今期中期経営計画の進捗状況-4本の戦略の柱-

花井陳雄氏(以下、花井):まず、中期経営計画の振り返りから始めたいと思います。

今期中期経営計画の進捗につきまして、少し説明したいと思います。我々が定めた4本の戦略の柱のそれぞれについて、この2年間を通して見ますと、多くの進捗がありました。

「グローバル競争力の向上」という面では、多くの薬剤開発において、多くのマイルストーンを達成することができました。残念ながら「ARQ 197」の開発は中止となりましたが、グローバルでは「KRN23」「KW-0761」、国内では「KHK7580」「RTA 402」などの開発が順調に進捗しています。

また、欧米の子会社は、もともとプロストラカンという名前でしたが、これを「協和キリンインターナショナル」という社名に変更しております。

次に、「イノベーションへの挑戦」でございますけれども、これにつきましても多くの薬剤で、重要な開発マイルストーンを達成することができました。一方、KW-0761の固形がん分野での開発については、ご存じのとおり大変厳しい競争環境であるということで、当初の見込みより開発が遅れて進んでおります。

また、先日プレスリリースしましたけれども、我々の創薬モダリティの戦略にあわせて、一部研究所の組織の改編も行っております。

「卓越した業務プロセスの追求」では、サプライチェーンやファーマコビジランス(医薬品安全性監視)体制のグローバル化を推進し、開発組織のグローバル体制も強化しております。

国内では、営業のエリア戦略の展開を進めております。また、2009年より進めてきた生産基本戦略を完了させておりまして、生産能力の効率化を高めました。

「健康と豊かさの実現」という点では、新薬への積極的な投資を、継続して行ってまいりました。また、「ネスプ」のオーソライズドジェネリックや、BSビジネスも進めてまいりました。

さらに、協和発酵キリングループのグループ会社である協和発酵バイオ(KHB)とキリングループ企業のコラボレーションにより、予防・未病への対応として、新たなプロジェクトが進んでおります。

中期経営計画策定時からの環境変化と2018年の位置づけ

現時点までの今期中期経営計画は、一言に言いますと、非常に順調に進捗していると思います。

一方で、当然ですが、この中期経営計画を策定した2016年初めの状況と比べると、(2018年では)すでに、外部環境が大きく変化しているといえると思います。

これを踏まえまして、2018年は中期経営計画折り返しの年として、目標達成のために協和発酵キリングループ全体で、必要な打ち手を着実に実行していきます。

いくつか例を挙げますと、アジア統括会社設立によるアジアビジネスの強化・グローバル製品供給体制やファーマコビジランス体制の強化・創薬モダリティにあわせた研究所の体制強化などを進めております。

もちろん適切な権限移譲も踏まえて、協和発酵キリングループ全体のグローバル化の、さらなる強化に取り組んでまいります。

中期経営計画では、2018年は投資フェイズから飛躍フェイズへの移行元年となりますので、とくに欧米市場でグローバル戦略品を着実に上市し、しっかり市場浸透させていくための施策に取り組んでまいります。

2017年度 連結決算概況(前年対比)IFRS

次に、2枚のスライドで2017年度の決算のサマリーをご紹介いたします。

こちらがまず、IFRSベースでの(連結決算概況の)前年対比の結果でございます。ご覧のとおり、大幅な増収増益を達成することができました。

売上につきましては、「ベンラリズマブ」関連の技術収入等が非常に大きかったと考えております。また、持分法投資損益も、IFRSベースでは大きく改善するかたちとなりました。

結果として、コア営業利益でプラス186億円、当期利益でプラス124億円の増益決算となりました。

2017年度 連結決算概況(予想対比)IFRS

続いてこちらが、業績予想との対比になります。

マイルストーン収入の会計処理の変更や、経費(販管費)未消化、為替影響のプラス要因がありました。また、大変厳しい環境の中ではございましたけれども、国内事業が堅調に推移したということで、計画に比べても(利益を)上回ることができました。

今回、初めてIFRSベースの決算でございますので、わかりづらい点も多いかと思いますが、この点につきましてはこのあと立花(和義氏)より、しっかり説明していきます。

連結:当期利益の前年対比分析 IFRS

立花和義氏(以下、立花):それでは財務セクションにつきまして、立花から座って説明させていただきます。

11ページをご覧ください。左側(の黄色のバー)が2016年の当期利益、右側のオレンジ色のバーが2017年の当期利益になります。弊社は第4四半期からIFRSを適用しておりますので、2016年も比較年度として、IFRSの数字でございます。

IFRSベースでいいますと、売上総利益と持分法損益が、大きくプラスになっております。持分法損益につきましては、(もとの)日本基準から、2016年につきましてはIFRSベースで減損損失が入りましたので、その分大幅な改善というかたちになっております。当然FKB(協和キリン富士フイルムバイオロジクス株式会社)における開発費用も、減少しております。

セグメント別決算概況 IFRS

次の12ページは、セグメント別に見た数字でございます。医薬セグメントにつきましては微増収、51パーセントの増益となります。

バイオケミカルは若干の減収でございますが、(前年比)29パーセント、16億円の改善ということになります。

予想については右側の欄に書いてありますが、これにつきましてはAppendixなどでJ-GAAPとの比較も示しておりますので、そちらもご参考ください。

医薬:売上収益の前年対比分析 IFRS

13ページでございます。これは、医薬セグメントにおける売上収益のIFRSベースの前年対比でございます。

国内医薬品は、マイナス40億円です。右側の解説文を見ていただけたら、わかると思います。

(医薬の売上収益については)15ページに主要製品の売上収益がございます。「レグパラ」は減収しておりますが、「ジーラスタ」「ノウリアスト」「オングリザ」等の新製品群は、堅調に推移して増収になっております。

海外医薬品は「Abstral」等、アジアが引き続き堅調でございます。

技術収入は、ベンラリズマブに関わる技術収入が増加して、為替のプラス3億円がございますが、57億円の増収になります。

医薬:コア営業利益の前年対比分析 IFRS

(1ページ戻りまして)次の14ページは、コア営業利益でございます。(2016年1-12月の)335億円から(2017年1-12月は)505億円ということで、170億円の増益になっております。

売上総利益の増加は、技術収入等の増加がメインでございます。

そして、持分法損益の改善がございました。

研究開発費は、後期開発品の費用の減少等もございまして、前年よりは減少しております。

医薬:主要アイテムの売上収益 IFRS

(先ほどお話ししましたが)15ページが、主要製品の(売上収益の)推移でございます。

ネスプにつきましては、若干減少していますが、ほぼ前年並みでございます。

レグパラ・「アレロック」「パタノール」等が減収になっておりますが、(一方で)ジーラスタ・ノウリアスト・Abstralは、欧州中心の売上でございますが、プラスでございます。

技術収入も、全世界であわせて57億円の増収になっております。

バイオケミカル:売上収益の前年対比分析 IFRS

16・17ページでは、バイオケミカルについてお話しします。まず、16ページの売上収益でございます。

(2016年1‐12月の)818億円から(2017年1‐12月の)811億円ということで、7億円のマイナスになっております。

為替の影響が11億円ございますので、約20億円の減収になっておりますが、その他のマイナス19億円というのが、大きな要因でございます。これは、協和発酵バイオの子会社である協和エンジニアリング社……これは、工事とかをマージナルとする会社でございます。そこの売上が減少したということが、(その他の減収要因の)中心でございます。

バイオケミカル:コア営業利益の前年対比分析 IFRS

17ページが(バイオケミカルの)コア営業利益でございます。

(2016年1‐12月の)56億円から(2017年1‐12月の)72億円ということで、16億円の増益でございます。為替の影響が6億円ございますので、10億円程度、利益が増加したということになります。

主なものは、売上総利益でございます。国内事業が堅調だということと、タイ工場を稼働させたのがだんだん計画どおり(の製造コストダウン)になってきまして、原価が改善したということでございます。

2018年度 連結業績予想 IFRS

2018年度の予想につきまして、3ページほどスライドを用意させていただきました。

19ページは、全社でございます。売上収益につきましてはマイナス184億円、5パーセントの減収を見込んでおります。コア営業利益につきましては67億円の減益、当期利益につきましては協和メデックスの譲渡益・評価益等がございまして、11億円の増益となっております。

医薬:2018年度業績予想 IFRS

セグメント別に見ますと、20ページが医薬品になります。

売上収益につきましては、マイナス138億円です。これは、日本における薬価改定の影響が約100億円ございますので、その分があるということと、協和メデックスがこの(2018年)1月4日に連結除外になりまして、この売上の約120億円がマイナスになるということが、メインでございます。

売上総利益につきましても、売上収益の減収に伴ってダウンするということもございますが、一方で技術収入・海外医薬品が増加するということでございます。

販管費につきましては増加を見込んでおりますが、これはKRN23の販売費の増加を見込んでおります。

持分法の投資損益につきましては、開発費が減少いたしますので、10億円の改善を見込んでおります。

バイオケミカル:2018年度業績予想 IFRS

21ページは、バイオケミカル事業でございます。売上収益につきましてはマイナス51億円、6パーセントの減収を見込んでおります。コア営業利益につきましては、若干ではございますが、8億円の増益を見込んでおります。

これは全体的に、高採算品へのビジネスを集中しようということでございます。従いまして、売上数量や売上高は若干ネガティブになりますけれども、利益は確保していく方針でございます。

一方で、ファイテックの事業譲渡をしておりますので、この分が売上収益から除外されるということになります。

株主還元について

22ページは、今年度の配当につきまして記載しています。期末配当を2円増配ということで、年間配当が27円になるということです。

2018年の配当につきましては、取締役会では30円と方針を決めております。従いまして、このグラフにありますように、2016年度の25円から、2017年は27円、2018年は30円と、安定的に配当をしてまいりたいという方針でございます。

為替関連情報 IFRS

長くなりますが、Appendixを少し確認させてください。

38ページが、為替関連情報でございます。期中平均為替レートで売上収益を計上しておりますので、これをご参考いただければと思います。

為替の影響額につきましては、下の欄をご覧ください。

2017年度 日本基準 vs IFRS 差異分析

40ページと41ページで、日本基準とIFRSの会計で、どこがどう変わったかということをご説明します。40ページが、2017年度でございます。

ここを見ていただきますと、日本基準におけるコア営業利益の486億円というのは、日本の営業利益からスタートして、のれんの償却額を戻して、持分法投資損益をプラスマイナスするという計算方法でございます。

一方で、右側のIFRSにつきましては、売上収益からスタートいたしまして、売上総利益を引いて、販管費・研究開発費を引いたものということになります。当然、持分法投資損益も取り込んでの話になります。

その他の収益・費用につきましては、従来の特別損益とご理解いただけたらいいと思います。ですから、特別損益はコア営業利益からは外して、税前利益に含まれるということでございます。

(IFRSの)コア営業利益は577億円ということで、前年対比で92億円増加しております。主なものは、導入費用です。例えば「テナパノール」を2017年に導入いたしました。日本基準では一括費用処理になりますけれども、IFRSでは資産に計上して、それを償却してくださいという処理になります。それがいくつかございますので、そういうものをすべて、資産に計上したものでございます。

それから、導出収入です。ライセンスアウトしたものでの、いただいた一時金等を資産に計上して、それを収益に適切な年度に応じて計上していくということになります。

当期利益の差異が165億円ございますが、主なものはのれん(の非償却)で125億円、導入費用等は税効果をとりますので、その分を引いて入ってきます。また、IFRSでは減損損失について、資産に上がったものが開発中止になりますと、インプロセスR&Dの資産が減損になりますので、そこが減っているということになります。

2016年度 日本基準 vs IFRS 差異分析

41ページに、2016年度(の差異分析)が書いてあります。

比較年度として、2016年度もIFRSに変更しているわけですけれども。ここにおいては、持分法投資損益のマイナス60億円が、右のIFRSにおいてはマイナス124億円になっております。この差が大きいんですけれども、ここは減損でございます。

IFRS上に無形固定資産をいったん上げて、それを減損にするというかたちをとっております。これは、協和発酵キリンの会計としまして、単体で貸倒損失を計上しましたので、それを直したかたちでのIFRSになります。

2017年度 連結決算概況(前年対比)J-GAAP

日本基準における2017年(の連結決算概況)が、こちらにございます。42ページを見ていただきますと、日本基準においては営業利益・経常利益までは、だいたい若干のプラスでございますが、予想並みということになります。

(当期純利益に)税金費用の減少がございますが、これはいろいろな税金計算の再考によりまして、減少したということになります。

Burosumab:Ultragenyx社とのコラボレーション(まとめ)

以降は、参考資料としてご覧いただければと思います。

51ページに、Ultragenyx社との、世界の地域別のいろいろな決め事といいますか、どのように振り分けられているかを整理した表を入れておりますので、ご参考ください。

以上でございます。