Eコマース事業の成長環境

質問者1:今、「Eコマース事業は予定どおり」というお話でしたが、事業別にはいろいろバラツキがあると思いますので、各事業で教えていただきたいと思います。

もう1つは、先ほど19ページで「Add to Buyee」が対応する60サイト。これは期末までにどのくらい拡大されて、近い将来はどのくらいまで導入できるものなのか。よろしくお願いします。

直井聖太氏(以下、直井) :各事業によってバラツキがあるというお話をいただきましたが、当社としては非常に判断がむずかしい内容として、クロスボーダー部門においてどうしても為替の影響を受けやすい状況で、円高に振れば輸入事業が伸びて、円安に振れば輸出事業が伸びやすいという環境がございます。

第1・第2クオーターにおいては、当初想定していた為替レートよりも若干円安に振れており、輸出事業が予定よりも上振れしています。逆にいうと、輸入事業は予定より若干下振れするというところです。

そういったバラツキはございますけれども、他のリテール・ライセンスやバリューサイクル事業に関しては、おおむね順調にきていると思っていただければと思います。

もう1つご質問していただきました、「Add to Buyee」というサービスをどこまで広げていく予定かというところに関してご報告させていただきます。

こちらは広げようと思えばどこまでも広げることはできるのですが、無数に広げるつもりもはありません。

正直に申し上げると、ECサイト様によっては、対応させていただいたとしても、海外での売上があまり見込めないサイト様もございます。

当社の中で1つの目安にしているところは、まず上位400サイトに対する提供を行いたいと考えています。

とはいえ、ただ単に国内の流通に完全に比例させているわけではなく、国内の流通はあまり多くなくても海外に引き合いのある商材などもございますので、1つの目安ではありますが上位400サイトに提供していこうと思っています。

その先は「Add to Buyee」だけの提携ではなく、「Buyee」に商品情報を取り込んでいく動きも第3クオーター以降に行っていこうと思います。

こちらに関しては、提携ECサイト様の中でも、本当に売上が見込めるサイト様を優先的に対応させていただければ考えております。「Add to Buyee」期末には100サイトを超えると思っていただければと思います。

質問者1:御社は下期の為替レートが95円の想定ですから、第3クオーター以降、From Japan(海外向けEC)が上振れするという見方でよろしいですか?

直井:はい、当初想定95円で読ませていただいたので、現状は円安傾向にございます。そういったことを考えると、やはり環境的にはFrom Japan(海外向けEC)が伸びやすくて、輸入事業が伸びづらいと思っていただければと思います。

バリューサイクル事業における強み

質問者2:まず1点、前々期まではバリューサイクル事業でクオーターごとに赤字が出ることがありました。

前期と今期はなくなっているような気がしますが、これは何か改善がされたのかということ。もう1点は、Eコマース全体の中でバリューサイクル事業をどのように位置付けをされているのかということです。また、バリューサイクル事業のサイトは、他社に比べてどのような特色があるのか? そのあたりを聞いてみたいと思います。

直井:私からご回答させていただきます。バリューサイクル事業に関しては、ご指摘いただいたとおり、クオーターによってかなり収益のバラツキがございます。これは引き続き起こりうるとご認識いただければと思います。ただし、その幅に関しては以前よりも縮小が進んだと思っていただきたいと思います。

なぜそういったバラツキが出るのかというと、オペレーション上、買取業務と販売業務の2つがございますけれども、買取が多いときには販売業務のオペレーションに回せる量が若干減ってしまい、販売よりも仕入れにフォーカスする分、そのクオーターにおいては収益が悪化しやすい状況があります。

ここに関しては、買取が集中する時期にも安定した販売業務ができるようなオペレーション改善が進んでいるので、損益のバラツキ幅は若干減っていると思います。

グループの中でも利益の貢献度は大きく、とくに第2クオーターでかなり収益をあげていますが、1年を通して見るとこれまでの比率と大きく変わっていないかなと思っています。

当社はグループの中でもさまざまな事業がありますので、積極的に投資を行なっていくフェーズと収益をあげていくフェーズがあり、今後の事業においてもバラツキが出てくると思います。そういったことをトータルで判断しながら、収益と成長をしっかり実現していきたいと考えております。

他社に比べてどういったユニーク性があるのかというお話ですが、まず1つはしっかりとしたオペレーションが構築できているというところです。

通常、買取業務を行う企業様というのは、ブランド品の鑑定士の方がいらっしゃって分析をしながら買取を行なっております。弊社としては、そこをシンプル化させていただいています。

具体的にいうと、誰でも査定できるようなノウハウです。それを行うためのデータベースがしっかりと構築できています。これが1つの強みだと思っています。

販売に関しても、当社としては1つの販路先に依存していません。仕入れた商材を同時に複数のマーケットプレイスや自社サイトなどで販売することができます。

これによって一番高く売れる場所でしっかりと収益を獲得しながら売ることもできますし、販売するスピードもあがってきます。このような同時出品ツールを独自に作っているところも当社の強みだと考えています。

さらに、この2年ほどテレビCMをかなり積極的に行なっております。みなさんご覧いただいたかもしれませんが、4月に入ってからは新たにブルゾンちえみさんに出ていただいて、積極的にCMを行なっております。

これによって買取サービスとしての認知度がかなり高まっています。「洋服を買い取って欲しいな」と思った際に真っ先に思い浮かぶ存在になっているというのは、目に見えない強みであると思っています。

そういったテレビCMをしっかりと打ちながらも、収益を獲得できている体制ができたということで、もう一段階成長できたかなと思っております。

そして最後に、これは一番の強みなんですけど、「ブランド売るなら、ブランディア」ということで、どうしてもブランド品のイメージが非常に強いかと思いますが、先ほどの資料にもありましたように、ブランディアの強みはセカンドブランドの商材を買い取れるということです。

グッチやエルメスのような、いわゆるハイブランドだけではなくて、もう少し下のレイヤーに商材を広げているというところが強みになっています。

これを行うには、徹底したオペレーション管理が必要になってきます。高単価の商材を扱うわけではなく、低単価の商材を扱いながらも、しっかりと収益をあげられる。その背景にあるのは「オペレーションの効率化を徹底して行っているから」ということがあります。

あとは鑑定士のような専門家に依存しない査定ができるようなノウハウ・データベースがあること、実はこれがブランディアの一番の強みです。

Eコマース事業の成長イメージ

質問者3:Eコマース事業全体の中で、3年後にバリューサイクルの営業利益が占めるウエイトは、クロスボーダーなどと比べてどのようなイメージを持っていらっしゃいますか?

直井:3年後のイメージなんですけど、比率でいうと下がっていくイメージをしています。それは決してバリューサイクル部門が成長しないという話ではなくて、他部門、さらには新規事業も予定しておりますので、そういった事業が成長していくことで、相対的に比率が下がっていくと考えております。

質問者3:2点目ですが、営業投資有価証券と投資有価証券とに分かれてますけど、営業投資有価証券のほうがインキュベーションという理解でよろしいですか?

中村浩二氏(以下、中村):私から説明させていただきます。当社が国内、アメリカ、新興国の個別の企業に出資しているのが営業投資有価証券として計上しております。、その他に当社は投資事業組合(ファンド)に出資しているものがあり、ファンドへの出資に関しては投資有価証券として計上しております。

質問者3:今後、投資している会社が上場したら、簿価評価を継続していかれるのか、それとも時価評価に変えらえるのか、その点だけ確認したいんですけれども。

中村:当社の場合、まだIFRSを適用しておりませんので、基本的には簿価評価になります。

越境EC事業への注力

質問者4:(スライド)16ページのところで、越境Eコマースの状況が図でのっておりますけれども、4ページのクロスボーダー部門の流通総額の推移においては、「為替の水準が……」ということをおっしゃっていたと思います。

全体の越境Eコマースの伸びに比べると、ずっと横ばいのような状況に思えるのですが、それはなぜかというところと、2020年までに越境Eコマース市場が16年度比で1.8倍の水準になると出ておりますけれども、同じように(クロスボーダー部門が)伸びていくとお考えかどうか教えていただければと思います。

直井:ご質問ありがとうございます。ご指摘のとおりだと思っておりますけれども、16ページにある数字のところでいうと、これは中国のメインランドが日本から買っている数字になっております。

当社でいうと世界84ヵ国にサービスを展開しているので、その違いがございます。一番大きいところなんですけど、当社が中国のメインランドに依存している比率というのは、以前より下がってきております。

まあ逆の解釈では、中国では伸びていないととらえていただけると思いますが、中国メインランドにおいてはさまざまなサービスが出てきているというところと、あとは個人の方を含めて、さまざまなビジネスをされている方がいらっしゃいまして、そういったところもこの数字の中には入っているので、事業者がしっかりとやっている数字に正しく反映されているとは思っておりません。

ただ、こういったものを買っている方がいらっしゃるということは正しいと思いますので、ニーズは拡大していると私どもは考えております。

そのような中で、事業者がどのようにサービスを提供していくかというのは、事業者にとっても国にとっても課題です。なぜかというと、個人の方々の取引に関しては、若干違法性のある取引も多くございます。

具体的にいうと、関税のかからないかたちで操作していたりですとか、さまざまな動きがあって、それに対しては中国政府も問題視している部分もありますし、事業者がサービスを伸ばしにくい環境でもあります。

今後マーケットが顕在化していく中で、このようなニーズを満たしてくれるというところに関して、おそらく事業者での取扱があがってくるだろうととらえております。

2020年においては、マーケットと同じように1.8倍に増やせるかどうかというところだと思うのですが、私は可能だと思っております。

当社としては、中国の1ヵ国で流通をつくっていくという方針はありませんので、中国以外の国での収益も伸ばしていきたいと思っています。

その背景はいくつかございます。当社としては、海外でのインキュベーションというところも、中国でのインキュベーションということをあまり積極的にやらずに、むしろネクストチャイナというところに先行投資をさせていただいていおります。

みなさんもご存知のように、今後も中華圏でどういった関係性でビジネスが制限されていくかがわからないという状況もありますので、中国だけにフォーカスして越境ECに取り組むことが会社として非常にリスキーだと考えているためです。

そしてまた、その中国において日本企業が資本関係も含めた関係性をつくるというのは、このタイミングでやるのはなかなか難しいというところで、当社としてはネクストチャイナに注目をしております。

そういったなかで、この越境EC事業に関しても、中国の周りの国に対して先んじてサービスを提供していくことはかなり注力して行っていきたいと思っていますので、2020年なので3年後だと思いますが、その時には他の国々での流通がさらに伸びることを想定して事業を行っています。

海外企業への投資判断

質問者5:もう1つ、33ページにインキュベーション事業の概況がありますけれども、今、インドを含めた東南アジアでネット通販等の事業を急拡大して、今後も急拡大が予想されるなかで、出資先を見るとすばらしく見えて、右側の企業は上場するとすごい化けたりするのではないかと思えるのですが、実際の手ごたえはどのような感じでしょうか?

直井:私も毎月数字を拝見しておりますけれども、日本ではなかなか考えにくい伸び方をしています。まさしく日本国内でインターネットが普及して、さまざまなコマースサービスが出てきて、そのときを彷彿とさせるような数字の伸び方をしていると思います。

今後まだまだ経済の成長が追い風になりますので、伸び率はもっと期待できると思っています。国によって時間軸がバラバラでして、ネットインフラはかなり普及してはいるんですけれども、交通インフラであったり、電力も含めて、そういった部分の発展というのが中国ほど進められていないというところがあるかと思います。

私はこのITと高度経済成長が同時にきたというのが、中国の成長の源泉だと思っているのですが、東南アジアにおいては、IT事業による経済成長は負けていないとは思っているのですが、インフラの成長スピードが若干追いついていない印象がありますので、中国よりもあとになって成長してくると思っています。

イグジットに関しても、さまざまなマーケットでの上場というのが考えられますので、実際にかたちになってきた際には、投資したものが実になってくるフェーズが必ず来ると思っています。

質問者6:インキュベーション事業について、海外のほうが多いという判断でしょうか?

直井:投資件数・投資金額ともに海外のほうが圧倒的に多いです。

質問者6:その投資効果の判断は、基本的に事業にいかに役立つかということで選んでいらっしゃると思うのですが、一方で資金運用として見た場合、3年間で売却益が出たものもあれば、売却損が出たものもあるかと思います。

これは仕事のやり方とは別に、投資効果としてある程度見とかなければいけないと思うんですよね。そのへんの感じをちょっと教えていただきたいと思います。

直井:おっしゃっていただたとおり、将来的に事業連携が見込めるような投資先であるというところと、当社からもある程度のノウハウの提供だったりですとか、お話ができるような事業分野を選んで投資活動を行わせていただいております。

なかでも注力して投資をさせていただいているのは、マーケットプレイスでのビジネスになっています。金額に関しても、やはりマーケットプレイスが多くございます。

なぜマーケットプレイスかというところではございますけれども、やはりこのマーケットプレイスに関しては、ビジネスの伸び方が乗数であると思っています。

例えば、普通のBtoCのコマースの場合はどちらかというと足し算で伸びていきます。例えば、仕入れ量をこれだけ増やせば、これだけ売上があがるというようなところが、企業の成長ではどうしても足し算になりがちです。

そういったなかで、マーケットプレイスに関しては、セラーが増えると購入者も増えて、購入者が増えるとセラーもまた一気に集まってくるというところで、自社がオペレーションに関与しない部分も含めて考えると、無限の成長スピードの加速があると思っています。

ビジネスの根本においては、やはりさまざまなビジネスのなかでも、インターネットビジネスにおいてもど真ん中に来るビジネスだと思っています。これは日本や海外の状況を見ていただくとよくご理解いただけると思います。

そういったことも含めて考えると、私どもはかなりアーリーなタイミングで投資を行わせていただいておりますので、投資の結果あがってくる収益に関して、当社が想定しているところによると、かなり桁違いのバリュエーションになってくると想定しながら投資活動を行わせていただいております。

質問者6:イグジットとしては上場ではなくて、やはりその事業を買収されて、おたくの株を含めて商社が買う。その時の利益がけっこうあるという理解でいいですか? それとも上場による利益が多いんですか?

直井:両方あると思います。あとは、国よっても少し違うかと思います。例えば、インドの企業であれば、アメリカのNASDAQを含めた上場をイメージしやすいので、今後はそういったイグジットもありえると思います。

あと事業によっては売却していくところもあるかと思います。

今はマーケットが作られているフェーズですので、そのマーケットのなかでの業界1位、2位、3位、4位があるんですけれども、2位が4位を買うとか、2位が3位を買う、そこに対してチャイナマネーも含めた大量のお金が出てくるということも想定されますので、そういったイグジットも考えられると思っています。

ただ、当社としては、投資している企業の売却益が最高になるタイミングで売るよりかは、前もって一部売却をさせていただきながら、それを横に広げていって、ポートフォリオを強化していくという方針でやっています。

EC事業におけるAmazonの脅威

質問者7:クロスボーダーのところで、中国はそれほど伸びてないというお話がありました。ただ大きい市場であることは間違いないですし、重要性は高いと思います。

4月上旬にAmazon ChinaさんがAmazon Chinaから日本の Amazonに直結させて買えますよという発表をされて、これでいくと中間マージンを完全に排して、コストも競争力が高いということで、Amazonの商品だけに関していうと、 Amazon China経由が一番便利かつ安いという状況になっているように思います。

そうすると、現状では御社も影響を受けるのではないかというイメージがあります。あとは Amazonと同じように商品がある楽天やYahoo!もなかなか競争が厳しいのではないかと思ってしまいます。この影響というのを実際に社長はどう見ていらっしゃるのか。

Amazonはグローバルに強い会社なので、海外でも重要なEコマース市場が立ち上がっても、日本のAmazonとそこを直結させてしまうということになると、クロスボーダー領域においては、非常に厳しい競争相手に思えてしまうんですけれども、そのあたりをどうお考えかお聞かせいただけないでしょうか?

直井:ご質問ありがとうございます。前回もお話させていただいたところもあり、重複する部分もあるかと思うのですが、ご指摘のとおり、これはコマース市場にいる企業様、そして日本だけに限らず世界の企業様全員が、おそらくAmazonを脅威であると捉えていると思っています。

そういったなか、中国の越境ECにおいてもAmazonさんが進出されていることにおいては脅威であるとは思っておりますが、そもそも当社が強みとしている商材というところに関して申し上げると、Amazonさんが得意としている商材以外のところを強みとしております。

そして、投資先に関しても、Amazonさんがあまり得意としていない領域で投資活動を行っているということに関してもあわせてご説明させていただければと思っています。

例えば、Amazonさんが比較的苦手としている領域に関して申し上げると、例えば車の領域ですね。例えば、eBayさんが唯一アメリカでも勝ってるのは車のマーケットプレイス、車の販売量です。

そこに関しても、Amazonが苦手としてる部分になるので、インドにおいて、Droomというサービスがあるのですが、これに関してもかなり厚めに投資をさせていただいていたりですとか。

あともう1つは、ファッション分野ですね。日本においても比較的弱い分野としては、ファッション分野があるんですが、こういったところに対して投資活動を行わせていただいております。

当社としても、越境ECに関しては、売れてる商品の流通総額のなかで、比率としては比較的高いのがこのファッション分野であったりですとか、あとは例えばなんですが、骨董品のような商材だったりですとか、かなり商品がユニークでニッチな商材が多くございますので、そういったところでしっかりと勝負をしていきたいと思っています。

つまりは、私の中ではAmazonさんと戦うことは想定はしてなくて、Amazonさんが苦手とされているような分野で勝負をしていくことが将来的につながりやすい、勝ちやすいとは考えております。

司会者:ありがとうございました。ほかにご質問ございますでしょうか。

中村:ちょっとだけすいません。先ほどご質問のあったところで、当社の投資先が上場した場合の評価はどうなるかというところなんですけれども。先ほど、私が、IFRSを適用していないので簿価になるという話をさせていただきましたが、市場性のある有価証券として認められる場合は時価評価になります。

もしこの説明に間違いがあるようでしたら、後ほど当社のWebサイトのなかできちんと説明させていただきたいと思います。

司会者:ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。よろしいですか。それではないようですので、以上をもちまして説明会終了です。どうもみなさんおつかれさまでした。