領域特化の目的
内藤晴夫氏:2016年度は私どもの中期計画『EWAY 2025』の初年度、スタートということでございまして、この『EWAY 2025』で目論んでいること、それがどんな滑り出しだったのかということをまずレビューしてみたいと思いますが、我々のイノベーション集中する領域を定めていこうというのが1つの眼目であったと思います。
神経領域における認知症、それからオンコロジー領域においては、がんの微小環境。それからキャンサーインフォマティクス技術、そしてEA Pharma誕生いたしましたので、そちらでは炎症性の腸疾患領域と、こういうふうに領域を絞り込んできたということでございます。
そして、それぞれを担当する組織建てをDiscoveryからCommercialまで全てが1つの組織に入っている、END to ENDの組織編成を行ったというところでございます。
このような組織をつくるメリットはなにかといえば、まずEarly Decision、早い意思決定ができる。
このビジネスの生産性を上げるために、一体どういうファクターが一番大切なのか。
特に、R&Dの面での生産性向上ということを考えますと、やはり早い意思決定。早いGO NO GOの意思決定しかほとんどないんですね。
どの領域に、どのようなところに研究所を置くいろんなファクターがあると思いますけれども、なんといっても決定的な要因は早い意思決定ということに尽きると思いますけれども、それがこのようなEND to END組織になると、DiscoveryからCommercialまで早い意思決定が可能になると考えております。
もう1つ、現代のPharmaceutical Businessは、その組織風土としてやはりScientific Acumen、科学的洞察力を漂わせていなければいけない。
それは営業第一線においてもまったく同じことであって、そのような科学的洞察力、Scientific AcumenというのはやはりこのようなEND to END組織によってもたらされるというふうに我々は考えております。
そして、そのスタートは順調に遂げられつつあるということでございます。
2016年度 連結業績(IFRS)
実績でございます。
売上高5,391億円、円建てで前年98、現地通貨ベースで104ということでございました。
当該年度為替の影響約300億円マイナスに受けております。
また、国内で薬価改定ございましたので、その分約200億円目減りしているという状況の中でのトップラインがこうであったということでございます。
売上原価ほぼ計画の中に入ってきた。売上総利益も現通ベースでは104と伸びた。
研究開発費・販売管理費の費用投入は、売上総利益の変動の範囲内に収まっているということでございます。一定の財務規律が効いている状況かと思います。
ただし、この研究開発費でございますが、ここにはもちろん為替の影響があります。
また、当社の場合に主要品目についてパートナーとの連携で物事を進めておりますので、そのパートナーによる研究開発費の分担がございますので、それらをここに割り戻しますと、ほぼ前年に対して2桁、110パーセントほどの研究開発の実質の資源投入がなされたというふうにご報告申し上げられると思います。
このその他の損益の中にはEA Pharmaの株式投入の割安益、これが93億円含まれているということでございます。
以上の結果、営業利益は591億円、円建てで2桁、114パーセント、現通で116パーセントという営業増益を果たしたということでございます。
当期利益は422億円、我々の計画を大幅に上回っておりますが、前同はこういう状況でございます。
前期には米国の子会社売却に伴います税金費用の減少がございましたので、このようなことになっておりますが、ワンタイムベントを除きますと当期利益でも増益を果たしたというところでございます。
ROE6.8パーセント、フリーキャッシュフロー820億ということで、過去5年間ほど振り返ってみましても、もっともキャッシュを生みだした年度であったというふうに言えると思います。
財務状況はNet DERマイナス0.05ということで、MJ買収以来9年ぶりに、ようやくネットキャッシュの状況に立ち返ったということでございます。
このような財務の状況、アンプルキャッシュと言ってもよろしいかと思いますけれども、このようなもとで、本日の取締役会におきまして、期末配当金80円が決議されております。
従いまして、年間配当金150円を実現したということになります。