2020年3月期決算説明会

岸本誠氏:みなさま、こんにちは。社長の岸本でございます。本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点および株主・投資家のみなさまの健康面の配慮の観点から、会場をおさえた形式ではなく、オンデマンド、ライブ配信形式で決算説明会を開催させていただくことになりました。ご多忙の中、ご覧いただきまして、ありがとうございます。

それではさっそくですが、株式会社インフォネット2020年3月期通期の決算説明会を進めさせていただきます。

本日のコンテンツですが、まず2020年3月期の通期の決算概況についてご説明します。その前に、当社の決算説明を初めてご覧になる方々もいらっしゃるかと思いまして、簡単に当社のビジネスモデルおよび強みについて、説明させていただきたいと思います。

ONE STOP SERVICE

当社は、Webサイトの制作を代表とするWebインテグレーションの市場において必要とされるソリューションを、自社スタッフによる専属体制にて提供し、さらに構築後の運用・保守サポートまでさせていただくワンストップサービスを最大の特徴としています。

その際に、自社商品であるホームページの管理システム「infoCMS」、あるいは顧客管理システム「infoCRM」、そしてAIチャットボット「Q&Ai」といったものを同時にご導入いただくことで、お客さまの求めるWebマーケティングの成果を上げるお手伝いをしています。

当社の収益構造

よって当社の収益構造は、Webサイト、あるいはシステム開発に係る受託開発、納品、検証時に発生するフロー収益および各種サービスの利用料からなるストック収益の2層構造になっています。とくにサブスクリプションモデルが安定的な収益基盤につながっています。

こちらを踏まえ、2020年3月期通期の決算概況についてお話を進めさせていただきたいと思います。

CMS事業/AI関連事業

まずは概況です。CMS事業に関しては、第4四半期の売上高が7億4,969万4,000円になりました。AI関連事業においては、新規案件の積み上げにより月額の利用収益が前期を1,331万3,000円上回る大幅増加になりました。

月額利用収益/受託開発受注高

これらを踏まえた全体の月額利用収益は、前期を12.4パーセント上回る3億6,790万円を達成し、先ほどのAI関連事業とあわせて、CMS事業も、ともに昨対比増収になりました。

受託開発の受注高においては、前期を9.9パーセント上回る5億876万2,000円の達成となり、第4四半期単体では前期比217.7パーセントの大幅増になります。

売上高実績(前期比)

通期の売上高実績についてご説明します。売上高はグラフにお示ししているように、濃い青色の月額部分は増収を達成しています。

一方で、受託開発部分に関しての売上減が主な要因となり、前期比で7,821万5,000円の減少、約9.3パーセントのマイナスです。

受託開発売上(納品)件数実績(前期比)

受託開発の売上の納品件数の実績については、前期に対して約110件の減少になりました。こちらは、受注案件の規模が大型化の傾向にあります。また、それに伴い、開発のリードタイムが長期化していることに加え、新型コロナウイルスの影響により、我々のお客さまの期末の企業活動のペースダウンが大きく影響したものと捉えています。

受託開発受注高実績(前期比)

通期の受託開発の受注高の実績は、前期に対して4,576万3,000円の増加を図っています。あわせて、3月末時点の受注残に関しては、前期比に対して133パーセントで、受注高はこれに伴い、期をまたぐ受注残を大きくスライドさせたかたちでの着地となりました。

月額利用収益実績累計(前期比)

月額に係る決算の概況ですが、月額の利用収益の実績の累計に関しては、前期に対して4,052万8,000円の増加で、成長率12.4パーセントと堅調に成長しています。

月額契約社数推移(前期比)

月額の契約社数の推移に関しては、前期に対して月額契約社数の純増が5社で、平均単価は7,000円の増加となりました。

当社と契約している社数の推移で、純増5社ではありますが、先ほどの月額利用収益の増加実績にてお示ししているように、この成長の要因は既存顧客へのアップセルの成功だと考えています。

売上総利益実績(前期比)

一方で、売上総利益実績としては、前期に対して8,391万6,000円の減少で、前期比マイナス18.9パーセントとなります。こちらは売上高の減少に加え、納期が集中したことによる外注費の増大が主な要因と捉えています。

営業利益実績(前期比)

営業利益の実績に関しては、前期に対して1億5,386万8,000円の減少となりました。売上総利益の減少に加え、販管部門の人員の増加、採用関連費用の増加、そして業容拡大を見据えた先行投資と、IPO関連の支払報酬等の管理費用が増加したことが主な要因と捉えています。

BS増減比較

この後は、BSとPLに関するサマリーをご紹介します。こちらはBSの増減比較の表になりますが、とくにIPOで昨年に公募増資を行なったため、純資産が3億4,500万8,000円増えています。

PL増減比較

PLの増減比較に関してです。繰り返しにはなりますが、大型案件の受注増と、それに伴う期越えスライドを主因とした売上高の減少と、あわせて受注の遅れによる繁忙期の制作人員確保のための外注費の増加が、利益減少の主因として考えています。

CMS関連事業

2020年3月期に当社が行った事業トピックスを、ダイジェストにてご案内します。まず、昨年5月から順を追ってご紹介させていただきますが、「infoCMS10」というかたちで、新バージョンをリリースしました。またそれに伴い、東京ビッグサイトで開催された展示会「Web&デジタルマーケティングEXPO」に大々的に出展し、顧客を獲得しています。

AI関連事業①

AI関連事業のトピックスです。当社の事業がIT導入補助金の支援事業者に認定いただき、それに伴い「AIソリューション営業部」という、AI関係のプロダクトを主に販売する専門営業部隊を新設しています。

また、佐賀県の産業スマート化センターのサポーティングカンパニーとしても登録させていただき、産官連携というかたちで、AIやIoTといった先進技術の導入、活用の支援カンパニーとして活動していくことになりました。

AI関連事業②

AI関連事業において、音声テキストの解析AIプラットフォーム「Repotti」を、当社の新商品としてリリースさせていただきました。この「Repotti」は、ユーザーが音声あるいはテキストで入力したさまざまなデータをAIが解析し、それを取り込む管理システムに適したかたちに自動で変換をかけて登録するという、プロセスオートメーションソリューションになっています。

こちらをもとに、Chatwork株式会社との販売代理店契約の締結、および当社「Repotti」とChatwork社の「Chatwork」のシステム連携を開始しました。

AI関連事業③

また、サイボウズ社のオフィシャルアライアンスパートナーへ加入させていただき、「Repotti」とサイボウズ社の「kintone」のシステム連携も、ほぼ同時期に開始しています。

ここまでは、適時、これまで自社ホームページ等でリリースさせていただいた事業活動のおさらいとなります。

シャノン社との業務提携契約を締結

ここからは、2020年3月期第4四半期のトピックスについてご紹介します。まずは、マーケティングの統合データ管理・活用を実現するクラウドアプリケーションを展開している株式会社シャノンと、弊社の「infoCMS」を、双方の製品の販売に関するパートナー契約というかたちで業務提携契約を締結させていただきました。

この目論見についてです。これからインサイドセールスも含めて、BtoBマーケティングにMAのシステムツールを導入する企業が増えるだろうという予測と、あわせて適切にお客さまやユーザーからの引き合いや問い合わせといわれる、いわゆるリードを獲得するために、Webサイト自体のデザイン、あるいはコンテンツを管理していく当社の「infoCMS」の双方のシナジーを明確に持ち、よりお客さまのニーズに対応することが可能になったと考えております。

サイボウズ・Chatwork・インフォネット 三社共同セミナー開催

「Repotti」に関してです。労働人口の減少や働き方改革が進んでいる中、RPAソリューションを皮切りとしたさまざまな業務の効率化を求める企業のマーケットに関して、当社とChatwork社の「Chatwork」、サイボウズ社の「kintone」をシステム的に連携した上で、3社による共同セミナーの第1回を開催させていただきました。

こちらに関しては、定期的にさまざまなお客さまに対して共同セミナーを行ないながら、今後拡販に努めていく計画です。

売上高予算(2021年3月期)

これらを踏まえ、2021年3月期の事業活動の計画についてご説明します。まず、すでにリリースしている売上高の予算の達成根拠についてご紹介します。

「青色」「水色」「緑色」の3色に分かれており、それぞれが「月額利用料」、すでに契約済みの「受注残」、そして当期の「新規受託予定」案件による売上の積み上げというかたちで、大きく3色で分けています。

月額利用料に関してです。当社のお客さまは3月の納品ということも多く、この4月から積み上がった数字でおおむね1年間、ずっと横ばい、微増の状態で毎月利用料をいただくというのが従来のケースが、こちらに示すとおり、4億5,501万円という数字に関しては、ある程度堅い数字と見込んでいます。

受注残として示している2億1,754万円は、先ほどの概況でお伝えしたとおりです。案件の大型化による期越えスライドの納品予定契約案件となっており、すでにお客さまとは契約済みで開発は進んでいるため、今期に納品して売上として計上することが可能だと目論んでいる数字です。

残りの2億9,697万円が、当期に受注して納品売上としていくべき新規の予算になりますが、これまでの当社の実績を考えると、達成難易度としては実現性の高い数字だと考えています。

予算達成のための主な取り組み

それを踏まえ、さらなる予算達成のための主な取り組みについてです。一部、繰り返しにはなりますが、Chatwork社、サイボウズ社、およびシャノン社をはじめとする各社との協業により、当社のサービスおよびソリューションの販売、そしてサポートというところを相互に強化していきます。

全国に視野を向けた営業拠点展開

全国へ視野を向けた拠点展開を図り、当社における空白地域まで営業範囲を拡大していきたいと考えています。また、M&Aや業務提携等によるソリューション拡大と技術力の確保に取り組んでいきます。

アニマルメディカ社とRepottiによる医療現場の業務効率化実証実験の開始

2021年3月期で、本日に至るまでの取り組みのリリースとしてご紹介させていただきます。まず、アニマルメディカ社と当社の「Repotti」による、医療現場の業務効率化の実証実験を開始しました。

アニマルメディカ社は、主に動物に係るER機能を持ちあわせた病院施設、医療施設です。多忙なERという医療現場における診療情報を、その場でタイムリーに音声等で登録でき、それに伴いPC等でのデータ入力業務を削減することで、獣医師および看護スタッフの業務負担の軽減を実現したいと考えて進めています。

これを踏まえ、より最適な医療提供体制の実現と、医療の現場における働き方改革の実現に寄与できればということで進めている事業になります。

当社グループにスプレッドシステムズ社が加入(子会社化)

当社のグループにスプレッドシステムズ社が加入しました。こちらは、非常に高い技術力とプロジェクトマネジメント力を有する技術者集団です。これまでの事業活動の中で、Webのキャンペーンサイト、あるいはアプリケーション開発、そして当社がこれまで持ちあわせていなかったSESによる開発体制等を持ち、非常に期待の高いメンバーに加入いただきました。

これらの安定的な収益が見込める事業がサービスラインナップに加わることで、経営計画の達成のための強固な収益基盤の構築に努めていきたいと考えています。ここまで、前期のお話と当期のお話をさせていただきました。

成長戦略①

ここから、当社が目指しているさらに中長期的なビジョンや方向性についても、ご説明します。当社は「infoCMS」という主力製品をもとに、これまではブランドとしてWebの制作会社という毛色を持っていましたが、WebやCMSのメーカーにとどまらず、Webマーケティングの支援カンパニーとしての地位を確立していきたいと考えています。

成長戦略②

ソリューションマップにおける成長戦略で具体的にお示しします。新型コロナウイルス対策において、今、非常に多くの企業が在宅、リモートワークを実践されているかと思います。そのような背景も含め、今後はWebからのリード獲得であったり、あるいは物を売ったりという領域が、BtoB企業にも非常に急速に拡大してくるであろうと考えています。

スライドの表の左側には、とくにWebマーケティングにおいて必要とされるお客さまの課題を並べています。そして、当社が持ちあわせる各種ソリューションをスライドに示した上で、どのような課題に対して、どのようなソリューションを提供して、どのような成果を導くことができるのかを示しています。

水色の部分が、当社がこれまで持ちあわせていて強みとしていた「infoCMS10」「Q&Ai」「infoCRM」です。ひと目ご覧になっていただければわかるとおり、当社の主力商品のみでは、お客さまのWebマーケティングを強力に支援するカンパニーとは言えないと自覚していました。

これらをより強固にして、お客さまのWebマーケティングを支援するカンパニーへと成長していくために、シャノン社をはじめとした外部ベンダーとの協業、あるいはソリューション連携によって、これらの新たなサービスマップを加えることで、さまざまなお客さまのWebマーケティング課題にリーチできる体制を、昨年1年をかけて作ってきました。

強力にお客さまのWebマーケティングの支援をさせていただく、2人3脚で進めていけるような企業に成長するため、今後、さまざまな取り組みを行なっていきたいと考えています。

企業憲章

コンテンツとしては最後になります。昨年、みなさまのおかげをもちまして、マザーズ市場に上場させていただきました。あらためて、当社が大事にしていること、そして進めていきたいポリシーに関してもご説明します。

これからも行なっていくさまざまな事業活動、あるいはCSR活動、IR活動、PR活動はすべて、この企業憲章にいかに則っているかを強い判断基準としています。

もちろん、「MISSION」である「何のために仕事をしていくのか」という問いに関して、お客さまの成果に寄り添って、優れたWeb、IT技術、プロダクトを提供することで、それに影響を受ける多くの人々の生活を豊かにするということを使命として、事業を推進していきます。

働き方改革

これらを踏まえ、当社が実際に行なってきたさまざまな社内の取り組みを、一部ご紹介したいと思います。昨年、政府推進の下で行なわれた「テレワークデイズ2019」に会社として参加し、ある期間、当社の全社員が一度はテレワークを試してみるという取り組みを行いました。

もちろん、この取り組みによって発見された課題をもとにそれらを解決し、準備してきたことで、今回のコロナウイルス感染防止に関して、当社の拠点を含めた全社員を、基本的には在宅勤務として、約2ヶ月半にわたって事業を行なってきましたが、非常に前向きな意見や、むしろ生産性向上につながるようなアイデアも飛び交い、現状に至っています。

インナーブランド スローガン

これから、さまざまな働き方を改革していく中で、インナーブランドスローガンとして、「All! infoNet」というロゴマークを、社内のさまざまな活動の「旗」として掲げることで、当社が最も大切にしている「チームワーク」「団結力」「一体感」を、全社員で創造していきます。

FunProject

「FunProject」という題名で、全社員参加型のさまざまな催し等を行なっています。資料に写真がありますが、ペットボトルのラベルをデザインしたり、社員の家族のお子さまが描いた絵などを自社のオフィスに飾ったりと、まさにクリエイティブな発想をいただきながら、事業を推進しています。

チームワーク・コミュニケーションの促進

また、きっかけはコロナウイルス対策になりますが、今後、さまざまな多様性、ダイバーシティを推進していき、当社においてもリモートワークが盛んになっていく中、社員全体の結束力、あるいはコミュニケーションを阻害しないような取り組みも行なっていきます。

ご説明は以上となります。前期の大きな反省等を生かして、今期の業績の達成、そして当社が掲げている将来のビジョンの達成のために、経営陣ともども尽力させていただきたいと思っています。

株主、投資家のみなさまにおかれましては、今後ともご指導、ご鞭撻のほどをお願いできますと幸いでございます。本日はご覧いただきまして、誠にありがとうございました。