平成31年3月期 連結決算サマリー

遠山榮一氏(以下、遠山):遠山でございます。早速、日本ドライケミカル3月期の決算説明会ということで、みなさまのお時間をいただいて、お話をさせていただきます。

まず最初に、平成31年3月期の売上高が363億円。30年3月期に比して、36億円の売上増となりました。営業利益は17億円、経常利益は17億3,900万円です。

防災に携わっている企業で、ほかにどういう企業があるかと言うと、能美防災さん、ホーチキさん、消防自動車のモリタホールディングスさんなどがあります。この業界の中での363億円の数字についてですが、能美さんはこの3月期に1,000億円を超えていますが……能美さん、ホーチキさん、その次はモリタホールディングスさんということで、モリタホールディングスさんは消防自動車が主のため、我々とは少し違います。

防災業界の上場企業のなかでは、消防機器メーカー、あるいは施工会社という観点からだと、我々は今、第3位にいる。こんなイメージを持っており、この平成31年3月期の363億円という数字は1つの通過点であると思っております。

当然、これからさらに伸ばしていかなければいけない。そして伸びる力を、日本ドライケミカルは持っている。こう自負しております。

営業種目別 売上構成比

売上363億円の内訳がどのようなかたちかと言うと、前期からあまり変わっていません。半分が防災設備事業ということで、大きな商業ビル・プラント工場の消火設備、あるいは自火報設備などの防災機器システムになります。

そして、メンテナンス事業が(構成比)20.8パーセントですが、ここでは消火設備・自火報設備のシステムのメンテナンスを担当しています。非常に重要なところで、いざという時にしっかり消火設備・自火報設備が機能するように、年2回の法定点検のほか常に自主点検が必要ですが、そのあたりを担っているセグメントでございます。

商品事業は84億7,000万円、(構成比)23.4パーセントですが、こちらは消火器・火災報知機、それから防災用品、防災キットなど、いろんな防災に関わる商品を取り扱っております。

みなさん、日頃はよく消火器をご覧になられてはいないと思いますが、日本ドライケミカルの消火器は、容器がアルミ容器で、非常に軽くて扱いやすいです。我々は、この業界で最初に(アルミ容器の消火器を)開発した会社です。

そして、我々の売上高の中では小さいセグメントなのですが、日本ドライケミカルとしても非常に重要だと思っているセグメントが、消防自動車です。消防自動車はどこでも走っていますが、この消防自動車を扱っている一番大きな会社は、モリタホールディングスさんです。歴史的に、日本の市場のかなりのところを占めていらっしゃいます。

他社さんにない、お客さまの考えに沿った消防自動車の作り込みというのは、本当に必要です。モリタホールディングスさんは標準タイプの消防自動車をラインで作っており、その分競争力も強いのですが、その土地、環境に合った消防自動車・消防車輌がお客さまには必要でございまして、そうしたものを我々は作り続けます。とくに今、原子力発電所向けの放水車輌を我々は担っております。

連結業績推移

こちらが、上場して以来の売上高の数字でございます。上場以来、平成24年からの数字ですが、右肩上がりでずっとここまできたというイメージを持っていただければと思います。

これから5年、10年で、日本ドライケミカルがどういうかたちで売上を伸ばしていくことができるかということで、我々の経営の大きな責任があるところですが、今、自分の感覚で申し上げますと、土台が構築され、またお客さまの信頼もしっかりと得て、次なる展開に向かっていこうというところです。

営業種目別業績推移 防災設備

営業種目別の事業別の売上推移でございます。防災設備、建築・建物、商業ビル、プラント、船にも対応しています。それからトンネルの防災も手がけています。

このセグメントの売上高の推移ですが、実は防災設備の場合、建築では新築の波がございます。我々もその波を被るわけで、けっこうな変動があります。平成31年3月期は、東京オリンピック・パラリンピックの大きな建築需要があり、また大型のリニューアルがありまして、その意味で我々も波に乗ることができています。

では、そのあとはどうなのかというところでは、また大阪万博もありますし、とくにプラント関係で、日本のプラントの消火設備は実は非常に老朽化しておりますので、そういったところの大型改修、あるいは取り替え需要もこれから出てくることを期待しています。

営業種目別業績推移 メンテナンス

メンテナンスですが、平成24年3月期以降、着実に数字を伸ばしてきております。消防設備の点検は年2回と消防法で決められており、必ずやらなければいけないですし、点検する資格を持っている人がやらなければいけないということで、我々はそうしたところでのソフト、点検工事を展開しております。

言ってみれば、機器を提供し、設計して据え付け、そのあとのフォローアップをやっているということです。

営業種目別業績推移 商品

消火器を主とした商品の事業部ですが、こちらも平成24年3月期から31年3月期まで、ずっと着実に売上数字も伸びてきています。いつもこういうところでみなさんにご説明するのですが、みなさんが普段見かける消火器は赤い消火器だと思いますが、他社さんの消火器は、容器が鉄です。

それがけっこう重いため、我々は業界で初めて、(スライド右下のような)アルミニウムの容器で作った消火器を取り入れました。

なぜアルミがいいのかと言うと、ひとつは軽いからです。鉄の消火器と比較して容器だけの重さで言うと、30パーセントほど軽いです。そういう消火器を我々は持っているということでして、軽いということは、取り扱いやすいということです。

また、アルミの良さは錆びにくいことです。鉄の消火器は、みなさんもお分かりのように錆びてしまい、そこが不利なところです。消火器は外に出しっぱなしの時もありますから、アルミの持っている素材の力を引き出したということです。

(スライド左下の事業内容のところで)パッケージ型自動消火設備というのがわかりにくいかもしれませんが、自火報と消火設備を組み合わせたもので、そういう機器を開発しまして、事業展開しております。

10年ほど前になりますが、群馬県の「たまゆら」という施設で火災があり、多くの方が亡くなられました。あの時に何が問題だったかについてですが、「たまゆら」は大きな病院ではないけれども、ベッド付きの有床診療所、あるいはシニアのための施設です。そういうところは、当時の消防法ではスプリンクラーの設備を付けなくてよかったわけです。

スプリンクラー設備は、(今日の会場などは)こうしてきちんと付いていますが、大きな商業ビルは義務設置で、必ずスプリンクラー設備をつけることになっています。しかし、小さな病院や有床診療所のようなところには、当時はスプリンクラーの設置が義務づけられていませんでした。

あの時に、スプリンクラーがきちんと作動していたら、あの痛ましい事故は起こらなかったかもしれなかったという反省のもと、総務省消防庁さんもいろいろ検討されて、今では「有床診療所にも、簡易型の消火設備を」という法律ができました。

日本ドライケミカルは、それに対応できるパッケージ型の自動消火設備を開発しました。例えば、ここ(の会場が)が1つの有床診療所だとします。このすでにある建物に、新たに簡易スプリンクラー型の消火設備を入れることができます。

普通の大きな商業ビルの場合は、建物の建築と同時に工事に入って、スプリンクラーの配管を行うわけです。ものすごく大変な工事になるわけですが、こうした我々の簡易なパッケージ型なら、既存の建物にも自動消火設備として入れることができるということです。

このパッケージ型の自動消火設備は、これから国が推進していく民泊において消火設備はどうするのかということに対しても、我々のパッケージ型の自動消火設備は機能します。

パッケージ型の自動消火設備は、もっと小規模なところにも設置できます。一番のポイントは、既存の建物にそういう設備をリーズナブルなコストで、短期間の工期で据え付けることができるというところで、大きな安心・安全の前進につながるのではないかと考えて、がんばって営業展開しております。

営業種目別業績推移 車輌

次が、消防自動車です。ここは、本当にいい時と悪い時があります。こうして見ていただいても、売上の数字は平成31年3月期が21億円ですが、多いときは34億円で、以前はもう少しよかった時もありました。

このセグメントは、日本ドライケミカルにとっては大きく占めているものではないのですが、このセグメントは絶対に日本ドライケミカルとしても大切だと思っていまして、我々にしかない消防自動車ということで、(高いレベルまで)ぜひ持っていきたいと思っています。

(スライド右下の)化学消防ポンプ自動車は、日本ドライケミカルが得意としているところで、あるいは原子力発電所向けの特殊車輌も我々は得意としています。

消防自動車をどういうふうに作るかというと、(スライド右下にある)この車の車種をトラックメーカーさんから買い、(スライド右下の赤い消防車の上の部分を)全部組み立てていきます。

そのようにして消防自動車を作っているのですが、(スライドの左下に)書いてありますように、(商流は)電力会社さん……これは原発が多いですが、化学会社には化学消防自動車ということで、いろんなかたちのユニークな消防自動車を入れたいと思っております。

普通の消防自動車は、(スライド右下の右側の消防自動車を指して)左側面と右側面の両方を展開でき、ホースをつけるところがこちら側と向こう側にあります。しかし、日本ドライケミカルが作ろうとしている消防自動車は、操作部分を背面、車輌の後ろにつけるというものです。

連結貸借対照表の概要

バランスシート、総資産ですが、平成31年3月末で280億円です。過去10年で、いろんな設備投資もしてきており、また有価証券の取得などもあり、膨らんできております。

キャッシュ的には今、日本ドライケミカルは非常に良好で、(会社が)大きくなっていく中で、借入金そのものはさほど膨らんでいません。

自己資本比率も徐々に伸びてきており、現在が45パーセントぐらいです。他社の防災メーカーさんと比較すると、歴史が違うため、他社さんのほうが自己資金比率はさらに高いですが、我々も着実にその厚みを増しており、財務的な安定性をさらに強めています。

現在のバランスシート上は、安定的なものになっているとは思っていますが、さらなる健全性を追求していきたいと思っております。

連結キャッシュ・フロー計算書の概要

キャッシュ・フローですが、平成30年3月期、平成31年3月期で、キャッシュ・フローはしっかりとプラスになっております。とくに営業展開では、平成31年3月期は非常に回収が進み、営業活動のキャッシュ・フローは大きなプラスになっています。

投資活動は当然のことながら、いろんなかたちで株式の取得等々を行っています。後から説明しますが、子会社取得のための投資活動も随分進んでいます。財務活動は、主には借入金の返済で、着実に現金残高も積み上がってきております。

受注残高推移

次に受注残高です。今日の段階では、平成30年3月期までの数字しかお見せできないのですが、ご覧のとおり、平成25年3月からの受注残高は、とくに防災設備事業はずっと伸びております。大型の商業ビルやプラント工事案件などの受注残高が伸びており、平成30年3月期は前年に比して大きく伸びました。

この大きく伸びたことが、今年の3月期の売上に大きく貢献しているわけですが、この受注の状況について、全体の経済環境の中で、大型の商業ビル案件はまだまだ出てきます。

もちろん、東京オリンピック・パラリンピックによる建設需要は当然あるわけですが、それを超えた年度でも、いろんな商業ビルの開発案件が目白押しになっています。よく新聞記事にも出てきますが、今一番大変なのは協力業者さんの獲得が大変です。日本ドライケミカルでは、日本全国の協力会社と連携しておりますが、協力業者と人材の確保が、これからの一番の課題です。

そういう意味では、今はしっかり(実行)できており、囲い込みをして、しっかり自分たちのキャンプに入れておけば、より大きな工事、より困難な工事にも果敢に取り組んでいくことができます。そういうかたちで、この受注の数字は、ある意味で将来の先行指標になるわけです。現状はかなりのところまできており、さらに伸ばしていければと思っています。

連結業績予想

令和2年3月期、今年度の数字の予算を申し上げると、売上370億円、営業利益17億1,000万円、経常利益17億5000万円を目標においています。

NDCが活躍する様々なフィールド

次に、成長戦略ですが、日本ドライケミカルが何を目指しているかです。これはいつもお見せするのですが、我々の周りにあるすべての建物や動くものなど、すべての社会活動の中で消防施設はなくてはならないものです。基本的に、社会のインフラの根幹の1つを成すもので、そこに必ず消火設備なり自火報設備が入っているということです。

当社の経営課題と経営施策

日本ドライケミカルがこれから何を強化し、注力しようとしているかと言うと、1つがアライアンスの強化で、もう1つが研究開発体制の強化です。日本ドライケミカル単独では難しいけれども、信頼できるパートナーと取り組みます。

それから、日本ドライケミカル独自で、しっかり研究開発体制を充実させます。今、技術部隊の社員が50人を超えていますが、さらに増やそうと思います。千葉工場と福島工場の2つがあり、そこで消火、それから煙・熱を感知して報知するという自動火災報知設備の研究開発(を行っています)。

こういう言葉を使って適切かどうかわからないですが「今日の常識が、明日の非常識になる。今日の非常識が、明日は常識になる」ということで、そのコンセプトを消防の業界にも入れていきたいです。そういう意気込みで、次世代……次世代と言っても10年先ではなく、来年や2年先で展開できる新たな製品開発を行っています。

こうして(アライアンスの強化で)一緒に取り組み、また自分たちも(研究開発体制の強化を)やることで、自分たちにしかない防災製品、防災システムができるのです。そして、それが製品および(サービスの)差別化になる。我々の独自の防災製品・防災システムで社会の安心・安全の厚みが増すことになる、より安心・安全につながっていくという理念を持っています。

日本のみなさんは、地震や災害の影響で防災意識が高まっていると思います。ただし、違う側面がありまして、「火事にならない」「燃えない」という(火災に対する考え方の)面では、日本は意識が低いです。

私はよく海外のみなさんとお話しするのですが、彼らはすごく真剣に考えます。火災になったときの被害、財産の喪失を、いかに未然に防ぐか。そこに(日本と海外での)大きな違いを感じています。

日本では、消火・防災のコンセプトは法律で決まっている。そこが1つのポイントで、法律があるから、法律を守って、法律に準拠して、法律どおりの建物にしておけばいいという考え方になりがちです。ここが、日本の防災の弱点なのかもしれないで、メーカーもそこに落ち着きがちなのです。つまり「いろんな制度をクリアすれば、それでいい」と考えるのです。

それでは、その先にいきません。防災というのは、本当はもっと奥が深くて、もっと幅が広いもので、もっとできることがあるのです。日本ドライケミカルはそれに取り組み、新たな防災システムを作って、開発して、社会に、市町村に、より次元の高い安心・安全を提供することができればと思っています。

アライアンスの強化

アライアンスのお話になりますが、我々の第一の株主であるALSOKさんは、(当社の株式の)15パーセントを持っていただいています。

セキュリティと防災は、実は隣り合わせであり、ALSOKさんは防災のプロではない。我々は、当然セキュリティはできない。でもお客さま、ユーザー、コミュニティは1つですよね? そこに、セキュリティと防災をパッケージで提供できれば、お客さまにとってもベターだということで、ALSOKさんとはいろんなかたちで話が進んでいます。

そして、ここ(海外製品)では、実はFireDos、Xtralis(Honeywell)、TYCO(JCI)Ansulといった海外メーカーとも事業提携しています。海外は、やはりいいものがありますが、それが日本に入ってきていないだけです。日本のバリアがあるから、そこを通り抜けるのはものすごく大変ですが、そこを乗り越えれば非常にいいものが手に入ります。日本ドライケミカルは、その部分で鋭意動いています。

広伸プラント工業のグループ会社化①

北海道にある広伸プラント工業さんを、100パーセント子会社化しました。広伸プラントさんは、防災はぜんぜん行っていません。では、なぜ私どもが興味を示したのかと言うと、プラント用の大きな厚い板を溶接したり、加工する高度な技術をお持ちです。

広伸プラント工業のグループ会社化②

我々は、プラントの防災・消火用……おそらく一番日本でできる会社ですから、防災も行い、さらに広伸プラントさんと一緒にボイラーやタンクといったプラントの工事も請け負えば、より広いかたちでプラントオーナーに、我々の製品・システムをご提供することが可能になってくるということです。なお、広伸プラントさんは北海道にありますが、全国展開で動いています。

これからさらに、いろんな部材の共通化も進んでいますので、さらにコスト競争力をつけ、エンジニアリング力もつけ、プラント全体の安心・安全の底上げということで進んでいきたいと思っています。

研究開発体制の強化

次が研究開発体制の強化です。先ほど申し上げたように、我々は研究開発にはお金を惜しまないということで、スライドが千葉工場の新しく建てた実験棟です。それから福島工場の研究棟ですが、すごく大きくで、高さが22メートル、幅が15メートル、奥行きが70メートルです。

(スライド左下の写真は)火を燃やしていますよね? その天井が上下10メートル可動するのですが、それぞれの高さで消火実験を行います。また、(スライド右下の写真)中が大きな空洞になっていて、こういった放水の実験、放水銃の実験を行います。

なぜこういう大きな空間が必要かと言うと、(写真のように)放水したときに、外だと風で正確な消火能力、流量の到達、流量の量が測れないため、室内で行わなくてはいけません。そのための大きな設備投資をしまして、今、こちらもしっかり進んでおります。

自火報ビジネスの強化

自火報のビジネスについてです。もともと日本ドライケミカルは、事業としては消火器からスタートして、消火設備に入っていき、数年前に自火報の会社の沖電気防災を子会社化しました。この自火報設備は、日本ドライケミカルとしてはまだまだ弱いセグメントです。ここをしっかり強化します。

自火報ビジネスで大きな会社は、能美防災さんとホーチキさんです。能美さんは、火報も消火も取り組んでいますが、ホーチキさんは火報が主です。市場規模、あるいは案件数としては、自火報のほうが圧倒的に多いです。なぜなら、消火設備は比較的大きな建物、施設に付けられるということで、ある一定以上の建物には消火設備を付けなさいということになっているからです。

自火報はと言うと、もっと小さな建物でも、必ず自火報設備を付けなければいけません。その意味で、自火報設備は件数としては圧倒的に消火設備より多く、その分、市場規模も大きいです。

スライドに書いてありますように、消装市場が2,000棟だとすると、その20倍以上の案件があるわけです。したがって、我々はここにもっと食い込んでいくということで、自火報ビジネスを強化して攻めていこうと考えています。

差別化製品というところで、今日の常識が明日の非常識になり、今日の非常識が明日の常識になるような自火報システムの開発を急いでいるところです。

消火器ビジネスの強化

消火器ビジネス強化は、着々と進んでいます。我々としては、消防車輌はもう少し先かなと思っていますが、自火報、消火装置、消火器という3本体制をしっかり築いていきたいと思っています。

韓国にあるNDC Koreaですが、これはアルミ製消火器の容器の製造会社です。その生産ラインの抜本的な見直しを行い、また部材の調達コストも全部見直しをしています。それによって、消火器のコスト競争力をさらに高めようと考えております。

我々の一番の強みは、消火器の容器がアルミだということです。軽いほうがいいですので、全部アルミです。まだまだアルミ容器の消火器は鉄と比較して少ないですが、これからそれを、全部アルミにしようと考えています。

プレミアム消火器の販売推進

スライドに「Premium」と書いてあります。こうしたアルミの容器で、実物を見ると非常にきれいなものです。今展開しているのは、ハイグレードな消火薬剤「リン酸アンモニウム」(を大量に含有したものです)。普通の消火器は、リン酸アンモニウムが40パーセントしか入っていませんが、日本ドライケミカルはリン酸アンモニウムを90パーセント含む消火器を出しています。

プレミアム消火器の消火能力

どれだけ消火能力が違うかということで、せっかくの機会ですからビデオをご覧いただきます。

普通は(リン酸アンモニウムの含有率が)40パーセントで、これが市場に出ているものです。「NDCプレミア90」は(含有率が)90パーセント以上で、それが我々の作ったものです。

どれだけ違いがあるかについてですが、(スライドの)「B-7」は、ヘプタンを燃やす面積の大きさの基準、つまり消火検定基準です。1.4平米のオイルパンを燃やして消せなければいけないわけです。

10型の消火器は「B-7」を消せなければいけないのですが、(当然10型の消火器は)消せます。しかし、10型の消火器では「B-14」の2.8平米のオイルパンは消せません。でも、10型の消火器は「B-7」を消せればいいので、「B-14」は消せなくていいのです。

しかし(リン酸アンモニウムを)90パーセント入れると、「B-14」でも消せるのです。2倍の大きさの火を消すことができるという消火器です。より消火能力の高いものが出れば、当たり前ですが世の中のためになる。そういうことを、勇気を持って実行する会社が必要で、その勇気を持った会社が日本ドライケミカルだということです。

(動画が流れる)

この燃焼面積の大きさはB-14ですが、つまり同じ大きさの消火模型で、10型消火器だと消せないのですが、「NDCプレミア90」だと消せるんです。(10型消火器では)「B-14」は消せなかったですよね。そういう比較ビデオでした。

もう1つ、「NDCプレミア90」であればすぐに消えますよね。今の消火器は(リン酸アンモニウムが)40パーセントしか入っていないため、消火模型を消す時もかなり一生懸命ふりかけないと消せない場合もあります。

消火器というのは、初期消火にとって一番大切なものですから、簡単に、より効果的に消せる消火器をぜひ世の中に出していきたいと思っております。

株式分割の実施

株式分割を行い、株式総数を2倍にしました。株主の優待制度は引き続き実施しています。

株式の状況(平成31年3月31日現在)

現在の大株主さんの状況です。ALSOKさんが15.53パーセントです。また、3番目にありますが、日本ドライケミカル取引先持株会を作っており、我々の取引先、販売店、協力業者さんに株を持ってもらっています。それから、従業員の持株会も持っており、これも着実に増えています。

以上で、平成31年度3月期の日本ドライケミカルの決算説明会ということでお話をさせていただきました。

質疑応答:売上成長のボトルネックになっている要因について

質問者1:お話をありがとうございました。2点、お願いします。

まず1点目が、売上成長の障壁、ボトルネックはどういったものでしょうか? 先ほどおっしゃっていただいたように、需要のほうはかなり堅調であるというところで、協力会社さんがなかなか見つからないという部分が障壁なのか、ほかにも問題点があれば、教えていただけないでしょうか?

もう1点が、消防車のところです。総務省から、ある一定の時期に消防車需要がけっこう集中してしまうことがあり、期をまたいで調達してもよいというところでお話があったかと思います。これについて、地方自治体さんの反応はいかがでしょうか?

遠山:ありがとうございます。ご指摘のように、ボトルネックは、協力業者さん(の不足です)。実は、ゼネコンさんの工期がどんどん早くなっています。だから、かなり短期間で工事をしなければいけない。

ただ、日本ドライケミカルでは力のある協力業者をしっかり持っていますから、そこを持っていれば必ず勝ち組になりますし、施工に入れる現場のプロフェッショナルを相当抱えています。そして、実績もあるわけです。

そういう意味で、これから日本ドライケミカルは、協力業者の部分がボトルネックになるとは思っておらず、逆に我々は強い協力業者を持っているため、それを十分に発揮できれば勝てるだろうと思っています。

そして、消防自動車についてです。消防自動車は、各市町村が全部単年度予算で、予算の執行が2〜3月です。だから、そこまでに納車しなければいけません。市町村は翌年度に予算を持ち越せないため、どうしても消防自動車は2月納車がものすごく増えます。

これが消防車輌の問題で、国も各市町村も、複数年度の予算化ができないのかを検討しています。ただ、なかなかそこが進んでいないのが現状です。

逆に言うと、予算の前倒しということで、早く予算を組んで我々に入札情報を提供してもらえれば、早く動けます。消防自動車は、6ヶ月で全部作って年度内に納めなければいけないため、残業、残業となり、働き方改革の問題になってしまうわけです。

国の制度というのは、こうした1つの問題を抱えているのですが、(すぐの解決は)なかなか難しいかもしれないです。

質疑応答:ALSOKとの取り組みの現状について

質問者2:今期の予想について教えていただきたいのですが、今期は1.9パーセントぐらいの増加率ということで、受注残もそうですし、強力な施工業者も抱えているということを踏まえると、もう少し売上が伸びてもいいのかなと思います。他の事業で落ち込みがあるのか、そのあたりの売上の考え方について教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

遠山:ありがとうございます。今、自分が思っているのは、おそらく落ち込みはないでしょうということで、この(今回発表した)数字は達成できると思っています。

私は、来年や今年がどうかということではなく、むしろもっと先のことを考えていきたい。やはり、この日本ドライケミカルという会社がもっと大きくなるための土台の基礎を着実に固めていきたいと思っています。まだまだその基礎固めの途中で、その意味では、自分はこの……今年は370億円と言いましたが、日本ドライケミカルにとってみれば、1つの通過点です。これはさらに伸びていくでしょう。

ゆくゆくは、自分の夢でもありますが、日本の防災企業の中のNo.1になる。こういうことでいけば、もしかしたら株価ももっと良くなるだろうと思っています。

質問者2:ALSOKさんの足元の展開をもう少し具体的に教えていただきたいのが1点と、業績予想のところに戻ってしまうのですが、今期の上期・下期のバランスについて、これは単に季節的な要因が大きなファクターになっているという理解でよいでしょうか? その2点を確認させてください。よろしくお願いします。

遠山:ALSOKさんとは今、非常にうまく進めています。ALSOKさんも、会社の中で主要なところを少しずつ変えられているようで、プラントのセキュリティや大きな工場のセキュリティ・警備、あるいは空港の整備に注力ということで、こうしたところに力点を置かれているようです。

繰り返し申し上げますが、我々はプラントについては消火と防災のセグメントが非常に強いです。そこで、ALSOKさんとお話ししているのは、お客様に対して、セキュリティと防災を一緒に、ワンストップのソリューションというかたちで提供しようということで、ALSOKさんにも防災の勉強をしてもらっています。ALSOKさんは常駐警備していますから、常駐している方に防災を勉強してもらえれば、いろんなエンドユーザーさんに提案ができる、あるいは指摘ができると考えています。

これが可能になってくるということで、まさにWin-Winです。ALSOKさんも、プラント工場の警備ビジネスを増やして強化していきたい。そこに日本ドライケミカルの能力を使って防災も取り込んで、お客様に付加価値を提供していくといったかたちです。これは今、非常に具体的に動いているところの1つかもしれません。

そして、上期・下期の売上についてです。先ほどお話しした車輌の事情と同じなのですが、日本の会社は3月決算が多いということで、上期はどうしても数字が低くなり、下期のほうが圧倒的に増えます。

一番顕著だったのは、平成30年3月期の決算で、上期はかなり苦戦したのですが、下期で全部挽回しています。どうしても、その傾向はあります。