PHILOSOPHY/VISION

樋口龍氏(以下、樋口):皆様、こんにちは。私から第2四半期の決算説明をします。

我々の理念は変わらず「テクノロジー✕イノベーションで、 人々に感動を。」です。理念に「不動産」は入っていません。不動産だけでなく、金融、建設、保険等さまざまな領域にテクノロジーを導入して世の中を変えていきたいという思いで、理念に「不動産」は入れていません。

VISIONも創業から変わらず「世界のトップ企業を創る。」です。果てしなく高い目標を目指して、グループ一丸となっています。

事業構成①

現在、グループ全体の中心は不動産です。その中で、どのようなビジョンを掲げているか、今一度整理します。

サービスラインナップ

まず上記に書かれている「“住まい”に縛られない『本当の理想の暮らし』を実現」の左側、自分の住居用に不動産を借りる、買う・売る、投資することについてです。

不動産は住居だけではなく投資にも活用できるため、グループ全体で不動産投資を行なうカスタマーに対してしっかりサービスを提供しつつ、不動産業界全体にもBtoBの商品を提供し、不動産業界全体のDXにも貢献していくのが我々グループの全体像です。

当然それぞれにサービス・プロダクトがあります。創業当初から、借りる、買う・売る、投資する、それぞれのプロダクトをネットとリアルの両面で強化してきました。

経営の重点項目

経営の重点項目はRENOSY iBuyer事業、イタンジ事業、RENOSY Living事業の3つです。イタンジ事業、RENOSY Living事業は投資フェーズにあります。

後ほど詳しくご説明します。

GAテクノロジーズの戦略

GAテクノロジーズの戦略を今一度理解していただきたく、ご説明します。RENOSY事業とは何かといいますと、インターネットとリアルの融合です。不動産業は50年前から存在しています。50年前に仲介業が現れ、20年前に不動産検索サイトができました。

今はどのような時代かというと、インターネットとリアル(が融合した時代です)。不動産ポータルサイトを自社で運営しながら、自社で宅地建物取引業免許、建設業など必要な資格を持ち、ワンストップで実業を行なうことにより、Amazonのようにシームレスな不動産取引が実現できると考え、創業から追求しています。

我々は自社で実業を運営しています。そのため、かゆいところに手が届くプロダクトが作れます。自社に不動産のプロフェッショナルがおり実業を行い、そして社内にエンジニアがいます。

そのことによって効率的にシステムが開発できますので、それを12万社あるといわれる不動産会社に提供していくことが2つ目のステップ、自社プロダクトの外販です。

また、不動産に関連する領域は非常に多いです。記載の建設、金融、保険と、大きく3つに分けた戦略はずっと変わっていません。我々はそこに目掛けて新規事業、M&A、実業の強化を行なってきました。

GAテクノロジーズの戦術①

我々の戦術を細かくお伝えします。まず、RENOSY事業の強化についてです。iBuyer事業ではすでにプロダクト・マーケット・フィットが完成しており、売上利益はしっかり上がっています。

(RENOSY事業は)創業から3つのポイントを重視して強化してきました。不動産事業ではテクノロジー領域はさておき、リアルの事業体制構築について、オペレーションも非常にアナログで、分業制でもなく一人ひとりの生産性が低かったです。そこで、まず我々はリアルのオペレーションを徹底的に効率化します。これが1つ目のポイントです。

2つ目は、そのなかでもサービスカバレッジを広げることです。ワンストップでビジネスを展開していますので、ワンストップで足りないところを新規事業ならびにM&A(で補填)してきました。

3つ目に、実業にしっかりとテクノロジーを導入していくことにより、インターネットとリアルを融合できます。我々はそれを追求してきました。

このモデルには再現性があります。そのため、iBuyer事業で培ったビジネスモデルをLiving事業に横展開します。我々はインターネットとリアルを融合することで結果を出してきており、再現性をもって、異なるマーケットや領域で世の中に価値を出していきます。

GAテクノロジーズの戦術②

iBuyer事業とLiving事業はともにBtoC事業です。お客さまに、住むための家を買っていただき、また投資用不動産を買っていただくことを追求したのち、グループ会社RENOSY Xが我々の培ったシステムをBtoBとして外販していく。

自社の業務効率化だけではなく、不動産業界全体にDXで貢献していくということが、我々の戦術です。

GAグループのコロナ対策について

皆様が一番気になられていて、しっかりご説明しなければいけないコロナによる影響と対策についてです。

グループ全体として、社内・社外に分けて対応しています。社内に関しては当然テレワークを実施し、テレワークによる業務の滞りがないように対策を行なっています。

社外に関しては後ほど説明しますが、不動産取引のオンライン化、非対面契約、「ITANDI」であればシステムの無償提供。そしてリクルート活動においても面談をオンライン化することにより社内・社外に関して素早く対応できたと思っています。

コロナが業界にもたらす変化と短期的な影響

そして、もう少し具体的なポイントですが、コロナが不動産業界に与えた短期的な影響について説明します。

iBuyer事業に関しては、業界全体において販売活動の停滞がありました。金融機関の稼働が50パーセントになりました。

Living事業であれば、大手管理会社様がリモートに対応ができておらず、提案可能な物件が減少してしまうなどの影響がありました。

ITANDI事業は賃貸仲介業界全体においての冷え込みによって、電子申込みの利用減が起こりました。

しかし、なぜ我々グループは影響を軽微に済ませることができたかというと、創業から我々がインターネットとリアルの融合を行なってきたからです。

テクノロジー化をいち早く進めてきたことによって、iBuyer事業では非対面販売体制の確立、Living事業では自社メディアの強化ができ、ITANDI事業においては業界全体のDXの推進をしてきたことにより我々への影響が軽微となりました。

むしろこのきっかけがあることにより、DXが社内、そして不動産業界により大きな影響をもたらすことができると思っています。

長期的な業界変化を見据えたDX推進に注力

結果として、短期的には業界構造の影響を受けましたが、変わってこなかった不動産業界においても、各不動産会社および各ユーザー様がコロナの影響を経験したことにより、中長期的に見るとDXに対応する企業のみが顧客を獲得できるようになると思います。

我々が推進してきたことが間違いなく成果を出しており、更に進んでいくだろうということを、この2ヶ月の間、グループ全体で非常に強く実感しています。

我々が行なってきたことは間違いではなく、その結果として影響が軽微に済んでおります。中長期的に見るとますます我々の価値が変わっていくと思いますし、不動産テクノロジーのリーディングカンパニーとして業界全体に影響を及ぼしていきたいと考えています。

FY2020.10 2Q 業績ハイライト(連結)

次に、業績のご説明に移ります。

グループ全体の売上高はYoYで56パーセント増加し約140億円、粗利もYoYで46パーセント増加、そして営業利益もYoYで84パーセント増加しました。

新型コロナウィルス感染症による業績への影響は軽微だと言ったとおり、売上、利益ともにYoYが伸びていますし、非対面化を確立していることにより影響がなかったと考えています。

このような期間ではありましたが、我々はこの機会を人材獲得のチャンスと捉えています。iBuyer事業、Living事業、そしてITANDI事業に関しても中途採用ならびに新卒採用に関しては抑えていません。なぜならば、いまがチャンスだと思っているからです。

FY2020.10 2Q 業績サマリー

それぞれの事業のサマリーです。

iBuyer事業は、ご説明したとおりコロナ禍においても在庫回転期間は好水準を継続していますし、生産性の向上により成約数ならびにARPAも過去最高を出しています。

Living事業においても、M&Aを行なったモダンスタンダードとのシナジーにおいて反響数およびエージェント1人当たりの生産性が向上しています。

ITANDI事業に関しても、管理会社、仲介会社向けのSaaS事業は順調に推移していますし、新規事業であるBtoCの「OHEYAGO」の物件掲載数も順調に拡大しています。次世代型の業者間ツールである、インフラシステムの「ITANDI BB」を今日発表しましたが、更に新機能も追加し堅調に伸びています。

FY2020.10 2Q 通期推移および進捗率

その結果、売上高進捗率は40パーセント、営業利益進捗率は23パーセントとなりました。

毎回心配されるものの、この数字は毎期第4四半期に利益を積み増していくというビジネスの季節性ならびにビジネスモデルとの関係があります。昨年も、第3四半期が終わるまで営業利益率の進捗は40数パーセントでした。

そのため、我々としてはコロナ禍においても順調に売上・利益ならびに投資に関して伸ばすことができているかと思っています。

FY2020.10 2Q 四半期推移

四半期推移はご覧のとおりです。YoYも順調に伸びています。

FY2020.10 2Q 販管費推移

販管費のなかで1番大きく伸びている項目は人件費です。四半期比で97名が入社しています。その代わり、有効なマーケティングの施策により、広告宣伝費は売上伸長に対して圧縮傾向にあります。

ポイントは、人件費がアップしているという点です。ここに関しては計画どおり、順調に採用が進んでいるという証と考えています。

FY2020.10 2Q 従業員数推移

YoYでは従業員は151名増加しています。

損益計算書サマリー(連結)

損益計算書はご覧のとおりです。

貸借対照表サマリー(連結)

貸借対照表において、資産が約150億円規模に増加しています。M&Aもしているため、のれんも増加しています。

負債に関しては、社債の増加により有利子負債が29億円増加していますが、健全なラインを保てていると考えています。

“不動産取引をワンクリックで”を目指すRENOSY iBuyer

具体的なRENOSY iBuyer事業のKPIをご説明します。

RENOSY iBuyer事業の最大の特徴は自社で「RENOSY」というメディアを抱えながらも宅地建物取引業免許を持つエージェントを雇用して、買ったあとの管理をワンストップで行なうということです。

ビジネスモデル①

買い手と物件を効率的にマッチングしていくことにより在庫回転率が短いです。後ほどご説明します。

商品特徴①

中古マンションがメインの商品です。人口が伸びる、需要が高い主要都市をメイン商品として扱っています。

同業他社に比べ圧倒的な在庫回転期間

我々には在庫回転期間約14日という特徴もあります。ほかの不動産会社は平均約277.5日なので、圧倒的な効率です。

在庫回転率も、不動産業界の平均が約2.6回のところを約27.6回転しています。なぜ実現できているか説明します。

我々は自社メディアを持っているため、不動産を買いたい方を獲得できています。このコロナ禍においてでも、インターネットから集客できます。

さらに、SUPPLIER by RENOSYという仕入れシステムによって、効率的に買い手と売り手をマッチングし、圧倒的な在庫回転率を実証できていると思っています。

RENOSY会員数推移

RENOSY会員数もYoYでプラス80パーセントとなり、順調に伸びています。

RENOSY iBuyer事業 成約数推移

成約数に関してもYoYでプラス48パーセントとなり、第1四半期と比較すると約200件以上アップしています。

RENOSY iBuyer事業 セールス人員数推移

営業セールス人員もYoYでプラス2パーセントとなりました。YoYではプラス2パーセントですが、第1四半期と比較すると17名も増員しています。その結果として、成約数も順調に伸びていると考えています。

RENOSY iBuyer事業 ARPA推移

iBuyer事業(のARPA)も過去最高です。業務効率化されたシステムならびに効率化されたマーケティングによってYoYがプラス30パーセントで推移していると思っています。

不動産取引の非対面化

そして、今回いち早くコロナ禍において対応できたのは、我々がワンクリックで不動産を買えるように、コロナ禍以前からずっと(不動産取引の非対面化に)取り組んできたためです。ローン申込みの電子化、IT重税、売買契約の電子化、交渉のWEB面談化、手付金のクレカ決済化等です。

コロナ禍以前から対応してきたからこそ、コロナ禍においても業績への影響が軽微で済みました。

むしろ、中長期的に考えると、我々が顧客から選ばれる機会がますます増えるのではないかと考えています。

体制構築以降、オンライン面談数大幅増

WEB商談も約10倍以上になっています。それが、先ほどお伝えした成約数の大幅な上昇にもつながっています。

不動産売買市場(取扱高ベース)

RENOSY Living事業はいままではRent-Lease-Sell-Buy事業と言っていたのですが、RENOSY Living事業と名称を変更しました。こちらは、実際に住むための不動産の事業です。

マーケットは首都圏で8兆円と、ビッグマーケットです。ここも、40年〜50年変わってこなかった領域です。我々はそこにテクノロジーを導入することにより、業界にイノベーションを起こそうと考えています。

GAテクノロジーズの戦術③

冒頭にお伝えした再現性をどのように持つかというと、RENOSY iBuyer事業でリアルの事業体制構築を強化し、ノウハウをLiving事業に横展開しています。我々としては勝率は高いと考えています。

ビジネスモデル②

ビジネスモデル的には、賃貸を借りたい人、賃貸を貸したい人、物件を売りたい人、物件を買いたい人の4つの事業がメイン事業となっています。

全領域の物件をオープンかつフラットにご提案

そのなかでも買いたい人のための事業が非常に大きく伸びています。なぜならば、今回リモートワークが奨励されたことにより家で仕事をする機会が増え、仕事部屋がないなどの要因で在宅で仕事がしづらいと(感じた方が増えたからです)。

そのようなタイミングで家を借りたり家を買ったりしたいといったニーズを我々のマーケティングメディアはしっかり捉えています。

いままでは不動産を買うときに、建売なら建売業者、新築マンションなら新築マンション業者(を利用する)といったように、分業制でした。我々は保険の窓口になぞって住まいの窓口とお伝えしているのですが、RENOSYに来ていただければすべての商材をご提案できるというところにお客さまが価値を感じていただき、成約数も伸びています。

商品特徴②

商品特徴はスライドのとおりです。基本的には首都圏がメインです。

RENOSY Living 事業の重要な指標

RENOSY Living事業が伸びる経緯はRENOSY iBuyer事業と同じです。まずは会員数を伸ばし、セールスの人員増とテックの活用でARPAを上げていきます。(ARPAを)重要なKPIとし、徹底的に管理して伸ばすようにしています。

強み

強みについてです。モダンスタンダードがグループ化したことにより、メディアとして月間PVが約250万、UUに関しても約70万と、メディアとしてかなり強固になってきたと思っています。

RENOSY Living事業 反響数推移

モダンスタンダードをM&Aしてから反響数は7倍に伸びています。2019年11月の反響数207件に対して、半年間で約1,300件と順調にメディアを強化したことにより、顧客が獲得できています。

RENOSY Living事業 セールス人員数推移

セールスの人員に関しても、2019年11月の14名から2020年5月末には約3.5倍の49名となり、順調に伸びています。セールス人員1人あたりのARPAを上げていくことを目標に取り組んでいます。

ARPA向上に向けたテクノロジー群

ARPAを上げるために、RENOSY iBuyer事業と同じようにテックツールを活用しています。

私からは以上です。

事業構成②

野口真平:それでは、イタンジ株式会社の事業内容についてご説明します。イタンジ株式会社の事業構成に関しては大きく分けて4つのセグメントがあります。

①と②の事業は収益フェーズの事業です。③と④の事業は投資フェーズの事業となっていまして、順にご説明します。

まず、①の管理会社向けのSaaSに関してはターゲットを管理会社として主要KPIをMRR月間経常収益としています。

②の仲介会社向けのSaaSは「nomad cloud」という顧客管理システム兼自動追客システムです。このサービスは管理会社ではなく仲介会社を対象としたSaaSで、主要KPIをMRRとしています。

投資フェーズの事業領域についてです。③はセルフ内見型の賃貸サイト「OHEYAGO」を展開していまして、こちらはターゲットを入居者様とし、主要KPIを掲載物件数としています。

④の付帯サービス事業に関しては、我々が展開する「申込受付くん」という電子申込サービスのトランザクション、つまり送客に比例して収益が上がっていく事業を行なっています。こちらの主要KPIは電子申込利用数となっています。

事業の特徴

これら事業の特徴として、①の管理会社向けのSaaSにおいてリアルタイムの物件データベースを構築しています。

これらのSaaSの伸長において特に重要視しているのが「申込受付くん」です。このサービスを通じて募集状況を自動的に最新化し、物件情報を増やしていくことによってほかの事業とシナジーをつくっています。

例えば②の「nomad cloud」においては、掲載し、提案する物件をリアルタイム化して、仲介会社様がご利用なさる時に自動で提案される物件が①のSaaSで構築した物件データベースです。つまり、②のサービスを使う時にコンテンツリッチなサービスとして提供することが可能になっています。

③のセルフ内見型の賃貸サイトについてです。通常のポータルサイトでは物件情報が不正確であるという大きな課題があります。しかし我々の展開している「OHEYAGO」では物件情報がリアルタイムに更新されていくため、正確な情報をもってお客様に1人でセルフ内見を実施いただくことが可能になっています。

④に関しては、こちらも付帯サービス事業を展開するにおいて、物件データが増加していくに比例して申込数が増加していきます。

管理会社向けSaaS KPI推移

それでは各KPIの推移についてご説明します。まず管理会社様向けに展開しているSaaSの進捗ですが、YoY比較でMRRが39パーセント伸長しています。

また、社数に関しては162パーセントの純増となっていて、4月時点で456社となっています。

仲介会社向けSaaS KPI推移

仲介会社向けSaaSのKPI推移に関しては、YoY比較で21パーセント成長と堅調に推移しています。

こちらは社数とMRRの推移が連動していますが、先ほどの管理会社向けのSaaSは無償展開していますので、成長性に関してはMRRよりも社数のほうが大きな増加となっています。

OHEYAGO KPI推移

「OHEYAGO」のKPI推移に関しては、現時点では掲載物件数を最重要の指標としています。サービスを開始したのが2019年10月であるため、比較対象として11月時点を計測しています。

その時点から207パーセントの成長となっていまして、4月時点では3,842件の物件が掲載されている状況です。

申込受付くんKPI推移

「申込受付くん」のKPIの推移に関しては大きく伸長していまして、四半期比較で50パーセントの成長となっています。とくに賃貸の繁忙期である1月、2月、3月に関しては2万件を超え、2月のピークには27,000件近くの電子申込みが発生していました。

ただし、こちらはコロナの影響によって、とくに緊急事態宣言が発令されたタイミングで賃貸の流動性が低くなり、4月時点では3月と比較して半数以下の電子申込数となっています。

不動産賃貸業務をワンストップ&オンライン化

今後のイタンジのサービスの展開、戦略において大事にしていることは「ワンストップ」と「オンライン化」です。

これまで展開していたサービスに、新たに「更新退去くん」というサービスを加えます。賃貸の申込以降、契約以降も電子化して更新を行なえるサービスとなっています。

以上をもって、イタンジのサービスは物件の検索から内見、申込、契約、更新をワンストップでオンライン化、業務効率化ができるようになります。我々が目指すところは、賃貸業界のMicrosoftのような、ワンストップでシステムを提供するところになります。

これまでの賃貸のシステムはそれぞれの領域でサービスがバラバラに点在されているような状況でしたが、我々のシステムを使うことによって、管理会社様や仲介会社様がワンストップで業務効率化、オンライン化を実現できるようになります。

不動産賃貸業務をワンストップ&オンライン化

本日発表させていただいた「ITANDI BB」という業者間サイトは管理会社様向けに展開している物件、サービスを通じて集まった物件データベースを仲介業者様に対して公開する業者間サイトです。

仲介業者がリアルタイムで閲覧できるサイトで、業者間サイトが伸びていくと物件数が増え、仲介会社様の登録が増えていきます。そして仲介会社様の登録、閲覧が増えていくと、管理会社が物件を掲載するメリットが増していきます。

このネットワーク効果を通じてSaaSの成長がより発展していくことを狙っています。イタンジ事業の説明は以上です。

GAが考える不動産業界の3つの課題

樋口:我々のM&A戦略についてご説明します。2018年7月に上場し、本日発表した会社を含めて約5社のM&Aを行なっています。その戦略について今一度ご説明させてください。

我々が領域として考えているのは不動産ですが、不動産業界には大きく3つの問題があると考えています。情報の非対称性、テクノロジー化の遅れ、欧米に比べて低い中古不動産流通量が大きな問題だと考えています。

我々はそこを事業として行ない、足りない部分に関してはいろいろな会社様とアライアンス並びにグループ化することによって、大きなマーケットを一緒に変えていきます。我々が新規事業でこの課題を解決していきます。

不動産会社というのは冒頭にお伝えしたとおり12万社もあり、マーケットは40兆円のビッグマーケットです。我々1社だけではなく、さまざまな強みをもった会社と一緒に取り組むことによって、より早くこの業界のDXを推進し、顧客の利便性を追求していきたいという方針があります。

そして、基本的には我々と関連性のない領域は行ないません。なぜならM&A、PMI含めて簡単ではないためです。だからこそ、我々が関連する領域で(事業を)行なうということを我々の方針として掲げています。

業界全体のDXのために

その中で、まずどういうものを目指しているかについてです。

先ほど野口が「不動産業界のMicrosoftを目指している」といい、私は「不動産業界のAmazonだ」といいました。「2人の仲が良くないんじゃないか」と勘違いされるかもしれませんが、それぞれ目指すべきところがあり、それぞれ目指すべきところに対して進んでいますので、決して社内でVisionが一致していないということではありません。

その中で、まず我々が不動産業界のAmazonを目指しているということがどういうことかというと、自社で集客、仕入れ、販売、アフターフォローを行ない、Amazonと同じようにワンストップで実業を行なうということです。そして、自社で培ったものを他の不動産業界に提供していきます。

イタンジはBtoBからスタートし、不動産管理会社様ならびに不動産仲介会社様にシステムを提供しており、そこからBtoCに進出するという戦略です。

逆にGA technologiesは自社でBtoCを行ない、そこでPDCAを回し、使いやすいプロダクトを不動産の売買仲介ならびに投資の売買を行なう不動産会社に提供していきます。

2つ目に、Amazonは自社のECのためにAWSを使っていました。それを横展開したのと同じようなことを我々も行なっています。

そして3つ目は、Amazon(がサードパーティにサイトの開放をしたことと)と同じように自社の「RENOSY」というプロダクトを他社に開放することにより、他社の顧客獲得にも貢献していきます。我々は大きくこの3つの戦略で運営しています。

M&A戦略①

そのなかで、我々がM&Aでより具体的に検討することが5つあります。提携不動産会社の獲得、サービスカバレッジの拡充、優良顧客(反響)獲得、「RENOSY」というメディアの強化、既存事業強化の5つです。

以上の5つに対して検証し、事業をよりグロースするために意思決定を行なっています。

M&A戦略②

その結果、それぞれの項目に対してどのようなシナジーがあるかを考え、事業を強化しています。

「神居秒算」の事業取得

そして、中華圏最大級の日本不動産販売プラットフォーム「神居秒算」の事業を取得させていただきました。詳しくはまた後ほどご説明しますので、簡単に事業モデルをご説明します。

中華圏最大級の日本不動産販売プラットフォーム

「神居秒算」に関しては、不動産会社様に物件を掲載していただいています。そして、中華圏の反響を獲得し日本の不動産会社に送客します。つまり、中華圏の不動産サイト、ポータルサイト、プラットフォームを運営している会社です。

神居秒算事業のビジネスモデル

ビジネスモデルとしては、まず不動産会社様に物件を掲載していただき収入をいただく、Stock収入があります。

そして2つ目、Flow収入についてです。不動産会社にお問い合わせする前に、そもそも日本の不動産事情はどうなのかということを聞きたいお客さまに関しては、NeoX社が一旦お預かりし、そこから送客します。それにより、成約フィーを得ます。これがFlowビジネスになっています。

以上の2つが大きなマネタイズポイントになってきます。そのなかで、我々は自社でRENOSY iBuyer事業をワンストップで提供していますが、今後は他社の不動産会社にシステムを提供していきます。

システムだけではなく、プラットフォームや集客システムを提供していくことにより、自社だけではなく不動産全体をDXした方が、この大きなマーケットにおいて社会的な意味があり、より大きなイノベーションが起こると思っています。そのため、今回は事業取得しました。

神居秒算事業の強み

特徴的なのは、ARアプリを活用し、中華圏にいながらも日本の不動産の物件価値がアプリ上でわかってしまう点です。そのため、このコロナ禍の4月に関しては、若干の影響は受けましたが、5月に関してはそれも回復傾向にあります。

理由は、我々と同じく、テクノロジーを活用することにより素早く対応できているからだと思っています。

神居秒算事業の顧客属性

そして、顧客の59パーセントが資産5000万円以上だという特徴もあります。RENOSY会員以上に資産を持っている顧客が非常に多いため、客層の拡充にもつながると思っています。

我々のM&A戦略は、自分たちがわかる領域のみを行なうというものです。なぜなら、M&Aはそこまで簡単なことではないからです。自分たちがわかる領域であるからこそPMIがうまくいくということもありますし、既存事業の強化にも繋がります。

新規事業開拓とともに既存事業の強化にもつながるようなメリットがないとM&Aを検討しませんし、現段階で(取得済みの)5社についてもそのような条件で選定してきました。

“不動産取引をワンクリックで”

最後になりますが、我々はグループ全体で顧客体験をいかに良くするかを(追求しています)。我々に関してよく言われているのが「実業として不動産を売っている」ということです。確かに不動産は販売していますが、我々は不動産購入の「体験」を売っています。

どういうことかといいますと、今までアナログで非常に非効率だった不動産購入を効率化することにより、我々はフィーをいただいているということです。

今後も、不動産業界の非効率な部分をDXにより効率化し、業界全体の効率化とイノベーションに貢献することを目指しています。

このようなコロナ禍ではありますが、我々は創業より効率化に取り組んでおり、結果としてこの機会がグループ全体にとってチャンスだと捉えています。今後、第3四半期、第4四半期、来期においても投資を継続したいと考えています。

長くなりましたが、我々の説明は以上です。ありがとうございました。