投資家のためのトレードステーションの活用法

坂本慎太郎氏:今日、僕はセミナー講師ということではなく、どちらかというとプレゼンのプロデュースやIRの質問係という役割です。今日はマネックス証券さんにスポンサーをいただいていますので、トレードステーションの活用法についてお話ししたいと思います。

マネックス証券の葉さんによる「トレードステーションのご紹介」で、トレードステーションの使い方、機能等を説明いただいたと思うんですけど、僕もかなり使っています。トレードステーションは画期的なツールだと思っていまして、機能が満載なんですけれども、難しいという方もけっこういらっしゃると思います。

難しい分、機能は多彩なんです……逆かもしれませんね、ニワトリとタマゴで。多彩だから機能が多い、難しいのかもしれません。その中で僕は「全部使え」というのはなかなか難しいと思うので、基本的には、みなさんがいま使っている機能を1つ1つ置き換えていけばいいかなと思います。

他社さんのツールを使いつつ、トレードステーションを使うのでも、個人投資家としては普通だと思います。ただ、その中でも他社のツールよりはいくつか優れているところがあるので、ぜひ使っていただきたいと思います。

相場に活用できるトレードステーションの機能紹介①

僕はいつも三大機能と呼んでいるんですけれども、マトリックスはフル板です。レーダースクリーンは株価ボード、ホットリストはランキングです。この3つの機能は、他社のツールに比べて非常に優れているところがアピールポイントなのかなと思います。

相場に活用できるトレードステーションの機能紹介②

このフル板をマトリックスというのですが、マネックスさんでもセミナーをやっていまして、ネット上に残っている情報もあります。このフル板が、かなりビジュアルがよくて使いやすいです。先ほど葉さんのお話にもありましたけど、一目で収益が理解できて、出来高もわかります。

ビジュアルで出来高がわかるから、単価・株価ごとに、この株価ではどのぐらい出来高があったのかが、グラフでも表せますし、数字でも表せる。他社のツールにあまりない機能で、ビジュアル面でもいいツールだと思います。

あとは、大量のフル板を出すことができるのは、1つのポイントだと思っています。板でデイトレードをされる方にとって、このフル板は必須だと思っています。なぜかというと、(他のツールは)細かい動きが見にくいんです。例えば、7本値や10本値などは見にくいのですが、これぐらい(ツールの画面を)広げてみると、なんとなくイメージがつきやすい。

また、板が薄いところに注目している方は、(価格の部分が)飛んでいますよね。飛んでいるので、実際に(画面を)圧縮すると、(飛んでいることで、例えば価格が)30円離れているといったことがわからなくて、間違って上値で買ってしまったと言った経験がある方も、多分いると思います。ですので、(スライドを指して)このぐらい広げて板を見たいわけです。そうすると、問題は多分、表示領域なのかなと思います。

みなさんがご自身のパソコンでこれだけを開くと……画面の中にはフル板を1~2枚、もしくは小さくして3枚ぐらいしか入らないという方もけっこういらっしゃるかと思います。今はもう4Kの時代ですので、4Kのモニターを入れると、フル板を大量に出せます。

僕はいつも43インチをおすすめしています。トレードステーションでもキャンペーンや抽選でプレゼントしていましたが、トレステは多画面、大画面に非常に相性がいいんです。そのなかでも4Kのよさはやっぱり表示領域が広いこと。実際に広い分、文字が小さくなるということは、パネルを大きくすればいいという話です。(大きいものを)置けるのであればいいと思います。デイトレーダーやトレーダーは、例えば8画面など、何枚も画面を増やしています。

最近では「トレステPC」とか売ってますけど、最大8画面でトレードできる商品があります。僕は9画面でやっていますが、昔ながらの24インチを並べています。でもいまは、もう43インチ1枚で事足りる。そして、安い。パネルを4枚買ってアームで立てるよりも断然安いですし、スッキリするし、画面は1個だから配線も1本でいいわけです。配線1本、電源1本なので、非常にスッキリしますね。部屋に置くのにもいいですし、ホコリもかぶらないしということで、43インチの4Kモニタ、僕は非常にいいなと思いますね。

このモニタでフル板を出すと、30枚ぐらいブワッと並んで出るんです。これでデイトレするのは、けっこう圧巻です。慣れるまでは「どれを見たらいいの?」となるんですけど、場中では、時間は短縮したいですよね。デイトレをしているとき、お金を出しても買いたいと思うぐらいなので、最初からコードを切り替える手間を省ければ、かなりトレードの効率も上がると思っています。

また、ほとんどの他社ツールでは大量のフル板ツールは出せません。1枚しか出せないものや、3枚しか出せないものがありますので、これをたくさん出せるのは、非常に大きなアドバンテージだと思っています。

この場では、何の話をしようかなと思ったんですけれども、プレゼンばかりしていてもたぶんおもしろくないので、せっかくですから、このフル板を使った戦略……どういう戦略が合っているのかというお話をしたいと思います。

未実現損益とメンタル①

葉さんの話にもありましたとおり、このフル板には未実現損益(が1ティックごとに表示されます)。自分が買って株価が動くと、ティックごとに収益が変わってきますよね。これが(画面の)左に出てくるわけです。(このスライドでは)買っている画面は出てこないんですけど、株数に応じてここの未実現損益が見えるんです。

ですから、例えば1万株買って、100円上がって、そこで売ると「ここまで来れば、100万円儲かるかも」となるわけですね。逆に100円下がると、100万円を損している……そこは見たくないという話ですが、やはり把握しておくべきだと思います。利益は見たいけど、損は見たくないというのは、普通だとは思うんですけどね。

証券会社の方に聞いたことはないんですけれども、すごく相場がいいとき、信用の評価損益率がプラスになっているときというのが10年に1回くらいありまして、そういうときは、自分の損益を見るために、Webサイトのページのアクセスが激増すると思うんです。

未実現損益とメンタル②

みなさんも、儲かっているとき、自分の損益はいくらかなって、何回も見ると思うんです。1日に10回ぐらい見ますという人も絶対いると思います。逆に、マイナスになっているときは見たくないから「今日は見ませんでした」「3日見ませんでした」「株価はこれぐらいだから、おそらくこの程度はやられているけど、見る必要はないな」といって、1週間見ない人も、たぶんいると思います。

そういうかたちで、利益は見たいけれど損は見たくないということがあると思うんですけど、よくお悩みの相談をいただくんです。一番多いのは、あらかじめ決めておいた価格でロスカットができないというものです。

その場合は、決めておいた価格でロスカットできなかった理由を考えてみましょう。これは仕方がないなといえるのは、指数がめちゃくちゃブレてしまって、ロスカットをしたいと思ったところを突き抜けたとき。気づかないうちにそうなるのは、もう仕方がないです。だから、また切るしかないということになるんですけど。

また、売ろうと思っていた玉がなくなったと言う人もよくいます。例えば、(スライドを指して)大きなこの板で、ロスカットの場所はここの1,499円だとします。ここがあと100株ぐらいになったら、僕の100株を投げようかなと思っています。しかし、いきなり大きな売りが来て、1,495円ぐらいまでドカドカドカと売られてしまった。「ロスカットするのは1,499円のはずだったのに、もう売りたい玉がなくなって、売ろうと思ったところに玉が入っていなくて売れなかったんです」という言い訳をする人がよくいるんです。

その場合、また戻ってきたら売ろうというのは最悪です。潔く、その下で叩いて売ればいいというところでは、まだ救いはあるんですけどね。

また駄目なのが、損をしてイライラしてしまうこと。「ロスカットに到達して、ムカついたから切れなかった」「もうどうでもいいよ」とか、ロスカットすると決めていたのに、ここまで下がったんだったら、もう意地でも持っているとかですね。「そこでロスカットを決めていたんじゃないんですか?」となりますよね。ですので、新たなロスカットの水準を定めて、次は守るようにしてほしいと思います。

そして、ロスカットに到達しない……駄目かもというときです。例えば板で言うと、ロスカットポイントが1,492円だとします。(スライドを指しながら)こういう板ならいいかもしれないですけど、これがどんどん下がってきて、ものすごくあつい玉がどんどん出てきて、下がるとでかい玉が上に乗ってくる状況で「これは、どう見ても上には行かないよね」と……。1,492円で切らないといけないよねとなったときに、これはもう駄目だから、1,496円や1,497円でさっさと切ってしまおうというのが、すごく大事かなと思います。これができると、収益が向上します。

兼業も専業も、ロスカットの場所を節目の1ティック前に置いておくとうまくいきますという話で、ある程度トレードをしている人の中では常識ですね。大きい玉の前に損切りする。なぜ損切りをするときは、大きい玉の前でするかというと、大きい玉に向けて売りを打ち込んでくる人がいますよね。そうすると、全部そこの玉がなくなってしまうので、その下で切るしかないですし、切るタイミングを逸してしまうんです。

逆に利益を確定するときも、大きい玉のところに入れておくと、そこまで買われないかもしれません。「でかい玉が一瞬ついた後、抜けなくてそのまま下がっちゃいました」ということも往々にしてあります。ですので、この1円、2円は欲張らずに、その下に置いておきましょう。節目をロスカットに設定している人はやはり多いので、その1ティック前でロスカットしてほしいと思います。

未実現損益とメンタル③

また、「ロスカットができない人へ」というところでお伝えすると、ロスカットは基本的に株価でしていると思います。例えば、ある株価があって、ここで損切りしようかなと。その株価をじっと見ている人はけっこう多いと思うんですけど、今日は発想を転換してみましょう。このロスカットのポイントを、「株価ではなく損益にしたらどうですか」という提案をしたいと思っています。

みなさんは「株価がいくらになったら切ろう」というように、株価でロスカットしていますよね。でも株価でロスカットしていたら、損益がよくわかっていない場合も多い。「いくら損をしたから切る」という考えではなく、「いくらの株価になったから損を切る」という考え方だと、実際の損のイメージがないわけです。「なんとなく損をしたくない」「実現損を出したくない」「切りたくない」となってしまいます。確かに、信用や資金決済ですから、実際に損が確定すると、そのぶん口座のお金がリアルに減ってしまいます。

「いくら損したら切る」ということで決めておけば、実は案外サクッと(ロスカットできます)。そうすれば、「この板がなくなったんですよ」みたいな話は、たぶんなくなるのかなと思います。だから、損益でロスカットポイントを決めるというのはありだと思うんです。

そのようにする理由として、僕はいつもそうなんですけど、ナンピン……僕はナンピンについては完全否定はしないんです。別に、してもいいと思います。実現損でロスカットするのであれば、僕はナンピンしてもいいと思います。

ナンピンの一番の失敗例は、ナンピンして株数が増えて、1,000株だったものを2,000株にしたけれど、損切りをしたい、ロスカットの株価が動いていない場合に、2倍やられてしまうということになるんです。

これを実現損で、例えば「10万円やられたら切る」としておけば、実際に株価が下がったときに、「イレギュラーということでナンピンするけれど、ナンピンしても結局10万円やられたら切る」というかたちにしておけば、何も変わらないわけです。実は、実現損で切ることにすれば、部分的にはナンピンもありになるのかなと思っています。

イメージとしては、本当はこのあたりで切る予定だったけれど、ナンピンする。例えばある部分が10万円やられるポイントだとします。そのポイントまで下がってきたから、これはイレギュラーで、戻るかもしれないからナンピンします。

そうすると、10万円やられるポイントが少し上に行くわけです。だから、その上に行ったところで切る。つまり、ロスカットポイントが可変になるわけです。そう考えると、実現損でロスカットするのは案外ありかなと思います。もうちょっと上級のポジの話をすると、1,000株持ったら500株切ると、ここの実現損は大きく下までいきますが、結局、戻ってきたらまた買い増して、実際にロスカットポイントを変えればいいわけです。しかし、株価にロスカットポイントを置いておくと、これができないわけです。

まとめると、仮にこの実現損のトレードをするとなると、やはり実現損をリアルタイムで見なければいけません。こうしたトレードをしたい方は、トレードステーションを使うのがいいのかなという提案でした。

みなさんに聞いてみます。ロスカットポイントを決められていると思うんですけど、株価を基準に「ここの株価まで来たら切ろう」と考えてロスカットをしている方はいらっしゃいますか? 手を挙げていただけるとうれしいです。

(会場挙手)

坂本:けっこういらっしゃいますね。逆に、実現損……例えば「10万円やられたら切ります」というかたちでロスカットポイントを設定されている方は? やっぱり、いないですよね。この手法はありだと思いますよ。

僕はどちらかというと、実現損でトレードしています。決まったところでロスカットできないと思う方は、この手法を試されてみるとおもしろいと思います。

利益を放置していたら損失に

損のイメージの話になります。いつも言っているんですけど、いま含み損を抱えている方もいらっしゃると思います。でも、買った瞬間からずっと含み損でしたという方は少ないと思っていて、いったん上がって、それから下がってということだと思います。下がってきたときに利益確定しきれずに、トントンまで下がって、さらに下がって含み損になっていると。「昔は利益があったんだけど」というポジションをお持ちの人も多いと思います。

なぜここで損を切れないかという話をしたいと思います。僕も昔はそうだったんですけど、(スライドを指して)買ったときから株価が上がりますよね。例えば、100円上がって、自分は含み益が100円ある。その後、株価が下がってきて、100円あった含み益がここまで落ちて30円になってしまいました。

すると、不思議なんですけど、30円利益があるのに70円損している気分になるんです。だから切れない。これまでに100円の利益があっただけに、戻ってくるまで待ってから売りたいとなるんです。100円とはいわなくても、(利益が)50円まで戻ってきたら売りたいと、そういう思考になってしまって、たぶん戻らないだろうと思っていても、持ってしまうんです。

それでどうなるかというと、プラスマイナスゼロまで行ってしまう。「100円儲かったのに、プラマイゼロになったら、もう切りたくないな」と思って、含み損生活に入ってしまう。こんな悲しいことになっている方も、けっこういらっしゃると思います。これもやはり、実現損益を見て、自分の利益が減っているのをリアルで見ていると、お金を持っていかれたという気持ちになるのかなと思います。

相場に活用できるトレードステーションの機能紹介③

ここからまた、トレードステーションについてです。ポイントは葉さんからお話ししてもらいましたが、僕もサクッとお話しします。「レーダースクリーン」という株価ボードがあるんですけど、このボードは非常に優れているんです。

まず、2,000銘柄入る点。自分が見ている銘柄を株価ボードに入れる場合、他社さんのツールだと、50銘柄ぐらいしか入らないこともあります。それで、タブが何個もあって、ポチポチ押していくと、株価の確認が断続的になってしまいます。

これは、一気通貫で2,000銘柄まで入るので、自分が見ている銘柄はだいたい入ります。上場銘柄の半分以上が入るわけですから、みなさんが注目しているものもきっと入るでしょう。

このボードに銘柄を入れてランキングを作りたいときや、どの銘柄が上がっているかを知りたいときなど、騰落率順に並べることもできます。またテクニカルが好きな人は、200以上の項目が入りますので、それを入力して並び替えもできます。このあたりは非常に優れているので、この機能のためだけでも、マネックス証券の口座を開く意味はあるんじゃないかと思います。

相場に活用できるトレードステーションの機能紹介④

「ホットリスト」に関してですが、これはランキングですね。ザラ場を見ている方、兼業の方など、今日の振り返りでランキングを見ると思います。市場ごとやアクティビティ(項目)ごとに、どんな銘柄がどうなったのかがわかります。

例えば、10日間での上昇率や寄り付いてからの上昇率。また、売買代金や時価総額で設定できますし、業種別でも設定できるんです。ここは、アクティブなユーザーでなくても予習復習で使える、非常にいいランキングツールですので、このあたりも使っていただけたらと思います。

相場に活用できるトレードステーションの機能紹介⑤

アルゴリズムについては葉さんからお話がありました。今日は時間もないので詳細は省略させていただきますが、トレードステーションでアルゴ注文ができるようになりましたので、ぜひ使っていただきたいと思います。

先ほど葉さんからお話があった(スライドに記載の)3つの注文方法が使えるというのは、トレーダーとして1つの武器を手に入れることができたのではないかと思っています、

最後に

トレードステーションさんのスポンサーで、毎週火曜日の20時30分から、トレードステーションの使い方を解説したり、最近は200銘柄のバスケットを売る本がありますが、それを実践するといった番組「Bコミの六つの眼~トレステ出張版~」を配信しています。ここでは、みなさんのお悩み相談や相場の話などをゆるくお送りしていますので、お暇な方は見ていただければと思います。

この番組は1年ぐらい続いていまして、下らない話ばかりしているんですけど、マネックス証券さんの懐の深さもあって、楽しくやらせていただいています。コメントも投稿できますので、ぜひご覧ください。

また、さきほど多画面PCの話をしましたが、多画面PCとトレードステーションは非常に親和性が高いと思っていますので、ぜひ今日を機会にマネックス証券の口座を開設して、多画面PCでトレードステーションを使いながら相場を見ていただけると、実力も向上するかもしれません。

今日の半分ぐらいはトレードステーションの宣伝になってしまいましたけど、含み損との付き合い方などについて、こういう時期なのでお話をさせていただきました。僕の説明はこのあたりで終了とさせていただきます。ありがとうございました。