2018年3月期3Q決算

田中孝司氏(以下、田中):みなさん、本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは、2018年3月期第3四半期決算について、ご説明したいと思います。

1-3Q 業績ハイライト

まず最初に、1-3Qの業績ハイライトからです。売上高は3兆7,601億円、通期目標に対する進捗率は76.0パーセント。営業利益は8,138億円、進捗率85.7パーセント。EBITDAは1兆2,439億円、進捗率は81.3パーセントとなっており、今期の目標に向けて非常に順調に進捗していると見ています。

1-3Q 営業利益 増減要因

次の2ページ目では、1-3Q営業利益の増減要因についてご説明します。一番左側が前期実績となります。一番右の今期実績との差分である380億円の増益について、左から順にご説明します。

まず、モバイル通信料収入はプラス67億円、付加価値ARPA収入は153億円の増収。ビジネスセグメントは78億円の増益。これらが主な増益要因となっています。一方、その他のプラス83億円には、来期以降の成長に向けた施策として、戦略コスト約270億円が含まれています。

auピタットプラン/auフラットプラン

3ページ目は、新料金プランの状況についてです。左側のチャートですが、ご利用データ量に合わせて5段階の定額料金が自動的に適用される「auピタットプラン」と、大容量の」auフラットプラン」は、お客さまに大変ご好評いただき、(2018年)1月21日時点では500万契約を突破しています。

スライドに書いてあるとおり、auスマートフォンをご利用の約4人に1人が新料金プランに加入されたということです。

右側のチャートですが、新料金プランがスタートした昨年7月と直近の1月の選択率の比較をしています。図を見ておわかりになるかと思いますが、大容量のauフラットプランの割合が上昇しており、au通信ARPAの上昇に貢献していると見ています。

ピタット学割

次のページは、昨年12月から開始しました「ピタット学割」についてご説明しています。25歳以下のお客さまと、そのご家族の方々を対象に、auピタットプランの料金からさらに500円お得な料金設定をしています。これにより、スマートフォンが月々1,480円からご利用可能になるというプランになっています。

au解約率

次は、みなさんが気にされています、auの解約率についてです。新料金プランを開始した2Qから徐々に改善トレンドになっていまして、3Qには0.78パーセントと、点線で表記した前年同期に比べてほぼフラットになっています。

さらに、(スライドには)書いていませんが、月次ベースの解約率を見てみますと、(2017年)12月では前年を下回る傾向になっていまして、非常に当該プランが効いているのではないかと見ています。

モバイルID数

次は、モバイルID数についてです。左側のグラフ(四半期推移)ですが、au解約率の改善により、au契約者数の減少は落ち着きつつあります。さらに、MVNO契約数が順調に伸びていることから、モバイルID数は12月末で2,624万と、着実に成長しています。

右側のグラフ、前年同期比の成長率を見ますと、前年同期(2016年12月)のマイナスからプラス2.2パーセントと、成長が加速していることがわかるかと思います。

au通信ARPA/モバイル通信料収入

7ページ目は、au通信ARPAとモバイル通信料収入についてです。左側のグラフ、au契約者数ベースのau通信ARPAは、スマートフォンおよびマルチデバイスのデータ利用の着実な成長もあり、新料金プランやキャンペーンによる一時的な減収影響を吸収し、前年同期比でプラス0.5パーセント伸長しています。

右側のグラフ、モバイル通信料収入においては、au通信ARPA収入の減収を上回るMVNO収入の増収により、前年同期比でプラス0.5パーセント伸長しています。

au経済圏流通総額/付加価値ARPA

ここからは、ライフデザイン事業についてです。(3Qにおけるau経済圏流通総額は)前年同期比約1.5倍の5,000億円になっています。右側は付加価値ARPAですが、3Qにおいては前年同期比プラス15.7パーセントの590円と、いずれも前年同期比で大きく成長しています。

教育事業

9ページ目は教育事業についてです。ライフデザイン事業において、中長期的に成長を加速するため、通信と親和性の高い領域への拡張が必要と考えています。この新たなライフデザイン事業領域として、(2018年)1月22日にイーオンホールディングスをKDDIグループに迎え、今後教育事業に進出していくことを考えています。

教育事業は通信と同様、顧客ロイヤリティが非常に高く、とくに通信事業ではタッチポイントが弱かった幼少児から小学生に対しても、対象を拡大できるという効果が見込まれます。とくに英語教育は、2020年度より導入される小学校3年生からの義務教育化や、「話す・書く」を強化した大学入試センター試験の導入等により、市場拡大が見込まれます。

教育事業におけるシナジーの創出

10ページ目は、教育事業におけるシナジーの創出についてです。イーオングループは、教材の開発力、学習意欲の高い生徒さま、質の高い教師陣の3つの組み合わせにおいて、強みを有していると見ています。

シナジーの創出においても、この連携をさらに強化するため、KDDIが得意とするITデバイスやオンライン教育の活用、CRMおよびアナリティクス基盤のIT化を推進する予定です。

さらにお客さまベースを活用した相互送客や、オンラインコンテンツの配信、学習進捗や能力に応じた生徒さまの学習支援等により、学習効果を最大化する環境の整備を図ります。今後はイーオングループを核に、教育事業による新たな成長を目指してまいります。

auスマートパスプレミアム

11ページは昨年(2017年)1月から開始した「auスマートパスプレミアム」についてです。会員数は順調に増加し、300万会員を突破しました。スマートパスを含めた会員数は、1,542万会員まで成長しています。

現在、学生のお客さま向けに、月額情報料がお得になるキャンペーンを実施しています。データ復旧サポートやWi-Fiセキュリティ等、学生生活に役立つ「あんしんサービス」も豊富にご用意しています。これにより、若年層の利用拡大を目指してまいります。

au WALLET

12ページ目です。「au WALLET」についてです。

左側は、(カードの)有効発行枚数が2,240万枚になったというチャートです。そのうち、流通総額を伸ばすドライバーであるクレジットカードは310万枚と、300万枚を突破しています。

右側はゴールドカード特典のリニューアルについてです。毎月のauご利用料金に応じたポイント還元や、スマートフォン購入にもご利用いただけるクーポンなど、より一層魅力的な特典内容に強化しています。

Wowma!

続いて、ショッピングモール「Wowma!」についてです。(2017年)11月には認知向上を目的としたテレビCMを放映したほか、新たな企画としてテレビ番組やファッションイベントとの連携など、利用者拡大のための施策を展開しています。

また、各種セールにおけるポイント還元では、セールのタイミングの最適化、対象者の最大化をしながら、利用率の向上、流通額の拡大を目指してまいります。

IoTソリューション

次は、IoTソリューションについてです。KDDIのIoTサービスは、あらゆるレイヤにおいて、ワンストップで最適な組み合わせを提案できることを強みにしています。

図の下段にあるとおり、さまざまなセンサー・デバイスを取り揃え、中段のネットワークにおいては、お客さまのニーズに応じた多彩なネットワークを準備しています。

上段ですが、データ活用・クラウドにおいて、さまざまなインフラを整備しています。グループ企業のノウハウを活用し、IoTの開発を支援してまいりたいと考えています。

お客さまのインサイトをしっかり把握することにより、産業を問わずさまざまな課題に対するIoTソリューションの提供を目指してまいります。

新たなビジネス創出に向けて①

15ページ目です。「新たなビジネス創出に向けて」ということで、スライド左側、IoTの基盤ネットワークとなるLPWAでは、LTE‐M方式の「KDDI IoT通信サービス LPWA」を、この1月から提供開始しました。

これまで電源確保が困難で電波が届かなかった場所や、採算面で導入が厳しかったさまざまなデバイスにもビジネスの可能性が広がると見ています。

右側ですが、東洋計器さまと新たなプラットフォームの共同開発により、ガスメーター等におけるLPWAの活用を進めるとともに、通信レイヤにとどまらない付加価値の提供を目指してまいります。

新たなビジネス創出に向けて②

16ページ目はホームIoTのお話です。

左側、「au HOME」では、さまざまな家電操作に加えて、トレンドデバイスであるスマートスピーカーとの連携など、「安心・便利・楽しい」をコンセプトにサービスを拡充中です。

右側、「with HOME」では、「au HOME」サービスをプラットフォームとしてパートナー企業さまに提供し、この1月から順次サービスを開始しています。パートナー企業さまとの連携により、auと接点のないお客さまにも提供可能となっています。

すでに幅広い業種で約50社にご賛同いただいており、ホームIoTのユースケースの開発と普及を目指してまいります。

5G時代に向けた取組み

17ページ目です。5G時代に向けた取組みとして、自動運転技術についてパートナー企業さまと実証実験を推進しています。

左側、昨年12月に日本で初めて一般公道における無人自動運転車の遠隔制御に成功しています。将来的にバスやタクシーなどの自動運転化を見据え、走行状態を監視し、危険が生じた際にリアルタイムで判断・制御するためのノウハウを蓄積しています。

右側、地図情報においても道路構造物の正確な把握と気象事項、渋滞などの動的情報を取得して組み合わせる、ダイナミックマップの活用が必要になります。このマップ生成に向けた、車からの情報収集と車へのマップ配信技術について、実証実験を開始しました。

まとめ

このページは最後のまとめになります。

1点目、連結業績は通期目標に対して順調な進捗となっています。株主還元において、足元の株価水準、業績の進捗、フリーキャッシュ・フローの状況等から総合的に判断し、自己株式取得を決議し、発表いたしました。

2点目、事業戦略においては、国内通信事業は新料金プランを推進することによって、au解約率も改善傾向にあります。au経済圏流通総額の拡大に向けた取り組みを引き続き推進しています。また、次の成長領域として、IoT事業および5Gに向けた取り組みも加速させています。今後も、中期目標の達成に向けて取り組んでまいります。

以上で、第3四半期の決算説明を終了いたします。ご清聴どうもありがとうございました。