、インターネット黎明期は、デジタルコンテンツやサービスに対してユーザーさんに課金していただくのがなかなか難しく、広告モデルじゃないと事業展開が難しかったフェーズがあります。

インターネットの利用が一般化するにしたがって、いわゆるデジタルアイテムの課金やサブスクで、お客さま、コンシューマーの方に課金していただける土壌が整ってきております。

また、リアルでも顕著ですが、いわゆるモノ所有・モノ消費からコト消費・体験への消費へと最近は変わってきたと言われておりますが、インターネットの世界でも、単純にデジタルアイテムを課金して所有するだけではなく、その場を一緒に共有して盛り上がる体験に対して課金していくかたちが、だいぶ増えてきていると思います。

いろいろなトレンドがありますが、これらをとらえたサービスがスマートフォンに特化したかたちでのライブストリーミング事業になるのではという見方を我々はしております。

ライブストリーミング事業③

もう1つ、ジャンルの特徴について、こちらはライバーさんの視点から見たかたちになります。

インターネットのよさについては、20年以上前から言われていたことになりますが、いわゆる特別な設備を持たなくても、あるいはイニシャルコストなどのお金をかけなくても、いろいろな個人レベルで情報発信ができたり、ビジネスに活用できたり、インターネットって素晴らしいよね、と……エンドツーエンドでいろいろな人がつながれて、コミュニケーションできたり、ビジネスができたりするのがインターネットの特徴だよねと、当初から言われてきたわけです。

ビジネス的に見ると、最初はやはりB2Cで、企業側からいろいろなものを提供して事業が展開されていました。個人の利用が一般化されるにしたがって、その個人の情報発信やビジネス展開に使われるようになってきて、個人の活動をエンパワーするようなサービスが伸び始めているのが、特徴としてもともとあったと思います。

そのような状況に加えて、4月からのコロナ影響がいろいろな生活に影響を与えたわけです。巣ごもり消費がクローズアップされて、いろいろ報道されましたが、一部を切り取った場合には、巣ごもり消費という行動変化がありましたが、実際には消費活動だけではなく、緊急事態宣言が出されて職場が休業になったとか、あるいは職自体を失った人もいるかもしれないし、また個人でビジネスをされている方も、取引先とのビジネスが難しくなったりしました。

経済的にも非常に困難な苦しい環境に置かれた方がいっぱいいらっしゃって、その人たちが、家にいながらインターネットを活用して経済活動ができるところが、非常に人気になったのではと思います。

ここに書いてあるように、eコマースでいくと個人が自分で手軽に通販できることであるとか、あるいは自分がやりたいプロジェクトロイヤリティに対して支援をしてもらう、いわゆるクラウドファンディング的なものが伸びたりしました。

あるいは、我々がやっているライブストリーミングでいくと、個人が自分で配信して、それを応援してもらって、その対価をいただくようなかたちで、家にいながら、巣ごもりしながら経済活動をすることができます。

「巣ごもり消費」に対して、「巣ごもり生産」的な要素があって、巣ごもりしながら生産活動をして、一方の消費活動もネット上でできる、オンライン上でそれが完結するというサービスが、上半期においては爆発的に成長したのではないかという見方をしております。

ライブストリーミング事業: Pocochaの特徴

これらの事業ジャンルの特徴を踏まえた上で、「Pococha」の特徴をいくつかまとめております。

スマートフォンに最適なUI/UXは当然のことですが、我々がそのサービス提供にあたって重視しているのが、リスナーさんとライバーさんが一緒に盛り上がるということです。

リスナーさんとライバーさんが一緒になって配信枠を盛り上げていく場を、コミュニティとしてコミュニケーションを通じて作っていく、居心地のよい場を作っていくことを加速するサービスを意識して展開してまいります。

あとは、「個のエンパワーメント」とありますが、やはりリスナーさんとライバーさんの適切なマッチングも意識しております。コミュニケーションが主体となるライブ配信ですので、例えば1人のライバーさんに対して、数千人のリスナーさんが見るかたちでも成立するライブ配信プラットフォームはありますが、我々がコミュニケーションを重視した枠を作っていく場合には、やっぱりライバーさんとリスナーさんの比率が1対数十、あるいは1対数百前半くらいまででないと、心地よいコミュニティ、コミュニケーションが成立しません。

いろいろな方に活躍していただきたいので、ライバーさんに対して適切にリスナーさんがマッチングされて、いろいろな枠が盛り上がるように、いわゆるロングテール化、分散型といったかたちで、いろいろな配信枠が盛り上がるようにサービスを運営しております。

また、報酬体系も「Pococha」は独特なところがありまして、我々としてはライバーさんに継続的に末永く配信活動を続けていただきたいと思っておりますので、そのような思想に合った報酬体系を導入して、ライバーさんもリスナーさんも居心地よく楽しんでもらえるようなサービスにしていこうと運営しております。

ライブストリーミング事業④

ライブストリーミング事業の最後になります。今後の方針です。もともとこのジャンルでは、中国がかなり先行して立ち上がっており、右側のグラフの2014年頃から、我々もかなり市場を注視してきました。

2014年はだいたい3,000億円ぐらいの市場があって、そのときにも、このジャンルはどこまで伸びるんだろうか、もうすぐ止まるんじゃないかといった、アナリストさん、投資家さんからの見方もありましたが、実際にはかなり高い成長を続けておりました。

中国の市場なので、なかなか公式の統計というよりは我々の推計になりますが、だいたい年度で1兆4,000億円ぐらいの規模にまで成長してきています。

ジャンルとしては、「総合型」というのは、いわゆるライバーさんが顔を出して雑談をしたり歌を歌ったり、あるいはゲームをしたり、いろいろなパフォーマンスをする、総合的なサイトです。

レッドオーシャン化するにしたがって、ジャンルに特化したサービスが含まれてきて、それにともなって重層的にこの市場が拡大してきているのが、中国市場の動向だと我々は思っております。

それを踏まえて、我々としては、総合型の「Pococha」は成長の余地があると思っておりますので、これを日本においてリスナーさんとライバーさん、より多くの方に安全に使っていただけるようなサービスにしていこうということで、成長を強化していきます。

また、中国の特徴にしたがっていくと、確実に新たなジャンルがいろいろ生まれてくると思っておりますので、いろいろなジャンルを検討しております。その中でも、数年前から着目している、いわゆるVTuber、キャラクター配信といったところは、日本独自のジャンルとして確実に成長してくると思っております。

その中でも「IRIAM」というサービスが、非常にユーザーさんの支持を集めているサービスになります。我々はそこに資本参加させていただき、「Pococha」のノウハウもありますので、それを一緒にすることによって、成長させていきたいと思っております。

3つ目に、日本市場でもライブストリーミング事業はいろいろ立ち上がってきておりますが、諸外国を見ても、いろいろな国でライブストリーミング事業が伸び始めてきていると感じております。

中国市場は完全にレッドオーシャンですが、それ以外の国では、これから市場の黎明期から成長フェーズに入っていくと思っておりますので、日本だけではなくグローバルに、海外においても事業を展開して伸ばしていきたいと思います。

「Pococha」ジャパンの成長、新たなジャンルへの取り組み、グローバル化という3点で、この領域を伸ばしていきたいと思っております。

向こう1~2年の重点施策

最後になります。昨年度第3四半期について2月に発表させていただいた際に、大きな減損が出たことと、Non-GAAPの営業利益という実力ベースにおいても赤字に陥ったということがあり、短期的な業績を立て直すために、ここに書いてある3つの柱を進めておりました。

この3つすべてにおいて、我々が考えていた以上の成果が出始めており、業績の立て直しに関しては順調に進捗してきていると考えております。

私からの説明は以上になります。ありがとうございました。