決算の概況 決算のポイント

稲垣精二氏:みなさん、こんばんは。第一生命の稲垣です。本日は第一生命グループの2017年3月期第3四半期の決算報告にご参加いただきまして、ありがとうございます。

それでは決算報告を行います。さっそく1ページをご覧ください。

今回の決算のポイントを以下の3点にまとめております。

第1に、営業業績についてお話しします。当四半期は内外で金融環境が改善しましたが、国内金利は比較的緩やかな上昇にとどまったため、国内生命保険事業では一時払商品の販売抑制を継続いたしました。

一方で、保障性商品への販売シフトに向けて投入した経営者向け商品や、平準払保険の販売は良好に推移し、グループ全体の新契約の増加をけん引しました。

第2に、純利益についてお話しします。第一生命では、金融環境の改善を背景にキャピタル損益は増加いたしましたが、主に上半期の円高により利息配当金収入が減少したことなどにより、想定どおりの進捗となりました。

連結では、グループ各社で運用収支が改善し、海外保険事業の利益貢献が拡大したことに加え、第一フロンティア生命の責任準備金の戻入れやアセットマネジメントOneの再編に係る利益の計上など、一時的な要因も加わった結果、親会社株主に帰属する純利益は、通期予想に対して高い進捗となりました。

第3は、エンベディッド・バリューについてです。2016年12月末のグループエンベディッド・バリューの試算値は株価の上昇と国内金利の上昇などにより約5.1兆円と、9月末から約6,900億円増加しました。

第一生命グループ業績 業績ハイライト

2ページをご覧ください。業績ハイライトをお示ししています。

連結経常収益は4兆7,286億円と、前年同期比で13パーセントの減少になりました。連結経常利益は、同1パーセント増の3,265億円。親会社株主に帰属する当期純利益は、6パーセント増の1,835億円となりました。

減収の要因は、一時払商品の販売抑制を継続したためです。経常利益、純利益の増加は、グループ会社で運用収支が改善し、海外保険事業の利益貢献が拡大したことに加え、冒頭にお話しした一時的要因があったためです。

通期予想に対する進捗率は、経常利益、純利益でそれぞれ80パーセント、93パーセントと、高い進捗になりました。

第一生命グループ業績 連結主要業績

3ページをご覧ください。連結主要収支の詳細をご説明します。

経常収益は、保険料収入の減少により、前年同期比約6,900億の減収となりました。経常費用も約6,900億円減少しましたが、このうち保険金等支払金の約2,400億円の減少は、前年同期において厚生年金基金の解散に伴う団体年金の差額の解約が発生していたためです。ただし、この影響は責任準備金を通じて相殺されるため、利益への影響はほとんどありません。

責任準備金等繰入額の約3,300億円の減少は、一時払商品の販売抑制によるものです。

アセットマネジメントOneの再編に係る持分変動利益が、特別利益として約125億円計上されています。

以上のことから、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比約100億円増加しております。

第一生命グループ業績 セグメント別業績

4ページをご覧ください。セグメント別の業績は4ページにご覧のとおりです。

持株会社体制の移行に伴い、国内生命保険事業、海外保険事業、そしてその他事業として、主にアセットマネジメント事業の業績をお示ししています。

当第3四半期累計では、海外保険事業の利益貢献が拡大しました。

第一生命グループ業績 グループ各社の業績

5ページをご覧ください。グループ各社の決算は記載のとおりです。

第一生命グループ業績 新契約動向

6ページにお進みください。新契約の動向についてご説明します。

グラフは第一生命グループの新契約を年換算保険料で示しており、以下はすべて年換算保険料ベースで説明しています。

第一生命の新契約は、平準払いの貯蓄商品がけん引し、前年同期比25.7パーセントの増加となりました。うち、第三分野の新契約は、法人向け、介護保障新商品の販売により、同10.6パーセント増加しました。

第一フロンティア生命の新契約は、据え置き期間の短い年金商品の販売が増加したため、6.5パーセント増加しました。

プロテクティブの新契約は、前年同期の8ヶ月間の実績に対して、現地通貨建てで増加しましたが、円高のため、円建てでは減少しました。

なお、プロテクティブは決算期が3ヶ月ずれる関係で、9月末の為替レートを仕様しています。

TALの新契約は、前年同期に大口の団体契約を獲得していた影響により、現地通貨建てで64.1パーセント減、円建てで65.6パーセント減少しました。

以上から、グループ全体は新契約は1.3パーセント増加。為替変動要因を除けば、3.3パーセント増加しました。

第一生命グループ業績 保有契約動向

7ページをご覧ください。保有契約に関する年換算保険料の動向についてご説明しています。

グループ全体の保有契約は2.2パーセント増、為替変動要因を除けば4.9パーセント増と、プラス成長を維持しています。

第一生命グループ業績 基礎利益の状況

8ページにお進みください。第一生命グループの基礎利益についてご説明します。

棒グラフでお示ししている調整後の基礎利益は、前年同期の4,156億円から3,577億円へと大幅に減少しております。これは、右のグラフでお示ししたとおり、第一生命の基礎利益が減少したためです。

第一生命業績 当期純利益の状況

この点について、次のページで詳しくご説明します。9ページにお進みください。

第一生命の基礎利益のうち、順ざやが前年同期比で減少したのは、主に上半期の円高によって、外貨建資産からの利息配当金が円ベースで減少したことが理由です。

保険関係損益の減少については、金利低下に伴い、退職給付費用の負担が増加したことや、国内販売チャネル体制の強化に向けた先行投資として営業職員数を増加させるなどした結果でございます。

基礎利益以外の項目では、追加責任準備金の繰入額を減少させたほか、金融派生商品損益の改善によりキャピタル損益が増加しました。しかし、基礎利益の減少を埋め合わせるにはいたらず、経常利益、純利益は微減となりました。

第一生命業績 解約失効高、営業職数および生産性

10ページをご覧ください。

左のグラフは第一生命の解約失効高ならびに解約失効率の状況を示しています。解約失効高は、前年同期比で11.9パーセント改善となりました。

右のグラフは、営業職員数とその生産性の推移を示しています。第一生命では、中核事業の持続的な成長に向けて、営業職員チャネルに積極的な投資を行っており、職員数は増加しています。新契約件数も増加しており、生産性指標が改善しております。

第一生命業績 一般勘定資産運用の状況

11ページにお進みください。資産運用の状況についてご説明します。

左のグラフは第一生命の一般勘定資産の構成比を示しています。

2016年10月に実施した持株会社体制への移行に伴って会社分割した際に、従来の第一生命が保有していた国内外の子会社等の株式を第一生命ホールディングスへ残したため、資産構成は不連続となっています。

当第3四半期累計では、国内で低金利が継続したことを踏まえ、ヘッジ外債への配分を前期末比で増やしております。国内株式の構成比は、時価の変動を主な要因として増加しております。

右のグラフでは、子会社等の株式を除く国内株式の簿価残高を、特定投資株式とそれ以外に分けてお示ししています。

当四半期末の株式残高は、上半期に実行した成長銘柄への投資により、前期末比で増加しております。

第一生命業績 健全性指標

12ページをご覧ください。第一生命の健全性についてご説明しています。

左の表では一般勘定各資産への含み益の変化をお示ししていますが、こちらも第一生命ホールディングスに残した子会社等の株式が対象資産から外れているため、データは不連続となっています。

その上で前期末と比較しますと、国内外での金利上昇により、国内債券と外国債券の含み益が減少しましたが、国内株式の含み益の増加が一部相殺し、一般勘定資産全体では含み益は約4,600億円の減少となりました。

右のグラフでお示しした、現第一生命のソルベンシー・マージン比率は841.2パーセントと、高い水準になっております。

前期末と比較すると減少していますが、これは持株会社体制へ移行する際に株主資本を第一生命ホールディングスに残したためであり、こちらのデータも不連続となっております。

第一フロンティア生命業績

13ページをご覧ください。第一フロンティア生命の状況についてご説明します。

第3四半期累計では、金融市場の大きな変動を受けて保険販売が減速し、保険料等収入は前年同期比で大幅に減少しました。

最低保証リスクに係る責任準備金は、第3四半期の株高・円安の影響で運用収益が改善したことを受け、戻入れとなりましたが、昨年度に比べ市場変動が激しかったためヘッジ関連費用が増加し、ヘッジ考慮後では損益が悪化しました。以上のことから、経常利益・純利益は前年同期比で減少しました。

ただし、上半期決算からは大幅な改善となっております。この理由は、金利上昇により主に市場価格調整に係る責任準備金の戻入れが発生したためでございます。

右のグラフでお示しした基礎的収益力は、会計利益に市場変動要因を調整した収益指標です。基礎的収益力は保有契約の積み上がりに伴い増加しております。

米プロクティブ業績

14ページをご覧ください。プロテクティブの状況についてご説明します。

税引前営業利益は、買収事業とステーブルバリュー事業が予算達成ぺースで進捗する一方、生保事業が予算未達ペースとなり、全体として予算並みの進捗となっております。

また、良好なキャピタル損益も業績に貢献していますが、同社が契約する再保険会社に帰属するべき利益が一部含まれています。

こうしたことで、純利益は通期予算に対して良好に進捗しております。また、前年同期比が8ヶ月であるため単純比較はできないものの、前年同期比でも大幅な伸びとなっております。

豪TAL業績

15ページをご覧ください。TALの状況についてご説明します。

右上の豪ドル建ての新契約年換算保険料は、個人保険で前期比6パーセント増となっております。一方、団体保険は、昨年度第3四半期に大型契約を獲得していたため、前年同期比で減少となっています。

保有契約年換算保険料は、前期末比で1パーセントの減少となっております。

左側の表に記載の保険料等収入は、昨年度獲得した団体契約の影響により、前年同期比で11パーセント増加となっています。しかし、個人保険において保険金等の支払いの状況が悪化し、修正利益は5パーセント減少となっています。

一方、会計上の利益は、資産運用収支が前年同期比で良好であったため、13パーセント増加しております。

第一生命グループ業績予想 2017年3月期業績予想

16ページをご覧ください。続いて、第一生命グループの2017年3月期連結業績予想についてご説明します。

冒頭でお示ししたとおり、第3四半期累計の業績は通期業績予想に対して良好な進捗となりましたが、これには一時的な要因も含んでいます。

また、米国の新政権による施政方針をめぐり不透明感が強まっておりまして、内外の金融環境は今後も大きく変動する可能性が高いと考えています。引き続き金融環境がグループ損益にどのような影響を与えるかを慎重に見守る必要がありますので、通期業績予想は据え置きとしています。

EEV ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー①

17ページをご覧ください。2016年12月末の保有契約をベースに、12月末の経済前提を使ったグループエンベディッド・バリューの試算を行っています。

持株会社体制への移行に伴い、今回より国内外の生保子会社をEEV計算の対象事業とし、そのEEVを表示するとともに、対象事業以外のグループ会社について、その純資産等に係る調整を加え、グループEEVとしています。ただし、これは表示方法の変更でありまして、グループEEVの額には影響はありません。

2016年12月末のグループEEVは約5.1兆円となりました。内外株価の上昇、国内金利の上昇や、円安の影響により、EEVは9月末に比べ約6,900億円増加しております。

EEV ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー②

18ページをご覧ください。グループ各社のEEVをこちらにお示ししています。

第一生命のEEVが減少していますが、これは持株会社体制への移行に伴い、株主資本を第一生命ホールディングスへ残したためであり、この要因を除けば、EEVは増加をしております。

以上で私からの説明を終了させていただきます。