個人投資家向けIRセミナー

小川誠氏(以下、小川):よろしくお願いいたします。「弊社のビジネスモデルがよくわからない」というお声をよく聞いていますので、私からは改めてビジネスモデルと、今後どのような領域を狙っていくのかを中心に、ご説明させていただきます。

自己紹介

簡単ではございますが、私の自己紹介です。

もともと大学在学中に起業しまして、その流れの中で、2010年にイオレにジョインしています。イオレでは主に、当初から事業面を中心に新サービス等を立ち上げてまいりました。

会社概要

5ページが、弊社の会社概要となっています。設立が2001年、従業員数が82名でございます。

沿革

沿革でございます。

もともとイオレという社名は「オーレ」(という)実は、サッカーを応援する掛け声から始まっていまして、そのサッカーというキーワード(文脈)から、あるサッカーチームの監督に「このような連絡網を作れないか?」という依頼があって生まれたものが、2005年の「らくらく連絡網」でございました。

「らくらく連絡網」の強みを活かしたサービスとして2010年に、大学生に特化したアルバイトメディアとして「ガクバアルバイト」を(運用開始しました)。

2013年に、もともと「らくらく連絡網」で、よく求人媒体社さまの広告をご掲載いただいていましたので、そのアグリゲートサイトとして「らくらくアルバイト」(を開始しました)。

一番の転換期が、2014年でございます。プライベートDMPとして、「pinpoint DMP」の提供を開始したところが、転換期でございました。

そして、2017年12月に東証マザーズに上場した、といった沿革でございます。

事業概要

事業概要としましては、大きく3つの事業から成り立っています。

現状の基幹事業は、運用型広告。こちらはサービスで申し上げると「pinpoint DMP」というサービスになっています。(「DMP」とは)「Data Management Platform」となりまして、簡単に申し上げると、データを保管しておく箱を、自社サービスとして展開しているとご理解ください。データを活用した広告手法となりますので、運用型広告の領域に入ってまいります。

併せて、自社メディアです。メディア事業として、「らくらく連絡網」「ガクバアルバイト」「らくらくアルバイト」を展開しています。

その他に関しましては、広告代理店事業だと思っていただければけっこうです。

事業概要【らくらく連絡網】

(次に)メディアのご案内になります。

2005年にサービス開始しました「らくらく連絡網」ですが、現状38万2,000の団体さまと673万人の会員の方にご利用いただいている、読んで字のごとく、「連絡網」といったサービスになります。

主な利用者としては、1つが大学生です。大学のサークル・ゼミや部活。このようなところの連絡網ツールとしてご利用いただいているほか、子どもを持つ保護者の方々に、PTA活動や子どもの習いごとの保護者連絡網として、ご利用いただいているケースが多いです。

また、向かって右側は、38万2,000団体の団体属性になります。スポーツだけで25パーセントとなっていますが、もう少し分解すると、野球・サッカーともに2万チーム以上が利用いただいているような、連絡網サービスでございます。

事業概要【らくらく連絡網】(続き)

現状、世の中にはいろいろなコミュニケーションツールがございます。その中での、「らくらく連絡網」のポジショニングを示しています。

もともと「連絡網」ですので、50人や100人くらいのオフィシャル団体として利用していただいているケースが非常に多く、連絡を受け取るユーザーからすると、非常に公的であるとか、情報の必要性が高い(特徴があります)。「遠足の持ち物が何か」とか「明日雨が降ったら、練習が中止なのか」。このような情報のコミュニケーションツールとして、ご利用いただいています。

事業概要【ガクバアルバイト】【らくらくアルバイト】

続いてのメディアが、「ガクバアルバイト」と「らくらくアルバイト」になります。

ユーザー目線で申し上げると、同じアルバイトサイトとなっていますが、ビジネスモデルとしては、「ガクバアルバイト」については、大学生に特化したアルバイト求人メディアでございます。収益モデルは、掲載型となります。

「らくらくアルバイト」につきましては、世の中では「ポータルオブポータル」とか「アグリゲートサイト」と呼ばれているものです。いわゆる求人媒体社さまがお客さまになりますので、世の中にある求人媒体社さまの案件をポータル化し、応募者を送客していくポータル事業になります。

事業概要【ガクバアルバイト】【らくらくアルバイト】(続き)

求人媒体のイメージで申し上げると、「ガクバアルバイト」が特化型の求人メディアということで、(他社例を挙げると)インターワークスさんの「工場ワークス」です。また、エス・エム・エスさんの、看護師に特化したところ(のサービス)と同じ分類でございます。

「らくらくアルバイト」につきましては、それらの求人媒体を取りまとめるポータルといった展開になります。ここに(記載が)あるじげんさんや、ここには(記載は)ありませんがキャリアインデックスさんが、コンペティターになっています。

事業概要【pinpoint】

続いて、弊社の「pinpoint」という事業(の説明)になります。

これは、アドテクノロジーという業界の概念図となっています。左側が広告を出稿する方、一番向こうが(ユーザーで)、ユーザーの手前にメディア媒体社があるということでございます。

この業界ですが、簡単に申し上げると、もともとはいわゆる「メディア側」から始まっている業界なんです。Webメディアを展開している会社が、「広告の在庫をどうしても収益化したい」といった(ニーズをもった)ところから、アドネットワークやSSP、アドエクスチェンジのような、取りまとめる機能が入ってまいりました。

一方で、広告出稿主側です。こちらは、少しでも安くメディアを買い付けたい。

つまり、広告出稿主は少しでも安く広告を買い付けたい。メディアに関しては、少しでも高く広告を売りたい。

それを、ここには(記載が)ないのですが、「RTB」、Real Time Biddingという仕組みを用いてマッチングしたものが、このアドテクノロジー事業になります。

もともと日本では、2011年ごろからこの業界が始まっていました。弊社はもともと「らくらく連絡網」を運営していましたので、当初はメディア側だったわけなんです。

ただし、この(アドテク)業界に狙いをつけた際に、弊社は2014年に参入していますので、若干後発でございました。その中で、「『らくらく連絡網』のデータを活かす」というデータサプライヤーとしての機能と、それを保管する箱としてのDMP、この開発に着手いたしました。

また、広告の運用という部分では、よくリスティング広告が例に挙げられますが、最終的には運用する能力によって、広告効果というパフォーマンスが随分変わってくるところは理解していました。

(よって)弊社の(事業)領域は、この赤い部分です。いわゆるデータを提供ないしは格納する、販売をする、広告の運用をする。これが、弊社の「pinpoint」事業の概念となっています。

事業概要【pinpoint】(続き)

「pinpoint DMP」ですが、約2,000万人超の匿名加工化された情報が格納されています。

そのデータソースとしては、弊社の自社メディアである「らくらく連絡網」はもちろんですが、提携企業が有するデータも取り扱いをさせていただいています。これも、例えばCookieやアプリのIDが、端末を識別するIDがございます。

iOSであればIDFA、AndroidであればAdvertising IDという端末を認識するためのIDと、この匿名加工化された情報を紐付けることによって弊社独自のデータを活用し、向かって右側にあるような、LINE・Facebook・Instagram……(これらは)ほんの一例ですが、このようなソーシャルメディアやWeb面に、弊社のデータを活用した広告配信ができるところが、「pinpoint」の強みでございます。

業績推移【四半期別売上高】

続いて、業績のところをご説明させていただきます。進行期も含めた(2015年3月期~2019年3月期の)5期分を四半期ベースで(示した)、売上高推移の表になります。

売上自体は、順調に伸びていっています。かつ、やはり広告業界は、どうしても3月に売上が偏重する傾向にございます。弊社は3月決算でございますので、毎期の第4四半期にちょっと偏重しているという特徴がございます。

業績推移【売上高・経常利益】

売上高と経常利益の推移でございます。

売上高に関しては堅調に推移してきていますが、経常利益に関しましては(前年より減少を予想しており)……今期の予測で申し上げると、売上高が19億円・経常利益が2,700万円といった発表をしています。

「なぜ、このような数値になっているのか?」を、後ほどご説明させていただきます。

2019年3月期 第2四半期累計期間 業績ハイライト

2019年3月期第2四半期累計期間においての、業績の発表となります。

上期が(売上高は)8億1,400万円。前年同期比で申し上げると、19.3パーセント伸長しています。併せて計画比で申し上げると、売上高が2,300万円、営業利益・経常利益・四半期純利益に関しては3,000万円上振れたといったところで、若干ではございますが、上方修正という発表をさせていただいています。

2019年3月期 第2四半期累計期間 業績ハイライト(続き)

(業績予想の上方修正の)要因の1つでもございますが、売上が伸びており、(一方)売上の直接原価に関してはほぼ計画どおりでございましたが、製造原価に関しては抑制できたといったところで、全体的に生産効率を上げることができましたので、収益が改善傾向にございます。

2019年3月期の戦略方針

(次に)弊社の、今後狙うべき戦略です。これは、今期の期初の段階で発表させていただいているものになりますが、その内容と進捗状況をご説明させていただきます。

先ほど、「経常利益が今期はどんと落ちている」と申し上げた要因として、「(2019年3月期は)イオレの転換期」という発表をさせていただいています。その転換期において、このような3つの施策を発表いたしました。

1つ目が、「『pinpoint』を中心とした運用型広告の販売と運用に注力する」ところでございますが、これはどちらかと言うと、採用領域です。人材採用領域に、このアドテクノロジーの技術を用いた運用をしていきます。

2つ目が、「OEM代理店の営業支援体制の強化」です。OEM代理店とは、弊社の「pinpoint」の仕様を軸にオリジナルの名称で販売され、さらに販売先さまがプラスの価値を付けて展開しているサービスでございます。

3つ目でございます。「データベースの連携を強化し、アドテクノロジーを推進」でございます。これは、先ほど約2,000万人超とご説明した「pinpoint DMP」に格納するデータを増やしていく、質を高めていくところの施策でございます。

運用型広告へのシフトの理由

(運用型広告への)シフトの背景をご説明いたします。

人材採用広告市場が、メディア掲載型広告からSNSや自社HPを活用した運用型広告へシフトしていく流れを予測できたところが、シフトの理由でございます。また競争に関しても、「Webの専業代理店さまが、人材採用領域に参入してくるのではないか?」というところ(の動き)が見受けられました。

そして自社においても、LTVの高い運用型広告の案件にシフトしていくところ(の狙い)がございました。自社に関しては、次ページでご説明いたします。

運用型広告へのシフトの理由(続き)

これまでのような自社メディアを中心とした事業体制をこのまま敷いていくことも、当然考えられましたが、「将来の利益を、どうやってもっと確保できるか?」という議論としては、「運用型広告に少しでも早くシフトをしていったほうが、将来の利益が優先できる」というところ(の判断)が、シフトの理由でございます。

もちろん運用型広告は、媒体の仕入れが発生いたしますので、自社メディアに比べて直近での粗利は低いです。ただし、パフォーマンスを重視する広告運用になりますので、非常に案件が長期にわたっていく傾向がございます。

また社内においても、広告を運用するという運用工数は当然高まるものの、自社メディアに比べると、(メディアを作る)開発工数や販売に関する営業工数は低くて済む。

これらの結果、「長期で見ると、運用型広告のほうが収益性が高い」という判断をいたしまして、「(2019年3月期は、イオレの)転換期」といった発表をしています。

第2四半期累計期間 戦略進捗状況(まとめ)

進捗状況でございます。いろいろと書いてありますが、3つの施策とも、おおむね堅調に推移しています。

「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長

まず、全体の売上高になりますが、先ほども申し上げたとおり(2019年3月期第2四半期累計期間は)8億1,400万円ということで、前年同期比で19.3パーセント伸びています。

さらに、それを事業別で区分いたしますと、「pinpoint」及びその他運用型広告が4億6,400万円で、74.6パーセント伸びています。

「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長(続き)

続いて、これは売上の全体の構成比率になります。

前年同期に関しましては、「pinpoint」及びその他運用型広告が売上全体の38.9パーセントであったものの、2019年3月期第2四半期累計期間では57.0パーセントまで構成が変わってきており、順調にシフトは進んでいると申し上げられます。

市場環境

改めて、人材採用領域の背景になるところを、ちょっと詳しくご説明いたします。

向かって左側のグラフは、インターネット広告市場の推移になります。今は約1兆5,000億円が、インターネット広告と言われる分野の市場でございます。インターネット広告の中では、そのうちの77パーセントが、すでに運用型広告にシフトしていっています。

一方で、向かって右側が、人材紹介市場の推移でございます。2016年で申し上げると、約8,000億円が求人広告市場でございます。2,300億円が、有料紹介……人材紹介の市場でございます。こちらを合わせると1兆円となっています。我々が狙っていくべき領域は、この採用領域の中で、運用型広告に採用手法を浸透させていく(という)ものでございます。

HR Tech業界 業界マップ(2018年10月1日現在)

主には、このような領域でございます。求人広告でもいろいろな手法がございますし、有料職業紹介もございます。

最新市場環境の分析①

実はこの構造の変化が(起こっていて)、日本に先んじてアメリカでは、もう徐々に採用領域が運用型広告へシフトしていっています。

時系列で並べています。下が、コンシューマー向けの販促広告という領域です。上が採用広告領域の、アメリカにおける市場の変移でございます。もともと1994年に、「AOL」や「MSN」というメディアが、アメリカで誕生いたしました。

右斜め上にいきます。そうしますと、その数年後に「Monster」や「CareerBuilder」と言われる、いわゆる(ネット上の)求人メディアが登場してまいります。併せて販促広告において、1999年に「Google」「Yahoo!」による、いわゆるPaid Search……リスティング広告が登場しています。その後、採用領域においては、今はみなさまもご存じだと思いますが、2006年にアメリカで「Indeed」が登場しています。

一方で、販促広告領域です。2010年に「RTB」という仕組みを用いて、いわゆる運用型広告が始まりました。今はアメリカにおいて、2016年ごろから採用広告領域においても、Appcastさんという会社さまを中心に、運用型広告へシフトしつつある状況でございます。アメリカ市場の中で申し上げると、約25パーセントくらいが、もうすでにシフトしてきていると言われています。

最新市場環境の分析②

一方で、こちらは日本の推移でございます。すべてアメリカから数年遅れで、日本の市場が移行してきています。

1996年に販促領域において、「Yahoo!」というWebメディアが立ち上がっています。採用広告領域においては、これまで紙が中心だった求人メディアがWeb化されたのが、ちょうど2000年ごろ。日本において、リスティング広告が販促広告で登場したのが2002年。「Indeed」が日本に上陸してきているのが、2009年です。冒頭で申し上げたとおり、日本において運用型広告が始まったのが、2011年からでした。

よって、この流れ等を鑑みますと、近い将来……もしかしたら、今かもしれません。今年か来年、できる限り近い将来に日本の採用広告領域においても、運用型広告に一部シフトしていくだろうと思われます。

市場の背景(である外部環境)としましても、日本においては求人難が加速している。アメリカ発の「Indeed」が浸透してきている。また、新卒(採用)の就活ルール廃止など、求人方法や採用スケジュールが多様化されてきます。また、ネット専業代理店の参入についても、実際に先月、参入を発表された会社さまがございました。

下期の取り組み

これら(のお話しした内容)を踏まえ、「Indeed」に後押しされた運用型広告の需要の取り込みが、順調に進んできています。

今後は、中小企業でも運用型広告が手軽に始められるように、採用ページの構築と最適化が必要だと思われます。

(また)求人企業にとっての効率や、コスト効率を追求する必要がございます。

(さらに)転職や就職をする上で顕在化している層のみならず、潜在層へのリーチも必要になると、弊社では考えています。

下期の取り組み - 新サービス「ジョブオレ」リリース

そこで、来年(2019年)の2月になりますが、「ジョブオレ」というサービスをリリースいたします。

「ジョブオレ」とは、一般企業が、自社で採用ページや採用サイトを簡単に作れるサービスでございます。世の中には、実はこのような管理ツールがたくさんあるのですが、「ジョブオレ」の一番の特徴は、向かって右側でございます。

「ジョブオレ」を導入していただくと「Indeed」や、日本においての「スタンバイ」「求人ボックス」、あとヤフーさん。まだ日本に来ていませんが、「Google for Jobs」。このようなアグリゲートサイトと言われるものに、すべて無料で転載されるようなサービスでございます。

一方、日本において、これだけ労働人口が減ってきているという環境でございますと、(まず)顕在層(の獲得を図ることが必須です)。

この「顕在層」とは(何かと言うと)「どこかのエージェントに登録をした」とか「Googleで転職先を検索した」とか、このようなアクションを起こしたユーザーを、我々では「顕在層」だと思っています。

一方で「潜在層」に関しましては、もうちょっとその手前。なんとなく心の中で「転職したいな」とか、例えば大学2年生で「来年から、就職活動だな」。このような潜在層も、弊社の「pinpoint」で囲っていく必要性があるかなと(考えております)。

ここから先はまだ検討中でございますが、さらにこの運用型広告が、外国人労働者の獲得などにつながる可能性もございます。また、日本の人事は手間暇を非常に嫌がりますので、この仕組みは最終的に、リクルーティングをオートメーション化していくようなもの……ある程度の設定をすれば、業種や店舗にそれぞれ採用予算が振り分けられていくような展開に、つなげていけたらと思っています。

OEM代理店の伸長と効果

それ以外の施策でございます。

OEM代理店です。現状は4社ございます。OEM代理店に関しても、「pinpoint」の指数の中で申し上げると、前年同期比でOEM代理店の占める売上の割合が伸びてきています。

OEM代理店の伸長と効果(続き)

先ほど人材や採用の話ばかりしましたが、OEM代理店を中心に、とくにメーカーや流通さんの案件を取り込んできています。販促系の広告運用に関しても(前年同期比で、プラス)34.8パーセントと伸びてきています。

データベースの強化

3つ目(の施策)でございます。

こちら(左側)は、「らくらく連絡網」の会員推移となっています。今が673万人でございます。これは「純増」というかたちで表記していますが、連絡網ですので、「団体の中の人たちが、常にクリーニングされている」というイメージを持っていただければと思います。大学のサークルでも、(新)1年生が入部したら(旧)4年生は退部していくわけですので、団体の中で人が入れ替わっていると(いうことです)。その中での、純増を示している割合になります。

データベースの強化(続き)

データベースのところ(の強化について申し上げると)「pinpoint DMP」は、(現在)2,000万人を超えるデータの格納するまでになってきています。

今後もこのデータについて、1つは量(を高めていきます)。当然、これを3,000万人や4,000万人に増やしていくということで、量ももちろんなのですが、新しいデータベースセグメント(ということで、質も高めていきます)。

例えば高校生や、先ほど申し上げた外国人留学生のデータベースであるとか。このようなところの(データの)格納が行われると、新たなマーケットの開拓がしていけるというかたちでは、今後も引き続き強化していく分野でございます。

その他の取り組み状況

最後に、その他の取り組みとしては、ユーザーの利便性と運用効率を向上させるために、「ガクバアルバイト」がフルリニューアルされます。

また新しいメディアとして、先ほど「コンペティターさんは、じげんさんやキャリアインデックスさんだ」というお話をしましたが、「らくらくアルバイト」に続き、中途採用ポータル事業の開発の検討を進めてまいります。

業績ハイライト 2019年3月期通期予想(上方修正)

最後になりますが、成長のイメージでございます。

こちらが、上期に上方修正した数字でございます。今期に関しては、売上高で19億円、営業利益で3,000万円、経常利益で2,700万円、当期純利益で1,500万円と予想しています。

強みのある市場性の高い分野にフォーカスして、規模を拡大することを優先していくと(いうことです)。

今後の成長イメージ

できる限り早期に、100億円の売上高を目指してまいります。

狙うべき市場

(成長の)根拠が、次のページになります。

まず、狙うべき市場としましては、とくに採用広告における運用型広告をターゲット市場として、早期にシェアを取りにいくところが急務でございます。

こちらは、先ほどの図でございます。人材広告紹介事業の、約1兆円と言われる市場のところでございます。一部この中に、どうしてもまだ折込求人などの紙メディアが、少ないながらも入っています。

このあたり、Web広告が約66.1パーセントであることと、年率11.8パーセントで伸びているところを鑑みまして(市場性は高い)……(一方)日本において、まだ採用(広告)市場の運用型広告は、ほぼないに等しいくらいだと思っています。

これが、先ほどのアメリカでAppcastさん(の話もあったように)……アメリカが今はだいたい25パーセントくらいまで推移しているところを鑑みますと、日本でもこれが加速していくと、おそらく(近い将来)約1,800億円ないしは1,800億円以上の市場規模になってくると想定しています。

この1,800億円市場のシェアを、どれだけ取れるか? これが弊社としては、今一番狙うべき急務の案件だと思っています。

私からは、以上でございます。

坂本氏より質問:将来的なM&Aの可能性は?

叶内文子氏(以下、叶内):ご説明ありがとうございました。それでは、ご質問タイムに移りたいと思います。みなさまは「運用型広告」って、わかっていらっしゃるんですかね? そもそものところを聞いてもいいですか?

坂本慎太郎氏(以下、坂本):僕もイオレさんは、どちらかと言うと「らくらく連絡網」のイメージしかなくて。それで、今回仕事があるということで掘っていきますと、運用型広告にぶつかりました。「これはどのようなものなのか?」というところが、最初はけっこう理解できなかったんですけど。

(深掘りを)していくことで、「運用型広告をうまく回していくためには、もともとのデータベースがしっかりしていないといけません」ということがわかってきました。そこで、もともとの「らくらく連絡網」のデータが、非常に活きてくるのだろうということがわかりまして。

これは確かに、今から運用型広告の求人市場をとっていく上で、一番のキーとなるパーツを持っていることがわかりました。「らくらく連絡網」をご存じで、使ったことがある方がけっこういらっしゃるとは(思います)。大学生の4分の1が使っているくらい、けっこうメジャーなツールです。若い人以外にも、趣味のサークルで使っている方とかも、けっこういらっしゃるんですけど。

そのようなかたちなんですけど、属性がすごく細かいんです。大学生は「学部」とか「学科」まで入っているんでしたっけ?

小川:学科まで入っています。

坂本:学科まで入っているんですよね。なので、この人は「文系」なのか「理系」なのかだけじゃなくて、どこの「学科」やどこの「大学」なのかというところまで、網羅できているわけです。それを使った運用型広告の将来性と価値(を考えると)、現在の価値は非常に高いと思っていますので、ここの市場を早く取っていくことによって、将来が期待できるなと思います。

あともう1点は、「pinpoint」なんですけど。今回(通期予想を)上方修正していたこともあるんですけど、「利益率がいい」という言い方はできるのかなと思うんです。コストが思いの外かかっていないなというのは、非常に個人的に評価すべき点なのかなと思います。ただ、このレベルでずっといくと、やはりローコストでシェアを取っていくと、将来の収益は見えてくるかなというところです。

このシェアの拡大と売上規模の伸びに着目していくと、今後のイオレさんの収益拡大と業績が見えてくると思うのが、投資家としての目線かな。

叶内:なるほど。やっぱり(「らくらく連絡網」の)データがもともと(で、それが運用型広告に活用できる)ということでした。

すみません、基本的なことですが、「運用型広告ってそもそも何?」というところと……たぶん対極にあるのは、枠買い切り型の広告ですよね。そのあたりと、「採用広告において、運用型広告がなぜこれから伸びそうで、強いのか」をうかがってもいいですか?

小川:基本的にまず、市場を示している「1兆5,000億円」というインターネット広告の、77パーセントが運用型広告なのですが。「RTBという仕組みを用いているか、用いていないか」が、市場としての「運用型広告」の定義になります。

弊社が言う運用型広告と、予約型というもの……例えば、ヤフーさんのページを見たとき、右上に必ず広告が入っています。「来月の何日から何日まで、何回(分)をいくらで買う」と事前に決めている、メディア広告の出稿の仕方が予約型でございます。

一方、運用型広告とは、みなさまもタブレットやPCをお持ちだと思いますが……極端な話ではみなさまにターゲットを定めたときに、今からでも広告を出すことができるんです。このような仕組みでございます。

それを、弊社のデータと掛け合わせる。先ほどの大学生で申し上げると、例えば「東京大学の4年生の男の子」というかたちにセグメントしたものが、弊社の「pinpoint DMP」にございます。その方々が、例えば「LINE NEWS」や「LINE」のタイムラインを見ているときに、実はその子に宛てた広告をすぐに掲示できるというものが、運用型広告となっています。

叶内:非常にピンポイントに、即時性を持って届くということですね。わかりました。それでは、基礎的な用語をうかがったところで、質問に入らせていただきたいと思います。

坂本:時間もあれなので、僕からは1点だけにしようかなと思っているんですけど。

現金が7億円くらいありまして、自己資本比率も8割は超えていらっしゃるということでした。先ほど、じげんさんの話がちょこっと出てきたんですけど。「M&Aを考えていますか?」という質問は、やっぱり成長のイメージを膨らます上では、聞いておきたいところだと思うんです。もし考えておられるのであれば、どのあたりの分野を狙っているのかを教えていただけたらと思います。

小川:もちろん、業績拡大を大前提には考えているものの、M&Aをまったく考えていないわけではなくて。いいお話があれば、現状のテーブルに乗せたり、検討したりするところは進めていっています。

「どのような分野が相性がいいか?」で申し上げると、1つは、データをお持ちの会社さまです。「pinpoint DMP」とデータ連携をする上で、非常に親和性が高そうなところ。

もしくは、我々が今後採用広告市場を狙っていく上では、人事のアカウントをお持ちの求人会社さま。もしくは、やっぱり最終的に運用型広告って、トレーディングデスクという広告を日々運用する人たちの質を高める必要性がございますので、Web広告の会社さまとか。このようなところは、分野として挙げられると思います。

坂本:ありがとうございます。

叶内:ありがとうございます。それでは、みなさまからもご質問いただきたいと思います。

質疑応答:DMP業界での立ち位置は?

質問者1:本日はありがとうございます。3点お願いします。DMPという業界は、たぶん参入しているところがけっこう多いと思うんです。御社の立ち位置的に、DMP業界でどれくらいのシェアを持っているのか。もしくは、そのシェアを広げられるのかという話を聞かせてください。

2点目なのですが、先日「『漫画村』という、非常によろしくないコンテンツに広告を出していた」というところで、その広告媒体として業者がけっこう吊るし上げられていたのを見て、「このようなところに広告を出稿するのは、非常に危険だな」と思っています。

御社としても、そのような危険な場所に広告を出さないように、何か仕掛けなどをしておかないと、出稿主から怒られるん違うかなと思っていまして。そのような工夫や、リスクがあるのかなというのを聞かせてください。

3点目なのですが、先ほどCookieの話があったと思います。ちょっと前にiPhoneで、「Cookieの有効期限をめちゃめちゃ短くしました。それは、個人情報保護を目的としています」みたいな流れがあったと思うんです。

それと、欧州でもGDPR(EU一般データ保護規則)という、「個人情報の扱いを、ちゃんとせえや」みたいな話が世界中でけっこう広まっている中で、日本はあまり進んでいないのですが。

いずれ日本でも、個人情報の扱いは厳しくなるんじゃないかなと思っています。そうなると、御社のデータベースと連結というところにも、やや関係してくるのかなと思っていまして。それの影響について教えてください。以上です。

小川:ありがとうございます。もう、なんか専門的な(笑)。

叶内:すごい質問がきましたね。1個ずついきましょうか。

小川:はい! まず、DMPについてです。市場におけるDMPとは、実は大きく4つに分かれているんです。表があれば良かったのですが……「CRMに特化しているDMP」と、「広告に特化しているDMP」。もう1つの軸が、「サードパーティデータの情報を保有しているDMP」なのか、「ファーストパーティデータを保有しているDMP」なのかに分かれてまいります。弊社の領域で申し上げると、基本は「らくらく連絡網」を中心としたファーストパーティデータかつ、広告に寄っている分野でございます。

その市場で言うと、なかなか弊社のDMPは、実はどの業者でも使えるように開放していないんです。弊社のDMPは、弊社が運用するときにしか利用できないデータとして、かなり閉じていますので。

世間一般の中のDMP市場という中では、まだまだ少ない領域だと思いますが、あえて閉じていることによって、かなり業界の中では特異性のあるところに位置付いているかなと思われます。

2つ目が、「漫画村」さんの問題です。DMPが弊社と接続しているところに関しては、さまざまなDSP業者と接続しているわけではありません。ディスプレイ(広告)で一番大きいものは、GoogleさんのDBMとの接続しています。

もう1つは、「じゃあ、今の広告売上の中心ってどうなっているのか?」ということです。今はほとんどが、ソーシャルメディアでの収益が中心になっています。これは、「LINE」「Facebook」「Twitter」「Instagram」「YouTube」など、もう(すでに)媒体が特定されているものに対する配信を中心とした売上構成になっています。弊社が(出稿先として)考えられるところで申し上げると、メディアがある程度特定できていますので、そのような問題は起きにくいのかなと思っています。

最後の3つ目、Cookieの問題です。これは悩ましいのですが、今「ITP問題」というものが、世の中で出てきています。とくにiOSの「Safari」のブラウザを使った場合に、Cookieの利用をかなり制限している。

そのような問題の中、もともと(運用型広告の)業界ができたのが2011年で、弊社が参入したのが2014年でございます。いい意味で、後発だったかなと思っていまして。実はこの問題が起きることを、事業立ち上げの段階から想定していました。ですので、Cookieとデータベースを連携するというシンク方法も、もちろんDMPの中ではやっていますが、弊社が中心でやっているデータの連携はアプリ面です。アプリのIDとの連携に注力しています。

みなさまが「LINE」などを使う際に、インストールされると思います。このインストールするときにデバイスを特定する、iOSユーザーであれば「IDFA」というIDがございます。Androidユーザーであれば、「Advertising ID」がございます。このIDと匿名加工化した情報を弊社が紐付け、IDでの連携を各媒体さんと行っていると(いうことです)。そのようなところで申し上げると、確かにITP問題などは悩ましいものではあるものの、弊社に関しましては(影響は)限定的なものかなと思っています。以上でございます。

叶内:わかりました、ありがとうございます。よろしいでしょうか? それでは、他にご質問があればお受けしたいと思います。その場でお手をお挙げください。なければ、坂本さんから。もう1問くらいありますか?

質疑応答:同業他社の特徴は?

坂本:そうですね。質問したい部分が、けっこうご説明の中に入っていたので、基本的な質問になっちゃうんですけど。先ほど、御社が特殊だという話をされていたんですが、運用型広告の同業他社の話をちょっとうかがいたいです。あと、同業他社で特徴を持っているというのは、どんな(ものがあるかなと)。

御社には、もちろん「属性がしっかりしたものを持っています」という特徴はあるんですけど、他社さんに、どのような特徴を持っている会社があるのかなというのを、運用型広告の理解を深めたいので、もう少しお話しいただけたらなと思うんです。

小川:実は、もう1年前くらいからずっと、私たちはこの戦略を発表していたのですが。あまり追随する会社さまもなければ、それを発信する会社さまもなかったので、自分自身も「本当かな?」と思っていました。そこでアメリカの市場を調べていたところ、Appcastという会社が、国は違えどベンチマークすべき企業かなと思っています。

ただ、ある程度の競合が日本の中でもないと、市場は作っていけないと思っていますので。先月の(2018年)11月1日、サイバーエージェントさんグループのCyberQという会社が、この領域に特化した会社として立ち上がりを見せてきています。今後も、そのようなネットの専業代理店さまが参入してくる可能性は、非常に高いと思っています。

一方で、「『Indeed』とかを、『運用型広告』と捉えるのかどうか?」という議論はございます。ただ、「Indeed」さんの中でシェアが高いのは、いろいろな代理店さんがある中で、基本的には媒体社さまの案件を扱っている会社さまが多いんです。媒体社の「Indeed」運用を請け負っている会社さまが、どちらかと言うと、「Indeed」で言うと売上が上位になっている。

弊社も「Indeed」の販売・運用は行っていますが、弊社はあくまで(最終的な求人企業である)個社さまに特化していく。1社の求人企業さまから、運用をお受けするところに特化しています。そのようなところで言うと、狙うべき領域は、そのあたりでは(現在のIndeedでの上位競合とは)変わってくるのかなと思います。

坂本:ありがとうございます。もう1問くらいかな? お願いします。

質疑応答:「pinpoint DMP」の強みは何か?

質問者2:本日はありがとうございました。(私も)実際に小さな会社をやっていて、リスティング広告や「Google AdWords」に出しているのですが……最近「Google」が、そのあたりの仕組みがどんどん複雑になってきちゃって、もう面倒くさくなってきちゃったと。もうコンサル担当に丸投げしちゃっている云々もあるのですが、やっぱり実際に選ぶところとしては、「Yahoo!」か「Google」のリスティングになっちゃうんです。

広告主に対する御社の強みと言いますか、「うちは、こんなところが『Google』や『Yahoo!』よりもすごいんだぞ」というのを、ちょっと聞かせていただければと思います。

小川:とくに巨大な企業に、「うちのが強い」とは言い切れないのですが。いわゆるリスティング等って、基本的には嗜好性……本人が打ち込んだキーワードによって、広告表示がなされたりします。

弊社の「pinpoint DMP」では、デモグラフィック情報……「どこに住んでいる」「どこの大学に行っている」とか、例えば「今、看護師をやっている方」であるとか。例えば、そのようなデモグラフィック情報になりますので、データの持ち方がそもそも違うというところと、データの精度がちょっと違ってくるのかなと(考えています)。

先ほどもDMPの話がありましたが、世の中のDMPは、基本的にほとんどがみなし属性です。基本は「たぶん30代だろう」「たぶん女性だろう」というみなし属性で構成されている中で、弊社の「pinpoint DMP」は、データの質というところでは、他社とはちょっと違うのかなと思っています。

弊社は実は、リスティングも行うことはあるのですが、基本的には採用与件を聞かせていただきます。「どのような方々を採用したいのか」を、弊社の「pinpoint DMP」からセグメントいたします。当然、その人たちが求職の「顕在層」なのか「潜在層」なのかを、我々では判断していません。

ふだん常に使うツール……例えば「LINE」「Twitter」や、年配の方でしたら「Facebook」など。このようなところに、セグメント情報をもとにした採用広告を、基本的には掲示していく手法になります。

ただ、「リスティングって、難しい」と思うのが、リスティングは基本的に入札をして、価格の高い順に表示されるという仕組みで、実は求人媒体社さんがもう上位を占めちゃっているんです。なので、リスティングという手法で言うと、求人媒体社さんに(は入札価格と案件数で、個社は)どうしても勝てなくなってしまうというところは、かなり影響としては受けていると思います。

叶内:広告も、いろいろですね。ありがとうございました。