決算の概要

吉田修氏:みなさまこんにちは。三井化学IRグループの吉田です。

2017年5月12日、弊社は2016年度決算および2017年度業績予想を発表いたしました。業績の概要、事業の概況、財務諸表等につきまして、ご提供している資料をもとにご説明させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

まず2016年度決算の概要をご説明し続きまして、2017年度の業績予想の概要につきまして説明いたします。

詳細説明を割愛させていただきますが、第4四半期の1部のセグメントで流通在庫調整の影響。あるいは新製品拡販遅れがありましたが、成長3分野を中心とする主要製品の拡販。

そして国内石化関連事業の高水準での設備稼働、継続。石化製品等の海外市況での推移。基盤事業の構造改革効果発現等により、業績は順調に推移いたしました。

第4四半期のトピックスをご説明します。

ヘルスケア分野においてはレンズ材料の新製品開発。通気性フィルムの新設備本格稼働。フード&パッケージング分野においては農薬事業の海外展開拡大。

新規特殊イソシアネート2製品の量産化開始。基盤素材分野においてはウレタンシステムハウスの海外拠点拡大等を進めております。

2016年度決算の概要をご説明いたします。

売上高は1兆2,123億円。前年比1,316億円の減収となりました。営業利益は1,021億円。前年比312億円の増益。経常利益は972億円。前年比340億円の増益。親会社株主に帰属する当期純利益は648億円。前年比418億円の増益となりました。

為替レートは108円で前年比12円の円高です。このうち4Qにつきましては114円となっております。国産ナフサ価格はキロリッターあたり3万4,700円。前年比8,100円の下落となりました。このうちフォースクォーターは4万1,800円となっております。

期末配当につきましては2016年度の業績が当社の過去最高益を達成したことから、直近の期末配当予想から1株あたり1円増配の7円の普通配当といたします。

また当社は2017年10月1日を持ちまして、三井化学として創立20周年を迎えることから、株主のみなさまへの感謝の意を表するため、2016年度期末において、1株あたり2円の記念配当を実施させていただきます。

これにより普通配当としまして中間で5円、期末7円、これに記念配当2円を加えまして年間配当は1株あたり14円となります。

有利子負債につきましては4,399億円で前年度末に比べ、331億円減少しております。現預金を有利子負債から控除したネット有利子負債は3,558億円で前年度末に比べ376億円の減少となりました。

自己資本は4,497億円で前年度末に比べ678億円増加しました。この結果NetD/Eの倍レシオは0.24改善し、0.79となりました。自己資本比率についても3.6ポイント改善し、33.9パーセントとなっております。

下段の連結対象会社数につきましては、連結子会社94社。持分法適用会社37社。合計131社が連結対象会社となっております。

セグメント別の売上高・営業利益の内訳(増減分析 対前年決算)

セグメント別の売上高・営業利益の内訳および対前年の営業利益増減分析でございます。

売上高合計は前年比で1,316億円の減収となっております。これはモビリティを中心に円高の影響を受けたこと、および基盤素材を中心に原料価格下落による販売価格改定の影響が出たことによります。

なお特殊要因としましてヘルスケアの269億円の減収のうち、約100億円は歯科材料事業Heraeus Kulzer社の前年度での決算期変更の影響が出ております。

また基盤素材の652億円の減収のうち、約300億円は前年度にポリウレタン事業の分社化を実施した影響および当期2016年度に生産規模を縮小した影響でございます。

営業利益は前年比で312億円の増益となりましたが、数量差で53億円のプラスとなっております。交易条件で199億円のプラス。固定費ほかで60億円のプラスとなっております。

それではセグメント別に詳細説明させていただきます。

まずモビリティですが、売上高は2,933億円。営業利益が407億円。前年比販売数量は拡大しておりますが、円高影響を主因に減収減益となっております。

営業利益の増減要因としましては、自動車部品用途を中心としたグローバル需要に的確に対応したこと、あるいはICT情報通信技術関連用途の需要拡大に的確に対応したことにより、エラストマー機能性コンパウンド、機能性ポリマー、PPコンパウンド等の主力事業が堅調に推移し、数量差で39億円のプラスとなっております。

一方で交易条件は円高影響を主因に79億のマイナスとなりました。

ヘルスケアにつきましては売上高が1,342億円。営業利益が101億円。前年比歯科材料事業での決算期変更の理由を主因に減収。営業利益は15億円の減益となりました。

営業利益の増減要因としましては、メガネレンズ用材料は販売が堅調に推移。また歯科材料も欧米を中心に販売は堅調に推移しております。

一方で不織布はプレミアムタイプの紙おむつの需要は旺盛であるものの、中国での流通在庫の調整の影響を受け、一時的に販売は減少いたしました。この結果、数量差は12億円のマイナスとなり、これを主因に前年比減益となっております。

フード&パッケージングにつきましては、売上高が1,825億円。営業利益が206億円。前年比減収増益となりました。

営業利益の増減要因としましては、数量面では農薬の海外販売をやや弱含んでおりますが、コーティング機能剤、機能性フィルムシートの販売は堅調に推移し、14億円のプラスとなりました。交易条件は円高影響を主因に11億円のマイナスとなっております。

基盤素材につきましては売上高が5,656億円。営業利益が385億円。前年比原料価格下落の影響を主因に減収となっておりますが、営業利益は375億円の増益となっております。

営業利益の増減要因としましては、数量面では安定した国内需要を背景に、国内ポリウレ品事業の販売が堅調に推移したことを主因に、12億円のプラスとなっております。

交易条件はナフサクラッカーが、前年を上回る稼働率になったこと、および各誘導品プラントも高稼働となってことに加え、主要サプライヤーのトラブルに起因して、石化製品等の海外市況が高水準で推移したことから、295億円のプラスとなりました。

固定費ほかにつきましては、ポリウレタン材料事業での構造改革効果が発現したことを主因に68億円のプラスとなっております。

その他セグメントにつきましては、新規事業関連費用の増加ほかにより9億円のマイナスとなりました。

営業外損益および特別損益の内訳

営業外損益および特別損益の内訳を記載しております。

上段の営業外損益の合計は49億円のマイナス。前年比で28億円の増益となりました。このうち持分法投資損益は2億円となりました。

主要各社の利益改善により、前年比で24億円のプラスとなっております。金融収支は前年比5億円の改善となりましたが、これは支払利息の減少等によるものです。為替差損金については前年比6億円のプラスとなりました。

下段の特別損益の合計は114億円のマイナスとなっております。特別利益は主に保有株式の売却によるものです。

特別損失は前回予想で見込んでいました遊休施設の処分損。あるいは17年度以降の合理化 に資する工場での費用計上等によるものでございます。

貸借対照表

貸借対照表でございます。総資産1兆3,255億円。前年度末に比べまして、666億円の増加となっております。

このうち売掛債権、たな卸資産についてはいずれも増加しておりますが、理由としましてはナフサと原料価格上昇の影響が出たことによります。

それから投資等につきましても増加しておりますが、こちらは株高の影響が出ております。

純資産残高は5,146億円となり、前年度末に比べ714億円増加しました。株主資本は4,378億円となり当期純利益の影響を主因に554億円増加しました。

その他の包括利益累計額も株高による有価証券評価差額金。あるいは退職給付にかかる調整累計額の改善影響等により124億円増加しております。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書でございます。

営業活動によるキャッシュ・フロー1,004億円。投資活動によるキャッシュ・フロー、マイナス474億円。この結果フリーキャッシュ・フローは530億円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは有利子負債の返済を主因に476億円のマイナスとなっております。

2017年度のトピックスをご説明します。

収益インパクトが大きいものについて説明いたします。PPコンパウンドの能力増強でございます。こちらが第2四半期、アメリカ・メキシコ・インドの3拠点で年算5万トンの能力増強。これが営業運転を開始いたします。

それからこちらの2つ。高機能不織布設備の2拠点で2万1,000トンの増強。こちらが第4四半期に営業運転を開始する予定でございます。

業績予想の概要

続きまして、2017年度業績予想の概要についてご説明いたします。

2017年度は売上高1兆3,000億円。営業利益980億円。経常利益960億円。親会社株主に帰属する当期純利益650億円を見込んでおります。

業績予想の前提といたしましては、為替レートは通期で110円。国産ナフサ価格は通期でキロリッターあたり4万2,000円としております。

配当予想については中間配当で1株あたり8円。期末配当で1株あたり8円。年間配当としましては1株あたり16円の予想としております。

なお、欄外に注記をしておりますが、17年度予想の配当金につきましては、17年10月1日付けで普通株式5株を1株とする株式併合を行う予定ですが、株式併合前の株式数をもとに算出しておりますのでご留意ください。

セグメント別 売上高・営業利益の予想(対前年決算)

売上高・営業利益のセグメント別の内訳でございます。

売上高につきましては、主要製品の拡販を主因に16年度を上回る見込みでございます。営業利益につきましては、前年比較では微減益になるものの、引き続き高いレベルでの営業利益を見込んでおります。

セグメント別にはモビリティ、ヘルスケアは主要製品の拡販を主因に対前年増益。フードパッケ&パッケージングも前年並の利益を確保する見込みでございます。

一方、基盤素材につきましては市況影響および市原工場における4年に1度の大定修の影響を折り込んでおります。90億円の減益見通しとしております。

セグメント別の事業環境、主要製品の収益動向につきましては、後ほどご説明させていただきます。

営業利益推移(15年度決算→16年度決算→17年度決算)

2015年度から17年度予想までの3ヶ年の営業利益の推移をグラフ化したものでございます。

2015年度から16年度。16年度から17年度と成長3領域を中心に数量差が拡大しております。交易条件につきましては15年度から16年度にかけて基盤素材素材を中心に石化関連製品の市況が大きく改善しております。

17年度にかけては徐々に沈静化する見込みでございます。

固定費ほかにつきましては、16年度にかけて生産設備の縮小等により大きく改善しております。17年度にかけては大定修の影響および継続的に合理化を進める一方で、研究開発強化等、将来の成長に向けた費用投入増加を折り込んでおりますので、マイナスとなっております。

事業セグメントの動向(モビリティ、ヘルスケア 及び フード&パッケージング セグメント)

2017年度の事業セグメントの動向および主要製品の営業利益の方向感を示したものでございます。

モビリティにつきましては、グローバルの自動車生産台数は緩やかに拡大。またICT関連も成長継続見込んでおります。

ヘルスケアはビジョンケア材料。および歯科材料の需要は堅調に推移。不織布につきましては、プレミアム紙おむつのの需要拡大が継続する見込みでございます。

フード&パッケージングは、需要は堅調に推移する見込みでございます。

それから右下に各セグメントの営業利益の方向感を記載しておりますが、モビリティ、ヘルスケアにつきましては、記載の主要製品の拡販により、それぞれ増益を見込んでおります。

一方、フード&パッケージングにつきましても、主要製品の拡販はございます。一方で原料価格の上昇等を折り込んでる関係で前年並という見通しとしております。

事業セグメントの動向(基盤素材セグメント)

こちらは基盤素材セグメントの動向でございます。事業環境としましては、国内石化事業については、内需堅調、設備稼働高水準が継続する見込みでございます。

一方で16年度末にかけて高騰した海外市況は、徐々に軟化するという見通しを折り込んでおります。

右下の各サブセグメントの状況でございます。まず石化原料およびポリ用品。こちらにつきましては減益見通し。これは交易条件のマイナス。あるいは先ほど説明しております定修の規模。こういったものを折り込んでマイナス見通しでございます。

フェノールやPTA等々、旧基礎化学品事業につきましては前年並の利益水準を見込んでおります。ポリウレタン材料につきましても前年並の利益で推移する見込みに立っております。

営業外損益及び特別損益の内訳

営業外損益予想および特別損益予想の内訳を記載しております。

上段の営業外損益予想の年度合計は20億円のマイナス。おもに持分法投資損益が改善する見込みでございます。下段の特別損益予想の年度合計は70億円のマイナス。設備等の通常除却を折り込んだ状態でございます。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー予想を記載しております。

営業キャッシュ・フローは950億円。投資キャッシュ・フローは850億円のマイナス。フリーキャッシュ・フローは100億円を確保できる見通しでございます。

本日の決算発表でお知らせしております株主還元強化等につき、記載をさせていただいております。

株主還元につきましては2017年度より総還元性向を導入し、継続的な増配に加え、機動的かつ柔軟な自己株式取得の基本方針を打ち出しております。具体的には総還元性向30パーセント以上。これを段階的に目指して参ります。

その他の重要な後発事象につきましては、開示書類と併せてご確認をお願いいたします。

連結経営データ

あとは連結経営データ。そして19ページ以降には補助資料を付けておりますので、こちらもご参考にしていただければと思います。

以上で、2016年度決算の概要および2017年度業績予想の概要につきましてご説明を終わります。