Ⅰ.事業の概要 会社概要

栗田宣文氏:メディキットの栗田でございます。本日はお忙しいなか、多数のみなさまにご出席をたまわりまして、誠にありがとうございます。

それでは第36期(2019年3月期)の決算説明を始めさせていただきます。

本日は事業の概要、2019年3月期の実績、ならびに2020年3月期の計画につきまして、説明させていただく予定でございます。

会社概要につきましては、スライドのとおりでございます。連結子会社は、開発製造を担当する東郷メディキットとMedikit Vietnamの2社がございまして、主力工場として宮崎県日向市に日向工場と日向第二工場がございます。

一方、当社は販売を担当しております。国内につきましては、北海道から宮崎まで国内16ヶ所の営業所がございます。海外につきましては、海外事業部が世界各国のパートナーと協力いたしまして、営業活動を行っております。

現在は国内と海外を合わせまして、百数十名の営業社員が活動しております。従業員数は、連結で968名でございます。

Ⅰ.事業の概要 主な事業内容

弊社のおもな事業内容としては、3つの事業がございます。

1つ目は、人工透析を行う際に血液の出入り口となる人工透析用留置針(を手がける事業)、2つ目が、抹消静脈にて輸血や輸液時に使用される静脈用留置針(を手がける事業)、そして3つ目が、血管病変部までの道を作るシースイントロデューサーや、血管造影カテーテルといったアンギオ関連製品(を手がける事業)でございます。

Ⅰ.事業の概要 人工透析類

まず人工透析類でございますが、2017年12月末現在の国内における患者さまの数は33万4,000人で、増加傾向が続いております。人工透析を行う時には、スライドの絵のように人工透析用留置針、血液回路、透析器(ダイアライザー)の3点が必要でございます。

当社は人工透析用留置針を製造、販売しており、国内ではトップシェアを占めている認識でおります。

保険償還材料の対象となる商品は透析器(ダイアライザー)のみでございますが、償還価格が改定されますと留置針も影響を受けてまいりますので、患者さまの増加傾向はあるものの、マーケット規模は横ばいの状態が続くものと推定しております。

Ⅰ.事業の概要 静脈留置針類

次に、静脈留置針類でございますが、長時間の輸液や輸血の際に使用するものです。国内の年間使用量はおよそ1億3,800万本と推計され、安全針のマーケット規模が年々拡大しております。

静脈留置針には、標準型と、針刺し事故防止機構が付きました安全針の2種類がございます。アメリカにおきましては「針刺し事故防止法」が制定されており、安全針の使用が義務化しております。

ヨーロッパやEUにおきましても、地域差はございますが、安全針の義務化が始まっております。近年では、アジアの地域でもこの安全針化の流れが進んでおります。日本におきましても、安全針の比率はますます高まるものと考えております。

現在、安全針では当社が国内トップシェアにあるものとの認識です。また、静脈留置針全体におきましても、国内トップシェアを占めているものとの認識でおります。また、前のスライドでご説明しました人工透析用留置針にも同様に、安全針化の流れが進んでおります。

Ⅰ.事業の概要 アンギオ類

最後に、アンギオ類についてでございます。(アンギオとは)血管の中に細いカテーテルといわれる管を挿入しまして、心臓や頭部、腹部などの診断、あるいは治療をするものでございます。

当社は、カテーテル挿入の際に用いるカテーテルイントロデューサーをはじめとして、診断から治療領域におよぶ製品を供給させていただいております。

血管内治療は、従来の外科的手術に比べて患者さまの負担が少ない治療方法として用いられるケースが多くなってきております。また、治療の技術も年々進歩しており、従来よりもさらに細い製品を使用して、患者さまの負担を軽減する手技も増えてきております。今後は、治療領域を中心として市場が拡大するものと考えております。

Ⅱ.2019年3月期 連結損益計算書

次に、2019年3月期の実績について説明させていただきます。まずは連結損益計算書についてです。

連結売上高は185億100万円で前年比がプラス6.1パーセント、計画比がプラス0.6パーセントでございました。また、売上原価は108億円で前年比でプラス7.7パーセント、計画比はマイナス1.5パーセントでございました。

以上により、売上総利益は77億100万円で前年比はプラス3.9パーセント、計画比はプラス3.6パーセントでございました。販売管理費は38億3,200万円で前年比がプラス1.4パーセント、計画比はマイナス1.9パーセントでございました。

その結果、営業利益は38億6,900万円となり、前年比でプラス6.4パーセント、計画比でプラス9.7パーセントでございました。また、経常利益は39億5,900万円で前年比がプラス7.2パーセント、計画比がプラス10.6パーセントとなり、当期純利益は25億7,600万円で前年比はプラス4.5パーセント、計画比はプラス10.4パーセントとなりました。

Ⅱ.2019年3月期 業績の推移

(スライドのグラフは)先ほど損益計算書にてご説明いたしました数字をグラフ化して、2015年からの推移を表したものでございます。

Ⅱ.2019年3月期 連結貸借対照表

連結貸借対照表はスライドのとおりでございます。

流動資産合計が345億3,800万円、固定資産合計が117億4,200万円、資産合計が462億8,000万円でございます。負債及び純資産合計につきましては、負債合計が62億3,100万円、純資産合計が400億4,800万円で、合計が462億8,000万円でございます。

Ⅱ.2019年3月期 キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フロー計算書ですが、営業活動の結果として得られた資金は、37億9,600万円でございます。おもな内訳は、税金等調整前当期純利益の38億9,200万円と、法人税等の支払額12億1,200万円等でございます。

投資活動の結果使用した資金は、18億1,600万円でございます。おもな内訳は、有形固定資産の取得による支出17億500万円でございます。

財務活動の結果使用した資金は、6億3,600万円でございます。おもな内訳は、配当金の支払額でございます。

その結果、現金及び現金同等物の期末残高は、155億4,500万円となりまして、前年同期比で13億2,300万円増加いたしました。

Ⅱ.2019年3月期 品目別売上構成

品目別の売上でございますが、人工透析類の売上は前年比でプラス5.3パーセントの66億9,600万円でございました。静脈留置針類は、前年比でプラス5.3パーセントの51億6,800万円でございました。アンギオ類は前年比でプラス7.7パーセントの66億1,300万円でございました。

Ⅱ.2019年3月期 品目別売上推移

このスライドは品目別売上推移のグラフで、ご覧のとおりでございます。

Ⅱ.2019年3月期 海外売上の推移

海外売上高につきましては、前年比でプラス6.5パーセント、計画比でマイナス2.3パーセントの18億9,100万円となりました。

Ⅲ.2020年3月期計画①

次に、2020年3月期の計画について、まず全社共通の課題と方針からご説明申し上げます。

国内につきましては、メーカー間の競争激化により、販売価格の低下が続いております。こうした環境下で、販売会社におきましては国内にて高付加価値製品による差別化を図るとともに、新規事業の取り組みを行う一方、海外でのニーズ発掘に努め、売上高増加に取り組んでまいります。

とくに海外に関しては、昨年度末に欧州現地法人Medikit Europeを設立いたしました。これにより、今後は欧州の顧客との関係強化に努め、売上増加に繋げてまいります。また製造会社におきましては、原価低減や生産効率アップに引き続き取り組んでまいります。

人工透析類につきましては、国内では安全針の需要が増加しており、販売単価の高い安全針のさらなる拡販努力によりまして、マーケットの拡大を図ってまいります。海外におきましては、欧州等で安全針化が進んでおり、こうした市場での販売を強化して、売上高増加を目指してまいります。

静脈留置針類につきましては、当社の2つの安全機能である「止血弁」と「針刺し事故防止機構」が広くマーケットで受け入れられたものと考えており、引き続き国内におけるマーケットシェアの拡大に努めてまいります。

海外につきましては、北米、欧州、アジアといった主要地域で弊社製品へのニーズが高まってきているため、こうした地域でのさらなる新規顧客の獲得に努めてまいります。

アンギオ類につきましては、国内では高付加価値製品の販売をさらに強化し、売上の向上を図ってまいります。海外においては、既存顧客への安定供給を図るとともに、引き続き新規顧客開拓に努めてまいります。また新規事業におきましては、医師および医療従事者のみなさまのトレーニングが進んできておりまして、今年度は石灰化病変治療デバイス「Diamondback 360」の販売を本格化させてまいります。

Ⅲ.2020年3月期計画 連結損益計算書

2020年3月期の連結損益計算書は、スライドの表のとおりでございます。

連結売上高は195億3,600万円とし、前年比でプラス5.6パーセントを計画しております。売上原価は114億3,000万円を見込んでおります。以上により、売上総利益は81億500万円で、前年比でプラス5.3パーセントを計画いたしております。

販売管理費は40億1,200万円として、前年比でプラス4.7パーセントを計画いたしております。その結果、営業利益は前年比でプラス5.8パーセントの40億9,300万円を計画しております。

また、経常利益につきましては、前年比でプラス4.8パーセントの41億5,100万円を見込んでおります。なお、当期純利益は前年比でプラス5.8パーセントの27億2,500万円の計画でございます。

Ⅲ.2020年3月期計画②

こちらが、先ほどの損益計算書を使ってご説明した計画をグラフ化したものでございます。

Ⅲ.2020年3月期計画 売上構成

品目別の売上につきまして、ご説明申し上げます。人工透析類は、前年比でプラス4.1パーセントの69億7,100万円の計画でございます。静脈留置針類は、前年比でプラス4.2パーセントの53億8,400万円の計画でございます。アンギオ類は、前年比でプラス8.5パーセントの71億7,800万円の計画でございます。

Ⅲ.2020年3月期計画 品目別売上推移

こちらが、品目別の売上計画を表にしたものでございます。

Ⅲ.2020年3月期計画 海外売上の推移

海外売上につきましては、前年比でプラス10.6パーセントの20億9,100万円の売上高を計画いたしております。

Ⅳ.その他

それでは最後に、2019年2月に開示いたしました欧州拠点設立について説明させていただきます。

グローバル展開は、弊社にとっての大きな課題の1つでありますが、2019年2月にドイツ連邦共和国ヘッセン州フランクフルト市に現地法人を設立いたしました。このMedikit Europeのおもな設立の目的は、次に申し上げるとおりでございます。

まず、現地でのきめ細かいサービスや顧客とのコミュニケーションを行い、関係の強化を図っていきます。そしてメディキットのブランドを欧州地域において確立し、浸透させます。さらには、より効率的な製品のデリバリー体制を構築し、運営していきます。

これらを通じて、さらなる売上拡大を図るということです。加えて、情報の収集と発信を通じ、メディキットのグローバルな事業展開の一翼を担っていくといった目的で(現地法人を)設立させていただきました。

欧州市場を見ますと、欧州各国政府は日本と同様に、医療費を圧縮する方向に進みつつあります。

そうしたなかで、欧州の医療業界では新規製品を導入していくこと、また製品分野においては安全性の確保への積極的な取り組みが行われ、また求められております。

弊社のコアビジネスである人工透析用留置針の市場においては、フランス、ベネルクス三国、北欧といった地域で、弊社が普及させようとしているカテーテルがついた人工透析用留置針へのニーズが高まってきております。また、そのビジネスチャンスも拡大しているものと考えております。

例を挙げますと、フランスにおきましては、このカテーテルがついた人工透析用留置針の市場規模が10年前に比べて倍以上となっております。

当社の製品分野におけるフランスでの市場シェアは、現在4割ほどを占めるにいたっておりますが、今後はさらにMedikit Europeの活動を通じて拡大することが見込まれております。

欧州全体の人工透析の患者さまは、東欧地域も含めますと約30万人強と理解しております。市場規模は、日本とほぼ同様と考えられますが、この市場へのカテーテル付きの人工透析用留置を普及するために、さらなる活発なマーケティング活動とパートナーを通じたさらなる販売網の確立が、Medikit Europe……私どもは略してMKEと呼んでおりますが、MKEの当面の主たる業務、ミッションになってくるかと考えております。

一方、静脈留置針の分野におきましては、すでに欧州において市場が成熟しており、競争がやや厳しい市場でございます。

ただし、私どもとしては、この市場が厳しいからといって安易な安値販売はせず、我々の製品のよさを訴えて、製品の魅力、あるいは他社製品との相違点も、正確にユーザーのみなさまに伝えていきます。

それによって、例えばこの分野においてはニッチといえるかもしれませんが、ユーザーさまに支持される製品としての地位をこれからも築いてまいりたいと考えています。

最後に、アンギオ分野についてですが、先ほどの2つの製品分野とはマーケティングのアプローチが若干異なってまいります。

また、売上の規模におきましても、いまはまだ欧州においては限定的ではありますが、今までのパートナーである現地代理店に頼るのみならず、私どももMedikit Europeの活動を通じて病院や医療従事者のみなさまに尽くすアプローチをさせていただきます。これによって、当社のアンギオ分野の製品の拡大を図ってまいりたいと考えています。

弊社メディキットはこの欧州拠点設立にとどまらず、今後ともさらなるグローバル展開を図ってまいりたいと思っております。

以上、ご清聴いただきまして、誠にありがとうございます。