市場環境/経営環境

馬場信輔氏:馬場でございます。本日は大変お忙しい中、あおぞら銀行の2018年度の中間決算説明会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、まず私から、本年度中間期における当行の取り組みと成果につきましてご説明をさせていただき、そのあとCFOの関澤より、本年度中間決算についてご説明を申し上げます。

それでは、3ページをご覧ください。2018年度上期の経営環境ですが、グローバルには米国や欧州の中央銀行の金融正常化への動きや貿易摩擦の顕在化等、世界経済の不確実性が高まっている一方、国内におきましては低金利環境が長期化し、銀行にとりましては難しい経営環境が続いております。

市場環境といたしましては、米ドル金利についてFRBの政策を受け、3ヶ月もののTIBORが前年同上期に比べ、1パーセント程度上昇したほか、米国長期金利も10年ものの利回りが3パーセントを超える水準にまで上昇する動きとなっております。

また、日経平均株価につきましては、足元の(2018年)10月以降は不確実性の高まりを反映いたしまして、ボラティリティも高まっておりますが、上期中につきましては、総じて言えば海外動向に対する警戒感はあったものの、トレンドとしては緩やかな上昇基調かと判断をしております。

2018年度中間期の総括

このような環境のもと、当行は本年(2018年)5月に公表いたしました、中期経営計画のビジネス戦略の推進に努めてまいりました。難しい経営環境の中、スライドの前年同期実績からの粗利益増減内訳のグラフでお示ししておりますとおり、個別には濃淡強弱はあるものの、全体として粗利益は、ほぼ中期計画の5割。おおむね期初の業績予想に沿った進捗となっております。

また、新規分野といたしましては、3年前からGMOインターネットとの合弁事業として準備を進めてまいりましたインターネット銀行事業を、予定どおりこの7月に開始しております。

今後もリスク管理の徹底に留意するとともに、環境変化に応じ柔軟に対応しつつ、収益減の多様化をさらに進めてまいりたいと思っております。

2018年度中間期の取組みと成果(1)

それでは5ページ以降、個別業務ごとに簡単にご説明申し上げます。

まず、リテール業務につきましては、中期経営計画におきましてシニア層のマス・アフルエント顧客の資産運用専門銀行として、お客さまに信頼され選ばれる金融機関を目指す。それを基本方針として、専門性の高い丁寧なコンサルティングの強化等に取り組んでおります。

そうした取り組みの成果もあり、投資性商品の預かり資産は着実に増加しており、本年度の日経ヴェリタス 「銀行リテール力調査」の店頭サービスランキングにおきましては、全国銀行中第1位のご評価をいただくことができました。

さらに、店頭でのご相談時間も夜8時まで延長を拡大する等、さらなるお客さまサービスの向上に向けた各種取り組みを進めているところでございます。

次に、金融法人業務におきましては、地域金融機関と共同した地方企業の課題解決の取り組みを行っております。M&Aアドバイザリー子会社「ABNアドバイザーズ」は、全国の地域銀行の約半数と業務提携を進展させていただいております。全国の中小企業の事業承継の問題解決に向けた取り組みを進めております。

また、地域創生を目指す事業承継ファンドには、現在8行の地方金融機関からの出資を決定していただいております。

2018年度中間期の取組みと成果(2)

次に、6ページをご覧ください。企業ファイナンスの分野でございます。

こちらの分野では、成長戦略分野の1つと位置付けておりますプライベートエクイティ投資におきまして、この(2018年)6月にAJキャピタル、7月にはあおぞら企業投資と、ファンド運営会社2社を新たに設立しております。

これらのグループ会社の機能も活用しまして、各種ファンドの設定活用を進めておりまして、すでに投資先のExitの実績も出始めております。

スペシャルティファイナンス業務および国際業務におきましては、クレジットのサイクルを慎重に見極めた案件の取り組みによりまして、引き続き安定的な収益確保を図っております。海外向け貸出におきましては、米国を中心とした良質な貸出の選択的積み上げに努めておりまして、第1四半期は大口案件の期限前償還がありまして、ドルベースの残高が純減いたしましたが、この中間期におきましては再び純増ベースを取り戻しております。

2018年度中間期の取組みと成果(3)

続きまして、7ページでございます。

こちらは、「New Horizon」……新たなビジネス分野への開拓への取り組みで、冒頭にも触れましたとおり、本年(2018年)7月には、GMOあおぞらネット銀行がインターネット銀行事業を新たに開始しております。

法人のお客さま向けに、入金消し込み業務を軽減する「振込入金口座」や、個人のお客さま向けに利用目的別に口座を管理できる「つかいわけ口座」。こういったバーチャル口座をご提供しておりますほか、価格競争力がある外貨預金、あるいはクリック証券との連携サービスとして、証券コネクト口座を用意しております。

こうしたものを当面の主力商品と位置付けまして、あおぞら銀行の顧客基盤とは異なります個人・法人のインターネット顧客に対しまして、利便性の高いサービス提供を目指しております。

バーチャル口座のサービスにつきましては、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営されておられます、「トラストバンク」との納税決済サービスですでに業務提携するなど、ビジネスが拡大しているところでございます。

2018年度中間期の取組みと成果(4)

続きまして、8ページです。その他のトピックスを、何点かご紹介させていただきたいと思います。

当行は本年(2018年)8月に、自行ATMをすべてゆうちょ銀行ATMに置き換えることに決定いたしました。引き続き経営資源の配分にメリハリをつけながら、個人の資産運用サービス等の注力分野を拡充してまいりたいと考えてございます。

またESGや、あるいは働き方改革。こうした面でも「あおぞららしさ」を追求しまして、持続的成長に向けて、こちらに記載しておりますような取り組みを行っております。

株主・投資家層の裾野拡大

最後に、当行株主の状況についてご説明させていただきます。

本年(2018年)9月末の株主構成は、左上のチャートのとおりで、個人株主・海外機関投資家・国内金融機関の構成に、大きな変化はございません。また、株主・投資家の裾野拡大の観点から、機関投資家に向けたIRに加えまして、個人投資家向けIRも引き続き積極的に進めております。

個人株主の数は約7万1,000人でございまして、この3年半前と比較いたしますと、約1万4,000人の増加になっております。当行は、今後とも株主にとりまして、あおぞららしさに磨きをかけまして、安定的な株主還元と健全な財務基盤の維持強化を図ることによって、企業価値の向上を目指し、株主のみなさまのご期待の応えたいと考えております。

以上で、私からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

Ⅰ. 決算ハイライト

関澤行雄氏:関澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。引き続きまして、当2018年度中間期の実績について、ご説明させていただきます。

資料は、13ページ以降になります。まず資料の13ページに、この中間期の決算のハイライトということで何点か記載しておりますが、さっそく中身の説明に入らせていただこうと思いますので、資料の14ページにお進みください。

Ⅱ. 損益:概要

この中間期は、トップラインの粗利益が前年同期比7億円増加の448億円、実質業務純益は前年同期比1億円減の212億円という実績になっております。その下の与信関連費用は、貸倒引当金の戻入れ等によりまして30億円の益となりましたほか、株式等関係損益については、(2018年)4-6月期にリクルート株式の一部を売却で計上した51億円の利益でございます。以上によりまして、経常利益・税引前当期純利益は296億円になっております。

法人税等につきましては90億円の費用でございまして、ボトムラインの親会社株主純利益は前年同期比で18億円減少し、業績予想430億円に対する進捗率はほぼ5割で、49.7パーセントの213億円という結果になっております。

Ⅱ. 損益:連結粗利益

続きまして、15ページは粗利益の概要でございます。

Ⅱ. 損益:連結粗利益 ー 資金利益 ー

16ページは、資金利益でございます。

まず、運用サイドにつきましては、貸出の平均残高が増加いたしましたことに加えて、米ドル市場金利の上昇を受けて、貸出金の利回りも上昇いたしましたことで、貸出金利息が前年同期比で51億円増加。有価証券利息配当金につきましても、ETFの分配金の増加などが寄与いたしまして、前年同期比44億円増加。資金運用収益は、全体で前年同期比95億円の増加となっております。

一方で、米ドル市場金利の上昇の影響によりまして、資金調達も増加しておりますけれども、費用の増加は前年同期比で74億円でございまして、ネットの資金利益は前年同期比21億円増加の270億円になっております。

この間、利ざやの動きにつきましては右側のグラフのとおりでございまして、資金運用利回り・資金調達利回りともに約31bpsほど上昇いたしました。結果、ネットの資金粗利ざやは前年同期比で2bpsほど改善、1.36パーセントになっております。

Ⅱ. 損益:連結粗利益 ー 役務取引等利益・特定取引利益 ー

資料の17ページにお進みください。続いて、非資金利益でございます。

非資金利益のうち役務取引等利益につきましては、この(2018年)7-9月期は、中間期末に向けた貸出案件の積み上がりもございまして、4-6月期に比べてかなり大きく伸びはしましたが、残念ながら前年同期比では11億円減少の46億円という実績になっております。

その下の特定取引につきましては、引き続き日本円の市場金利が低位で安定的に推移する環境のもと、お客さまはなかなか様子見の姿勢が強まりまして、金融法人のお客さま向けデリバティブ関連商品の販売が思ったようには伸ばせなかったということでございまして、前年同期比22億円減少の54億円という実績になっております。

なお、右側のグラフの個人のお客さまへの投資性商品販売に係る利益につきましては、不透明な市場環境のもと、保険および仕組債の販売は比較的堅調に推移したんですけれども、一方で、投信の販売がなかなか伸び悩みまして、前年同期を下回ったこともございまして、収益的には前年同期比3億円減の32億円という実績になっております。

Ⅱ. 損益:連結粗利益 ー その他業務利益 ー

資料の18ページは、その他業務利益でございます。

表の上段、国債等債券損益につきましては、REITの売却益等の計上によりまして、21億円の利益になっております。

表の下段、国債等債券損益を除くその他業務利益につきましては、組合出資損益が49億円の利益で前年同期比8億円増加と、堅調に推移したこともあって、そのほか一過性の利益も含めまして、全体では前年同期比で14億円増加の55億円の利益になっております。

このうち組合出資損益につきましては、不動産関連は前年同期がかなり好調だったことの反動もございまして、表に記載のとおり、前年同期から14億円ほど利益を減少しているんですけれども、一方でバイアウト関連の組合出資とLP投資に関しましては、投資先の上場による利益等が順調に積み上がりまして、前年同期を大きく上回り、全体では前年同期比8億円の増加になっております。

Ⅱ. 損益:経費

続いて、資料19ページの経費でございます。

経費につきましては、前年同期比9億円増の236億円という実績になっております。増加の主な要因は、注力分野における要員の増強ですとか、先ほど馬場からご紹介申し上げました通り、今年(2018年)7月に開始いたしましたインターネット銀行事業が、本格的に事業を開始したことが大きく影響しています。

ただし、引き続きコスト・コントロールには努めておりまして、通期計画……今年度期初の業績予想では、年間の経費を520億円で計画していたんですが、これに対する進捗率は45.4パーセントと、インターネット銀行事業の開始が第2四半期からだったことを勘案しても、当初計画を下回る水準での推移になっております。

OHRについては、52.7パーセントでございます。

Ⅱ. 損益:与信関連費用

資料の20ページは、与信関連費用です。

与信関連費用につきましては、当中間期は引き続き、不良債権の新規発生はごく僅かに止まる一方で、債務者の状況の改善に伴う一般貸倒引当金の戻入益の計上がございまして、与信関連費用は30億円の利益となっております。

貸倒実績率の低下が続いて、ここ数日間貸倒引当金の取り崩しが続いてきておりますけれども、従来からの引当方針には変わりなく、当期末の貸出金全体に対する貸倒引当金の比率は1.53パーセントで、まだ比較的高い水準を維持しているところです。

表の右側は、金融再生法開示債権でございますけれども、2018年の3月末から21億円増加いたしまして、期末残高90億円。開示債権比率は、0.33パーセントが9月末の実績でございます。

Ⅲ. バランスシート:調達

続いて、バランスシートでございます。資料の22ページをご覧ください。

まず、バランスシートの調達でございます。預金および債権、社債残高を合計いたしましたコア調達の金額は、2018年3月末比1,551億円増加いたしまして、3兆3,836億円となっております。このうち、個人のお客さまからの調達の割合につきましては、53パーセントでございます。

Ⅲ. バランスシート:貸出 ー 全体・国内業種別 ー

資料の23ページは、貸出金でございます。

貸出金は、全体では2018年3月末比で431億円増加いたしまして、2兆6,544億円という期末残高になっております。引き続き、適切なリスク・リターンを確保することを重視する運営は継続しておりまして、国内向け貸出は319億円の減少となりました一方、海外向け貸出につきましては、751億円の増加。

結果、(2018年)9月末の貸出比率は2パーセント程度上昇いたしまして、39.5パーセントになっております。

Ⅲ. バランスシート:貸出 ー 海外向け ー

24ページは、海外向け貸出でございます。

海外向け貸出につきましては、第1四半期に一部大口の繰上返済があった影響で、ドルベースで見ると純減になっていたことがございましたけれども、第2四半期純増ベースを回復いたしまして、円ベースでは751億円の増加。ドルベースでも、7,200万ドル程度の増加になっています。地域別では、引き続き北米の割合が79パーセントで、大きな変動はございません。

Ⅲ. バランスシート:有価証券

資料を1ページ飛ばして、26ページにお進みください。続いて、資産サイド有価証券でございます。

有価証券は円安の影響も含めまして、外国国債およびETFを中心に、2018年3月末比1,418億円増加して、1兆2,816億円という期末残高になっております。当期末の評価損益は、表の右側ですけれども、3月末から28億円増加して613億円の評価益となっております。

なお、みなさまにすでにご案内のとおり、私どもは株式の一部と日本株ETFについてヘッジをしておりまして、そのヘッジ分を勘案いたしましたネットの評価損益は、105億円の利益でございます。3月末に比べれば122億円減少で、6月末比では37億円の増加となっております。

Ⅳ. 自己資本比率(速報値)

資料の27ページは、自己資本比率でございます。

自己資本比率につきましては、中間期の(2018年)9月末の、まだ速報値でございますけれども、国内基準で10.14パーセント。私どもは、中期計画では自己資金比率の目標を10パーセントに置いておりますけれども、目標をクリアする水準でございます。

Ⅳ. 配当の状況

最後に、28ページは配当金でございます。

みなさまにすでにご案内かと思いますけれども、第2四半期の1株当たりの配当金については40円ということで、決定させていただいております。四半期ベースでの配当を継続しておりまして、第1四半期と同額の40円で行っております。

私どもは、引き続き規律あるバランスシート運営とともに、収益の多様化を図っていくことによりまして、業績目標の達成を目指してまいりたいと考えております。

以上で、2018年度中間決算の説明を終わります。