2017年12月期 第4四半期 ポイント

柳澤安慶氏:まず、2017年12月期第4四半期のポイントです。四半期売上高が、88億4,800万円という結果でした。これは直前四半期対比14.9パーセント減、昨年四半期対比5.4パーセント減ということで、数字的に急落しています。

これは前回の決算説明会でご説明いたしました、ネット広告市場の環境の変化によるものです。

同じく四半期の経常利益ですが、11億2,900万円となり、直前四半期対比27.4パーセント減、昨年四半期対比20.9パーセント減ということで、大きく低下いたしました。売上の減よりも利益の減が、幅が大きいという理由に関しましては、市場の変化に対応するためのコストが先行しているということです。

3点目、このネット広告市場の環境の変化ですが、これは当社がビジョンにしています成功報酬型のネット広告というビジネスモデル、こちらが当社の最大の強みですが、その強みに対しまして、さまざまな面から修正を迫られた四半期であったということです。

以上、順を追ってご説明させていただきたいと思います。

連結経営成績

まずは2017年12月期の売上高、経営成績ですが391億円。こちらは昨年対比で4.2パーセント増ということで、売上高はかろうじて昨年を上回ったという状況です。

営業利益ですが、57億4,900万円ということで、こちらは昨年対比1.3パーセント減です。経常利益は57億9,300万円。こちらは昨年対比で1.8パーセント減です。

当期純利益ですが、これは42億2,800万円ということで、純利益だけ昨対で増えています、8.1パーセント増です。これは昨年、損失をもっていた子会社を吸収していますので、税務上の関係で利益が増えたということです。

売上高経常利益率は14.8パーセントということで、こちらはマイナス0.9ポイントです。

1株当たり当期純利益ですが、こちらは純利益が増えていますので、同様に8.2パーセント増の55.06円となっています。潜在株式調整後は54.94円ということです。

連結貸借対照表

続きましてB/Sですが、数字的に大きく変化しているところはないのですが、純資産が195億3,400万円ということで、利益剰余金の増加によって増えています。細かい数字については、資料をご確認ください。

連結業績予想

続きまして、今期、2018年12月期の連結業績の通期予想です。売上高は385億円、昨対でマイナス1.5パーセントです。営業利益は50億円、こちらはマイナス13パーセント。経常利益は50億2,000万円、こちらはマイナス13.3パーセント。四半期純利益は34億7,000万円、こちらはマイナス17.9パーセントということになっています。

第2四半期の予想に関しましては、(売上高)186億円、(営業利益)23億円、経常利益(23億1,000万円)、(四半期純利益)15億9,000万円という予想を立てています。

配当は昨年と同様の19円を、予定しています。

売上高、経常利益、経常利益率の推移 (連結・四半期ベース)

それでは昨年の第4四半期の各種経営の指標について、ご説明申し上げます。

まず、売上高と経常利益率の推移ですが、先ほどご説明申し上げましたとおり、売上高は88億4,800万円ということで、数字が落ちています。

経常利益も11億2,900万円、売上高経常利益率が12.8パーセントということで、この12.8パーセントというのは、上場以来最低の利益率という結果になっています。

四半期でこれだけ数字が大きく落ちてしまったということは、市場の環境の変化と先ほど申しましたが、私どもが創業以来18年にわたって取り組んできた方法に対して、大きな修正が加わりまして、それに対応をしてきた四半期であったということです。

従業員数の推移(連結・四半期ベース)

続きまして、従業員の推移です。四半期ベースですが、2017年の第3四半期で数字がぐんと伸びています。これはシーサー株式会社という子会社を連結にした関係(によるもの)です。

そして、(2017年)第4四半期です。アルバイト、派遣社員を含めまして総数で499名ということで、前年同期比で144名増、直前四半期からは18名増ということで、人員の増強投資は引き続き積極的に進めている状況です。

原価率、販管費比率の推移(連結・四半期ベース)

続きまして、四半期ベースの原価率と販管費率の推移です。

どちらも比率が上昇した結果、利益率が悪化しているわけですが、まず、原価率です。74.3ポイントということで、(直前四半期比で)1.4ポイント上昇しています。

これは、固定費に関しましては、売上トップラインが低調になっても同額が掛かってくるものですから、そのまま原価率が上昇したという結果です。

販管費率は、(第3四半期)12.1ポイントから(第4四半期)13.4ポイントということで、こちらは1.3ポイント上昇しています。こちらは後ほどご説明申し上げますが、一時的な費用が第4四半期に発生しているということです。

販売管理費(連結・四半期ベース)

その内容ですが、これが四半期ごとの販管費の比率の推移です。

人件費のところです。人件費のところが、直前四半期よりも数字が大きくなっています。これが、当社が行っています、トラッキング広告の効果を補足する手法の変更による、対応のために一時的に派遣社員等を雇用している、という部分の増加です。

その他経費部分の増加ですが、こちらは昨期から若手の社員の海外研修をはじめていまして、その費用が第4四半期に計上されています。

このビル(本社/ダイヤモンド社石山記念ホール)ともう1棟借りているビルがあるのですが、そちらのビルの1フロア、計2フロアを増床しまして家賃が上昇しています。それによって販管費率が上昇したということです。

売上原価(連結・四半期ベース)

続きまして、売上原価の内訳ですが、売上原価は先ほども申しましたとおり、原価率自体はトップラインが伸びなかったため、上昇しているということです。

その中の、とくにコストとして発生している部分は、やはり環境の変化に対応するために、技術部門のスタッフをそちら側にあてがっている関係で、運営スタッフ等を派遣の方に対応していただいたり、動画のサービスを今期(2018年12月期)から力を入れて展開していくわけですが、その開発等に人員をあてがったりして、それによって原価が若干上昇しているという内容です。

報告セグメント別の売上高の内訳(連結・四半期ベース)

それでは、引き続きまして、報告セグメント別の売上高について、ご説明申し上げます。

まず当社は、CPA型(アドネットワーク)とCPC/ターゲティング型(アドネットワーク)という2つ事業区分、それとその他ということで3つ区分しています。

まずCPA型です。このサービス区分には「A8.net(エーハチネット)」、「Moba8.net(モバハチネット)」……こちらは昨年サービスを辞めてしまっていますが、数字としては昨年までの数字が入っています。それと「adcrops(アドクロップス)」、「seed App(シードアップ)」、あとは自社媒体の運営や、一部広告代理店的なサービスが含まれています。

こちらの売上高が59億8,900万円ということで、昨年対比で4.2パーセント減です。

CPC/ターゲティング型アドネットワーク事業、こちらには「nend(ネンド)」「nex8(ネックスエイト)」「viidle(ヴィードル)」といった、比較的アドテク寄りのサービスが含まれています。

売上高が26億4,500万円ということで、昨年対比で14.6パーセント減という結果になっています。

両サービス区分の比率ですが、現在、CPA型が67.7パーセント、CPC型が約3割という数字になっています。

その他のところに入っています2億1,300万円、こちらは現在子会社になりました、シーサー株式会社の売上です。

報告セグメント別の売上高の推移(連結・四半期ベース)

続いて、このサービスセグメント別の四半期ごとの売上比率の推移ですが、とくにCPC/ターゲティング型サービス区分、こちらの数字がガクンと直前四半期から落ちていまして29.9パーセントということで、久しぶりに3割を切ってしまっているという状況です。

「A8.net」主要サマリー

それでは、個別のサービスをご説明申し上げたいと思います。

まず、CPA型アドネットワーク事業の中の「A8.net(エーハチネット)」ですが、こちらの売上高が54億5,400万円ということで、こちらは昨年対比で5.6パーセント増ということで、かろうじて増収を確保した状況です。

稼働広告主ID数は、3,446件。これは昨年対比で6.1パーセント、197件増加しています。登録パートナーサイト数は236万6,000サイトということで、こちらは9.8パーセント増という結果です。

「A8.net」売上高の推移(四半期ベース)

続きまして、四半期ベースの売上高の推移です。2017年第2四半期が過去最高の売上高になっていますが、残念ながら第3四半期、第4四半期と、売上を落としてしまっている状況です。

「A8.net」成果報酬に占めるスマートフォン割合の推移(月次ベース)

A8.netの中の成果報酬部分に占めるスマートフォンの割合です。こちらは月次で記録しているデータですけれども、とくに(2017年)10月・11月・12月、今まで6割近かった(スマートフォン割合が)、少し数字が下がってしまっていますが、これは市場の変化ということで捉えています。

ただ、スマートフォンからの成果報酬は、今後も継続的に高めていきたいと考えています。

「A8.net」稼動広告主数とメディア数の推移(四半期ベース)

続きまして、稼働広告主数とメディア数の推移です。まず、稼働広告主数ですが、3,446件ということで、直前の四半期からは40件の増加です。海外の稼働広告主数は202件ということで、こちらは直前四半期から7件減少している状況です。

「A8.net」広告主の新規稼動、解約数の推移

広告主の新規の稼働、解約数の四半期ベースの推移です。第4四半期は環境の変化に追われているという側面がありまして、引き続き、新規の受注が低調であったという結果です。

「A8.net」新規メディア会員登録・退会の月次平均推移

続きまして、新規メディア会員の登録数と退会の月次平均です。第4四半期は1万1,138件という登録者数となっていまして、こちらは凸凹がありますけれども、トレンド的に大きな変化はないという状況です。

「A8.net」1広告主あたり月次売上高平均推移

A8.netの1広告主あたりの月次売上高の平均推移ですが、こちらは52万8,000円ということで、第4四半期は直前の2四半期連続で平均値が落ちてしまっているという状況です。

「seedApp」売上高の推移(四半期ベース)

続きまして、「seed App(シードアップ)」です。こちらはCPA型アドネットワーク事業の中の、アプリのダウンロードごとに広告料を設定しているCPI型の広告です。こちらのアドネットワークはクローズド型で展開していまして、サービス開始から今年で3年目になります。今後、数字をさらに伸ばしていきたいと考えているサービスです。

第4四半期は(売上高)2億3,800万円ということで、伸びが鈍化してはいますけれども、順調に足下の数字も積み上がってきているという状況です。

「adcrops」売上高の推移(四半期ベース)

続きまして、同じくCPA型のアドネットワーク事業の中の「adcrops(アドクロップス)」です。こちらもCPI、アプリのインストールの広告ネットワークですが、こちらは海外のメディアを多くネットワークしていまして、先ほどのseed Appとは商品をすみ分けしているようなサービスです。

こちらは第4四半期(売上高)は2億8,600万円ということで、残念ながら今四半期の数字がずっと落ちてしまっています。これは海外でいろいろ話題になっています、アドフラウドという広告を詐欺的に利用するという不正、その不正に対してさまざまな対応をしてきた結果、なかなか数字的に攻めに回れずに、対策に注力してきたという状況です。

足下では大分対応が完了いたしまして、(2017年12月期)第4四半期を底にできればいいと考えています。

「nend」主要サマリー

続きまして、CPC/ターゲティング型アドネットワーク事業の中のサービスについて、ご説明申し上げます。

まずは「nend(ネンド)」ですが、こちらは売上高が20億8,500万円ということで、昨年対比14.0パーセント減。稼働広告主ID数は395件ということで、こちらはあまり変化がありません。登録パートナーサイト枠数は、83万4,200件ということで、こちらは昨年対比20.2パーセント増ということで、順調に増えています。

「nend」売上高の推移(四半期ベース)

nendですけれども、売上高が(昨年対比)14パーセント(減収)ということで大きく落ちてしまっており、直前四半期からも、こちらの四半期ベースで見ていただくとわかりますが、ストンと数字が落ちてしまっています。

この第3四半期は、わりとゲーム関係の広告の受注が好調で、逆に数字が良かったのですけれども、第4四半期に入りまして、それらのお客さまの広告予算が継続しませんでした。

あとは、やはり市場の変化で申しますとITP(Intelligent Tracking Prevention)という、Cookieによるトラッキングが困難になったために、nendというサービスの中で行っていたターゲティング広告等の効果が薄れた影響を受け、効果を発揮できなくなりました。

また、市場全体の大きな流れの中で、ディスプレイ型の広告が現在苦戦していまして、代わりに動画の広告が広告予算を獲得しているという流れがあります。この動画広告はFacebookやTwitter、LINEのフィードに流れるような動画広告が中心かと思うのですが、そのような動画へ流れていく予算を我々のnendの中では、拾いきれないという状況でした。

その結果、第4四半期に数字が少し大きく落ちてしまったということです。

「nend」稼動広告主数と登録パートナーサイト枠数の推移(四半期ベース)

(nendの)パートナーサイト枠数と稼動広告主数に大きな変化はないのですが、そのような環境の変化に第4四半期は振り回されたという状況です。

「nend」1広告主あたり月次売上高平均推移

1社あたりの、広告主あたりの平均売上高も176万円ということで、200万円を切ってしまっているという状況です。

「nex8」売上高の推移(四半期ベース)

続きまして、同じサービス区分の中の「nex8(ネックスエイト)」です。

こちらは、いわゆるDSP(Demand-Side Platform)というサービスになります。数字(売上高)ですが、(第4四半期は)4億4,000万円ということで、こちらも直前四半期に対して数字が落ちてしまっています。

こちらも基本的にダイナミックリターゲティングというターゲティングする広告手法を、このサービスで展開していたのですが、そのターゲティングをiOS、Cookieで対応していた部分が徐々に対応できなくなってしまった結果として、数字を少しずつ落としている要因になっているかと思います。

以上、サービスの概要です。

子会社概要 株式会社アドジャポン

続きまして連結の子会社概要を申し上げたいと思います。

アドジャポンですが、こちらは広告代理店です。当社の海外のアドネットワークや広告主との間を仲介するハブ的な会社という位置付けで運営しています。

独自にSSP、アドネットワークとか「viidle(ヴィードル)」という動画をメディエーションするようなサービスを独自に展開しはじめています。

昨年(2017年12月期)の結果ですが、売上高が10億円ということで、およそ一昨年と同じような数字です。中身はもちろん変わってきているのですが、結果としまして、先行投資がありまして、営業利益としては2,100万円の赤字という状況です。

子会社概要 シーサー株式会社

次に、昨年(2017年)の7月に子会社化いたしましたシーサー株式会社です。 こちらはブログシステムの開発や運営、その他アプリの開発事業を行っています。売上高が(2017年)7月から12月の累計で4億7,200万円、営業利益が1億円弱という結果でした。

こちらも現在、子会社ということで、サービスの中身を見直したり、新しいサービスを立ち上げたり、当社と一緒に新しいサービスや企画等を行っているという状況です。

株式について 個人株主数、外国人比率推移

続きまして、株式の状況についてご説明申し上げます。

2017年12月は株主数が9,354名、外国人の株式数比率が29パーセント、個人株式数比率が16.09パーセントということで、株主数が若干減りまして、外国人持株比率が増えているという状況です。

2018年12月期の見通し

以上、ご説明を申し上げました第4四半期の状況といたしましては、やはり18年間取り組んできた方法が通用しなくなって、新しい方法に切り替えるということで現場も相当、混乱しています。

新規の受注、プロモーションの立ち上げなどにけっこう時間が取られて、開発チームも、第4四半期を通じて、そちらにリソースを寄せてきました。

今、足元の状況で申し上げますと、大分その辺りがこなれてきていまして、少しずつ現場の混乱も収まり、新しい体制に移行しています。

また、サービス的に通用しなくなってしまいそうなものも中にはありますので、そのようなものは新しいサービスにリソースを切り替えていくということを、足元でも行っています。

今期、2018年上半期は引き続きそのような対応・対処的な部分が残りますので、昨年の第4四半期と同様に利益率はもう少し悪化し、売上高も振るわないという想定をしています。

下期に向けて次第に改善し、下期にはできれば、昨年の上半期の売上高に到達し、利益率も昨年の下半期を上回っていくような利益率を目指していきたいと考えています。

先ほどもご説明申し上げましたiOSのトラッキングが変更になってしまったということが、現状の我々が苦しんでる部分の1つの要因ではありますが、決して、それだけではなく、さまざまな複合的な市場環境の変化があります。

先ほども申し上げましたが、動画側に非常に予算がついているという状況であったり、あるいはインターネット全体で申し上げますと、検索の環境が昨年来健康系のメディアさん。DeNAさんが運営されていたメディアさんなを中心に、非常に社会的な批判が高まり、それに対してGoogleなど検索サービスを提供している会社さんが、さまざまなかたちの対応をしていくということで、実際メディアとして活動しているみなさんもだいぶ現場で混乱しているという状況もあります。

そのような部分で、我々としては売上、メディアの収益として厳しくなっている面もあります。

そのような状況がさまざまに重なっていまして、そのような状況を今、一つひとつ対応して、逆に今の状況をより良く変えて次の飛躍に繋げらればという動きを、社内では進めているということです。

18年間やってきた方法を変えるということで、すぐ変えられればいいのですが、それはなかなか難しく、例えば、新規の受注に行く営業もおそらく、そんなことは口では言わなくても、今までのやり方とは違う方法になると、少し自信を失っているのだと思います。

新規受注やプロモーションを立ち上げて、広告の効果に繋げていくという部分も少し不安に思いながら、「やらなければいけない」という部分もあって、そのような部分を今、しっかりとノウハウとして固めて、さらに今までよりも、より効果の高い提案ができるような体制(作り)をこの3ヵ月も行ってきましたし、これから(2018年12月期)第1四半期にかけて体制をしっかりと構築していこう考えているタイミングです。

そのために、どうしてもコスト面で対処しなければいけない部分もありますし、これから、この環境の変化に対応しなければいけない部分もありますので、とくに人件費の部分が中心ですけれども、(対応が)先行していまして、それがこの上半期は乗っかってくるということで、今現在、利益率も低くなってしまうという予算になっています。