ハイライト
カリン・ドラガン氏(以下、カリン):カリン・ドラガンです。本日はご参加いただきありがとうございます。CFOのビヨン・ウルゲネスと私からは、これまでの業績および主要戦略・施策の最新状況をご説明します。2024年の戦略事業計画に向け、基盤となる今年の成果をお話しいたします。
また、本日は、日本コカ・コーラ株式会社チーフマーケティングオフィサーの和佐高志も参加しています。コカ・コーラシステムとしての価値を創出するマーケティング活動での重点分野について説明いたします。
和佐の参加は、成長と市場での勝利に向けて、両社が緊密に連携しているよい事例です。今後の決算説明会にも和佐に参加してもらい、システム共同の重点分野について、アップデートをしていきます。
まず、昨日(2019年11月7日)発表した第3四半期業績のおもなポイントについて説明いたします。最初に、弊社の第3四半期までの業績です。飲料事業の販売数量は、累計では3パーセント減少していますが、第3四半期に限ると前年同期比で1パーセントの落ち込みにとどまっており、マイナス幅は縮小傾向にあります。
同様に、第3四半期の飲料事業の売上収益は、ほぼ前年同期並みに回復し、(2019年)4月に実施した、27年ぶりの納価改定による販売数量への影響が落ち着きあることを示す結果となっています。
手売市場シェアについては、第3四半期に金額シェア・数量シェア両方の成長が見られました。これは、コーヒーの販売数量が大きく伸び、また、緑茶が悪天候とアセプティック製品のタイトな供給状況のなか、成長したことによるものです。
また、重要なベンディング事業の業績についても改善の兆しが見られ、1パーセント成長しました。
結果として、飲料事業の事業利益は、(2019年)5月に発表した通期修正計画に対し、おおむね計画どおりに推移しています。
一方、ヘルスケア・スキンケア事業の厳しい状況は依然として続いており、連結事業利益に影響しています。
また、コカ・コーラシステムで世界初のアルコール飲料「檸檬堂」を、このたび全国で発売することにいたしました。私たちは、このブランドを昨年から九州限定で先行発売し、成功をおさめており、先週(2019年10月28日)から全国での発売を開始しました。
同じくアルコール、チューハイブランドの自社生産も開始しており、これもまた、コカ・コーラシステムとして初めてです。これこそ、新しいカテゴリーでの学びを得、スキルを育成するチャンスだと考えています。
次に、主要戦略と施策の進捗状況について説明します。すでに始動している営業の変革は着実な歩みを見せています。ベンディング、そして昨日発表した新たな営業部門の組織は、両方とも私たちの中期計画で発表した成長戦略の重点分野と、日本コカ・コーラとの役割分担の改善を反映しています。
最近では、10月に京都工場の2号ラインが稼働を開始し、今年に入り3つのラインが新規に稼働し始めたことになります。これらは、継続している供給制約の緩和に寄与しています。
インフラ面でも、変革とコスト削減を加速させる上で重要なマイルストンを達成しています。10月には、ERPシステム「CokeOne」を全エリアに導入するプロジェクトが完了し、ようやく基幹システムの全社統合を果たすことができました。
弊社のシェアードサービス機能をつかさどるBSOは、提携業務を、私たちがセンターオブスケールと呼ぶ、規模により効率性を追求する機能に集約しており、その業務展開を拡大しています。これは、低コストオペレーションの実現に向けたプロセス変更の重要なステップです。
最後に、9月には普通社債1,500億円を発行し、成長戦略に基づくさまざまな投資に活用できる資金を確保いたしました。
主要な戦略や施策の進捗については、のちほど説明いたします。
進捗の振り返り
では、これまでの進捗を振り返りたいと思います。大きな変化の年において、主力の飲料事業の事業利益は、おおむね計画どおりに推移しており、重点分野であるベンディング、コーヒー、大型PETの価格面に改善の兆しが見られています。
一方、ヘルスケア・スキンケア事業については、未だ厳しい状況が続き、今年に入ってからのコスト削減も、売上減を補うには不十分です。この事業を安定軌道に戻すためには、さらなる注力が必要ですが、直近にはキューサイの会社ローンのリブランディングを(2019年)10月に行うとともに、事業の核である青汁のリニューアルを行い、さらに新スキンケアブランド「スキンケールド バランシングローション」を導入しております。
私は、学び続ける文化と、力強い成長志向を持った組織を確立すべく、当社社員のケイパビリティ開発、投資の必要性について強くコミットしています。これらは、過去数年間の注力事項であった統合の達成を優先するなかで、十分注意が払われなかったことと考えています。
実際、10月に臨時取締役会を招集し、組織体制・企業文化・フィットギャップに基づくスキル分析、そしてキャリアプラン・業績に連動した報酬制度などについて、レビューをしました。これに基づいて、新しく、かつシンプルにした当社のミッション、ビジョン、バリューを承認しました。組織デザインや人財計画などのガイドとして、2024年のゴールの実現に向けた明快な道筋となっています。
つまり、2020年に中期計画の着実なスタートを切るための基盤は準備できたということです。そして、私たちは日々の活動を正しく行いながら、中長期的な事業の健全化に繋がる正しいことを行うためのバランスを保ち続けていきます。
以上が簡単な振り返りです。ワンチームとして、軌道回復に向け動いてきたスピード感に勇気づけられています。
それではここで、CFOのビヨン・ウルゲネスから、第3四半期までの業績と通期見通しの概要について説明いたします。
2019年 第3四半期業績
ビヨン・ウルゲネス氏:コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスのCFOを務めるビヨン・ウルゲネスです。ここから、第3四半期までの累計の業績と、通期見通しについてお話しさせていただきます。
7ページでは、飲料事業とヘルスケア・スキンケア事業のセグメント別内訳を含む、損益の概要がご覧いただけます。
昨年下期の供給制約による影響、および第2四半期に実施した納価改定が、大型PET製品に及ぼした初期的影響、および7月の冷夏と長雨の影響により、(前年同期比で)数量は3パーセント減少し、売上収益は2.2パーセントの低下となりました。
飲料事業の事業利益は、今年は供給能力に制約がある環境のなかで、販売数量が軟調であったにも関わらず、おおむね計画どおりに推移しています。
一方、カリンが言及したように、ヘルスケア・スキンケア事業については、新製品の投入や新たな販売チャネル開拓といった諸施策による状況の打開を図っているものの、通販事業の売上減少傾向が押し止められず、未だ厳しい状況が続いています。
第3四半期までの累計期間の営業損失は約520億円となっており、みなさまご承知と存じますが、この中には第2四半期に発表したのれんの減損619億円が含まれます。
第3四半期 事業利益の増減要因(IFRS)
8ページには、第3四半期における事業利益のおもな増減要因が示されています。まず、第3四半期の月次販売数量についてです。(スライドの)右上の表をご覧ください。同業他社と同様に、悪天候が続いた7月は苦戦を強いられる結果となり、当社は(前年比で)13パーセント減少しました。
8月、9月になりますと、昨年の供給制約や被災当初の厳しい影響の反動などもあり、(前年比で)8月は3パーセント増、9月は10パーセント増に転じています。
事業利益の増減のそれぞれの要因について見ていきたいと思います。飲料事業の限界利益の前年からの増減を示している、「数量、価格/ミックス影響等」は、累計で87億円のマイナスを計上しています。
販売数量は累計で3パーセント減となっておりますが、第3四半期においてはスーパーマーケット、ドラッグストア、量販店とベンディングの各業態でプラスに転じたこと、また、(2019年)4月の大型PET製品の納価改定による影響が落ち着いてきたこともあり、減少基調が和らいでいます。
87億円のマイナスのうち、数量とチャネルミックスの影響は、おもにベンディングの2パーセント減と、コンビニの6パーセントの数量減少により、約90億円のマイナスとなりましたが、価格/ミックス影響等が、数量とチャネルミックスの影響の一部を相殺するかたちとなり、徐々に緩和されています。
「DME(販促費)」は、第3四半期に、新製品の導入タイミングや、被災と供給制約により、前年の販促費が少なかったことの反動があり増加したものの、累計では11億円の減少となりました。通期の販売数量の動向を踏まえ、また、事業利益目標の達成に向け、引き続き年末までのDME支出の水準を判断してまいります。
「商品市況影響」については、原材料と資材のコストプレッシャーは2億円まで緩和しています。
一方、「製造」のコストは、今年、供給能力に制約があるなか、外部のパッカーへの委託が増加しました。それにより、生産量の減少を含む生産効率の悪化が影響し、前年比で28億円上昇しています。
製造は、これまでシナジー効果をもたらす領域でしたが、2019年の通期で見た場合、製造部門全体のシナジー効果は限定される見込みです。供給制約が解消される2020年の第2四半期までは、こうした状況が続くと予想されます。
「その他」は、早期退職プログラムによる5月以降の人件費減少や、退職給付制度の一本化による人件費の減少が来年まで続く見込みで、これにより物流費用の増加をほぼ相殺する結果となっております。
「ヘルスケア・スキンケア事業利益」は、先ほども申し上げたとおり、トップラインのプレッシャーで依然として厳しい状況が続いていることから、15億円のマイナスを計上しています。
第3四半期 営業活動の状況:チャネル・カテゴリー別販売数量
9~10ページでは、第3四半期までのチャネル・カテゴリー・パッケージ別の販売数量を、解説付きで表しています。
第3四半期までの販売数量は、上期に発売した新製品やリニューアル製品が振るわなかったこと、(2019年)4月の納価改定による大型PETの減少、7月の冷夏と長雨などが影響し、3パーセント減となりました。
納価改定によるスーパーマーケット、ドラッグストア、量販店チャネルの価格ミックスへの好影響は、依然として続いております。
第3四半期だけに限りますと、数量の減少は1パーセントに縮小しています。納価改定に起因する影響が落ち着いてきたことや、昨年の被災や供給制約の反動で、スーパーマーケット、ドラッグストア、量販店の販売数量が増加しました。
4四半期続いているベンディングの減少傾向は、歯止めがかかる兆しが見えてきました。第3四半期には消費者をベンディングチャネルに呼び戻すための戦略的な価格設定やパッケージ、ならびに「ジョージア ジャパン クラフトマン」や、昨年ベンディングに配荷できなかった他のアセプティック製品の配荷の拡大などの貢献により、1パーセントの成長に回復しました。
ベンディングにおけるコーヒーは、第3四半期に9パーセント増加しました。コーヒーの販売数量は累計で1パーセント、第3四半期は7パーセント伸びています。これは、アセプティック製品の供給能力が段階的に回復し、拡大できていることによるものです。
チャネル/カテゴリー/パッケージ別販売数量
スライド10には、第3四半期のチャネル・カテゴリー別の販売数量ならびにパッケージ別の販売数量を、累計および第3四半期に分けて掲載しています。
ここで1点注目していただきたいのは、ボトル缶の状況です。このパッケージの数量は、他パッケージへの需要シフトにより、第3四半期までに15パーセント減少しました。弊社では、この活用可能なボトル缶の製造キャパシティを、現状の全体的な供給状況を踏まえながら、新製品や新パッケージに活用しようとしています。
アセプティックPET製品の製造キャパシティはタイトな状況が続いていますが、既存の缶の炭酸のキャパシティを活用して、アルコール製品「檸檬堂」の製造を行っています。
こうした状況を踏まえ、消費者がリシーラブルと運びやすさを高く評価しているなかで、ボトル缶も積極的に価値提案の1つとして検討することが、理にかなっていると考えております。
手売り市場シェア・店頭小売価格の動向
11ページでは、スキャニングデータに基づく市場シェアと、店頭小売価格の動向を説明します。
第3四半期の市場シェアは、金額・数量ともに前年同期比でプラスに転じ、金額シェアが数量シェアの成長を上回りました。また、大型PETの店頭小売価格には、(2019年)4月の納価改定の影響が見られます。
第3四半期の市場シェアの伸びは、コーヒーの成長と無糖茶が牽引しました。また、新発売の「コカ・コーラ エナジー」と、完全リニューアルされた「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」が金額シェアの成長に貢献しました。
財務戦略アップデート
12ページでは、貸借対照表と今年の設備投資、減価償却費の見通しについてアップデートいたします。
(2019年)9月に、非常によい利率で発行した普通社債1,500億円は、5年の中期計画の一部である成長投資を継続するための原資として活用します。また、発行した社債の格付は、現行格付から変更ありません。
バランスシートについては、必要でない不動産や持合株式の売却などにより、着実に改善機会を見出しています。
最後に、スライドの右側には、設備投資と減価償却費の進捗状況を示しています。おおむね計画どおりに推移していますが、次の新しい製造ラインの稼働が、(2019年)12月から来年(2020年)1月になったことで、設備投資が若干来年にシフトしています。
第4四半期は、京都工場の新しいアセプティックラインの稼働、白州工場と熊本工場の2つの自動倉庫の新設、ERPシステムの全エリア導入完了などにより、設備投資が重い四半期となります。
最新の2019年の設備投資と減価償却費の見込みは、スライドの右下に掲載しています。
2019年通期業績予想 (8月7日発表)
13ページの数値は、(2019年)8月7日に発表した今年の通期業績予想です。先述のとおり、第3四半期までの飲料事業の事業利益は、おおむね修正計画どおりに推移しています。一方で、ヘルスケア・スキンケア事業については、依然として厳しい状況が続いています。
飲料事業の販売数量と売上収益は、本日お話ししてきた納価改定の影響、夏の天候不順、タイトな製造キャパシティなどの要因により、累計では当初の計画を下回っている状態にありますが、通期事業利益の見通しには変更ありません。現時点では、第4四半期の販売数量は若干のプラスを見込んでいます。
ではここで、カリンと日本コカ・コーラ株式会社チーフマーケティングオフィサーの和佐高志氏を壇上に迎え、今年残りの期間における予定についてアップデートしてもらいます。和佐からブランドやマーケティング戦略などの最新状況を説明してもらい、そのあとカリンから、2024年までの中期計画の達成を目指した基盤構築に向けて進めている主要戦略や施策についてアップデートしてもらいます。
2019年 第4四半期主要活動
和佐高志氏:日本コカ・コーラの和佐です。私からは、今年の第4四半期の主要活動について説明させていただきます。本日お話しさせていただく活動は、16べージにあるこちらの5つになります。
コーヒー・お茶のシェア拡大
まずは、コーヒーおよびお茶カテゴリーについてです。コーヒーカテゴリーでは、現在、「ジョージア ジャパン クラフトマン」のホットを展開しています。2018年の導入以来、「ジョージア ジャパン クラフトマン」は非常に好調な推移を図っており、急成長しているペットボトルコーヒーセグメントでのシェアを拡大しています。
(2019年)6月に、「ジョージア ジャパン クラフトマン 微糖」をラインナップに加えました。「ながら飲み」が広がるなかで、ブラックは苦い、ラテは甘すぎるという消費者の声をとらえ、「ジョージア ジャパン クラフトマン」のモメンタムを加速させています。全3フレーバーをホットで展開しており、テレビCMでサポートしています。
続きまして、お茶カテゴリーについてです。「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」は、発売から25年目を迎える「紅茶花伝」のフラグシップ製品で、今回史上最大のフルリニューアルになりました。
このリニューアルでは、味わい・パッケージ・コミュニケーションすべてを一新ということで、とくに製品設計にこだわり、国産牛乳を100パーセントとしているため、より一層上質なミルクのまろやかさを味わうことができます。
パッケージは、高品質なイメージはそのままに、上質なミルクをイメージさせる白を基調とした、シンプルでモダンなデザインに進化しました。
コミュニケーションでは、若手注目俳優の佐藤健太郎さんをCM起用し、ミルクに本気でこだわったミルクティーであることを伝達しています。
リニューアルの反響は大きく、オンラインで実施したPRでは、もっとも高い450万人のビューワーを獲得、コンビニエンスストアでの初週は予想を大きく跳ね上がり、やむを得ず2週目に出荷を停止する判断をいたしました。
供給を万全な体制にし、12月9日週にコンビニエンスストアでの再導入を予定しております。本件に関して、消費者・カスタマーのみなさまに大変ご迷惑おかけし、申し訳ありません。
ドラゴンブースト 導入
続いて、「リアルゴールド ドラゴンブースト」についてです。コカ・コーラシステムでは、これまでカジュアルエナジーセグメントを中心としたポートフォリオを展開してきました。
エナジーブーストセグメントへの参入が成長機会であり、今年(2019年)7月、コカ・コーラブランドから「コカ・コーラ エナジー」を発売し、同セグメントに参入。「コカ・コーラ エナジー」に続き、従来のエナジードリンクとは異なる、新しい価値提案により市場拡大を狙う「リアルゴールド ドラゴンブースト」を、10月7日に発売しました。
「リアルゴールド ドラゴンブースト」は、「内側からパワーと持続力のブースト」をコンセプトとし、定番のエナジードリンク成分に東洋素材を配合しています。東洋素材は、漢方薬局の薬日本堂の協力により、素材の選定と配合を決定し、これまでのエナジードリンクにはない処方を実現することができました。
発売後2週間のセールスは計画どおりに推移しており、コカ・コーラシステム全体のエナジーセグメントのシェア拡大に貢献しています。
アルコール市場への初参入
続きまして、2018年5月に九州限定で発売した、コカ・コーラシステム初のアルコール飲料「檸檬堂」の全国発売です。九州のお客さまからの強いご愛顧と、他地域のお客さまからも「早く飲みたい」との声を多くいただいたことから、このたび販売地域の拡大にいたりました。
先月(2019年10月)行われた全国展開記念イベントでは、多くのマスコミの注目を集め、全国6局のテレビ番組、全国紙を含む約400のメディアで紹介されました。まだ発売してから間もないですが、消費者・カスタマーからの強い引き合いに応えられるだけの十分な数量を予定どおり出荷しています。
自販機をヒーローにした包括的なキャンペーン
私から本日最後に紹介する活動が、自販機強化プログラムです。こちらは、日本のコカ・コーラシステムの主要チャネルである自販機をヒーローにした、包括的なプログラムです。
既存のユーザーのトランザクションはもちろん、新規のユーザーを獲得すべく、コミュニケーション、製品ラインナップからプロモーションまで、統一したテーマのもとで開発したプログラムになります。
コカ・コーラシステムでは、約88万台の自販機が全国にあります。今回のプログラムでは、我々の自販機ならではの存在価値を定義しました。コカ・コーラの自販機は、「ちょっとした瞬間を笑顔に変える場所」というメッセージを展開し、さまざまな世代飲用シーンを、情緒的なストーリーを通じて描きます。
また、コカ・コーラの自販機ならではの4つの価値である、キャッシュレス・手頃な製品価格の品揃え・ホット製品・早い購買スピードを、テレビCMのストーリーに合わせて印象的に伝達します。1本の製品の販売を通じて、日本中の笑顔の瞬間をサポートするのが、我々の自販機のビジネスです。
カリン:ありがとうございました。日本コカ・コーラが、わくわくするような活動計画を年末に向けて実行しようとしていることがおわかりいただけたかと思います。私自身は、とくに重要なベンディングチャネルに焦点を当てた、テレビCM、印刷媒体、市場活動を含む統合されたキャンペーンに期待しています。
日本コカ・コーラは価値創出やイノベーションに責任を持ち、コカ・コーラボトラーズジャパンは変革の実行とお客さまに価値をお届けする責任を持っています。ここで、弊社がどのように変革への道のりを進めようとしているかについて話をしたいと思います。
新たなミッション、ビジョン、バリューを制定
まずお伝えしたいのは、新しく簡略化したミッション、ビジョン、バリューについてです。先ほども申し上げましたが、私自身、学び続ける文化と、力強い成長志向を持った組織を確立すべく、社員のケイパビリティ開発、投資の必要性について、強くコミットしています。
いまご覧いただいている新しいミッション、ビジョン、バリューは、(2019年)8月に発表した中期計画に基づいています。また、組織健康度調査の結果や、私がこの数ヶ月間にわたり、タウンホールミーティングや小規模グループミーティングで多くの従業員と話した内容を反映しています。
当社の従業員は、どうすれば会社の目標達成に貢献できるかを理解しようとしてくれています。彼らは、私たちのブランド、伝統、そして地域との関係に誇りを持っています。そして、私が何度も言ってきた、これまでのやり方は選択肢にないということについても理解しています。
ここでは、学ぶ向上心を忘れないことを、私たちのビジョンとバリュー、それぞれの重要要素として明確に強調しております。ここにも、常に学び続ける文化を醸成することで、ケイパビリティ開発を行うこと、努力しましたではなく、結果に注力すること、ステークホルダーから選ばれるパートナーであることといった、私の強いコミットメントを反映しています。
昨日発表した組織変更も、この新しいミッション、ビジョン、バリューの重要な構成要素です。そして、これは変革を加速するのみならず、中期計画で掲げている2024年の目標を実現するための、私たちの能力強化に繋がると考えております。
経営改革本部を新設
では、簡単に説明します。(2019年)8月に、日本コカ・コーラとともに、成長へのコミットメント、根本的なプロセス、システム、構造的な改革に向けた計画とともに、明確な役割分担と、成果を出すことへの責任を重視することで合意をしたということをお話しいたしました。
日本コカ・コーラは、力強いイノベーションと、すばらしい消費者向けマーケティング活動により、価値創出について責任を負い、当社は効率の改善と選ばれるパートナーとなることを通じて、価値提供の実行について責任を負っています。
このコミットメントの達成に向け、荷堂真紀のリーダーシップのもと、社長直轄の経営改革本部を新たに設立しました。荷堂のチームは、迅速な意思決定、強固なプロジェクトマネジメントとガバナンス、重要な戦略施策のトラッキングを通じて、変革の進捗を確実なものとしていきます。
営業組織の変革
26ページは、昨日発表した新しい営業組織の概要です。私たちは、営業部門の組織の活動状況や企画機能を、業界やコカ・コーラシステムのベストプラクティスと比べ、改善余地を見出しました。
私は、これまでのやり方は選択肢にないと言い続けてきました。そして、これは私たちの営業部門はもとより、ほかの部門にも当てはまります。さまざまな経緯で、現状の営業部門は過去のボトラー時代の組織体系やビジネスの優先度、ベストプラクティスに基づいていたものでした。
新しい営業部門は、成長の実現に注力し、効率的かつ効果的に、4つの注力分野である、ベンディング、カスタマーとのパートナーシップ、市場活性化の活動、ポートフォリオ戦略の実行を強化していきます。これら注力エリアは、全国規模で事業を行うボトラーにとって、不可欠であると考えています。
2020年1月より、広域顧客を担当するキーアカウントマネジメント本部は、カスタマーデベロップメントに名称変更し、営業本部内に統合されます。このグループは、顧客との関係構築と営業活動をより強化し、新たに設立されるセールスエグゼキューションと緊密に連携して活動することで、私たちのビジョンでもあるお客さまに選ばれるパートナーとなり、市場で勝つことの実現に繋げていきます。
セールスプランニングも新設され、日本コカ・コーラの製品ポートフォリオ戦略を、私たちが市場で実行する強固かつ実効性のあるカスタマーチャネル戦略に展開していきます。
また、ケイパビリティデベロップメントは、コカ・コーラシステム内のベストプラクティスを見出し、導入するために、新たに設置します。この部門は、ケイパビリティ開発の立案・実行を担い、営業部門が市場で成功し、学び続ける文化を確立していきます。
ベンディング事業本部は、引き続き営業本部に属し、また、現在の営業本部長のコスティン・マンドレアが、この新しく機能が拡大された組織を率いていきます。
最後に、今年になってよい進捗も見られており、営業変革プロジェクトも東京エリアから始まっています。
ベンディング事業の変革
また、ようやくよい兆候を見せ始めているパイロットプロジェクトとして、ベンディング事業の変革があります。近畿エリアでオペレーションモデル変革のテストを行っており、売上と市場シェアは安定化の兆しが見えてきています。
まだ山あり谷ありの状況はいくぶん残っているものの、例えば100円の小容量コーヒーの成長、「ジョージア ジャパン クラフトマン」の展開拡大などによって、売上と市場シェアに改善の兆候が見られてきました。
とくに第3四半期は、コーヒーの回復と成長が顕著で、ベンディングでは9パーセントの高い伸び記録しました。和佐からも説明があった、大規模なマーケティングキャンペーンとともに、弊社にとって重要なベンディング事業の回復と安定化に向けて、引き続き取り組んでまいります。
ベンディングのオペレーションプロセスの効率化は、コスト削減の実現と持続可能なベンディング事業の確立にとって、重要なカギとなります。
スライドの右側は、ベンディングセールスパーソンの1日です。どのようにして、計画、製品ピックアップなどの倉庫での業務、訪問などの現場オペレーション、そして最後の精算業務といった業務分担の効率化と最適化を進め、究極的には自動化とデジタル化を実現しようとしているのかが確認いただけます。
近畿エリアで新しいオペレーションプロセスの暫定モデルのパイロットテストを開始しました。このパイロットは、完全自動化とデジタル化の最終モデルの完成に向けた道のりの一環であり、各部門の役割を明確に定義していきます。
また、オンライン対応自販機の展開により、リアルタイムで自販機内の製品在庫を知ることができるようになり、効率的な製品ピッキングや、次の日の自販機サービスに備えたルートトラックの事前の積載が可能になります。
単純な変更ではありません。この事業の将来に向けての抜本的な変化です。進捗を引き続きアップデートしていきたいと思います。
変革とコスト削減を牽引するインフラ整備
コスト削減の実現に向け、インフラを改善し、効率化する多大な余地があると考えております。(コカ・コーラブランドで)世界最初のアルコールブランド「檸檬堂」の自社生産を開始しました。新しいカテゴリーへの船出であり、新しいことを学ぶチャンスです。
また、私たちの埼玉工場の既存の炭酸製造キャパシティの有効活用にも役立っています。今年(2019年)新規稼働した3ラインに加え、来年(2020年)第2四半期までに追加されるアセプティック製造設備4ラインは、計画どおり進んでおります。
物流ネットワークの最適化を図るために立ち上げた「新生プロジェクト」も順調に進んでおり、年内には2つの自動倉庫が完成する見込みです。
さらに、統合以来16ヶ所の営業拠点を閉鎖してきました。弊社の事業をサポートするインフラの統合と標準化も順調です。5年前に当時のコカ・コーラ イーストジャパンでスタートした「CokeOne」ERPシステムの導入は、(2019年)10月に全ビジネスをカバーしました。
シェアードサービス部門であるBSOは、世界最大級のプロフェッショナルサービス事業を展開するジェンパクト社とのパートナーシップのもと、規模と標準化を活用し、多くの提携業務処理の委託を拡大しています。
変革促進に向けたケイパビリティ開発
(2019年)8月にお伝えしたことをご記憶かと思いますが、投資と社員のケイパビリティ強化を同等に行っていかないと成功はありません。私たちは10月に臨時取締役会を開き、新たなミッション、ビジョン、バリューに基づいた人財戦略を確認しました。
そして、弊社はいま、組織の設計と人財戦略のガイドとして、「学ぶ向上心を忘れずに」「機敏に行動する」「結果を見据え最後までやりきる」「誠実と信頼に基づき真摯に行動する」といった、目に見える行動の事例として、私たちのバリューに明確化された新しい人財戦略を推し進めています。
「コカ・コーラジャパン大学」のような、社員の能力開発と育成を進める新しいプログラムを開発し、リーダーシップ、現場の交渉力、グローバルな発想力、ガバナンスの確立をターゲットにした人財開発コースを提供していきます。
さらに、キャリアパスモデルという制度を導入し、従業員が自らキャリアの優先順位やデザインを立案できるようにサポートするガイダンスや選択肢を提供していきます。今後も新しい施策をほかの柱にも拡大し、みなさまにアップデートしてまいります。
CSVゴール ~共創価値創出に向けて~
30ページでは、私たちの中期計画のあらゆる側面には、CSV、社会との共創価値に基づくゴールが一体化されていることをリマインドしておきたいと思います。
これには、廃棄物ゼロ社会に向け、日本のコカ・コーラシステムが目指す「容器の2030年ビジョン」の意欲的な目標も含まれています。
最近、この取り組みは国連のSDGs目標の1つ、「持続可能な生産消費形態を確保する」の実現に向けた取り組み例として、国連及び農林水産省から選定・登録されました。
私たちコカ・コーラボトラーズジャパンも、この目標の達成にコミットし、進捗をタイムリーかつ透明性を持って報告してまいります。
本日のまとめ
では、今日お話しした内容を簡単に振り返りたいと思います。我々は、いまこそ動き出さなければならない曲面にあるといったことを、みなさまに話したことをご記憶かと思います。古いやり方から新しいやり方へと仕事の進め方を見直し、成長志向の変革を進め、業界におけるプレゼンスを高めなければなりません。
3月の定時株主総会から、人財や組織全体の能力強化策を集中討議した10月の臨時取締役会にいたるまで、これまで達成したさまざまなマイルストンをご確認いただけます。
大きな変化の年のなか、我々の中核である飲料事業の事業利益は着実に歩んでおり、重要なベンディングやコーヒーに改善の兆しが見られていることに勇気づけられています。
先ほど話しましたが、今年に入ってから、ヘルスケア・スキンケア事業は厳しい状況が続いています。私たちは10月にこの事業のブランディングの変更と新製品の導入を行いました。そして、長期的にこの事業を安定させていくためのオプションも検討しています。
最後に、新しいミッション、ビジョン、バリューや、営業とベンディング事業の変革、サプライチェーンの製造・供給能力の強化拡大、ビジネスのインフラ設備整備といった主要戦略と施策は、いずれも順調に進んでいます。
私は、2020年の中期計画のスタートに向け、確実な第一歩を踏み出せる土台が整っていると確信しています。来年(2020年)2月に再びみなさまにお会いできること、そしてこれから2024年に向けて、毎年みなさまに進捗状況をお伝えできることを楽しみにしています。