2021年3月期 第1四半期決算 サマリー

山本晋也氏:日本水産の山本でございます。いつも大変お世話になっております。コロナ禍の中、お集まりいただきましてありがとうございます。それでは、時間も限られていますので、さっそくですが第1四半期決算と年間の見通しについてご説明したいと思います。

まず、2ページですが、ご覧のとおり、あるいはご承知のとおりだと思いますが、国内外とも外出規制の影響で外食・観光需要が大幅減となりました。これに伴い水産市況も悪化しており、非常に打撃を受けています。

日本におけるコンビニエンスストア向けの販売についても、同様の環境下で苦戦しており、売上は前年同期比約7パーセント、118億円の減収で大変大きなインパクトがありました。

スライドに表がありますが、損益についても営業利益、経常利益、四半期純利益とも前年割れです。純利益は4億円程度の減益にとどまっていますが、営業利益と経常利益は10億円を超える減益となっています。しかし、新型コロナウイルスの影響を織り込んで5月の段階で発表した計画に対しては、おおむね想定の範囲内で進んでいると考えています。

年間計画については後ほどご説明します。日本でもアメリカでも第2波、第3波のリスクが非常に大きくなってきているのですが、現段階では年間計画は変更しないと考えています。

新型コロナウイルスの影響について①

3ページと4ページは、みなさまもご承知だと思いますが、外食産業、コンビニエンスストア、それから魚の販売がどうだったのか、直近の状況をグラフにしました。

日本の情報は非常に多いのですが、例えば外食産業については、4月、5月と非常に落ち込んだ一方、6月から少しよくなってきました。コンビニエンスストアの売上も同様の傾向です。スライド左下のグラフはアメリカの外食産業の売上高推移ですが、こちらも非常に似通った傾向でした。

新型コロナウイルスの影響について②

4ページは、豊洲市場における魚の価格です。これについても4月は急落したわけですが、若干戻ってきている傾向になり、一時の最悪期は脱していると考えています。

2021年3月期 第1四半期決算 セグメント別概況

このような環境下での第1四半期の売上は1,741億円で、前期に比べ118億円の減収でした。一番大きく影響を受けているのは水産事業で、52億円の減収です。繰り返しになりますが、外食・観光需要の減少に伴う市況の悪化が非常に大きい要因です。

食品事業については、この中にはいわゆる食品とコンビニエンスストア向けのチルド事業の2つが入っているわけですが、このうちコンビニエンスストア向けの売上が非常に大きくマイナスになった影響で、差し引き39億円の減収となっています。後ほど食品のページでご説明します。

主な営業利益増減要因

6ページ目は営業利益についてです。食品が非常に堅調でした。スライド左側に示すとおり、日本で3億円、ヨーロッパで2億円の増益です。業務用の冷凍食品を中心としたものはご承知のとおり非常に苦戦しましたが、家庭用関係については非常に堅調に推移しました。差し引きでこのような数字になっているとご理解ください。

スライドの真ん中に示す南米の鮭鱒養殖は大きく減産で、価格も下落しており、後ほどご覧いただきますが、個別の会社で見ると大きく減益となりました。しかし、在庫を抱えている日本水産においての未実現利益の消去を含めると、結果として連結決算に与える影響はほぼ無しというのがこの第1四半期の状況でした。

その右隣に示しているのはチルドで、先ほどもお話しした事情により売上が大きく減収となり、これに伴って減益となりました。

スライド右側の2つの青い棒グラフは水産で、北米と日本で大きく減益です。価格の下落が非常に大きく影響しています。北米に関して言えば、人件費などのコストアップの影響もありますが、大きいのは価格の影響です。

連結貸借対照表(前期末比)

7ページはバランスシートです。前期末に引き続き、現金および預金をまだ厚めに持っています。今は特段金融上の心配はないのですが、やや第2波の傾向もありますので、これに備えて少し厚めに持っています。総資産は53億円の増加でした。

連結キャッシュ・フロー(前年同期比)

キャッシュ・フローについては、今期は営業活動によるキャッシュ・フローが55億円のプラスということで、前期と比べると運転資本が絞れたこともあり、改善しています。

また、投資活動によるキャッシュ・フローについても、設備投資はさほど昨年と変わらないのですが、一部資産の売却、あるいは会社の売却などに伴う資金もあり、昨年と比べると大幅に改善している状況です。現金および現金同等物については、先ほどお話しした理由で増やしています。

水産事業 売上高・営業利益(前年同期比)①

9ページ以降は各事業ごとの内容です。水産事業についての理由は冒頭でご説明したとおりですが、売上高は52億円の減収、7.5パーセントの減収でした。営業利益についても昨年30億円あったものが20億円となり、10億円の減益にとどまっています。

水産事業 売上高・営業利益(前年同期比)②

次のスライドをご覧いただくと、どこが大きく下がったかは一目瞭然です。漁業はほぼ横ばい、若干プラスで着地しましたが、養殖の営業利益は21億円だったものが1億円にまで減益となっています。そのほとんどが、棒グラフに濃いブルーで表示している南米の鮭鱒養殖の影響です。これは後ほどご覧いただきます。

それから、その隣の加工・商事、ニッスイ個別はいずれも大きく減益です。これは何度もお話ししているとおり、需要減に伴う市況悪化の影響をまともに受けています。一番右端の棒グラフで示す連結調整は次のページでご説明します。

南米鮭鱒養殖 利益構造について

11ページは、南米の鮭鱒養殖事業について利益構造をご説明しています。棒グラフに濃いブルーで示しているのが在池魚の評価損益、つまりまだ泳いでいる魚の評価損益です。これは泳いでいる魚の量と利益率の影響を大きく受けます。

スライドに記載していますが、前期の調整額の戻しと当期末の調整額の差額が当期の損益に影響を与えるということです。棒グラフに濃いブルーで示している部分の数字を見ると、去年が8億円で今年がマイナス8億円ですから、プラスからマイナスに転じています。

一方で、棒グラフに赤い破線で示す部分は連結調整と記載していますが、これは泳いでいる魚ではなく、もうすでにフィレなどの製品になった在庫です。この在庫の利益の調整も当然行なわれており、昨年がマイナス8億円だったものが、今年はプラスの11億円となっています。これは偶然ですが、結果として在池魚評価損益と「行って来い」になり、事業損益相当分が残っている格好です。

スライドに緑の文字で「11億円」「12億円」と記載していますが、この金額が南米鮭鱒養殖事業の連結での影響額です。第1四半期では幸い大きなインパクトはなかったということです。

食品事業 売上高・営業利益(前年同期比)①

12ページは食品事業です。プラスとマイナスが非常に大きく出ていますが、減収になっている理由のほとんどは、外食、コンビニエンスストア向けの需要減です。しかし、損益的には2億円程度の減益でとどまっており、非常に厳しい中でがんばったと考えています。

食品事業 売上高・営業利益(前年同期比)②

13ページ左側のグラフをご覧ください。一番左側の加工は、主に海外向けで非常に堅調です。厳しい環境下で業務用は厳しかったのですが、家庭用を中心に堅調でした。

左から2番目の赤い棒グラフで示しているものがチルドの営業利益で、大きく減益です。折れ線グラフで示す売上も大きく減収となっています。チルドの影響がいかに大きいかがご覧いただけると思います。ニッスイ個別については減収、利益については若干ですが、取り付けることができました。

ファインケミカル事業 売上高・営業利益(前年同期比)

ファインケミカル事業です。ファインケミカル事業は、メーカーに販売している健康食品向けの機能性原料と我々自身による通販事業は堅調でした。健康に関する意識が「巣ごもり」の関係で高まったこともあり、通販関係は堅調でした。

一方、医薬品原料の販売は、後ほど出てきますアメリカ向けの販売が減少となって苦戦したのに加え、日水製薬の持っていた医薬品事業の会社が4月に売却された影響もあり、減収減益でした。利益的にはやや厳しい状況になっています。

物流事業 売上高・営業利益(前年同期比)

15ページは物流事業です。物流事業は非常に堅調でした。売上については、一部に荷動きの鈍化がありましたが、4月から大阪の舞洲という島で物流センター2号棟が稼働を始めたことによる増収もあり、差し引きはおおむね前年並みでした。

損益的には、昨年の第1四半期には計算方法の変更に伴って退職給付に関わる費用が2億5000万円から2億6,000万円出たのですが、今期はその影響がなくなったため増益となっています。ここまでが上期の状況でした。

2021年3月期 見通し 売上高

年間の見通しについては、5月の段階で発表したものから変更はありませんが、多少内容に動きがあります。17ページには、売上の状況が年間を通じてどのようになるのかを図にしました。どのエリアを取って見ても、引き続き水産事業が大きく減収になる見込みです。

一方で、日本はチルドの影響がまだ残りますが、ヨーロッパ、日本ともに食品はプラスと見込んでいます。これは、スライドの下に記載していますが、日本とヨーロッパは家庭用食品のウェイトが高いためです。北米は他のエリアと比べると業務用食品のウェイトが高いため、全体としてはマイナスになっていますが、家庭用だけ取り出せば北米についてもプラスと見込んでいます。

2021年3月期 見通し 営業利益

18ページは、営業利益のウォーターフォールです。感染拡大が収まらないことによる需要減がどのようなかたちで出てくるのか、それに伴い市況がどの程度悪化するのかは、正直なところ非常に不透明です。しかし、現時点では日本の養殖事業は昨年が非常に悪かった関係もあり、昨年と比べれば改善すると見込んでいます。

それから、家庭用食品の販売増はまだ見込めるだろうと考えていますが、一方で南米の鮭鱒の養殖や海外の水産関係、業務用の冷凍食品関係等は、前年と比べるとまだまだ苦戦するだろうと考えています。

スライドの数字をご覧いただくと、日本の水産はプラス14億円です。表の下には、5月に公表した計画に対する増減を記載しています。その段階では、日本で25億円改善するだろうと想定していましたが、3ヶ月経過してそこまでは難しいということで、14億円の増益に内容を変更しています。

水産市況への影響はそれなりに残るだろうと思われる一方で、5月の段階と変わっていませんが、まぐろや銀鮭の養殖は昨年と比べれば多少改善しているため、ネットすると14億円というプラスを見込めます。

その隣は日本の食品で、チルドを除いています。業務用のマイナスはまだ少し残るだろうと思っていますが、家庭用関係の増益もあり、これは5月の段階ではほとんど予想していなかったのですが、プラスの14億円を見込んでいます。

その隣が南米の鮭鱒の養殖で、これは先ほど第1四半期についてはおおむね前年並みと言いましたが、年間で見ると43億円の減益を見込んでいます。5月の公表時でも35億円の減益は見込んでいましたが、なおいっそう価格の下落が厳しいのではないかということや、高付加価値品の比率が下がってきた影響などもあります。

これは新型コロナウイルスの影響で、工場を密にして生産していく、手の込んだ商品を作っていくことがなかなか難しくなってきていますので、その影響も残るだろうということです。未実現損益の調整を含めて前年比43億円の減益となります。

その隣はチルドで、5月公表時は10億円の減益と見ていましたが、これも新型コロナウイルスの影響が上期では収まらず下期にも残るということで、13億円の減益を想定しています。

一方で北米とヨーロッパについては、5月の段階では20億円の減益とかなり悲観的に見ていたのですが、そこまでにはならないだろうということで、11億円の減益としました。前回の想定とは内容が異なっています。家庭用が堅調で、業務用が苦しいという傾向は変わりませんが、5月の段階で見ているほどではなかろうということです。新型コロナウイルスの第2波、第3波の影響はわかりませんが、そうであろうと考えています。

今後の取組み:水産事業

水産事業関係の今後の取り組みです。養殖には引き続きしっかり取り組んでいき、認証品の販売拡大にも当然努めていくわけですが、やはり在庫管理が重要です。魚価の下落の懸念がどうしても払拭できませんので、在庫コントロールを強化して、収益の安定化になおいっそう努めていきます。

今後の取組み:食品事業

食品事業には、食品全般も水産の一部も入りますが、ウィズコロナやアフターコロナ、新しい生活様式に対応する中で、どのような商品をご提供できるのか試行錯誤しています。外出自粛による家庭用食品の需要増への対応や、デリバリーへの対応などに取り組んでいきます。

チルド事業については、収益構造そのものを少し変更しなければいけません。人員体制の抜本的な見直しが必要だと考えています。もうすでに手は着けていますがなかなか効果が出ず、まだ時間がかかってくる状況です。

ライフスタイルの変化に対応 2020年秋冬新商品①

21ページは、今回新商品として発表したものです。コロナ禍でなかなか開発するのは難しいのですが、このような健康に配慮した商品を順次出していきたいと考えています。

ライフスタイルの変化に対応 2020年秋冬新商品②

22ページは、今までになかったデザイン思考を取り入れた商品で、2年近く検討してきました。第1弾は、赤ちゃんを抱っこしながら食事ができるという産後のお母さんのために開発した商品です。ミネストローネをカップごと温めてそのまま食べられる、具もたくさん入っているというのが特徴で、実際に使われる方と一緒に開発するという取り組みも進めています。

今後の取組み:ファインケミカル事業

23ページはファインケミカル事業です。ご存じのとおり米国では新型コロナウイルスの感染が非常に拡大しており、FDAが日本に来て工場を見てOKを出す時期がなかなか確定しづらい状況が5月の段階から続いており、不安が募っている状況です。以上、簡単ではありますが、私からの説明とさせていただきます。