【連結】業績 2019年3月期
新井徹氏:新井でございます。よろしくお願いいたします。それでは早速、決算の説明に入らせていただきます。
終わりました期ですけれども、売上高が2,053億6,800万円、前年比で100.2パーセント。営業利益は202億1,700万円、前年比で102.4パーセント。経常利益は207億6,700万円、101.7パーセント。当期純利益は128億1,600万円、124.6パーセントということで、営業利益・経常利益は過去最高益を、4年連続で更新することができました。
ちなみに売上も、7年連続で増収という決算をすることができました。
【連結】セグメント情報
その内訳なんですけれども、私どもがいつもお話ししていますが、食料品製造事業、卸売、不動産・サービスとあるなかで、食料品製造事業が95.5パーセントと、大半でございます。ここを中心にお話をさせていただきます。
この売上が100.2パーセント。このセグメント利益で196億800万円でした。後ほど詳しく、この内訳についてご説明させていただきます。
そのほか、卸売が99.7パーセント。不動産サービスが、これは売上ですけれども93.8パーセント。これは、ゴルフ場の売却等が入っております。
その他ということで、それぞれ損益、数字を見ていただければわかると思いますので、後ほどこの中身についてご紹介させていただきます。
【連結】食料品製造事業 売上高・営業利益の状況
その食料品製造事業ですけれども、菓子食品と冷菓、これはアイスクリームですね。それから健康と、3つの分野で管理しておりますけれども、この菓子食品は、売上が1,220億円あまりということで、前年比で98.9パーセントでした。
海外で、インドネシアと合弁事業を行っておりましたが、これを解消したということで、主に海外の売上高のマイナスがここに影響しているということでございます。
それからアイスクリーム。これは微増でしたが、昨年夏の取っ掛かりが猛暑でして、すぐにアイスクリームが品切れしてしまい、それで休売をしたという影響が大きくて、ビジネスそのものは順調に推移しておりますけれども、そういった休売の影響で売上が100.4パーセント。
健康部門は、相変わらず好調でして、104.5パーセントの伸びであったということです。
営業利益ですが、この食料品製造のうち菓子食品は、4億8,000万円のマイナスでした。アイスクリームも8,500万円のマイナス。健康は順調に来て、9億9,600万円と、約10億円の増益になっております。
それから、国内と海外の比率ですけれども、インドネシアの影響で90.8パーセントに留まったということで、早期に10パーセントと言っていた海外売上高比率が5.9パーセントと、逆に下がってしまったという状況でございます。
【連結】営業利益増減要因
この増益の要因をグラフにしてありますけれども、主に原材料関係の影響ということでプラスに出ております。これは調達の私どもの工夫が主ですね。その要因でプラス。
それから生産性の改善や販売費のコントロールもプラスに出ておりますが、広告費や物流費、こういったものの増加でマイナスされて、トータルでは若干ですけれどもプラスで終わりました。
少しそれを、事業別に見てみたいと思います。
菓子食品部門 実績
菓子食品。先ほど申し上げましたように、98.9パーセントの前年比の売上高でした。
これは、国内の主力品は比較的好調に推移いたしました。ハイチュウ、チョコボール、ラムネといったようなものが順調に売上を伸ばしました。
一方海外でも、アメリカは114パーセントの伸びですが、インドネシアの提携解消ということでマイナス。それから、プリングルズやココア。プリングルズは一昨年のポテチショックの影響がありますけれども、プリングルズのマイナス。それから、ココアが少し軟調だったという影響で、売上はマイナスでした。
利益は、この新しいブランドをつくるということで、ウェルネス領域ですけれども、「マクロビ派」、あるいは「小麦胚芽のクラッカー」といった、健康志向の商品群を新たに上市いたしまして、これらを次の主力ブランドに育てたいということで、広告をかけております。
このブランドづくりのための広告費がかかったということ。それから、物流費の単価アップがあったという影響で、前期は約5億円の減益であったということでございます。
冷菓部門 実績
続いて、冷菓部門ですが、このアイスクリームのところは、チョコモナカジャンボ、これが順調に推移しております。
それから、先ほど申し上げましたけれども、このICEBOX、氷ですね。あまりにも酷暑で、需要に対応できずに、流通さまにご迷惑がかかるということで、休売しなければならず、売れなくなってしまった期間がございました。
これで逆に、酷暑がマイナスに働いて、売上は少しこの分がダウンしたというところでございます。
一方、利益ですけれども、これは売上増があったんですけれども、乳原料の価格の高騰、それから、チョコモナカジャンボへの積極的な広告展開、これらでマイナス要因。それから、物流費のアップの要因で、アイスクリームは利益がマイナスであったということです。
健康部門 実績
それから健康部門。順調に推移しております。
inゼリーを中心としたゼリー飲料、それからinバーと言っていますけれども、スナッキングと言いますか、食事代替、あるいはオフィス需要、そんなものを取り込んだこのinバーは、二桁成長をしております。好調に推移しております。
それから、このinブランドですけれども、あらゆるニーズに対応するような新製品を出して、それらが順調に売上を稼いで、ニーズに対応した商品が出せているということで、順調に推移しております。
それから、三島工場にラインを増設して、この増収に対応しようとしておりましたけれども、これらも奏功して安定稼働ができました。
また、積極的な広告・販促で、売上を維持していると言いますか、伸ばしているということで、このビジネス全体は順調に推移しております。
今までのご説明が、終わった期についてです。比較的順調な決算をすることができました。
2018中計の考え方(1)
せっかくの機会ですので、これからどういうことを考えているのかというポイントについて、少しご説明をさせていただきます。
私どもは「2018中計」と呼んでおりますけれども、今は昨年つくりました中計の3年計画の1年目が終わったところで、2年目です。
先ほど紹介いたしましたように、この前の中計でグッと構造改革ができたと考えておりまして、利益規模も一気に上げることができました。
この中計期間は、財務的にも少し余裕が出たものですから、既存事業を中心にさらなる飛躍に向けて、経営基盤の強化と言っておりますが、生産設備の整備や増強にお金をかけていく。あるいは、このウェルネス領域を盤石なものにするために、広告宣伝、販促をかけていくと。
タイトルとしては「経営基盤の盤石化と成長戦略の加速」としておりますけれども、こういった今までできなかった投資をして、次の成長に備える期間と置いております。
2018中計の考え方(2)
この3年間は、さらなる次の成長に向かうという期間に置いておりますが、それをもう少し細かく申し上げますと、生産効率の向上や国内拠点の再整備、それからマーケティング、営業、海外と、この4本柱でしっかりと基盤を強化して、次への成長の足がかりをしっかりとつくっていくという期にしているということです。
国内事業:主力8ブランドへの注力
それで、国内事業につきましては、この主力の8ブランド。今までは主力ブランドと言っていましたが、とくにこの8ブランドに絞りまして、この8ブランドについてさらに集中を高めていくという戦略をとっております。それぞれ順調に推移していると申し上げてよろしいかと思います。
国内事業:主力ブランドをより強く
今後のお話なので、どういうことをしていくかということなんですけれども、この強いブランドをさらに伸ばすためには、ブランドのエクステンションが必要でして、売り場、ニーズ、シーンといったものに合うような商品づくりであったり、商品形態のつくりなどで、消費者接点を増やしたり、あるいは新たなニーズに対応したりと。
これはハイチュウの例ですけれども、いろいろな商品形態やブランドのエクステンションで、さらにこれらの主力ブランドをより強くしていくという戦略をとっておりまして、比較的順調に進んでおります。
国内事業:ウェルネス商品の拡充
これは、ウェルネス領域でも同じようなことをやっておりまして、後ほどinゼリーには触れさせていただきますけれども、このウェルネス領域の構成比も、42.5パーセントから45.2パーセントへと増やすことができました。
さらに、これはブランド育成、先ほど広告費を投入したと申し上げましたけれども、「小麦胚芽のクラッカー」や「マクロビ派」といったような、新たな健康ニーズに対応した商品群のブランド力をさらに強化していって、このカテゴリーでの売上や利益を伸ばそうと計画しております。
そのなかで、終わった期で特筆すべきはこのラムネでして、今まではお子さま向けの、ラムネの瓶に模したものだったんですが、大人向けのラムネを出しました。これはブドウ糖ですかね、切り口を変えて大人向けに出しまして、グッと売上を伸ばしたと。
このようなことを、先ほどの8つのブランドでそれぞれ行っていって、売上を伸ばしていきたいと考えております。
健康部門:市場動向、売上推移
そのウェルネス領域の、一番の稼ぎ頭のinゼリーなんですが、これはABCDEFと、競合品をグラフにしておりますが、実は非常に大きな食品メーカーさんから、このinゼリーの競合品がたくさん出てきております。これを非常に脅威に感じていたわけですけれども、それなりにそれぞれシェアはとられました。
私どもinゼリーのブランドは、カテゴリーを代表するように、さまざまなニーズや売り場に合ったところで、総合的な首位の位置をキープしているわけですけれども、競合さんは、ビタミンに特化したり、売り場でスーパーマーケットに特化したり、あるいはドラッグに特化したりと。そういうランチェスターの戦略ですかね。
そういうふうに特化してやってきて、それなりに売り場は多少とられているんですが、私ども全体を脅かすほどのブランドは育ってきていないということで、トータルでカテゴリーを代表する商品というポジションは変わらずに維持しております。
そのために、広告をかけたり販促をしたりと、いろいろな努力をしているわけですけれども、お陰さまでずっと、市場の成長と私どもの成長が歩調を合わせているということです。
これらを駆逐するには至っていないんですけれども、これだけの年月でずっとシェアを維持してきておりますので、このブランドポジションは確実なもので、我々の販促次第でさらに上を狙えるという立ち位置にいられるんだと確信しております。
国内事業:inゼリー戦略
ゼリーで何をやったか、そしてこれから何やるかということなんですけれども、ラインナップもずっと増えてまいりました。
健康ニーズ、あるいは摂食シーン、あるいはターゲット、さまざまな女性をターゲットにしたり、さまざまなエクステンションしてきたわけですけれども、それらに加えて6大栄養素を入れたもの、プロテインを1万ミリグラム入れたもの等々。
あるいは、売り場によっては、流通大手さんと独自ブランドで、例えば大手のコンビニさんだけで売る商品とかということで、売り場をしっかりと確保して、さらに販促や製品、あるいは切り口を変えるということで、inゼリーのブランド強化、価値の絶対化がはかれると思っておりまして、この戦略を継続してまいります。
設備投資・工場再編(1)
それから、中計の基盤強化のところを説明した去年、設備投資に400億円ぐらいかけて基盤強化をしてまいりますと言いましたが、着々とそれらが実行のフェーズに入っておりまして、資料にはないんですが、今年度中に工場を2つ閉鎖し、新たに高崎に第3工場を竣工しました。
それから、それらのところにチョコレートやアイスクリームの設備を入れて、一層の効率化をはかるということで、足腰を強くする投資に関しては、多少の前後はありますが、計画どおり着実に進めているという状況でございます。
設備投資・工場再編(2)
次のページに、どんなことをやっているかということで、成長分野への投資としてアイスクリームや健康ゼリー飲料などへの投資、それから基盤の安定化。あるいは、お菓子、食品などは、競合メーカーも揃ってそうなんですけれども、高度成長期につくりましたラインが、ほぼ成長の限界に来て、新たな更新投資が必要になってきていますので、それらの再整備、移築等々で、この基盤強化のところにお金を適切に配置しているというところです。
この中計期間、あるいはもう1~2年かかるかもしれませんが、それで大きな基盤のつくり直しは完了できるということで、今、計画どおり着実に推進しているとご理解いただいてよろしいかと思います。
海外事業:実績累計、通期予想
続いて海外です。
先ほどからご説明しているように、インドネシアで合弁を解消しました。いろいろ理由はあったんですけれども、当初の目論見とは外れてしまいました。もう少しインドネシアの経済が活性化されて、中産階級が急激に増えてくるという読みで出たんですけれども、なかなかそこに至らずに、道半ばで解消になってしまいました。
一方、アメリカは順調に推移しておりまして、115パーセントの売上の伸びを示しております。
ということで、先ほどご説明したように、海外の売上高比率を上げると言ったのに下げてしまったんですけれども、順調に行っているところと少し苦戦しているところの色分けができておりますが、大体こういうことをやればいいんだという手応えは十二分に感じているところになってまいりました。
海外事業:米国
とくにアメリカですけれども、(スライドを指して)これは売上高の伸びです。
私はここからやらせていただいているんですが、売上は約2.5倍に伸びております。順調に伸びていると思います。
さらに、全米系のチャネルに入っておりますし、工場もつくりました。この工場稼働が最初は少しバタバタしたんですけれども、やっと安定化してまいりまして、この製販一体となった体制が整う段階に来ましたので、今期も次の期も着実に進捗して、利益を挙げることができるようになってくると考えております。
海外事業:中国
それから中国。中国は正直言ってまだまだです。それで、中国のビジネス全体がリアルの店舗からネットへと動いているので、私どももリアルの店舗からネットへと広げておりますが、規模はまだまだのところです。
ただ、これも大きな赤字に陥ることはなく、ほぼ良いところに着地できそうで、その範囲で投資をしながら、これから中国はさらに伸ばしていけると。
若干気がかりなところがあって、ネット販売に対して、日本からの輸入が少し制限されているようなところがあって、苦戦するんですけれども、そのほかのところで手応えを感じておりますので、これから中国ビジネスは諦めることなく伸ばしていけると考えております。
海外事業:アジア、他の開拓エリア
それから東南アジアです。これも少しインドネシアで苦戦しました。
一方で、タイのセブン-イレブンでのハイチュウの取り扱いが安定的に維持できておりますので、タイに現地法人を設立いたしました。ここから東南アジア、あるいはオセアニアへということで、販路を広げてまいります。
おかげさまで、やはりこのハイチュウ中心にやってるんですけれども、オセアニア、ニュージーランド、アメリカ、あるいは今始めておりますUKといったようなところは、広告もしていないんですが、ハイチュウが非常に順調な伸びを見せております。
イギリスはまだテスト販売ですけれども、ここも確実に手応えを感じて伸ばしていけると感じているところでございます。
海外事業:HI-CHEWはグローバルブランドへ
ハイチュウは、いよいよグローバルブランドに育てようということで、いろいろな戦略をとりまして、この4年間でハイチュウ全体の海外売上高は倍増してきて、国内の3分の1ぐらいを占めるポジションになりました。やっとグローバルブランドになってきて、認知も高まっておりますので、このハイチュウを軸に、海外ビジネスをさらに進捗させようと考えております。
【連結】2020年3月期 業績予想
それらのことで、今期はどちらかと言うと基盤強化のために、あるいはその成長のための投資に重きを置いているわけですが、この2020年3月期の売上予想を2,070億円、100.8パーセント。
それから営業利益は210億円、経常利益が214億円ということで、それぞれ営業利益率10.1パーセント、海外売上比率5.7パーセントという予算を立てて、推進しているところでございます。
【連結】2020年3月期 通期 営業利益増減要因
利益の増減要因です。商品規格の見直し、プロダクトミックスや、あるいは一部アイスクリームの値上げ等々がありますけれども、原材料は少しマイナスに働くと読んでおります。ですが、それらを商品規格の見直しや一部の値上げ等々で打ち返して、この目標数値210億円の利益を目論んでいるところでございます。
利益成長と資本配分
私どもの今の経営数字ですけれども、営業CFは安定的に、これまでと比べると高い水準で稼ぎ出すことができました。ROEも順調に推移しておりまして、10パーセント以上という目標ですけれども、13パーセントを稼ぎ出しております。
この3月に83億円の自社株取得をいたしましたが、基本的には株主さまには配当で還元しようと思っております。
ROEも順調に推移しているということで、私どもはあまり負債がありませんので、ROEとほとんど連動している指標になりますけれども、ROICも順調に改善してきているというところでございます。
株主還元
というところで、この3月期は16円の増配で、66円の配当をおはかりしようというところです。
配当性向が30パーセント目標と言っておりますけれども、26.7パーセントです。30パーセントに向かってなんとか数字を伸ばして、早期に30パーセントが達成できるような体質にしていきたいと考えております。
以上、終わった期の決算報告と、それから今後どのようなことをしていきたいのかというご説明をさせていただきました。