2019年5月期第2四半期決算説明会

仁科善生氏(以下、仁科):ただいまご紹介にあずかりました、管理本部長の仁科でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、決算の結果のご説明ということでございますが、まず、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。

アンケートがありまして、それから決算説明会資料をご用意させていただいております。ほかに、開示資料ということで、新業態「鮨YASUKE」大手町プレイス店12月13日グランドオープンのお知らせ。それから、第2四半期業績予想との差異に関するお知らせ決算短信

それと併せて、前回(の決算説明会の際)もお配りさせていただいたのですが、平日限定の割引クーポンを配布させていただいております。こちらは、先ほどご案内いたしました「鮨YASUKE」でも使えるクーポンになっておりますので、ぜひお立ち寄りをお願いしたいと思います。

資料の中の説明会資料に基づきましてご説明をさせていただきますので、お手元にご用意をお願いいたします。

企業価値向上・資本政策への施策

業績ハイライトをご説明をするにあたりまして、昨年(2018年)に業績へ関わるもの、あるいは直接は関わらないかもしれませんが、投資家のみなさまにぜひご確認いただきたいものがございます。企業価値向上・資本政策への施策として、いくつか実施したものを確認させていただきたいと存じます。

昨年の9月、譲渡制限付株式報酬制度を導入いたしました。対象者は、取締役3名・執行役員3名・幹部社員5名の計11名でございます。この趣旨は、株主の利害と、それから当社を運営する幹部社員・役員との利害を中長期的に一致させることで、会社の成長を図っていきたいということでございます。

11月には、株式分割をさせていただきました。11月15日末日時点の株主のみなさまに対して、1株を5株(の割合)ということで、分割をさせていただきました。この結果、分割前は5,000円ちょっとの株価でございましたが、1株が1,000円をちょっと超えるくらいになりました。結果として、単元株100株の売買における価格が、50万円強から10万円強に下がることになりました。

この趣旨は(何かと申し上げると)、当社の株主のみなさまは、ほとんどが個人の株主の方々でございます。この個人の株主のみなさまは、ほとんどが私どもの大切なお客さまでございます。この大切なお客さまを、さらに増やしていきたい。あるいは、当社に来ていただいているお客さまに、ぜひ当社の株主さまになっていただきたい。そのような思いで、より取引や購入をしやすい価格帯にするべく、分割をしたものであります。

12月には、先ほどお話しさせていただいた「鮨YASUKE」を新たにオープンいたしました。今までの銚子丸の回転寿司(形態)とは異なりまして、オフィスビルへ立ち寿司形態で出店するという、当社が今まで経験したことのないビジネスモデルでのオープンでございました。この(大手町サンケイプラザの)ビルのすぐ向かいにございますので、ぜひお立ち寄りをお願いしたいと思います。

そのほか、先日の年末年始におきまして、営業時間の短縮(の実施)や休業日を設けさせていただきました。一昨日から今日までの間に、原則全店の店休日、ないしはその中の一部が店休で、従来やったことのないような大胆な休みを、当社として持たせていただいています。

これも、働き方改革をどんどん進めていく上で必要な施策ということで、決断したものであります。後ほど社長からご説明があろうかと思いますが、今期の業績に関わってくるものでございます。以上のような施策を展開しながら、今に至っています。

業績ハイライト

(2018年5月16日から)11月15日(までの)、上期の業績について説明をさせていただきます。(表の)右をご覧ください。前年同期比でご説明申し上げます。

上期の売上高は、92億2,900万円でございました。前年同期が89億6,000万円でございましたので、これと比較しますと、2億6,800万円の増加となりました。

営業利益も同じく(今上期の)2億2,500万円の実績に対して、前期が5,300万円でございましたので、前期比で1億7,100万円の増額。

四半期純利益につきましても、(今上期の)1億3,300万円の実績に対しまして、前年同期が4,200万円でございましたので、9,000万円の増額です。対前年で(振り返って)いきますと、ここ2年ほど対前年割れを続けてきていた中では、底を打って、上昇の基調に転じたのかなということが、全体としての結果でございます。

この数字実績を、当初の計画比で見てまいります。先ほど申し上げました、お手元の(第2四半期の)実績と計画との差異説明ということで、適時開示資料を出させていただいています。

この中に、「今回修正予想(B)」がございます。これは、決算がある程度仮締めになった時点で出していますが、基本的にこの数字で確定していますので、この「今回修正予想(B)」は実績ということで、置き換えて見ていただきたいと存じます。その結果、「増減額(B-A)」が、当初の予想比の増減額になります。

売上高は、期初にご提示させていただいた予想に対しまして、1億8,600万円の上振れになっています。営業利益につきましても1億4,400万円の上振れで、四半期純利益も4,100万円の上振れでございます。

そのようなことで、前期比はもちろん上回ったのですが、期初に想定した数字も売上高・利益で大きく上回るかたちで、今期は決着いたしました。その内容あるいは要因については、後ほどご説明を申し上げます。

店舗状況

店舗状況でございますが、上期におきまして、退店が1ヶ店ございました。宮前平店が(2018年)8月に退店いたしました。この分について、上期中に店舗が1ヶ店減っているということであります。

改装は、八柱店と光が丘店の2ヶ店で実施ということです。

エリア別売上

売上が増加した内容をエリア別に見たものが、次のページでございます。エリア別売上でございます。ここでは地域別の売上と、それから(上)期末での店舗数を書かせていただいています。左が一昨年(2017年)の11月15日時点の店舗数、右が昨年(2018年)の11月15日時点の店舗数になっています。売上高は5月16日から11月15日となっていますので、店舗の数の基準と売上の基準が若干異なることをご留意ください。

売上高は、地域別に店舗が減った神奈川県を除いて、店舗数が変わらなかった東京都・埼玉県は増えていますし、千葉県も1ヶ店……大網白里店が3月に開店いたしまして、その分の新店効果もございますが、増加しています。その結果として売上高が92億2,900万円になったということですので、すべからく既存店が売上の底を打って前年並み、ないしは平均で言いますと、増加の基調になったということであります。

既存店売上高 前年同期比

それを示すものが、既存店売上高の推移の折れ線グラフでございます。左上の青い線が今期の期初(2018年6月)から11月までの、売上の対前年の比率です。

100パーセントを超えたところで売上が推移しているということでございますので、今期の上期については、既存店売上は前年比を上回ってずっと推移していたということであります。

結果として、(上期)平均で前期比104.8パーセントの売上増を達成しています。前年上期比ですので、そこはご注意ください。

既存店客数 前年同期比

この売上が増えているものを、さらに客数で分析したものが、次の表でございます。

左上の青い折れ線グラフでございますが、客数につきましても、同じく100パーセントを超えたレベルで今期の上期は推移いたしています。前年並みの客数を維持している(ということです)。上期では、対前年同期比で103.3パーセントで、3パーセント強増えるかたちでございます。

前年がちょっと不調に推移していましたので、比較の部分がやや落ちていますが、底を打ったということかと存じます。

既存店客単価 前年同期比

一方で客単価は、ずっと前年から100パーセントを超えたレベルで推移してきていまして、このトレンドを今期も維持しているということであります。

客数が増えている要因でございますが、これは販促・広告でしっかりと結果の出る宣伝ができたこと。これに加えまして、クレジットカードの導入等により、お客さまが当社を利用することに対する「お金(現金)がないから、行けないね」のような回避的な要因を除いていたということも、大きなポイントになろうかと思います。

営業利益の変動

次のページでございます。営業利益の変動要因でございます。

先ほど申し上げましたとおり、売上は増えていますが、その売上が増えている要因の中で、既存店の売上で増えているものが1億6,800万円。そして、新店の売上で(増えているものが)1億100万円。合計で2億6,900万円が、売上増加の新店・既存店の内訳でございます。

売上原価と主要な販管費

この2億6,900万円の売上が増えるにあたって必要とされた売上原価の増加分が、こちらの売上原価と主要な販管費の数字です。

売上原価が38億2,000万円でございますが、前年が37億8,800万円ですので、3,200万円の増加になっています。その上にある売上高が2億6,800万円増えていることに対して、売上原価の増加が3,200万円にとどまっていることが、売上総利益の増加の大きな要因になっています。

この売上増に伴う売上原価の増加(要因)を分析いたします。右に構成比がございますが、今期は41.4パーセントの売上原価率でした。その前年同期が42.3パーセントでございましたので、売上原価率が0.9パーセント下がっていると(いうことです)。これを(売上高の)92億2,900万円に掛けますと、8,300万円なんです。そのため、売上原価が0.9パーセント下がったことによって、92億2,900万円の(売上高に対する)売上原価が、本来、前年同期に増えるべきものよりも、8,300万円くらい少なくなっていることになります。

一方で、2億6,800万円という売上増加に伴う売上原価の増加要因が、この42.3パーセントを掛けますと、1億1,300万円くらいになります。だから、売上が2億6,800万円増えることに対して、前期と同じ売上原価率であれば、売上原価は1億1,300万円増えなければいけないのですが。その分が、売上原価率が0.9パーセント下がって8,300万円ほど減ったことで、差し引きで、売上原価は3,000万円ちょっとの増加にとどまったということです。これが利益の増加の、たぶん一番大きな要因になろうかと思います。

「じゃあ、なんで売上原価が減ったんだ?」ということですが、ここに当社の努力が反映されていることになります。下に書かせていただいていますが、「仕入の適正化」「在庫の最適化」「レシピによる原価設定の厳格化」、そして「捌き方の無駄を極小化する」。このような地味な積み重ねの中で、0.9パーセントの原価率の低減を実現したということであります。

ちなみに、これを実現するにあたっては、本社で事細かな指示・フォローを求めていて、各お店の現状を改善していく必要があります。前期、新たに営業企画部を設けまして、そこが起点となって営業店の指導を徹底してきたことが、そのような結果につながっていると分析しています。

それから、レシピについては、当然一つひとつのメニューを作るにあたって、原価をしっかりと見極めた上で、商品の設計をしていること。このあたりでの売上原価率の改善が実現したところであります。

その次が、販売費及び一般管理費です。売上は増えているのですが、実は給与・賞与のところが、前年実績比マイナス700万円ということで減っています。

働き方改革を実施するということで、どんどんやっています。何が起こるかというと、極論すると「働くな」という話になっているのですが。「効率的に働いてください」「無駄な時間は働かなくてけっこうです」ということで、基本的には時間外(労働)の削減をどんどん進めていく。不要な時間外はやらないようにする。それでも、まだ目標とする労働時間を達成できないようであれば、営業時間の短縮もやむなしと(いうことです)。

営業時間の短縮をすれば、当然売上も落ちてくることになるのですが。その売上の減少と営業時間の減少から、コストの減少をしっかり見極めた上で、最終的に必要な営業時間の短縮等を実施したところであります。

上期全体としては、フルで営業していた場合に比べて(全社で)7,800時間くらいの営業時間の削減となりました。お店ごとの月の累計の営業時間掛ける店舗数で、合計の営業時間を出すのですが、その中で全社的に営業時間を月1,300時間くらい短縮して、削減していったことになります。

それはパーセントテージでいくと、本来そのようなことをしなかったときに比べて、上期で4.3パーセントくらいの営業時間の減少をしているということです。そのような努力の結果、不要な労働時間が削減されることで達成できたのが、人件費・給与・賞与の減少で、マイナス700万円になります。売上が計画を上回った中で、人件費が計画・前期を下回っているということは、大変大きな成果だと認識しています。

その次に大きな増減項目としては、支払手数料がございます。1億8,600万円でございますが、前期が1億4,900万円でございましたので、これが3,700万円増えています。この要因は、ほとんどがクレジットカードの手数料です。(2018年)3月に、クレジットカードを全店で導入いたしました。

その結果、クレジットカード手数料はばかにならないのですが、(もともと)かなり発生するだろうと想定していました。それが、ここに反映されているということであります。ただしこの数字は、当社が当初予想していたよりも、少ない数字にとどまっているということであります。想定の範囲内ということです。

広告宣伝費も2億6,300万円ということで、対前年を2,200万円上回っていますが、これも前年が少なかったということで、計画どおりであります。したがって、販管費につきましては、ほぼ全体として計画どおりの推移で進んでいったと(いうことです)。一方で、売上については、計画を2億6,800万円上振れたということです。そのようなところの結果として、利益が大きく計画を上回ったということでございます。

貸借対照表の状況

貸借対照表につきましては、大きな項目としては現金及び預金と有利子負債のところです。借入が8,000万円ほど減りましたので、現金及び預金も8,000万円くらい減ったというイメージです。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローです。

こちらも、それほど大きくご説明するような部分はないのですが、税引前四半期純利益が2億300万円増えたことと、減価償却費が1億1,700万円あったところが、大きな増加要因でありました。

一方で、改装等の投資がございましたので、投資キャッシュ・フローで2億円くらいのマイナス要因になっていると(いうことです)。

財務キャッシュ・フローについては、配当金の支払と借入金の返済。これらで、1億7,000万円程度の支出があったということであります。

以上が、キャッシュ・フローまでのご説明でございます。

2019年5月期 通期業績見通し

この上期の実績を受けた、通期業績予想でございます。通期業績は、期初に出させていただいた予想を据え置きとさせていただいています。

通期では、売上高を191億9,000万円として、営業利益が5億2,600万円、経常利益が5億5,800万円、当期純利益が4億1,200万円となっています。

これを上期・下期で分けますと、上期は先ほど申し上げましたとおり、すでに計画を上振れするかたちで決着しています。その上振れしたものを(受けながら)通期予想を据え置くということは、下期にその分だけ予想数字を引き下げることになります。

その数字を申し上げますと、売上高は、上期の92億2,900万円に対しまして(下期が)99億6,100万円。営業利益は、上期実績の2億2,500万円に対しまして、下期が3億100万円。同じく経常利益は、上期の2億3,400万円に対して、下期が3億2,400万円。同じく当期純利益も、(上期の)1億3,300万円に対して、下期が2億7,900万円。

なにを言いたいかと言うと、もともと当社の場合は、計画もそうなのですが、下期が売上・利益のかなり大きな部分を占めていることになります。

したがって、この大きな部分を占めている下期の計画の数値を、上期に上振れした分だけ下げたということであります。今申し上げたとおり、上期よりもかなり多い売上・利益が、その修正後の計画として残っているものであります。

この計画を下期は必ず達成していきたいと考えておりますが、残念ながら、当初の下期単体での計画を引き下げたことに、変わりはないわけであります。

その要因としては、先ほどお話しさせていただいた(ように)、下期におきましては、店休日を設けました。お店を原則全部お休みしている。(今週に入って)今日までに3日間休んでいる店もあります。

それから、時給が(2018年)10月1日から上がっております。人件費も上昇基調にございます。さらに、新店のオープンを計画しておりますが、開店がたぶん下期も期末に集中することになろうと想定されております。

これらの部分で、期初に予想していた売上増加への貢献が、どうしても今期の下期にはあまり期待できないことがございまして、(下期の計画の)修正ということでございます。

以上が、中間決算の説明と、通期見通しでございます。それでは、私は後ほどご質問等をお受けいたしますので、代わらせていただきます。社長、お願いします。

外食産業の動向と当社の取り組むべき課題

石田満氏(以下、石田):社長の石田でございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私からは、今下期以降にどのようなかたちで業績を上げていくのかというところで、取り組みについてお話し差し上げることといたします。

期初にみなさまの前でもお話ししましたとおり、今外食産業を巡る動向としましては、消費者であるお客さまの節約志向が、どうしてもなかなか高まってこないというところが1つございます。

そして、食材原価・建築コスト等の高騰が止まらずというところも含めて、人件費も上昇傾向を止むところがないということでございまして。あげく、採用難を伴う人手不足はずっと続いているような状況です。こうやって話してみると、明るいところはなかなかないのですが。

そのようななかでも、当社におきましては、「ブランド力を強化して、収益基盤も強化して、人財育成をもって、そして新市場開拓の推進をするんだ」というお話をさせていただいておりました。それについて、「取り組むべき課題」として少しドリルダウンして、4点を挙げて、この上期に取り組んできたわけでございます。

おかげさまで、数字は仁科が今説明したとおりで、順調にきている状況でございますが、なかなか取り組みとしては、完全にうまく回っているかというと、まだ難しいところではあるのですが。

社内では大きく、「既存店の実力を強化する」という項目と「新市場への挑戦」というところで、分けてお話をしております。

そのなかで、このページで言いますと上から3つ……この「収益基盤の強化」というところまでは、既存店の人たちに対して一生懸命説明をして、「やるべきことをやって、既存店がしっかりしていないと、新しい取り組みについてもうまくいかないんだよ」という話をしているところでございます。

既存店強化につきましては、なんと言っても、それを支える人財育成というところが一番の課題でございます。それと、育成は育成であるのですが、少ない人数で回していけるような仕組みも作っていかなくてはいけないということで、生産性の向上(が必要)ですね。

ですから、「人財育成」と「生産性の向上」という2つを柱として進める予定でございます。そこが成し遂げられていくと、新市場にも、かなり効率的に出ていけると考えてのことでございます。

業績達成に向けた施策の取り組み状況

この取り組み状況というところをよく見ていただきますと、やってきたことがそのまま(記載して)あるわけです。

後ほどご説明申し上げますが、この新しい取り組みのところも少し芽が出そうですし、「既存店の強化」というところで打ってきた施策についても、だいぶ定着してきた感じがございます。そのような意味では、取り組みが明るい方向に動いているなと考えております。

銚子丸スタンダードの向上

その1つといたしまして、銚子丸アカデミーの「FCCアカデミー立志塾」を開校いたしました。これは、さまざまな店舗で行う作業を全部動画に落としまして、その動画を見て、各人が勉強できるような状況を作ったということでございます。

初めて作ったものですから、あれもこれもとやっていきまして、だいたい1講座が10分ぐらいになっているんです。じゃあ、「10分って簡単に見られるか?」というと、そう簡単でもないんですよ。やっぱり、時間を10分割いて勉強するというのは、なかなか大変なところでございまして。今のところは、「新しい作業を覚えるその直前で、まず(動画を)見てこい。見てきたら、すぐに教える」ということで、効率よく動かしております。

この立志塾について、今後の取り組みとしては、もう少し使い勝手のよさを追求していかなくちゃいけないなと思っております。「1分とか3分とか、作業の合間でも簡単に見られるような動画に変えていったらどうかな?」ということを考えています。

でも、これができあがったことで、我々の持っている「銚子丸スタンダード」というものが整理されました。整理されたということは、例えば海外展開といったときには、これをもって行けば、実に教育期間の短縮等に役立つのではないかと思っております。まず、「きちっとしたツールができてよかったな」というところでございます。

人財確保と育成強化

先ほど仁科からもお話しさせていただきましたが、「働き方改革を推進しました」というところでは、営業時間(の短縮です)。

先ほどもフォーカスして説明しておりましたが、「営業時間を短くしてでも、労働環境をよくしよう」ということで、労働時間をきちっと守るというところに焦点を当てて努力した結果、この(2019年の)お正月までのところで言いますと、「しっかりと管理して、労働時間(削減の)目標が達成できた」と報告を受けております。

これについて言いますと、この働き方改革では労務が改善されたということで、採用状況も多少よくなっております。新入社員も、従前は4〜5名しか毎年採れておりませんでしたが、現在のところ……まだ一桁ですが、9名の内定を出しているというところでは、少し効果が出てきているのかなというところです。

中途採用につきましても、お寿司の業界は、まだまだ個人色の強いお店・会社が多いものですから、そのあたりから、「労働環境の改善を求めて弊社に来るという話も、数多くきている」と聞いております。先ほどの立志塾も含めてですが、この教育プログラムができあがったことにおいても、人財の確保については、これから変わってくると思っています。

というのは、以前も申し上げたかと思いますが、なかなか我々のところでは未経験の中途採用ができなかったと言いますか、そこはぜんぜん手を付けていなかったんです。今回の教育ツールがしっかりできたことで、未経験の中途採用者の畑を掘り起こして、「やる気さえあれば、しっかりと学べる」というかたちを作れたかなと思っております。人財の確保については、だいぶよくなってきたかなと考えております。

ここでもう1つだけ申し上げますと、生産労働人口が毎年毎年漸減していく中で我々ができることというと、「今いる人たちの実力をアップさせること」と「採った人たちを早く戦力化すること」と考えております。育成期間の短縮というところでは、間違いなくこれは役に立ってくると思っております。

また、それに加えて、今は外国人留学生も400数十名在籍しています。そこについても、言葉の壁さえ乗り越えれば、意欲もあるし習得能力もある人たちばかりですので(戦力になってもらえると考えています)。

トレーナー役の正社員について、例えばベトナムの人を教えるのでしたら、ベトナム人の正社員を雇うべく動いているところでございます。それも、結局2年しか働けない留学生を早く育てて、早く戦力になってもらうことに力を注ごうと考えております。

下期業績達成と今後の成長戦略

次は、収益基盤の強化です。期初にお話を差し上げたところでございますが、今はこのように考えているんです。今期の下期と来期にかけては、できるだけしっかりと投資を進めて、「働く環境」と、今言いました「人財の育成」に、しっかりとお金をかけていきたいと考えております。

もちろんお金のことですから、一人ひとりのお給料が上がるというところも見据えてなので、設備投資・教育投資、そして給与アップ等の人件費負担というところで、少し覚悟してお金をかけていこうと思っております。それが、ひいては一人ひとりの働く人の質を高めて、商品もより良くして(いきます)。お店全体で、外食の局面すべてで良い雰囲気をご提供できるというところです。

私どもの言葉で言うと、良質な外食体験が提供できれば、顧客満足度につながる。顧客満足度につながると、集客力がアップする。集客力がアップすると、売上が増大して利益も伴って上がってくる。そして、また再投資に向かうというかたちで良の循環を回していくということを、この下期からの具体策の中に落とし込んでいこうと考えています。

「顧客満足度をアップさせる」って、とても大事な話です。実は、顧客満足度が向上しない限り、なかなか値段も変えられないというところが、やっぱりありまして。「このままの値段でいいの?」というと、やはりなかなか利益が出しにくくなっている現状を踏まえますと、適正価格までの値上げは、いつかどこかでやらなければいけない。

そのためにも、今は顧客満足度をしっかりと上げていくことから始めようということで、先ほど申しました利益体質に向かって、良の循環を回していく緒についたというところで考えております。

その投資の内容として一番大きいのは、やっぱり改装投資だと思っております。もちろん、今まであまりなにもやっていませんでしたから、修繕や機械化とかを、本当にこれからやらなければいけないんです。

それも含めた大幅な改装もして、売上利益に貢献できる投資にしていきたいと考えております。投資を惜しまずにやって、良の循環を回すということでございます。

機械化(・省力化の推進)はわかりやすいのですが、我々の「機械化」というと、今あるものを買って据え付けるみたいなかたちが、どうも多いものですから、先だっても、レーンのメーカーさんをお呼びして、「本当にオーダーメイドで効率化するようなアイデアがあるんだったら、出してくれ」「一緒に取り組んで、よそとの差別化も図っていこう」というような話をした次第でございます。しっかりと、投資をしていく予定でございます。

下期業績達成と今後の成長戦略①

続きましては、新市場の開拓ですね。

これは、先ほど来申し上げております(2018年)12月13日に、お隣のビル(大手町プレイス)に「鮨YASUKE」というものを出させていただきました。

25坪という、小さなお店です。お寿司屋としては経験がありますが、25坪というのは初めての経験ということで、まだそれほど順調にいっているとは申し上げられませんが……でも、うまく開店ができたなあと思っております。

これで採算ベースに乗せられるようになりましたら、同様のお店を出していきたいと思っております。一番の狙いは、「少ない人数で、しっかりとお店が回せる」というところでやっていこうと思っております。

それと、今期末になりますが、駅ビルですとかテナント出店というところで、今のところ3店舗、固め打ちで出せるような状況になってきております。

ただし我々は、このようなテナント店もちょっと不慣れなものですから、今回はチャレンジということでやらせていただいて。まだ、これでバンバン出していくということではありません。ここで実験をさせていただいて、利益体質を作ったところで伸ばしていこうと考えております。

それから、出張回転寿司(サービス)ですね。これは、大変評判がようございまして。年末の需要に関しては、1日1件では収まらずに、機械が1台しかないものですから、機械のある出張回転寿司と職人が行って握らせていただくケータリング方式をやったぐらいで、これから伸びていくパターンだなと思っております。

思いのほか、企業さまのお集まりの会に呼ばれるというのが多ございました。今後ここについては、しっかりと事業化できるようなかたちで進めていきたいと考えております。

下期業績達成と今後の成長戦略②

最後に、新事業開拓という中では新しいお客さまを(獲得しよう)ということで、我々のずっと思っている課題は、未来店客……いまだ来ていただけていないお客さまに、どうやってリーチしていくかというところを考えておりまして。

LINEをはじめとしたツールを使ってやることでも、だいぶ効果が上がってきておりますし。また、従前の広告と似たようなものなのですが、新聞での全面広告を打たせていただいたことで、広い範囲からお客さまを呼ぶことができていて、これは両方とも今成功していると考えております。

このようなことをやりながら、これから伸ばしていくわけです。

業績拡大のための成長戦略

最後に、次のページを見ていただいて。

ご覧のとおり、緑色の部分は既存店です。既存店をしっかりしたうえで、ほんの少しですが、少しずつ少しずつ、新しいことを乗っけていきたいと思っています。私が4年前から言っている、「銚子丸の成長軌道」のかたちを確立させていきたいなと思っております。

おかげさまで、上期はまあまあの数字でございましたので、下期は期初にみなさまにお話しした内容を充実させていただくということで、取り組んでいくつもりでございます。今後とも、ぜひ当社の数字を見ながらご関心を持っていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答:既存店売上高増収の外部・内部要因は?

質問者1:私からは3点、よろしくお願いいたします。

まず、今回の上期の既存店売上高は4.8パーセント増収と、非常に好調に推移されたと思います。ただ、昨年はいくつか特殊要因がありました。アニサキス報道の話とか、あと御社の場合は、あら汁の無料提供の時間と曜日を縮小されたとか、いろいろとあったと思います。

何が言いたいかと言いますと、今回の4.8パーセント(の増収)のうち、外部要因と内部要因に分けて考えたときに、それぞれどれぐらいとお考えになっているか、感触を教えてください。これが1つ目です。

そして2つ目でございますが、某業界大手のA社が、(2018年)9月からずいぶんと高単価商品のアイテム数を拡大した施策を取られていると思います。そのようなものを、御社は「競争相手として、事業リスクだ」とお感じになっているのか、それとも「そもそも価格帯が違い、まったく別の業態ですのでご安心ください」と考えているのかを教えてください。

そして3つ目ですが、機械化(の推進)について、オートウェイター(システム)であったりとかセルフオーダー(システム)や、高速レーン。このようなものに、いろいろと投資されていらっしゃるということですが。

組み合わせ等もあると思うのですが、いろいろと(投資したものが)ある中で、御社にとっての効果的な仕組みは、これらのうちの何だとお考えなのかです。あと、つまるところ、回転レーンの廃止は将来的な選択肢に入り得るのか、教えてください。

石田:ご質問ありがとうございます。それぞれにお答えしてまいります。

上期の(既存店売上高の)4.8パーセントという成長について、内部要因と外部要因(は、それぞれ何なのか)というところなのですが……本当に申し訳ないのですが、「じゃあ、何で何パーセント伸びているのか?」という話は、なかなか難しくて。逆に、社内でも私が部長たちに「いい理由は何だ?」「悪い理由を考えたか?」という話もしているぐらいなのですが。

内部要因としては、今上期はイベントが大変好調でございました。

イベント商品の中で、うちは必ず(その時期ならではの旬のネタを取り揃えた)「劇団セット」を出すわけですが、それの内容と値頃感が、大変に支持されたと考えています。これは、ただの私の思い込みかもしれないのですが。

その月のイベントで使う商品を1貫ずつ載せて、そして手巻きのお寿司を載せたセットを、実は2ヶ月連続で出したのですが……2ヶ月連続で出して、両方ともよかったんです。

手巻きって、思いのほかお客さまに受けるのと、「お客さまは今、1皿2貫ずつを食べあぐねているんじゃないか?」と思うぐらい、感じがよかったんです。ですから、「今回、内部要因を(どう考えているか?)」と言うと、一番はそこだと考えています。

外部要因につきましては、先ほどの仁科の説明にもありましたとおりで、天候や曜日まわりで恵まれていた部分はございますので、そちらが、内部要因と比べれば当然大きかったと考えています。もちろん、恐縮ですが……比べている数字が悪いときのものですから、あまり大きなことも言えないのですが、(外部要因としては)そのようなことだと考えています。

次に、A社についてです。「A社は、業界は違う」という認識で考えていますが、近くに(お店が)できれば間違いなくお客さんは取られるものですから、「競争相手ではない」という言い方はありません。

A社自体は、お寿司屋さん出身です。(A社の)高価格帯のお皿は、みなさまも召し上がっているかと思いますが、(A社の100円の)黄色いお皿とは違って、おいしい商品がしっかりと載っています。それだけを食べていくらになるかと言うと……私も女房と食べに行きましたが、客単価が1,500円にはなります。お腹いっぱい食べると、もうちょっといくと思います。ですから(A社が当社の業態に)かなり近づいてきたと思っていまして、競争相手かどうかは別ですが、「近くにできたときには、けっこう大変だな」と考えています。

それから、最後の機械化についてです。機械化で一番効果があったものは……数値化ができないのであれ(明確な回答ではないの)ですが、体感的に一番効果があったのは、タッチパネル(セルフオーダーシステム)と配達レーンの設置です。

タッチパネルを入れたことで、ネタケースを各店で1本ずつ抜きました。ということは、1人の配置場所を取っちゃったということです。ですから、今までは通常4人が入っていたところが、3人でできるようになった。「なった」というよりは、「そうできるはずだから、やりなさい」ということで、営業を統括している常務から動くのが先でしたが、動いてやってみたら、できるようになった。それが、一番効果的でしょうか。

もう1つ言うと、これからまだまだ進めますが、皿会計システムです。お皿にチップを入れて、電子的に会計を行う。会計ミスは、どうも我々が想像しているよりも多いようですから、これから効果が出てくるかなと思っています。

今までは11店舗にしか入れていませんが、11店舗の中でまったく変わらなかったのが3店舗。他は、1パーセントから7パーセントぐらい客単価が上がっています。アップ率が一番多いところは、104パーセントぐらいのところです。ですから、(会計の)間違いがなくなるというところでも、これはよかったのかな。この2つは(機械化して)よかったと思っています。

それと最後の最後(のご質問)です。(回転レーンを)うちでは「レール」と言っていますが、レールがなくなっていくのかについては、食品ロスのことも考えて、なにかしらの実験はしなければいけないと思っていますので、無人形態とかはやってみようと思っています。ただ、まだ今のところは、ピーク時の取りこぼしをなくすためには、レールの上を(お皿で)満タンに埋める作業が必要だと考えていますので、当面はなくならないと考えています。以上でございます。

質問者1:ありがとうございます。

質疑応答:デリバリー業態をどう見据えている?

質問者2:最近の外食チェーン各社の動きについて、収益力がアップしている企業の内容を見ますと、やはり従業員に対する投資。これを本当に愚直に、2~3年前から着実にやってこられた企業の収益力が非常に上がっているという結果が、はっきり出ています。

今回、御社の説明会資料の内容を見ても、従業員に対する投資について非常に積極的にやっておられるので、今日のお話をうかがって、今後の3年先や5年先を考えた場合は、私は今の政策は非常に重要だと思うし、さらにこれを深めていっていただきたいと、率直にそう思いました。

それで、先ほどこちらへ来る前に、実は「鮨YASUKE」のお店へ行って、店長さんにちょっといろいろとお話をうかがったのですが、新しい板前さんも採用できたと(おっしゃっていました)。そうなると、御社にとって、今は非常に人が集まりやすい環境になってきているという(ことだと思います)。これも1つの、大きな評価じゃないかと思います。

あそこのお店はビル街ということもあって、企業向けの(取り組みもされていて)……ここにも出ています、会議用弁当メニュー(のような)デリバリーを含めた新しい業態ということでした。これは、将来のデリバリーウェイトと言いますか、会議用(弁当メニュー)として、お店の売上に占める比率をどの程度まで増やしていくのか。

これが成功すると、このビジネスは非常に将来性もあると思います。とくに東京都内では、なかなかそのようなことをやられるお寿司屋さんは、まだまだ非常に少ないんですよね。私は、「これは、非常に大きな潜在的な需要があるんじゃないかな?」と思いますので、これについての戦略的な構想をちょっとおうかがいしたいということです。

この2点について、ひとつ(お考えを)お願いします。

石田:人的な部分についての教育投資については、惜しみなく(やっていこう)と考えています。まず一番は、お給料をしっかりと払っていけるようなかたちで(徐々に)お給料を上げていけるような計画を持つこと。それから、「立志塾」のように、お金をかけて作る部分もありますが、一人ひとりが成長できるような質の高い教育形態を、もう一度構築し直さなければいけないなと思っています。そこは惜しみなくやっていくつもりで、がんばらせていただきます。

「鮨YASUKE」についても新しい試みなのですが、確かにビル内のデリバリーあたりは、「現に、もうご要望がある」ということも聞いていますし、出張回転寿司についても、先ほど申し上げたとおりで、非常に好評であると(いうことです)。

個人のパーティー需要もずいぶんありまして、「(1つの)事業になるのではないか?」という、明るい見通しがあるところではあるのですが、いずれも人(手や費用)がかかるところでございまして、「採算ベースに乗せるには、どのようなかたちがいいか」というのを、今は探っているところでございます。

出張回転寿司(サービス)で言いますと、都内でやっていらっしゃる業者さんもあるのですが、「お客さまが50人くらいまでは、(職人は)1人~2人でやる」というお話も聞いていますので。職人1人~2人で50人(のお客さまのご対応を)やろうとすると、「あまり楽しい雰囲気のものが作れないな」というところもありまして。

「もう少し賑やかにやっていくとすると、もうちょっとしっかりとした計画が必要になるな」というところでございまして。まだ、まったく今は「お祭り騒ぎでやっている」感じで、これから事業化していくための計算に入るという感じなんです。積極的に進めてまいりますが、そのあたりは、まだこれからという感じでございます。以上でございます。

質疑応答:4月に出店する店舗の業態は?

質問者3:労働生産性の確認なのですが、「この上半期は、去年に比べて人時生産性が150円くらい上がった」という理解でよろしいでしょうか?

2点目ですが、今度(2019年)の4月に、「千葉県内の駅ビルに出店準備中」と書いてあるのですが、これは「回転寿司」なのか、それとも「回らないほうの(直線レールの)回転寿司」なのか。この2点を教えてください。以上です。

石田:ありがとうございます。人時生産性の話は今、数字を出していますので(後ほど)仁科からお答えするとして。

新店につきましてはテナント出店で、今までとはちょっと違う形態でやろうとは思っていますが、回転寿司でいきます。だいたい50坪くらい取れる場所でしたので、回転寿司でいって、少し客単価を上げたいなと思っています。客単価で言うと、「2割くらい上がった業態を作れないか?」と、私から担当の部署に言っているところでございます。

よくあるパターンですが、「銚子丸 雅(MIYABI)」という名前にしようと思っているのですが。そのようにして、客単価を少し(多く)取れるようにする。それでいて、レールの大きさは小さくして、先ほど言った高速レーン・配達レーンなどもうまく活用して、お客さまが座れる席数は広さの割に多くして、人的な効率も良くなるかたちにする。それによって、少し客単価が上がるかたちという、そのような虫のいいことを考えていまして。

ですから、先ほど「実験」ということを2回くらい言わせていただいたということでございます。

仁科:人時生産性についてのお話でございましたが、ちょっと今は、きちんとした資料が(手元に)ないので、正確な数字について申し上げることはできません。申し訳ございません。

ただ、今回の働き方改革を推進する中で、時間当たりの売上を、全店舗の平均で見てはいるのですが、1時間当たりの売上高は、7.6パーセント程度増えているということであります。

これは、あくまでも営業時間ベースということで、リードタイムがありますよね。あるいは片付けの時間帯があります。このあたりについては含めていませんが、そのような実績になっています。