努力して貯金することは難しい

篠田尚子氏(以下、篠田):今は「1年前に株価がどうだったか」「マーケットがどうだったか」というのは、簡単に調べることができます。

日付とそれっぽい単語を入れるとだいたいGoogleで出してくれますし、もちろん私どもの「iSPEED」でもマーケットのデータは見ていただけます。

でも「(1年前の)自分がどうだったか」というのは意外と(記録を)つけていないんですよね。私は家計簿やきちんとしたスケジュール帳がうまくつけられなくて、Googleカレンダーでちょこちょこ管理していたり、本当にこれ(「マネーフォワード」)がもう日記代わりになるってことですよね。

瀧俊雄氏(以下、瀧):やっぱり「人間はそんなに賢い生き物じゃないな」というのが、我々のようなソフト屋さんが考えることで、我々は思っている以上に自分に甘いし、弱いという前提でいます。

例えば、「今年は頑張って貯金するぞ」と言って、毎月3万円を5ヵ月くらい積み立てたところで、急に親戚が「大阪で結婚する」とか言うと、めでたいことなんですけど、大阪に夫婦で往復して、お祝儀とか、奥さんのセット代などで簡単に(積み立てた)15万円が飛んでいく可能性があります。そうすると、「貯金って何だっけ?」ってやる気がなくなっちゃうんですよ。

その前段で、もっと強制的に自分の給与からちゃんとお金を奪っていくというか、振り替えていく仕組みであるとか、(貯金を)無意識にやっていくことにもう少し生活を寄せていくことですね。

やっぱり努力じゃつけられないものだと思っているので、もうズボラな自分を認めた上でアプリを使うことをすごくオススメしています。

篠田:そうですね。本当に簡単ですし、今まで失敗した方とか、上級者の方も使えるというのがポイントだと思います。

家計簿アプリを使うメリット

:私たちがいつも申し上げているのは、ツールを使い始めることで、明らかにみなさんの(金融)リテラシーが一段上がってくるところがあります。

マネーフォワードを触ってみたから、初めてだけど証券会社の口座を開いてみようとか、日経新聞を読み始めましたとか、進化を遂げたりすることがあるんですけど、みなさんやっぱり、自分のお金に本当に興味を持ち始めると、お金に影響を与えることについても知りたくなります。これもまた、ホモ・サピエンスのいい部分だと思います。

篠田:そうですね。私も本当に「マネーフォワードがきっかけで……」という声を聞いて、今年の2月にもマネーフォワードさんの「iDeCoワンデースクール」で講演をさせていただいんですけど、そのようなスクールも開催されていらっしゃいます。単にツールで終わらないというか、そこは今後も拡充させていくことはご検討されているんですか。

:お金というのは、本当の正解がなかなか見えるものでもないですし、今は正解だと思っていても、3年後にはぜんぜん違うことをやっているべきかもしれないという、すごく自分と継続的にうまく付き合ってもらうためのツールであるべきなんですよね。

我々は正直、お金と人間がすごく程よい距離にあるようなサービスを作りたいなと思っています。やっぱり(距離が)近すぎると毎日相場を見て一喜一憂してしまいますし、何もしないともっと酷いことになってしまったりするので、その距離感をうまく習慣として作ることができたらいいなと思って、サービス作りをしています。

篠田:毎日じゃなくても、1週間に1回とかでもいいですよね。

:最悪、給料日だけでもいいと思います。

篠田:そうですよね。給料日は1つの目安になると思います。やっぱり月末や給料日の前後はいろんな引き落としがあったり、銀行口座にアクセスする機会も多いと思うので、そういう時に見るのもいいですよね。

:給料日に家計簿を始めると、絶対にプラスから始まるので、落ち込まないんですよ。マイナスから入ると「うわー」っと思いながらやるので。

これはぜんぜん嘘のない表現なんですけど、マネーフォワードを使う前と使った後で、ユーザーさんの支出がどれくらい変わったかというと、本当に「月間で19,000円くらい変わった」と言い始めるんですよね。

1日で(換算すると)都内の生ビール1杯ちょっとみたいな幅だと思うんですけど、本当にそれぐらいの生活改善効果が出ています。

我々はよく「体重計に乗る」という表現をしていて、「お金の体重計」ってなかなかないんです。我々は毎日勝手に(「お金の体重計」に)乗らせて、とりあえずグラフつけとくからと言って始めると、本当にみなさん月々1万円なり2万円なりの新しい貯蓄の原資が出てきますので、これを新たな未来のために、楽しいことに使ってもらうことがすごく大事だと思います。

篠田:月間でそれだけ違うと年間で考えると……。

:相当な大きさだと思っています。場合によっては、公的年金の何分の1分ぐらいの価値になったりしますから。ある程度の機能まで無料で使っていただけますので、ぜひその範疇だけでもお試しいただけるといいかなと思っています。

お金と“いい距離感”で付き合っていくために

篠田:ご参考までに、(支出を)削減できた金額の割合はどういうところが大きいんですか?

:人それぞれなんですけど、家族みんなで携帯電話(料金)を見直すとか、あと多いのは外食とか交際費だと思っているもの。やっぱり変動費のところで、なあなあで使ってしまっているところに変化が出てくるイメージですね。

篠田:それが細かく見えるように管理できるということですよね。

:やっぱりお金について何か言われるのはちょっと嫌なわけですよ。私がみなさんの家庭で、「家計簿見せてください」「これは通信費が微妙ですね」とか言われてもムカつくだけだと思います。

それならば罵詈雑言みたいなものはツールに投げていただくこが1つ大事なのかなと思っているのと、やっぱり見づらいものであったとしても、数字として日常的に見始めると、「いや、そんなに辛くないかな?」と思い始めたらもう大したもんですよね。そうしたら次のステップに行けます。

篠田:結局は自分で答えを導き出せるということですよね。よく「こういうところを見直しましょう」とか、雑誌やWebコンテンツの企画でもありますけど、自分の家族や夫婦間で可視化することによって答えを出せると。これはすごく重要ですよね。

:人は弱いけど賢いので、マネーフォワード以外にこういうサービスはあるんですけど、そういうものを武器として使っていただくと、効果が見られると思います。

篠田:瀧さん、最後に何かみなさんにメッセージはありますでしょうか。

:「お金と年齢」などでググると結果がすごくおもしろくて、例えば「お金と15歳」とかでググると、「お母さんにバレずにお金を稼ぐ方法が知りたい女子」とか、そういうものが出てきいます。

あとは親のものをメルカリで売ろうとしてみるとか、15歳の子たちって、アルバイトの選択肢も限られていて、なんとかお金を得たいと思ってるいところがあるのですが、実はそういう問題意識は、私は35歳ですけど、35歳になっても実はそんなに変わらないところがあります。

「なんとかもうちょっとお金が欲しいな」と思っていたりしますし、それは実は80歳の人に同じような質問をしても、同じような答えが返ってきます。

なので、ある意味お金はそんなに簡単に仲の良い友達になれるわけではない部分もあるのかなと思っています。それを認めながら、「こういう数字だよね」と(お金と)等距離な感じで付き合えるサービスの1つだと思っていますので、ぜひお試しいただければと思っています。ありがとうございました。

篠田:どうもありがとうございました。