心臓血管が新型コロナの影響を受けるも、他カンパニーで緩和

武藤直樹氏:CAFOの武藤でございます。さっそく、第1四半期決算の概要について説明します。初めに全体総括です。売上収益は、⼼臓⾎管カンパニーにおいて新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、ホスピタルや⾎液・細胞テクノロジーカンパニーへの影響は軽微にとどまり、総体で14パーセント減、為替を除くベースでは11パーセントの減収となりました。調整後営業利益は、⾼収益な⼼臓⾎管カンパニーの減収の影響を⼤きく受けました。

費⽤⾯では、中⻑期の成⻑に資する研究開発費の抑制は限定的にしながらも、⼀般管理費はコロナ禍での活動制限における低下に加え、不要不急とみなす費⽤を全社的にコントロールし、前年度⽐で減少させました。結果として、為替を除くベースで30パーセント減、営業利益では31パーセントの減益となりました。

当期利益においては、前年同期⽐で39パーセントの減益となりました。タイトルにありますように、⼼臓⾎管カンパニーが新型コロナウイルスの影響を強く受けましたが、ホスピタルカンパニー、⾎液・細胞テクノロジーカンパニーへの影響は⽐較的軽微にとどまり、結果として、売上収益・利益ともに、新型コロナウイルスの影響を緩和したかたちとなりました。事業ポートフォリオの強みを活かすことができたと思います。

調整後営業利益増減分析

前年同期⽐での調整後営業利益の増減分析です。売上減による売上総利益の減少は、主に⼼臓⾎管カンパニーにおける売上減少として、91億円のマイナス要因となりました。

売上総利益率の悪化による減少は、⼼臓⾎管カンパニーの減収によるミックス悪化により、28億円のマイナス要因となりました。第1四半期においては、需要が減少する中でも先⾏きの不透明さを考慮し、BCPの観点で⽣産稼働をあえて下げずに在庫の積み増しを行なった結果、製造原価を若⼲押し下げる効果があり、総利益率の悪化によるマイナスに対し、⼀定の緩和効果がありました。

価格下落では、⼼臓⾎管カンパニーの売上減少により、下落の影響3億円と控えめのスタートとなり、薬価公定価改定の影響は、昨年度上期において消費税増税に伴う改定がなかったため、今期における四半期ごとの⽐較においては重めの11億円となりました。また、欧州規制対応費の4億円と、IT投資費⽤の3億円は、昨年度のペースから⼤きく変わらず、作業も順調に進捗しています。

⼀般管理費の減少は、コロナ禍における病院へのアクセス制限や学会の中⽌・リモート化によって販促費や旅費が縮⼩されたことに加え、全社で不要不急な案件の選別を徹底して費⽤を抑制したことで、前年度⽐34億円のプラス要因となりました。⼀⽅、研究開発費は、原則投資を緩めずとしながらも、⼀部の不要不急な案件を抑制した結果、前年度⽐4億円のプラス要因となりました。

為替の影響は、ユーロ・中国元・中南⽶の通貨が円⾼に推移したことで、前年同期⽐で20億円のマイナス要因となっています。

地域別売上収益

地域別売上収益です。まず⽇本では、⼼臓⾎管カンパニーへの新型コロナウイルスの影響がありましたが、売上の割合が最⼤のホスピタルカンパニーにおいて、新型コロナウイルス関連の⼀部製品の需要増もあり、4パーセントの減収にとどまっています。

海外においては、いずれの地域でも⼼臓⾎管カンパニーの減速により2桁減収となりました。とくに⽶国は、第1四半期における症例数の減少が顕著でした。中国は、ニューロにおいて代理店からの受注タイミングの減少で⽬減りしましたが、それを除くと地域としては⼤きな回復を⽰しています。

カンパニー別売上収益

カンパニー別の売上収益です。⼼臓⾎管カンパニーは、インターベンション・外科ともに待機症例の延期が見られ、需要減の影響を受けましたが、第1四半期最後の6⽉には、症例数とともに売上収益も上向き基調が確認できました。

ホスピタルカンパニーは、⼀部の製品で新型コロナウイルスの影響を受け、減収が見られたものの、体温計や消毒剤などの需要増に加え、アライアンスが2桁伸⻑を継続し、全体としては安定的でした。

⾎液・細胞テクノロジーカンパニーは、アフェレシス治療の延期がありましたが、成分採⾎装置が牽引し、全体としては安定成⻑となっています。

心臓血管:想定範囲内の新型コロナの影響

カンパニー別に詳しくお話しします。まずは⼼臓⾎管カンパニーです。売上収益は全事業で新型コロナウイルスの影響を受け、為替を除くベースで21パーセントの減収となりました。

TISは全般的に需要減の影響を受けました。ニューロは脳動脈瘤治療の⼤半が待機症例のため、需要減の影響を⼤きく受けました。CVは需要減の影響はありましたが、⽇本でのECMOを含む装置の売上増が減収を⼀部緩和しました。⾎管事業は、⼈⼯⾎管・ステントグラフトともに需要が下がり、減収となっています。

利益については、売上収益の減少により減益となりました。第1四半期は需要が下がっていた局⾯ではありましたが、BCPの観点から安定供給を⽬的に在庫の積み上げを行なったため、製造原価に有意に働き、⼀部減益の緩和に効いています。

ホスピタル:費用をコントロールし収益性を維持

次にホスピタルカンパニーです。売上収益は、医療器、医薬品において、診療制限の影響で緩やかな需要減少の影響を受けました。DM・ヘルスケアでは、新型コロナウイルスの予防対策として、体温計等のヘルスケア製品の需要が拡⼤しました。アライアンスは海外が牽引し、全体として2桁伸⻑を維持しています。

利益においては、フィリピンでのロックダウンにより⽣産稼働低下の影響が見られたものの、費⽤をコントロールし、前年同期⽐で同レベルの収益性を維持することができました。

血液・細胞テクノロジー:増収増益を達成

次に⾎液・細胞テクノロジーカンパニーです。売上収益は、⾎液センター向けのビジネスにおいてドナー不⾜の懸念がある中、採⾎効率の⾼い成分採⾎の注⽬は⾼く、加えて、⾎液センターがBCPの観点から⼀定の在庫積み増しの様子も伺え、需要増がありました。

そうした中、成分採⾎装置「Trima」の新ソフトウェアを導⼊したことで効率性の⾼さをアピールし、売上が伸⻑しました。また、新型コロナウイルスの治療に向けた回復期⾎漿の需要増加も⼀部貢献し、⾎液センター向けビジネスは為替を除くベースで2桁伸⻑しました。

待機的なアフェレシス治療は延期され、需要減少の影響を受けましたが、⾎液・細胞テクノロジー全体では、売上収益は2パーセントプラス、為替を除くベースで7パーセントプラスの増収となりました。

利益は、収益性の⾼い成分採⾎の⽐率が⾼まったことによりミックスが向上し、加えて、⼀般管理費を中⼼に費⽤コントロールをした結果、⼤幅な増益となっています。

主なトピックス

第1四半期におけるトピックスです。全社では、新型コロナウイルス対策への⽀援として、WHOを⽀援する基⾦など、合計240万⽶国ドルの⽀援を行ないました。カンパニーは、新製品の認証や発売のトピックスが並んでおり、コロナ禍においても着々と持続的成⻑に向けた進捗が見てとれるかと思います。

20年度パイプライン製品のローンチ状況

今年度のパイプライン製品です。詳細は割愛しますが、今のところ予定どおりにローンチが進んでいます。新型コロナウイルスの影響による遅延には注視していきたいと思います。

20年度業績予想の考え方

2020年度の業績予想です。売上に関しては、第1四半期で底を打ち、以降は回復基調と想定しています。新型コロナウイルス第2波の影響は不透明な要素が多いため、本予想には織り込んでいません。

⼀般管理費は、⼀定のコントロールは引き続き効かせていきます。⼀⽅、下期より需要が戻ると想定される中、競合各社が競うように回復を伺う局⾯に⼊ることが予想されます。競り負けることなく、業績を⾒極めながら適切に費⽤投下を行なっていきます。また、中⻑期の成⻑に資する研究開発費は、原則として活動レベルを下げずに投資していきます。

先ほどもお話ししましたが、先⾏き不透明な中、第1四半期にBCPを⽬的として在庫の積み上げを行ないました。第2四半期以降、新型コロナウイルスの感染拡⼤の状況、各国の対応の状況、そして業績を鑑みながら、徐々に適正⽔準へ戻していくべく、⽣産稼働レベルを調整していきます。

20年度業績予想①

業績予想の数字です。まず売上収益は、第1四半期の10パーセント台の減収から回復軌道を経て5パーセントの減収、為替の影響を除くベースでは2パーセントの減収を⾒込んでいます。調整後営業利益は、第1四半期の30パーセント台の減益から期末で18パーセントの減益まで戻していきたいと思います。

想定の為替レートとして、ドルは105円、ユーロは120円としています。配当は5⽉の決算時に発表した予想、中間14円・期末14円、年間で28円から変更はありません。

20年度業績予想②

カンパニー別の売上収益予想です。⼼臓⾎管は第1四半期に待機症例の延期による需要減がありましたが、下期は回復軌道を描き、通年で8パーセント減、為替を除くベースで5パーセント減収を⾒込みます。

ホスピタルカンパニーは、コロナ禍における診療制限は⼀定レベル続き、医療器や医薬品へのマイナス影響があると考えています。⼀⽅、アライアンスなどが引き続き牽引することで相殺され、1パーセントの増収を予想しています。

⾎液・細胞テクノロジーカンパニーは、⾎液バッグの減少が想定されますが、成分採⾎の強いモメンタムが相殺し、為替を除くベースで2パーセント増を予想しています。

20年度業績予想 売上四半期推移イメージ

昨年度の実績をベースとした、売上四半期推移のイメージを説明します。第1四半期は10数パーセントの減収となりました。もっとも影響を受けた⼼臓⾎管カンパニーの⽉別の売上を見ると、4⽉は3割半ばの減収でしたが、6⽉は1割を切る減収まで回復しています。第2四半期以降は回復基調を描き、第3四半期はおおむね前年並みに、第4四半期はプラス伸⻑と、成⻑軌道線に戻っていくと予想しています。

今年度は、新型コロナウイルス第2波の影響など、不透明さはぬぐえませんが、感染拡⼤や治療への貢献を積極的に行ない、ニューノーマルへの適応を図りつつ、着実に成⻑軌道への回復を⽬指していきます。ご清聴ありがとうございました。