2017年3月期 決算説明会 業績サマリー

和田雅夫氏:本日は当社の決算説明会にご参加いただき、本当にありがとうございます。2017年3月期の決算と2018年3月期の業績予想について、ご説明させていただきたいと思います。

まず実績です。受注高、売上高、売上総利益率、営業利益、当期純利益はこのような結果です。

ひと言でいうと、通信事業者の投資抑制、消防救急無線のデジタル化の終了という2つの大きな要因により、減収・営業利益減という状況でした。 受注高は、大型の太陽光発電所建設・保守の受注が寄与し、前年比で2パーセントの増加という結果でした。

売上総利益率は、キャリアネットワーク事業の構造改革等の成果により0.4パーセント改善しています。

当期純利益は、特別損失が減少したことなどで、前年度比で増加という結果です。受注高と売上高ついては、2017年1月30日に下方修正した目標に若干届きませんでしたが、営業利益は修正値をキープし、当期純利益は過達という結果でした。

セグメント別受注高・売上高

これをもう少し細かく分析してご報告します。まずセグメント別の受注高です。

左側の棒グラフをご覧ください。受注高は前年同期比2パーセント増加の2,792億円となりましたが、各セグメントを見ていただきますと、企業ネットワーク事業、キャリアネットワーク事業ともに増加も、社会インフラ分野は、5パーセントほどの減収となりました。

この括弧(△12パーセント)は、大型の太陽光発電建設・保守の受注を除いた値での伸び率です。これを見ると、企業ネットワーク事業はこれらの案件を除いても増収を確保したという結果です。

右側は売上高のグラフです。前年同期比8パーセント減収の2,579億円となり、各セグメントで見ても、3セグメントとも減収という結果でした。要因は通信事業者の投資抑制、さらには消防救急無線デジタル化プロジェクトの一巡によるものです。

企業ネットワーク事業

各セグメントの状況についてご説明をします。まず企業ネットワーク事業です。

左側の受注高のグラフをご覧ください。受注高は前年同期比で6パーセント増加の1,170億円、売上高は前年同期比2パーセント減収の1,074億円という結果でした。

これらの要因として、売上高については、当社が近年注力している、働き方改革関連事業が堅調に推移したもののPBX関連の事業が減少ということもあり、残念ながら前年度比微減となりました。働き方改革関連のソリューションである当社の「EmpoweredOffice」の売上高は、拡大が継続しており、プラス11パーセントの増収となりました。大型の太陽光建設・保守を除いた企業向けの受注も堅調に増加しました。

キャリアネットワーク事業

続いて、キャリアネットワーク事業です。受注高のグラフをご覧ください。受注高は、前年同期比3パーセント増加の687億円。売上高は、前年同期比11パーセントの減収の616億円でした。

要因は、通信事業者の投資抑制が想定以上に推移した影響によるものです。右上の折れ線グラフは、受注高・売上高を四半期毎に見たグラフ(太陽光PJ除く)です。オレンジ色の点線が受注高のグラフですが、これを見ると、17年3月期の第2四半期から、受注高は前年同期比でプラスに転じています。

そして青い実線が売上高です。16年3月期から落ち込んでおりましたが、17年3月期の第3四半期から徐々に上向き傾向になり、第4四半期には前年同期比1パーセントのプラスとなりました。通信事業者向け事業の底打ち感が顕在化していると見ています。

社会インフラ事業

続いて、社会インフラ事業です。受注高は、前年同期比5パーセント減少の865億円。売上高は、前年同期比で14パーセントの減収の824億円という結果でした。

要因として、売上高は消防救急無線デジタル化が終了し、そのインパクトを受けたためです。一方、受注については、右上の折れ線グラフで示した通り、消防救急無線デジタル化の反動減は一巡し、17年3月期の下期に前年同期比でほぼ横ばいに近いところまで回復しています。その他、放送関係のCATV、放送分野は着実に増加しています。

セグメント別営業利益

続いて、セグメント別の営業利益です。ひと言で申し上げれば、社会インフラセグメントにおける売上減により減益ということです。

これをセグメントごとに、分析したのがこのグラフで、社会インフラ事業は売上減の影響により前年同期比を見ると、35億ほどの減少。

キャリアネットワーク事業は、売上減も非常に厳しい環境により売上高は減少しましたが、コスト構造改革に取り組み、若干ですが増益となりました。

企業ネットワーク事業についても、売上減のなか、コスト構造改革に取り組み、ほぼ前年並を維持したという結果です。その他/全社消去については、システム開発投資、さらには外形標準課税等が増加し、結果として全社で100億円の営業利益となりました。

中期事業戦略における注力事業の状況

続いて中期事業戦略の進捗状況についてご報告します。当社は16年の4月から、新たな中期計画をスタートしており、ちょうど1年経った結果をご説明させていただきたいと思います。

16年3月期と17年3月期の2つのグラフで示しています。当社はサービス事業、インフラ事業、グローバル事業という3つの分野に注力し、成長を目指していくというのが大きな戦略です。

17年3月期のところを見ると、ベース事業が17パーセントと非常に大きく減少していますが、注力事業は8パーセントの増収という結果でした。 この(増収の)要因の1つは、サービス事業の拡大ですが、これは当社の働き方改革、EmpoweredOffice事業が引き続き堅調に推移したということ、サイバーセキュリティ等も拡大に寄与したためです。

インフラ事業については、4K/8K対応を起因とする放送・CATVや、防災といった分野が堅調でした。グローバル事業は、アウトバウンド事業において、円高の影響を受け、前年同期比横ばいとなりましたが、現地通貨ベースで見ると、実質9パーセントほどの増収です。

ベース事業は、17パーセントと非常に大きな減収ですが、通信事業者の投資抑制、さらには消防救急無線デジタル化の終了の2つが非常に大きな要因です。

成果と課題

これらを踏まえて、この1年の成果と課題をまとめました。

まず成果については、当社が中期計画の中で注力していく3つの分野が堅調に拡大し、プラス8パーセントの拡大ができたこと、さらにキャリアネットワーク事業をはじめ、コスト構造改革が進展し、売上総利益率が0.4パーセントほど改善できたことです。

課題はベース事業が想定以上に減少したということと、売上規模の縮小による利益率の悪化したことが課題だと認識しています。このような結果から、当社の中期事業戦略の方向性は正しいと考えており、収益性の基盤となる事業力についても改善が進んで、一定の成果が出てきていると言えます。

そして、売上高の減少要因である、通信事業者の投資抑制は底打ち、消防救急無線デジタル化の反動減も前年度で一巡と見ており、18年3月期は17年3月期をボトムとして、再成長を目指します。

事業環境

続いて、18年3月期の業績予想です。まず事業環境です。市場環境は、マクロ的に見ると、分野ごとに濃淡はあるが、全体的には堅調という見方です。 企業マーケットは、言うまでもなく、政府や各企業の働き方改革が大きなテーマになっています。働き方改革分野は、当社がいち早く取り組んできた分野です。

その他セキュリティやIoTといった分野にも企業のICT投資が拡大していくと見ています。一方、通信事業者向けのマーケットは、設備投資減少はもう底打ちしたと見ていますが、引き続き低調であるという見方です。

社会・公共インフラマーケットは、入札マーケットということもあり競争激化は継続していくと見ています。一方、投資テーマでは4K/8K、オリンピック・パラリンピック、地方創生といった分野に期待しています。

そしてもう1つは、FIT法改正によりメガソーラー建設の需要が活発になるだろうといったところがインフラマーケットの状況であると認識しています。海外マーケットについては、ASEAN地域を中心にインフラ投資が堅調に推移すると見ています。

業績予想サマリー

18年3月期の業績予想サマリーです。受注高は2,800億円です。前年同期並ですが、前年の大型の太陽光発電所関連の影響を除くとプラス6パーセントの増加です。

売上高は2,700億円で前年度比5パーセントの増収です。営業利益は105億円で5億円の増益。当期純利益は67億円で前年同期比2パーセントの増益となります。

業績予想(セグメント別)

セグメント別の業績予想です。売上高を見ると、企業ネットワーク、キャリアネットワーク、社会インフラの各セグメントともに、前年同期比で増収という予想です。

括弧内は太陽光のプロジェクトの数字を除いた伸び率です。それを見ても、前年同期比で増収です。営業利益は、各セグメントを見ると微増ということで、前年同期比5億円の増益という状況です。各セグメントで増収増益を目指していきたいと考えています。

事業遂行方針

事業遂行方針です。17年3月期をボトムとして、今年度は再成長を目指していくというのが大きな方針です。そのためには、まずトップラインの拡大です。

中期事業戦略の注力事業である、サービス、インフラ、グローバルの3つは堅調に増加しています。戦略の方向性は正しいと認識しており、具体的には、働き方関連、メガソーラー、放送・CATV、防災といった分野とアウトバウンド事業を中心に拡大を目指していきたいと考えています。

収益力の強化については、先ほどお話ししましたように、GP率の改善が進んでおり、引き続き、原価とSG&Aの効率化、さらには注力事業へのリソースの最適配置に取り組み、収益力の強化を図っていきたいと考えています。

サービス事業

サービス事業での取り組みです。やはり中心は働き方関連です。当社は2007年から取り組んでおります。働き方とオフィス改革を自ら実践しており、これをお客様にご提案していきます。

当社の「EmpoweredOffice」をご見学に来ていただくお客様も多数おられ、その顧客基盤を活かして、拡大に取り組みたいと思っています。

サイバーセキュリティも今のIT関係の大きなテーマです。当社は運用・監視基盤(SOC・NOC)をすでに運用しています。これを中心に拡大を目指したいと思います。

IoTサービスにつきましても、当社はネッツワイヤレスというIoTをターゲットとした回線サービスをスタートしています。

更に、この4月からは、グローバルSIMサービスをスタートいたしました。世界80ヵ国向けのサービスです。これにより、グローバルなIoTシステムを実現できる環境が整いました。

そして、マイクロソフトと連携し、パブリッククラウドAzureシステムと、ダイレクトに当社のネットワイヤレスが接続できるサービスもこの4月からスタートしました。こういった付加価値サービスを投入して拡大を目指していき、売上も伸ばしていきたいと考えています。

サービス事業(働き方改革関連事業)

サービス事業の1つである働き方改革関連についてご説明します。先ほど少しお話ししましたが、当社は2007年から働き方改革を実践しており、このノウハウをお客さまにご提案していきます。同時に、当社の「EmpoweredOffice」にご来場いただいている方がすでに3万人を超えていますが、このような多数の顧客基盤をベースに、この分野の拡大を図って行きたいと考えています。

インフラ事業

次にインフラ事業です。現在受注済みの大型の太陽光発電所建設プロジェクトを、着実に遂行することがまず第一です。

インフラ事業については投資が活発化する分野において、流れにうまく乗ることが重要であり、引き続き、4K/8K対応をテーマとした放送・CATV分野、さらには防災、メガソーラーに注力をして拡大を図っていきたいと思っています。

また、インフラ分野は入札マーケットですので、当社の強みを発揮できる分野・お客様に注力して、確実に受注を図っていきます。

そして、継続的に原価低減、リソースの最適配置等々で競争率を高めて、グラフにあるような売上を目指していきたいと考えています。

インフラ事業(メガソーラー)

メガソーラー事業についてご説明します。スペインのX-Elio(エクセリオ)社から受注しているのが、受注総額がO&Mを含め、約155億円というプロジェクトです。

発電力は58メガ、東京ドーム18個分という広大な敷地に2ヶ所の発電所を建設するというプロジェクトです。

写真を見て下さい。宮城県大和富谷にある発電所建設用地の全景です。元ゴルフ場の土地であり、非常に広大なところに造成した発電所を建設していきます。

下の写真が宮城県白石の建設現場で、山間地にあり、高低差が200メートルほどあります。ここの山を造成して発電所建設を進めていくというプロジェクトです。

現在、土木フェーズを実行中です。このX-Elio社のプロジェクトの実績、山間地での構築ノウハウと、(プロジェクトファイナンスを担う)国内金融機関との連携を当社の強みとして、その他のメガソーラー建設プロジェクトの受注開拓をさらに進めていきたいと考えています。

メガソーラー発電所の権利を持っている事業者のうちまだ3分の1は発電所建設をスタートしていない状況で、先ほど言いましたFIT法改正により、この権利を行使する需要が活発になっています。

世界からみれば、日本のFIT価格は魅力的な水準であり、海外の事業者が進出してきています。当社も20件ほどのターゲット案件があり、引き続き拡販を図っていきたいと考えています。

グローバル事業

グローバル事業です。まずアウトバウンド事業は、好調なミャンマーをはじめASEANに注力していきたいと思っており、ローカライゼーションによる現地事業の拡大にも注力を図っていきたいと考えています。もう1つは、日本政府援助のODAを確実に取り組んでいきたいと考えています。

インバウンドは、増え続けている訪日外国人によって活性化する市場への対応ということで、ホテル、観光といったところで拡大を図り、そして今年度以降、いよいよオリンピック、パラリンピックの投資が本格化してくると見ており、この関連売上も伸ばしていきたいと考えています。

グローバル事業(ミャンマー)

ミャンマーの状況です。昨年の6月に、当社はミャンマーのローカルの会社2社と、現地合弁会社であるiSGM社を設立しました。これが好調に立ち上がっています。

ミャンマーはとにかく旺盛な通信インフラ需要があり、この需要にのり、通信事業者のインフラのSI、局舎の設備、あるいは技術支援等といった案件の受注が順調に増えており、初年度売上高10億円という当社の想定を上回る売上です。

10億円というと日本で言うと驚く数字ではないとは思いますが、実はミャンマーのIT業界の中では、上位クラスの売上ボリュームになるレベルです。初年度で大きな成長をしています。

従業員数も40名でスタートした会社が現状175名で4倍以上に増加しており、さらに当社の強みでもあるローカルコスト、加えて日本品質を武器にミャンマーでも成長を図っていきたいと考えています。

これがiSGM社の社員の様子です。下のところが40名、細々とスタートした感じですが、今年の3月に175名という状況です。平均年齢24歳の非常に若いエネルギッシュな会社に成長したということです。

中期事業戦略における注力事業:18年3月期の目標

そして、この中期事業戦略における注力事業の18年3月期の目標についてご説明をします。18年3月期目標のグラフですが、売上については全社で2,700億円ですが、そのうちベース事業は前年同期で3パーセントの減少と見ています。

消防救急無線デジタル化プロジェクトと通信事業者の投資抑制の影響は、ほぼ一巡したと見ており、ベース事業の減少幅は縮小すると見ています。

一方、注力している、サービス、インフラ、グローバルは引き続き拡大していくという見方です。サービスについては、働き方改革関連が牽引します。

インフラについては先ほどご説明したメガソーラー発電所が寄与していくので、プラス29パーセントの大きな伸びを計画しています。グローバルにつきましても、順調に拡大するという見方です。

配当について

続いて配当です。当社の配当の考え方は、成長投資による企業価値拡大と同時に、当社の株を持っている株主様に安定配当をベースに還元していきたいということを基本的な考え方としています。

そういった視点からDOEを考慮した配当政策をしています。

その結果とし、2017年3月期は、期初計画どおりの期末配当が36円/株、年間72円/株。そして2018年3月期は、2円増配の年間74円/株とし、11期連続増配を計画しています。

最後に

最後に2017年3月期は厳しい状況でしたが、ここから再成長をしていきたいと考えていますので、引き続きみなさまのご理解をよろしくお願いいたします。以上です。