目次

水野雅義氏(以下、水野):ホクト株式会社代表取締役社長の水野です。当社の2025年3月期の決算についてご説明します。

本日は、2025年3月期決算報告、2026年3月期通期計画、最近の取り組み事項、そして新中期経営計画についての順で進めていきたいと考えています。

2025年3月期 決算のポイント

2025年3月期決算の2つのポイントについてご説明します。

1つ目は、国内きのこの単価が、天候不順に伴う野菜相場高の影響により堅調に推移し、昨年と比べて増収増益になりました。

2つ目として、上田第一きのこセンターの火災によって、ブナシメジの国内生産量・販売量が減少しました。ただ、先ほどお話しした野菜環境の影響もあり、結果としては業績に大きく影響しませんでした。

なお、上田第一きのこセンターの火災原因について、消防当局よりご説明をいただき、本日10時に開示しました。充電中のリチウム電池が暴発した可能性が高いということです。

みなさまには大変なご心配とご迷惑をおかけしましたが、今年11月上旬の再収穫、再出荷を目指して現在、工場の再建に取り組んでいるところです。

2025年3月期 連結決算 (前期比)

2024年3月期との比較という観点で、2025年3月期の連結決算についてご説明します。売上高は、前期比プラス4.6パーセント、36億7,800万円のプラスで、831億400万円になりました。

スライドにも記載していますが、売上が伸びた背景は7月から11月までの猛暑の影響などにより多くの野菜が供給不足の状況になり、野菜相場が全体的に高値基調となった結果、きのこの単価も堅調だったことが要因だと思っています。

また、昨年に引き続き、生産量と販売量を増やすことによる価格下落を抑えるため、若干ですが生産調整も行いました。

昨年10月に発生した上田第一きのこセンターの火災により、ブナシメジの国内生産量・販売量は減少しましたが、業績には大きな影響がなく、前期比で増収増益になりました。

売上総利益の前期比の増減額は、売上高よりも多くなっています。人件費は増加しましたが、昨年は大きな新工場の建設もなく、設備投資もあまり生じなかったため、減価償却費が減少しました。

また、エネルギーコストについては、生産現場による一つひとつの細かい努力により、使用量が減少したことで、電力費が昨年実績よりも少なくなりました。

このような要因により、売上総利益が伸長しています。

販管費は、価格上昇により販売手数料が増加したこと、運賃の値上げにより運送費が増加したことなどにより、前年実績よりも増えています。

結果として、営業利益は前年と比較して、34億4,700万円増加して、66億2,800万円となりました。為替の影響で為替差損が発生していますが、経常利益も前年の47億1,500万円から69億5,300万円というかたちで伸長しています。

2025年3月期 きのこ生産量の推移(連結)

スライドは、きのこの生産量を示したグラフです。一昨年は前年比5パーセント減の調整を行いましたが、昨年は前年並みの計画でスタートしました。

しかし、昨年10月の上田第一きのこセンターの火災で、ブナシメジの生産量が約1,000トン減少したこともあり、結果としてはきのこ全体で1,280トン、前年よりも落とすことになりました。

また、計画に対して、ブナシメジは約500トン、エリンギは約600トン、マイタケは約100トン減らしています。

ひらたけのプレミアムライン霜降りひらたけ、および、生どんこは、計画よりも多く生産したことから、結果として1,036トン少ない生産量になりました。

2025年3月期 セグメント別サマリー

セグメント別のサマリーです。国内きのこ事業は、売上高はプラス30億9,000万円、前期比5.9パーセント増、営業利益はプラス30億6,800万円、前期比78.4パーセント増になりました。

7月から11月にかけての猛暑の影響で、全般的に多くの野菜が供給不足の状況になりました。野菜相場が高い水準で推移し、きのこの価格も堅調に推移しました。きのこ別の販売単価の状況、生産量の状況は次のスライドでご説明します。

海外きのこ事業は、為替の影響もあり、売上高がマイナス1億7,500万円、前期比2.2パーセント減、営業利益はプラス2億9,900万円、前期比34.9パーセント増と、減収ながら増益になりました。

日本円ベースで売上が減少しましたが、これは主にアメリカで値上げの実施を行ったため、受注量が減ったことによるものです。一方、営業利益においては、アメリカで利益率の高い新規顧客の開拓に着実に取り組んだ結果、前年を大きく上回るかたちになりました。

売上高は、アメリカが前年比でマイナス9,900万円、台湾が前年比でマイナス1億2,000万円、マレーシアが前年比でプラス3,400万円となりました。

営業利益は、アメリカが前年比プラス2億1,200万円、台湾が前年比プラス5,000万円、マレーシアが前年比プラス3,500万円でした。

加工品事業については、売上がプラス6億5,900万円、前年比8.8パーセント増です。営業利益はプラス8,000万円、前年比27パーセント増で増収増益というかたちになりました。

コンビニでのきのこ定番メニューの採用により、販売量が増加しました。また、子会社の株式会社アーデンの得意先各社からの受注量が、濃淡があったものの増加したことが、増収の主な要因です。

化成品事業は、売上高はプラス1億500万円で、前期比0.9パーセント増、営業利益はプラス1億3,700万円で、前期比68.9パーセント増です。こちらも増収増益になりました。

原油高の影響もあり、仕入れコストは上昇しましたが、その分をお客さまに理解していただき、売価のアップを行いました。それに加え、自社製品の製造販売等に注力した結果、このようなかたちになりました。

2025年3月期 国内きのこ事業(平均販売単価の比較)

きのこの単価についてです。生産量の調整と合わせて、猛暑の影響などによる野菜供給量の減少が野菜価格を押し上げました。野菜相場全般が、高値基調になることにより、生どんこを除く4種類は計画よりも高い販売単価で推移し、前年比でも大幅な高値で販売することができました。

2025年3月期 国内きのこ事業(生産量の比較)

生産量は前年比では生どんこを除き、4種類すべてのきのこで下回っています。計画に対しても、生どんこ、霜降りひらたけを除いて下回っている状況です。ブナシメジは上田第一きのこセンターの火災で、約1,000トンのマイナスとなりました。

エリンギは、カットエリンギの生産を、当初は10月からフル稼働で予定していました。しかし、消費者になかなか浸透しきれていないと判断し、9月までと同じ通常の7割稼働に変更したことで、その分がマイナスとなりました。

生産は前年に対して下回る推移となりましが、逆に価格はプラスに影響したと思われます。

2025年3月期 海外きのこ事業 (前期比)

海外きのこ事業についてです。こちらは現地通貨での比較です。

アメリカは値上げを行ったことで、受注量は少し減り、売上もそれにより減少しました。営業利益は、利益率の高い新規顧客の開拓に着実に取り組んだ結果、前年を大きく上回りました。

売上高は前年比1.1パーセントマイナスとなり、営業利益は2期連続の黒字となりました。

台湾は前年は非常に堅調でしたが、今年に関しても堅調に推移しており、前年並みに終わったと考えています。

一方、マレーシアは、いまだ厳しい状況が続いています。当社よりも価格の安い中国産のブナシメジ「ブナピー」が東南アジアに入ってきており、それが当社の販売価格にも影響して苦戦が続いています。

この価格に対して、許容度の高いマレーシアやシンガポールを中心に値上げを行い、前年比でわずかながら増収増益になりましたが、赤字からはまだ脱却できていません。

2025年3月期 連結決算 (計画比)

2025年3月期連結決算の計画との比較です。売上高は、年初の計画よりも19億400万円増加となりました。

猛暑の影響で多くの野菜が供給不足となり、野菜相場が全体的に高値基調になったことにより、きのこは計画よりも高い販売単価で推移した結果、生産量と販売量は若干落としましたが、売上は前年比で増加しました。

単価が高値で推移し、電力費の節約努力で製造コストが減少したことで、売上総利益が計画比で27億5,000万円プラスというかたちになっています。

販管費は、生産量と、きのこを運ぶ量が減ったことにより、運送費が多少減少しました。また、プロモーション制作およびWeb広告の出稿等を圧縮したことで広告宣伝費も削減されました。

販売促進費も、いまだ新型コロナウイルスの影響が多少残っているため、試食販売の実施数が計画よりも少なく5億6,700万円削減できています。

結果として、営業利益は当初の計画よりも33億1,800万円プラスというかたちになっています。

今回、為替差損が1億円ほど出ました。それにより、経常利益は34億1,300万円プラスになっています。

また、特別損失として上田第一きのこセンターの火災による火災損失7億2,500万円などを計上した結果、当期純利益は前年比20億100万円プラスの44億4,100万円となりました。

2025年3月期 セグメント別概況 (計画比)

セグメント別の概況をご説明します。国内きのこ事業は、野菜の供給不足の状況などで野菜相場が全体的に高値基調となったことにより、きのこ単価が計画よりも高い販売単価で推移したこと、および電力費の節約などで製造原価が計画よりも減少したことにより、売上高、営業利益ともに計画を上回りました。

海外きのこ事業は、アメリカですべての顧客に対して値上げを実施したことで、受注量も減少し、売上高、営業利益ともに計画未達となりました。

加工品事業は、子会社の株式会社アーデンの売上高が堅調だったことで、計画は上回りました。

化成品事業は、自社製品の売上が好調だったものの、その他の部門においては計画が未達となったことで、売上高としては全体で未達となりました。利益貢献の高い自社製品が好調だったことで、営業利益は若干ですが計画を上回りました。

2025年3月期 海外きのこ事業 (計画比)

海外きのこ事業の計画との比較です。こちらは現地通貨での比較となります。

アメリカは、値上げを行ったことで受注量が減少し売上未達となりました。営業利益は利益率の高い新規顧客の開拓に着実に取り組んだ結果、若干の未達で終わりました。

台湾はほぼ計画どおりです。マレーシアは計画を下回りました。中国産きのこの影響で、営業がなかなか追いつかず、このような結果になっています。

2026年3月期通期計画

2026年3月期通期計画についてご説明します。国内のきのこの単価は、前期のような高値ではなく、平年並みに落ちつくと想定しています。一方、海外きのこ事業では、増収を見込んでいます。結果として売上高は前年比4億9,500万円プラスを見込んでいます。

製造原価は電力費・人件費の単価上昇の影響があり前年よりも多少上がるため、売上総利益は減少を見込んでいます。

販管費は、運送費などが増加していることに加え、人件費の増加もあり、前年と比べて増加を予定しています。

後ほどご説明する新中期経営計画を実現させるために、人材採用や組織再編を伴う、全社的な経営基盤の強化を今期行っているところです。構造改革費用などが先行することによって、一時的に営業利益が減少しています。

結果として、営業利益は前期比マイナス23億4,800万円を見込んでいます。

また、特別利益として、昨年の上田第一きのこセンターの火災に関する保険を計上する予定ですので、当期純利益としては、前期比1億100万円マイナスの43億4,000万円という計画を立てています。

きのこ生産量の推移(連結)

きのこの生産量推移はスライドのとおりです。生産量はほぼ前年並みで計画しています。

2026年3月期通期計画(セグメント別)

セグメント別の計画です。国内きのこ事業は、前期のきのこの価格は異常な高値で推移しましたが、今年はかなり落ち着くという想定です。また、製造原価においては、人件費、電力費が上がることを予想しているため、減収減益という計画になっています。

海外きのこ事業については、アメリカで前期に全顧客に対しての値上げを実施していることから、増収増益を考えています。台湾、マレーシアは前期並みの計画になっています。

加工品事業については、子会社の株式会社アーデンの予想が減収になっているため、減収減益の計画になっています。

化成品事業は、容器の製造を行っている豊野工場の稼働率を上げることで、売上、利益の改善を図っていこうと考えています。

2026年3月期通期計画(海外きのこ事業)

海外子会社別の現地通貨ベースの計画です。アメリカは値上げを実施しているため、増収増益です。マレーシア、台湾に関しては前年の計画並みという数字です。

最近の取り組み事項

最近の取り組み事項です。2つご紹介したいと思います。

1つ目は、加工品事業の取り組みとして、新商品「信州産きのこのおつまみ缶詰」を発売しました。缶詰は、当社として初めての商品になります。健康志向の中、中年層あるいはギフト需要をターゲットに、低カロリーで食物繊維も豊富な、おつまみ感覚の商品として発売しました。

信州産エリンギと肉厚で食べ応えのあるシイタケに「一番採り生どんこ」を1缶に100グラム以上使用しています。こだわりの製法で、きのこの弾力を活かした歯ごたえを実現させた商品になっています。こちらは、当社のオンラインショップで発売しています。

最近の取り組み事項

2つ目に、「YouTube」チャンネルの『料理研究家リュウジのバズレシピ』とのコラボ企画として、当社のきのこを使ったレシピを4月下旬より配信しています。

すでに、4月28日、5月7日と、2回配信しています。現在1回目の放送が約60万回、2回目の放送が約36万回再生されています。

ホクトのキノコ博士が、おいしいキノコの食べ方を説明している動画で、「非常におもしろかった」といったようなお声もいただいており、好意的なコメントを多くいただいています。

1回目と2回目の動画は資料にも掲載しています。ぜひ全編をURLからご覧いただきたいと思います。今後もコラボ企画を実施していきますので、注目して見ていただければと思っています。

目次

このたび新しく策定した、新中期経営計画についてご説明します。当初11月の中間決算の時に発表する予定でしたが、上田の工場の火災があったため半年間延ばして、今回の発表となりました。

スライドでお示ししている項目に沿ってご説明していきます。よろしくお願いします。

ビジョン/経営理念

当社は社是である「5つの満足」を最高指針をもとに、2つの経営ビジョンを掲げています。この理念をもとに中期経営計画を策定しました。

旧中期経営計画の振り返り:詳細分析

旧中期経営計画の振り返りです。国内きのこ事業では、外的環境の変化によりマーケティング投資が予定どおり進まず、計画した健康訴求による需要喚起の施策が不足していました。また、市場と消費の拡大を目指した結果、需要バランスが崩れて単価維持ができず、売上と営業利益が未達となりました。

新中期経営計画では、需要の最適化とマーケティング活動の強化を注力ポイントに活動を進めていきます。

海外きのこ事業では、リソース不足により工場建設計画が遅延し、M&Aの機会に恵まれませんでした。海外きのこ事業については組織体制の強化を済ませており、新規工場計画およびM&A機会に注力していきます。

加工品事業では、リソース不足により商品開発および拡販が進展できませんでした。新中期経営計画では組織横断型のプロジェクトを発足させ、利益貢献を目指していきます。

旧中期経営計画の振り返り:数値実績

旧中期経営計画では、最終年度の2026年3月期に売上865億円、営業利益84億円を掲げました。初年度の2022年3月期は新型コロナウイルスによるロックダウン、2023年3月期はロシアのウクライナ侵攻による世界的な混乱の影響が、売上、営業利益の計画未達の大きな要因となりました。

2024年3月期以降は売上、営業利益ともに着実に成長し続けていましたが、最終年度の目標達成は厳しい状況となっています。

新中期経営計画:サマリ(方針)

このたび策定した新中期経営計画では、当社グループの中期的な成長戦略として「事業領域の拡張」と「戦い方のアップデート」を2大方針に掲げました。

この2大方針を実現させるために、各事業運営の戦略方針を具現化・浸透させ、戦略目標を実現していくための全社的な経営基盤の強化にもワンチームで取り組んでいきます。

新中期経営計画:概要・数値目標

当社グループは中期的な目標として、売上高1,000億円、営業利益100億円を目指していきます。旧中期経営計画で確認できた課題を着実に解消することで、事業の根幹をより強化し、持続的な成長を目指します。

また2026年3月期は、持続的な成長を軌道に乗せるため、さまざまな施策を検討・実行することで、一時的に業績が低下する見込みですが、次年度以降はその成長の方向性を当社グループ全員が認識することで、一丸となり目標達成を実現していきます。

新中計達成時の事業ポートフォリオ

当社グループの新中期経営計画達成時の事業ポートフォリオです。国内きのこ事業では、売上高をキープしながら収益性向上を目指していきます。海外きのこ事業では、高い利益率を維持しながら市場拡大に取り組んでいきます。加工品事業では魅力ある新商品開発を通じ事業拡大を目指していきます。

化成品事業ではエリア拡大を主軸に、売上高の拡大を目指します。

これらを達成すると、全社営業利益率は10パーセントとなり、中期経営計画達成時には売上高が1,000億円、営業利益が100億円となる見込みです。

新中計におけるセグメント別の戦略方針: ①国内きのこ事業

セグメント別の戦略方針をご説明します。国内きのこ事業は、生産量の最適化と価格安定化、エリア戦略・アイテム戦略の推進、原価低減により、売上を成長させながら営業利益率を15パーセントまで高めていきます。

この目標を達成するために、3つの重点施策を作成しました。1つ目は、生産量最適化と価格安定化です。販売動向の見通しや在庫計画の精度を向上させ、市場価格の安定化を実現させていきます。

①国内きのこ事業:営業戦略

2つ目の重点施策は、「エリア×アイテム」戦略の推進です。国内を10エリアに分割し、エリア内の競争環境や市場特性に基づくエリア戦略を遂行していきます。

そして、注力する量販店の明確化、物流の最適化による鮮度向上、SNSを活用した認知向上と、量販店舗でのプロモーション、きのこの健康成分の訴求活動による拡販等により、売上高と収益率の向上を実現させていきます。

①国内きのこ事業:生産性改善の方向性

3つ目の重点施策は、原価低減です。今それぞれのきのこセンターでは、LED照明の導入や、IoT技術による空調設備の効率化、使用電力量の削減、廃熱利用による燃料使用量の削減を行っています。

さらに、調達原料あるいは資材コストの最適化に取り組むことで、利益創出を追求しています。

②海外事業

海外きのこ事業については、進出済みの海外の各市場は成長基調であり、特に米国はさらなる拡大余地がある魅力的な市場だと考えています。

海外事業の重点施策は、米国での生産・販売の拡大と、台湾・マレーシアでの利益拡大の2つです。

②海外事業:エリア別/時期別の計画

北米はまさにきのこの成長市場であり、当社グループの成長戦略の1つとして、北米マーケットの拡大を目指しています。後ほど詳しくご説明します。

台湾についてはすでに高いシェアを獲得しており、市場リーダーとしての高い収益率を維持しています。高付加価値製品の販売、OEM販売の内製化に取り組むことで、さらなる収益性の向上を目指していきます。

マレーシアでは、営業組織体制が強化されました。商品のポジショニングや販売戦略の見直し、高品質なきのこニーズが強い市場に注力し、ブランディング・営業活動を進めていきたいと考えています。

②海外事業:米国の市場機会

北米では、きのこ全体の市場において年平均成長率が9.3パーセントと、高い成長率を示しています。中でも当社が取り扱う「スペシャリティきのこ」の市場はニッチながらも、年平均成長率が12パーセントと、急拡大している魅力的な市場です。

②海外事業:米国における事業展開ステップ

米国における事業展開のステップとして、優先ターゲット先である大手小売・ナチュラル系小売チェーンへの販売強化、外食産業向けの卸販売への強化も進めていきます。

新工場については、ブナシメジ3,000トン工場の建設を計画しています。M&A機会も含めて売上、利益拡大、効率化を目指します。

③加工品事業

加工食品事業では、業務用および市販用の加工品に加えて、新商品開発を強化することで事業拡大を目指していきます。

加えて、レトルト食品製造を手がける子会社の株式会社アーデンの収益性強化、および新規事業開発にも取り組みます。

重点施策は、スライドに記載の3つです。当社グループの成長戦略の1つとして、「フレッシュ冷凍きのこ」や、きのこ成分を活用したサプリ開発に注力領域を置き、M&Aを含めた検討を行っていきます。

③加工品事業:新規事業開発に向けた取り組み

冷凍野菜市場の規模が拡大している点にも着目し、魅力ある新商品として、「フレッシュ冷凍きのこ」を開発していきたいと考えています。

食卓に、とれたての新鮮な状態で、切らずにいつもおいしく食べられるきのこをお届けしていきたいと思っています。

③加工品事業:新規事業開発に向けた取り組み

きのこ成分を活用したサプリについては、健康生活に欠かすことのできないきのこ特有の有効成分を認知していただくとともに、手軽に摂取することでお客さまの健康に寄り添っていきたいと考えています。

④化成品事業

化成品事業では、包装資材や農業資材等を製造し、販売を主な活動として、当社グループへのきのこ関連資材、あるいは原材料等の提供も行っています。

市場については、中長期的には人口減少等の影響は不可避ですが、既存取引先でのボリューム拡大、エリア拡大による優良顧客の獲得、きのこ以外の農業事業者への開拓を行い、取引先の拡大を図っていきます。

また、自社工場には余剰キャパシティがあり、拡販余地がまだ残存しています。工場稼働率の向上、仕入れ管理体制の強化による製造原価の見直し、価格見直しおよび販売拡を大することで、利益率の改善を目指していきます。

新中期経営計画達成に向けた経営基盤の強化

中期経営計画達成を支える経営基盤の強化についてご説明します。各事業部門単独での対応が難しい、難易度の高い組織イシューの解決に向けて、本部機能強化・最適化、海外管理体制の高度化、拠点網の再構築、DX推進による業務改革などを進めていきます。

また、各事業の政策推進を下支えするため、エンゲージメントの強化、人材ポートフォリオの最適化、人事異動・ローテーション最適化等の活動を通じ、人的資本の向上を実現していきたいと考えています。

29/3期に向けたキャピタルアロケーション

中期経営計画達成に向け、投資戦略、既存事業投資、財務基盤強化、株主還元に対して資金をバランスよく配分していきたいと考えています。

戦略投資では、米国をはじめとする海外での精算・販売体制の強化、新しいきのこの品種の量産技術の開発、M&Aなどの手段によるきのこ周辺領域への進出等に重点を置いていきます。

既存事業投資では、生産設備の更新投資をはじめ、低コスト栽培技術の確立、マーケティングの高度化、脱炭素施策の推進等に注力していきます。

財務面では、適切な財務レバレッジの実現を目指すとともに、安定配当の継続・増配を行い、自己株式取得による株主還元も検討していきたいと考えています。

当社のPBR及びROIC目標

当社グループでは、投下資金の効率を図る指標であるROICと、企業価値に対する市場の評価を示す指標であるPBRを経営目標とし、その持続的な向上に取り組んでいます。

これまでにご説明した各種の施策を実現し、収益率を強化することにより、中期経営計画最終年度である2029年3月期において、ROIC7.2パーセント、PBR1.9倍の達成を目指しています。

SDGsに関する取り組み:全体像

SDGsへの取り組みとして、私たちの目指す「未来を笑顔に」を実現するために、経営ビジョンである「健康」と「社会的責任」というキーワードに基づいた4つの取り組みテーマと、重要活動を定めています。

地域環境への配慮、地域社会への貢献、きのこによる健康生活への普及、社員の幸せにつながる職場という4つの取り組むことが、サステナビリティの確立とESG経営の取り組み強化につながり、さらにステークホルダーのみなさまの支持や社是の実現につながっていくと考えています。

SDGsに関する取り組み:脱酸素に向けた取り組み

脱炭素に向けた取り組みは、持続可能な社会と企業活動の両立を実現する循環型社会への取り組みとして、エネルギーマネジメントの推進を主軸に、脱炭素社会への貢献を目指していきます。

具体的には、生育空調設備の効率化、エネルギーの省エネ化、低負荷エネルギーへの転換を実施し、環境負荷の低減に取り組んでいきます。

当社グループはこの新中期経営計画を指針に、より良い価値を提供できる企業であり続けることを目指していきます。

決算説明および新中期経営計画についてのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:利益が上振れた要因について

質問者:決算を振り返ると、もともと立てていた計画に対して、利益面ではかなり上方向に乖離しました。

その要因として、野菜の価格の高騰や、生産量が想定よりも少なかったなど、いろいろな要素が絡んでいるかと思いますが、分解すると何の要素が大きかったと考えていますか?

そして、それに絡んで、足元ではおそらく野菜の価格がかなり下落してきているのかと思います。きのこも、この野菜の価格に引きずられて下落が始まっているのでしょうか? こちらについてもアップデートがあればお願いします。

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