本日のご説明内容
山口聡氏:みなさま、おはようございます。本日は、当社の2020年度第2四半期決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、本日はWeb開催とさせていただきました。至らぬ点もあるかと思いますが、よろしくお願いします。初めに、直近の新型コロナウイルスの影響についてご説明した後、経営成績の概況、および国内農事業の収益構造改革の詳細についてもご説明します。
コロナ危機への対応
まず、今回の新型コロナウイルスの影響についてです。当社では、コロナの影響が国内で深刻化してきた4月7日に新型コロナウイルス対策本部を設置し、週1回の頻度で各部門の状況を把握するとともに、対策について迅速な意思決定を行なってきました。
4月以降、商品供給に関わる部門を除き、全社的な在宅勤務を実施しています。これまで働き方の改革として進めてきた各種制度やインフラ環境の整備が、この非常事態において力を発揮しました。
一方、工場部門においては、食品メーカーとしての供給責任を果たすため、従業員の健康と安全に最大限配慮しながら、商品の製造を続けています。また、コロナと最前線で戦う自治体や医療従事者のみなさまに、野菜飲料の無償提供を行なっています。今後もこのようなかたちで、感謝の気持ちを伝えていきます。
コロナの事業への影響(時系列)
続いて、今回のコロナの事業への影響について、時系列でご説明します。当社では、国内加工食品の飲料と食品を合わせた国内の家庭用商品、国内の業務用商品、米国の業務用商品の3つのカテゴリーにおいて、コロナの影響を大きく受けています。このグラフは、3つのカテゴリーの売上収益の前年同期比を、パーセントで表示したものです。
国内家庭用商品は、コロナ以前から好調に推移していましたが、コロナの拡大後も、巣ごもり需要の増加に伴い、堅調さを維持しています。国内業務用商品は、コロナ以前は好調に推移していましたが、3月以降は前年を大きく下回っています。緊急事態宣言が全国に広まった4月を底として、6月は前年同期比で70パーセント程度まで回復しています。米国の業務用商品は、コロナ以前も受注が伸び悩んでいましたが、コロナの拡大によるロックダウンなどの影響で、さらに大きく落ち込みました。4月を底に5月は回復し、6月は70パーセント程度の水準となっています。
以上が、当社におけるコロナの影響となります。国内家庭用商品は堅調。一方、業務用商品は、国内・米国とも厳しい状況となっています。
2020年度第2四半期 連結業績
続いて、2020年度第2四半期の経営成績の概況についてです。連結決算の概要です。売上収益は、対前年で0.3パーセント増の888億円。事業利益は、17パーセント増の64億円。営業利益は、4パーセント減の69億円。四半期利益は、16パーセント減の46億円となりました。
売上収益は、業務用の売上減を家庭用飲料・調味料の売上増により補い、増収。事業利益は、国内事業の販売促進費減少や原価低減などにより、増益となりました。営業利益以降の減益は、前年に物流子会社を新物流会社F-LINEに統合した際の一時利益があったことによるものです。
2020年度第2四半期 事業別業績
続いて、事業別の業績についてです。国内加工食品事業の飲料カテゴリーは、増収増益。一方、業務用の売上収益が減少した食品他カテゴリーは、減収減益でした。国内農事業は、第2四半期の販売が好調だったことや収益構造改革などで、増収増益となりました。国際事業は、米国業務用の売上減少により、減収減益となりました。
国内加工食品事業(飲料)
続いて、国内加工食品事業の飲料カテゴリーについてご説明します。飲料カテゴリーは、野菜をとろうキャンペーンや新型コロナウイルスの影響による健康・巣ごもり需要などで、増収増益となりました。キャンペーンと連動したCMや価値訴求によって、当社の野菜飲料のシェアは57パーセントとなりました。とくに、コロナ影響による家庭内の飲用機会増加に伴い、大型容器が堅調でした。
商品別では、トマトジュースはユーザーのヘビー化が進み、引き続き好調でした。「野菜生活100」は、「アップルサラダ」や新商品の「野菜生活SOY+」が好調に推移し、売上収益も前年を上回りました。事業利益は、広告宣伝費が増加しましたが、売上収益の増加や販売促進費の減少、原価低減などで吸収し、増益となりました。
国内加工食品事業(食品他)
食品他カテゴリーは、内食向け食品や通販の販売は好調でしたが、業務用の落ち込みにより、減収減益となりました。内食機会の増加により、トマトケチャップやパスタソースが大きく伸長し、内食向け食品の売上収益は、前年比110パーセントの95億円となりました。
また、通販の売上収益も同様に伸長し、前年比109パーセントの56億円となりました。一方で、業務用の売上収益は、前年比81パーセントの87億円となりました。事業利益については、業務用の売上収益減と通販の広告宣伝費増の影響が大きく、減益となりました。
国内農事業
続いて、国内農事業についてご説明します。国内農事業は、第2四半期の販売が好調でした。また、収益構造改革も進み、増収増益となりました。生鮮トマトの販売動向は、第1四半期は日照不足などによりトマトの調達量が低下し、販売量も前年を下回りました。第2四半期は、菜園の販路拡大によって稼働率を高めたことにより、増収。固定費の削減が進んだことなどにより、事業利益も昨年を上回る水準となりました。
また、ここ数年間低迷していた生鮮トマトの市場価格は、内食需要の高まりで3月から4月にかけて大きく上昇し、事業利益増につながりました。5月以降は市場への流通量が増え、例年並みの状況となっています。なお、直近7月の九州を中心とした豪雨に関して、当社の菜園に大きな被害はありませんでした。
国内事業 野菜をとろうキャンペーンの進捗①
続いて、野菜をとろうキャンペーンの進捗状況についてご説明します。この上期においては、新聞広告などで「野菜をとろう、あと60グラム」をキーメッセージに、野菜摂取の必要性を発信するとともに、商品においても、CM・パッケージなどで野菜の需要を喚起してきました。
例えば、6月に実施しました「野菜一日これ一本」の、「野菜は、肉に合うのだ。」というCMとパッケージでのメッセージ発信により、該当商品の売上収益は、6月単月で前年比125パーセントとなりました。
国内事業 野菜をとろうキャンペーンの進捗②
加えて、野菜アンバサダーによる情報発信や、野菜マエストロ検定による情報伝達などの施策は、予定どおり進捗しました。一方、企業・団体との連携やベジチェックによる体験イベントは、進捗が遅れています。このうち、企業・団体との連携による野菜摂取推進プロジェクトは、7月31日から本格始動します。詳細は、後ほどご説明します。野菜をとろうキャンペーンは、2020年度下期、さらに2021年度以降も続けていくことで、野菜の需要を継続的に喚起し、あと60グラムの摂取量増に取り組んでいきます。
国際事業
続いて、国際事業についてご説明します。国際事業は、米国における外食産業の営業規制による影響により、減収減益となりました。米国Kagome Inc.は、外食需要の大幅な落ち込みにより、減収減益。ポルトガルのHITは、内食需要の増加により食品メーカー向けの販売が増え、増収となったものの、利益率の低い商品の売上構成比が高かったことなどから、減益となりました。カゴメオーストラリアは、前年並みの状況でした。米国UGは、トルコやイタリア向けの種子・苗の販売が好調で、増収増益となりました。
事業利益増減要因
続いて、連結の事業利益増減要因です。まず、国内加工食品事業の増減は、①広告宣伝費は8億円増加。これは、野菜をとろうキャンペーンに関連したテレビコマーシャルなどによるものです。②原価低減は、原材料費の上昇などがあったものの、調達戦略の見直しやペットボトルの内製化などで、8億円の低減を実現。③販売促進費は、コロナの影響による販促機会の減少に伴い、6億円減少。これに国内農事業・国際事業の利益増減があり、2020年度の上期事業利益は、2019年度を10億円上回りました。
営業利益、四半期利益増減要因
続いて、営業利益と四半期利益の増減要因についてご説明します。営業利益は69億円となり、対前年で3億円の減少。四半期利益については46億円と、対前年で9億円の減少となりました。増減要因の詳細は、記載のとおりです。
財政状態計算書変動内容
財政状態計算書変動内容は、ご覧のとおりです。資産は、資金調達環境の逼迫に備えて借入を実施した結果、流動資産が178億円増加しました。借入によって、負債は155億円増加しています。結果として、親会社所有者帰属持分比率は49.9パーセントとなりましたが、当社の財務基盤の健全性に影響を及ぼすことはございません。
キャッシュフローの変動
キャッシュフローの変動は、ご覧のとおりです。
国内農事業における現状、課題
続いて、国内農事業の構造改革についてご説明します。国内農事業は、1998年より生鮮トマトの栽培・販売を主な事業として、2015年度に100億円を超える売上規模に拡大しました。しかしながら、2017年度以降、大規模菜園の相次ぐ参入などにより競争が激化し、業績が低迷しています。こうした状況を打開するため、収益構造改革に着手してきましたが、この度、抜本的な組織再編を決定しました。
国内農事業における新会社の設立
昨日のリリースで発表しましたとおり、カゴメアグリフレッシュ株式会社(以下、KAF社と呼ばせていただきます)を設立し、当社の国内農事業を、2021年よりKAF社に移管することとしました。
今回の新会社設立の目的は4つです。1つ目は、意思決定の迅速化です。より自律的で機動性の高い組織を再構築し、急激な環境変化にスピーディに対応していきます。
2つ目は、生産性の向上です。専門人財の育成を図り、菜園経営や栽培技術の高度化に取り組みます。また、きめ細かい採算管理を行ない、コスト競争力の強化を図ります。
3つ目は、アライアンスの推進です。「野菜の会社」を実現していくために、外部の知見を積極的に取り入れて、資本提携を含む他社とのアライアンスを推進していきます。
4つ目は、ガバナンスの強化です。菜園各社の経営管理をKAF社が担うことにより、国内農事業のガバナンス体制を強化します。
この新会社設立により、収益基盤をより強固なものとし、利益を確実に生み出すことのできる体質に変えていきます。また、お客さまにより満足いただける商品やサービスの開発・提供に努め、国内農事業のさらなる成長につなげるとともに、日本の農業振興・地方創生にも貢献していきます。
国際事業における現状、課題
続いて、国際事業の構造改革についてご説明します。国際事業は、世界的なトマトペーストの需要拡大を想定し、種子開発から農業生産・加工・販売までの垂直統合型ビジネスを志向してきました。
2015年度までに不採算事業などを整理し、黒字に転換することができましたが、近年はトマトペーストの需要鈍化に伴い収益力が低下するなど、一次加工を中心に業績が悪化しています。加えて、コロナの影響により、国際事業の中核であるKagome Inc.社の二次加工も、厳しい事業環境となっています。
国際事業の収益構造改革の方向性
この状況を踏まえた、今後の収益構造改革の方向性についてご説明します。まず、一次加工を中心とするHIT社です。同社では今後、一次加工の規模の拡大は追わず、適正規模への構造改革を重点的に進め、業績のボラティリティを低減していきます。現在、そのための具体的な施策を検討しています。決定次第、施策の詳細を発表します。
次に、二次加工を中心とするKagome Inc.です。同社では、上期の急激な業績の悪化を受け、一時帰休を実施するなど、固定費削減を進めています。今年度は、損失の最小化に努めます。今後は世界的な展開は追わず、米国での事業に集中していきます。そのための戦略を、現在検討しています。
2020年度 通期業績予想の修正
続いて、2020年度の通期業績予想と、第2次中計の定量目標についてです。2020年度の通期業績予想は、売上収益を1,814億円に修正します。また、事業利益は、当初の予想どおり124億円とします。
事業別では、国内加工食品事業の売上収益を26億円マイナス、事業利益を8億円プラスします。家庭用商品で業務用商品をカバーしますが、業務用商品の売上収益の減少は、年間を通して続くと見込んでいます。
国内農事業も下方修正しますが、第1四半期の減収を下期で挽回し、未達幅を最小限にするとともに、黒字化を達成します。また、国際事業の売上収益を34億円マイナス、事業利益を6億円マイナスします。こちらは、Kagome Inc.の売上減少が、今後も前年比7割程度で推移することを前提としています。
2020年度 下期の注力施策①
続いて、下期の注力施策についてです。引き続き、野菜をとろうキャンペーンを中心とした野菜需要喚起策を実施し、健康的な食生活のための日常的な野菜の摂取を定着させていきます。また、企業・団体との連携による野菜摂取推進プロジェクトを、本格的に展開します。こちらに、7月31日のキックオフミーティングに参加いただく企業・団体を掲載しています。今後、これらのみなさまと連携し、野菜の魅力を今までにない新しい切り口で伝えていきたいと考えています。
2020年度 下期の注力施策②
続いて、事業別の下期の取り組みについてご説明します。飲料カテゴリーでは、大型容器の取扱店を拡大し、季節ごとの健康提案を実施していくとともに、機能性表示食品である「野菜生活100 Care+」を新発売します。さらに、人気キャラクターを使用したキャンペーンを今期も実施し、20代から40代の野菜飲料の購入率を拡大させます。
食品カテゴリーでは、トマトケチャップの汎用調味料としての提案を強化し、また、生活者の野菜摂取量増につながるメニュー提案を行ないます。業務用では、コロナ禍においても堅調な中食や産業用に対して、重点的に提案を行なっていきます。
国内農事業は、生鮮トマトを使用したメニュー提案などで需要を喚起するとともに、夏秋産地の調達量を増やして、黒字化を成し遂げます。
国際事業は、収益構造改革への取り組みを引き続き継続します。加えて、アジアにおける野菜飲料販売に注力していきます。
第二次中計の定量目標
続いて、第2次中計の定量目標の修正についてご説明します。最終年となる2021年度の定量目標は、売上収益1,860億円、事業利益125億円に下方修正します。2019年度の進捗の遅れに加えて、コロナの影響等で経営環境が大きく変わったことを考慮しています。それぞれの事業における今後の方向性については、下段の表に記載したとおりです。
最後に
第2次中計の定量目標は下方修正しますが、2025年のありたい姿と長期ビジョンの達成を目指すことに、変更はありません。コロナの影響による健康的な食生活や免疫力を高めることへの関心の高まりは、当社にとって追い風ですが、同時に「食と健康」領域の競合環境は激化していきます。そのような状況で、当社は、野菜の力で人々の健康的な食生活に貢献し、この競争に勝ち残っていきたいと考えています。私からの説明は以上になります。本日は、ご清聴ありがとうございました。