2020年3月期第3四半期連結損益概要

深澤徹氏:専務取締役の深澤です。本日はお忙しいなかお集まりいただき、ありがとうございます。これより、東レ株式会社2020年3月期第3四半期決算の概要と、2020年3月期業績見通しについてご報告申し上げます。

(スライドの)当第3四半期の累計期間の係数をまとめています。当第3四半期累計期間の売上高は1兆6,814億円と、前年同期比で7.0パーセントの減収となりました。営業利益は1,045億円と7.0パーセントの減益、経常利益は1,010億円と9.4パーセントの減益、四半期純利益は662億円で18.6パーセントの減益となりました。

営業外収支

営業外収支です。当第3四半期累計期間の営業外収益は、持分法による投資利益の減少を主因に31億円減少しました。営業外費用は6億円減少いたしました。その結果、営業外収支はマイナス34億円と、前年同期比で25億円悪化いたしました。

特別損益

特別損益の状況です。当第3四半期累計期間の特別利益は47億円と、有形固定資産売却益の減少を主因に125億円悪化いたしました。特別損失は60億円となって9億円改善し、ネットの特別損益はマイナス14億円と、前年同期比で116億円悪化いたしました。

資産・負債・純資産

資産・負債・純資産の状況です。12月末の資産合計は2兆7,864億円と、受取手形および売掛金の減少を主因に、前期末比で19億円減少いたしました。負債合計は1兆5,420億円と、支払手形および買掛金の減少を主因に324億円減少いたしました。純資産合計は1兆2,444億円と、305億円増加いたしました。

自己資本は1兆1,587億円、有利子負債残高は9,767億円となり、D/Eレシオは0.84となりました。

設備投資額・減価償却費・研究開発費

設備投資額・減価償却費・研究開発費についてです。設備投資額は996億円と、前年同期比で91億円減少しました。主な設備投資案件は記載のとおりです。減価償却費は817億円と、47億円増加いたしました。研究開発費は491億円と、8億円減少いたしました。

営業利益増減要因分析

当第3四半期累計期間の連結営業利益が、前年同期に比べて79億円減益となった要因を分析したものです。

数量差は、繊維セグメントや機能化成品セグメントにおける販売量・生産量の減少を主因に、マイナス91億円となりました。価格差は、原料価格が前年同期に比べて下落したことからプラス246億円となりました。費用差他は、事業拡大に伴う製造固定費の増加などによってマイナス196億円となりました。

セグメント別売上高・営業利益

セグメント別売上高と営業利益の実績を示しました。

セグメント別業績(繊維)

第3四半期累計期間のセグメント別の状況をご報告します。

繊維セグメントの売上高は6,822億円と、前年同期比で10.4パーセントの減収、営業利益は479億円と、20.5パーセントの減益となりました。

衣料用途は、国内ではユニフォーム用途や欧米スポーツ用途等で拡販を進めましたが、全般的に荷動きは低調に推移いたしました。海外では、縫製品やテキスタイルなどの需要が低調に推移しました。

産業用途は、国内外で総じて荷動きは低調に推移しました。とくに海外では、米中貿易摩擦長期化と中国経済減速の影響を受け、欧州・中国の自動車関連用途や、中国の衛材用途などの需要が低調に推移いたしました。

セグメント別業績(機能化成品)

機能化成品セグメントです。売上高は5,891億円と、前年同期比で10.0パーセントの減収、営業利益は480億円と、7.7パーセントの減益となりました。原料価格の下落により価格差はプラスとなりましたが、中国経済減速による販売数量の減少等により減益となりました。

機能化成品のサブセグメント別売上高

それぞれの事業の状況については、次のページでご説明いたします。

樹脂事業は、国内向けはおおむね堅調でしたが、海外においては中国経済減速の影響を主因に、自動車・家電用途とも低調に推移しました。

ケミカル事業は、基礎原料の市況下落の影響を受けました。

フィルム事業は、リチウムイオン向けバッテリーセパレータフィルムが、需要の伸長を背景に出荷を拡大しましたが、ポリエステルフィルムでは、光学用途や電子部品関連において在庫調整の影響を受けました。

電子情報材料事業は、有機EL関連部材や回路材料が好調に推移いたしました。

セグメント別業績(炭素繊維複合材料)

炭素繊維複合材料セグメントです。売上高は1,802億円と、前年同期比で16.8パーセントの増収、営業利益は166億円と、98.5パーセントの増益となりました。航空機向け需要が拡大し、圧縮天然ガスタンクや風力発電翼といった環境・エネルギー関連向け一般産業用途も好調に推移したほか、スポーツ用途の需要が回復するなど、総じて堅調に推移いたしました。

また、需給バランスの改善を背景に汎用品の値上げが着実に進み、価格差はプラスとなりました。費用面では、事業拡大に伴う製造固定費や営業費の増加がありました。

炭素繊維複合材料のサブセグメント別売上高

用途別の状況については、次のページでご説明いたします。

航空宇宙用途は、航空機需要の拡大に加え、Toray Advanced Composites(旧TenCate社)の連結化の効果がありました。

スポーツ用途は、各用途で高付加価値品の採用が進みました。

一般産業用途のうち、レギュラートウは圧縮天然ガスタンク用途をはじめとする環境・エネルギー関連向けや欧州超高級自動車用途が堅調に推移し、ラージトウは風力発電翼向けの出荷が引き続き拡大いたしました。

コンポジット事業は、パソコン筐体や燃料電池車、定置型燃料電池に使用される電極基材向けが、引き続き堅調に推移いたしました。

セグメント別業績(環境・エンジニアリング)

環境・エンジニアリングセグメントは、売上高は1,768億円と、前年同期比で4.2パーセントの減収、営業利益は57億円と、28.2パーセントの減益となりました。

水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調に推移いたしました。国内子会社では、建設子会社が高収益案件の受注減少の影響を受けたほか、エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。

セグメント別業績(ライフサイエンス)

ライフサイエンスセグメントです。売上高は400億円と、前年同期比で0.5パーセントの減収、営業利益は19億円と、51.2パーセントの増益となりました。

医薬事業は、「ドルナー®」が後発医薬品販売の影響を受けました。「レミッチ®」も後発医薬品販売の影響を受けましたが、市場全体の伸びもあり、堅調な出荷となりました。

医療機器事業は、ダイアライザーが国内外で堅調な出荷となりました。また、営業費等のコスト削減にも取り組みました。

主要子会社・地域の収益状況

主要子会社・地域の収益状況を示しています。

東レインターナショナルは、繊維・樹脂・フィルム・ケミカルの販売が低調に推移いたしました。東レエンジニアリングは、エレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。東レ建設は、高収益案件の受注減少の影響を受けました。

東南アジアの子会社では、繊維事業は、一部の子会社が市況低迷や販売量の減少の影響を受け、低調に推移いたしました。機能化成品事業では、ABS樹脂が販売量の減少と価格下落の影響を受けました。

中国子会社では、繊維事業は、縫製品や医療用テキスタイルで中国国内の市況低迷の影響があったほか、前年同期に出荷が好調に推移した反動を受けました。また、産業用途でも市況低迷の影響を受けました。その他の事業では、ダイアライザーの販売が堅調に推移いたしました。

韓国子会社では、機能化成品はPETフィルムのスプレッドが改善し、リチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムや回路材料が堅調に推移しました。その他の事業では、RO膜の販売が堅調に推移しました。

セグメント別営業利益2Qvs3Q比較

第2四半期と第3四半期の営業利益を比較しています。連結営業利益は371億円から328億円と、43億円の減益となりました。その減少幅43億円をセグメント別にブレイクダウンし、要因を表の右側に示しています。

2020年3月期連結業績見通し

2020年3月期連結業績見通しについてご説明いたします。

2020年3月期業績見通しについては、第3四半期累計期間の業績動向に加え、事業環境の変化等を踏まえ、11月7日に公表した業績見通しを修正し、売上高を2兆2,500億円、営業利益を1,300億円、経常利益を1,210億円、当期純利益を720億円とします。

米中貿易摩擦による中国経済の減速や、自動車・スマートフォン関連の需要鈍化に伴う影響等が想定以上にあり、第3四半期でも一部その影響を受けました。第4四半期についても市況の低迷が続くと見ており、今回、下方修正することといたしました。

なお、1月以降の為替レートは、1ドル105円を前提としています。

セグメント別連結業績見通し

2020年3月期の連結業績見通しをセグメント別に示しました。(表の)上段に売上高、下段に営業利益、右端に前回見通しとの差異を示しました。

セグメント別営業利益見通しの前回との差異

2020年3月期通期の営業利益の前回見通しと、今回見通しとの差異をセグメント別にブレイクダウンし、その要因を表の右側に示しています。

ご説明は以上です。