2018年5月期決算説明会
仁科善生氏(以下、仁科):ただいまご紹介にあずかりました、管理部長の仁科でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、お手元にお配りさせていただいた資料の中に、平日限定の割引優待券を同封させていただいております。ぜひ、お立ち寄りいただきたいということです。
中間決算の説明のときにも同じように、初めての平日限定の割引優待券をお渡ししております。今回の夏休みを前に、ぜひお越しいただきたいと思いますので、よろしければご利用をお願いいたします。
さっそくでございますが、41期の決算を発表させていただきましたので、その概要について、ご説明をさせていただきます。
お手元に用意させていただきました、2018年5月期決算説明会の資料をページに則って、ご説明差し上げたいと思います。
業績ハイライト
まず、決算概要でございます。4ページをご覧ください。
すでに、適時開示で発表させていただいたとおり、売上高は、当期(2018年5月期)は187億8,900万円ということで、前年(2017年5月期)は195億4,000万円の売上が上がったのですが、これに対して7億5,100万円減少しました。増減率はマイナス3.8パーセントということで、減収でございます。大変申し訳ございません。
営業利益につきましても、前年の9億2,300万円に対して、当期は5億8,000万円ということで(前年比)マイナス3億4,300万円、マイナス37.1パーセントの減益となりました。大変厳しい結果であると受け止めております。
当期純利益につきましても、前年の4億5,700万円に対して、最終的に41期(2018年5月期)が3億500万円ということで、前年比1億5,100万円のマイナス、33.1パーセントの減益になっております。これが、通年の結果であります。
ただし、実は前回の中間のときに発表させていただいた、売上高・利益の対前年の比較においては、売上高では対前年比マイナス4.5パーセント、営業利益では対前年比マイナス81.5パーセントという、もっと厳しい状況をご報告させていただいておりました。そのため、それに比べますと、大きく改善した下半期だったと認識しております。
それでは、なぜ、ややプラスに考えているのかについては、後ほどご説明させていただきます。
店舗状況
5ページの、店舗状況をご覧ください。
先期は(スライドの)右上の大網白里店を、約1年ぶりの新店として開店させていただきました。
その前には、2017年3月に見沼店を開店しておりました。(また)その前には、2016年11月に狛江店、それから2016年9月に木場店(を開店した)ということで、前年(まで)の3ヶ店の新規出店に対しまして、41期(2018年5月期)は久方ぶりに、大網白里店を開店したという状況です。
一方で、退店でございます。(スライドの)右下にございますとおり、期初の2017年5月に四つ木店、6月に上福岡店、さらに今年(2018年)の1月にあざみ野店ということで、3ヶ店を閉めさせていただきました。
それ以前では、2017年1月に西橋本店、同年4月に宮原店(を退店しており)、昨年の1月以降でいうと、本日(2018年7月5日)に至るまでに5ヶ店を退店しているということが、実態です。
したがいまして、なかなか新しく開店できない中で、採算ベースでしっかりと見極めた上で退店をしっかりと、経営として決断を下してきたということです。
この結果、お店が減っていますので、どうしても売上が落ちていくという、やむを得ない部分がございました。売上が落ちた1つの大きな要因は、そのような店舗数が減っていることかと存じます。
エリア別売上
それでは、エリア別売上について、6ページをご覧ください。
千葉県が74億6,400万円、東京都が75億8,600万円、埼玉県が25億4,000万円、神奈川県が11億9,800万円で、合計が187億8,900万円です。
お店の数も、千葉で大網白里店を開店したので1ヶ店増えましたが、東京・埼玉・神奈川と、先ほどの(ご説明にあった)3ヶ店が、各地域で1ヶ店ずつ減っております。期末時点の店舗数は、千葉が36ヶ店、東京が35ヶ店、埼玉が15ヶ店、神奈川が5ヶ店の、計91ヶ店となっております。
地域別の売上構成は、東京と千葉で、それぞれ約40パーセントずつを計上しています。
既存店売上高 前年比
次のページをご覧ください。既存店売上高の推移でございます。
2017年5月期は、ずっと厳しい状態が続きまして、5月に(売上高が、前年比で)100パーセントを超えました。
当期(2018年5月期)におきましても、既存店では、期初からやはり厳しい状態が続いておりましたが、下期になって、回復の傾向を見せております。
(2017年)12月・(2018年)1月に、100パーセントを超えました。2月以降は100パーセントには至っておりませんが、前年が順調であった分、当年の対前年比が100パーセントを超えるには至っていないということですので、決して地合いが悪くなったわけではございません。
さらに、この売上高に及ぼした影響でございますが、(スライドの)上の折れ線グラフをご覧ください。
当期の上期(6月~11月)におきましては、天候不順の影響がございました。さらに、鮮魚に関わる飲食業界においては、やはりアニサキスが影響して、お客さまの足が少し遠のいてしまったということがございました。業界全体が環境的に厳しい状況でしたので、その結果として、売上が低調に推移したのだろうと思っています。
下期(12月~5月)につきましては、こちらに書かせていただいたように、新聞広告・ビジネス誌掲載の記事で(「すし 銚子丸」が、外食チェーンの)顧客満足率で1位をいただきました。それから、当社の商品力等で高いご評価をいただいていることで、今まで以上に世間一般で知られるようになったと認識しています。
そのような中で、Web広告や平日限定のクーポンなど、集客のための各種施策を展開するということで、売上の確保・積み上げを図ってまいりました。
その結果が……ここ(のスライドの表)に、対前年比100パーセントを超えていない月があるのがちょっと残念なのですが、このような(低調に推移していた)上期から(下期は)改善基調を示してきたということです。
「それでも(売上が)マイナスの店があるよね?」という話になってくるかと思いますが、これには理由があります。一番大きな問題としては、やはり労務でございます。みなさんもご承知のとおり、労務問題は今、飲食業界全体を覆っていて、喫緊の経営課題になっています。
当社のように、ビジネスモデル上、人をなくしては提供できないサービス。要は、機械化だけでは、当社のエンターテインメントという部分は提供できませんので、どうしても人が必要になります。そのような中で働き方改革をやっていくことも、当然必要になります。
当社は下期に、一挙に働き方改革へ邁進してまいりました。売上を蔑ろにすることはできませんが、働いてもらっている人たちの生活も、しっかりと改善していかなければいけない。働く環境や、労働時間そのものも改善していかなければいけない。きっかけは「安倍(晋三)さんに言われたから」かもしれませんが、その世の中の流れを先んじるかたちで、当社としても取り組んでいこうということで、経営で意思決定しまして、かなり積極的に取り組んでまいりました。
具体的には、例えば1月から5月において、労務(改善)を達成する。労働時間を一定の水準以下に抑える。そのために必要な措置として、お店によっては臨時休業を実施いたしました。営業時間の短縮化を実施している店も、まだございます。
これはひとえに、労務改善において必要な対策として実施したものです。1月から5月における、当社の合計営業時間に占める、労務対策上実施した臨時休業ならびに営業時間の短縮化の累計時間は、計算によりますと、約3.8パーセントぐらいです。つまり単純に言えば、去年より約3.8パーセントの営業時間がなくなっているわけです。96.2パーセントの営業時間で、今ここに出している売上を確保してきた(ということです)。
これは1月から5月の期間なので、通年のものをそのまま反映するわけにはいかないのですけれども。先ほどの(ご説明にございました)下期の売上が、対前年比で100パーセントにいっていない部分における、1つの大きな要因としては、今申し上げたような「(そもそも、前年と同じ時間で店舗を)営業していなければ、売上は立たないよね」というところがあるということです。
したがって、この下期の2月から5月に、対前年比で100パーセントを割ったから(といって)決して営業自体が不調であったという話ではないと、理解をしております。
既存店客数 前年比
次は、既存店客数でございます。8ページをご覧ください。
そうは言っても、客数についても、なかなか厳しい状況が続いております。要因は(先ほどの既存店売上高の要因と)同じであります。したがって、2018年5月期の12月以降(下期)の客数減も、売上とある意味(折れ線グラフが)並行しています。
理由としても、かなり(売上と)同じ部分があると分析しております。(労務改善施策として、臨時休業や営業時間短縮の実施により、そもそも)お店がやっていないと(お客さまに)来ていただける機会が少なくなってしまいますので、その部分も大きく影響しているだろうとは思います。ただ、売上に比べて客数の減少が大きい点は、もっと対策を講じなければいけないだろうと思っております。
ちなみに、対策としては、先ほど申し上げた平日限定のクーポンによる、平日へのお客さまの誘致。それから、(2018年)3月にクレジットカードを全店導入いたしました。その前は30ヶ店弱だったんですが、91ヶ店全店でクレジットカードが利用できるように、舵を切りました。
これにともないまして、(例えば)週末に、お金(現金)を持っていないので当店を利用していただけないお客さまがいたとすると、そのような方たちには、クレジットカードがあれば来ていただける(ということです)。
あるいは、顧客単価も決して安くはないので、(今までは)手元にそれなりにまとまったお金がないと、ご家族では来ていただけないことがございました。もし、足を運んでいただけないお客さまがいらっしゃったとすると、(クレジットカードの全店導入により)そのようなお客さまにも来ていただける環境が、できてきたと思います。
これ(の導入)は3月なので(客数や業績には)これから反映されてくるものだと理解しています。したがって、客数の回復を図ってまいりたいということで、このような対策を講じているものの、残念ながら下期の結果としては、このような数字になっております。
既存店客単価 前年比
売上の伸びに対して、客数の伸びが下回っていることに関して、「どこで調整をしているのか?」ということですが、9ページをご覧ください。
既存店客単価が、当期(2018年5月期)はずっと(期末の5月以外は)対前年比で、約100パーセントをちょっと超える水準にまで、上がってきています。
これは、食材の値段が上がっているから云々という議論ではなくて、やはり、お客さまにもう1皿頼んでいただけていること。あるいは、もう1つグレードの高いお皿を取っていただけているということかと思います。消費者の懐の部分も、要因としては大きいものであるとは認識しておりますが、やはり一方で、(当社が)素材にこだわったおいしいお寿司を提供していることが、ビジネス誌での報道等も相まって評価された結果、前年を上回る客単価の推移になっているものだと分析しております。
残念ながら、5月は(前年比で)100パーセントを下回っているのですが、5月だけは、前年(2017年5月期)がめちゃくちゃ高いんです。なので、ここも決して悪かったわけではないということで、ご理解をお願いします。
営業利益の変動
それでは、次のページです。営業利益の変動の内訳を分析すると、どうなるかということです。
営業利益は、前年(2017年5月期末)が9億2,300万円、当期(2018年5月期末)が5億8,000万円です。この差は大きいですよね。
この減益の要因を分析しますと、こちらの表にありますとおり、新店で売上が伸びたことで、4,800万円(の増加)。(当期の新規出店は、2018年3月の)大網白里店しかありませんので、そこの3月・4月・5月の売上が(反映されて)このようになっています。
一方で、既存店売上の減少がございました。お話ししたとおり(労務改善による)営業時間の短縮・臨時休業等の要因も含めて(閉店/既存店)トータルでは、7億9,900万円の売上の減少になっています。
一方で(営業費用としては、まず)売上原価の減少。売上が減ったので、売上原価もそれなりに減るということです。原価率が約42パーセントになっていますので、その部分は当然減るということで、2億4,500万円。
ただ、(仮に)40パーセントの原価率だとすると、本当は、これ(売上原価)はもっと……7,000万円くらい少ないんです。8億円×4(割)の4×8=32で、3億2,000万円くらい、本当は売上原価が減少しなければいけない。
だけど、(実際には)この2億4,500万円しか減少していない。その差分は、原価率が0.4パーセントくらいアップした点にあります。本当は、(売上)原価がもっと落ちても良かったんだけれども、落ちきらなかったと。
これは、業界全体として食材の高騰などがございますので、いろいろな工夫をしたのですけれども、前年を下回るまでは及ばなかったというのが、結果でございます。他社さんが減っているという話もあまり耳にしていませんので、業界としては、状況はそれほど変わるわけではないだろうと思います。
その右の人件費は、5,100万円のプラスになっています。プラスということは、人件費が減ったということです。なぜ減ったかということになりますが、ご承知のとおり、時間外(労働)を減らすということは、労働時間が減りますので、給与も減ることになります。
「労務改善が(給与減少により、結果として)生活悪化につながる」という話もあり、まさにそのような部分になるかもしれませんが。総労働時間自体をかなり減らしていく工程の中で、結果的に人件費自体も減ったということです。
その右の販売促進費3,500万円で、これも圧縮いたしました。従来はSNS等でやっていた販促をLINEに移行するなど、そのようなツールの変更によって(販促の)効果は変わらないけれども、コストを下げる努力をした結果です。
水道光熱費は、4,800万円削減いたしました。これは主に、水道代です。キッチンの床のドライ化など、いろいろと水を使わない(方法を導入しました)。衛生上もより良くなることをいろいろと組み合わせて、代替策を講じたところ、水道光熱費を4,800万円削減することができました。
地代家賃/リース料は、4,000万円減りました。これは、お店の数が減りましたので(それにともない)家賃が減りました。
一方で、コストとして増えたものがございます。法定福利費/厚生費です。給与そのものではないのですが、事業主負担等で、会社として負担しなければいけない社会保険ですけれども。
この部分について、みなさんもご承知かとは存じますが、一昨年(2016年)に社会保険への加入要件の(適用)拡大が行われました。「パートさんも(今までの)週30時間以上とかではなくて、週20時間以上のみんなも社会保険に入れよ」という(適用範囲の変更により)、該当する人たちがどんどん増えてしまった状況がありました。
そのような方たちの社保加入を促進した結果として、この(法定福利費/厚生費の)部分については、増えるしかない費目になっており、5,000万円増えているということです。
また、その他経費も、いろいろな要因がございまして、3,700万円増えてしまったということです。
この経費の節減ならびに、一方で増加を余儀なくされたものを差し引きした結果として、営業利益は5億8,000万円となりました。これが、営業利益の分析でございます。
売上原価と主要な販管費
次に、11ページをご覧ください。こちらには(売上原価と主要な販管費の)数字そのものを掲載させていただいています。先ほどご説明差し上げた内容でございますので、ここでは割愛させていただきます。
貸借対照表の状況
12ページは、貸借対照表です。とくに、ご説明差し上げることはないかと思います。
現金及び預金が、2億7,800万円ほど増えました。これは、基本的には内部留保です。利益が内部留保として残っていた結果、ほぼ現金及び預金のところで残っているということです。
利益を積み上げた結果、純資産合計は、2億2,300万円増えています。
自己資本比率は(2017年5月期末の)66.6パーセントから、当期(2018年5月期末)が68.6パーセントということで、2パーセントほど向上しています。
株主資本のところに、「(うち自己株式)マイナス7億4,600万円」と書かせていただいています。なぜここに書いたかというと、自己株式とは自己資本から控除するファクターになるのですけれども、もともと報酬制度に活用したいということで、この部分を持っていました。
後ほどご説明差し上げるとおり、(2019年5月期は)いよいよ報酬制度に使っていきたいなと考えておりますので、今持っている自己株式の7億4,600万円を記載させていただきました。
キャッシュ・フローの状況
次が、キャッシュ・フローです。こちらも、あまり細かくご説明してもしょうがないかなという感じなので、1つだけ(申し上げます)。
営業キャッシュ・フローのところで、減損損失が1億5,000万円発生しました。前年は、1億6,300万円の減損が発生しています。これは、前年・当年と続けて、売上が減少しております。売上が減少すると、それぞれの店舗の採算が悪化します。採算が悪化すると、赤字になってくる店舗が出てくるということです。
そうしますと、会計上は「これが収益で、今持っている資産について、償却をしきれないよね」という判断を下さざるを得ない店舗が出てきた場合に、減損処理をすることになります。そのような店舗があったということです。
昨年も、対前年で売上が減りました。今年も(今までのスライドを)見ていただいたとおり、後半に挽回したとはいえ、減収になっています。その結果として、減損をしたと(いうことです)。減損後の利益(当期純利益)が、最初に申し上げた、あの3億円になります。ここはそのような内容だということで、ご理解をお願いしたいと思います。
2019年5月期業績見通し
これを受けて、2019年5月期の業績予想でございます。
売上高は191億9,000万円、対前年比でプラス2.1パーセント。営業利益は5億2,600万円、対前年比でマイナス9.3パーセント。経常利益は5億5,800万円、対前年比でマイナス9.3パーセント。当期純利益は4億1,200万円、(対前年比でプラス)34.9パーセントということです。
「なんで売上が増えて利益が減るんだ?」と、素朴な疑問をお持ちだろうと思います。まったく私どもも同感でありまして、なぜこうなるのかということですが。
一応、働き方改革の中で(行った労務改善策により)人件費は、いったん減ってきているのですけれども。これからまた業容を拡大していく中において、人も増えますし、時給も上がっています。そのようなことを考えたときに、このまま給与が減ることはないですね。対前年では、最低でも1億円は、母数として増えていくだろうと見ています。
それから、広告宣伝も4,000万円程度は積み上げていきます。やはり、売上を伸ばさないことには利益が出てこないことになりますので、拡大を実行する予算も、含めていきたいと思っております。
それから、支払い手数料がございます。これは何かというと、実はクレジットカードの手数料です。飲食でクレジットカードを利用されないお店は、決して少なくないはずなのですけれども。なぜかというと、手数料がけっこうかかるんですね。当社もこの手数料がネックとなって(なかなか全店での)導入に踏み切れませんでした。
一般的には、3パーセント程度の手数料がかかると言われています。ですので、クレジットカードの利用が促進されればされるほど、今まで現金の(支払いをされていた)お客さまがクレジットカード決済に移行したとすれば、その分の利益が減ります。今期(2019年5月期)はその効果が、通年で全額分効いてきますので、(その費用を)計上していく必要があるだろうと(いうことです)。
最終的には売上増(を図る)ということで、決済に関する顧客利便性の改善を、売上増につなげて(手数料の増加分を)回収していくことになります。ただ、差し当たって、現金で払っていた今までのお客さまが、一定数クレジットカードに移行するということであれば、その方たちの決済のために、当社としては新たに、クレジットカードの手数料を負担する部分が発生してくる。これはもう、やむを得ないということです。
それでもクレジットカードを(全店で)導入する価値があるということを(2018年)3月に、経営として決断したわけです。その部分を(業績見通しに)織り込んでいます。
その他、いろいろな経費が増える部分もありますけれども、大きなものとしては、このような部分です。どうしても、前年と同じ販管費の額に留めるのは難しいということです。
その部分を加味した結果、売上の増加にともなって得られる粗利益だけでは、この販管費の増加をカバーしきれないということで、営業利益は5,000万円強の減益予想となっているものであります。
ちなみに、売上を積み上げるためのベースとなっている新規出店を、2019年5月期は3店舗予定しています。うち2店舗は、この秋口くらいまでには、たぶん出店できるだろうということで見ています。その他1店舗を年度内に開店するべく、いろいろな方法や(開店)先を、今は検討している状況です。
以上が、2019年の5月期の業績の見通しでございます。以上を、私からのご説明とさせていただきます。ご質問等は、また後ほどおうかがいするということで、次は石田にバトンタッチさせていただきます。よろしくお願いいたします。
42期業績達成へ向けて
石田満氏(以下、石田):社長の石田でございます。本日は大変蒸し暑くて、なかなか外に出たくない気候でございますけれども、大勢(のみなさまに足を)お運びいただきまして、誠にありがとうございます。
私からは、今後の成長戦略についてということで、お話をさせていただきます。今回は減収減益が続いたものですから、仁科のご説明もだいぶ言い訳がましくなっていたと思いますので、お気になさったかと思いますけれども。
そうは言いつつも、少しずつですが、私のほうで社内変革も進めてきております。これからご説明するポイントで、新しいことにもチャレンジしていこうと考えております。
まずは42期(2019年5月期)。もう始まりましたこの期については、先ほど説明があったとおりで、人手不足は大変深刻になっておりまして、(新規)出店の制約になっていることは事実です。
ただし、ここについては、メディアに取り上げていただいたところもございまして、少し(寿司)職人に関して、採用の地合いはよくなってきたかなと思っている次第です。
ただ、それだけではなかなか収益構造が改善していきませんので、いろいろなことを焼き直しながらやっていくということで、ポイントを4つ挙げました。
1つ目は、銚子丸スタンダードの向上。
2つ目は、人財の確保と育成強化。
3つ目は、収益基盤の強化。このあたりは継続課題でございまして、ずっとやっていることなのですが、もう一度しっかり行うことで質の成長を狙うと、社内では話をさせていただいています。
そして、最後の(4つ目は)新市場開拓の推進です。これは、少しずつ成長を重ねていくということで、「量の成長」として、話をしているところでございます。
銚子丸スタンダードの向上
細かくご説明しますと、「銚子丸スタンダードの向上」は、従前も当然やっていたことなのですけれども。「鮮度やボリュームといった、商品の満足度をしっかりとしたものにする」ということと、「ホスピタリティあふれる劇団員(人財)」。手前どもは(人財を)「銚子丸劇場を支える劇団員」と言っています。人の教育等を、もう一度しっかりやるということでございます。
これはなぜかというと、社内で私は、「良質な外食体験を提供しよう」という話をしています。要は、今までみたいにおいしいものをリーズナブルな価格でご提供するだけでは、ご満足いただけない時代になっている。
そのようなことで、もう一度銚子丸劇場を磨き直して、よい雰囲気のお店を作ること。それから、これはあえて入れておりますけれども、清潔な空間をしっかりとお客さまに意識していただいたうえで、お帰りいただくということです。
(おさらいしますと)まず、コストパフォーマンスのある商品。次に、家族的なサービスのあふれる、よい雰囲気。そして、清掃の行き届いた清潔空間を実感していただきたいと思っています。これを、「良質な外食体験」としています。
このあたりで、全体のお客さまの満足度が上がってくると、来るべきと言っていいかどうかわかりませんけれども、値上げ等の時期が来たときの対応もしやすくなっていくだろうと考えております。今、これらに1つでも欠ける部分があると、値上げをしたときになかなかご理解いただけませんので、まずは足下をしっかりと磨いていくことを考えております。
人材確保と育成強化
そして2番目、人財確保と育成強化です。これはまず、「採用しやすくしなければいけない」ということで、いろいろな条件に手を打ったということです。先ほど仁科からも説明がありましたとおり、働き方改革(の推進)ということで、労働時間をしっかり管理できるようにしました。
それから、人事改革です。お給料が上がっていくことが見えるような説明を(給与制度の再設定により)社内でできるように変えていきました。
また、人財の確保です。これら(労務改善・人事改革)ができあがってくると、だんだん(人財の)確保が容易になるという話です。実際に(寿司)職人の採用については、少し役に立ってきているかなと思っております。
そして、社内教育プログラムの充実です。これは、今までもずっと言ってきていたのですけれども、今回は本格的に、大手経営コンサル会社と一緒に取り組みをしまして、「銚子丸立志塾」を立ち上げました。基本的には、いつでも誰でもその場で勉強できるようにということで、Web動画配信による教育プログラムを、作成中でございます。
もう1つの課題であります、実地訓練にどのような工夫を付け加えていくかについては、今なお進めているところでございます。人財の確保と育成強化は、まだまだ時間もかかりますけれども、しっかりと取り組んでやっていくつもりでございます。
収益基盤の強化…Ⅰ
3番目の収益基盤の強化です。これも、ずっと言い続けているところですけれども、今回は「計画的・効果的な改装・改修をしっかりとやりましょう」ということです。従前ですと、6店舗から10店舗ぐらい改装店(の候補)を挙げるのですが、今回は5店舗に絞りまして、「少しお金をかけてもいいから、しっかりと効果の上がる改装をしてくれ」ということで、担当には指示を出しております。
そして、機械化・省力化の推進です。これは、「あまり機械化すると、銚子丸らしくないぞ」というご意見もいただいてしまうのですけれども。これは必要に迫られて、ある程度機械化できるところは、しっかりと機械化していこうということで、進めています。
「銚子丸らしさ」とか、企業独自の部分にはあまり触れず、手間をしっかりと省けるところに関しては、どんどん機械化していこうということで進めています。
収益基盤の強化…Ⅱ
店舗営業管理の強化です。これは、口やかましくもう1回、FL、(すなわち)原価・人件費を細かく見て、やかましく言っていくぞという宣言でございます。今までもやっているのですけれども、どうも効果がそれほど出てきていないというか、ほうぼうにばらつきがありますので、そこを埋めていこうというものでございます。
そして、計画的なスクラップ&ビルドです。これは本当に大事なことなのですけれども、(今までは)なかなかスクラップができておりませんでした。ですから、ここのところではしっかりと覚悟をもって、スクラップをしていっていると(いうことです)。
ビルドについては、労働サイドでなかなか厳しい部分がありますので、追いついていない状況ではありますけれども、これからご説明する新市場(開拓の推進)のところで、ちゃんと新店を出していこうと考えています。
新市場開拓の推進…Ⅰ
新市場開拓(の推進)です。これは、今までも「商業地域内・繁華街に出していきますよ」とずっと言っていましたが、なかなか不慣れで、ポイントが絞れていませんでした。
しかし、ここ(最近)のところでやっと、都市型コンパクト店ではこの秋口(2018年10月)に、25坪と狭小ではございますけれども、チャレンジのお店ということで、大手町に1店舗出す予定でございます。
商業施設内テナント出店では、これも秋口(2018年11月)になってしまいますけれども、JR松戸駅の「アトレ」というレストラン街に(テナントを)出すことになりました。
そして、3番目です。これも「なんとなく思いつきで」という話になってしまうのですけれども、「出張回転寿司サービス」です。実は、メーカーさんからご紹介を受けて、持ち運びのできる回転レーンを買うことができました。
全長が10メートルなので、20人くらいに寄ってたかって、お客さんとして食べていただけるようなものです。(規模としては)小さなものではありますけれども、銚子丸らしく職人が握って、目の前に流れてくるできたてのお寿司を食べるということです。
今(2018年6月に)1ヶ所で実施したところ、大変好評でございました。ですから、みなさんのところにも、なにかしらの集まりがございましたら、ケータリングよろしく出かけていって、しっかりとしたお寿司を召し上がっていただくサービスができると考えています。少し、裾野が広がったなというところでございます。
新市場開拓の推進…Ⅱ
次は、これも従前から申し上げています、Web媒体の活用強化です。これは、今の主要な顧客層である、少し年代の高い方たちから(若い世代の方たちにも)シフトしなければいけませんので、ファミリー層にリーチしていくところで、これからもしっかりと力を入れてまいります。
そして、新聞広告です。昨年(2017年)一度やりまして、好評だったんですけれども。折込チラシに代わり、新聞の全面広告を出すことで、少し驚きのある(広告の)かたちを定期的に出していこうということです。
ここについては、年代問わずに来店客の開拓ということで、まだいらしていないお客さまに対するアプローチの意味合いで、やらせていただいています。
新市場開拓の推進…Ⅲ
それから、積極的なパブリシティです。まだ(当店に)いらしていないお客さま、または、少しリピートに間が空いてしまっているお客さまに対するきっかけ作りということで、考えています。
また、続きまして(顧客利便性の向上における)クレジットカード(の全店導入)・「平日限定500円ご優待券」の継続も、同じ趣旨でございます。このあたりをしっかりやって、まずは売上を、計画どおり上げていこうと考えています。
企業価値の増大に向けた体制構築と制度の導入
それから、社内のことになりますけれども、監査等委員会設置会社への移行を進めています。これは、取締役会の活性化や、外部の意見をしっかりと聞くということで、社内の体制を大きく変えるつもりで取り組むことにしました。
それから、その下に(譲渡制限付き)株式報酬制度(の導入と)ストックオプション(の発行)について書きました。これも社内の活性化ということで、モチベーションをアップさせることと、株主さまと利害を共有する(ということです)。
また、ストックオプションに関しては、リテンション効果を狙ってのことで、できるだけ多くの社員に権利を与えていきたいなと考えています。
新たな成長戦略
そして、最後に(新たな成長戦略として)図をお示ししました。今までいろいろとご説明したようなことを進めていくわけですけれども、(これは)私の「社長の宿題」です。この上に、ちょっとオレンジ色で上り坂(新市場開拓の推進)を描いていますけれども。新しい成長の芽を、今期からしっかりと作っていくということです。これは、もう誰にやらせてもなかなかできないものですから、「社長の宿題」です。
1年後(2019年5月期通期決算)、またその半分(2019年5月期中間決算)で、みなさんにしっかりとご説明できるような取り組みと成果を上げていきたいと考えています。ここで、2本目の柱を作っていく予定でございます。
ちょっと駆け足になりましたけれども、今期の成長の道筋は、今までご説明したようなところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
質疑応答:今後の出店方針について
質問者1:昨年(2017年)から今年(2018年)にかけて、銚子丸さんの顧客満足率の話題が、いろいろと出ておりました。これだけ顧客満足率の高い会社ですが、今までは(お客さまに)あまり知られていなかったのではないのかなと。これが、お客さまに知られるようになって、逆に「がっかりした」ということもあるのではと思います。
その1つに、(2018年3月以前は、一部の店舗でしか)クレジットカードが使えないということ。これは、私たち顧客の立場からすると、非常にデメリットなんですね。
それと(もう1つは、セルフオーダーシステムの)タッチパネルの設置を進めたこと。銚子丸さんの良さは、職人さんと直接話ができることだと思っています。例えば、タッチパネルで注文をして(寿司を)いただくときに、職人さんと話をすることも、十分に可能だと思うんですね。
このような意味で、利便性の面から見ると(機械化・省力化を進めたとは思いますが)、銚子丸さん(の店舗)に行って、やはりいくつか、ちょっとがっかりしたところがありました。今日のお話をうかがっていますと、そのようなマイナス部分をかなり是正して、今は前向きに取り組んでおられる。
それともう1つは、若者に、どのようにしてお店に来てもらうようにするか。新たに「LINE@」などを使って、(宣伝方法を)変えようとしていらっしゃる。
このようなお話をいろいろとうかがっていますと、このタイミングで、3ヶ年の中期経営計画のようなかたちで、先ほど社長がおっしゃったプラスの部分も含めたかたちで(進んでいくのかなと思います)。
もう1つは、都市型(コンパクト店)や商業(施設内テナント出店)など、このような規模の建物では、何店舗ぐらい出店していきたいのでしょうか? これはおそらく、相当増やせるのではないかという印象を、私は持っているのですけれども。改革についてもかなり力を入れていらっしゃるので、今後の成長戦略に関して、できれば数値を入れたうえで、ぜひ中期経営計画をご発表いただければありがたいです。
先ほど仁科さまからご説明があった、今期のマイナス要因の件。これはおそらく、来期以降は相当なプラスになるだろうと、私は考えていますので。
このようなところに対して、イメージだけでもかまいませんので、社長から今後の出店方針と、新規事業について何かお考えがあるのかどうか、ぜひお話をうかがいたいと思います。よろしくお願いいたします。
石田:ありがとうございます。クレジットカードやタッチパネルなど、本当に(機械化・省力化対応に関して)遅れていた部分を、今までやってきました。タッチパネルについては、確かに(お客さまから)不評を買っていた時期もありました。
しかし、これは(タッチパネルの)内部を改善すればなんとかなりそうなので、システム的な改善とオペレーション的な改善により、今はだいぶよくなってきている状況です。
そのように(改善を)する中で、今回の取り組みは、サラリーマン向けの都市型コンパクト店舗や商業施設内テナント出店を(進めていて、具体的に)何店舗と申し上げられれば一番いいのですけれども。
本当に初めての取り組みでございますので、この秋に2ヶ店の出店具合を見て、本当にその出店(の方針)でいいのか、(それとも)まだロードサイド中心の(ドミナント戦略の)ほうがいいのかの判断を、していきたいと思っています。
今の段階では、どのような規模で何店舗出店するとは(具体的に)言い切れないのですけれども、並行しながらやっていくことは、間違いないと思います。ですから、諦めはしないのですけれども、それだけが成長の芽かというと、そうではないと思っております。こちらにつきましては、実績を見てから(この秋以降に)発表させていただきたいと思います。
また、中期経営計画については、発表はしていないのですが、社内では3年間を中期と捉えて、計画させていただいております。そのような中で、今回(の決算説明において)私が最後に申し上げた「社長の宿題」である、新規事業を進めることについては、「3年間でどれぐらい(までに進める)」という観点で目標としている数字を、(社内では)一応出しております。
ただし、「それでは(具体的に)何をやるのか?」というところについては、まだ検討の段階でございますので、今はあまり大きなことは、申し上げられないのですけれども。やはり、「ある程度の市場規模が見込まれること」「我々のポリシーや経営理念を共有できること」で考えると、魚以外の食品をメインとした外食事業で、だいたい2桁の店舗数を出していけるような事業と考えております。
昨年(2017年)に入社した経営戦略室の室長は、大手外食企業で業態開発をやっていた人間ですので、直営店運営においてはそのノウハウを使って、(魚以外の)新業態の店舗にチャレンジしてみることも、ありかなと考えております。
ただし、それだけでいいかというと、そうではございませんので、FC事業についても、いろいろな本部とお話をさせていただいて、勉強している最中でございます。
いずれにしても、水産物の価格高騰は大変心配な状況にありますので、お魚以外の2本目の柱を、今は検討中ということでございます。
質疑応答:今後の客数・客単価について
質問者2:ご説明ありがとうございました。主に2点ありまして、1つが今期のご計画についてなんですけれども、既存店売上高の客数のご前提とか、もしくは目標のようなものがありましたら、ご説明をお願いいたします。
仁科:ご質問ありがとうございます。客数の計画というお話でございますけれども、先ほどご説明させていただいたとおり、ここ2年、売上高・利益ともに減収減益(いたしました)。その中で客数・売上が減っていて、顧客単価が上がる中で、その分を挽回している状況になっています。
これが、先期の下期にかけまして、いろいろと工夫・努力をした結果、改善傾向を示していて、実績が伴ってきたかなと分析しております。今期は(客数・売上の)いずれも100パーセントから落とさないということを、既存店については考えています。
それに新店の効果を加算していって積み上げたのが、この売上高の計画数値です。したがって、減損等も今期の純利益には組み込んでいません。このような考え方ですので、先期を底にして、今期から浮上していく計画を立てております。以上でございます。
質問者2:ありがとうございます。2点目なんですが、先ほど社長のお話の中で、「クオリティアップして(お客さまの満足度を上げて)いけば、いずれ対応しなければならない値上げにも、比較的うまく対応できるんじゃないか」ということがありました。
これは一般的なお話ですけれども、今は値上げをされている外食(企業)さんが多い中で、その値上げによる単価・客数の減にうまく対応するには、どのような条件が必要とご認識されているのかについて、お願いいたします。
石田:まず、現段階で値上げができる業態は、少し価格の低い業態の方たちだと思っています。我々もそれほど(価格が)高いわけではないのですけれども、2,000円近くの客単価をいただいているところで考えると、今この値上げをやること自体は、大変難しいと思っています。ですから、今はやりません。
「QSC」のすべてにおいて、社内で決めているわけですけれども、ある一定のレベルを超えてきた場合、お客さまの評価がもう一段上がってきて……今は商品しか褒めてもらえてないところが、「接客部分もよくなったね」「お店もきれいになったね」「雰囲気が変わったね」というお褒めの言葉をいただくようになった段階で、原材料価格等を引っくるめて、値上げの必要性を考えようとしています。
それ(値上げ)で落ちるであろう客数に対して、現時点で策があるかと言うと、このあたりについては大変難しいので、「今はこういうことをやります」というものは、ありません。その自信がついたところでは、もう少し出店もスピードアップできると思っていますので、トータルとしては、上がっていく傾向が作れるのではないかと思っております。
質問者2:どうもありがとうございました。
<続きは近日公開>