平成29年3月期の連結業績
芝﨑健一氏:それでは、決算についてご説明申し上げます。大変恐縮ではございますが、座ったままやらせていただきます。お手元に決算短信があると思いますので、ご用意いただければと思います。
まず数字です。平成29年3月期の連結業績について、まず経営成績ですが、営業収益は1兆4,668億円。こちらは前年に対しまして3.6パーセントの伸び率です。
一方、営業利益については348億円で、49.1パーセントのマイナスとなりました。経常利益については同様に348億円で、49.8パーセントの減。親会社株主に帰属する当期純利益については180億円で、54.2パーセントの減となりました。
また、(2)連結財政状態ですが、総資産につきましては1兆1,146億円です。純資産につきましては5,455億円ですので、自己資本比率は48.4パーセント。したがって、目標としている40パーセント半ばから、50パーセント強の間を目指すものに対しては、そのレンジの中に入っております。
「連結キャッシュフロー」につきましては、こちらに記載のとおりです。
配当の状況
続きまして、配当の状況です。配当の状況については、この下期については、期末の配当は14円で、従来の発表と数字は変わっておりません。
したがいまして、年間27円になり、配当性向は結果として59.5パーセントとなります。これは、昨年の通常配当に比べては1円の増配。昨年につきましては、宅急便40周年の記念配当2円がありますので、そこから見ると1円の減配になります。
30年3月期の予想ですが、今期と同様の上期13円、そして期末14円、(年間)27円で全体の配当性向は62.6パーセントと考えております。今回の減益は一時的なものと見ておりますので、安定的な配当に関して方針は変わらない、ということです。
今回の連結の営業成績につきまして、4月18日に下方修正を発表させていただき、そこでもお伝えしましたが、グループ全体で労働時間の調査をしたところ、多くの社員が休憩時間を十分に取得できていない、という問題が浮き彫りになったものです。
当該事実を厳粛に受け止め、社員満足を向上させる一環といたしまして、新たに認識した労働時間に対しまして、一時金を支払うことを決定したものです。
この金額が業績に与えたものとして、一時金の支払いとして190億円。それに伴い、法定福利費等が発生したものが30億円で、合計220億円となっているものです。
平成30年3月期の連結業績予想
続きまして、この1枚目の一番下「平成30年3月期の連結業績予想」についてご説明申し上げます。
まず、第2四半期の営業収益については7,080億円と見ております。こちらは、前年に対して若干伸びるかたちです。一方で、営業利益についてはマイナス30億円、経常利益もマイナス30億円、当期純利益についてはマイナスの60億円を上期では予想しております。
一方で通期においては、営業収益は1兆4,700億円、営業利益は300億円、経常利益も300億円、当期純利益は170億円と見ております。こちらは、上期におきましてはプライシング戦略ですとか、数量全体のコントロールがすぐに効果が出るわけではないと。
したがいまして、この間におきましては、やはり一時的には数量が伸びるだろうと。単価も、単価の下落にはかなり歯止めがかかってきてはいますが、上期ですぐ大幅に上がってプラスになるとは見ていないと。
一方で、労働コスト等の環境は従来どおりですので、これについてはかなり厳しめに数字を見て、マイナス30億円と見ております。
しかしながら、下期については、この宅急便全体の数量に対してのコントロールや、プライシングの効果が出始めるということにより、下払いのコストなどが抑制されることを考えております。これにより、下期からは利益は回復基調に戻る、と想定しているものです。
通年を見ますと、先ほど申し上げましたとおりの数字ですが、宅急便につきましてはおよそ8,000万個の減少を見込んでおります。これは上期においては若干伸びて、下期において下がるというものの、差引の結果です。
また、単価は先ほど申し上げましたとおり、下期では若干ミックスも含めて下がりますが、通期では6パーセント弱ぐらいの上昇、これを見込んでおります。したがいまして、全体としての収入は前年並みです。
営業利益につきましては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろこれから進めてまいります「働き方改革」を中心に、下期には一定の成果をあげ、その回復基調というものを来期以降も継続させていきたい、と考えております。
経営成績等の概況
期末実績の詳細について、少し短信の定性的文章についてご説明をしたいと思いますので、ページをおめくりいただければと思います。
「経営成績等の概況」の「(1)当期の経営成績の概況」については、大きな3段目のところに「また」というところがあります。ここで、グループ全体の「働き方改革」を推進するうえで行った、社員の労働時間の実施調査を踏まえ、新たに認識した労働時間に対する一時金を計上した旨を記載しております。
ヤマトグループ全体としての取組み
続きまして、表の下のところ、「ヤマトグループ全体としての取組み」②のところです。ここの上から3行目以降に、少し足許の状況を記載しております。
一方で、昨今の通販市場の急拡大等により、体制の構築が追い付かず、労働環境が悪化する事態に陥ったものです。そして、2月1日にヤマト運輸株式会社では「働き方改革室」を、グループ全体では「働き方創造委員会」を新設し、「働き方改革」に全力を挙げて取組みを開始した旨を、ここに記載しております。
「(②6行目)また」以降です。グループ全体で労働時間の実態を順次調査していたところ、多くの社員が休憩時間を十分に取得できていない問題などが浮き彫りになりました。
当該事実を厳粛に受け止め、社員満足を向上させる取組みの一環として、新たに認識した労働時間に対し、一時金を支払うことを決定するとともに、再発防止を図るため、ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、全社一丸で「働き方改革」を断行することで、より社員が働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。
続きまして④につきましては、前期において行いました、海外におけるM&Aや、グローバル展開についての記載です。
続きまして、⑤では、次世代物流サービス開発に向け、インターネットサービスを提供する大手企業と連携し、自動運転技術などを活用したオンデマンド配送サービス等を提供する「ロボネコヤマト」につきまして、プロジェクトを始動するなど、最新技術の導入を検討した旨を記載しております。
事業フォーメーション別の概況
各フォーメーションごとの内容ですが、デリバリー事業につきましては、繰り返しになって大変恐縮ですが、②のところに、「社員の労働環境に対しては、昨今の通販市場の急拡大による大幅な荷物の増加と労働需給のひっ迫によって、労働力確保に向けた職場環境の改善は急務であることから、社員の新しい働き方を創造するための体制を整備しました。
また、「働き方改革」として、「労務管理の改善と徹底」、「ワークライフバランスの推進」、「サービスレベルの変更」、「宅急便総量コントロール」、「宅急便の基本運賃の改定」などを断行していくことにより、社員が働きやすい環境の整備に向けた取組みを開始するものです。
⑤以降につきましては数量等でございますので、省略をいたします。また、デリバリー事業以外につきまして、若干ご説明申し上げたいと思います。
BIZ-ロジ事業につきましては、③に記載のとおり、メディカル事業者さまに向けたサービスとして、新規顧客を獲得するなど積極的に拡販が進んだということ。企業間物流の好調により増収となったものの、海外関連事業の伸び悩みとリコール案件の反動減がありましたので、それによって減益となったものです。
一番下から次ページにかけて、ホームコンビニエンス事業です。こちらについては、快適生活サポートサービスや調達サービスの好調により増収となっておりますが、高収益なスポット案件の減少などがあり減益となったものです。
e-ビジネス事業についは、「セットアップ・ロジソリューション事業」の取扱いを拡大したことから、増収増益となったものです。
フィナンシャル事業ついては、リース事業が順調に推移したものの、「宅急便コレクト(注:通販決済サービス)」、とく現金引換の代引きが伸び悩んだことにより、増収減益となっております。
オートワークス事業については、車両の取扱台数が増加したことにより増収になりましたが、新規サービスの投資が先行したことと、やはりまだ燃料価格が戻らないことの影響を受け、減益となっております。
CSRの取組み
続きまして、「CSRの取組み」です。こちらについては、①では、人命第一ということで、安全に対して我々が力を入れたことを記載しております。また、②においては、「ネコロジー」と称し、環境に対して対応している旨、こちらも記載しております。
続きまして④では「客貨混載」ということで、既存の岩手県、宮崎県に続き、北海道、熊本県においてもこれらを開始した旨。また、宮崎県では日本初となる、保冷専用BOXを搭載した路線バスを導入し、「クール宅急便」の輸送にも対応したということをご説明しております。
最後に⑤ですが、社会的インフラとして、お客さまをはじめ、社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス経営を推進し、労働時間管理のルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が安心して働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取組みを開始した旨、こちらを記載しております。
今後の見通し
ページ6の(4)に、「今後の見通し」と、今期の業績の考え方が書いておりますが、先ほどご説明したとおり、まず上期においては総量の増加基調が継続する。また、総量やプライシング等に関する交渉を実施している期間ですから経営環境は厳しいものと。
下期以降については、総量コントロールやプライシング等の効果が出始めることにより、下払費用なども抑制される見通しであることから、利益回復基調にある旨、こちらを記載しております。
事業上及び財務上の対処すべき課題
最後に7ページですが、こちらは「対処すべき課題」です。今期からは短信に記載義務はなくなりましたが、私どもとしてはこの課題については、特段ご説明する義務があるものと思いまして記載をさせていただいております。
まず②で、ヤマトグループの中核であるヤマト運輸についてて、先ほど申し上げました「働き方改革」について、改めて記載をさせていただいております。
また③では、将来にわたる労働力の不足に対し、各事業者さま、これは通販さまも含めた事業者さまとのシステム連携や、オープン型宅配ロッカー設置の加速化、先端技術の積極活用を進め、「集配部門・事務部門・作業部門」などあらゆる領域における生産性の向上に取り組みます。
さらに今後の事業成長を実現していくため、「働き方改革」を経営の中心に据えた取組みを推進し、全社一丸となって社員の働きやすい環境や人事制度を整備していく旨を書いております。
そして最後に、ダイバーシティの取組みを推進するとともに、これまで以上に多様な働き方を創出し、女性、高齢者、外国人などそれぞれが活躍できる場を拡大することで、新たな労働力の確保をしてまいります、という旨を記載しております。
以上、大変雑ぱくではございますが、平成29年3月期の決算短信につきまして、まず前期の結果、今期の見通し、また、その見通しをするにあたった背景について、ご説明を申し上げた次第です。若干長くなりましたが、以上です。
質疑応答
司会者:それでは、これからみなさまのご質問をお受けしたいと思います。ご質問の際は、係員がマイクをお渡しいたしますので、恐れ入りますが挙手いただいたうえ、社名と名前をお知らせいただけますようよろしくお願いいたします。
記者1:日本経済新聞のオオサキです。この始まった期の上期ですが、赤字に転落ということで、人件費と委託費はどれぐらい増えると見込んでいるんでしょうか? かなり厳しく見込まれていると思うんですが。どれぐらいなのかというところをお願いいたします。
芝﨑:まず上期で申し上げますと、社員給与は3パーセント強伸びると見ております。通期全体でも、社員給与は3パーセント強、伸びると見ております。
人件費総額となりますと、この220億円が入っておりますので、そこまで高い伸び率にはみえませんが、給与のところはしっかり、「働き方改革」も含めて中に入れていく、ということで見ております。
記者1:すいません、もう1つだけ。(営業利益が)通期では300億円で、下期では330億円ということになると思うんですが、これは値上げ分がどれぐらい含まれているのかということ。それから、大口先は基本的には含まれてないかもしれないんですが、来期以降に大口というものがオンされているのかどうか、を教えてください。
芝﨑:まず全体の効果につきましては、今ご質問にあったように、来期以降に強く出ると思っております。個別のセグメントごとにどのぐらいというのは、本日については、まだちょっとご説明を控えさせていただき、中期経営計画のなかである程度お話ができればと思います。また、単価につきましては、全体として6パーセント弱ぐらいということで平均的には見ている、ということです。
記者2:朝日新聞のイシハラといいます。今の質問にもありました、委託費、外部委託については、これは委託費がどのようになると見ていらっしゃって、それは要するに前年に対して伸びるのかというのと、先ほど宅急便の通期の個数と単価のお話出ましたが、これの上期と下期のそれぞれの数字を教えていただけますでしょうか。
芝﨑:まず下払委託費については、上期はやはり強めで、4パーセント弱ぐらい伸びるだろうと見ております。一方で下期は前年割れをするぐらいではないかと見ておりますが。もう少し申し上げますと、この上期については、少し全体として費用をコンサバに見ております。
また、中期経営計画をこの秋に発表しようとしておりますので、そういったなかで、下期については、もう少しきちっと足許の状況を見たうえ、改めてご説明できればと考えております。
これは見直すか見直さないかということの予見ではなく、足許の状況を見たうえで、もう少しきちっと精度を上げていきたいかな、ということです。それ以外の数字については、今日のところは、開示に関してはご容赦いただければと思います。
記者2:宅急便のコストについて。
芝﨑:上・下に関しては、上期が2パーセント強ぐらい伸びるだろうと見ております。で、下期が減って、トータルで8,000万個強ぐらい落ちるだろうと。この数字はご類推いただければと思います。
記者2:単価については?
芝﨑:単価につきましても、上期は1パーセント強以上落ちるだろう、と見ております。逆に下期は上がってきて、トータルで6パーセント弱ぐらいの単価になると見ているということです。
記者3:すいません、数字の確認なんですが、前期の単価の実績と、今期トータルで6パーセント弱上がるということなのですが、それは何円になるのか。8,000万個減るってことなんですが、これは18億6,700万個から8,000万個引いたのが見通しの数字になる、と? 念のため確認させてください。
芝﨑:通期の単価は559円強です。それに対して、通期で増えるのが6パーセント弱ぐらいだと見ています。宅急便の個数は、今お話があったとおり、18億6,700万個が前期の数字ですから、ここからトータルで8,000万個強分が減ると見ている、ということです。
記者4:先ほども質問あったんですが、上期の営業利益・経常利益が30億円の赤字で、純利益が60億円の赤字になっています。ここについては、もうちょっとどういう理由で赤になっているのか、要因をもうちょっと説明いただけますでしょうか。
芝﨑:まず単価。先ほどから申し上げましたように、上期はまだ全体のミックスも含めて下がるだろう、と。これは今までより下がり幅はかなり縮小するものの、まだ上がるには至らないと見ています。また、数も減らない、と。
そういったなかで、委託費等、こういったものがその数量に応じて伸びるだろうと見ていますので、費用が増えると見ています。そこに併せて、「働き方改革」などの費用も乗ってまいりますので、全体として、上期は費用先行型になることで、かなりここを強めに見ているということです。
記者5:日経新聞のヤマツです。確認なんですが、総量コントロールと売上がそれぞれどれぐらいの、例えば何億円のインパクトを与えるか、そういった数字は今日は出ない、ということでよろしいでしょうか?
芝﨑:はい、申し訳ありません。
記者5:わかりました。
司会者:ほかにはいかがでしょうか?
記者6:輸送経済新聞のスズキと申します。宅配単価の値上げについてなんですが、とくに法人向け単価の値上げ幅というのはどれぐらいのものなのでしょうか? 可能であれば。
司会者:すいません。5時からそこらへんの話はまとめてうちの経営トップから話をさせていただきますので、もしよろしければ、そちらにご参加いただくことは可能でしょうか?
記者6:失礼しました。ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか?
記者7:すいません、上期なんですけれども、経常利益から純利益に降りる時の30億円マイナスっていうのは、何でしょうか?
芝﨑:こちらの繰延税金資産の取崩し等の税金関係を見ておりまして。大きな特損が出るとかそういったことではないです。
司会者:ほかにはいかがでしょうか? よろしいでしょうか? それでは、本日はお忙しいところ、多数数ご参集いただきまして、ありがとうございました。これにて決算記者会見を終了させていただきます。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。