業績推移(過去5ヵ年)

冨安徳久氏:業績動向と今後の見通しについて、ご説明をさせていただきます。

業績の状況は売上高、利益ともに順調に推移し、直近の業績となります2016年9月期は、売上高が105億9,400万円。経常利益では10億7,200万円。当期純利益は7億1,200万円です。

直近の業績動向(2017年9月期第2四半期)

今期の業績は、2017年9月期第2四半期決算を公表しており、売上高は上場来11期連続の増収であり、営業利益、経常利益、四半期純利益は4期連続の増益です。

貸借対照表/キャッシュ・フローの状況

バランスシートの状況は、総資産は111億7,900万円。負債合計は51億1,900万円。純資産合計は60億6,000万円となり、自己資本比率は54.2パーセントです。

2017年9月期第2四半期のキャッシュ・フローの合計は、プラス8億8,000万円となり、現金および現金同等物の期末残高は23億2,200万円です。

業績予想サマリ

2017年9月期の業績予想は、売上高が前年同期比7.8パーセント増収の114億2,000万円。営業利益は前年同期比7.3パーセント増益の11億7,500万円。経常利益では前年同期比7.2パーセント増益の11億5,000万円。当期純利益は前年同期比7.4パーセント増益の7億6,500万円を予想させていただいています。

業績予想の増減要因分析

売上予想の増減要因としては、既存店の増収見通しに加え、新店稼働やフランチャイズ事業の増収効果を見込み、前年同期比8億5,200万円の予想を見込んでいます。

また経常利益予想の増減要因としては、積極的な販売促進や、中長期を見据えた人材確保等により、経費の増加が見込まれるものの、売上高の増収効果により、7,700万円の増益を予想させていただいています。

今期末の業績予想を左右するのは、予定どおり出店ができるかできないかが、そのまま売上利益に反映してくので、今期に関してはすべて予定どおり出店させていただいています。

もうすでに来期の出店について、決めている状態で、予定どおり出店ができるが、そのまま来期再来期にも、その売上の増収増益効果が、必ず数字を増やしていく営業施策を打っていきますので、確実に上乗せされていく状態で、来期再来期も今期建てた会館がまた貢献していく状態です。

今期に関しては、まず会館が予定どおり出店できたことが大きな要因で、着地も予定どおりです。

あと会員数。これは未来のお客さまですので、会員数が予定以上に、会員が集まっており、これも期待していただいてよろしいかと思います。

あと先ほど申し上げました団体契約の社員が200人、300人、500人、1,000人。そういうところと、どんどん団体契約をして、福利厚生で従業員のところまで、こういうところともしものときは提携しているで、浸透させています。

そういう効果も自ずとあらわれてくると思っていますので、今期の業績予想は、無事予定どおり着地ができると考えています。

人口動態にみる葬儀市場の動向

ここからは取り巻く環境と、中期経営計画についてご説明をさせていただきます。

葬儀に関する需要は、人口動態を背景に、みなさま方もだいたいおわかりだと思いますが、増加傾向で推移し、ピークと見られる2040年には、現在の1.3倍の水準にまで拡大すると予想されています。

さらにピークとなったそれ以降でも、死亡人口は減少傾向とはなりますが、それでも現在の1.2倍の水準で、しばらく推移すると予想されています。

直近の業界環境としては、葬儀件数は1.9パーセント増。葬儀単価は1.7パーセント減で推移しています。

葬祭事業者の状況

事業所数の状況は、前回調査から124ヶ所減少の8,550事業所となり、資本金1億円以上の割合は5.5パーセントにとどまっています。

また売上高3億円以上の葬祭事業者カテゴリー別のシェアでは、互助会系が62パーセント。専門葬儀社は28パーセントを占めています。

全体の94パーセントぐらいが「パパママ・ストア」。冨安葬儀屋みたいな個人で少しの従業員を使ってやっている葬儀社さんが、全体の9割以上あり、そういうところが自主廃業、倒産、開館まで投資できずにやめられていくのが、現状の葬儀業界の構図です。

葬儀業界の変遷と新たな潮流

葬儀業界の変遷と新たな潮流としては、業界形成がスタートしたころは、葬儀社の役割は装具の賃貸が一般的でした。

いわゆる祭壇とか葬儀道具を貸し出すというのが、一般的なところからはじまり、これが都市部への人口集中や居住環境の変化等により、専用会館での葬儀が一般化し、最近では少子化・高齢化を背景に、葬儀スタイルの多様化と家族葬ニーズが高まりを見せています。

また、業界の新たな潮流として従来の葬儀社から、終活関連情報ビジネスへの参画や、ライフエンディング・サービスへの転換などが求められ、さらに高齢化社会を背景に、葬儀の小規模化や直葬・福祉葬が増加すると予想されています。

葬儀に対する意識・実態調査

28ページは、当社が全国の男女1,000名を対象に行った葬儀に対する意識と実態調査 の抜粋となります。

詳細はご覧いただければと思いますが、この調査の結果から、葬儀は「大切な人を送る儀式」であるとともに、家族や友人といった「残された人の気持ちに区切りをつける貴重な機会」であることがうかがえます。

また家族間での葬儀の話し合いも十分とは言えないので、今後も会館イベントや、講演活動を通じた啓蒙活動を積極的に行う必要があると考えています。

このアンケートをとったとき、1つちょっと特質なことがあったのですが、「本当に親しい友人の葬儀に呼ばれなかったことがありますか」というのに、3割近い人が「呼ばれなかったことがある」と答えています。

それは冷静に考えてみると、奥さんの親友・友人は、ご主人知らない。ご主人の友達、釣り仲間は、奥さまは知らない。毎年年賀状は、ご主人あてに、奥さまあてに出していた。

だけどもう、いろんなこの業界の風潮と言いますか、家族葬でいいから、煩わしい人たち、知らない人たちにきてもらいたくないから、家族葬といって、親戚だけはすぐ連絡が取れるから、それだけで行う。

いちばん寂しいのは、みなさま方も自分に置きかえて考えていただくと、本当に親しい人から、亡くなったことが、連絡がこずに、いちばん寂しいのは、年末の喪中ハガキで「あいつ死んだのか……」ということです。

そういうことがやっぱり、親しい人の連絡がこずに、最後にお別れができなかったは、僕自分自身に置きかえてもそれはツラいなと思い、僕は数年前から家族葬という定義を変えようと思いました。

ティアがどんどん数字をやっていけば、影響も与えることができるから、ティアは家族葬という考え方を感謝葬という言葉に変えて、もう商標登録もとりました。数年前に。

感謝の思いで、まごころの涙で、最後にお別れしたい人は、きていただきましょうよ。よく新聞にも近親者って書いてあるのは、近しく親しい人は呼んでいます。

もちろん個人の遺言で、家族のみでやってくれって遺言が書いてあったら、それは個人の意思を尊重するべきだから、それは家族のみでやるってことは、個人の意思を尊重してやればいいと思います。

だけど、煩わしいから面倒くさいからだけで、時間がないなんてことで葬儀社がはやし立てるところがありますけれども、時間なんかあります。

特にこれからは、第2火葬場名古屋も作りましたが、もう20年前から足らないって言って作ってきて、今は友引でもやらないと、火葬が3日後、4日後になっちゃうから、友引もお葬式やるようになっています。

第二火葬場を作っても、そんなたくさんの炉を作ったわけではなく、常にメンテナンスもしなくてはならないので、これからますます死亡人口が増えていけば、友引の状態が常にあったり、もう3日後、4日後になってきたりします。

東京の都内へ行くと、4日後、5日後。ひどい時は6日後しか火葬ができません。待ってもらうしかないです。預かるだけの、冷蔵庫を運営している会社だってあります。

全国でいちばんひどいのは川崎市。1週間間待ちだそうです。亡くなってから1週間火葬ができない。その通夜の日に、はじめて式場の日に移していただける。それまでは遺体冷蔵庫。遺体だけが泊まる遺体ホテルなんかも出てきました。

そんな時代が、これからますます火葬人口が、いわゆる死亡人口が増えてくる。衛生上も、火葬しかやってはいけないということになっており、大変な時代がくると思います。

そんな中で、僕は大切な人と、本当に感謝の思いでお別れをしたい人には、年賀状が毎日きたらそれを引っ張り出して、住所でも書いてあれば、連絡先が書いてあれば、そこに連絡してあげるぐらいのことは、してあげるべきじゃないかなと思います。

父が5年半前に亡くなりました。83歳で亡くなったので、旧制中学の、僕のあげたエンディングノートのとなりに大学ノートが置いてあって、それを広げたら旧制中学の名簿が書いてありました。

もう何年没って、どんどん斜線で消されているのですが、19人だけ残っており、その最初のところに「私にもしものことがあったら、このメンバーにだけは絶対に連絡してくれ」って書いてありました。

僕ら娘、息子、兄弟3人で、19人全部に連絡しました。そしたら1人だけ入院していて来られなかったのですが、あと18人は、息子さん娘さんに連れ添ってもらってでも、北海道から九州から、千葉の房総半島から、愛知県豊川市が実家なのですが、そこからきてくださって。

僕長男なので喪主をしていたら、「あんたがスグルさん(父親の名前)の長男かね? スグルさんは本当に若い頃、人のためによく動いてくれる人で、本当に世話になったんだ。よく連絡してくれたって」涙ながらに肩揺すられながら言っていただきました。

もしもアレを見つけられなかったら、それがなかったら、本当にその18人は、こんなにも最後のお別れをしたいって思ってくれる人たちに、それがさしてあげられなかったと思ったら、本当に、時間なんかある。

少しでも事前の準備を、死も人生の一部だって考え方を、僕は死生観を持つことの正しさを、この仕事を38年やってきて思うものですから、そういう、ちゃんと最後を、どういう最後を締めくくるのか、誰にきてほしいのか、自分は誰のところだったら、ちゃんとお別れに行きたいのかを、考えておくべきだと思います。

それを葬儀社がこうやって熱く語ると、「人がこなかったらお前売上が減るからだろ?」とか、次元の低いことを言う人がいるんですけど、そんなつもりではまったくなくって、命のつながりとか、その人に関わった人生がそこにありますんで、僕そういうことに関しては、少しお時間をかけてでも、ちゃんとお別れをさせてあげたいなって思っているところです。

ちょっと熱くなりましたけど、そんな思いを伝えて次にいきます。それでは中期経営計画についてご説明をさせていただきます。

事業戦略の概要

当社はオンリーワンブランド「ティア」のもと、ローリング方式による中期経営計画を策定してい、4項目のテーマを設け、7つの戦略を推進しています。

数値目標

数値目標としては、計画最終年度となります2019年9月期は売上高128億円。経常利益13億2,000万円。当期純利益は8億8,000万円を計画しています。

出店計画

出店は、直営4店、フランチャイズ5店の合計で9店を計画し、計画最終年度には直営59店、フランチャイズ54店の合計113店を計画しています。

地区別施策:中部地区の現状と今後の展開

中部地区の現状としては、愛知県、岐阜県、三重県で69店を展開しており、ドミナントを形成し、名古屋市内の最上シェア、火葬場の占有率は22.4パーセントを獲得しています。

また、高い知名度を背景に新規会館の早期収益化を実現していますので、今後も中部地区では直営・フランチャイズ合わせて4店から6店の出店を計画しています。

さらに多様化する葬儀ニーズに対応すべく、既存会館の改修を年2店から3店計画し、式場兼親族控室や式場間仕切り等を増設する改修等を推進していきます。

地区別施策:関東地区の現状と今後の展開

関東地区の現状といたしては、2012年9月に埼玉県化で「ティア越谷」。翌年には「ティア鳩ヶ谷」を開設し、さまざまな施策を積極的に実施しています。

また、2015年末より神奈川県、茨城県にフランチャイズ店をオープンし、さらには東京都内向けの新たな出店モデルとして、葬儀相談サロン「ティア日暮里」を2016年8月にオープンいたしました。

つい先だって「ティア町家」にもサロンがオープンしました。今後も関東地区で積極的に多店舗展開する方針であります。直営・フランチャイズ・葬儀相談サロンで20店体制をいち早く目指していきます。

[ご参考]東京都内における葬儀事情

ここで東京都内における葬儀事情についてご説明させていただきます。東京都内は地代家賃が高いものの、葬儀単価は全国平均を下回る水準であるため、会館を出店しても収益化までに時間を有することです。

また、東京都内の火葬場は、葬儀式場を併設し、寺院などの貸し式場も充実しているため、貸しホールを利用して葬儀を請け負うことが可能となります。161ヶ所です。

さらに当社が独自で行ったアンケート調査によりますと、関東地区で葬儀社を決定した理由は「インターネットから」の割合が高く、「家から近い」は選定理由にはなりにくいことがうかがえます。

このように、東京都内の葬儀事業を勘案すると、営業拠点として葬儀相談サロンを多店舗展開することによって、営業戦略を有効にしていくことが正しいと言う判断をし、サロン展開をしていきます。

ロードマップ

これまでご説明したとおり、当社は中部地区では高い知名度を有し、新規会館の早期収益化を実現しています。また、関東地区、関西地区への進出も果たし、収益化の目処も立ちつつありますので、今後も中部地区においては積極的な出店により経営基盤を強化し、関東地区、関西地区での収益化を加速する体制を整備していきます。

また、直営、フランチャイズによる中長期の出店方針に加え、環境変化への対応と、戦略の基本方針のブラッシュアップを推進することにより、中長期目標であります会館数200店体制、売上高165億円の早期実現が図れるものと判断しています。

名古屋の3倍から4倍のマーケットが関西にはあります。名古屋の5倍から6倍のマーケットが関東にあります。先ほど冒頭にも言いましたけど、全体の1パーセントやっている会社がありません。

2パーセントをやったら、全国を目指している唯一の会社で、2倍の売上利益になります。3パーセントになったら3倍です。

葬儀業界のみならず、どんな業態においても3パーセントから5 パーセント、トップシェアはあるそうです、全国を見たところ。この業界だけそれぞれの地場産業で、全国を見たときに1パーセントもしていないのです。

あるアナリスト。機関投資家が言っていましたが「名古屋で20パーセントできたんだったら、全国の20パーセントだって物理的に無理じゃないよね」。

そうすると、わかりやすく言いますと、2兆円産業と言われているため、20パーセントやったら4,000億円できるという話です。それを、全国展開を目指していくので、決して不可能な数字ではないと機関投資家たちにも言っていただいます。それをどう戦略的に描いていくかというのが我々の、これからやるべき展開ですが。

そんな感じでナンバーワンブランドティアという、業界にブランドがないですから、イオンの葬儀はブランドじゃありませんし、互助会というのも会員を取る仕組みなだけで、もうブランドではありませんので。この業界のブランドになろうと思っています。

株価推移

株主施策についてご説明します。株価の推移を記載していますので、参考資料としてご覧になってください。

配当方針と資本政策

配当針としては、とにかく安定配当を基本方針とし、業績向上時には株主さまへ利益還元を積極的に行う方針です。

前期の配当金は一株につき6円とさせていただき、今期の中間配当を含む年間の配当予想は8円を予定しています。株主優待制度につきは、毎年9月30日現在の株主さまへ保有株主数に応じて、良いお米を贈呈させていただいています。

先ほども言ったように、20年を機に、改めて誓いますけど、この業界でダントツの1位になれる葬儀社です。僕は業界のオピニオンリーダーになりたいと思っています。

よその葬儀社さん。ティアみたいに一生懸命遺族に尽くして、わかりやすい価格で、そのご予算に応じたことを、最大限キチッとやってあげる。

こういうやり方をしなきゃいけないんじゃないんですか。全国平均が145万円とか147万円ぐらいですが、当社が1万3,000件ほどやって平均が105万円から107万円です。まだ全国平均より40万円安くやっています。

そういう会社がもっと全国に幅広く展開してことが、これこそがCSR。社会貢献活動。誰もが通る道のことをやっており、そういうことになっていくんじゃないかなと思って、この事業の展開、ティアの展開を、社員共々やるべき使命と捉え、この業界改革をさらに全国に届けて、業界のオンリーワンブランドティアになってみせようと思います。

最後です。右肩上がりの需要がある業界です。新規に、新たにどんどん参入してくる業界でもありません。中長期で持つには良い株ではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

ご静聴ありがとうございました。