2018年5月期第2四半期決算説明会
大津賀保信氏:みなさん、おはようございます。本日はお忙しいところ、本社の決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
富山県は、先週木曜・金曜日(2018年1月11・12日)に、富山市内の一部で50センチメートルあまりの雪が積もっていました。日曜日から天気が回復して、少しずつ雪が解けつつある状況です。東京がうらやましいと思いながら、いつもこの決算の説明をしています。
ご出席のみなさまの名簿をみますと、約3分の1の方が今回が初めてのご出席、3分の2ぐらいの方は、過去に出席したことがあるということですので、会社の概要は、ポイントを絞ってお話しいたします。
そのあとの決算概要については少し詳細にご説明し、みなさま方からご質問を受けたいと思っています。
それでは、お願いいたします。
ビジネスモデル
会社の概要ですが、当社(の2017年5月期の部門別売上構成)は原薬の部門と製剤の部門、一部、健康食品(などの部門で構成されています)。
原薬・製剤とも、ユーザーさんは、ほとんど製薬企業です。原薬は自社製品が3分の2で、(他社から仕入れて販売している商品の)扱いが約3分の1です。製剤は、約84パーセントが自社製品、残りが(他社から仕入れて販売している)商品ということです。
当社ビジネスモデルの特長
1つは原薬と製剤のコラボレーションによって、いろいろなビジネスモデルができあがってくることです。例えば、原薬と製剤を一貫することによって、高品質・低コストを実現する。また、ユーザーさんに合わせて、原薬で供給する場合と製剤で供給する場合もあります。
それから、(経営資源を)製造に集中化させてMRを持たず、(商品の)扱いはすべて委託販売です。
当社はジェネリック(医薬品の生産)を主にしていますが、実は、その他の新薬や大手さんの長期収載品、OTC薬品等の受託関係も積極的にやっています。それについては、この会場ではあまりお話ししませんが、メインの仕事として手がけています。
もともと商社部門からスタートした当社は、商社部門のネットワークも比較的広いと(考えています)。
このような4つの特長をもちながら、ビジネスモデルを形成しています。
当社グループ
当社を取り巻く環境です。
当社は、配置薬メーカー、OTCメーカー、GE専業メーカー、新薬メーカー、外資メーカーなど、ほとんどの製薬企業と取引をしています。
中国には、原薬というか、中間点を作っている会社があります。「千輝薬業(安徽)有限責任公司」という会社です。それから、富山市にあります、100パーセント子会社の「大和薬品工業」では、原薬を専門に作っています。
製剤を委託している会社としては、中国の「大桐製薬有限責任公司」という会社があります。アメリカには「DPA」(Daito Pharmaceuticals America)という会社があり、FDA(アメリカ食品医薬品局)対応や市場環境の調査をしています。
成長戦略のフレーム
成長戦略と進捗状況です。
ご存じの通り、ジェネリックを2020年までに8割にしていこうという(国の方針がある)市場環境です。
高度な製造技術をベースに、投資を継続して、最近では高薬理活性領域の展開も図っており、4・5年ほど前から高薬理の設備をスタートさせました。
良好な外部環境、高品質な生産体制、国内外における積極投資で、ジェネリック市場、原薬・製剤市場、高薬理市場、グローバルな市場(に展開を図る)ということで、成長戦略のフレームにしています。
重点施策
研究開発の強化と、開発・生産能力の増強投資の継続、生産効率化の推進、とくに最近では高薬理活性への注力・拡充及び海外展開(に注力しているということ)です。
昨年(2017年)の6月には、「高薬理R&Dセンター」という研究開発センターを竣工しました。大手さんからの治験薬の受託や、少量しか動かないようなジェネリックの製剤の開発もできる、研究と一部製造が可能な設備です。
「第八製剤棟」という高薬理の製剤を行う大型の設備も昨年(2017年)の10月に着工しました。年内までには完成し、竣工できるだろうと思います。
研究開発の成果 ①ジェネリック原薬
2018年5月期の主な原薬の上市品です。
去年(2017年)の6月と12月は、大型品のジェネリックの原薬があり、「テルミサルタン」「アリピプラゾール」「オルメサルタン メドキソミル」「ロスバスタチンカルシウム」「イルベサルタン」などの商品開発をして、現在、市場に出しています。
研究開発の成果 ②ジェネリック製剤
今度は製剤です。「テルミサルタン」の原薬を製剤化したもので、販売会社はファイザー株式会社です。「モンテルカスト細粒」は、原薬を購入し、製剤化しており、発売元は科研製薬株式会社です。
「ロスバスタチン錠」は昨年(2017年)の12月に新規収載したもので、科研製薬株式会社が販売会社です。「ファムシクロビル錠」は原薬を購入して製剤化し、日本ジェネリック株式会社が販売会社になっています。
今年(2018年)の6月発売予定品については、1成分につき2規格を準備をしている状況です。
生産体制最適化への取り組み
当社の生産体制の最適化への取り組み、原薬事業と製剤事業の生産体制です。
100パーセントの子会社である大和薬品工業は、年間約60億円の会社です。従業員120名の会社で、一昨年末(2016年)に、生産能力を増強して生産している状況です。
中国の千輝薬業は徐々に、生産能力を増強しています。主として中間体を供給していますが、これからは少しずつ最終物も手がけていこうと、最終原薬を作るための準備を進めています。こちらも生産能力を少しずつ強めています。
製剤は、中国の大桐製薬という会社に新たに製剤工場を新設して、一昨年(2016年)末から生産を開始しました。
GMP(Good Manufacturing Practice・適正製造基準)適合性認定を取得しないと日本にはもってこられませんので、昨年(2017年)に取得して、現在は品目を増やしつつある状況です。
今後、日本からの製造委託も行いますが、開発についても、千輝薬業が作った原薬や、大桐製薬で製剤したものを、日本にもってくるというビジネスを、2・3年の間に進めていこうと計画しています。
国内外における生産能力増強投資(1)
実際の設備概要です。
(スライドの左側は)大和薬品工業の設備です。2回に分けて設備をしています。両方含めて、約20億円程度の設備で、現在5,000リットルのラインが2系列入っており、生産している状況です。
(スライドの右側は)当社の第六原薬棟と第三原薬包装棟です。乾燥・粉砕・包装するのが原薬包装棟です。両方合わせて、31億円の投資を2015年末までに終えて、2016年の2月から生産を開始しています。従来比で約20パーセントプラスの設備能力をもったということです。
国内外における生産能力増強投資(2)
先ほどお話しした、中国の大桐製薬の運営コストです。実際に竣工したのは2014年で、すでに3年以上前です。
試作をしながら、いわゆるGMPの勉強をし、日本におけるGMP適合認定をいただいて、昨年から生産を開始しました。
現在、生産能力が約1億錠と(スライドに)書いていますが、設備を増強している途中です。だいたい4倍ぐらいの能力にしようとしています。
高薬理製剤棟(第七製剤棟)も同じ時期(2014年)に完成しています。約15億円の投資をして、研究と製剤を両方できる設備にしましたが、受託案件やジェネリック案件が増え、研究設備も新たに作ったため、ここは現在、あくまで中規模の生産の能力を持った設備に変わっています。
高薬理活性製剤への投資
新たに作った研究設備の高薬理R&Dセンターです。
当初は、先ほどご説明した第七製剤棟に研究設備を作っていました。しかし第七製剤棟がほとんど生産で埋まってしまうことから、研究を高薬理R&Dセンターに移しました。
ただし、やはり少量の高薬理製剤も当然あるので、こちらではGMP対応をして、高薬理の少量生産もし、治験薬も作り、少量生産もして、大手さんからの受託ならびにジェネリックの開発をこちらで行おうと、昨年6月から竣工しています。
第八製剤棟は昨年の10月に着工し、今年の暮れに出来上がると予測しています。第七製剤棟よりひと回り大きいスケールです。
高薬理活性製剤の生産体制
第七製剤棟、高薬理R&Dセンター、それから第八製剤棟の竣工時期と、だいたいの延べ床面積、そして機能です。小規模スケール・中規模スケール・大規模スケールということで、規模の大きさが出ています。
(1ロットあたり)1キロから10キロは高薬理R&Dセンター、15キロから30キロは第七製剤棟、40キロから70キロは第八製剤棟と、(1ロットあたりの)規模によって、作る場所を決めていこうと思っています。
こちら(第八製剤棟)は約35億円を投資していますが、現在、半分は余力スペースになっています。したがって、将来どちらのウェイトが高くなるかによって、この半分の場所(余力スペース)をどういう規模にするかを検討するということです。
設備投資額・研究開発費の推移
2011年から今日までの設備投資額、減価償却額、そして研究開発費です。
とくに今期、非常に開発費が増えています。高薬理の開発と一部R&Dセンターの償却等が入っているためで、17億円になっています。
グローバル展開
現在、日本のみならず、海外も考えながら推し進めています。
国内ジェネリック医薬品を取り巻く環境
これは日本の市場です。当社の2018年5月期の見込みは405億円です。2020年の9月までに(国内のジェネリック比率を)だいたい8割に持っていこうというのが、国の施策です。
足元における当社の施策
生産体制の最適化に取り組み、高品質・低コストを武器に、国内およびグローバル展開を遂行することを中心に、現在、進めています。
決算ハイライト
それでは、いちばんのメインである、(2018年)上期の決算概要です。当社は5月が決算ですから、11月は上期ということになります。
(スライドを指しながら)これは去年の11月です。2017年5月期の2Q。それから2018年5月期の2Q、ここが今期の11月の決算です。
結論から言いますと(売上高は)204億5,400万円で、(昨年より)12億3,400万円増、6.4パーセント(増になりました)。
経常利益が(昨年比)2億2,100万円増です。
研究開発費は多少増えており、減価償却費は、ここに書いてある通り(昨年比800万円増)です。設備投資額は約18億円です。
部門別売上高
原薬は、実は若干、残念ながら落ちています。とくに一昨年から去年にかけて、大型のARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)の原薬を販売していましたが、昨年にAG(オーソライズド・ジェネリック)が発売されたこともあり、一昨年から見ますと、若干の減(になりました)。商品については、単価の値下がりもあり、若干、落ちています。
一方、製剤は非常に好調で、前年比で約15億円(増になりました)。とくに製品関係が非常に好調に推移しました。
要約損益計算書
損益計算書です。
営業外損益について、一昨年は為替等によって為替差損が出ましたが、去年の11月は出ませんでしたので、プラスになりました。
営業利益よりも、経常利益が上回っています。
経常利益の増減分析
経常利益の増減分析です。
2017年5月期の2Qと今回の2Qを比較して、どういうふうに増減したかということです。
売上高の増加等によって、5億円あまりがプラスになりました。
人件費の減少は、人が減ったというよりも、退職給付費用が少し減った関係でプラスになっています。
製品構成のミックス、為替による影響、研究開発費の増加、それから減価償却費の増加で、プラス・マイナスすると、ここに書いてあるような内容です。
要約貸借対照表
貸借対照表です。
在庫関係、有形固定資産、短期借入金等が増えているということで、総資産が約20億円近く増えています。
一方、純資産が15億円増えているので、現在、自己資本が56パーセントあまりになっています。
要約キャッシュフロー計算書
営業キャッシュ・フローは約16億円です。
投資キャッシュ・フローは(マイナス)約20億円。この内の約10億円近くが第八製剤棟です。今建設中で、建設仮勘定になっている金額です。財務上ではこのような数値になっています。
2018年5月期 業績予想
この通期(の業績予想)は、昨年の7月に発表した数値と基本的に同じになっています。
売上高は405億円です。営業利益が41億円です。経常利益が41億5,000万円です。当期純利益が28億5,000万円です。
設備投資額は約40億円です。その内の約20億円近くが第八製剤棟にかかる分です。
2018/5期 部門別売上予想
製品構成です。
原薬は当初の予定どおりの目標数値になっています。製剤も昨年の7月に発表した数値です。トータル405億円を目標に、現在進めています。
部門別売上高の推移と予想
2013年から今年の5月までの品目別(の売上高)です。
「製品」と「商品」の違いは、自社でつくる、あるいは海外から持ってきて自社で品質を確認して品質保証をしている、そのようなものを「自社製品」と色付けしています。したがいまして、すべて自社で作っているのではなく、海外から持ってきたもの、あるいは大和薬品工業で作ったものも製品としてカウントしています。
配当予想
当社は、事業価値の持続的増大と、それによる株主のみなさまへの利益還元を経営上の重要課題として位置づけています。
利益還元は、当該期の業績に加え、今後の成長投資や財務体質の強化を考慮し、安定的な配当実施を重視しています。
この5月期では(1株あたり)30円、上期については15円と取締役会で決定しました。
あとは当社の参考資料として付けてありますので、これはまた、ご覧いただければと思います。
以上、私からは早足でしたが、ポイントを絞ってお話しいたしました。