2017年3月期 連結決算総括 事業環境

横田信秋氏:代表取締役社長COOの横田です。初めに2017年3月期の連結決算につきまして説明させていただきたいと思います。

昨年の事業環境といたしましては、訪日インバウンド需要が引き続き拡大いたしまして2016年度の訪日外国人観光客は2,400万人を超えました。2017年に入りましてもその増加傾向は変わらない状況にあります。

一方で、観光庁調べの訪日外国人の消費動向では、2016年度の旅行消費総額は前年に比べて7.8パーセント増加いたしましたが、買い物代につきましては前年比1.9パーセント減少しています。

中国人旅客を中心とするインバウンドの消費動向の変化は、空港での消費にも大きく表れました。

また為替相場の変動も購買動機に影響するものと受け取れ、昨年8月の101円台をピークに円高から円安に転じたことで、訪日外国人の購買動向にプラスに作用したと考えています。

具体的な各空港の旅客数の実績はスライドのとおりです。

なお、羽田空港におきましては、2016年度の国内線国際線を合わせた旅客数は、発着枠の拡大や訪日外国人の影響を受け、おかげさまで年間8,000万人を超えました。引き続き羽田空港をご愛好賜りますようよろしくお願いいたします。

2017年3月期 連結決算総括 連結業績

2017年3月期の業績は、施設管理運営業・飲食業の増加によりまして、売上高は微増いたしました。

一方、営業利益は上期の物品販売業の免税売上の減少や市中免税事業の業績が影響し、減益となりました。

売上高は2,049億円、営業利益94億円、経常利益128億円、当期純利益は68億円となりました。売上高は過去最高を更新しています。

売上高をセグメント別に前期実績と比較いたしますと、施設管理運営業につきましては、「航空会社への貸室の増加」「羽田国際線ターミナルでの業務受託料収入の増加」などにより20億円の増収でした。

一方で物品販売業では市中免税店での通年稼働による売上増がありました。

しかし主に成田空港と関西空港における商品売上が減少し26億円の減収、飲食業につきましては機内食の新規顧客の獲得におきまして13億円の増収となりました。

以上の結果、全体の売上高につきましては、前期比8億円の増収となりました。

営業利益はコスト削減に努めたものの、空港免税店の売上減少分の市中免税店の固定費発生等をカバーしきれず18億円の減益、経常利益は8億円の減益、当期純利益は19億円の減益となりました。

なお物品販売業の減収要因といたしましては、主に上期の中国人旅客を中心とする購買動向の変化等に対応しきれず免税売店の購買単価が下落したことが影響しています。

下期には為替動向が円安に転じるなどの影響で購買単価の下げ止まりが見られ、購買動向への対応強化により物品販売業への売上高は修正予想に対しまして、12億円を上回る結果となりました。

各空港における購買単価の通期の動向では前期比でマイナスになっています。下期の減少幅は、上期の減少幅の3分の1程度まで縮小しておりまして、2017年に入り月ごとに回復しています。

中期経営計画初年度予想との比較では、訪日需要の増加を取込んだ成長ドライバーと位置付ける想定以上の伸び悩みによりまして、売上高、各利益ともに予想を下回りました。

中期経営計画では、当初より顧客消費スタイルの変化や為替の変動等リスク要因といたしまして戦略の方向性に織り込んでおりました。

しかし初年度の実績を振り返り、羽田空港の国際化の舞台化に伴う投資計画の大幅な変更を踏まえ、投資計画を含めた見直しを行いました。後ほどその概要を説明したいと思います。

2018年3月期 連結業績予想 事業環境

事業環境としましては「羽田国際線での米国便増の通年化」「中国人に対するビザ発給要件での緩和」などさらなる政府の施策が進むなどインバウンド客の拡大が引き続き見込まれます。

訪日外国人の消費動向は、昨年下期の購買単価の下げ止まりが見られるものの目まぐるしく変化する顧客志向をいち早くキャッチして対応していくことが大変重要であることを実感しています。

新たな発想を取り込んだ営業施策のテコ入れを早急に進めています。また為替動向につきましても、不安定な海外情勢や米国トランプ政権の動向などによる為替変動リスクを考慮しまして、対応していく必要があると考えています。

具体的な空港別旅客数予測はスライドのとおりです。

羽田国内線は成田への乗り継ぎ旅客への増加などを見込みまして前期比で1パーセント増、羽田国際線はアメリカ便の増便の通年化などによりまして前期比6パーセント増、成田国際線は引き続きLCCの増便等を見込み前期比4パーセント増、関空国際線につきましても同様に、前期比4.5パーセント増と予測しています。

2018年3月期 連結業績予想 通期連結業績予想

今期の業績予想につきましては、インバウンド客の増加を取り込むことに加えまして、空室活用策、コスト削減を着実に進めることで前期を上回る業績を見込んでおります。

とくに市中免税事業では、中国やアジア諸国などの旅客の増加を取り込んでいくとともに日本人旅客の集客をより一層強化していくことで、売上増を図ってまいりたいと思います。

また関西国際空港におきましては、本年3月22日に開示しましたとおり当社が営業するブランドブティック11店舗のうち7店舗が3月末日をもって関西エアポート株式会社との定期建物賃貸借契約が終了となり、本年4月から関西エアポートが新たに契約した沖縄ディーエフエス株式会社から運営受託することで合意いたしました。

それによりまして、45億円の売上減となりますけれども、業務受託を受けることで営業利益は微減にとどまる見込みです。

これらの内容をふまえた業績予想としましては売上高については、前期比36億円増の2,086億円、営業利益は前期比10億円増の105億円、経常利益につきましては前期並みの128億円、当期純利益は前期比20億円増の89億円を予想しています。

次に配当につきましては、昨年11月の修正予想で1株当たり16円に修正させていただきました。

通期実績では当期純利益は銀座の市中免税店の減損処理による一過性の損失が発生したことにより、修正予算を下回ったものの営業利益、経常利益共に修正予算を上回ったことから当初の配当予想の18円に近づけるべく、期末配当金を修正予想より1円増配の17円といたしまして、年間配当金は前期と同額の1株当たり33円といたしました。

これにより配当性向は中間期31パーセント、通期38.9パーセントとなりまして中期経営計画の目標配当性向30パーセント以上を確保することといたしました。

今期の配当予想については、訪日需要に対する為替変動等のリスクや事業環境の変化、地域経営計画期間中の大型設備投資等を勘案した上で、安定配当の見地に加えまして訪日需要の増加に伴う当社業績への期待感をふまえ中間期18円、通期16円とさせていただきたいと考えています。

今後の配当につきましては、地域経営計画であげた配当性向30パーセント以上を念頭に置きながら、業績等総合的に勘案して決定したいと思います。

2018年3月期 連結業績予想 セグメント別業績予想(売上高)

施設管理運営業につきましては、羽田国際線の業務受託料収入・賃貸収入等の増加により前期比8億円の増加や物品販売業につきましては旅客数増と購買単価の上昇を見込むとともに、市中免税店を中心として営業政策の強化を図ることで、前期比30億円の増加・飲食業につきましては飲食店舗で一部改装に伴う営業休止期間が発生することなどで前期比1億円減少するものと予想しています。

外国人旅客の国籍別購買動向やセグメント別営業利益などにつきましては、補足資料をご覧いただければと存じます。