経営成績(3Q)
塚野英博氏(以下、塚野):それではお手元の資料に沿い、ご説明をします。
まずスライドの3ページ、2017年度第3四半期の連結業績の概要です。
売上収益は1兆31億円、前年からは176億円の減収です。
「ニフティ」のコンシューマ事業売却による減収影響が約130億円で、この影響を除いても前年から若干の減収となりました。PCの増加や為替が円安で推移した増収効果があるものの、前年の第3四半期に好調だったネットワークと携帯電話の物量減をカバーしきれませんでした。
営業利益は105億円で、前年からは238億円の減益です。
前年第3四半期に計上した、ビジネスモデル変革費用の負担減は74億円のプラスです。それを除いた本業ベースでは312億円の減益でした。ネットワーク、携帯電話の減収影響に加え、サービスでの一時的な損失計上が加わりました。
税引前利益は130億円で、当期利益は119億円でした。ここには「富士通テン」の持分比率の見直しによる利益約40億円を含んでいます。
経営成績(9ヶ月累計)
次にスライドの5ページ、9ヶ月累計の実績です。
売上収益は2兆9,263億円で、ほぼ前年並みの水準です。
ニフティ売却による減収影響が約390億円で、これを除くと約370億円の増収でした。ネットワークの減収影響はあるものの、国内サービス、デバイスソリューションが堅調に推移したことに加え、為替の円安影響があり、増収になりました。
営業利益は385億円で、前年から159億円の減益です。
前年実施したビジネスモデル変革費用の負担減、株式売却等の特殊事項による増益効果は164億円です。それを除いた本業ベースでは323億円の減益と、ほぼ第3四半期の減益額です。
金融損益等は338億円の利益で、前年から290億円の増益です。第2四半期に実施した富士電機株式の売却益273億円が中心です。
当期利益は554億円です。金融損益に加え、富士通テンの持分比率変更による利益があり、前年から231億円の増益です。
事業別セグメント情報(3Q)①
(スライドを指しながら)上の表は、売上収益です。一番右の前年比をご覧ください。
テクノロジーソリューションのサービスは、ニフティ売却による影響で減収です。それを除いたビジネスの実体ベースでは、1.6パーセントの増収です。システムプラットフォームは、ネットワークを中心に減収となりました。
ユビキタスソリューション、デバイスソリューションは増収です。
次に表の下段、営業損益については、「その他/消去又は全社の前年比」のみコメントをします。前年から31億円ぶん好転しました。全社共通の先行投資費用の改善が要因です。
事業別セグメント情報(3Q)②
スライドの8ページ、セグメント情報です。
テクノロジーソリューションは、売上収益が7,401億円で、前年から3.2パーセントの減収です。営業利益は295億円と、前年から211億円の減益です。
要因は、サブセグメント別に説明します。
事業別セグメント情報(3Q)③
スライドの9ページ、テクノロジーソリューションのサービスです。
売上収益は6,369億円で、ほぼ前年並みです。ニフティの売却影響を除くと、1.6パーセントの増収です。
内訳は、ソリューション/SIの売上が2,431億円で、前年から3パーセントの減収です。金融分野の大規模プロジェクトや公共分野のマイナンバー商談の開発がピークアウトしたことに加え、前年に好調だったハード一体型のソリューションビジネスの反動減を、カバーしきれませんでした。
第3四半期は減収ですが、売上の絶対額は、過去2番目の高水準をキープしています。もともと、2017年度は大規模プロジェクトの端境期にあたるため、大きく減収となる心配もありました。しかし、産業流通を中心にしっかりカバーできています。
SIビジネスは、今年度の9ヶ月累計の受注は、売上を上回っており、第3四半期の減収は一時的なものと見ています。
インフラサービスの売上は3,937億円で、ニフティ売却影響を除くと4.6パーセントの増収です。国内はアウトソーシングを中心に堅調で、海外は為替の円安効果もあり増収です。
営業利益は297億円と、前年から52億円の減益です。前年のビジネスモデル変革費用の負担減58億円を除いた本業ベースでは、110億円の減益です。
減益の要因は2つあります。1つ目は、ソリューション/SIの減収影響、2つ目は国内・海外ともに不採算プロジェクトが発生したことです。
国内は高水準の売上が継続する中、他社のリプレース案件を中心に、採算管理プロセスの徹底が行き届かない案件が、いくつか生じました。アシュアランス機能については、再度点検・強化を行い、今後の発生防止対策を行っています。
海外について補足します。欧州は、不採算プロジェクトに関するワンショットの損失計上により減益となり、オセアニアおよびアジアは、採算性の改善を進めた結果、増益です。
事業別セグメント情報(3Q)④
次に10ページ、システムプラットフォームです。
売上収益は1,032億円で、前年から17.6パーセントの減収です。
システムプロダクトの売上は545億円と、ほぼ前年並みです。
ネットワークプロダクトの売上は486億円で、前年から3割の減収です。
昨年の国内向け携帯電話基地局の引き合いが、第2四半期、第3四半期に大変強かった反動に加え、競争環境の厳しさが増した影響も受けました。もともと第3四半期の需要が弱いことは想定していたとはいえ、それをさらに下回る厳しさでした。
営業利益は1億円の赤字で、前年から158億円の減益です。ネットワークプロダクトの大幅な減収影響が中心です。
事業別セグメント情報(3Q)⑤
売上収益は1,659億円で、前年から1.4パーセントの増収です。
PCは前年から増収です。国内は法人向けが伸長し、海外も他ベンダーとの競争環境が厳しい状況ですが、為替の円安影響もあり増収です。
携帯電話は前年から減収です。「らくらくシリーズ」において、フィーチャーフォンの出荷台数が大きく減少した影響です。
営業利益は9億円で、前年から57億円の減益です。携帯電話の減収影響に加え、PC、携帯電話ともにメモリー等のキーコンポーネントの市況価格が上昇した影響を受けました。
事業別セグメント情報(3Q)⑥
売上収益は1,417億円と、前年から3.4パーセントの増収です。
LSIの売上は689億円で、ほぼ前年並みです。電子部品の売上は731億円で、前年から5.6パーセントの増収です。為替の円安影響による増収効果が中心です。
営業利益は42億円で、ほぼ前年並みの水準です。
紙面にはありませんが、10月公表時点の社内計画と第3四半期の実績と比較すると、全社では計画に対し2桁後半のマイナスです。
マイナスが生じたのは、サービスとネットワークです。サービスは不採算プロジェクトの影響と、昨年海外で実施したビジネスモデル変革によるビジネス拡大・効率化の進展が、期待値に届いていないことによるものです。
ネットワークは、第3四半期の社内計画を低い水準で作成していましたが、それをさらに下回る厳しい結果となりました。こちらも2桁レベルとご理解ください。
キャッシュ・フローの状況
スライドの13ページ、キャッシュ・フローです。
9ヶ月累計の営業キャッシュ・フローは709億円のプラスで、昨年に費用計上したビジネスモデル変革費用に対する支出が今年度生じている影響もあり、前年から232億円の収入減です。
投資キャッシュ・フローは375億円のマイナスで、データセンター関連等サービス分野への投資が中心です。前年にデータセンターに対する多額の支出があった影響に加え、今期の富士電機株式売却収入336億円の影響により、前年から大きく支出減です。
結果として、フリー・キャッシュ・フローは333億円のプラスです。
資産、負債、資本の状況
14ページ、資産、負債、資本の状況です。
純資産は1兆1,199億円で、前年度末から1,007億円の増加です。自己資本比率は33.4パーセントで、前年度末から5.8ポイントのプラスと、大きく改善できました。当期利益の増加に加え、株価、為替等の市況の回復によります。
業績見通し①
予想の前提となる為替レートは、すべて前回の設定レートから変更していません。
次に通期の業績予想です。いずれも前回計画を変更しません。売上収益は4兆1,000億円、営業利益は1,850億円、当期利益は1,450億円です。
業績見通し②
営業利益です。変更は、テクノロジーソリューションのサービスと、システムプラットフォーム、その他/消去又は全社、の3ヶ所です。
テクノロジーソリューションは300億円の減額です。のちほどセグメントごとに補足します。海外サービスとネットワークが、それぞれ150億円ずつ減額しています。
一方、その他/消去又は全社は300億円増額し、連結合計は前回から変更しません。本日発表した携帯電話事業の売却に関する利益や、リスクなどを考慮した金額です。
事業別セグメント情報①
売上収益は2兆6,100億円で、前回から400億円の増額です。第1四半期から第3四半期までの実績において、為替が円安に推移した影響額を増額しています。
次に営業利益は1,870億円と、前回から150億円の減額です。海外サービスを減額しています。欧州での法的紛争案件、不採算プロジェクトという一時的な損失に加え、ビジネスモデルの変革によるビジネスの拡大・効率化の進展が遅れているため、第4四半期を減額しています。
欧州においては受注が増え始めるなど、効果が見え始めている兆しもあり、確実に効果が出るよう、進捗管理の強化と加速を進めます。
事業別セグメント情報②
売上収益は4,750億円で、前回から250億円の減額です。営業利益は330億円と、前回から150億円の減額です。売上、営業利益ともにネットワークを減額しています。
前年度は、第2四半期と第3四半期の需要が強かったのに対し、今年度は、第2四半期と第3四半期が低く、第4四半期での大幅な所要増加を期待していました。しかし、第3四半期の顧客投資状況を考慮すると、第4四半期での需要回復は厳しいと想定せざるを得ず、減額修正しました。
5Gが本格的に立ち上がるまで、(顧客需要は)厳しい状況が継続することが想定されます。次年度以降の顧客需要は、国内、海外ともに現実的なレベルを慎重に見極めていきたいと思っています。
ユビキタスソリューション、デバイスソリューションは、前回から変更しません。
業績見通し(キャッシュ・フロー)
営業キャッシュ・フローは本業の損益悪化により、前回予想より300億円の減額です。投資キャッシュ・フローは、携帯電話事業の売却などを考慮し、(前回予想より)300億円のプラスに変更します。フリー・キャッシュ・フロー1,200億円から変更しません。
最後に、経営方針説明会でお伝えしている「かたちを変える」ということについて補足いたします。
11月に発表したPC事業のレノボ社との戦略的提携に引き続き、本日、携帯電話事業をポラリス・キャピタル・グループへ事業譲渡することで合意しました。携帯電話は、今年度中のクロージングに向けて進めます。
本日の段階でお話しできるのはここまでですが、施策の決定に応じ逐次ご説明を行います。
ご説明は以上です。