2018年3月期第2四半期決算説明会
平野洋一郎氏:みなさまこんにちは。ご多用のところ、インフォテリア株式会社第2四半期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。私から今回の第2四半期の決算についてご説明いたします。
会社概要
まず最初に会社概要です。
当社は企業向けのソフトウェアを開発をしている会社です。その中でも、とくにソフトウェア製品を特定の企業向けではなく、不特定多数の企業に販売して使っていただくモデルです。今年(2017年)4月にイギリスのThis Place社を買収して、拠点としては5ヶ国9箇所となっております。
地図の赤い点があるところが拠点です。このようなかたちで世界に向けたソフトウェアを開発する。またさらに、次世代のデザイン重視のソフトウェアを開発する。このようなことに挑戦している会社です。
決算ハイライト
決算のハイライトです。今回の決算はひと言で言いますと、大幅な増収・大幅な増益となります。
売上収益は前年同期比89.9パーセント増で2倍近い売上となっております。営業利益は前年同期比143.3パーセント増、つまり2倍以上の営業利益となっております。
税引前利益は前年同期比61パーセント増。当期利益は前年同期比47.8パーセント増というかたちでこちらも大きく増えております。
第2四半期連結会計期間 好決算の要因
今回の好決算の要因として、主なものを挙げます。まず売上増は、この期に新しく始めた「デザインサービス」。こちらは買収による新たな売上ですが、こちらが大きく貢献しています。
さらに当社の既存の中核製品「ASTERIA」およびサービス「Handbook」ともに順調に2桁増で非常に好調です。
また利益に関しては、今回This Placeの買収費用がマイナス要因として入ってきますが、こちらを差し引いても、営業利益が大幅に増加しています。
税引前利益も9,500万円ほど為替差損がありますが、こちらが計上されていても、大幅増加ということで、為替差損がなければもっと大きかったという、非常にいい状況での決算となっております。
製品別売上状況
製品別の売上状況です。先ほど申し上げたとおり、中核製品の「ASTERIA」「Handbook」ともに2桁成長です。
「ASTERIA」の導入社数は、いよいよ6,500社に迫ります。そして「Handbook」は契約件数が1,300件を超える状況です。
また現在、その他に分類されている「デザインサービス」も非常に好調で、その他の中では最も貢献しています。以上が主なトピックスとなります。
損益計算書
損益計算書です。先ほど述べた数値は、前年さらにその前の年と比べても非常に良い数字となっております。売上総利益も前年同期比168.2パーセントということで、非常に良い数字となっております。
売上収益の内訳と推移
売上収益の内訳と推移です。当社の売上構成は、ライセンス売上、サービス売上、サポート売上の3つになっていますが、3つの項目すべて伸びています。ただサービス売上が非常に伸びていることから、ライセンスのパーセントもサポートのパーセントも減ってます。ただ売上そのものは上がっているということで、非常に良い状態だと考えております。
当社の中期経営計画において、ライセンス売上は毎月1回だけ売上が上がるもので、非常に上下が激しいのですが、こちらが減っていくということは、安定した売上の成長につながるということから、中期経営計画ではライセンスの売上を20パーセント台、目標として25パーセントまで落とすことをすでに達成している状況です。
ライセンス売上・サポート売上両方とも伸びているわけですが、ライセンス売上は先ほど申し上げたとおり、「ASTERIA」のライセンス版の収入が増加しています。サポート売上はライセンスが販売されると、保守というかたちで毎年少しずついただけるものなのですが、こちらの収入も順調に増加しています。
売上区分別状況
サービス売上は実際に5倍以上ということで、先ほど申し上げたとおり、「デザインサービス」が貢献しています。さらに「Handbook」のクラウド版、および「ASTERIA」のサブスクリプションが大幅に伸びています。
売上区分別状況
その内訳ですけれども、やはり「デザインサービス」が8割近くを占めているということで、貢献度合いがおわかりいただけるかと思います。
販売管理費の内訳と推移
販売管理費の内訳と推移です。今回、昨年度は「その他」に入っていた支払報酬を出しています。書いてあるとおり、一時的な増加として買収関連費用がかかっておりますので、よりわかりやすくこちらを出しています。それ以外に恒常的な増加として、子会社(This Place)買収により人件費が増加しています。
営業利益/税引前利益/当期利益
営業利益、税引前利益、当期利益です。まず営業利益は非常に大きく伸びております。税引前利益で今回特筆すべきなのは、為替差損が約9,500万円あることです。こちらは主に英国のポンド高による為替差損となっております。さらに税引前利益から当期利益については、法人所得税等の費用(8,900万円)があります。
各指標の推移(前年同期比)
各指標の推移(前年同期比)です。まず当社の売上総利益/率は、70パーセント以上が経営目標になっておりますが、今回は前年同期より若干下がり76.6パーセントです。こちらは主に、子会社This Place社買収による影響です。
研究開発費用/率も6.9パーセントから3.9パーセントに下がっておりますが、こちらもThis Place社買収による影響で費用が上がっておりますが、比率は下がっています。販促・広告宣伝費用/率も下がっております。こちらも数値は上がっていますが、売上全体がさらに大きく上がっているために、比率は下がっています。
営業利益率の経営目標は20パーセントですけれども、第1四半期より少し上がって21.7パーセントとなっております。
財政状態計算書
財政状態計算書です。期初と比べて資産合計が大きく増えております。こちらは新株予約権の行使により22億5,000万円の新規調達をしているのと、子会社取得による「のれん」が14億円強増えているためです。
結果として、自己資本比率が非常に高い73.6パーセントということで、きわめて健全になっております。とくに現預金等、今後M&Aを積極的に行う原資とさせていただく計画です。
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローともに大きく伸びています。
2018年3月期業績予想
2018年3月期業績予想です。売上収益は26億円の予想で、現在の進捗率は57パーセントです。当社の場合、上期前半が(進捗率)40〜45パーセントというのがこれまでの通年ですので、かなりの進捗率だということです。
営業利益は進捗率78パーセント、税引前利益は進捗率53パーセント、当期利益は進捗率46パーセントということで、計画以上に推移をしておりまして、非常に好調な状況です。営業利益に関しては、すでに昨年通期の営業利益を超えている状況です。
当社としてはあと2四半期ありますので、こちらに向けての通期予想は、ここから先にどのぐらい数値が変わるのかなかなか読めないところがございます。大きな買収もしておりますので、もう少し様子を見るということで、現在は(通期業績予想に)変更なしとさせていただいています。
ASTERIA 11年連続市場シェアNo.1
続いて、これらの非常に好調な数字を生み出している背景として、製品およびサービスのトピックスとなります。中核製品(ASTERIA、Handbook)、新製品(Platio、Gravio)、新サービス(Blockchain、Design)、そしてコーポレート(全社)の順にご説明いたします。
まずASTERIAです。この第2四半期中に市場シェアNo.1を再度獲得して、11年連続シェアナNo.1、導入社数も6,500社近くになりました。
さまざまな業種業態に広がる
全部入れきれておりませんけれども、実際に使われている企業様です。第1号ユーザーさま(ソニー)、第2号ユーザーさま(京セラ)は非常に大企業でしたが、最近では中堅の企業様もどんどん入ってきています。
Q2事例:サカタのタネ様
第2四半期のみの新しい事例をご紹介します。まずサカタのタネさまです。こちらも非常にメジャーな会社でございますが、100パーセント内製化を実現するためにASTERIAをご利用になっています。
Q2事例:三機⼯業様
三機⼯業さまは、Microsoft Dynamics 365(CRM)との連携を100パーセント内製化するという、今のトレンドに沿ったものをASTERIAで実現されています。
Q2事例:横河ソリューションサービス様
横河ソリューションサービスさまは、SAPという非常にメジャーなERPとの連携を実現されています。
販売パートナー(AMP,ASP)増加
これから売っていくためにという体制も上半期で強化しています。マスターパートナーとして、NTTデータ九州さま、KEYWARE SOLUTIONSさま。
さらに「ASTERIA WARP Core」という、クラウド型の月額課金で、月3万円もしくは月6万円といった価格で変える新しいラインアップを専門で売っていただくサブスクリプションパートナーがいます。こちらは年初から14社に増加しており、これからも続々と増加します。そして「ASTERIA WARP Core」という新製品を売っていただく体制が急速に整いつつあります。
連携アダプター続々と開発
さらにASTERIAの特徴としては、いろんなシステム・いろんなアプリケーションをノンプログラミングでつなぐことができます。その秘密はアダプターにあります。アダプターがあれば、相手先のシステムに簡単に、ノンプログラミングでつなぐことができます。
この上半期には3つのメジャーなデータベースとつなぎ、1,200件以上の導入実績を持つグループウェア、さらには全世界的に売られているNETSUITEというアプリケーションとの連携が実現しています。
成長分野:RPA(Robotics Process Automation)
ASTERIAが伸びている原因は、新たな成長分野に対する取り組みが挙げられます。いくつかありますが、主なものを2つ挙げます。
成長分野として、RPA(Robotics Process Automation)があります。こちらについては、その名のとおりのRPAテクノロジーズ社と協業して、従来から言われている画面のフロントエンドでの自動化だけでなくバックエンド、システム側の自動化もASTERIAが担うという連携をして、さらにその先のクラウドサービスや社内システムまでつないで自動化することができるソリューションを提供しています。
それがこちらの「BizRobo Smart Connect」です。RPAテクノロジーズ社のキャラクターがBizRoboというのですが、このようなRPAの取り組みをしております。
成長分野:AI(Artificial Intelligence)
もう1つの成長分野がAIです。こちらは非常に大きな市場になりますが、時間をかけてすでに取り組んでいます。認知技術として、Microsoft AzureのCognitive Serviceがありますが、こちらはすでにASTERIAのアダプターを作って提供しています。
例えば、こちらにあるような5つのアイコンを使うことで、コーディング・プログラミングをすることなく、AIの機能を使うことができます。
こちら今どんどん充実してきておりまして、今提供しているAzureだけでなく、GoogleやAmazonといったところからもさらに提供されます。このようなAIを企業システムとつないで使うために、ASTERIAは非常に重要な役割を担います。
今のAIのエンジンというのは、情報を食べさせないと育ちません。要はラーニングをしなければ頭がいいだけ。何も入っていない。そのためには、企業のデータを数多く、しかも良いデータを食べさせる必要があるので、そこにASTERIAが入ります。そして今度はAIが考えた結果をASTERIAが取って、それを企業のシステムに返す。今後はこのようなことが必要になります。
今、世の中でAIが騒がれているのはAIの機能そのものについてです。例えば将棋に勝ったとか、そのアウトプットが評価されていますけれども、今後はシステムと連携することが必要になってきて、そこでASTERIAが活躍するというわけです。
Handbook 累計契約件数1,300件を超える
次はHandbookです。こちらも順調に件数を伸ばしており、累計契約件数は1,326件です。この夏もまたシェアNo.1をいただいています。
Q2事例:サンクロレラ販売様(営業資料)
Q2事例です。サンクロレラ販売さまは、成約数アップを実現し、社員のスキルも向上したという結果を出されています。
Q2事例:南都銀行様(営業資料)
南都銀行さまは、「Handbook」によって紙コストを大幅に削減しております。準備時間を大幅に短縮することは働き方改革にもつながります。そして常に最新資料を間違わずに閲覧することができます。
総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業
こちらの「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業は実験事業ですので、実証実験にHandbookが活躍している状況です。
第5世代 Handbook 出荷開始
このような状況ですが、Handbookをさらに強化いたしました。今まで販売していたのは第4世代の「Handbook 4」ですが、8月末から第5世代の「Handbook 5」を出荷しています。
Handbook5で広がる活用用途
また、Handbook 3、4一方向だったものを双方向にして、さらにHandbook5ではさまざまな利用用途に広げていき、さらに件数・売上等に貢献すると考えております。
新製品「Platio(プラティオ)」「Gravio(グラヴィオ)」
次に、新製品です。今年は「Platio」「Gravio」の2製品の出荷を開始しています。どちらもIoTと関係のある製品です。
つなぐフィールドはIoTに拡大
先ほどご説明した「ASTERIA WARP」と「Handbook」に加えて新しくIoT、モノのインターネットというものが出てきましたから、こちらの2製品が出てきたわけです。
Platio - 人とモノをつなぐ
「Platio」というのは、具体的にはスマートフォンやタブレットで動くアプリを簡単に作ることができるものです。
今までこのようなアプリを作るには、特定のプログラミングを覚えて、Appleに申請をして配布することが必要でしたが、「Platio」を使うと、「Platio」の中でアプリを使って、作って、配布することができるので非常に便利です。
IoT各社との共創が進捗(1)
こちらの「Platio」は発売開始から非常に反響が大きくて、IoT各社との提携が続々進捗しています。
まずは株式会社SORACOMさま。IoTといえばSORACOMというくらい有名なところですが、SORACOMさまとのクラウド連携によるセンシングデータの閲覧が可能になっています。
IoT各社との共創が進捗(2)
Sony株式会社さまの「MESH」です。こちらはCEATECのブースで「Platio」をご紹介しています。
IoT各社との共創が進捗(3)
こちらはOpenBlocksです。IoTの世界では非常に有名で、知らない人はいないぐらいゲートウェイのスタンダードなのですが、こちらと連携をして、さまざまなデータをもってきて、クラウドで集めて、現場でデータが見えるということを実現しています。
IoT各社との共創が進捗(4)
さらにcloudpackです。こちらはクラウドインテグレータとして非常に有名な会社です。そちらと「Platio」を組み合わせることで、単なる自動化だけではなくて現場をスマート化することを提供しています。
IoT各社との共創が進捗(5)
株式会社Cerevo様はインターネット家電で有名な会社ですが、こちらのモジュールである「BLUE NINJA」と「Platio」のアプリが組めることにより、ゼロから開発するのではなく、テンプレートからもってきてDIY型IoTを実現しています。
IoT各社との共創が進捗(6)
ユニ電子株式会社様もいろいろな機器を出していらっしゃる会社ですが、こちらの出していらっしゃる製品に一挙に対応しております。
このように、数々のIoT各社との共創を「Platio」で実現しています。
イベント・セミナー積極展開
イベント・セミナーなども積極的に展開しており、毎週のようにいろいろなところに出ている状況です。
新ラインアップ(モバイル普及版)を追加
このようなかたちで需要開拓をしておりますが、さらに広く用途をカバーしていこうということで、第2四半期に新しく、モバイル普及版をより低価格で使うことができるラインアップを出しています。
これまでIoTを使うとなると、月9万円からというラインアップになっておりますが、IoTはいらない、モバイルだけでいいという場合には、Handbookと同じように月2万円からというかたちで、さらに幅広く普及を図っていこうとしています。
Gravio - 本格的エッジ・ミドルウェア
「Gravio」は6月に出荷を開始しました。クラウドとデバイス、IoT機器の間でいろいろなデータ連携をするIoT専用の製品です。これからいろいろと展開をしていきます。
ブロックチェーン
新しいサービスということで、当社はブロックチェーンに当社は取り組んでおり、4月から専門の部隊も作っています。
ASTERIAでの対応、「Gravio」での対応、ブロックチェーンのサービス、それから外部団体での活動等についてご説明いたします。
ブロックチェーン業務適用コンサルティング
当社が直接提供するサービスとして、この第2四半期にブロックチェーン業務適用コンサルティングの提供を開始しました。ブロックチェーンを具体的にどのように使ったらいいかわからないお客様に対してコンサルティングを行います。
当社はフィンテック以外のところの、ブロックチェーン活用も勧めております。実際にはコンサルティング以外に、ハッカソンや実証実験を行うことも提供しています。こちらのサービスはすでに、中部電力様などで採用いただいている状況です。
株主総会投票実証実験成功
またサービスのプロトタイプとして、6月に行った株主総会投票の実証実験は成功に終わりました。今後はこのようなものをサービス化して、多くの企業さまが簡単に使えるようにしていくことを考えているところです。
こちらの株主投票実験においては、この第2四半期にホワイトペーパーを公開しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
ロンドンのハッカソンで優勝
前回も少しご紹介したのですが、第2四半期8月に当社が買収したThis Place社の開発のチームがロンドンのブロックチェーンのハッカソンで優勝しました。
ブロックチェーン推進協会①
次に、外での活動を少しだけご紹介いたします。まずは私が代表理事を務めているブロックチェーン推進協会の進捗ですが、今、加盟社が170社を超える状況になっております。私は年内で200社達成を今年の目標として挙げておりましたが、こちらは前倒しで達成されると考えております。今は4つの部会で活動しておりまして、とくに新しいところはスマートシティ部会です。
ブロックチェーン推進協会②
さらに注目を浴びている、ブロックチェーン推進協会の試みとしては「Zen」という仮想通貨があります。こちらはほかの仮想通貨と一線を画す仮想通貨です。
みなさんご存じのとおり、仮想通貨は本当に値上がり激しいのですが、この「Zen」はそのように為替ができるだけ動かない、安定した仮想通貨を目指しています。
こちらの社会実験をずっと進めているわけですが、直近のアップデートとしては、9月29日に金融庁に仮想通貨として正式に登録されたということと、仮想通貨取引所での売買実績がでてきたことです。
まだ実験ですけれども、11月末までの第1フェーズが終わりましたら、協会でレポートをまとめてみなさまに発表する計画です。
ICO協議会
私がもう1つやっているのがICO協議会です。こちらはCOMSAというICOのプラットフォームを健全に成長させていく、またCOMSA以外のICOも健全に成長させていくことを狙って、有識者に集まっていただいているものです。こちらで委員として活動しています。
こちらのCOMSAのプラットフォームのために、当社の出資先であるテックビューロ株式会社がICOされました。結果として、109億円相当を調達したということで非常に成功して、日本で初めて100億円を超えたICOとなりました。
ただ、こちらのICOが非常に盛り上がっておりますけれども、まだまだ気を付けなければいけないことが多いです。まだ黎明期ですし、法律、会計、税務などはまだ未整備です。日本でもかなりポピュラーになってきましたけれども、まだまだやらなければいけないことがあるということです。
そして認識しないといけないのは、このICOだけで切り出して考えると少し見誤るということです。今後はブロックチェーンをベースとした仮想通貨やデジタルトークンを使った、トークンエコノミーというものが発生してきます。
法定通貨とはまた別の領域での経済が成り立ってくるということです。その一端であるという認識も大切なことです。
やはり注目が集まって、お金が多く動くと、詐欺や悪質なICOがこれから絶対出てきますので、それらをどのようにしてなくしていくかも非常に大きな課題となっています。
デザインサービス
次に、今回大きく貢献しているデザインサービスです。こちらは主に4月に買収したThis Place社の仕事によるものです。
デザインサービスが大きく収益貢献
どのようなものかというと、大企業向けにデジタルデザインとそのコンサルティングを提供しています。必要に応じて、組織の提案、戦略提案なども行っています。
これにより、大企業のお客さまのデジタル化を支援しています。現在は英国ロンドンと、米国シアトルに拠点を持っています。
デザイン戦略コンサル企業の買収相次ぐ
デザインが非常に重要だということは、別にインフォテリア株式会社が言い始めたことではなく、世界中では非常にこのデザインが大事だということが言われ始めています。デザインというパーツではなくて、デザインがビジネスの戦略の核となる時代になってきています。
Accenture社もデザイン会社を買収している、Facebook社も買収している、McKinsey社も買収している。金融大手のCapital One社もデザイン会社を買収して、これからの企業戦略に役立てていくということです。
中期的なThis Place買収の狙い
私たちは企業向けのソフトを開発・販売していますが、こちらの選択基準が変わってきます。
今、私たちのソフトウェアは、機能リストを満たしているかどうかのマル・バツで選ばれます。もしくは受託開発の場合、要件定義というもので作られます。
なぜかというと、IT部門が中央集権的に仕切っているからです。しかし、クラウドとモバイル、スマホ等によって、別にIT部門に選んでもらわなくても、現場で使ってみて、それが良いと使ってみることができる時代になってきています。
企業ソフトですら現場で選ぶとなると、消費者の方々が物を見て選ぶのと同じように、デザインファーストになります。機能一覧を全部見て全部使ってみたりはしません。IT部門はこのようなことをしますが、フロントの人たちはそんなことはしません。
何が大事かというとデザインです。デザインファーストです。すでに消費者製品、コンシューマー製品でいい例があります。
例えばiPhoneが最初に出たとき、もう10年前ですけれども、出たときにはなんとコピー&ペーストがありませんでした。コンピュータの機能として基本中の基本なのにない。このようなものができると、デザインが入ってきます。デザインファーストで、結果的には世界を制しました。
このような状況が企業のソフトウェアでも起こります。3年から5年はかかるかもしれませんから、今から取り組むというわけです。
コーポレート(全社)
最後にコーポレート(全社)の第2四半期の累計期間のお話です。
まずは2017年4月のThis Place社買収です。
その後(2017年5〜6月)に約2億円の自己株式の取得を行っています。
(2017年6〜7月には)22.5億円で新株予約権による資金調達を行っております。
こちらが今回開示しているものですが、(2017年11月に)譲渡制限付き株式付与を行なっています。こちらは近年ルールが変わってできるようになったのですが、株式そのものを社員に持ってもらうということです。今回のプランでは、現時点の社員全員(が対象)です。
社員全員が株主目線をもって、株価を意識して、株主のみなさまと一緒に将来を作っていくために全員に付与しています。
制限付きとありますが、こちらは3年間売却できません。つまり、3年間は会社にいないといけないという制限です。総額2,460万円相当を付与しています。
ガバナンスを高めたグローバルな経営陣
今、ガバナンスが非常に話題になっておりますが、当社は6月に株主総会で選んでいただいた取締役の過半数が社外取締役となっております。名前を見ていただくとわかると思いますが、独自の知見に基づく意見をお持ちの方々です。
当社は世界でのシェアを目指しておりますので、日本だけでなく、いろいろなところの知見を持った方々で構成させていただいております。
上が取締役、下が執行役員で、This Place社のCEOも執行役員として、全グループで取り組む体制にしています。
私たちのインフォテリア株式会社は、「つなぐ」ということがテーマとなっています。私たちの製品やサービスを通じてお客さまを未来へ「つなぐ」ことを目指しています。
システムをつなぐASTERIA。ヒトをつなぐHandbook。モノをつなぐPlatioとGravio。そして、オモイをつなぐデザインサービス。
このようなものを価値あるものとして提供して、最終的には「ソフトウェアで世界をつなぐ」という、私たちの創業時の想いを実現するために、インフォテリア株式会社はこれからも挑戦を続けてまいります。
以上、説明となります。ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。
質疑応答
司会者:それでは、ただいまから質疑応答のお時間とさせていただきます。
質問者1:先ほど、為替差損の説明もありましたが、第1四半期に比べて第2四半期の伸びが縮小しているように感じました。とくに利益面での減速感が見えたのですけれども、そのあたりについてコメントをいただければと思います。
平野:第1四半期は営業利益もよかったのですが、どこが大きく違うかというと、こちら(スライド)の説明になります。
第1四半期は、為替差損がこんなに(第2四半期ほど)大きくはありませんでした。ですので、税引前利益(のグラフ)がもっと営業利益に近いところにあったのですが、今回は英国のポンド高による為替差損が大きくなって、その分税引前利益も減って、当期利益も減りました。
ただ、第1四半期に比べると、というだけであって、前年同期比では大きく伸びています。当社の場合、クオーターごとに比べるというよりも、季節変動がありますので、前年同期と比べたほうがはっきりわかるという状況です。
英国(子会社)のThis Placeのデザインサービスの収入が大きい状況ですと、今後も(為替差損の)リスクとしてはあるという状況です。ただ、私たちはまだ初年度でございますので、どのようにしたらこの為替差損を相殺できるか研究しています。
年度末までにはある程度のことができると思いますし、さらに1年を経たらそれ以降はもっと学びがあると考えております。英国のポンドということで、ご存じのとおり大きく動きましたので、第1四半期と比べて一番大きな影響となっております。
ですので、本業やそれ以外のことで減速しているということではないと申し添えておきます。以上です。
中期経営計画の進捗状況
質問者2:今期末には現在の中期経営計画を達成するメドが立っているようにお見受けしていますが、今後インフォテリアはどのような目線で、どのような姿を目指しているのか。社長のお気持ちをおうかがいしたいです。
平野:中期経営計画ということで申し上げますと、実は今期末で売上や海外比率といったところは、もともと発表しているもの(中期経営計画)をすでに超えてきている状況です。
営業利益率も恒常的に20パーセントを超えるということで、こちらもすでに達成しています。中期経営計画全体の達成ということでは、かなり確からしい状況であると認識しています。
当然ながら、その先ということですけれども、私たちは創業のときから、世界中で私たちの製品・サービスを使ってほしいという思いを持っております。ですので、中期経営計画では「海外比率で2割を超える」と言っておりました。
今期は3割を超えるのですけれども、そこが到達点ではなくて、50パーセント以上を海外で売り上げる。こちらが1つ世界的に目指すところです。そこまではまだまだ道のりがありますので、よりよい製品・よりよいサービスを展開し、さらにはその世界展開を加速するようなM&Aも積極的に実施していきたいと考えております。以上です。
ICO、ブロックチェーン関連ビジネスの今後
質問者3:インフォテリアがICO(Initial Coin Offering=新規仮想通貨公開)をする予定はありますか? またCOMSAの業績への寄与、そのほか仮想通貨やブロックチェーン関連のビジネスの今後について教えてください。
平野:ICOのご質問ですね。どなたかご質問があるかもしれないなと思っておりましたので、実は(スライドに)1ページ入れたということもありました。COMSAはICOのプラットフォームであり、そのためのCOMSAのICOそのものも行われました。発表は今年(2017年)の8月なのですが、つい先日、11月頭に109億円の資金調達が終わりました。
このICOなのですが、実はソフトウェア企業にはそれなりに向いています。というもの、COMSAそのものもプラットフォームの開発、具体的にいうとソフトウェアの開発なんです。ですから海外のブロックチェーン企業なども、自分たちがこれからサービスを開発するためにICOをしている会社が多いです。
私たちもブロックチェーン関連のサービスを提供する場合に、ICOというのは向いておりますけれども、ただ私たちは上場企業ですので、気をつけなければいけないところがあります。それはこちらなんですけれども「法律、会計、税務などが未整備」なんです。ですので、こちらのメドがある程度立たないと、株主の方々にご迷惑をかけるかもしれない、どのように説明したらいいかというガイドラインがまだない状況です。
ですので、私はICO協議会に積極的に関わって、このようなものが整備させるようにしていきたいと考えております。上場企業としての準備・環境が整ったら、新しいトークンエコノミーの一端として、どうやったらできるか今から検討・研究していきたいと考えております。
現時点で具体的な計画があるわけではないですが、今後、世の経済がトークンエコノミー、法定通貨だけではない価値の交換がどんどん行われると。私たちはそこに対してサービスを提供してきますので、そうなったときにはこのICOというのは、「日本では禁止」とならない限りは非常に相性がいいものになるのではないかと(思います)。
国によってはそのようなところもありますから、レギュレーションに沿って、ガバナンスが効いた状態で、上場企業としてできるというところに私自身も貢献していきたいと考えております。インフォテリアもそのようなものをベースとして、やれることがあれば実際に行なっていきたいと考えております。
2つ目の質問について、COMSAの(資金調達額)109億円がインフォテリアの業績にどのように貢献するのかという話ですが、COMSAの売上は(インフォテリアの出資先の)テックビューロの売上ですので、インフォテリアに109億円の一部が入るとか、そのようなことはありません。うちは何をするかというと、ICOで取引をされるようなCOMSAのシステムがあります。
そのCOMSAのシステムは「Mijin(ミジン)」というブロックチェーンを使っています。それで「ASTERIA WARP」(ブロックチェーンとのデータ連携ツール))はすでに「Mijin」とつながります。ですから、COMSAのプラットフォームと企業がシステムをつなぎたいといったときには、すぐに「ASTERIA WARP」が使える状況にあります。つまり、そのようなニーズが出てくると、「ASTERIA WARP」の販売につながるということが言えます。
まだまだCOMSAは始まったばかりですが、ICOが普及してくると、例えば、東京証券取引所がいろんな証券会社や会社をつないでおりますが、それと同じような状況が起こってきます。(ブロックチェーンとの)システム連携はどんどん必要になってきますから、この周りで「ASTERIA WARP」が活躍する日がくると信じております。以上です。
決算短信「売上区分別成績」サービス分野について
質問者4:決算短信の「売上区分別成績」のサービス分野において、前年比531パーセントの数字を叩き出しておりますが、とくにThis Placeはどのようなお客さんで受注を増やしたのか。決算短信には個別の会社名は書かれていませんでしたが、コメントいただけるようであればお願いします。
平野:This Placeの場合、やはり個別のお客さんが大きくて、個別にNDA(秘密保持契約)を交わしているということもあって、詳しいことは申し上げられません。
この上半期で大きなところについては、名前は申し上げられませんが、米国の非常にメジャーなキャリアさん、ヨーロッパの世界10位以内に入るようなスーパーマーケットチェーンといったところが売上に貢献しています。それ以外にもいろんな顧客がありますが、上半期ではそのような状況です。以上です。
「Platio」「Gravio」の販売計画
質問者5:「Platio」の現在の販売進捗状況と今年末には「Gravio」で「Gravio Premium」と「Gravio Enterprize」を出すという話もありましたが、そのあたりの進捗状況を教えてください。
平野:「Platio」と「Gravio」にご期待をいただいてありがとうございます。売上の進捗状況については、先ほど活動の進捗状況について「非常に好調である」とお話ししましたが、売上については月額モデルですので、まだ損益計算書に入ってくるような売上になっていないという状況です。
「Platio」は2月から、「Gravio」にいたっては6月からスタートですので、同じように月額課金であるがゆえに、売上としては遅く上がる傾向があります。こちらもまだ言えるような数字ではないという状況です。
ただ、お話ししたように、この領域は今非常に盛り上がってきている、注目されている、参入も多いということで、私たちがここでポジションを取っていくことは非常に重要です。
ですので、どんどんいろいろなところと提携をして、モバイルアプリ開発ツールといったら「Platio」、本格的エッジ・ミドルウェアといったら「Gravio」といったことをまずは確立して、そこからマネタイズする作戦にしています。以上です。
11月13日、決算発表直後の株価急落の原因と対策
質問者6:昨日(11月13日)の決算発表直後に、非常に株価が下がるということが起こりました。そのことについてコメントが出せるようであれば、社長のコメントをいただきたいと思います。
平野:はい……驚きましたね。まあ「驚きました」ということが第一ですけれども、いろいろな情報を集めてみると、昨日の日経電子版にそちらのカラクリのようなものが書かれておりました。
通常ですと、株価が下がるにしても段階を経て下がるはずのものが、一気にガーッと下がったというのは、ハイパフォーマンスのトレーディングツールを少しうまく細工すると一気に(株価)を下げられるという、穴を狙ったようなものではないかと書かれておりました。
いわゆるゲームの裏技のようなことかと思いますけれども、当社の場合、そのようなことが起こるのが初めてですし、何かできることがあれば考えたいです。記事によると、そうならないようなアルゴリズムになっているにもかかわらず、裏をかいてそのようなことができるということです。
実態がどうなのかということに関しては、もともと東京証券取引所の意図した動きではないですから、東京証券取引所ともご相談をして、今後どうするか考えたいと思っています。
私たちはソフトウェア会社ですから、言ってみればこのようなアルゴリズムのプロでありまして、そのようなことが起こることが改善されないのであれば、例えば、開示の時間を工夫するということしかないのかもしれません。
現時点では私たちは適時開示の精神にしたがって、私たちの取締役会が午前ですので、13時に開示となっております。もちろん場中であるのですが、記者クラブが13時まで昼休みということもあり、最速で13時の開示にしています。
穴があるのであれば対策として、ソフトウェアではなく何らか別のことがあるのかどうか、東証さんと相談したいと考えております。以上です。
司会者:ちょうど時間となりましたので、質疑応答を終了させていただきます。たくさんのご質問をありがとうございました。