決算ハイライト 2018年3月期上半期

北村巧氏:CFOの北村です。それでは2018年3月期第2四半期の決算についてご説明いたします。2ページをご覧ください。

この上半期は、昨年と比較して大きなマーケットイベントがなく、債券市場、とりわけ金利のボラティリティは歴史的な低さで、顧客アクティビティも減少しました。

一方、堅調な経済市況やアメリカの株高にも支えられ、日本の株式市場では株価が上昇し、お客さまの取引も徐々に回復していきました。

そのような中で、当社の収益は7,123億円、前年同期比4パーセントの増収。税前利益は1,605億円、前年同期比11パーセントの増益となりました。

3セグメントで見ると、営業部門とアセット・マネジメント部門は市場環境の回復を背景にしっかと利益を伸ばすことができましたが、フィクスト・インカムは前年同期比で大幅に落ち込み、ホールセール部門は減収減益となりました。

その結果、3セグメント合計の税前利益は1,268億円と前年並みの水準です。

3セグメント以外では、関連会社の損益や保有する有価証券の売却益などが貢献し、利益が拡大しました。

当期純利益は1,087億円と前年同期比で1パーセント増加しました。年率換算したROEは7.7パーセント。EPSは30円20賎です。なお9月末を基準とする配当金は、1株あたり9円といたします。配当性向は29パーセントです。

また本日、資本効率の向上や柔軟な資本政策を可能とするため、自己株式の取得を決議いたしました。株数の上限を7,000万株。金額の上限を500億円。期間は2017年11月15日〜2018年3月30日までとします。

決算ハイライト 2018年3月期第2四半期

続いて、第2四半期についてご説明をします。

収益は3,515億円。アセット・マネジメント部門は増収だったもののフィクスト・インカムの収入が大きく落ちこみ、前四半期比3パーセントの減収となりました。

一方、人件費を中心にコストを抑制した結果、税前利益は830億円と前四半期比7パーセントの増益となりました。

当期純利益は519億円と前四半期比9パーセントの減少。こちらはフィクスト・インカムの収益環境が厳しい中で、海外合計の税前利益が大幅に減り、実効税率が上がったことが要因です。なお四半期を年換算したROEは7.3パーセント。EPSは14円45銭でした。

営業部門

それでは各ビジネスの状況について、営業部門からご説明します。収益は1,018億円、税前利益は255億円とほぼ前期並みの水準です。

プライマリー株式や債券取引などが増加する一方、投信は好調だった前四半期からは減少しました。顧客資産残高は四半期末で過去最高の115.2兆円となりました。

現金本券差引が778億円のマイナスとありますが、こちらは大口の株券出庫があったためで、こちらの影響を除くと4,000億円以上のプラスでした。日本郵政の大型売出案件や、低リスク資産への流入が寄与しています。

営業部門:資産拡大の取り組みが奏功、ストック収入も増加

7ページの左下は投信残高です。今期もインド株やインカム重視の低リスク商品に資金が集まり、9月末の残高は10.6兆円になりました。

また、右下にあるように、投資一任残高は純増となって、2兆5,500億円を突破しました。

このような残高拡大の取り組みに、市場要因も追い風となって、年換算したストック収入は844億円、費用カバー率は28パーセントと、この指標を重視し始めてから最も高い水準です。

アセット・マネジメント部門

次に、アセット・マネジメント部門です。収益は354億円、前年同期比26パーセントの増収となりました。左下にあるように、運用資産残高は48兆円と、4四半期連続で過去最高を更新し、運用報酬を押し上げました。

また、戦略的提携先であるアメリカン・センチュリー・インベストメンツ(ACI)の収益性や、マーケット動向などを総合的に勘案し、今期90億円程度のACI関連損益を計上しています。

その結果、税前利益は205億円と、セグメント開示を始めた2002年3月期以降で最高の四半期利益を達成しました。

アセット・マネジメント部門:収益の多様化に向けた取り組みを推進

9ページをご覧ください。左上にあるように、今期は9,820億円の資金が流入、うち投資信託ビジネスでは、ETFやコア投信を中心に8,860億円が流入しました。野村アセットマネジメントの公募投信シェアは、右上にあるように26.4パーセントとなっております。

右下は銀行チャネルの取り組みです。アセット・マネジメント部門では、運用パフォーマンスの向上はもちろんのこと、都銀や地銀などの販路拡大にも取り組んでいます。残高も積み上がり、地銀チャネルの投信残高はこの1年間で35パーセント増えました。

ホールセール部門

ホールセール部門です。10ページをご覧ください。

収益は1,590億円、前四半期比11パーセントの減収となりました。

冒頭でご説明したように、とくに債券市場におけるボラティリティや、顧客アクティビティの低さを背景に、フィクスト・インカムが低調でした。

インベストメント・バンキングは大型ECM案件があったものの、M&Aなどの収益貢献が減り、前四半期比で減収となっています。

一方で、部門コストは1,420億円と、前四半期比から8パーセント減少しました。

収益に応じたPay for performanceを徹底し、賞与引当が減ったこと、そして前期は繰延報酬の費用認識が集中しておりまして、今期はその分がなくなったという要因もございます。

ドルで年換算した部門コストはおよそ51億ドルで、しっかりとコントロールできています。

その結果、税前利益は170億円、前四半期比33パーセントの減益でした。

ホールセール部門:グローバル・マーケッツ

それでは、ビジネスラインごとにご説明します。まず11ページのグローバル・マーケッツですが、収益は1,361億円と前四半期比12パーセント減少、うちフィクスト・インカムは783億円、欧州・米州の金利プロダクトは振るわず、前四半期比で18パーセントの減収となりました。

右側にあるように、地域別ではクレジットの回復やエマージングが健闘したアジアのみ上向きの矢印、それ以外の地域はいずれも減収となりました。

エクイティの収益は578億円と、比較的安定しています。アジアはキャッシュ・エクイティが健闘、日本はプライマリー案件が貢献し、上向きの矢印でした。一方、米州はキャッシュ・デリバティブともに減収でした。

ホールセール部門:インベストメント・バンキング

続いて、インベストメント・バンキングです。12ページをご覧ください。左上にあるように、収益は229億円、前四半期比9パーセントの減収でした。

お客様からいただいた他部門に計上する前のグロス収益は435億円、前四半期比4パーセントの減収でした。

今期は日本郵政株の売出や、ANAホールディングスのユーロ円CBなど、大型のECM案件が貢献し、日本は増収でしたが、海外ではM&Aやファイナンス関連収益が減少しました。右側にあるように、上半期のグロス収益は889億円、前年同期比17パーセントの増収です。

ここにある案件は第2四半期に手掛けたほんの一部ではございますが、グローバル連携を活かし、大型案件やM&Aを起点とする複合化案件などを多数手掛け、とくに海外収益は前年同期比で25パーセント増加しました。

金融費用以外の費用

次にコストです。13ページをご覧ください。今期の全社コストは2,685億円と前四半期比で5パーセント、金額にして約150億円減少しました。中でも人件費は10パーセント、約140億円の減少です。

この要因は、先ほどホールセール部門でご説明したとおりですが、賞与の一部として付与している繰延報酬の費用認識が前期は通常より多めだったというテクニカル要因に加えて、今期はPay for performanceの徹底で、賞与引当が減少しました。

また、情報通信関連費用が増加していますが、本年1月に予定している野村ホームトレードと野村ネット&コールの統合に向け、一時費用が発生したことが要因です。

強固な財務基盤を維持

次に、14ページ。財務基盤です。9月末の連結Tier 1比率は18.4パーセント、連結普通株式等Tier 1比率は17.4パーセント、9月末のバランスシートに2019年基準を適用した、いわゆる出口基準の普通株式等Tier 1比率は17.1パーセントでした。

6月から比率がそれぞれ下がっていますが、こちらは分子であるTier 1資本が配当金の支払いや先般実施した自己株式の取得で減少する一方、分母であるリスクアセットはマーケットリスクを中心に増加したためです。いずれにしましても、依然として盤石な財務基盤を有しております。

以上、第2四半期決算についてご説明申し上げました。

最後になりますが、足元では日経平均は16連騰と連続上昇の最長記録を更新し、個人投資家の取引も活発になってきています。

そのような環境の中、10月の営業部門は第2四半期をやや上回るペースで進捗していますし、アセット・マネジメント部門でも運用資産残高が積み上がっています。

一方、債券市場のボラティリティ指数は低いままで、ホールセール部門は第2四半期とほぼ同じようなペースで進捗しています。

今後とも、リスクとコストコントロールの手綱を緩めることなく、マーケットが回復した時、しっかりと収益のアップサイドをとってまいります。