オンライン決算説明会の成功事例

秋元洋平(以下、秋元):みなさま、こんにちは。これより、「みんなの説明会×ログミーFinance」共催ウェビナー、「オンライン決算説明会の成功事例」を始めます。

新型コロナウイルスの影響を受け、多くの決算説明会が中止・延期となる中、みなさまの企業ではどのようにご対応されたでしょうか? オンライン化に踏み切れない企業や、オンライン化したものの課題が残る企業も多いのではないかと思います。後ほどデータでもお示ししますが、機関投資家はオンライン説明会を求めているため、上場企業サイドでも対応策を検討する必要があります。

アジェンダ

秋元:それに伴い、本日は、最初に株式会社みんせつさまより「決算説明会のオンライン化に関する最新動向」をご紹介します。その後、実際に決算説明会でオンラインツールを利用した上場企業のご担当の方2名にご登壇いただき、より具体的なお話をお聞きします。

〜QAタイムの参加方法〜

秋元:その際、QAタイムを交互に進めます。「Zoom」画面の下の部分に「Q&A」というボタンがあると思いますので、随時そこからテキストでご投稿いただければと思います。

ファシリテーター

秋元:ご紹介が遅れましたが、私はログミー株式会社の秋元と申します。ログミーFinanceの責任者をしています。ログミーFinanceとは、決算説明会を文字に起こして全文で掲載するメディアです。決算説明会に来場できなかった機関投資家や個人投資家、またはステークホルダーと言われる社員の方やお客さまなど、幅広い方に情報を届けるビジネスを行っています。

直近のお話ですが、実はログミーは8月末から名刺交換ツール「Eight」を運営しているSansan株式会社のグループ会社となりました。今後は、IR業界においてももっともっとテクノロジーを強化し、みなさまの課題を解決できるようなことを進めていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

1.決算説明会のオンライン化に関する最新動向①

秋元:では、さっそく「決算説明会のオンライン化に関する最新動向」へ移ります。

スピーカー①

秋元:こちらについては、株式会社みんせつの中村さまにご紹介していただきます。それでは中村さま、自己紹介をお願いいたします。

中村悠氏(以下、中村):みなさま、こんにちは。株式会社みんせつの中村と申します。弊社は「みんなの説明会」というWebサイトを運営しており、サイト上で上場企業IR、機関投資家・証券会社向けのサービスをご提供しています。現在、ユーザー数は上場企業が1,390社、機関投資家・証券会社アナリストが併せて4,100人となります。そのようなみんせつの中で、私は決算説明会情報の収集やIR・機関投資家向けのアンケートの集計、サービスの構築などに携わっています。

決算説明会形式について

中村:それでは、さっそく決算説明会の形式における変化や動向について、弊社データベースおよびアンケートの集計結果を載せてご説明します。

本日お話しする内容について簡単にご説明します。まず、2019年と2020年を比較し、新型コロナウイルス騒動の前と後で決算説明会にどのような変化があったのかを確認します。次に、2020年の推移として、新型コロナウイルスが猛威を振るうようになった4月以降の決算説明会の形式が四半期ごとにどのように推移していったのか、その変化と理由を確認します。

また、新型コロナウイルス騒動下に企業が導入したWeb会議ツールは何だったのかを見ていきます。それらを踏まえた上で、最後に今月12日に機関投資家向けに行ったアンケートの集計結果をご紹介しながら、今、投資家が望む説明会とは何かを見ていきたいと思います。

1.決算説明会のオンライン化に関する最新動向②

中村:それでは、2019年と2020年の比較についてご覧ください。こちらのスライドは、2019年10-12月期と2020年10-12月期の決算説明会の形式の割合を比較しています。左側のリアル会場で95パーセントの円グラフが2019年、右側のリアル会場で22パーセントの円グラフが2020年となります。

昨年は、会場形式がほとんどを占めていましたが、今年はご覧のとおり22パーセントと、昨年の4分の1以下となっています。会場開催が減少した分、LIVE配信と電話会議に移行したわけですが、ここで注目すべきは、2020年の中でLIVE配信が39パーセントと最も大きな割合を占めていることです。

昨年は項目として挙げるほどではなかったLIVE配信が、現在は説明会形式の主力となっています。新型コロナウイルス騒動前は、何年もずっと2019年のような円グラフの割合だったため、今年1年の変化がどれだけ大きなものかを数字からあらためて感じることができると思います。なお、2020年10-12月期は、みんせつデータベースより開催企業1,063社のデータを集計しています。

2020年の推移

中村:次に、2020年の四半期ごとの形式推移をご確認ください。スライドの左から4-6月期、7-9月期、10-12月期の円グラフとなっています。

まず、リアル会場です。4-6月期は緊急事態宣言もあり、14パーセントとかなり少なくなっています。その後、7-9月期は「Go To トラベル」なども始まり、人の移動に寛容さが出てきたのか、4-6月期の倍ほどの割合に戻りました。そのままの勢いで会場開催が増えていくかと思いきや、10-12月期は22パーセントと勢いは戻っていません。新型コロナウイルスの感染者数の増加やソーシャルディスタンスが会場開催の復活を阻んでいるのではないでしょうか?

次に電話会議です。4-6月期の救世主は間違いなく電話会議だったと言えるでしょう。リアル会場での開催を予定していた企業は、まず電話会議への変更を考えます。ただし、電話会議は回線の問題がありますので、依頼が満杯でサービス業者に受けてもらえない企業が、LIVE配信または中止の選択をされたようです。電話会議のサービス業者の受け皿が多ければ、この時期の電話会議は54パーセントよりももっと増えていたのではないでしょうか?

7-9月期は電話会議のパイをリアル会場が少し取り戻すような数字となっています。10-12月期はさらに電話会議のパイが減り、今度はLIVE配信にパイを取られる結果となっています。

また、LIVE配信の潮目は7-9月期にあると思われます。8月に、IR向けアンケートにてWeb会議ツールの導入について伺ったところ、380社中150社が導入を決めていました。10-12月期のLIVE配信を見越していたこと、あるいはこの時期に現場がWeb会議に慣れてきたことが10-12月期のLIVE配信への布石となったと思われます。

企業導入Web会議ツール

中村:では、8月のアンケートにおいて、企業がどのWeb会議ツールを導入したかの内訳を見ていきます。70パーセント近くが「Zoom」を採用しています。そのあと、「Teams」が21パーセント、「WebEx」が7パーセント、「Google Meet」が4パーセントと続いています。数字を見ると、上場企業の中では「Zoom」が支持を得たようです。

2. 今、機関投資家が望む「説明会」とは

中村:さて、ここまで決算説明会の開催動向について確認してきましたが、ここからは、決算説明会の参加者側である機関投資家が現状をどう受け止めているのかについて確認していきます。

まず、オンラインと会場それぞれのよかった点と悪かった点を投資家に伺いました。オンラインのよかった点は、「移動時間の削減」「多くの決算説明会に参加できる」「海外からもアクセス可能」という点です。悪かった点は、「音質が悪い/途切れる」「参加人数がわからない」という点です。

会場開催のよかった点は、「会社側の雰囲気がわかる」「参加人数がわかる」という点です。悪かった点は、「移動に時間がかかる」「海外からは参加できない」という点でした。

それぞれのメリット、デメリットが対になる回答結果となっていますが、オンラインも会場開催もどちらも移動時間についての回答がもっとも多く、投資家は説明会参加の移動時間をとても重要視していることが伺えます。

また、アンケートとは少し離れた情報となりますが、今期のオンライン開催においては、投資家から「みんせつ」の事前申し込みについて、とても多くのお問い合わせ、ご相談をいただきました。主なご相談内容は、「事前申し込み方法の詳細がわからない」「事前申し込みをすると、当日URLを受け取るまでメールのやり取りが負担だ」「メールが埋もれてしまって、当日に情報がわからなくなってしまう」といったことであり、ストレス、負担に感じている投資家が多いようです。こちらは「みんせつ」としても今後の課題であると捉えています。

今後、どのような形式を希望されますか

中村:さて、投資家が感じているそれぞれのメリット、デメリットを踏まえた上で、今後、投資家はどのような形式を希望しているのでしょうか?

投資家が望む形式は、会場開催よりもオンラインに軍配が上がったようです。その中でもっとも大きな割合を占めているのは、LIVE配信の52パーセントとなります。LIVE配信は移動時間がかからず、電話より登壇者の顔色や雰囲気が伝わるといった部分があると思います。

3.投資家セキュリティ問題について

中村:次に、投資家側のセキュリティ問題について確認します。「セキュリティ上の理由でオンライン説明会に参加できないことはありますか?」という問いへの回答は、「ある」が36パーセント、「ない」が64パーセントということで、30パーセント強の投資家がセキュリティ問題を抱えているようです。

セキュリティ上、利用できないサービス・ツールを教えてください。

中村:次に、セキュリティ上、利用できないサービス・ツールを確認します。「Teams」が10人、「Google Meet」が7人、「Zoom」が7人、「WebEx」が1人、「Web会議全般」が7人となっています。こちらは参加できなかった説明会の件数ではなく、あくまで会社で利用不可となっているツールを挙げた数です。

また、こちらの数字を見る際は、スライド10ページの上場企業の導入Web会議ツールのグラフと合わせて考える必要があるかと思います。例えば、企業の導入が68パーセントの「Zoom」は、利用できない人数が7人であることに対し、「Google Meet」は企業の導入が4パーセントであるにも関わらず7人が利用できないと回答しています。投資家とのコンタクトに「Google Meet」はあまり適していないと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、投資家は個人のパソコンで参加することによってセキュリティを回避しているのが実情のようです。

本日ご覧いただいた資料についてですが、ポイントを絞ってご説明するために簡略化している部分があります。また、投資家のアンケートは、自由記入でIRに向けた要望などを多くご回答していただいているため、とても参考にしていただける資料なのではないかと思います。これらの完全版をご希望の方は、ウェビナー終了後、「みんなの説明会」に無料ユーザー登録していただきますと、本日以降、PDFにてお送りします。ぜひ、ユーザー登録していただけたらと思います。

秋元:ありがとうございます。企業として見ると参考になるデータですよね。企業さまが思っている以上に、機関投資家はオンラインに対して非常に好意的だと思います。

中村:そうですね。集計してみて、投資家の生の声がこのグラフなどにも出ていると思います。

Q.10-12月期のデータについて

秋元:1点、会場から質問が来ています。「まだ12月が締まっていない段階ですが、9ページの10-12月期のデータはいつまでのデータですか?」

中村:10月の初旬ぐらいまでです。昨年は1,800社近くが説明会を開催していたのですが、今回は1,000社のデータになっています。それ以外に、800社近くが開催しないというデータをすでに取ることができていたため、昨年と同等の1,800社近くのデータが集計できる時点で打ち切り、10-12月期として計算しています。

秋元:ありがとうございました。非常に有益なデータだと思いますので、みなさま「みんせつ」にどんどん登録しましょう。

中村:ありがとうございます。お待ちしています。

2.決算説明会のオンライン化事例①

秋元:続いて、「決算説明会のオンライン化事例①」に移ります。

スピーカー②

秋元:スピーカーの方をご紹介します。株式会社プレミアムウォーターホールディングス 経営管理本部 財務経理部の白石さまです。まず、簡単に自己紹介をお願いします。

白石依里氏(以下、白石):初めまして。株式会社プレミアムウォーターホールディングスです。当社は、定期配送で天然水をお届けするウォーターサーバー事業を展開しています。製造から販売まで自社で行い、おかげさまで顧客数は100万件を突破し、今後も事業を積極的に展開していこうと考えています。本日はよろしくお願いいたします。

秋元:とてもスタイリッシュなサーバーですよね。

白石:ありがとうございます。

秋元:今、私も妻を説得中です。

白石:よろしくお願いします。

2-Q.決算説明会のオンライン化を決意した 「タイミング」や「きっかけ」は?①

秋元:まず、1つ目のご質問です。決算説明会のオンライン化を決意したタイミングやきっかけを教えていただけますでしょうか?

2-Q.決算説明会のオンライン化を決意した 「タイミング」や「きっかけ」は?②

白石:当社は3月期決算の会社のため、前期の本決算の説明会を5月に開催しなければいけないということで、新型コロナウイルスの感染拡大が広まってきている状況を見つつ、3月くらいからリアルで開催するのかオンラインで開催するのかを検討し始めました。

先ほど中村さまからアンケートの結果をご説明いただきましたが、「みんせつ」のアンケートなども参考に、4月の中旬頃に社内で「オンライン一本でやろう」と決定し、サポートいただける会社を調べ、検討したという状況です。

結果として、5月の決算説明会では「YouTube」を使ったライブ配信を実施しました。実際に開催してみて、資料の印刷や当日の会場準備など、事務方の負担がすごく少なくなったと感じました。また、スピーカーである社長の移動時間もなくなりましたし、投資家さまからも「移動時間がなくなってよかった」という声がありました。

5月以降の説明会でもオンラインをメインに開催することを決定し、今回に至っている状況です。

秋元:5月は手探りで開催し、実際によい感触があったから11月も……というかたちだと思うのですが、5月はどこかにサポートしてもらったのですか?

白石:初めてのオンライン開催でしたので、自分たちだけで開催するのはなかなかハードルが高かったです。そこで、どこかご協力いただける会社を数社探し、検討しました。

秋元:撮影や配信などもフルサポートしてもらったのでしょうか?

白石:そうですね。実際に機材を持ってきてもらい、サポートしていただきました。

秋元:けっこう高かったのですか?

白石:想定よりは「あっ」と思うくらいの金額にはなりました。

2-Q.Zoomと比較検討したツールは?

秋元:次の質問に移ります。11月は「Zoom」で開催したということで、ここは内製化されていたということでしょうか?

白石:そうですね。11月は内製化しています。

秋元:前回は「YouTube」を使われて、今回は「Zoom」ということですが、「Zoom」を選んだ決め手や比較検討されたツールについて聞かせてください。

白石:5月の時点で、オンラインで開催すること自体はかなりメリットが大きいと感じられたのですが、では、「実際にオンラインで開催するにはどのようなものを使うか」ということで、まず、自分たちだけで開催するのか、それとも外部の会社に協力いただくのかを検討しました。

その結果、やはり費用対効果の部分がメインとなり、「『Zoom』で開催してみよう」という結論に達しました。

秋元:「Teams」など、他のものはあまり検討されなかったのでしょうか?

白石:そうですね。「Zoom」をメインで検討していました。

秋元:費用以外の部分では、どのようなところに「Zoom」のメリットを感じましたか?

白石:今回は「Zoomウェビナー」を使ったのですが、開催の案内メールを送ることや、出席者の管理、アンケートの実施などがかなり簡単にできました。「今までの労力はなんだったんだろう?」と感じました。

秋元:「Zoomウェビナー」であらかじめ設定しておけば、すべて自動で行ってくれますからね。

決算説明会を開催するにあたっていろいろなサービスを使っている中で、「Zoomウェビナー」1つに集約できたかたちでしょうか?

白石:そうですね。「1つで完結する」というかたちだったため助かりました。

秋元:費用の部分はどれくらい抑えられたイメージですか?

白石:会場開催の時と比較すると3分の1くらいかと思います。そして、5月の本決算時と比べると8分の1くらいです。

秋元:それはすごく大きいですね。逆に、「Zoom」のデメリットにはどのような部分がありますか?

白石:当社は、もともと会議の時のオンラインツールとして「Zoom」をあまり使用していなかったため、「Zoom」に触れる機会は少なかったです。よって、「Zoom」を使ったことが少ないと、初めは少しハードルが高く感じるとは思います。

2-Q.開催形式は?またその際使用した機材は?

秋元:次に、「開催形式は?」また「その際使用した機材は?」というご質問にお答えいただけますでしょうか?

使用機材①

白石:開催形式はオンライン1本ということで、機材はご覧のスライドのとおりです。基本的には自社にあるものを使うようにしました。新たに購入したのは、写真の上のほうにある丸いライトくらいで、ノートPCや集音マイク、中央に写っているディスプレイなどは会社にあるものをかき集めました。

秋元:今はライトもすごい安いですよね。

白石:そうですね。YouTuberの方が使われているようなものを、2,000円から3,000円くらいで買ったと聞いています。

2-Q.準備に携わった人数と役割分担は?

秋元:次に、実際に準備に関わった方の人数と役割分担について教えてください。

白石:準備に関わったのは、私を含めた3名です。初めは私1人ですべてできるかと思っていたのですが、接続面など、当日の運営面を考えると、もう何人か人手が必要だと感じ、当社のシステム関連の部署の方を2名ほど追加しました。

2-Q.開催に向けて掲げた目標はあった?

秋元:開催に向けて掲げた目標はありましたか?

白石:オンラインに関わらないのですが、今回の説明会を開催する上では、新しい投資家層の開拓を掲げていました。今回は新しい投資家さまにもけっこう見ていただけたかと思っています。

秋元:実際に過去と比べてどうでしたか?

白石:人数ベースでいうと、今回が一番たくさんの投資家の方にご覧いただくことができました。

2-Q.機関投資家の集客で工夫したことはあった?

秋元:では、次の質問です。これはよく聞かれるのですが、機関投資家の集客はどのように行いましたか?

白石:今回は外部の会社にご協力いただき、説明会の開催案内を配信しました。

秋元:具体的にはどこに依頼しましたか?

白石:某証券会社系列の会社さまです。

2-Q.オンライン開催における不安を、 どのように解消した?

秋元:では、次の質問です。「Zoom」を使うときにけっこう不安があると思うのですが、その不安はどのように解消しましたか?

白石:スライドに書いてあるように、通信環境においては、やはり回線が不安定になる可能性がありました。システム関連の部署の方によると「有線LANのほうがよい」ということで、有線LANに切り替え、通信環境を安定させて対応しました。

また、運営面においては、当社の場合はかなりリハーサルを行いました。ログミーFinanceさまから台本の流れを作っていただき、それに沿ってリハーサルを5回から6回行いました。運営面での慣れはそれで解消するしかないと思います。

秋元:慣れしかないということですね。

白石:そうですね。ただ、1回開催してしまえば、次回以降はもっと負担を軽くできるのではないかと思います。初めに慣れしまうためにリハーサルの回数を重ねました。

2-Q.決算説明会当日の運営人数と役割分担は?①

秋元:今までは準備についてお聞きしたのですが、次は当日のことについてお聞きします。運営は何人くらいで、実際の役割分担はどのようなかたちでしたか?

2-Q.決算説明会当日の運営人数と役割分担は?②

白石:スライドにあるとおり、合計で4名です。私が司会を務め、タイムキーパー1名、運営サイドの方がホストPC操作に1名です。スピーカーが2名いるのですが、この方たちにはパソコンの操作をさせないようにしようということで、さらにサポート役を1名立てました。

秋元:次回以降もこのような体制で開催するイメージですか?

白石:もしかしたら、もう1名プラスするか減らすかというくらいだと思います。

2-Q.トラブルはあった?

秋元:実際に開催して、何かトラブルはありましたか?

白石:当日は大きなトラブルはなく、スムーズにできたと思います。準備の段階では、したいことに合わせて機材の準備をすると運営が複雑になって失敗の元になりそうなどといったトラブルはありましたが、当日は何もなかったのでよかったです。

2-Q.改善点はある?

秋元:最後の質問です。改善点はありますか?

白石:今回、スピーカーがプレゼンをする時にノートパソコンを使用したのですが、そのノートパソコンのカメラで顔を投影しました。しかし、そうすると目線が少し下がってしまうため、次回以降はカメラを別に用意して撮影することも考えています。

また、本番中に視聴者サイドの音声確認ができなかったため、その体制をもう少し考えていこうと思います。

2-Q.「YouTube」と「Zoom」のメリット、デメリットについて

秋元:引き続きQAタイムに移りますが、さっそくいくつか質問をいただいています。まず、「『YouTube』と『Zoom』で実施した際に感じた、それぞれのメリット、デメリットはありますか?」というご質問です。

白石:「YouTube」は投資家さまのセキュリティがより厳しいと聞き、見られない方がけっこう多かったようです。

秋元:セキュリティに関しては、先ほどの中村さまのお話にもありましたよね。

白石:メリットにおいては、正直そこまで大きなメリットがあったということはなかったです。

秋元:普通に比較して「Zoom」のほうがよかったということでしょうか?

白石:そうですね。同じことができるのであれば「Zoom」のほうがよいと思います。

2-Q.「YouTube」の視聴者数について

秋元:次に移ります。同じような質問なのですが、「『YouTube』における視聴者数はいかがでしたか?」

白石:トータルでの視聴者数は今回の「Zoom」よりは少なかった印象です。途中に出入りする方もけっこういらっしゃったようで、そのようなところを合わせると今回の「Zoom」の数よりは増えます。

2-Q.スピーカー2名の場合のカメラの切り替えについて

秋元:では、次の質問です。「スピーカー2名の場合、カメラの切り替えはどうしましたか?」

白石:先ほどお伝えしたホストPCで切り替えを行いました。また、スピーカーのパソコンで操作しないといけない場合はサポート役が対応しました。

2-Q.質疑応答の形式について

秋元:最後の質問は質疑応答の方法についてです。「テキストと音声はどちらを用いましたか?」

白石:テキストだけです。

秋元:やはり音声は難しいと感じましたか?

白石:当社は質疑応答があまり活発ではないため、もし音声だけにして何もなかったら少し寂しいということがあります。また、初めての試みだったため、質疑応答の対応がきちんとできるかを見るためにも、まずはテキストのみにして、段階的に音声を取り入れるなど、順序を踏んで対応していこうと思っています。

秋元:質問は増えましたか?

白石:あまり増えなかったです。

秋元:ここは今後の課題の1つでしょうか?

白石:おっしゃるとおりです。

配信中に紹介できなかった質問と回答①

みなさまから寄せられた質問について、当日は時間の関係で取り上げることができなかったものを、配信終了後に白石さまにご回答いただきました。

Q.スピーカーさまにPCを操作させないというのは、リアル会場でも同様でしたか? それとも今回からの対応ですか?

A.従前のリアル会場での実施の際もスピーカーにはPC操作をさせないようにしていました。ただ、プレゼン中のスライドの操作だけはスピーカーに行ってもらっています。これはリアル会場でも、今回のオンライン開催でも同じです。動画とスライドの投影切り替えなどといった操作は、スタッフが行うようにしています。

3.決算説明会のオンライン化事例②

秋元:それでは、続いて「決算説明会のオンライン化事例②」へ移ります。

スピーカー③

秋元:スピーカーをご紹介します。東洋インキSCホールディングス株式会社 グループ広報室の木村さまです。よろしくお願いいたします。

木村衣里氏(以下、木村):よろしくお願いします。

秋元:まず初めに簡単な自己紹介をお願いします。

木村:弊社は、出版物などに使うインキの製造から創業し、現在は印刷用のインキに加えて、ライフサイエンスやエレクトロニクス向けにさまざまな機能性の化学品を展開している化学メーカーです。

弊社は12月決算なのですが、本日は、今年の8月下旬に開催した第2四半期の決算説明会についてお話しします。

3-Q.決算説明会のオンライン化を決意した 「タイミング」や「きっかけ」は?

秋元:では、さっそく質問に移ります。決算説明会のオンライン化を決意した「タイミング」や「きっかけ」を聞かせてください。

木村:コロナ禍の影響を受け、大人数での会議やイベントの開催がはばかられる環境となったため、まずはどのような開催方法があるか情報収集をしました。8月の開催だったため、6月くらいから具体的なオンライン化の検討を始めました。

当時は、まだ緊急事態宣言が明けたばかりでどうなるかわからない状況でしたので、会場開催とオンラインの併用、またはオンラインのみの2つのパターンを検討し、どちらでも対応できるように準備を進めました。

3-Q.Zoomと比較検討したツールは?

秋元:今回は「Zoom」を使われたのですよね?

木村:はい、「Zoom」を使いました。

秋元:「Zoom」の使用を決定するにあたり、比較検討したツールはありましたか? また、比較した中で感じた「Zoom」のメリットやデメリットを聞かせてください。

木村:「Zoom」と比較検討したのは電話会議です。これは、投資家さまがセキュリティの問題で「Zoom」にアクセスできない可能性があることをお聞きしていたからです。ただ、「Zoom」には電話回線から参加できる機能があるとわかったため、「Zoom」での開催を決めました。

メリットとしては、やはりコストが非常に安いことと、自社で運用するため、少しの変更などの小回りが効くことです。また、決算説明会以外のイベントでのオンライン配信にも使えることがメリットです。

秋元:まず、電話回線とセキュリティの対応についてなのですが、実際に電話で参加された企業や投資家の方はいらっしゃいましたか?

木村:「Zoom」で参加されたオンラインの参加者さまのうち、1割くらいが電話回線で参加されました。

秋元:では、セキュリティの関係で入れないという課題はここで解決できたのでしょうか?

木村:おっしゃるとおりです。

秋元:また、小回りが効くというお話について、実際に準備段階で予定変更したなど、そのメリットを感じた部分はありましたか?

木村:幸い大きな変更はなかったのですが、「Zoomウェビナー」で開催案内メールを配信する直前に若干内容を変更することがありました。その時は自分たちで変更できたのでよかったと思います。

秋元:逆にデメリットはなにかありましたか?

木村:デメリットとしては、すべて自社で行うため、「Zoomウェビナー」の使いこなしの練習やリハーサルにけっこう時間がかかったことです。ただ、1回実施してかなり慣れたため、次回以降はだいぶ楽になると思います。

秋元:今回、私どもがご支援させていただいたのですが、その中で実際に「この部分は助かったな」というところはありますか?

木村:今回ログミーさまには非常に助けていただきました。項目を細かく設定できるのはすごく良いところではあるのですが、そこまで「Zoom」を使い慣れていなかったため、項目が多すぎて少し混乱していたところがありました。ですので、その点を1つ1つ教えていただき、非常に助かりました。

また、先ほども白石さまがおっしゃっていたのですが、台本の雛形をいただいて、それをもとに台本をつくることができたので非常に参考になりました。

3-Q.開催形式は?またその際使用した機材は?

秋元:では、次のスライドに移ります。「開催の形式は?」「またその際使用した機材は?」 ということで、こちらにお答えいただけますでしょうか?

会場+オンラインのハイブリッド

木村:実際には、会場開催とオンラインの併用で開催しました。Q&Aは会場から受け付けて、オンラインの参加者さまからの質問は後日回答するかたちで運営しました。

秋元:すばらしいですね。すごい難易度が高いと思います。

木村:そうですね、けっこう大変でした。

使用機材②

秋元:みなさま気になっていると思いますので、ご参考までに具体的に使われた機材について教えて下さい。

木村:スライドのとおりなのですが、弊社はパソコンに付属のカメラではなく、外付けのカメラを使用しました。会場で開催している様子を外付けのカメラで撮影し、それを配信するかたちです。家庭用のハンディのカメラ2台と業務用のビデオカメラ1台の計3台、また、カメラの映像をスムーズに切り替えるためにスイッチャーを使用しました。

3-Q.機関投資家と開催方法について相談した?

秋元:では、次の質問です。開催するにあたって、機関投資家の方に相談しましたか?

木村:何人かの投資家さまにはご意見をいただき、「会社の方針で決算説明会の会場に行けない」というお話がありましたので、やはりオンラインとの併用がよいと考えました。

3-Q.準備に携わった人数と役割分担は?

秋元:次に、準備の部分についてお伺いします。まず、関わった人数と役割分担を教えてください。

木村:メインは3人で担当しました。私が「Zoom」での開催準備全般を担当し、もう1名がリアル会場での開催準備を担当しました。3人目はカメラ機材やインターネット環境の整備を担当しました。

秋元:3人でも問題なくこなせましたか?

木村:そうですね。逆に人数が増えすぎるとやりとりが大変なため、今回のように3人くらいがちょうどよかったと思います。

3-Q.開催に向けて掲げた目標は?

秋元:開催に向けて掲げた目標はありましたか? 

木村:目標としては、コロナ禍で会場への出席が困難な投資家さまたちに対してもしっかりと情報を届けることと、参加していただく投資家さまの数を増やすこと、新規の投資家さまの数を増やすことを掲げました。

3-Q.機関投資家の集客で工夫したことはあった?

秋元:機関投資家の集客で工夫されたことはありましたか?

木村:工夫したことは、自社で持っている投資家さまのメーリングリストにメールを配信したことと、自社のホームページで決算説明会の開催案内をしたことです。また、今回はじめて「みんせつ」でイベントページをつくって周知しました。

さらに、電話での参加も可能であることをしっかりお伝えし、「Zoom」で参加できない投資家さまにも参加いただけるようにしました。

秋元:実際に人数は増えましたか?

木村:参加いただける人数はけっこう増えたと感じました。オンライン化の前と比べると20パーセントくらい増えました。

秋元:オンラインの部分でいうと、「Zoom」も「みんせつ」も無料ですものね。

木村:そうですね。もしかしたら、今まで見ていただけていない方にもお届けできたのかもしれません。

秋元:では、コストをかけずに集客もうまくいったということですね。

木村:おっしゃるとおりです。

3-Q.決算説明会当日の運営人数と役割分担は?①

秋元:次に、当日の運営についてお伺いします。当日は運営に何人が関わり、どのような役割分担をしましたか?

3-Q.決算説明会当日の運営人数と役割分担は?②

木村:ウェビナーの運営は4名が担当しました。スライドのとおりなのですが、1名がメインホストとして「Zoom」の操作を行いました。これが私です。

2人目は共同ホストです。3人目は「Zoom」で配信される画像や音声の配信状況と、電話回線の配信状況のモニタリング担当です。4人目はビデオカメラでの撮影担当です。また、通常どおり会場も開催しているため、司会とその他会場運営の担当者で運営しました。

秋元:今後もこの人員で進めるかたちでしょうか? 「もう少しスリムにできそう」などということはありますか?

木村:今回はビデオカメラのズーム機能を使ったため、操作担当が1名必要だったのですが、これは必要ないかなとも思っています。そうすればカメラ担当は1人削減できるかと思います。

秋元:例えば、もし新型コロナウイルスの感染者が今よりもものすごく多くなり、会場開催が行えず、オンラインのみとなった場合、3名から4名で開催できるイメージですか?

木村:そうですね。司会が1人必要であるため、4名から5名くらいかと思います。

3-Q.やってみて良かったこと/悪かったことは?

秋元:次に、今回オンラインで開催して良かったことと悪かったことをお聞かせください。

木村:非常に良かった点は、やはり来場できない投資家さまにもご参加いただけたことと、これまでよりも参加していただける人数を増やせたことだと思っています。

悪かった点については、弊社では初めてオンラインで実施しましたので、準備にけっこう時間がかかったところです。ただ、1回実施してかなり慣れたため、次回はかなり楽になると思います。

3-Q.当セミナーの画面切り替えについて

秋元:では、このままQ&Aに移ります。「この説明会では、画面切り替えは専任担当者がされているのですか?」というご質問です。

これはログミーの専任担当が行っています。ただ、操作が慣れていれば自分でできるような簡単な内容となっています。

3-Q.リアル会場でのコロナ対策について

秋元:次に、「ハイブリッドでの開催とのことでしたが、リアル会場では参加人数を制限するなど、新型コロナウイルス対策はされましたか?」というご質問です。

木村:リアル会場については、弊社は自社の会議室で開催しているのですが、通常よりも席の数を減らしてソーシャルディスタンスをとったり、スピーカーの社長の前にアクリル板を設置したりしました。また、マスクの着用や消毒を徹底しました。

3-Q.カメラ3台の撮影対象について

秋元:次の質問です。「カメラを3台使用されたとのことですが、それぞれ何を撮影対象にしたのか教えてください」とのことです。

木村:弊社はスピーカーが計5名、登壇しているのですが、メインで話すスピーカーがいる講演台を映すのに1台使用しました。また、席に座っている4名から5名を映すには、カメラ1台では角度的に映しきれないため、交差して映すようなかたちで2台使いました。

3-Q.コロナによる日程の変更について

秋元:次は日程についてです。「例年どおりでしたか? それとも曜日を変えたり前後にずらしたことなどがあればお聞かせください」。

木村:日程については特に変更せず、いつもどおり実施しました。

秋元:「コロナ禍だからどうしよう」「オンラインだからどうしよう」ということはあまり考えなかったのでしょうか?

木村:そうですね。もともとその年のはじめに主要なイベントの予定を決めてしまっているため、基本的には移動できないということで、例年どおり実施しました。

3-Q.アクリル板による音声の不具合について

秋元:これは少し気になるのですが、「新型コロナウイルス対策でアクリル板を使われたということですが、その際に音声が悪くなったりはしなかったのでしょうか?」というご質問です。

木村:アクリル板の手前にマイクを置いているため、特に音声が悪いということはなかったです。

秋元:スピーカーの方1名1名にマイクを用意したということでしょうか?

木村:おっしゃるとおりです。

3-Q.株主総会のオンライン配信について

秋元:今後の話になると思うのですが、「ハイブリッド開催されたということで、株主総会のオンライン配信は検討されていますか?」というご質問です。

木村:株主総会は担当部署が違うのですが、検討はしています。経験は活かせると思います。

3-Q.会場の音声とオンラインの音声の連携について

秋元:少し技術的なお話になるのですが、「ハイブリッドということで、会場の音声とオンラインの音声を連携する必要があると思います。そのあたりでうまくいかなかった部分をどのように解決されたかというお話はありますか?」というご質問です。

木村:実際の会場に司会がいる席と、ビデオカメラで撮影してオンラインで配信する席が離れていたため、どのように意思疎通するかというのは大変だった点です。ハンドサインを使ったりなどして意思疎通したのですが、大声は出せないため、そこは大変だったところかと思います。

配信中に紹介できなかった質問と回答②

みなさまから寄せられた質問について、当日は時間の関係で取り上げることができなかったものを、配信終了後に木村さまにご回答いただきました。

Q.電話での参加者の管理はどのようにされましたか?

A.電話参加を希望される方には、事前に当日ご使用になる電話番号をご連絡、登録いただき、管理しました。

Q.電話での参加を可能としているのであれば、リアル開催する必要はなかったのではないでしょうか? ニーズがあったのですか?

A.リアルな場は、オンラインからでは伝えきれない会社の雰囲気などを感じ取っていただける機会になると考えています。また、弊社経営層にとっても、リアルな場で投資家さまと対話して得るものは非常に大きいと考えているため、今回はリアルとオンラインのハイブリッド開催にしました。

Q.各スピーカーさまはご本人がマイクのミュートを解除しましたか?

A.スピーカーのマイクのミュートや解除を含め、「Zoom」操作はすべて事務局で行いました。

ログミーFinance Zoom導入無料支援

秋元:実は、東洋インキSCホールディングスさまもプレミアムウォーターホールディングスさまも、ログミーFinanceが支援させていただいています。どちらもオンライン化に対して慣れていない状態からのスタートであり、準備はかなり大変だったのかと思います。

ただ、先ほどもお話をいただきましたが、次回以降かなり楽にできるイメージをお持ちです。今ご視聴していただいているみなさまも、最初のハードルはすごい高いと思われるかもしれませんが、そこを超えればかなり楽になるため、そのメリットは大きいと思います。

また、東洋インキさまのお話でもあったように、「みんせつ」では集客に使える決算説明会のイベントを告知できるサービスを無料で行っています。ぜひ、みなさまご登録いただければと思います。今回の機関投資家さまのアンケート結果ももらえますが、それだけでも価値はあると思います。

最後に、今回ご登壇いただいた2社さまに私どもがご提供させていただいてる「Zoomウェビナー」の無料支援についてお話しします。ログミーFinanceでは、さまざまなノウハウを無料でご提供しています。セミナーをご退席いただいた後にアンケートページに移りますので、ご希望の方はそこで「希望」にチェックしていただければ、担当からご連絡いたします。

以上で、「みんなの説明会×ログミーFinance」共催ウェビナー、「オンライン決算説明会の成功事例」を終了します。引き続き、みなさまにとって有益な情報を定期的に発信し続けていければと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございました。